(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169927
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】情報分電盤用ボックス
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20231124BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H05K5/02 H
H05K5/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081270
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】592236371
【氏名又は名称】サン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 修
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 建治
(72)【発明者】
【氏名】浦部 祥行
(72)【発明者】
【氏名】松原 寛至
(72)【発明者】
【氏名】工藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 祐吾
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB22
4E360BA04
4E360BC04
4E360BD05
4E360EA05
4E360EA12
4E360FA02
4E360GA04
4E360GA53
4E360GB21
4E360GB94
4E360GC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通信機器等を引き出して載置した状態で、カバーを上方にあげることにより通信機器等に当たることなく簡単にカバーの取り外しができて使い易く、引き出し部が載置棚に対し簡単に引き出せて落下しない低コストの製作を実現した情報分電盤用ボックスを提供する。
【解決手段】情報分電盤用ボックスは、情報分電盤本体1と、引き出し部3を有する載置棚2と、カバー4と、を備え、住宅の壁面に取り付けられる。載置棚2は、情報分電盤本体1の下部に備えられる。引き出し部3は、載置棚2から水平方向に引き出し自在である。カバー4は、情報分電盤本体1に対し上下方向の移動で情報分電盤本体1に着脱自在であり、情報分電盤本体1への装着状態から上方に引き上げるだけで、情報分電盤本体1から離脱できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報分電盤本体と引き出し部を有する載置棚とカバーとで成り、住宅の壁面に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
前記情報分電盤本体は、下部に載置棚が備えられて壁面に取り付けられ、前記引き出し部は、前記載置棚から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバーは、前記情報分電盤本体に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体に着脱自在であり、前記情報分電盤本体への装着状態から上方に引き上げられるだけで情報分電盤本体から離脱できることを特徴とする、情報分電盤用ボックス。
【請求項2】
前記情報分電盤本体の前方に突設された載置棚をなす左右の各側壁部の外面に、スリット状の凹部が前後方向に形成されている一方、前記引き出し部をなす左右の各側壁部の内面には前記凹部に対応する凸部が前後方向に形成されて前記載置棚の側壁部の凹部に嵌合されており、前記引き出し部は、前記載置棚の側壁部の外側でスライド移動されることを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックス。
【請求項3】
前記引き出し部をなす左右の各側壁部には、後端面から前方に向かって切り込みが形成され、前記切り込みより上部の側壁部の部位は弾性辺部として形成され、前記弾性辺部の内面には係止用の突起が設けられている一方、前記載置棚をなす左右の各側壁部には、前記弾性辺部の係止用突起に対応した係止孔が前後に2箇所設けられ、前記引き出し部は、その弾性辺部の係止用突起が後方の係止孔に係止して停止し、又は前方に引き出された際に前方の係止孔に係止して停止することを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックス。
【請求項4】
情報分電盤本体と引き出し部を有する載置棚とカバーとで成り、住宅の壁面に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体は、下部に載置棚が備えられて壁面に取り付けられ、前記引き出し部は、前記載置棚から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバーは、前記情報分電盤本体に対し上下方向のスライド移動で前記情報分電盤本体に着脱自在であり、前記情報分電盤本体への装着状態から上方に引き上げられるだけで情報分電盤本体から離脱できること、
(b)かつ前記情報分電盤本体の前方に突設された載置棚をなす左右の各側壁部の外面に、スリット状の凹部が前後方向に形成されている一方、前記引き出し部をなす左右の各側壁部の内面には前記凹部に対応する凸部が前後方向に形成されて前記載置棚の側壁部の凹部に嵌合されており、前記引き出し部は、前記載置棚の側壁部の外側でスライド移動されること、
(c)前記引き出し部をなす左右の各側壁部には、後端面から前方に向かって切り込みが形成され、前記切り込みより上部の側壁部の部位は弾性辺部として形成され、前記弾性辺部の内面には係止用の突起が設けられている一方、前記載置棚をなす左右の各側壁部には、前記弾性辺部の係止用突起に対応した係止孔が前後に2箇所設けられ、前記引き出し部は、その弾性辺部の係止用突起が後方の係止孔に係止して停止し、又は前方に引き出された際に前方の係止孔に係止して停止することを特徴とする、情報分電盤用ボックス。
【請求項5】
前記カバーをなす左右の各側壁部の後端縁と上面部の前記側壁部寄りの後端縁には、凸状の係止部が上下に各々2箇所設けられていると共に、前記カバーの係止部に対応して嵌合する凹部が情報分電盤本体の両側と上部に各々2箇所設けられており、前記カバーが上方に僅かに引き上げられるだけで、前記カバーの2つの凸状係止部が情報分電盤本体の2つの凹部から離脱できることを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックス。
【請求項6】
情報分電盤本体と引き出し部を有する載置棚とカバーとで成り、住宅の壁面に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体は、下部に載置棚が備えられて壁面に取り付けられ、前記引き出し部は、前記載置棚から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバーは、前記情報分電盤本体に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体に着脱自在であり、前記情報分電盤本体への装着状態から上方に引き上げられるだけで情報分電盤本体から離脱できること、
(b)かつ前記カバーをなす左右の各側壁部の後端縁と上面部の前記側壁部寄りの後端縁には、凸状の係止部が上下に各々2箇所設けられていると共に、前記カバーの係止部に対応して嵌合する凹部が情報分電盤本体の両側と上部に各々2箇所設けられており、前記カバーを上方に僅かに引き上げられるだけで、前記カバーの2つの凸状係止部が情報分電盤本体の2つの凹部から離脱できること、
(c)前記カバーの下方の凸状係止部の下部は、略三角形状の凹部に形成されていると共に、対応する前記情報分電盤本体の下方の凹部には略三角形状の凸部が設けられており、前記カバーが情報分電盤本体に装着される際、前記カバーの略三角形状凹部と前記情報分電盤本体の略三角形状凸部が嵌合して前記カバーが位置決め固定されることを特徴とする、情報分電盤用ボックス。
【請求項7】
前記情報分電盤本体に、電力線を引き込む穴と電源コンセントが上部に設けられ、その下部には、後方に突き出て機器が取付可能な突き出し取付部が設けられ、前記突き出し取付部は住宅の壁面の中に嵌る構造であることを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックス。
【請求項8】
情報分電盤本体と引き出し部を有する載置棚とカバーとで成り、住宅の壁面に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体に、電力線を引き込む穴と電源コンセントが上部に設けられ、その下部には、前方に突設された載置棚と共に、後方に突き出て機器が取付可能な突き出し取付部が設けられ、前記突き出し取付部は住宅の壁面の中に嵌って壁面に取り付けられる構造であり、前記引き出し部は、前記情報分電盤本体から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバーは、前記情報分電盤本体に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体に着脱自在であり、前記情報分電盤本体への装着状態から上方に引き上げられるだけで前記情報分電盤本体から離脱できること、
(b)かつ前記情報分電盤本体の前方に突設された載置棚をなす左右の各側壁部の外面に、スリット状の凹部が前後方向に形成されている一方、前記引き出し部をなす左右の各側壁部の内面には前記凹部に対応する凸部が前後方向に形成されて前記載置棚の側壁部の凹部に嵌合されており、前記引き出し部は、前記載置棚の側壁部の外側でスライド移動されること、
(c)前記引き出し部をなす左右の各側壁部には、後端縁から前方に向かって切り込みが形成され、前記切り込みより上部の側壁部の部位は弾性辺部として形成され、前記弾性辺部の内面には係止用の突起が設けられている一方、前記載置棚をなす左右の各側壁部には、前記弾性辺部の係止用突起に対応した係止孔が前後に2箇所設けられ、前記引き出し部は、その弾性辺部の係止用突起が後方の係止孔に係止して停止し、又は前方に引き出された際に前方の係止孔に係止して停止することを特徴とする、情報分電盤用ボックス。
【請求項9】
情報分電盤本体と引き出し部を有する載置棚とカバーとで成り、住宅の壁面に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体に、電力線を引き込む穴と電源コンセントが上部に設けられ、その下部には、前方に突設された載置棚と共に、後方に突き出て機器が取付可能な突き出し取付部が設けられ、前記突き出し取付部は住宅の壁面の中に嵌って壁面に取り付けられる構造であり、前記引き出し部は、前記情報分電盤本体から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバーは、前記情報分電盤本体に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体に着脱自在であり、前記情報分電盤本体への装着状態から上方に引き上げられるだけで前記情報分電盤本体から離脱できること、
(b)かつ前記カバーをなす左右の各側壁部の後端縁と上面部の前記側壁部寄りの後端縁には、凸状の係止部が上下に各々2箇所設けられていると共に、前記カバーの係止部に対応して嵌合する凹部が情報分電盤本体の両側と上部に各々2箇所設けられており、前記カバーが上方に僅かに引き上げられるだけで前記カバーの2つの凸状係止部が情報分電盤本体の2つの凹部から離脱できること、
(c)前記カバーの下方の凸状係止部の下部は、略三角形状の凹部に形成されていると共に、対応する前記情報分電盤本体の下方の凹部には略三角形状の凸部が設けられており、前記カバーが情報分電盤本体に装着される際、前記カバーの略三角形凹部と前記情報分電盤本体の略三角形凸部が嵌合して前記カバーが位置決め固定されることを特徴とする、情報分電盤用ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報分電盤用のボックスに関し、さらに言えば、テレビ受信用の分配器や増幅器や、インターネットのLAN配線用のHUBや電話回線の端子台などのインフラ機器及び、光インターネットの通信機器等のキャリア機器(例えば、ONU)やユーザー機器(例えば、LAN)を、効率よくコンパクト収納し、必要に応じて機器設置スペースを広く確保して使い易い情報分電盤用ボックスの技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の新築住宅では、保守・点検や改修工事などを行い易いようにテレビ受信システム機器とインターネットなどの通信機器を同一のボックスの中に配置した情報分電盤の設置が一般化してきている。
しかし、マンション等においては、大きな情報分電盤を設置する広いスペースはなく、小型サイズで取り扱いやすくカバー等が外しやすい構造の情報分電盤用ボックスの要求がある。また、情報分電盤の中には、テレビ受信用の分配器や光インターネット回線用のONUの設置が最低限必要となる。さらに、光通信機器は高速化に対応するため、発熱量の大きいONUになり、情報分電盤の囲まれたボックスの中に入ることができないため、棚などを引き出して設置する必要がある。
【0003】
この点、本出願人は特許文献1に記載の情報分電盤を開発している。同特許文献1の情報分電盤は、カバー3の側面に設けられた可動係止片32が、対応する盤本体1の側面の側部被係止部11に留められてカバー3はしっかり固定されている構造である(同文献1の段落[0027]、
図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の情報分電盤においてカバー3を外すときは、可動係止片32を側部被係止部11の係止状態から解除するために、カバー3を前方に回動させる必要がある。そうすると、カバー3をそのように前方に引き出した際に、引き出された第2の載置棚2Bに載置してあるONU等の光通信機器にカバー3が当たってしまう等が問題とされ、使い易さや安全面等の点でより一層優れた情報分電盤用のボックスの開発が解決すべき課題となっていた。
【0006】
したがって、本発明の目的は、通信機器等を引き出して載置した状態で、カバーを上方に上げることにより、前記通信機器等に当たることなく簡単にカバーの取り外しができて使い易く、引き出し部が載置棚に対し簡単に引き出せて落下しない安全設計で、低コストの製作を実現した情報分電盤用ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、情報分電盤本体1と引き出し部3を有する載置棚2とカバー4とで成り、住宅の壁面5に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
前記情報分電盤本体1は、下部に載置棚2が備えられて壁面5に取り付けられ、前記引き出し部3は、前記載置棚2から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバー4は、前記情報分電盤本体1に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体1に着脱自在であり、前記情報分電盤本体1への装着状態から上方に引き上げられるだけで情報分電盤本体1から離脱できることを特徴とする、情報分電盤用ボックスである。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記情報分電盤本体1の前方に突設された載置棚2をなす左右の各側壁部20の外面20aに、スリット状の凹部21が前後方向に形成されている一方、前記引き出し部3をなす左右の各側壁部30の内面30aには前記凹部21に対応する凸部31が前後方向に形成されて前記載置棚2の側壁部20の凹部21に嵌合されており、前記引き出し部3は、前記載置棚2の側壁部20の外側でスライド移動されることを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックスである。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記引き出し部3をなす左右の各側壁部30には、後端面から前方に向かって切り込み32が形成され、前記切り込み32より上部の側壁部30の部位は弾性辺部Sとして形成され、前記弾性辺部Sの内面30aには係止用の突起33が設けられている一方、前記載置棚2をなす左右の各側壁部20には、前記弾性辺部Sの係止用突起33に対応した係止孔22が前後に2箇所設けられ、前記引き出し部3は、その弾性辺部Sの係止用突起33が後方の係止孔22に係止して停止し、又は前方に引き出された際に前方の係止孔22に係止して停止することを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックスである。
【0010】
請求項4に記載した発明は、情報分電盤本体1と引き出し部3を有する載置棚2とカバー4とで成り、住宅の壁面5に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体1は、下部に載置棚2が備えられて壁面5に取り付けられ、前記引き出し部3は、前記載置棚2から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバー4は、前記情報分電盤本体1に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体1に着脱自在であり、前記情報分電盤本体1への装着状態から上方に引き上げられるだけで情報分電盤本体1から離脱できること、
(b)かつ前記情報分電盤本体1の前方に突設された載置棚2をなす左右の各側壁部20の外面20aに、スリット状の凹部21が前後方向に形成されている一方、前記引き出し部3をなす左右の各側壁部30の内面30aには前記凹部21に対応する凸部31が前後方向に形成されて前記載置棚2の側壁部20の凹部21に嵌合されており、前記引き出し部3は、前記載置棚2の側壁部20の外側でスライド移動されること、
(c)前記引き出し部3をなす左右の各側壁部30には、後端面から前方に向かって切り込み32が形成され、前記切り込み32より上部の側壁部30の部位は弾性辺部Sとして形成され、前記弾性辺部Sの内面30aには係止用の突起33が設けられている一方、前記載置棚2をなす左右の各側壁部20には、前記弾性辺部Sの係止用突起33に対応した係止孔22が前後に2箇所設けられ、前記引き出し部3は、その弾性辺部Sの係止用突起33が後方の係止孔22に係止して停止し、又は前方に引き出された際に前方の係止孔22に係止して停止することを特徴とする、情報分電盤用ボックスである。
【0011】
請求項5に記載した発明は、前記カバー4をなす左右の各側壁部40の後端縁と上面部41の前記側壁部40寄りの後端縁には、凸状の係止部43、44が上下に各々2箇所設けられていると共に、前記カバー4の係止部43、44に対応して嵌合する凹部10、11が情報分電盤本体1の両側と上部に各々2箇所設けられており、前記カバー4が上方に僅かに引き上げられるだけで、前記カバー4の2つの凸状係止部43、44が情報分電盤本体1の2つの凹部10、11から離脱できることを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックスである。
【0012】
請求項6に記載した発明は、情報分電盤本体1と引き出し部3を有する載置棚2とカバー4とで成り、住宅の壁面5に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体1は、下部に載置棚2が備えられて壁面5に取り付けられ、前記引き出し部3は、前記載置棚2から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバー4は、前記情報分電盤本体1に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体1に着脱自在であり、前記情報分電盤本体1への装着状態から上方に引き上げられるだけで情報分電盤本体1から離脱できること、
(b)かつ前記カバー4をなす左右の各側壁部40の後端縁と上面部41の前記側壁部40寄りの後端縁には、凸状の係止部43、44が上下に各々2箇所設けられていると共に、前記カバー4の係止部43、44に対応して嵌合する凹部10、11が情報分電盤本体1の両側と上部に各々2箇所設けられており、前記カバー1を上方に僅かに引き上げられるだけで、前記カバー1の2つの凸状係止部43、44が情報分電盤本体1の2つの凹部10、11から離脱できること、
(c)前記カバー4の下方の凸状係止部44の下部は、略三角形状の凹部44aに形成されていると共に、対応する前記情報分電盤本体1の下方の凹部11には略三角形状の凸部11aが設けられており、前記カバー4が情報分電盤本体1に装着される際、前記カバー4の略三角形状凹部44aと前記情報分電盤本体1の略三角形状凸部11aが嵌合して前記カバー4が位置決め固定されることを特徴とする、情報分電盤用ボックス。
【0013】
請求項7に記載した発明は、前記情報分電盤本体1に、電力線70を引き込む穴12と電源コンセント7が上部15に設けられ、その下部16には、後方に突き出て機器が取付可能な突き出し取付部6が設けられ、前記突き出し載置棚6は住宅の壁面5の中に嵌る構造であることを特徴とする、請求項1に記載した情報分電盤用ボックスである。
【0014】
請求項8に記載した発明は、情報分電盤本体と引き出し部を有する載置棚とカバーとで成り、住宅の壁面に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体1に、電力線70を引き込む穴12と電源コンセント7が上部15に設けられ、その下部16には、前方に突設された載置棚2と共に、後方に突き出て機器が取付可能な突き出し取付部6が設けられ、前記突き出し取付部6は住宅の壁面5の中に嵌って壁面5に取り付けられる構造であり、前記引き出し部3は、前記情報分電盤本体1から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバー4は、前記情報分電盤本体1に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体1に着脱自在であり、前記情報分電盤本体1への装着状態から上方に引き上げられるだけで前記情報分電盤本体1から離脱できること、
(b)かつ前記情報分電盤本体1の前方に突設された載置棚2をなす左右の各側壁部20の外面20aに、スリット状の凹部21が前後方向に形成されている一方、前記引き出し部3をなす左右の各側壁部30の内面30aには前記凹部21に対応する凸部31が前後方向に形成されて前記載置棚2の側壁部20の凹部21に嵌合されており、前記引き出し部3は、前記載置棚2の側壁部20の外側でスライド移動されること、
(c)前記引き出し部3をなす左右の各側壁部30には、後端縁から前方に向かって切り込み32が形成され、前記切り込み32より上部の側壁部30の部位は弾性辺部Sとして形成され、前記弾性辺部Sの内面30aには係止用の突起33が設けられている一方、前記載置棚2をなす左右の各側壁部20には、前記弾性辺部Sの係止用突起33に対応した係止孔22が前後に2箇所設けられ、前記引き出し部3は、その弾性辺部Sの係止用突起33が後方の係止孔22に係止して停止し、又は前方に引き出された際に前方の係止孔22に係止して停止することを特徴とする、情報分電盤用ボックスである。
【0015】
請求項9に記載した発明は、情報分電盤本体1と引き出し部3を有する載置棚2とカバー4とで成り、住宅の壁面5に取り付けられる情報分電盤用のボックスにおいて、
(a)前記情報分電盤本体1に、電力線70を引き込む穴12と電源コンセント7が上部15に設けられ、その下部16には、前方に突設された載置棚2と共に、後方に突き出て機器が取付可能な突き出し取付部6が設けられ、前記突き出し取付部6は住宅の壁面5の中に嵌って壁面5に取り付けられる構造であり、前記引き出し部3は、前記情報分電盤本体1から水平方向に引き出し自在であること、及び前記カバー4は、前記情報分電盤本体1に対し上下方向の移動で前記情報分電盤本体1に着脱自在であり、前記情報分電盤本体1への装着状態から上方に引き上げられるだけで前記情報分電盤本体1から離脱できること、
(b)かつ前記カバー4をなす左右の各側壁部40の後端縁と上面部41の前記側壁部40寄りの後端縁には、凸状の係止部43、44が上下に各々2箇所設けられていると共に、前記カバー4の係止部43、44に対応して嵌合する凹部10、11が情報分電盤本体1の両側と上部に各々2箇所設けられており、前記カバー4が上方に僅かに引き上げられるだけで前記カバー4の2つの凸状係止部43、44が情報分電盤本体1の2つの凹部10、11から離脱できること、
(c)前記カバー4の下方の凸状係止部44の下部は、略三角形状の凹部44aに形成されていると共に、対応する前記情報分電盤本体1の下方の凹部11には略三角形状の凸部11aが設けられており、前記カバー4が情報分電盤本体1に装着される際、前記カバー4の略三角形凹部44aと前記情報分電盤本体1の略三角形凸部11aが嵌合して前記カバー4が位置決め固定されることを特徴とする、情報分電盤用ボックスである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の情報分電盤用ボックスによれば、引き出し部が引き出されて通信機器等が載置された状態でカバーを開けるときは、カバーを上方に僅かに持ち上げるだけで簡単にカバーを情報分電盤本体から取り外すことができて使い勝手に優れている。つまり、引き出し部を引き出して、その上に通信機器等を載置した状態で、カバーを上方にあげることにより、前記通信機器等に当たることなく簡単にカバーの取り外しができて使い易い。
しかも、引き出し部が載置棚に対し簡単に引き出せて落下しない安全設計である。また、この情報分電盤用ボックスは、複雑な構造を使用していないため金型の作製は容易で製作コストの低減化にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の情報分電盤用ボックスの使用状態を示した全体斜視図である。
【
図2】(A)は引き出し部が引き出された状態でカバー取り付け前の情報分電盤本体用ボックスを示した斜視図、(B)は(A)の係止孔を示した拡大図である。
【
図4】情報分電盤用ボックスのカバーを閉じた状態の全体斜視図である。
【
図5】(A)はカバーと情報分電盤本体の着脱要領を正面方向から示した部分斜視図、(B)は(A)の背面方向から示した斜視図である。
【
図6】(A)はカバーが情報分電盤本体へ嵌合して取り付けられる直前状態を背面方向から示した全体斜視図、(B)は(A)の枢要な嵌合直前状態を拡大して示した斜視図である。
【
図7】異なる実施例の情報分電盤本体を示した斜視図である。
【
図8】
図7の情報分電盤本体の実施状況を示した側面から示した断面図である。
【
図9】引き出し部を引き出して通信機器が載置された状況を示した全体斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の情報分電盤用ボックスの好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
この情報分電盤用ボックスは、
図1と
図4に示したように、情報分電盤本体1と、引き出し部3を有する載置棚2と、カバー4とで成る樹脂成形品で、住宅の壁面5に取り付けられる(
図8参照)。前記情報分電盤本体1は、下部16に載置棚2が備えられた状態で壁面5に取り付けられ、引き出し部3は、載置棚2から水平方向に引き出し自在である(
図2)。そして、載置棚2(引き出し部3)の上部(又は前部)から情報分電盤本体1を覆うカバー4は、情報分電盤本体1に対し上下方向の移動で情報分電盤本体1に着脱自在であり、前記情報分電盤本体1への装着状態から上方に引き上げられるだけで情報分電盤本体1から離脱できる構成である(
図1)。
なお、情報分電盤用ボックスの中には、例えば増幅器やHUB等の発熱のある機器が設置されるため、載置棚2の底面部24、引き出し部3の底面部34、カバー4の上部(
図5Aに図示例の上面部41と前面部42に亘る傾斜面部位)には、風が流通する通風用のスリット23、35、46がそれぞれ設けられている。
【0019】
図1に示した本実施形態の情報分電盤用ボックスは、上述したように、情報分電盤本体1が、木ねじ等で壁面5に取り付けられるものである(
図7、
図8参照)。即ち、情報分電盤本体1は、板状で垂直に配置され、上述のように壁面5に木ねじ等を使い、例えば4か所で壁面5に固定される。この情報分電盤本体1の下部16には、左右に側壁部20を有する載置棚2が形成されており、この載置棚2の外側には前記側壁部20と略同じ高さの側壁部39を有する引き出し可能な引き出し部3が設けられ、その載置棚2の側壁部20の上部から情報分電盤本体1の全体を覆うカバー4で構成されている。カバー4は情報分電盤本体1に嵌合されているが、上方に上げると簡単に外れる構造になっている。
なお、情報分電盤本体1には、予め搭載して固定されることが予測される機器の固定ビスのピッチに対応した機器取付用の穴17が複数形成されている(
図1、
図7)。
【0020】
カバー4には、
図5に示したように、同カバー4をなす左右の各側壁部40の内側の後端縁と上面部41の前記側壁部40寄りの後端縁に、凸状の係止部である係止片43、44が上下に各々2箇所設けられている。と共に、当該カバー4の係止片43、44に対応して嵌合する凹部10、11が、前記情報分電盤本体1の両側と上部に各々2箇所設けられている。
よって、カバー4を閉じた状態では凹部10、11と凸状係止片43、44の係止により前方に倒れない構造になっている。また、この凹部10、11と凸状係止片43、44の間隔は、約20mm程から40mm程に設定されており、カバー4を僅かに上方に引き上げるだけで、前記カバー4の2つの凸状係止片43、44が情報分電盤本体1の2つの凹部10、11から離脱でき、簡単に外れる構造になっている。このカバー4の上方移動には係止するものがなく、爪等の係止部分を押して解除するというような特別の操作を必要としない。
【0021】
また、カバー4の下方の凸状係止片44の下部は、略三角形状の凹部44aに形成する実施形態が好ましい。この場合、対応する情報分電盤本体1の下方の凹部11に略三角形状の凸部11aを設ける。そうすることによって、カバー4を情報分電盤本体1に装着して閉じる際、カバー4の略三角形状凹部44aと情報分電盤本体1の略三角形状凸部11aが嵌合して前記カバー4が容易に位置決め固定されると共に、外側に膨らんだり、ずれたりしない構造になっている(
図6参照)。また、カバー4の両側面部40の外側には、
図4と
図1に示した如く、カバー4を上方に持ち上げやすいように筋状の凹凸45が設けてある。
なお、カバー4を前方から情報分電盤本体1に着脱する際の案内となるガイド突部14が、情報分電盤本体1の前記上下の凹部10、11の間に設けられている。
【0022】
載置棚2には、各種機器が搭載自在な底面部24が設けられ、その左右には、側方へのはみ出しを防止する側壁部20が設けられていると共に、底面部34が前記載置棚2の底面部24の下側に配設されて引き出し移動自在な引き出し部3が設けられた二重構造となっている。前記引き出し部3を前方に引き出すことによって、当該引き出し部3の底面部34の上にも通信機器8等の各種機器が搭載自在に成っている(
図9)。
詳述すると、
図2に示したように、情報分電盤本体1の前方に突設された載置棚2をなす左右の各側壁部20の外面20aに、スリット状の凹部21が前後方向に形成されている。一方、
図3図示例の前記引き出し部3をなす左右の各側壁部30の内面30aには、前記凹部21に対応する凸部31が前後方向に形成されて前記載置棚2の側壁部20の凹部21に嵌合されている。よって、引き出し部3は、載置棚2の側壁部20の外側でスライド移動しながら引き出し可能で、下方に落下しないように構成されている。前記凸部31は引き出し部3の側壁部30の内面30aに形成されているため外部から見た目にフラットで見栄えが良い。
【0023】
また、引き出し部3は、引き出した際に指定の場所で止まるように係止構造が設けられている。即ち、この係止構造は、
図3に示したように、引き出し部3をなす左右の各側壁部30に、後端面から前方に向かって切り込み32が形成され、前記切り込み32より上部の側壁部30の部位は弾性辺部Sとして形成され、前記弾性辺部Sの内面30aには係止用の突起33が設けられている。その一方、載置棚2をなす左右の各側壁部20には、前記弾性辺部Sの係止用突起33に対応した係止孔22が前後に2箇所設けられている。後方1箇所の係止孔22は、引き出し部3の収納状態の位置、前方1箇所の係止孔22は、引き出し部3が引き出され落下しない所定の位置にそれぞれ設けられている(
図2A参照)。
【0024】
したがって、当該引き出し部3は、その弾性辺部Sの係止用突起33が後方の係止孔22に係止して停止する。また、引き出し部3が前方に引き出された際には前方の係止孔22に係止し、引き出し部3がこれ以上引き出されないように停止する。
なお、引き出し部3の前記係止用突起33が当接する載置棚2の係止孔22の前方側の内面は、
図2Bに拡大して示したように、若干傾斜する傾斜面22aになっており、弾性辺部Sに設けられた係止用突起33は、係止孔22への係止状態から引き出される際にスムーズに係止が解除される構造になっている。
【異なる実施例】
【0025】
図7と
図8に示したように、上述した情報分電盤用ボックスの情報分電盤本体1には、情報通信機器8に接続される電力線70(ケーブル)を引き込む穴12と、電源コンセント7を上部15に設け、その下部16には、後方に突き出て機器が取付可能な突き出し取付部6を設けて、前記突き出し取付部6が住宅の壁面5の中に嵌る構造にも好適に実施される。
【0026】
即ち、本実施例によれば、小型の情報分電盤用ボックスであっても内部に搭載できる機器を増加させることができ、しかも配線が容易であるという特長を有している。電力線の工事は、一本の電力ケーブルを情報分電盤用ボックスの中に引き込み直接電源コンセントに配線する。そのため、専用の取り込み口である前記孔12を設けており、他の通信ケーブルと干渉しないように情報分電盤用ボックスの上部に配置し、壁面5から出た情報分電盤上部基底部(上部15)に取り付ける構造になっている。そして、通信機器8を取り付ける情報分電盤下部基底部(下部16)は、壁面5の内部になるよう段差が付いた構造になっている。そのため、通信機器8に接続される通信用のケーブル9は電源コンセント7の裏を通って情報分電盤用ボックスの中に引き込むことができ、大変施工し易いという大きな特長を有している。
【0027】
如上のように、本実施形態の情報分電盤用ボックスは、複雑な構造を使用していないため、その金型は容易かつ安価に作製できる構造になっている。また、発熱の大きな光通信機器8のONU等を設置するときは、引き出し部3を手前に引き出すことでそのONU等を外部に設置できる(
図9)。このとき引き出し部3は、載置棚2の外部に設けられているため、引き出しても載置棚2の底面部24に載置されている機器(図示は省略)は転倒も移動することもない。引き出し部3が引き出されてONU等の通信機器8が外部の底面部34に載置された状態でカバー4を開けるときは、カバー4を上方に20~40mmほど持ち上げれば簡単に外すことができるという特長を有しているものである。
【0028】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0029】
1 情報分電盤本体
10 凹部
11 凹部
11a 略三角形状凸部
12 穴
2 載置棚
20 側壁部
20a 外面
21 スリット状凹部
22 係止孔
3 引き出し部
30 側壁部
S 弾性辺部
30a 内面
31 凸部
32 切り込み
33 係止用突起
4 カバー
40 側壁部
41 上面部
43 凸状係止部(係止片)
44 凸状係止部(係止片)
44a 略三角形状凹部
5 壁面
6 突き出し取付部
7 電源コンセント
70 電力線
8 通信機器
9 通信ケーブル