(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169908
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】放射線検出器
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20231124BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/00 300S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081235
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 浩
(72)【発明者】
【氏名】八野 悠里
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188CC22
2G188CC32
2G188DD05
2G188DD10
2G188DD14
2G188DD47
2G188FF13
4C093CA06
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093FA32
(57)【要約】
【課題】カセッテ装置厚みの制約を考慮しつつ、周辺部品からX線センサーへのノイズ流入を抑制する。
【解決手段】放射線検出器1は、X線の照射を検出するX線センサー26と、X線センサー26に対する電磁波ノイズを低減するシールド28と、X線センサー26を組み付ける基台31と、を備えた放射線検出器1であって、放射線検出器1の厚み方向におけるX線センサー26とシールド28との距離(H1)がシールド28と基台31との距離(H2)よりも大きくなるように、X線センサー26、シールド28、及び基台31のそれぞれが配設されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線の照射を検出するX線センサーと、
前記X線センサーに対する電磁波ノイズを低減するシールドと、
前記X線センサーを組み付ける基台と、
を備えた放射線検出器であって、
前記放射線検出器の厚み方向における前記X線センサーと前記シールドとの距離が前記シールドと前記基台との距離よりも大きくなるように、前記X線センサー、前記シールド、及び前記基台のそれぞれが配設されている、
ことを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
前記基台は、前記シールドとの電位を同電位とする同電位処理が施されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記基台は、導電性素材が添加されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記基台は、表面が導体で覆われている、
ことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記基台は、誘電体である、
ことを特徴とする請求項4に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記基台は、発泡材で構成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記X線センサーを複数備える、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記X線センサーは、フォトダイオードである、
ことを特徴とする請求項7に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記シールドは、前記厚み方向において前記X線センサーと対向する位置に開口部が設けられ、
前記開口部は、前記シールドよりも放射線透過率の高い導体で塞がれている、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記X線センサーを複数備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線(以下、X線とも称す)画像の撮影にフラットパネルディテクター(FPD)と称される軽量薄型の放射線検出器が利用されている。この放射線検出器に関して、例えば、特許文献1には、内部部品を覆うハウジングによって、外部の電気ノイズから当該内部部品を保護するシールドを構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、ISO4090やJIS Z 4905で規格化されているカセッテ装置厚み(15mm(+1/-2mm;カセッテサイズ14inch×17inchの場合))を考慮した場合、ハウジング内に内部部品を収納するスペースが限られてしまう。この結果、例えば、内部部品であるX線センサーは、周辺部品(周辺の内部部品)との間で容量結合し易く、X線センサーと周辺部品との距離が振動により変動した場合、容量成分が変動し、X線センサーにノイズが流入し、X線の照射の誤検知が発生してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、カセッテ装置厚みの制約を考慮しつつ、周辺部品からX線センサーへのノイズ流入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る放射線検出器は、
X線の照射を検出するX線センサーと、
前記X線センサーに対する電磁波ノイズを低減するシールドと、
前記X線センサーを組み付ける基台と、
を備えた放射線検出器であって、
前記放射線検出器の厚み方向における前記X線センサーと前記シールドとの距離が前記シールドと前記基台との距離よりも大きくなるように、前記X線センサー、前記シールド、及び前記基台のそれぞれが配設されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カセッテ装置厚みの制約を考慮しつつ、周辺部品からX線センサーへのノイズ流入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る放射線検出器の外観を示す斜視図である。
【
図4】放射線検出器の等価回路を示すブロック図である。
【
図5】
図2のX線センサーユニットの部分を拡大した部分概略断面図である。
【
図6】基台とシールドとの間に容量成分が生じている場合のX線センサーユニットの例を示す図である。
【
図7】基台とシールドとの各電位を同電位とする同電位処理の例を示す図である。
【
図8】基台とシールドとの各電位を同電位とする同電位処理の例を示す図である。
【
図9】シールドの天井部に設けられた開口を当該シールドよりもX線透過率が高い導体で塞いだ場合のX線センサーユニットの例を示す図である。
【
図10】X線センサーユニットを複数設けた場合の放射線検出器の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態及び図示例に限定されるものではない。
【0010】
[放射線検出器の構成]
まず、本実施形態に係る放射線検出器について説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線検出器の外観を示す斜視図であり、
図2は、
図1のX-X線に沿う断面図である。なお、以下では、放射線検出器1における上下方向については、放射線検出器1を
図2の状態に配置した場合に基づいて説明する。
【0011】
図1に示すように、放射線検出器1の筐体2の一方の側面には、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、インジケーター40等が配置されている。また、図示を省略するが、筐体2の反対側の側面には、外部と無線方式で通信を行うためのアンテナ41(後述する
図4参照)が設けられている。
【0012】
図2に示すように、筐体2の内部には、基台31が配設されており、基台31の上面側には、図示しない鉛の薄板等を介して基板4が配置されている。基板4の上面にはX線検出素子7等が設けられているが、この点については後で説明する。そして、基板4の上方には、シンチレーター基板34に形成されたシンチレーター3と基板4のX線検出素子7等とが対向する状態でシンチレーター3やシンチレーター基板34が配置されている。
【0013】
基台31の下面側には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や内蔵電源24等が取り付けられている。また、基台31の下面側には、X線センサーユニット25が取り付けられている。X線センサーユニット25の構成については後で説明する。本実施形態では、このようにしてセンサーパネルSPが形成されている。また、本実施形態では、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0014】
図3に示すように、基板4の上面(すなわちシンチレーター3に対向する面)4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。また、複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各領域rには、X線検出素子7がそれぞれ設けられている。本実施形態では、このように、各X線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されている。
【0015】
また、本実施形態では、複数のバイアス線9が各信号線6に平行に配設されており、各バイアス線9は結線10に接続されている。そして、基板4の周縁部に、複数の入出力端子11が設けられており、各入出力端子11はそれぞれ各走査線5や各信号線6、結線10と接続されている。そして、図示を省略するが、各入出力端子11は、後述する読み出しIC16等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板と接続され、フレキシブル回路基板が基板4の裏面側に引き回されて前述したPCB基板33等に接続されるようになっている。
【0016】
ここで、放射線検出器1の回路構成について説明する。
図4は本実施形態に係る放射線検出器1の等価回路を表すブロック図である。各X線検出素子7では、図示しない被写体を介して照射されたX線の線量(或いはシンチレーター3で変換された電磁波の光量)に応じた電荷が各X線検出素子7内でそれぞれ発生するようになっている。なお、以下では、X線検出素子7がフォトダイオードで構成されている場合について説明するが、X線検出素子7を例えばフォトトランジスターやCCD(Charge Coupled Device)等を用いることも可能である。
【0017】
そして、各X線検出素子7の一方の電極7aには、バイアス線9が接続されており、バイアス線9や結線10を介してバイアス電源14から各X線検出素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。また、各X線検出素子7の他方の電極7bには、スイッチ素子としてTFT8が接続されており、TFT8は信号線6に接続されている。
【0018】
また、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してオン電圧が印加されるとオン状態となり、X線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させる。また、走査線5を介してオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、X線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、X線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0019】
各走査線5は、それぞれ走査駆動手段15のゲートドライバー15bに接続されている。走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aからゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧が供給されるようになっており、ゲートドライバー15bで走査線5の各ラインL1~Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるようになっている。
【0020】
また、各信号線6は、それぞれ読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17に接続されている。本実施形態では、読み出し回路17は、積分回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、
図4では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。
【0021】
撮影時に、スイッチ素子である各TFT8がオフ状態とされた状態で図示しないX線照射装置から放射線検出器1にX線が照射されると、X線の照射により各X線検出素子7内で発生した電荷がX線検出素子7内に蓄積される。そして、各X線検出素子7からの画像データdの読み出し処理の際には、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧が順次印加されて、各X線検出素子7内から信号線6に電荷がそれぞれ放出される。
【0022】
そして、その電荷が、各読み出し回路17の積分回路18に流れ込んで蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値が出力される。相関二重サンプリング回路19は、各X線検出素子7から電荷が流れ込む前と後にそれぞれ積分回路18から出力された出力値の差分をアナログ値の画像データdとして出力する。
【0023】
そして、出力された各画像データdがアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信され、A/D変換器20でデジタル値の画像データdに順次変換されて記憶手段23に出力されて順次保存される。このようにして画像データdの読み出し処理が行われるようになっている。
【0024】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0025】
制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NAND型フラッシュメモリー等で構成される記憶手段23や、リチウムイオンキャパシター等で構成される内蔵電源24、前述したX線センサーユニット25のX線センサー26等が接続されている。また、制御手段22には、前述したアンテナ41やコネクター39を介して外部と無線方式や有線方式で通信を行うための通信部42が接続されている。
【0026】
なお、例えば、X線センサー26と制御手段22とを結ぶ配線でノイズを拾ったりしないように配線をシールドしたり、或いはX線センサー26にX線が到達し易いようにするために、基台31(
図5参照)のX線センサー26に対応する部分には鉛の薄板を設けないようにする等の処理が適宜行われる。
【0027】
一方、制御手段22は、X線センサー26の出力に基づいてX線の照射開始を検知するようになっている。X線の照射開始を検知した場合には、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオフ電圧を印加して、各TFT8をオフ状態として、X線の照射によりX線検出素子7内で発生する電荷を各X線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0028】
そして、制御手段22は、電荷蓄積状態に移行してから所定時間が経過すると、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加させ、各読み出し回路17に読み出し動作をさせて、前述したようにして各X線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を行わせるようになっている。
【0029】
[X線センサーユニットの構成]
次に、X線センサーユニット25について説明する。
図5は、
図2のX線センサーユニット25の部分を拡大した部分概略断面図である。
【0030】
図5に示すように、X線センサーユニット25は、X線センサー26と、シールド28と、を備えている。なお、X線センサーユニット25は、基台31の下面側に垂設されたリブ(図示省略)に後述のX線センサー基板27が固定されるようになっている。
【0031】
X線センサー26は、X線照射装置(図示省略)から放射線検出器1に照射されるX線を検出するためのセンサーである。X線センサー26は、X線エネルギーを電荷に変換するセンサー素子(例えば、フォトダイオード)等で構成されている。X線センサー26は、X線センサー基板27に組み込まれた状態で構成されている。
【0032】
シールド28は、X線センサー26に対する電磁波ノイズを低減するためのシールドであり、X線センサー26の上面及び側面を覆う箱状に形成されている。より具体的には、シールド28は、X線センサー26の上面及び側面のそれぞれとの間に隙間を有しつつ、当該X線センサー26の上面及び側面を覆っている。シールド28は、電気伝導率が高い銅やアルミニウム等を用いて形成される。
【0033】
[X線センサーユニットと基台との位置関係]
次に、放射線検出器1の厚み方向におけるX線センサーユニット25と基台31との位置関係について説明する。
図5に示すように、シールド28の天井部28aからX線センサー26(X線センサー基板27の上面)までの高さをH1、基台31の下面からシールド28の天井部28aまでの高さをH2とした場合、H1>H2となるようにX線センサーユニット25を基台31の下面側に配設する。ここで、X線センサー26とシールド28との間に生じる容量成分C1は、上記のH1に反比例して小さくなる。したがって、H1>H2となるようにX線センサーユニット25を基台31の下面側に配設することで、上記のH1を大きくすることができるので、X線センサー26とシールド28との間に生じる容量成分C1を小さくすることができる。この結果、上記の容量成分C1に起因して発生する電磁波ノイズを低減することができるので、X線センサー26によるX線の照射の誤検知を抑制できる。
【0034】
なお、基台31が誘電体(例えば、硬質の発泡材等)で構成されている場合、基台31は帯電しやすい。
図6に示すように、基台31が帯電状態にあるとき、基台31とシールド28との間には容量成分C2が生じる。したがって、基台31が帯電状態にあるとき、容量成分Cshunt(=C1//C2)がX線センサー26に結合(容量結合)することとなる。ここで、H1+H2の値が一定である場合、容量成分Cshuntの値は変化しない。しかし、振動によりH1+H2の値が変化した場合、容量成分Cshuntの値も変化する。これにより、電磁波ノイズが発生し、X線センサー26によるX線の照射の誤検知を招いてしまうおそれがある。そこで、前述したようにH1>H2となるようにX線センサーユニット25を基台31の下面側に配設するとともに、上記の容量成分C2を生じさせないようにすることが好ましい。つまり、基台31とシールド28との各電位を同電位とする同電位処理を施すことが好ましい。ここで、基台31とシールド28との各電位を同電位とする方法としては、例えば、基台31を導電性素材(例えば、カーボン等)が添加されたものとし、帯電しないようにすることでシールド28との電位を同電位とする方法がある。これにより、上記の容量成分C2を生じさせないようにすることができ、専ら容量成分C1がX線センサー26に結合(容量結合)することとなるが、前述したようにH1>H2となるようにX線センサーユニット25を基台31の下面側に配設するので、当該容量成分C1を小さくすることができる。この結果、上記の容量成分C1に起因して発生する電磁波ノイズを低減することができるので、X線センサー26によるX線の照射の誤検知を抑制できる。
【0035】
(変形例)
次に、基台31とシールド28との各電位を同電位とする同電位処理の他の例について説明する。
図7は、基台31とシールド28との各電位を同電位とする同電位処理の例を示す図である。
図7は、
図5と同様に、X線センサーユニット25の部分を拡大した部分概略断面図となっている。
【0036】
図7に示すように、基台31の下面側の少なくともX線センサー26と対向する領域を、例えば銅板やアルミ板等の導体29で覆い、この導体29とシールド28とを接続することで、基台31とシールド28との各電位を同電位とする。なお、導体29の固定方法は、上記の方法に限られず、
図8に示すように、シールド28をX線センサー基板27に固定する際に用いられるクリップCLに、断面略L字状に形成された導体29の端部を挿入して装着することで、導体29をX線センサー基板27に固定するようにしてもよい。
【0037】
[効果]
以上説明してきたように、本実施形態に係る放射線検出器1は、X線の照射を検出するX線センサー26と、X線センサー26に対する電磁波ノイズを低減するシールド28と、X線センサー26を組み付ける基台31と、を備えた放射線検出器1であって、放射線検出器1の厚み方向におけるX線センサー26とシールド28との距離(H1)がシールド28と基台31との距離(H2)よりも大きくなるように、X線センサー26、シールド28、及び基台31のそれぞれが配設されている。
このため、放射線検出器1によれば、H1>H2となるようにX線センサー26を基台31の下面側に配設することで、H1を大きくすることができるので、X線センサー26とシールド28との間に生じる容量成分C1を小さくすることができる。この結果、カセッテ装置厚みの制約を考慮しつつ、周辺部品からX線センサー26へのノイズ流入を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る放射線検出器1は、基台31に対して、シールド28との電位を同電位とする同電位処理が施されている場合、基台31とシールド28との間に容量成分C2(
図6参照)を生じさせないようにすることができるので、X線センサー26に結合(容量結合)する容量成分を、X線センサー26とシールド28との間に生じる容量成分C1だけにすることができる。
この結果、基台31とシールド28との各電位を同電位とする同電位処理を施すとともに、前述したようにH1>H2となるようにX線センサーユニット25を基台31の下面側に配設することで、周辺部品からX線センサー26へのノイズ流入をより抑制することができる。
【0039】
[その他]
なお、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0040】
例えば、上記の実施形態等では、放射線検出器として、シンチレーター等を備え、放射されたX線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得る、いわゆる間接型の放射線検出器を例に挙げて説明したが、本発明は、シンチレーター等を介さずにX線を検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線検出器に対しても適用することができる。
【0041】
また、上記の実施形態等では、X線センサー26にX線が到達し易いようにするために、
図9に示すように、シールド28の天井部28aのX線センサー26と対向する領域に開口を設け、当該開口をシールド28よりもX線透過率が高い導体30で塞ぐようにしてもよい。
【0042】
また、上記の実施形態等では、放射線検出器1にX線センサーユニット25を1つだけ設ける場合を示したが、例えば、
図10に示すように、X線センサーユニット25を複数設けることも可能である。すなわち、X線センサーユニット25を、基台31の下面側の中央の位置だけでなく、中央の位置以外の位置にも配置するように構成することが可能である。なお、
図10では、X線センサーユニット25を2個設ける場合を示したが、3個以上設けてもよい。このように構成すれば、X線が放射線検出器1に対して照射野が絞られて照射された場合でも、複数のX線センサーユニット25のうちのいずれかでX線を感知することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 放射線検出器
25 X線センサーユニット
26 X線センサー
27 X線センサー基板
28 シールド
29 導体
30 導体
31 基台