IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三洋工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-天井防護構造 図1
  • 特開-天井防護構造 図2
  • 特開-天井防護構造 図3
  • 特開-天井防護構造 図4
  • 特開-天井防護構造 図5
  • 特開-天井防護構造 図6
  • 特開-天井防護構造 図7
  • 特開-天井防護構造 図8
  • 特開-天井防護構造 図9
  • 特開-天井防護構造 図10
  • 特開-天井防護構造 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169948
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】天井防護構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/00 20060101AFI20231124BHJP
   F16B 5/12 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E04B9/00 Z
F16B5/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081308
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000177139
【氏名又は名称】三洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高石 幸寿
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001GA13
3J001GB07
3J001HA03
3J001HA07
3J001JD00
3J001KA19
(57)【要約】
【課題】 競技施設等において、ボールなどの衝撃から天井部に配置されたバー材、金具、器具、機材等を保護し、また物の落下を防止するための天井防護構造に関し、天井部の金具、器具等への衝撃が緩和され、構造が簡単で施工性及び拡張性にも優れた天井防護構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 天井部に横向きに並べて配置された長尺状のバー材2と、ネット材又はシート材で形成され全体が矩形状で可撓性のある防護面材4と、前記バー材2に取り付けて配置され、下部に前記防護面材4の角部を支持する支持部43が周囲に4か所設けられた支持具6と、を有し、前記支持具6を、前記防護面材4の各角部の支持が可能な位置にそれぞれ配置し、前記防護面材4の各角部を、それぞれ上方に配置された前記支持具6の支持部43に取り付け、天井部に前記防護面材4を配置した構成である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部に横向きに並べて配置された長尺状のバー材と、
ネット材又はシート材で形成され全体が矩形状で可撓性のある防護面材と、
前記バー材に取り付けて配置され、下部に前記防護面材の角部を支持する支持部が周囲に4か所設けられた支持具と、を有し、
前記支持具を、前記防護面材の各角部の支持が可能な位置にそれぞれ配置し、
前記防護面材の各角部を、それぞれ上方に配置された前記支持具の支持部に取り付け、天井部に前記防護面材を配置したことを特徴とする天井防護構造。
【請求項2】
前記支持具の下部に、矩形状の支持板部を取り付け、当該支持板部の各角部に前記支持部を設け、当該支持部と前記防護面材の角部とを接続部材で接続し、前記防護面材を支持させることを特徴とする請求項1記載の天井防護構造。
【請求項3】
前記支持具における支持板部の各角部の近傍に、前記支持部としての支持孔部を設ける一方、前記防護面材の各角部にそれぞれ保持孔部を有する保持片を取り付け、
前記接続部材として係止部材と被係止部材からなる係着部材を用い、
前記支持板部の支持孔部に前記係止部材を取り付け、前記支持孔部の下部に前記防護面材の保持片の保持孔部を配置し、当該保持孔部を介して、下から前記被係止部材を上部の前記係止部材に係着させ、前記支持具に前記防護面材を支持させたことを特徴とする請求項2記載の天井防護構造。
【請求項4】
前記支持具の上部に、前記バー材に掛止させる掛止部材を配置し、前記支持具の下部に、前記支持板部を下部側に取り付けた支持部材を配置する一方、前記掛止部材と前記支持部材との間に緩衝部を設け、
物の衝突の際の衝撃による前記支持部材の上方移動に対して、前記緩衝部を圧縮させ、その緩衝作用により前記掛止部材に対する前記衝撃を緩和することを特徴とする請求項2又は3に記載の天井防護構造。
【請求項5】
前記支持具の前記緩衝部に、ゴム等の緩衝材を配置し、前記衝撃を緩和することを特徴とする請求項4に記載の天井防護構造。
【請求項6】
前記支持具の前記緩衝部に、軸部と頭部とを有するボルト部材を配置し、当該ボルト部材の軸部を前記支持部材の上部側に設けた保持板部の挿通孔部から挿通させ、当該挿通孔部の下側に前記ボルト部材の頭部を配置し、
前記ボルト部材の上部を前記掛止部材の下部側に設けた支持片部に固定し、前記支持部材と前記掛止部材との間に前記ボルト部材の軸部が介在する空間部を設け、
物の衝突の際の衝撃により、前記支持部材が、前記挿通孔部を通じて前記ボルト部材の軸部を上方に移動する際、前記支持部材の重量により上方移動を妨げ緩衝し、その圧縮効果により前記衝撃を緩和することを特徴とする請求項4に記載の天井防護構造。
【請求項7】
前記支持片部と前記保持板部との間の空間部であって、前記ボルト部材の軸部に、コイルバネ又は中空円柱状のゴム材等の中空緩衝材を嵌めて配置し、
前記支持部材の上方移動に対して、前記中空緩衝材を圧縮させ、その緩衝作用により前記衝撃を緩和することを特徴とする請求項6に記載の天井防護構造。
【請求項8】
前記支持具の前記緩衝部に、軸部と頭部とを有するボルト部材を配置し、当該ボルト部材の軸部を前記支持部材の上部側に設けた保持板部の挿通孔部から挿通させ、当該挿通孔部の下側に前記ボルト部材の頭部を配置し、
前記掛止部材の下部側に設けた支持片部と前記保持板部との間の空間部であって、前記ボルト部材の軸部に、コイルバネ又は中空円柱状のゴム材等の中空緩衝材を嵌めて配置し、
前記ボルト部材の軸部の上部を、前記掛止部材の支持片部に設けた孔部から挿通させて上方に突出させ、当該軸部に、コイルバネ又は中空円柱状のゴム材等の第二の中空緩衝材を嵌めて配置し、当該第二の中空緩衝材の上部から突出した前記軸部の先部をナット等で止着し、
物の衝突の際の衝撃による前記支持部材の上方移動を、前記中空緩衝材により緩和するとともに、当該衝撃の反動に伴う前記支持部材の下方移動の際に、前記第二の中空緩衝材の緩衝効果により前記反動による衝撃を緩和することを特徴とする請求項4記載の天井防護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競技施設等において、ボールなどの衝撃から天井部に配置されたバー材、金具、器具、機材等を保護し、また物の落下を防止するための天井防護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体育館、スポーツ競技会場等の天井部には、ボール等からの衝撃を防止し、また天井からの物の落下防止のための方策が講じられている。
例えば、特許文献1には、防球用・防護用としての天井ネット体と、天井ネット体を吊り張りするためのネット吊張用ロープとから構成され、ネット吊り張り用ロープ又は天井ネット体の補強用ロープ部分には、これらを一体的に連結する一体的連結手段が設けられて、ネット吊張用ロープの近傍位置と天井ネット体の交差方向の両端辺の補強用ロープとをそれぞれ連結する端部連結手段を設けた、屋内空間部の天井用のネット及び吊り張り方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、既存天井裏の既存吊ボルトにジョイントナットによって連結ボルトを連結し、複数の連結ボルトのワイヤー通し金具にネット受けワイヤーを通し、ネット受けワイヤーの末端部をタンパックルによってワイヤーの張りを調整し、ネット受けワイヤーの上部に防護ネットを結束線で結び、既存天井の全体または一部を下部から覆う、天井の落下防止緊急対策防護ネット柵が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6380879号公報
【特許文献2】特許第5268169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、前記従来の天井の防護構造の場合、天井部の全体に複数のロープを張設し、これらにネットを取り付けるものである。これらロープの張設等は、力学的にも構造に注意が必要となり、また施工も大掛かりとなるという問題がある。
そのため、球技用のボール等の物の飛来による衝突により、天井部のバー材、金具、器機等の部材に衝撃を与え、これらの部材が破損する事例に対応するため、既存の天井構造の技術を発展させ、比較的構造が簡易で施工が容易な天井の防護構造を開発した。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、天井部の金具、器具等への衝撃が緩和され、また衝撃による悪影響が防止され、また構造が簡単で施工性及び拡張性にも優れた天井防護構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の技術的課題を解決するため、本発明は図1等に示すように、天井部に横向きに並べて配置された長尺状のバー材2と、ネット材又はシート材で形成され全体が矩形状で可撓性のある防護面材4と、前記バー材2に取り付けて配置され、下部に前記防護面材4の角部を支持する支持部43が周囲に4か所設けられた支持具6と、を有し、前記支持具6を、前記防護面材4の各角部の支持が可能な位置にそれぞれ配置し、前記防護面材4の各角部を、それぞれ上方に配置された前記支持具6の支持部43に取り付け、天井部に前記防護面材4を配置した構成である。
【0008】
また、本発明に係る天井防護構造は、前記支持具6の下部に、矩形状の支持板部40を取り付け、当該支持板部40の各角部に前記支持部43を設け、当該支持部43と前記防護面材4の角部とを接続部材41で接続し、前記防護面材4を支持させる構成である。
【0009】
本発明に係る天井防護構造は、前記支持具6における支持板部40の各角部の近傍に、前記支持部43としての支持孔部44を設ける一方、前記防護面材4の各角部にそれぞれ保持孔部18を有する保持片16を取り付け、前記接続部材41として係止部材62と被係止部材64からなる係着部材60を用い、前記支持板部40の支持孔部44に前記係止部材62を取り付け、前記支持孔部44の下部に前記防護面材4の保持片16の保持孔部18を配置し、当該保持孔部18を介して、下から前記被係止部材64を上部の前記係止部材62に係着させ、前記支持具6に前記防護面材4を支持させた構成である。
なお他に、前記支持板部40の支持孔部44に前記係止部材62を設け、前記支持孔部44の下部に前記防護面材4の保持片16を配置し、前記保持片16の保持孔部18に前記被係止部材64を設けて、前記係止部材62と前記被係止部材64とを係着し、前記支持具6に前記防護面材4を支持させた構成とすることもできる。
【0010】
本発明に係る天井防護構造は、前記支持具6の上部に、前記バー材2に掛止させる掛止部材20を配置し、前記支持具6の下部に、前記支持板部40を下部側に取り付けた支持部材24を配置する一方、前記掛止部材20と前記支持部材24との間に緩衝部22を設け、物の衝突の際の衝撃による前記支持部材の上方移動に対して、前記緩衝部22を圧縮させ、その緩衝作用により前記掛止部材20に対する前記衝撃を緩和する構成である。
【0011】
本発明に係る天井防護構造は、前記支持具6の前記緩衝部22に、ゴム等の緩衝材36を配置し、前記衝撃を緩和する構成である。
【0012】
本発明に係る天井防護構造は、前記支持具6の前記緩衝部22に、軸部と頭部とを有するボルト部材54を配置し、当該ボルト部材54の軸部を前記支持部材24の上部側に設けた保持板部46の挿通孔部49から挿通させ、当該挿通孔部49の下側に前記ボルト部材54の頭部を配置し、前記ボルト部材54の上部を前記掛止部材20の下部側に設けた支持片部34に固定し、前記支持部材24と前記掛止部材20との間に前記ボルト部材54の軸部が介在する空間部45を設け、物の衝突の際の衝撃により、前記支持部材24が、前記挿通孔部49を通じて前記ボルト部材54の軸部を上方に移動する際、前記支持部材24の重量により上方移動を妨げ緩衝し、その圧縮効果により前記衝撃を緩和する構成である。
【0013】
本発明に係る天井防護構造は、前記支持片部34と前記保持板部46との間の空間部45であって、前記ボルト部材54の軸部に、コイルバネ又は中空円柱状のゴム材等の中空緩衝材37を嵌めて配置し、前記支持部材24の上方移動に対して、前記中空緩衝材37を圧縮させ、その緩衝作用により前記衝撃を緩和する構成である。
【0014】
本発明に係る天井防護構造は、前記支持具6の前記緩衝部22に、軸部と頭部とを有するボルト部材54を配置し、当該ボルト部材54の軸部を前記支持部材24の上部側に設けた保持板部46の挿通孔部49から挿通させ、当該挿通孔部49の下側に前記ボルト部材54の頭部を配置し、前記掛止部材20の下部側に設けた支持片部34と前記保持板部46との間の空間部であって、前記ボルト部材54の軸部に、コイルバネ又は中空円柱状のゴム材等の中空緩衝材37を嵌めて配置し、前記ボルト部材54の軸部の上部を、前記掛止部材20の支持片部34に設けた孔部から挿通させて上方に突出させ、当該軸部に、コイルバネ又は中空円柱状のゴム材等の第二の中空緩衝材39を嵌めて配置し、当該第二の中空緩衝材39の上部から突出した前記軸部の先部をナット等で止着し、物の衝突の際の衝撃による前記支持部材24の上方移動を、前記中空緩衝材37により緩和するとともに、当該衝撃の反動に伴う前記支持部材24の下方移動の際に、前記第二の中空緩衝材39の緩衝効果により前記反動による衝撃を緩和する構成である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る天井防護構造によれば、支持具を、防護面材の各角部の支持が可能な位置にそれぞれ配置し、防護面材の各角部を、それぞれ上方に配置された支持具の支持部に取り付け、天井部に防護面材を配置した構成としたから、防護面材により天井部の上部の金具、器材等が保護でき、併せて防護面材の取り付け作業が簡易に行えて施工性にも優れるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る天井防護構造によれば、支持板部の各角部に支持部を設け、支持部と防護面材の角部とを接続部材で接続し、防護面材を支持させる構成としたから、適切且つ効果的に防度面材が配置できるという効果がある。
【0017】
本発明に係る天井防護構造によれば、支持板部の支持孔部に係止部材を配置し、保持片の保持孔部に被係止部材を配置して、係止部材と被係止部材とを係着し、支持具に防護面材を支持させる構成としたから、防護面材の取り付け作業が迅速に行えて作業効率が良いという効果がある。
【0018】
本発明に係る天井防護構造によれば、支持板部の支持孔部に係止部材を取り付け、保持片の保持孔部を介して、下から被係止部材を上部の係止部材に係着させ、支持具に防護面材を支持させた構成としたから、防護面材の取り付け作業が効果的且つ迅速に行えて作業効率が良いという効果がある。
【0019】
本発明に係る天井防護構造によれば、掛止部材と支持部材との間に緩衝部を設ける構成を採用したから、支持部材及び防護面材に加わる下からのボール等の物の衝突による衝撃が良好に緩和され、支持具、防護面材等への衝撃等による悪影響が防止されるという効果がある。
【0020】
本発明に係る天井防護構造によれば、支持具の緩衝部に、ゴム等の緩衝材を配置したから、その緩衝作用により、物の衝突による衝撃等による悪影響が防止されるという効果がある。
【0021】
本発明に係る天井防護構造によれば、支持具の緩衝部に、軸部と頭部とを有するボルト部材を配置し、物の衝突の際の衝撃によりボルト部材の軸部を上方に移動する際、支持部材の重量に係る緩衝作用による圧縮効果により、前記衝撃を緩和する構成としたから、簡易な構成で衝撃の緩和が行えるという効果がある。
【0022】
本発明に係る天井防護構造によれば、支持片部と保持板部との間に中空緩衝材を嵌めて配置し、中空緩衝材の緩衝作用により衝撃を緩和する構成としたから、衝撃緩和の機能が安定して発揮されるという効果がある。
【0023】
本発明に係る天井防護構造によれば、掛止部材の下部側に設けた支持片部と保持板部との間の空間部であって、ボルト部材の軸部に中空緩衝材を嵌めて配置し、掛止部材の支持片部に設けた孔部から挿通させて上方に突出させた軸部に、第二の中空緩衝材を嵌めて配置し、物の衝突の際の衝撃を中空緩衝材により緩和するとともに、当該衝撃の反動に伴う支持部材の下方移動の際に、第二の中空緩衝材の緩衝効果により前記反動による衝撃を緩和する構成としたから、衝撃による支持部材の上下両移動を緩衝し、衝撃を和らげ、加えて、上方からの物の落下の際に、第二の中空緩衝材の緩衝作用により衝撃を緩和するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態に係る天井防護構造を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係り、支持具の緩衝部に緩衝材としてゴムを用いた例を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係り、支持具の緩衝部に連結材としてボルト部材を用いた例を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係り、支持具の緩衝部にボルト部材、及び中空緩衝材としてコイルバネを用いた例を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係り、支持具の緩衝部にボルト部材を用い、さらに緩衝部の上部にゴム等の第二の中空緩衝材を配置した例を示す斜視図である。
図6】実施の形態に係り、支持具の緩衝部に中空緩衝材を配置し、さらに緩衝部の上部にゴム等の第二の中空緩衝材を配置した例を示す斜視図である。
図7】実施の形態に係り、支持具と防護面材との接続に用いられる係着部材を示す図である。
図8】天井部に配設されるバー材を支持するハンガーを示す図である。
図9】係着部材を用いて支持具に防護面材を取り付ける形態を示す分解斜視図である。
図10】部屋の壁際に防護面材を取り付ける形態を示す斜視図である。
図11】実施の形態に係る天井防護構造を下から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態に係る天井防護構造を示したものである。
この天井防護構造は、主に体育館、スポーツ競技会場、ホール等で用いられ、下からのボール等の飛来、衝突による天井部の器具等への衝撃を緩和し、また天井部の上からの落下を防止する。
【0026】
この天井防護構造は、横向きに配置される長尺状のバー材2、全体が可撓性を有する防護面材4、及び防護面材4を支持する支持具6等を有する。
バー材2としては、長尺状の材料を用いる。このバー材2は、天井躯体部から吊り下げられた長尺状の吊りボルト10及び、この吊りボルト10の下部に取り付けられるハンガー12により支持される。バー材2としては、例えば、断面ロの字状(角パイプ)、断面Cの字状、或いはコの字状の各鋼材等を用いる。
ここでは、バー材2として平面部、左右の側面部及び底面部からなる断面長方形状の鋼材を使用する。
【0027】
防護面材4は、ネット(網)材、布材、シート材又はボード材等からなるが、軽量性のもの、又は柔軟性、可撓性のあるものであれば特に限定されない。ネット材として、網を形成するのは、糸材(化繊、木綿)或いは鋼材(撚線、チェーン)等からなるもの、布材としては、化繊或いは木綿からなるもの、シート材としては合成樹脂製、ゴム製のもの等、ボード材であればグラスウールボード材等を用いることができる。
【0028】
防護面材4は、全体が正方形或いは長方形状であり、辺の長さは何れも500mm~1500mm程度である。防護面材4は、天井部に縦横に複数枚並べ、碁盤の目状に配置する。
また、防護面材4の4角部には、この部位を支持するため三角形状(直角三角形)の保持片16を取り付ける。この保持片16は、合成樹脂製のシート等の面材であり、この保持片16の中央部には保持孔部18が設けられている。
【0029】
ここでは、防護面材4のネット材として、化繊の糸材を縦横網目状(メッシュ)に編んだものを用いる。このネット材は、例えば、全体が正方形状(900×900mm)であり、また網目の目のサイズとして縦横それぞれ50mm~150mm程度のものを使用する。
【0030】
館内の競技で用いられるボールが、テニスボール等の場合はネット材の網目サイズは50mmのもの、同ボールがバレーボール或いはバスケットボールの場合には網目のサイズは150mmのもの等、網目のサイズは適宜に決めればよい。
ネット材として、上記サイズの網目の場合、ボールの通過を阻止でき、併せて既存天井部の照明の明かりを遮ることもなく、また上部の天井躯体を隠して遮蔽することができる。
【0031】
図2は、支持具6の一例を示したものである。この支持具6は、上部にバー材2に掛止させて固定する掛止部材20、中間部に衝撃を和らげる緩衝部22、及び下部に防護面材4を支持する支持部材24を有する。これら掛止部材20、緩衝部22、及び防護面材4は、緩衝部22を介した連結手段により、互いに接続され一体化されている。
【0032】
掛止部材20は、鋼材等からなり、側板部30の上部から横に屈曲された掛止片32、及び側板部30の下部から段部31を設けて横に屈曲された支持片部34を有する。
掛止部材20では、掛止片32、側板部30及び段部31から形成された断面コの字状の収納部位33が形成され、この収納部位33にバー材2が正確に収まるようにしている。掛止片32は、左右にそれぞれ小片が形成され、これら小片は屈曲可能である。また、支持片部34の中央には、円形の孔部35が設けられている。
【0033】
緩衝部22は、掛止部材20と支持部材24との間に設けられ、支持部材24からの衝撃を緩和する機構である。この緩衝部22は、支持部材24に直接加わり或いは防護面材4に加わる下からのボール等の飛来、衝突による衝撃を和らげる。この衝撃では、支持部材24が上方に移動し緩衝部22を圧縮させるが、この際、緩衝部22の緩衝効果により、支持部材24の上方移動を和らげ緩衝させる。そして、支持部材24の上方移動に対して、緩衝部22の上方でバー材2に固定されている掛止部材20に与える衝撃を緩和し、また掛止部材20による反動の作用により、緩衝部22を介して支持部材24の上下移動が可能となる。
【0034】
緩衝部22における下からの衝撃を緩和する機構としては、掛止部材20と支持部材24との間にゴム等の緩衝材36を配置し弾性効果を利用する形態がある。また同機構として、掛止部材20と支持部材24とをボルト部材54等の連結材38で連結し、支持部材24等の自身の重量により、衝撃による支持部材24の上方移動を緩和する等の緩衝効果を利用する形態等がある。
緩衝材36としては、ゴム材、合成樹脂材、或いはバネ材(コイルバネ)等が用いられる。連結材38としては、ボルト部材(ボルトナット)、紐、針金等がある。
【0035】
支持部材24は鋼材等からなり、矩形状(四角形状)の板材からなる支持板部40、及び支持板部40の中央部に取り付けられた連結部42が一体形成されている。支持板部40は、4か所の角部の近傍にはそれぞれ支持部43が形成されている。支持部43は、防護面材4の角部を支持するために設けたものである。
ここでは、支持板部40の支持部43として、支持孔部44を設けている。支持孔部44には、例えば係着部材60を取り付けてこれで防護面材4の角部を支持する。なお、他に支持部43として鉤片を設け、この鉤片に取り付けた紐などの線材で防護面材4の角部を支持させる方法もある。
【0036】
連結部42は、保持板部46、側板48、及び下板50からなる断面コの字状であり、保持板部46の中央には孔部47(又はボルト部材54の挿通用の挿通孔部49)が設けられている。支持板部40と連結部42の下板50とは、溶着、或いはボルトナット等により接合される。
【0037】
図2に示す例は、緩衝部22の機構として緩衝材36を用いたものである。緩衝材36として、ここでは横断面が円形状のゴム材を用いている。この緩衝材36は、胴部52の上下部に、それぞれ首部を介して、この首部に近い部位(根元)が拡径された形状の拡径部53,53が形成されている。
【0038】
上側の拡径部53は、これを掛止部材20の支持片部34に設けた孔部35に弾性を利用して嵌め、その首部を前記孔部35に係止させる。下側の拡径部53についても、同様にして連結部42の保持板部46に設けた孔部47に係止させる。各拡径部53,53は根元が拡径された形状により、脱着が防止される。
【0039】
なお、支持片部34及び保持板部46の各孔部35,47に向けて、それぞれ拡径部53,53の首部が通過可能な切り込み(スリット)を設け、この切り込みを通過させて拡径部53,53の首部をそれぞれ孔部35,47に係止させるようにしてもよい。
【0040】
図3は、緩衝部22の機構として連結材38を用いたものであり、ここでは連結材38としてボルト部材54を用いている。このボルト部材54は、頭部55と軸部56からなり、頭部55を下側に配置して、軸部56の螺子溝が刻設された部位には一対のナット57,57を取り付けた形態である。
そして、支持部材24の保持板部46に挿通孔部49を設け、この挿通孔部49に、下からボルト部材54の軸部56を差し込み、頭部55を挿通孔部49の下部に配置する。なお、保持板部46の挿通孔部49の大きさは、ボルト部材54の軸部56が余裕をもって挿通容易に移動できるよう、大きめに設定する。
【0041】
さらに、軸部56にナット57を取り付け、この軸部56の先を、掛止部材20の支持片部34に設けた孔部35を通過させ、軸部56の上から他のナット57を螺設する。そして、支持片部34の孔部35の上部と下部とを両ナット57,57で締め付けてボルト部材54の上部を支持片部34に固定する。これにより支持部材24は、保持板部46の挿通孔部49を通じて、この挿通孔部49と共に、ボルト部材54の軸部56を上下に移動可能である。
【0042】
そして、支持片部34と保持板部46との間には、ボルト部材54の軸部56が介在する空間部45を設け、支持部材24或いは防護面材4に加わる下からの物(ボール等)の衝突による突き上げ力等の衝撃により、支持部材24の上下移動を可能に構成する。
このため、支持片部34に対するボルト部材54の軸部56の固定位置は、支持片部34と保持板部46との間に、保持板部46が十分に上下移動できる間隔を確保可能な位置とする。通常、この間隔は数cm程度とする。
【0043】
一方、保持板部46の上下移動に伴い、ボルト部材54の頭部55についても支持部材24の連結部42内を上下に移動する。連結部42は、保持板部46、側板48、及び下板50からなる断面コの字状であり、この側板48の上下幅が、ボルト部材54の頭部55が移動可能な間隔である。
通常、前記保持板部46が上下移動可能な間隔と、前記ボルト部材54の頭部55が移動可能な間隔とは、同程度とする。
【0044】
緩衝部22の機構に、連結材38としてボルト部材54を用いる形態では、支持部材24を自在に上下移動可能に構成する。そして、支持部材24或いは防護面材4に加わる下からのボール等の飛来による衝突等の突き上げ力に対して、支持部材24及び防護面材4が上方に移動するが、この際、支持部材24等の自身及び防護面材4の重量等により、支持部材24の上方移動が緩和され、その際、緩衝効果を発揮し前記衝突に対する衝撃を緩和する。
【0045】
図4は、前記連結材38としてボルト部材54を用いた機構に、さらに中空緩衝材37を加えた形態である。ここでは、中空緩衝材37としてコイルバネ58を用い、支持片部34と保持板部46との間の空間部45にコイルバネ58を配置する。
そして、ボルト部材54の軸部56を、支持部材24の保持板部46の挿通孔部49に差し込んだ後、この軸部56にコイルバネ58を嵌め、軸部56の上部を一対のナット57,57を用いて掛止部材20の支持片部34に固定する。
【0046】
この場合、支持部材24及び防護面材4に加わるボール等の衝撃に係る突き上げ力に対して支持部材24が上方に移動するが、この際、コイルバネ58の弾性効果により、支持部材24の上方移動を和らげ、衝撃を緩和する。
なお、この場合、中空緩衝材37として、コイルバネ58に替えて、中空円柱状のゴム材、合成樹脂材等を配置し、これを弾性変形させ、コイルバネ58と同様の弾性効果を得るようにしても良い。
【0047】
図5に記載の支持具6は、先の図3に記載の支持具6に、中空円柱状のゴム材51(又はコイルバネ)等からなる第二の中空緩衝材39を設けた形態である。この第二の中空緩衝材39は、掛止部材20の支持片部34の上部に配置する。この場合、掛止部材20の支持片部34の孔部35から上方に突出するボルト部材54の軸部56に、第二の中空緩衝材39を嵌めて配置する。そして、第二の中空緩衝材39の上部から突出したボルト部材54の軸部56の先部をナット57等の固定具で止着する。
【0048】
なお、ここでは連結部42の保持板部46に替えて、支持部材24の支持板部40に孔部を設けてボルト部材54の軸部56を挿通させた形態としている。支持部材24の支持板部40は連結部42の保持板部46と同様な機能を有するため、ここでは連結部42を設けないで支持板部40にその機能を持たせた。もちろん、連結部42を緩衝部22の下側に設け、その保持板部46の挿通孔部49にボルト部材54の軸部56に挿通させた構成としても良い。他の支持具6の連結部42についても同様である。
【0049】
この支持具6は、支持部材24或いは防護面材4に加わる下からのボール等の飛来による衝突等の突き上げ力に対して、支持部材24等の自身及び防護面材4の重量等により、支持部材24の上方移動が緩和され衝撃を緩和する。さらに、支持部材24の突き上げによる上方移動の反動及び支持部材24の自重等により支持部材24が下方移動しようとするが、この際、第二の中空緩衝材39の緩衝効果により反動による衝撃を緩和する。このため、この支持具6によれば、衝撃による支持部材24の上下両移動を緩衝し、衝撃を和らげる。
また、上方からの物の落下の際には、第二の中空緩衝材39の緩衝作用により、支持具6或いは防護面材4に加わる衝撃を緩和する。
【0050】
図6は、先の図4に記載の支持具6に記載の中空緩衝材37を中空円柱状のゴム材59に替え、さらに掛止部材20の支持片部34の上部に第二の中空緩衝材39として、ゴム材51を設けたものである。この場合も、掛止部材20の支持片部34の孔部35から上方に突出するボルト部材54の軸部56に、第二の中空緩衝材39を嵌めて配置し、第二の中空緩衝材39の上部から突出したボルト部材54の軸部56の先部をナット57等で止着する。
【0051】
そして、支持部材24或いは防護面材4に加わる下からのボール等の飛来による衝突等の突き上げ力に対して、支持部材24が上方移動するが、ゴム材59の弾性効果により支持部材24の衝撃が緩和され、さらに支持部材24の突き上げによる反動等により、支持部材24が下方移動しようとするが、この際、第二の中空緩衝材39としてゴム材51の緩衝効果により反動による衝撃を緩和し、衝撃による支持部材24の上下両移動を緩衝し、衝撃を緩和する。
この場合も、上方からの物の落下の際には、第二の中空緩衝材39の緩衝作用により、支持具6或いは防護面材4に加わる衝撃を緩和する。
【0052】
次に、防護面材4を支持具6に取り付ける形態について説明する。防護面材4を支持具6に取り付ける場合、支持具6の支持板部40に設けた支持部43を利用し、この支持部43と防護面材4の角部とを接続部材41を用いて取り付ける。
この接続部材41としては、スナップボタン等の係着部材60、ボルトナット、ビス(タッピングビス等)、或いは紐、針金等の留め具が用いられる。ここでは、例えば係着部材60を用いて、防護面材4を支持板部40に設けた支持孔部44に取り付ける。
【0053】
図7に示すように、係着部材60は、係止部材62及びこれと係着可能な被係止部材64からなる。係止部材62は、頭部66とこの頭部66と固着可能な係止型部68からなり、頭部66の中央には係止凸部70が形成されている。係止型部68には、先部が拡径された円筒状の係止部72が形成され、中央部には、頭部66の係止凸部70が突入可能な嵌合孔部74が形成されている。
【0054】
被係止部材64は、円板状のキャップ部78とこのキャップ部78と固着可能な被係止型部80からなる。キャップ部78には、中央に係止凸部82が形成され、被係止型部80には、円筒状の被係止部84が形成されている。この被係止部84の先部は、内側に向けて膨出した形状であり、この部位が、係止部材62における係止型部68の係止部72と係着する。また、被係止型部80の中央部には、キャップ部78の係止凸部82が突入可能な嵌合孔部86が形成されている。
【0055】
ここでは、係着部材60の被係止部材64は、キャップ部78と被係止型部80とを接続して一体化している。この場合、キャップ部78の係止凸部82を被係止型部80の篏合孔部86に突入させ、押圧により係止凸部82の先部を潰して両者を接合し、キャップ部78と被係止型部80とを一体化している。
【0056】
係着部材60において、係止部材62の係止部72は、押圧力により被係止部材64の穴状の被係止部84に嵌め込むことで両者が係止し、係着状態が維持される。
この際、係止部材62と被係止部材64との間に防護面材4の保持片16(保持孔部18)を介在させ、両者の係着によりこれを保持固定する。係着部材60を用いると、係着作業のみで防護面材4の取り付けが簡単に行え、作業効率が改善される。
なお、ここで説明した係着部材60の形態は、被係止部材64については、キャップ部78と被係止型部80とを接続して一体化したものである。
【0057】
他に、被係着部材64のキャップ部78と被係止型部80との間に、防護面材4に係る保持片16の保持孔部18を介在させ、被係着部材64に保持片16を取り付けた状態で使用する形態も可能である。この場合、支持具6の支持板部40に取り付けられた係止部材62と、防護面材4の保持片16に取り付けられた被係止部材64とを係着する。このため、単に係止部材62の係止部72を、押圧力により被係止部材64の穴状の被係止部84に嵌め込み両者を係止させることで、係着状態が維持される。
【0058】
次に、天井防護構造に係る天井の下地構造及びその施工方法について説明する。
この天井防護構造は、建物の既存天井に配設されるものであり、建物としては、体育館、スポーツ施設、公共施設等がある。これら建物で、主に天井ボードが取り付けられていない天井に適用する。これら天井では、天井躯体に配線、配管等が施され、各種金具、或いは天井の照明器具、空調器具等が取り付けられている。このため、この天井防護構造により、前記照明器具等を下からのボール等の衝撃から保護し、併せて上からの部材の落下等についてこれを防止する。
【0059】
施工に際しては、建物の天井部に下地材として、例えば天井躯体から吊り下げた吊りボルト10、及びハンガー12等の鋼材を用いる。吊りボルト10は、断面円形の棒材であり下部近傍は螺子溝が刻設されている。バー材2は、複数のハンガー12間に架設し、各バー材2同士は互いに平行に配置する。
ここでは、例えば、防護面材4は一辺が900mm程度の正方形状の網材(メッシュ材)を使用する。防護面材4の4角部には、それぞれ保持片16を取り付ける。
【0060】
バー材2を架設するハンガー12同士の間隔は、例えば1800mmとする。また、バー材2同士の間隔は、防護面材4のサイズに合わせて900mmとしている。そして、バー材2には900mmの間隔をおいて支持具6を取り付ける。これにより、防護面材4と同様の900mm四方の正方形の角部に支持具6が配置されることになり、各支持具6で防護面材4を支持する。なお、防護面材4同士の間には、少し間隔(網目より狭い)を設けても良い。
【0061】
図8に示すように、ハンガー12は、中央の縦板部93、この上部に横に屈曲された平坦な固定部94、縦板部93の下寄りの箇所から横向きに形成された横板97、さらに下方に屈曲された保持板95を有する。固定部94には、固定部94の先端方向に長い長円、或いは楕円状のルーズ孔96が設けられている。
【0062】
また、縦板部93の下部近傍及び保持板95の中央部には、ボルト98(又は螺子)を取り付けるための孔部(螺子孔)100,101が設けられている。縦板部93の下部及び保持板95間には、バー材2の保持部91が形成される。
なお、他の形態のハンガーとして、断面U字状の受け部が設けられ、この受け部にバー材2を保持し支持させるもの等があり、同様に利用が可能である。
【0063】
そして、吊りボルト10の螺子溝が形成された部位に、ハンガー12の固定部94に設けたルーズ孔96を嵌め、上下の部位をナットで固定する。ルーズ孔96により、ハンガー12の位置を多少移動できる。
吊りボルト10は、バー材2がバランスよく水平に支持されるよう、バー材2を2か所以上で支持できる位置に配置する。
【0064】
また、吊りボルト10の長さは、天井部に配置された照明器具等の器具、金具等の下方に、少し余裕をもって防護面材4が配置できる程度とする。
バー材2は、ハンガー12の保持部91に嵌めて配置し、孔部100,101からボルト98等を挿通させて固定する。これにより、バー材2がハンガー12に確実に固定され、支持具6を安全に支持する。
【0065】
バー材2同士は、一定間隔(900mm)で互いに平行に配置し、またバー材2には一定間隔(900mm)で支持具6を取り付ける。
支持具6をバー材2に取り付ける場合、バー材2を掛止部材20の収納部位33に収納し、掛止部材20の掛止片32によってバー材2を把持する。つまり、バー材2の一方の側面部に掛止部材20の側板部30を当て、掛止片32をバー材2の平面部に配置し、そのまま掛止片32の先部をバー材2の他方の側面部に接する状態に折り曲げる。
【0066】
これにより、バー材2は掛止部材20の収納部位33に配置され、バー材2の平面部、一方の側面部及び底面部が保持され、バー材2の他方の側面部が折り曲げた掛止片32により把持され拘束される。
他の支持具6も同様にしてバー材2に取り付け、各支持具6同士は、900mm四方のます形の各角部に配置される形態に配置する。
【0067】
次に、防護面材4を支持具6の下部に配置する。防護面材4には、その四隅に予め保持片16を取り付けておく。防護面材4は、この保持片16の保持孔部18、及び支持具6の支持板部40の支持孔部44を利用して取り付け、ここでは係着部材60を利用して防護面材4を支持具6に取り付ける。
【0068】
なお、係着部材60の利用に際しては、予め、係着部材60の係止部材62を、支持具6の支持板部40の支持孔部44に取り付けておく。この場合、係止部材62の頭部66を支持孔部44の上部から差し込み、支持孔部44の下から係止型部68を配置する。そして、頭部66の係止凸部70を、支持孔部44を通過させて係止型部68の篏合孔部74に突入させ、係止凸部70の先部を押圧により潰して両者を接合する。これにより、支持板部40を間に介在させた状態で、支持板部40の支持孔部44に係止部材62を取り付ける。
【0069】
さて、図9に示すように、防護面材4の取り付けに際しては、支持具6の支持板部40に取り付けた係止部材62に、防護面材4の保持片16を間に挟んで被係止部材64を係着させる。この場合、被係止部材64の被係止部84を、保持片16の保持孔部18から通過させ、これを上部の係止部材62の係止部72に係着させる。そして、防護面材4の各角部の保持片16を各支持具6の支持板部40に取り付ける。他の防護面材4についても、同様にして支持具6に取り付ける。
【0070】
なお、例えば係着部材60に替えてビス(タッピングビス等)を用いた場合についても、同様に、防護面材4の保持片16の保持孔部18の下からビスを差し込み、これを支持具6の支持板部40に設けた支持孔部44に捩じ込むことで、防護面材4を止着させることができる。タッピングビスを用いた場合には、セルフタッピングのため、敢えて支持孔部44のねじ切りは不要である。また、防護面材4を係着部材60で止着する場合に、その一部をビスで止着してもよい。
【0071】
建物の壁部103等に防護面材4を取り付ける場合、図10に示すように、支持具6に替えてL型の壁用支持具104を使用する。この壁用支持具104は、矩形状の鋼片を屈曲成形したものであり、平坦な固定片106と支持板片108を有する。固定片106には固定孔部110が設けられ、支持板片108には左右の角部近傍に支持孔部112が設けられている。
【0072】
また、壁際では防護面材4が寸法的にそのままでは使えないことがあり、この場合には、防護面材4の一部を削除したものを用いる。この一部を削除した防護面材4についても、各角部には保持片16を取り付けておく。
壁用支持具104に防護面材4を取り付ける際にも、接続部材41として係着部材60を使用する。
【0073】
この場合も、予め係着部材60の係止部材62を、壁用支持具104の支持板片108の支持孔部112に取り付けておく。この係止部材62の取り付けは、支持具6に取り付ける場合と同様である。
壁用支持具104は、それぞれ近傍の支持具6から壁部103方向に延長した位置に配置する。壁用支持具104の固定片106は、螺子111等を固定孔部110から螺設して壁部103に固定する。
【0074】
防護面材4は、係着部材60を用い、一方の両保持片16をそれぞれ支持具6に取り付け、他方の壁部103側の両保持片16をそれぞれ壁用支持具104に取り付ける。この場合、壁用支持具104の支持孔部112に取り付けた係止部材62の下方に保持片16を配置し、保持片16の保持孔部18に下部から被係止部材64の被係止部84を通過させ、上部の係止部材62に係止させ係着する。
【0075】
図11に示すように、防護面材4は、天井部の全体にわたって縦横に並べ、碁盤の目状に取り付ける。なお、隣接する防護面材4同士の間は、ここでは少し隙間を設けているが、隙間は設けなくても良い。
防護面材4の配置により、競技用のボール等の飛来を防護面材4が阻止し、上方の天井躯体近くに配置された、金具、照明器具等の器具、器機に対する破損等の悪影響が防止され、併せて上部からの落下物の落下が防止される。
【0076】
従って、上記実施の形態に係る天井防護構造によれば、競技用のボール等の物の飛来、衝突などによる衝撃を緩和し、既存の天井部に配置されたバー材、金具、照明器具等の器材を保護し、それらの破損を防止することができる。また、この天井防護構造は、支持具の支持部材或いは防護面材に対して、物の衝突の際の衝撃を緩和する措置により、支持部材等が保護され、加えて防護構造が簡単であるため施工が容易かつ迅速に行えて施工性にも優れ、併せて天井の美観にも有効である。
【符号の説明】
【0077】
2 バー材
4 防護面材
6 支持具
16 保持片
18 保持孔部
20 掛止部材
22 緩衝部
24 支持部材
34 支持片部
35 孔部
36 緩衝材
37 中空緩衝材
39 第二の中空緩衝材
40 支持板部
41 接続部材
42 連結部
43 支持部
44,112 支持孔部
46 保持板部
49 挿通孔部
54 ボルト部材
60 係着部材
62 係止部材
64 被係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11