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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169934
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081284
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】元重 佑一
(72)【発明者】
【氏名】永沼 慶彦
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC31
5E021HA05
(57)【要約】
【課題】端子の調心機能を保持することができ、電気的な接続信頼性を保持することができるコネクタを提供する。
【解決手段】電線5の端末部に電気的に接続された端子3と、電線5を保持するホルダ7と、端子3を収容する端子収容部27と、ホルダ7を収容するホルダ収容部29とを有し、外部に電線5が引き出されるハウジング9とを備えたコネクタ1において、ホルダ7を、ホルダ収容部29に対して、移動可能に収容した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末部に電気的に接続された端子と、
前記電線を保持するホルダと、
前記端子を収容する端子収容部と、前記ホルダを収容するホルダ収容部とを有し、外部に前記電線が引き出されるハウジングと、
を備え、
前記ホルダは、前記ホルダ収容部に対して、移動可能に収容されているコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記ホルダの前記電線の引出方向の反対側への移動を規制する第1壁部と、前記ホルダの前記電線の引出方向への移動を規制する第2壁部と、前記ホルダの前記電線の引出方向と交差する平面方向への移動を規制する第3壁部とを有する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングに組付けられる第2ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングには、前記第1壁部と前記第3壁部とが設けられ、
前記第2ハウジングには、前記第2壁部と前記第3壁部とが設けられている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ホルダ収容部には、前記ホルダの移動方向に沿って延出され、前記ホルダが係合される係合溝が設けられている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記係合溝には、前記ホルダの移動方向に沿って延出されたガイド溝が設けられ、
前記ホルダには、前記ガイド溝に向けて突出され、前記ガイド溝に係合されるガイド突起が設けられている請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、電線の端末部に電気的に接続された端子と、端子を収容し、電線が外部に引き出されるハウジングとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。このコネクタでは、ハウジングに、端子を収容する端子収容部と、電線を保持する電線保持部とが設けられている。このようなコネクタでは、電線保持部で電線を保持することにより、端子を端子収容部に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-100385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のようなコネクタでは、端子収容部内において、端子が、端子と相手端子との嵌合方向と交差する平面方向に対して、移動可能となっている。端子を移動可能とすることにより、相手端子に対して調心機能を有することができ、相手端子との接触荷重を安定化することができる。
【0005】
しかしながら、例えば、端子に反りなどの変形が生じていると、端子収容部内において、端子が端子収容部の内面に強く当接してしまうことがある。電線を保持する部分が固定されていると、端子収容部内での端子の配置位置が変わらず、端子が端子収容部の内面に強く当接した状態で固定されてしまう。端子が端子収容部内で移動できないと、相手端子に対する調心機能がなくなり、相手端子との接触荷重が不安定となって、電気的な接続信頼性が低下する可能性があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、端子の調心機能を保持することができ、電気的な接続信頼性を保持することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るコネクタは、電線の端末部に電気的に接続された端子と、前記電線を保持するホルダと、前記端子を収容する端子収容部と、前記ホルダを収容するホルダ収容部とを有し、外部に前記電線が引き出されるハウジングとを備え、前記ホルダは、前記ホルダ収容部に対して、移動可能に収容されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、端子の調心機能を保持することができ、電気的な接続信頼性を保持することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図2】第1実施形態に係るコネクタの断面図である。
図3】第1実施形態に係るコネクタの端子に変形が生じていないときの一部を断面とした正面図である。
図4】第1実施形態に係るコネクタの端子に変形が生じているときの一部を断面とした正面図である。
図5】第1実施形態に係るコネクタの端子と電線の斜視図である。
図6】第1実施形態に係るコネクタのホルダの斜視図である。
図7】第1実施形態に係るコネクタの第1ハウジングの斜視図である。
図8】第1実施形態に係るコネクタの第1ハウジングの斜視図である。
図9】第1実施形態に係るコネクタの第2ハウジングの斜視図である。
図10】第2実施形態に係るコネクタの第2ハウジングにホルダを組付けたときの斜視図である。
図11】第2実施形態に係るコネクタの第2ハウジングにホルダを組付けるときの斜視図である。
図12】第2実施形態に係るコネクタの第2ハウジングの要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
図1図9を用いて第1実施形態について説明する。
【0012】
図1図9に示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、例えば、車両に搭載された電源に電気的に接続されている。コネクタ1は、例えば、車両に搭載された機器に電気的に接続された相手コネクタ(不図示)と嵌合可能となっている。相手コネクタは、タブ状の接続部を有する雄型端子からなる相手端子(不図示)を備えている。相手コネクタは、コネクタ1と嵌合することにより、相手端子とコネクタ1の端子3とが電気的に接続される。コネクタ1は、端子3と、電線5と、ホルダ7と、ハウジング9とを備えている。
【0013】
端子3は、導電性材料からなる。端子3は、相手端子のタブ状の接続部が挿入可能な箱状の電気接続部11を有する雌型端子からなる。端子3は、複数(ここでは2つ)用いられる。電気接続部11は、コネクタ1と相手コネクタとの嵌合方向に延出されている。端子3には、電気接続部11と連続する一部材で電線接続部13が形成されている。電線接続部13は、電気接続部11の延出方向と直交する方向に延出され、一対の圧着片を有する。このため、端子3は、L字状に形成されている。電線接続部13は、電線5の端末部から露出する芯線に対して、一対の圧着片を圧着させることにより、端子3が電線5に電気的に接続される。電線5に端子3が電気的に接続された状態では、電気接続部11が電線5の長さ方向に対して、直交する方向に延出された状態となる。
【0014】
電線5は、例えば、芯線の外周を絶縁被覆で覆った被覆電線からなる。電線5は、複数の端子3と同じ本数(ここでは2本)用いられる。電線5の一端側は、例えば、車両に搭載された電源側に電気的に接続される。電線5の他端側は、芯線を露出させる端末処理が施され、端子3の電線接続部13に電気的に接続される。電線5は、端子3が電気的に接続された状態で、絶縁被覆の外周がホルダ7に保持される。
【0015】
ホルダ7は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。ホルダ7は、複数本(ここでは2本)の電線5の長さ方向と直交する方向にまたがって配置可能な直方体状に形成されている。ホルダ7には、電線5の絶縁被覆の外周が配置される保持部15が複数(ここでは2つ)設けられている。保持部15は、電線5の周方向に対して一部が開口されたU字状に形成されている。保持部15には、圧入部17が内部に向けて突出して形成されている。圧入部17の先端の間は、電線5の絶縁被覆の外径と同等、或いは僅かに小さく設定されている。このため、保持部15に電線5を配置した状態では、圧入部17によって、保持部15に電線5が圧入された状態で保持される。保持部15で電線5を保持することにより、ホルダ7が電線5と一体的に移動可能となる。ホルダ7は、保持部15に電線5が保持された状態で、ハウジング9に収容される。
【0016】
ハウジング9は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、第1ハウジング19と、第2ハウジング21とを備えている。
【0017】
第1ハウジング19は、コネクタ1と相手コネクタとの嵌合方向に延出されると共に、嵌合方向と直交する方向に延出されるように、L字状の筐体状に形成されている。第1ハウジング19の相手コネクタに対する嵌合方向後側は、開口されている。第1ハウジング19の外面には、外方に向けて突出された係止突起23が複数(ここでは4つ)設けられている。
【0018】
第2ハウジング21は、第1ハウジング19の開口を閉塞可能な底壁を有し、底壁から第1ハウジング19側に向けて延出され第1ハウジング19の開口側の外面を覆う側壁を有するように、蓋状に形成されている。第2ハウジング21の側壁には、第1ハウジング19の係止突起23と係合可能な枠状に形成された被係止部25が弾性変形可能に複数(ここでは4つ)設けられている。係止突起23と被係止部25とを係合させることにより、第2ハウジング21が第1ハウジング19に組付けられる。
【0019】
このような第1ハウジング19と第2ハウジング21とで構成されるハウジング9には、端子収容部27と、ホルダ収容部29とが設けられている。
【0020】
端子収容部27は、主に第1ハウジング19の内部に形成され、端子3の電気接続部11が収容される電気収容部31と、端子3の電線接続部13が収容される電線収容部33とを有する。電気収容部31と電線収容部33の相手コネクタに対する嵌合方向後側の開口は、第2ハウジング21によって閉塞されている。電気収容部31の相手コネクタに対する嵌合方向前側には、相手端子のタブ状の接続部が挿入可能な挿入孔35が、第1ハウジング19を貫通して複数(ここでは2つ)設けられている。電気収容部31の内部には、端子3の電気接続部11に係合可能な係止ランス37が弾性変形可能に設けられている。なお、挿入孔35には、係止ランス37を弾性変形させる治具が挿入可能な解除孔39が隣接して設けられている。
【0021】
このような端子収容部27には、第2ハウジング21が組付けられる前の状態で、第1ハウジング19の相手コネクタに対する嵌合方向後側の開口から電線5に電気的に接続された端子3が収容される。端子収容部27に端子3が収容されると、電気収容部31に端子3の電気接続部11が配置され、電線収容部33に端子3の電線接続部13が配置される。このとき、端子3の電気接続部11は、係止ランス37に係合され、第1ハウジング19の相手コネクタに対する嵌合方向後側の開口からの抜け止めがなされる。端子収容部27に端子3が収容された状態で、第1ハウジング19に第2ハウジング21を組付けると、第1ハウジング19の相手コネクタに対する嵌合方向後側の開口が閉塞される。
【0022】
端子収容部27に端子3が収容された状態では、端子3の電気接続部11と電気収容部31の挿入孔35とが、コネクタ1と相手コネクタとの嵌合方向に対向して配置される。このとき、端子3の電気接続部11は、電気収容部31内において、コネクタ1と相手コネクタとの嵌合方向と直交する平面方向に対して、移動可能に配置される。端子3の電気接続部11を移動可能とすることにより、挿入孔35から挿入される相手端子のタブ状の接続部に対して、調心機能を有することができる。端子3の電気接続部11が調心機能を有することにより、相手端子のタブ状の接続部との接触荷重を安定化することができ、電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0023】
ホルダ収容部29は、主に第1ハウジング19の電線収容部33より端部側の内部に形成されている。ホルダ収容部29の相手コネクタに対する嵌合方向後側の開口は、第2ハウジング21によって閉塞されている。ホルダ収容部29は、第1壁部41と、第2壁部43と、第3壁部45とを備えている。
【0024】
第1壁部41は、第1ハウジング19に設けられている。第1壁部41は、第1ハウジング19の内面から第2ハウジング21側に向けて延出されている。第1壁部41は、ホルダ7の長さ方向の両側にそれぞれ配置されるように一対設けられている。一対の第1壁部41,41は、ホルダ7の長さ方向の両側に対して、電線5のハウジング9からの引出方向の反対側に対向して配置される。一対の第1壁部41,41の間には、複数(ここでは2つ)の端子3の電線接続部13に電気的に接続され、ホルダ7に保持された複数本(ここでは2本)の電線5が配置される。第1壁部41は、ホルダ収容部29にホルダ7が収容された状態で、ホルダ7が電線5の引出方向の反対側である端子収容部27側に移動することを規制する。
【0025】
第2壁部43は、第2ハウジング21に設けられている。第2壁部43は、第2ハウジング21の底面から第1ハウジング19側に向けて延出されている。第2壁部43は、ホルダ7の長さ方向の両側にそれぞれ配置されるように一対設けられている。一対の第2壁部43,43は、ホルダ7の長さ方向の両側に対して、電線5のハウジング9からの引出方向に対向して配置される。一対の第2壁部43,43の間には、ホルダ7に保持され、ハウジング9の外部に引き出される複数本(ここでは2本)の電線5が配置される。なお、一対の第2壁部43,43の間を連結する部分は、複数本の電線5の下方に配置され、ホルダ7に対して、電線5の引出方向に対向して配置されており、第2壁部43として機能する。第2壁部43と第1壁部41との電線5の引出方向の間は、ホルダ7の幅と同等、或いはホルダ7の幅より僅かに大きく設定されている。第2壁部43は、ホルダ収容部29にホルダ7が収容された状態で、ホルダ7が電線5の引出方向であるハウジング9の外部側に移動することを規制する。
【0026】
第3壁部45は、第1壁部41と第2壁部43との電線5の引出方向の間で、第1ハウジング19と第2ハウジング21に設けられている。第1ハウジング19に設けられた第3壁部45は、連続する一部材で形成され、ホルダ7の長さ方向の両側の側面と、ホルダ7の高さ方向の一側とに対向して配置される。第2ハウジング21に設けられた第3壁部45は、ホルダ7の高さ方向の他側に対向して配置される。第3壁部45は、ホルダ収容部29にホルダ7が収容された状態で、ホルダ7が電線5の引出方向と直交する平面方向(ここでは、コネクタ1と相手コネクタの嵌合方向と平行な平面方向)に移動することを規制する。
【0027】
このようなホルダ収容部29には、第2ハウジング21が組付けられる前の状態で、第1ハウジング19の相手コネクタに対する嵌合方向後側の開口から電線5を保持したホルダ7が収容される。ホルダ収容部29にホルダ7が収容された状態で、第1ハウジング19に第2ハウジング21を組付けると、第1ハウジング19の相手コネクタに対する嵌合方向後側の開口が閉塞される。
【0028】
ここで、例えば、端子3の電線接続部13に電線5を圧着させたときに、電線接続部13に反りなどの変形が生じることがある。電線接続部13に変形が生じた状態で、端子3を端子収容部27に収容すると、電気接続部11が電気収容部31の内面に強く当接されて収容されることがある。電線5を保持するホルダ7がホルダ収容部29内で配置位置が固定されていると、端子3が端子収容部27内で動くことができず、電気接続部11が電気収容部31の内面に強く当接された状態で保持されてしまう。このため、電気接続部11が電気収容部31内で移動することができず、相手端子に対する調心機能を得ることができなくなる可能性があった。
【0029】
そこで、ホルダ7は、ホルダ収容部29に対して、移動可能に収容されている。ここでは、ホルダ7は、ホルダ収容部29に対して、電線5の引出方向と交差する平面方向(コネクタ1と相手コネクタの嵌合方向と平行な平面方向)に移動可能に収容されている。ホルダ7の長さ方向の両側面と第3壁部45との間には、ホルダ7を長さ方向の両側に移動可能とする隙間S,Sが設定されている。
【0030】
端子3の電線接続部13に変形が生じていると、例えば、図4に示すように、ホルダ7は、ホルダ収容部29内において、一方の隙間Sを埋めるように移動する。ホルダ7が移動することにより、電線収容部33内における電線接続部13の配置位置が変動し、電気収容部31内において、電気接続部11の配置位置が正常な位置で保持される。このため、電気接続部11が電気収容部31内で移動することができ、相手端子に対する調心機能を保持することができる。従って、端子3と相手端子との接触荷重を安定化することができ、電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、ホルダ収容部29に対して、ホルダ7が長さ方向に移動可能となっているが、これに限るものではない。例えば、ホルダ7を、ホルダ収容部29に対して、高さ方向及び幅方向にも移動可能としてもよい。この場合には、ホルダ収容部29内でホルダ7があらゆる方向に移動することができ、端子3のあらゆる変形に対して対応することができる。
【0032】
このようなコネクタ1では、電線5の端末部に電気的に接続された端子3と、電線5を保持するホルダ7とを備えている。また、端子3を収容する端子収容部27と、ホルダ7を収容するホルダ収容部29とを有し、外部に電線5が引き出されるハウジング9を備えている。そして、ホルダ7は、ホルダ収容部29に対して、移動可能に収容されている。
【0033】
ホルダ7は、ホルダ収容部29に対して、移動可能に収容されているので、端子3に変形が生じていると、電線5を保持するホルダ7がホルダ収容部29内を移動する。ホルダ7の移動により、端子3の変形が吸収され、端子収容部27内において、端子3が正常な配置位置で保持される。このため、端子3が端子収容部27内で移動することができ、相手端子に対する調心機能を保持することができ、端子3と相手端子との接触荷重を安定化することができる。
【0034】
従って、このようなコネクタ1では、端子3の調心機能を保持することができ、電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0035】
また、ハウジング9は、ホルダ7の電線5の引出方向の反対側への移動を規制する第1壁部41と、ホルダ7の電線5の引出方向への移動を規制する第2壁部43とを有する。さらに、ハウジング9は、ホルダ7の電線5の引出方向と交差する平面方向への移動を規制する第3壁部45を有する。このため、第1壁部41と第2壁部43と第3壁部45とによって、ホルダ収容部29内におけるホルダ7の移動範囲を規制することができ、ホルダ7をホルダ収容部29内に安定して保持することができる。
【0036】
また、ハウジング9は、第1ハウジング19と、第1ハウジング19に組付けられる第2ハウジング21とを有する。そして、第1ハウジング19には、第1壁部41と第3壁部45とが設けられ、第2ハウジング21には、第2壁部43と第3壁部45とが設けられている。このため、ホルダ7の移動範囲を規制する部分は、第1ハウジング19と第2ハウジング21とに分散されている。ホルダ7の移動範囲を規制する部分を分散させることにより、ホルダ収容部29に対して、ホルダ7を容易に収容することができ、ハウジング9に対するホルダ7の組付性を向上することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図10図12を用いて第2実施形態について説明する。
【0038】
本実施形態に係るコネクタは、ホルダ収容部29に、ホルダ103の移動方向に沿って延出され、ホルダ103が係合される係合溝105が設けられている。
【0039】
また、係合溝105には、ホルダ103の移動方向と交差する方向に配置され、ホルダ103の移動方向に沿って延出されたガイド溝107が設けられている。そして、ホルダ103には、ガイド溝107に向けて突出され、ガイド溝107に係合されるガイド突起109が設けられている。
【0040】
なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0041】
ここで、不図示であるが、ホルダ収容部29を構成する第1ハウジング19(図8参照)には、第1壁部41(図8参照)が設けられていない。第1ハウジング19には、第3壁部45(図8参照)のみが設けられている。このような第1ハウジング19には、係止突起23(図8参照)と被係止部25とを介して第2ハウジング21が組付けられる。
【0042】
図10図12に示すように、ホルダ収容部29を構成する第2ハウジング21には、第2壁部43(図9参照)が設けられていない。第2ハウジング21には、第3壁部45のみが設けられている。第2ハウジング21の第3壁部45には、電線5(図1参照)の引出方向と直交する方向に沿って延出された係合溝105が設けられている。係合溝105の延出方向の両端は、開口されている。係合溝105の幅方向の両側には、電線5の引出方向と直交する方向に沿って延出されたガイド溝107がそれぞれ設けられている。ガイド溝107の延出方向の両端は、開口されている。
【0043】
ホルダ103は、複数本(ここでは2本)の電線5と対応して、複数(ここでは2つ)用いられる。ホルダ103には、電線5の絶縁被覆の外周が配置される保持部15が設けられている。なお、保持部15には、圧入部17(図6参照)が設けられていないが、圧入部17を設けてもよい。ホルダ103の保持部15の幅方向両側には、外方に向けて突出されたガイド突起109がそれぞれ設けられている。
【0044】
ホルダ103は、係合溝105及びガイド溝107の端部の開口から挿入され、ホルダ収容部29に収容される。ホルダ収容部29に収容されたホルダ103は、係合溝105に沿って、電線5の引出方向と直交する方向に移動可能となる。ガイド突起109は、ガイド溝107内に係合されているので、ホルダ103の移動がガイドされると共に、ホルダ103の高さ方向への移動が規制される。加えて、ホルダ103は、係合溝105に係合されているので、電線5の引出方向及び引出方向の反対側への移動が規制されている。このため、第1ハウジング19と第2ハウジング21とに、第1壁部41と第2壁部43とを設ける必要がない。ホルダ103の保持部15は、係合溝105から露出した状態となっており、電線5の絶縁被覆の外周を保持することが可能となっている。
【0045】
ホルダ103は、第2ハウジング21に組付けられた状態で、第2ハウジング21を第1ハウジング19に組付けることにより、保持部15が電線5の絶縁被覆の外周を保持する。第2ハウジング21が第1ハウジング19に組付けられた状態では、係合溝105及びガイド溝107の端部の開口が第1ハウジング19の第3壁部45によって閉塞される。このため、ホルダ103は、第1ハウジング19の第3壁部45によって、ハウジング9の外方への移動が規制されると共に、係合溝105からの脱落が防止される。
【0046】
このようなホルダ103は、端子3(図5参照)に変形が生じていると、係合溝105内を移動する。ホルダ103が移動することにより、端子収容部27(図2参照)内において、端子3が正常な配置位置で保持される。このため、端子3が端子収容部27内で移動することができ、相手端子に対する調心機能を保持することができる。従って、端子3と相手端子との接触荷重を安定化することができ、電気的な接続信頼性を保持することができる。加えて、ホルダ103は、1本の電線5を保持しているので、複数の端子3が異なる変形をしている場合であっても、それぞれの端子3の変形に対応することができる。
【0047】
なお、ガイド溝107の内面とガイド突起109の外面との間に、ホルダ103を移動可能とする隙間を設定してもよい。この場合には、ホルダ収容部29内でホルダ103があらゆる方向に移動することができ、端子3のあらゆる変形に対して対応することができる。
【0048】
このようなコネクタでは、ホルダ収容部29に、ホルダ103の移動方向に沿って延出され、ホルダ103が係合される係合溝105が設けられている。このため、ホルダ103と係合溝105の係合により、ホルダ収容部29内におけるホルダ103の移動を安定化することができる。
【0049】
また、係合溝105には、ホルダ103の移動方向に沿って延出されたガイド溝107が設けられている。そして、ホルダ103には、ガイド溝107に向けて突出され、ガイド溝107に係合されるガイド突起109が設けられている。このため、ガイド溝107とガイド突起109の係合により、ホルダ収容部29内におけるホルダ103の移動をさらに安定化することができる。
【0050】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0051】
例えば、第1実施形態においては、1つのホルダで、複数本の電線を保持しているが、これに限らず、1つのホルダで、1本の電線を保持するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、端子が、電気接続部と電線接続部とが屈曲されてL字状に形成されているが、これに限らず、端子が、電気接続部と電線接続部とを屈曲させずに直線状に形成されていてもよい。
【0053】
さらに、第1実施形態のコネクタにおいて、ホルダ収容部に、第2実施形態の係合溝及びガイド溝を設け、ホルダに、第2実施形態のガイド突起を設けてもよい。なお、ホルダには、何も設けずに、ホルダ収容部に、係合溝のみを設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 コネクタ
3 端子
5 電線
7,103 ホルダ
9 ハウジング
19 第1ハウジング
21 第2ハウジング
27 端子収容部
29 ホルダ収容部
41 第1壁部
43 第2壁部
45 第3壁部
105 係合溝
107 ガイド溝
109 ガイド突起
図1
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図12