IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日省エンジニアリングの特許一覧

<>
  • 特開-生体用水素ガス供給装置 図1
  • 特開-生体用水素ガス供給装置 図2
  • 特開-生体用水素ガス供給装置 図3
  • 特開-生体用水素ガス供給装置 図4
  • 特開-生体用水素ガス供給装置 図5
  • 特開-生体用水素ガス供給装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169931
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】生体用水素ガス供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20231124BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20231124BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231124BHJP
   C25B 9/60 20210101ALI20231124BHJP
   C25B 9/015 20210101ALI20231124BHJP
   C25B 1/13 20060101ALI20231124BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20231124BHJP
   A61M 16/12 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61M16/10 Z
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/60
C25B9/015
C25B1/13
C25B9/23
A61M16/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081276
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】597073807
【氏名又は名称】株式会社日省エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】平久井 健三
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021CA09
4K021CA15
4K021DA05
4K021DB53
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】生体への供給量によらず、安定して水素ガスを供給可能な生体用水素ガス供給装置を提供する。
【解決手段】電解原水を満たした電解槽と、電解槽に設けられた一対の電極と該一対の電極に挟まれた隔膜とから成る電解セル部と、電解槽の上部に位置し電解セル部で発生した水素を滞留させる水素滞留部と、水素混合ガス生成部と、から成り、水素混合ガス生成部は、希釈ガスを供給する希釈ガス供給部と、希釈ガスと水素ガスを混合するガス混合部と、水素混合ガスを導出する混合ガス導出部から成り、ガス混合部は、水素滞留部の水素ガスを導入する水素ガス導入口を備え、水素ガス導入口は、希釈ガスの流入方向を向いており、希釈ガス供給部は、希釈ガス導入口にファンを備える構成を採用した。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解原水を電気分解することによって生成する水素ガスと、希釈ガスとを混合して、水素混合ガスを生成する生体用水素ガス供給装置であって、
電解原水を満たした電解槽と、電解槽に設けられた一対の電極と該一対の電極に挟まれた隔膜とから成る電解セル部と、電解槽の上部に位置し電解セル部で発生した水素を滞留させる水素滞留部と、水素混合ガス生成部と、から成り、
水素混合ガス生成部は、希釈ガスを供給する希釈ガス供給部と、希釈ガスと水素ガスを混合するガス混合部と、水素混合ガスを導出する混合ガス導出部から成り、
ガス混合部は、水素滞留部の水素ガスを導入する水素ガス導入口を備え、
水素ガス導入口は、希釈ガスの流入方向を向いており、
希釈ガス供給部は、希釈ガス導入口にファンを備えることを特徴とする生体用水素ガス供給装置。
【請求項2】
前記希釈ガス供給部は、基端部分の直径よりも先端部分の直径が小さいことを特徴とする請求項1に記載の生体用水素ガス供給装置。
【請求項3】
前記ガス混合部は、前記希釈ガス供給部の先端部分を覆う覆部があり、該希釈ガス供給部の先端部分と覆部との隙間が前記水素ガス導入口を形成していることを特徴とする請求項2に記載の生体用水素ガス供給装置。
【請求項4】
前記電解セル部が、陽極を内側にした筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の生体用水素ガス供給装置。
【請求項5】
前記水素ガス導入口は、水素滞留部の上方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の生体用水素ガス供給装置。
【請求項6】
前記水素滞留部に対して、外気を補助的に取り入れる外気取入部を備え、外気取入部は管状であり、外気側開口部は、水素滞留部よりも低い位置にあり、水素滞留部側の開口部は、前記水素ガス導入口よりも低い位置にあり、且つ、下向きに開口していることを特徴とする請求項1から請求項5に記載の生体用水素ガス供給装置。
【請求項7】
前記電解セル部で生成されたオゾンが、オゾン滞留部の上方から導入され、オゾン滞留部の底面にあるオゾン排出部から排出されることを特徴とする請求項1に記載の生体用水素ガス供給装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体用水素ガス供給装置に関し、詳しくは、生体用水素ガス供給装置又は生体用水素ガス吸入器において、生体に供給される水素混合ガスを安定して供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
体内の過剰な活性酸素を中和して健康を増進するために、水素ガスの吸引が好適とされており、かかる水素ガスを吸入する装置として、従来より様々なものが開発されている。比較的容易に水素ガスを生成する方法として、電気分解で水素ガスを生成する手法が採用され、陰極側から生成させる水素ガスを筐体内に滞留させ、ポンプ等を用いて生体に供給する装置が開発されている。
【0003】
しかしながら、かかる従来装置は、滞留した水素ガス全体を送り出すものであるため、供給量を多くしようとすると水素ガスの生成が間に合わずに、供給するガスの濃度が大きく変化してしまうことも多く、供給品質を低下させることとなっていた。
そこで、生体への供給量によらず、安定して、水素ガスを供給できる技術が求められていた。
【0004】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、清浄な混合ガスを生体へ供給できる生体用水素ガス供給装置(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。
より詳しくは、筐体内に被電解水が導入され、筐体は陽極室と陰極室と両室を区画する隔膜からなり、隔膜を挟む電極に直流電圧を加え、陰極側に水素ガスを発生させ、筐体の上部に滞留した水素ガスを含むガスを、筐体外から供給されるガスによって押し出すことで、水素を含むガスを供給する装置である。
【0005】
しかしながら、上記提案の生体用水素ガス供給装置によれば、水素ガスを含むガスの供給量を増やそうとすると、筐体内に滞留した水素ガスの大部分が短時間で供給されてしまい、水素混合ガスを安定して供給することができず、上記問題点を解決するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6667873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、生体への供給量によらず、安定して水素ガスを供給可能な生体用水素ガス供給装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る生体用水素ガス供給装置は、電解原水を満たした電解槽と、電解槽に設けられた一対の電極と該一対の電極に挟まれた隔膜とから成る電解セル部と、電解槽の上部に位置し電解セル部で発生した水素を滞留させる水素滞留部と、水素混合ガス生成部と、から成り、水素混合ガス生成部は、希釈ガスを供給する希釈ガス供給部と、希釈ガスと水素ガスを混合するガス混合部と、水素混合ガスを導出する混合ガス導出部から成り、ガス混合部は、水素滞留部の水素ガスを導入する水素ガス導入口を備え、水素ガス導入口は、希釈ガスの流入方向を向いており、希釈ガス供給部は、希釈ガス導入口にファンを備える手段を採用する。
【0009】
また、本発明は、前記希釈ガス供給部が、基端部分の直径よりも先端部分の直径が小さい手段を採用する。
【0010】
さらに、本発明は、前記ガス混合部において、前記希釈ガス供給部の先端部分を覆う覆部があり、前記希釈ガス供給部の先端部分と覆部との隙間が水素ガス導入口を形成している手段を採用する。
【0011】
またさらに、本発明は、前記電解セル部が、陽極を内側にした筒状に形成されている手段を採用する。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記水素ガス導入口が、水素滞留部の上方に位置していることを手段とする。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記水素滞留部に対して、外気を補助的に取り入れる外気取入部を備え、該外気取入部は管状であり、外気側開口部は、水素滞留部よりも低い位置にあり、水素滞留部側の開口部は、前記水素ガス導入口よりも低い位置にあり、且つ、下向きに開口している手段を採用する。
【0014】
そしてまた、本発明は、前記電解セル部で生成されたオゾンが、オゾン滞留部の上方から導入され、オゾン滞留部の底面にあるオゾン排出部から排出される手段を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る生体用水素ガス供給装置によれば、水素混合ガスの供給量に関係なく、水素混合ガスに含まれる水素ガスの量を安定させることができ、吸入時の水素混合ガスの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る水素ガス供給装置の実施例の断面模式図である。
図2】本発明に係る水素ガス供給装置の実施例の全体斜視図である。
図3】本発明に係る水素ガス供給装置の実施例の断面図である。
図4】本発明に係る水素ガス供給装置の実施例の電解ユニットの模式図である。
図5】本発明に係る水素ガス供給装置の実施例の水素混合ガス生成部の模式図である。
図6】本発明に係る水素ガス供給装置の実施例の筐体の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る生体用水素ガス供給装置は、水素混合ガスを安定して供給することが可能であることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の実施携帯を、図面に基づき説明する。
【0018】
なお、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の構成態様は、以下で示される実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で、適宜変更することができるものである。
【0019】
図1から図6に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の実施形態において、カニューラとの関係を含む断面模式図である。図2は、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の実施形態において、カニューラとの関係を含む全体斜視図である。図3は、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の実施形態を示す断面図である。図4は、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の電解ユニットの実施形態を示す模式図である。図5は、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の水素混合ガス生成部でのガス混合の動作を示す模式図である。図6は、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の実施形態を示す断面説明図であり、(a)は水素混合ガス生成部における筐体と蓋の関係を示し、(b)は補助外気取入管の実施態様を示している。
【0020】
図1図2図3図6(b)に沿って、生体用水素ガス供給装置1の構成要素を説明する。
生体用水素ガス供給装置1は、生体に対して、水素を含むガスを吸入させる装置であり、電気分解により水素ガスを生成し、希釈ガスとして、空気を使用し、水素ガスと希釈ガスの混合ガスを供給するものである。
生体用水素ガス供給装置1は、大きくは電解槽20と水素混合ガス生成部50とオゾン滞留部40とから構成されている。生体用水素ガス供給装置1は、外観的には筐体部10と蓋部11に分かれる。蓋部11は、筐体部10から外すことで、電解槽20に電解原水21を入れたり、電解槽20等の洗浄やメンテナンス等を行ったりすることができる。また、蓋部11によって、水素ガスが空中に離散することを防いでいる。蓋部11には、水素混合ガス生成部50の一部が備わる。生体用水素ガス供給装置1の電力は、例えば、DC5Vの直流電圧電源をケーブルで接続することで得る。
【0021】
電解槽20は、電解原水を電気分解し、水素ガスを生成、滞留させる部分である。
電解槽20は、電解原水21を保持する槽を形成し、底面に、電解ユニット30を備える。電解槽20の上部には、電気分解で生成された水素ガスを保持する水素滞留部22を備える。
電解ユニット30で発生した水素ガスは、マイクロバブルとして、電解原水21内を上昇し、水素滞留部22に滞留する。
【0022】
電解ユニット30は、複数の電解セル部37から成る。電解セル部37は、陰電極31と陽イオン交換膜32と陽電極33とから成る。陰電極31と陽電極33により、陽イオン交換膜32を挟む形状である。
電解ユニット30は、陽極を内側にした筒状を成す複数の電解セル部37により形成されている。筒状の軸の方向は、鉛直方向である。
電解ユニット30は、筒状の底面を電解槽20の底部分に接する形で、電極固定部34によって固定されている。
電解ユニット30の周面の下部には、陽極側水導入口36が配置されている。
陰電極31、陽電極33は、例えば、チタンを基材として白金メッキを施した線材を菱形の網状に組んだものが用いられる。陰電極31は、図示しないケーブルによって、電源のマイナス側に接続され、陽電極33は、図示しないケーブルによって、電源のプラス側に接続される。
陽イオン交換膜32は、イオンの通過を規制するイオン交換機能を有する薄膜である。例えば、デュポン社製の「ナフィオン Nafion」が用いられる。その際、厚さは127~183um程度である。
また、電解ユニット30の上部には、陽電極33で発生するオゾンをオゾン滞留部40に導くオゾン導出部35が設けられている。
【0023】
電解槽20の上部である水素滞留部22に対して、外気を補助的に取り入れる補助外気取入部24を配置している。
補助外気取入部24は、水素滞留部22に対して、補助的に外気を供給するためのもので、管構造である。
水素滞留部22の水素は、水素ガス導入口72から順次、取り込まれる。取り込まれる量と発生する水素の量が同じであれば、外気を取り込む必要は無い。しかし、水素ガス導入口72から取り込まれる水素の量が発生する水素の量よりも多かった場合、水素滞留部22の気圧が下がり、水素ガス導入口72から取り込まれる量が低下してしまう。
そこで、補助外気取入部24を通して、外気を取り込むことによって、水素滞留部22の気圧の低下を防ぐものである。
【0024】
補助外気取入部24の外気側開口部である補助外気取入口23は、水素滞留部22よりも低い位置にある。より詳しくは、電解槽20の底面と同じ高さにある。
補助外気取入口23が水素滞留部22よりも低い位置にあることによって、補助外気取入部24に水素が入り込んでしまったとしても、無用に、水素を外気中に発散することを防ぐことができる。
【0025】
補助外気取入部24の水素滞留部22側の開口部である外気注入口25は、水素ガス導入口72よりも低い位置にあり、且つ、下向きに開口している。
外気注入口25が水素ガス導入口72よりも低い位置にあることによって、水素滞留部22の上方に滞留した水素に影響を与えることなく、外気を取り込むことができる。
さらに、外気注入口25が下向きに開口していることによって、取り込んだ外気は、水素滞留部22の下方向に流れるので、水素滞留部22の上方に滞留した水素への影響をさらに小さくすることができる。
【0026】
水素混合ガス生成部50は、希釈ガスと電解槽20で発生した水素ガスを混合する部分である。本実施形態では、電解槽20を上下に貫通する構造である。このような構造とすることで、ガスの流れが直線的になり、流れの勢いが制限されないので、水素ガスをスムーズに流入させることができる。
水素混合ガス生成部50は、希釈ガス供給部60とガス混合部70と混合ガス導出部80とから成る。
【0027】
希釈ガス供給部60は、希釈ガスを取り込む部分であり、全体として円筒状である。本実施例では希釈ガスとして、大気中の空気を用いている。希釈ガス供給部60は、希釈ガス導入口61にファン62(以下ブロアファンとも言う)を備え、強制的に希釈ガスを希釈ガス供給部60内に送り込むことができる。また、ファン62の出力を変えることで、送り込む希釈ガスの量を変えることができるので、水素混合ガスの導出量を制御することができる。
ファン62の位置を電解槽20よりも低い位置にすることにより、ファン62の振動音等の騒音の広がりを、筐体部10と電解槽20で囲むことによって低減することができる。
ファン62は、混合ガス供給量に関わるので、強い送風力が得られるブロアファンが好適である。
【0028】
希釈ガス供給部60は、希釈ガス導入口61を含む先細円管部63から成る。先細円管部63は、基端部65が太く、先端部64に向けて、徐々に縮径して細くなるロート状の形状を含む形である。先細円管部63の端部は、ガス混合部70の開口部に、隙間を開ける形で挿入される。
【0029】
ガス混合部70は、水素ガスと希釈ガスを混合する部分である。ガス混合部70は、希釈ガス供給部60から送られる希釈ガスと、水素ガス導入口72から流入する水素ガスを混合し、混合ガス導出部80に送り出す。
水素ガス導入口72は、先細円管部63の先端部64と覆部71によって形成されている。水素ガス導入口72は、希釈ガスの流入方向である希釈ガス導入口61の方向を向いている。流入方向に開口していることによって、希釈ガスの流れによって発生する負圧を利用して、水素ガスを水素ガス導入口72から取り入れることが出できる。
【0030】
水素ガス導入口72は、水素滞留部22の上方に配置されている。水素は、空気よりも軽いため、電解ユニット30で発生した水素は、水素滞留部22の上方から溜まり始める。そのため、水素ガス導入口72は、水素滞留部22の上方に配置された方が、効率よく水素を水素ガス導入口72から取り込むことができる。水素滞留部22の上方とは、水素滞留部22の上下方向の中点よりも高い位置を示す。
また、水素滞留部22の上面と水素ガス導入口72との距離が、水素ガス導入口72の直径よりも小さいと、より好適である。水素ガス導入口72の直径よりも水素滞留部22の上面と水素ガス導入口72との距離が小さいことによって、水素濃度の最も濃い部分を水素ガス導入口72から取り込むことができる。
【0031】
混合ガス導出部80は、生体用水素ガス供給装置1から水素混合ガスを導出する部分である。一例としては、混合ガス導出口81にカニューラ90の端部を接続する方法がある。混合ガス導出口81は、カニューラ90を接続しやすい大きさとなっている。
混合ガス導出口81は、回転可能であり、噴き出し方向を任意に変えることができる。
【0032】
オゾン滞留部40は、電解ユニット30によって発生したオゾンを一時的に保持する部分である。
オゾン滞留部40は、ガスを保持する容器構造であり、滞留したオゾンの匂いを吸着する活性炭41を備え、匂いが低減したガスを徐々に排出するオゾン排出部42を備える。
電解ユニット30で発生したオゾンは、オゾン導出部35を通り、オゾン滞留部40の上方からオゾン滞留部40内に導入され、滞留する。オゾンは、オゾン滞留部40内の活性炭41によって匂いが低減され、その後、オゾン滞留部40の底面にあるオゾン排出部42から外部に排出される。
オゾンは、オゾン滞留部40の上方から導入される。オゾンは空気よりも重いので、オゾンは自然に、オゾン滞留部40内を降下し、活性炭41の間を通るので、オゾン臭を効率よく低減することができる。
また、オゾンは、オゾン滞留部40の底面にあるオゾン排出部42から外部に排出される構成であるので、空気よりも重いオゾンは、スムーズに、オゾン排出部42から排出される。排出されたオゾンは、水素ガス供給装置1の底面から、床に沿って拡散するので、使用者がオゾン臭を感じにくくすることができる。
【0033】
図4に沿って、電解ユニット30の動作を説明する
電解ユニット30は、2つの電解セル37から成り、それぞれの電解セルの陰電極31、陽電極33にそれぞれ、マイナス電圧、プラス電圧がかけられる。電圧は、DC8~10V程度である。筐体部10内の電源回路によって、入力電源電圧5Vを昇圧して用いられ、電気分解を発生させる。陽電極33側で水素イオンと電子とが生成され、陽イオン交換膜32を通過し、陰電極31で水素ガスとなる。
2つの電解セルは、陽電極33を内側、陰電極31は外側として、筒状を成している。そのため、内側には、陽極33で発生するオゾンが集まり、外側には、陰電極31で発生した水素が集まることになるので、2つのガスの分離を容易に行うことができる。
また、複数の電解セルを用いることができるので、より効率的にガスを発生させることができる。
【0034】
この水素ガスは、微細な気泡であるマイクロバブルとして形成され、電解原水21内を徐々に上昇し、水素滞留部22に集められる。
また、陽イオン交換膜32を用いているため、陽電極33で生成されたオゾンと陰電極31で生成した水素が混ざることが無いので、効率よく水素を収集できる。
【0035】
図5に沿って、水素混合ガスの生成について説明する。
従来の方法の一つとして、水素を収集した領域に、エアポンプ等で、希釈ガスを送り込み、送り込んだ量に応じて、領域内のガスを、水素混合ガスとして、導出する方法があった。しかし、この方法では、導出する量を増やそうとすると、領域のガス全体が導出されてしまう。導出量を多くし続けると、水素ガスの含有量が極端に下がってしまい、安定した水素ガスの含有量を維持できなかった。
【0036】
希釈ガスは、水素混合ガス生成部50の下部の希釈ガス供給部60の底側から供給される。希釈ガス供給部60の底側には、ファン62が配置されているので、ファン62の出力に応じて、一定量の希釈ガスが供給される。
ファン62として、ブロアファンを用いることによって、十分な風量を出すことができる。
ファン62を水素混合ガスの導出口に設けることもできるが、そうすると、導出口の大きさが、ファン62を設けるために大きくなり、カニューラを接続しにくくなってしまう。
希釈ガス供給部60の流入部分である先細円管部63の底側である基端部は直径が大きく、希釈ガスの流速は比較的ゆっくりである。先細円管部63の上側である先端部は、円錐状に直径が小さくなる形状であるため、希釈ガスの流速は速くなる。
希釈ガスは、速い流速を保ったまま、ガス混合部70に入る。ガス混合部70では、希釈ガスの流れに合流する形で、先細円管部63の先端部64と覆部71で作られた水素ガス導入口72が設けられている。
【0037】
水素ガス導入口72は、希釈ガスの流入方向を向いている。すると、本流に対して、水素ガス導入口72側が引っ張られる形となり、水素ガス導入口72側に負圧を生じる。
そのため、水素ガス導入口72を通して、水素滞留部22内の水素ガスの一部が、ガス混合部70に入り、希釈ガスと混合され、水素混合ガスを混合ガス導出部80の混合ガス導出口81から送り出すことができる。
ガス混合部70での希釈ガスの流速は、先細円管部63の先細部分である先端部によって早められるので、ファン62にて比較的ゆっくりの流速としても、水素ガス導入口72から水素ガスを取得することができる。
【0038】
このように、本実施形態では、希釈ガスに水素滞留部22内の水素ガスの一部のみを混合する形となるので、導出する混合ガスの量を増やしても、水素滞留部22内の水素ガスの量が極端に変わることが無い。そのため、安定した水素ガスの含有量を維持できる。
【0039】
図6(a)に沿って、生体用水素ガス供給装置1の筐体部10、蓋部11、及び水素混合ガス生成部50について説明する。
生体用水素ガス供給装置1は、大きくは、筐体部10と蓋部11に分けることができる。蓋部11には、水素混合ガス生成部50のガス混合部70、混合ガス導出部80が配置されている。筐体部10側には、水素混合ガス生成部50の希釈ガス供給部60が配置されている。ガス混合部70の覆部71と先細円管部63の先端部64によって、水素ガス導入口72が形成されるので、この部分の位置関係は重要である。
【0040】
覆部71と先端部64が接近しすぎると、水素ガス導入口72を塞ぐことになり、水素ガスをうまく取り込むことができない。また、覆部71と先端部64の間が大きすぎると、負圧の量が減り、やはり、水素ガスをうまく取り込むことができない。
位置を規定する方法として、覆部71と先端部64の間にスペーサ等を配置する方法もあるが、そうすると、スペーサによって、水素ガスの導入の一部が妨げられることになる。
筐体部10側に先端部64を備え、蓋部11側に覆部71を備えることによって、先端部64と覆部71は常に一定の位置関係となり、水素ガス導入口72を維持することができる。
そのため、スペーサ等を用いる必要が無く、好適である。
【0041】
このように、本発明に係る生体用水素ガス供給装置1によれば、水素ガスを含むガスの供給量によらず、安定して、供給することができ、吸入時の品質を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る生体用水素ガス供給装置は、水素混合ガスを安定的に供給可能な装置であって、生体への吸入時におけるガスの品質向上にも資するものである。したがって、本発明に係る生体用水素ガス供給装置の産業上の利用可能性は大きいものと思料される。
【符号の説明】
【0043】
1 生体用水素ガス供給装置
10 筐体部
11 蓋部
20 電解槽
21 電解原水
22 水素滞留部
23 補助外気取入口(外気取入口)
24 補助外気取入部(外気取入部)
25 外気注入口
30 電解ユニット
31 陰電極
32 陽イオン交換膜(電解幕)
33 陽電極
34 電極固定部
35 オゾン導出部
36 陽極側水導入口
37 電解セル部
40 オゾン滞留部(活性炭室)
41 活性炭
42 オゾン排出部
50 水素混合ガス生成部
60 希釈ガス供給部
61 希釈ガス導入口(外気導入口)
62 ファン(ブロアファン)
63 先細円管部
64 先端部
65 基端部
70 ガス混合部
71 覆部
72 水素ガス導入口
80 混合ガス導出部
81 混合ガス導出口
90 カニューラ

図1
図2
図3
図4
図5
図6