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特開2023-169968洗濯機用の搬入搬出装置、洗濯機の搬入方法、および洗濯機の搬出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169968
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】洗濯機用の搬入搬出装置、洗濯機の搬入方法、および洗濯機の搬出方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/12 20060101AFI20231124BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20231124BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
D06F39/12 Z
B62B3/00 D
B62B5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081346
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】592139887
【氏名又は名称】株式会社テクノテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朝賀 隆
【テーマコード(参考)】
3B165
3D050
【Fターム(参考)】
3B165AA38
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA87
3B165BA88
3B165CA22
3D050AA13
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK08
(57)【要約】
【課題】洗濯機の脚部を載せる台座を備える防水パンに対して、洗濯機を簡単に搬入したり、簡単に搬出したりできる洗濯機用の搬入搬出装置、洗濯機の搬入方法、および洗濯機の搬出方法を提供する。
【解決手段】洗濯機用の搬入搬出装置10は、洗濯機を載せる荷台21と、荷台の下面側に取り付けられたキャスター22とを有する台車20と、洗濯機の後方脚部111および前方脚部112を滑らせて洗濯機を移動可能なスロープ板30と、を有する。スロープ板は、上面30aが荷台の上面21aと面一となる状態に荷台に取り付け可能に構成されている。スロープ板は、荷台から前方台座132の上を越えて後方台座131に向けて延伸し、スロープ板の先端が、後方台座の上面131aに後方脚部を載せるスペースを露出させた状態において後方台座の上面に載置可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の後方脚部を載せる後方台座および前記洗濯機の前方脚部を載せる前方台座を備える防水パンに対して、前記洗濯機を搬入したり、搬出したりするために使用する洗濯機用の搬入搬出装置であって、
前記洗濯機を載せる荷台と、前記荷台の下面側に取り付けられたキャスターとを有する台車と、
前記洗濯機の前記後方脚部および前記前方脚部を滑らせて前記洗濯機を移動可能なスロープ板と、を有し、
前記スロープ板は、上面が前記荷台の上面と面一となる状態に前記荷台に取り付け可能に構成され、
前記スロープ板は、前記荷台から前記前方台座の上を越えて前記後方台座に向けて延伸し、前記スロープ板の先端が、前記後方台座の上面に前記後方脚部を載せるスペースを露出させた状態において前記後方台座の上面に載置可能に構成されている、洗濯機用の搬入搬出装置。
【請求項2】
前記スロープ板は、
前記洗濯機を正面側から見て右側に位置する右側の前記後方脚部および右側の前記前方脚部を滑らせる第1板部と、
前記洗濯機を正面側から見て左側に位置する左側の前記後方脚部および左側の前記前方脚部を滑らせる第2板部と、を有する、請求項1に記載の洗濯機用の搬入搬出装置。
【請求項3】
前記スロープ板は、前記洗濯機の前記後方脚部および前記前方脚部の脱落を防止する壁部材を有する、請求項1に記載の洗濯機用の搬入搬出装置。
【請求項4】
前記荷台の上面および前記スロープ板の上面は、低摩擦材料から構成されている、請求項1に記載の洗濯機用の搬入搬出装置。
【請求項5】
前記スロープ板は、前記荷台に対して着脱自在な係止部を有する、請求項1に記載の洗濯機用の搬入搬出装置。
【請求項6】
洗濯機の後方脚部を載せる後方台座および前記洗濯機の前方脚部を載せる前方台座を備える防水パンに、前記洗濯機を搬入する方法であって、
前記洗濯機を載せる荷台と、前記荷台の下面側に取り付けられたキャスターとを有する台車を、前記防水パンの前方に移動し、
スロープ板を、上面が前記荷台の上面と面一となる状態において前記荷台から前記前方台座の上を越えて前記後方台座に向けて延伸させ、前記スロープ板の先端を、前記後方台座の上面に前記後方脚部を載せるスペースを露出させた状態において前記後方台座の上面に載置し、
前記荷台の上面に載せられた前記洗濯機を前記スロープ板に向けて押し出し、
前記洗濯機の前記後方脚部および前記前方脚部を前記スロープ板の上面を滑らせて前記洗濯機を後方に向けて移動し、
前記洗濯機の前記後方脚部を前記スロープ板の先端から前記後方台座の上面に載せた後に、前記後方脚部を支点にして前記洗濯機を後方側に傾けて、前記洗濯機の前記前方脚部を前記スロープ板の上面から離間させ、
前記スロープ板を前記後方台座および前記前方台座の上から取り除き、後方側に傾けた前記洗濯機を前方側へ戻して、前記洗濯機の前記前方脚部を前記前方台座の上面に載せてなる、洗濯機の搬入方法。
【請求項7】
洗濯機の後方脚部を載せる後方台座および前記洗濯機の前方脚部を載せる前方台座を備える防水パンから、前記洗濯機を搬出する方法であって、
前記洗濯機を載せる荷台と、前記荷台の下面側に取り付けられたキャスターとを有する台車を、前記防水パンの前方に移動し、
前記後方脚部を支点にして前記洗濯機を後方側に傾けて、前記洗濯機の前記前方脚部を前記前方台座の上面から離間させ、
スロープ板を、上面が前記荷台の上面と面一となる状態において前記荷台から前記前方台座の上を越えて前記後方台座に向けて延伸させ、前記スロープ板の先端を、前記後方脚部が載っている前記後方台座の上面に載置し、
後方側に傾けた前記洗濯機を前方側へ戻して、前記洗濯機の前記前方脚部を前記スロープ板の上面に載せ、
前記洗濯機の前記後方脚部および前記前方脚部を前記スロープ板の上面を滑らせて前記洗濯機を前方に向けて移動し、
前記洗濯機を前記スロープ板から引き出して前記荷台の上面に載せ、
前記スロープ板を前記後方台座および前記前方台座の上から取り除いてなる、洗濯機の搬出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機用の搬入搬出装置、洗濯機の搬入方法、および洗濯機の搬出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、集合住宅等は、洗濯機を設置する場所に防水パンが設置されている。防水パンは、例えば、幅が640mm、奥行が640mmの矩形形状を有する。防水パンは、洗濯機をかさ上げして設置する台座を有する。台座の高さは、例えば、120mmである。洗濯機は、後方脚部および前方脚部を有する。台座は、洗濯機の後方脚部を載せる後方台座と、洗濯機の前方脚部を載せる前方台座とを有する。
【0003】
近年の洗濯機は、縦型からドラム型へと変化し、洗濯容量も増加している。このため、洗濯機は、重量が増加している。
【0004】
集合住宅等に洗濯機を搬入する場合、一般的には、次のような手順が取られる。まず、梱包した洗濯機を台車20に載せ、玄関まで持ち込む。室内の床、廊下、壁等を樹脂ボードやシート等を用いて養生する。洗濯機を開梱し、台車20に載せて移動したり、養生ごと滑らせたりして、防水パンまで運ぶ。ここからは主に人力で洗濯機を持ち上げ、洗濯機の後方脚部を後方台座に載せ、洗濯機の前方脚部を前方台座に載せる。集合住宅等における間取りの制限等のため、一般的に、防水パンの左右壁と洗濯機との間の隙間は狭く。防水パンの前方の作業スペースも十分な広さは確保されていない。このため、作業者は、壁等に傷をつけないように慎重な作業が求められ、かつ、人力で洗濯機を持ち上げるという身体的に高負荷な作業が強いられている。
【0005】
従来、洗濯機の搬入作業の容易化を図るために、洗濯機を載せた台車のキャスターを防水パンの台座上に案内して載置するようにした案内路が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-100085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術は、台車のキャスターを防水パンの台座上に直接載置している。洗濯機は、使用に伴う振動が比較的大きい。このため、キャスターを回転不能に固定したとしても、洗濯機の振動に伴うキャスターの動きを十分に止めることはできない。洗濯機は、振動対策のために、脚部を防水パンの台座上に直接載置することが好ましい。
【0008】
そこで、本発明の目的は、洗濯機の脚部を載せる台座を備える防水パンに対して、洗濯機を簡単に搬入したり、簡単に搬出したりできる洗濯機用の搬入搬出装置を提供することを目的とする。さらに、洗濯機の脚部を載せる台座を備える防水パンに洗濯機を簡単に搬入する方法、および防水パンから洗濯機を簡単に搬出する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の洗濯機用の搬入搬出装置は、洗濯機の後方脚部を載せる後方台座および前記洗濯機の前方脚部を載せる前方台座を備える防水パンに対して、前記洗濯機を搬入したり、搬出したりするために使用する。洗濯機用の搬入搬出装置は、前記洗濯機を載せる荷台と、前記荷台の下面側に取り付けられたキャスターとを有する台車と、前記洗濯機の前記後方脚部および前記前方脚部を滑らせて前記洗濯機を移動可能なスロープ板と、を有する。前記スロープ板は、上面が前記荷台の上面と面一となる状態に前記荷台に取り付け可能に構成されている。前記スロープ板は、前記荷台から前記前方台座の上を越えて前記後方台座に向けて延伸し、前記スロープ板の先端が、前記後方台座の上面に前記後方脚部を載せるスペースを露出させた状態において前記後方台座の上面に載置可能に構成されている。
【0010】
また、本発明の洗濯機の搬入方法は、洗濯機の後方脚部を載せる後方台座および前記洗濯機の前方脚部を載せる前方台座を備える防水パンに、前記洗濯機を搬入する方法である。この方法では、まず、前記洗濯機を載せる荷台と、前記荷台の下面側に取り付けられたキャスターとを有する台車を、前記防水パンの前方に移動する。次に、スロープ板を、上面が前記荷台の上面と面一となる状態において前記荷台から前記前方台座の上を越えて前記後方台座に向けて延伸させ、前記スロープ板の先端を、前記後方台座の上面に前記後方脚部を載せるスペースを露出させた状態において前記後方台座の上面に載置する。次に、前記荷台の上面に載せられた前記洗濯機を前記スロープ板に向けて押し出す。次に、前記洗濯機の前記後方脚部および前記前方脚部を前記スロープ板の上面を滑らせて前記洗濯機を後方に向けて移動する。次に、前記洗濯機の前記後方脚部を前記スロープ板の先端から前記後方台座の上面に載せた後に、前記後方脚部を支点にして前記洗濯機を後方側に傾けて、前記洗濯機の前記前方脚部を前記スロープ板の上面から離間させる。そして、前記スロープ板を前記後方台座および前記前方台座の上から取り除き、後方側に傾けた前記洗濯機を前方側へ戻して、前記洗濯機の前記前方脚部を前記前方台座の上面に載せる。
【0011】
また、本発明の洗濯機の搬出方法は、洗濯機の後方脚部を載せる後方台座および前記洗濯機の前方脚部を載せる前方台座を備える防水パンから、前記洗濯機を搬出する方法である。この方法では、まず、前記洗濯機を載せる荷台と、前記荷台の下面側に取り付けられたキャスターとを有する台車を、前記防水パンの前方に移動する。次に、前記後方脚部を支点にして前記洗濯機を後方側に傾けて、前記洗濯機の前記前方脚部を前記前方台座の上面から離間させる。次に、スロープ板を、上面が前記荷台の上面と面一となる状態において前記荷台から前記前方台座の上を越えて前記後方台座に向けて延伸させ、前記スロープ板の先端を、前記後方脚部が載っている前記後方台座の上面に載置する。次に、後方側に傾けた前記洗濯機を前方側へ戻して、前記洗濯機の前記前方脚部を前記スロープ板の上面に載せる。次に、前記洗濯機の前記後方脚部および前記前方脚部を前記スロープ板の上面を滑らせて前記洗濯機を前方に向けて移動する。次に、前記洗濯機を前記スロープ板から引き出して前記荷台の上面に載せる。そして、前記スロープ板を前記後方台座および前記前方台座の上から取り除く。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗濯機用の搬入搬出装置、洗濯機の搬入方法、および洗濯機の搬出方法によれば、洗濯機の脚部を載せる台座を備える防水パンに対して、洗濯機を簡単に搬入したり、簡単に搬出したりできる。そのため、搬入作業および搬出作業に伴う作業者の身体的な負荷を軽減することができ、洗濯機や周辺の壁等に傷をつけることなく、洗濯機を簡単に搬入および搬出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る洗濯機用の搬入搬出装置を示す斜視図である。
図2】洗濯機用の搬入搬出装置を示す平面図である。
図3】洗濯機用の搬入搬出装置を示す側面図である。
図4】台車の荷台とスロープ板との取り付け部分を示す断面図である。
図5】洗濯機用の搬入搬出装置を用いた作業手順を示す図である。
図6】洗濯機用の搬入搬出装置を用いた作業手順を示す図である。
図7】洗濯機用の搬入搬出装置を用いた作業手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。よって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0015】
また、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
なお、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞を付すこともある。しかしながら、これら序数詞に関する特段の説明がない限りは、説明の便宜上、構成要素を識別するために付したものであって、数または順序を特定するものではない。
【0017】
図1図3に示すように、例えば、集合住宅等は、洗濯機100を設置する場所に防水パン120が設置されている。防水パン120は、例えば、幅が640mm、奥行が640mmの矩形形状を有する。防水パン120は、洗濯機100をかさ上げして設置する台座130を有する。台座130の高さは、例えば、120mmである。
【0018】
図示例の洗濯機100は、脚部110として、後方脚部111および前方脚部112を有する。洗濯機100を正面側から見て、後方脚部111は、右側に位置する右側の後方脚部111Rと、左側に位置する左側の後方脚部111Lとを含んでいる。同様に、前方脚部112は、右側に位置する右側の前方脚部112Rと、左側に位置する左側の前方脚部112Lとを含んでいる。
【0019】
防水パン120の台座130は、洗濯機100の後方脚部111を載せる後方台座131と、洗濯機100の前方脚部112を載せる前方台座132とを有する。後方台座131は、右側に位置する右側の後方台座131Rと、左側に位置する左側の後方台座131Lとを含んでいる。同様に、前方台座132は、右側に位置する右側の前方台座132Rと、左側に位置する左側の前方台座132Lとを含んでいる。
【0020】
洗濯機用の搬入搬出装置10は、洗濯機100の後方脚部111を載せる後方台座131および洗濯機100の前方脚部112を載せる前方台座132を備える防水パン120に対して、洗濯機100を搬入したり、搬出したりするために使用される。洗濯機用の搬入搬出装置10は、台車20と、スロープ板30と、を有する。台車20は、洗濯機100を載せる荷台21と、荷台21の下面側に取り付けられたキャスター22とを有する。スロープ板30は、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112を滑らせて洗濯機100を移動可能である。
【0021】
図4に示すように、スロープ板30は、上面30aが荷台21の上面21aと面一となる状態に荷台21に取り付け可能に構成されている。ここに「面一」とは、スロープ板30の上面30aの高さと荷台21の上面21aの高さとが完全に一致する場合に限られない。「面一」とは、スロープ板30の上面30aと荷台21の上面21aとの境界に、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112を滑らせて移動できる程度の段差が存在する場合も含まれると理解されなければならない。
【0022】
図4に示すように、スロープ板30は、荷台21に対して着脱自在な係止部40を有する。係止部40は、例えば、スロープ板30の前端部に上面30aに対して屈曲して形成されたフック部41から構成することができる。荷台21の後方には、スロープ板30のフック部41を引っ掛ける溝穴42が形成されている。スロープ板30は、荷台21の溝穴42にフック部41を引っ掛けたり、溝穴42からフック部41を引き抜いたりすることによって、荷台21に対して着脱自在となる。
【0023】
図1図3に示すように、スロープ板30は、荷台21から前方台座132の上を越えて後方台座131に向けて延伸する。スロープ板30の先端は、後方台座131の上面131aに後方脚部111を載せるスペースを露出させた状態において後方台座131の上面131aに載置可能に構成されている。スロープ板30の先端を後方台座131の上面131aに載置しても、後方台座131の上面131aには後方脚部111を載せるスペースが確保される。このため、洗濯機100の後方脚部111は、スロープ板30の上面30aを滑り、スロープ板30の先端から後方台座131の上面131aに移動できる。
【0024】
スロープ板30の長さは、荷台21の後端部を防水パン120の前方壁121(図1を参照)に押し当てた状態で、後方台座131の上面131aに後方脚部111を載せるスペースを確保しつつスロープ板30の先端が後方台座131の上面131aに達することが可能な長さに設定されている。
【0025】
実施形態のスロープ板30は、第1板部31と、第2板部32と、を有する。第1板部31は、洗濯機100を正面側から見て右側に位置する右側の後方脚部111Rおよび右側の前方脚部112Rを滑らせるために用いられる。第2板部32は、洗濯機100を正面側から見て左側に位置する左側の後方脚部111Lおよび左側の前方脚部112Lを滑らせるために用いられる。第1板部31は、荷台21から右側の前方台座132Rの上を越えて右側の後方台座131Rに向けて延伸する。第2板部32は、荷台21から左側の前方台座132Lの上を越えて左側の後方台座131Lに向けて延伸する。スロープ板30は1枚板でもよいが、対をなす第1板部31および第2板部32のレール形状に構成することによって、スロープ板30全体の軽量化を図ることができ、取り扱いが容易になる。また、防水パン120は、洗濯機100の大きさに合わせて、幅寸法が異なる複数種類が用意されている。右側の前方脚部112Rと左側の前方脚部112Lとの間の離間距離は、種類ごとに異なることがある。このような場合であっても、第1板部31および第2板部32を用いることができる。
【0026】
図4に示すように、スロープ板30は、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112の脱落を防止する壁部材33を有する。壁部材33は、スロープ板30の左右いずれかの側に設けられていればよい。図示例では、スロープ板30の第1板部31は、右側に壁部材33が設けられている。スロープ板30の第2板部32は、左側に壁部材33が設けられている。壁部材33は、スロープ板30の上面30aから洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112が脱落することを防止できる。
【0027】
図4に示すように、荷台21の上面21aおよびスロープ板30の上面30aは、低摩擦材料50から構成されている。低摩擦材料50は、荷台21の基部21bの上、およびスロープ板30の基部30bの上に、ネジ頭が上面21a、30aより突出しないように皿ねじ止めすることができる。低摩擦材料50の材料によっては、低摩擦材料50は、基部21b、30bの上に接着剤などによって貼り付けることができる。このように構成することによって、洗濯機100の脚部110は、荷台21の上面21aおよびスロープ板30の上面30aにおいて滑りやすくなる。低摩擦材料50は、特に限定されないが、潤滑性が高い樹脂材料を適用できる。さらに、洗濯機100の脚部110との接触面積を少なくする微小な凹凸形状を成形してもよい。低摩擦材料50の一例として、例えば、株式会社ジャロック製「スライダーボードシリーズ」を挙げることができる。
【0028】
なお、荷台21の基部21b、およびスロープ板30の基部30bの形成材料は、特に限定されないが、例えば、硬質の樹脂材料や、金属材料を適用できる。
【0029】
次に、図5図7を参照しつつ、洗濯機用の搬入搬出装置10を用いて、防水パン120に洗濯機100を搬入する手順を説明する。
【0030】
まず、図5(A)に示すように、洗濯機100を載せる荷台21と、荷台21の下面側に取り付けられたキャスター22とを有する台車20を準備し、荷台21に洗濯機100を載せる。図示しない洗濯機固定具等を用いて、荷台21の上面21aに載せた洗濯機100を固定する。台車20を防水パン120の前方に移動する。
【0031】
次に、スロープ板30のフック部41を、荷台21の溝穴42に引っ掛け、スロープ板30を荷台21に対して取り付ける。図5(B)に示すように、スロープ板30は、上面30aが荷台21の上面21aと面一となる。スロープ板30を、上面30aが荷台21の上面21aと面一となる状態において荷台21から前方台座132の上を越えて後方台座131に向けて延伸させる。スロープ板30の先端を、後方台座131の上面131aに後方脚部111を載せるスペースを露出させた状態において後方台座131の上面131aに載置する。
【0032】
次に、荷台21の上面21aに載せた洗濯機100の固定を解除する。図5(C)に示すように、荷台21の上面21aに載せられた洗濯機100をスロープ板30に向けて押し出す。
【0033】
次に、図6(A)に示すように、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112をスロープ板30の上面30aを滑らせて洗濯機100を後方に向けて移動する。
【0034】
次に、図6(B)に示すように、洗濯機100の後方脚部111をスロープ板30の先端から後方台座131の上面131aに載せる。その後に、図6(C)に示すように、後方脚部111を支点にして洗濯機100を後方側に傾けて、洗濯機100の前方脚部112をスロープ板30の上面30aから離間させる。
【0035】
次に、図7(A)に示すように、スロープ板30を後方台座131および前方台座132の上から取り除く。スロープ板30のフック部41を荷台21の溝穴42から引き抜き、台車20からスロープ板30のみを取り外してもよい。作業スペースが広い場合には、スロープ板30を荷台21に取り付けたまま台車20を前方に移動してもよい。そして、図7(B)に示すように、後方側に傾けた洗濯機100を前方側へ戻して、洗濯機100の前方脚部112を前方台座132の上面132aに載せる。これによって、洗濯機100の搬入が終了する。
【0036】
次に、洗濯機用の搬入搬出装置10を用いて、防水パン120から洗濯機100を搬出する手順を説明する。なお、防水パン120に洗濯機100を搬入する手順と逆になることから、図面については、洗濯機100を搬入する手順を説明したときに用いた図5図7を参照する。
【0037】
まず、図7(B)に示すように、洗濯機100を載せる荷台21と、荷台21の下面側に取り付けられたキャスター22とを有する台車20を準備する。台車20を防水パン120の前方に移動する。
【0038】
次に、図7(A)に示すように、後方脚部111を支点にして洗濯機100を後方側に傾けて、洗濯機100の前方脚部112を前方台座132の上面132aから離間させる。
【0039】
次に、スロープ板30のフック部41を、荷台21の溝穴42に引っ掛け、スロープ板30を荷台21に対して取り付ける。図6(C)に示すように、スロープ板30は、上面30aが荷台21の上面21aと面一となる。スロープ板30を、上面30aが荷台21の上面21aと面一となる状態において荷台21から前方台座132の上を越えて後方台座131に向けて延伸させる。スロープ板30の先端を、後方脚部111が載っている後方台座131の上面131aに載置する。
【0040】
次に、図6(B)に示すように、後方側に傾けた洗濯機100を前方側へ戻して、洗濯機100の前方脚部112をスロープ板30の上面30aに載せる。
【0041】
次に、図6(A)に示すように、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112をスロープ板30の上面30aを滑らせて洗濯機100を前方に向けて移動する。
【0042】
次に、図5(C)および図5(B)に示すように、洗濯機100をスロープ板30から引き出して荷台21の上面21aに載せる。図示しない洗濯機固定具等を用いて、荷台21の上面21aに載せた洗濯機100を固定する。
【0043】
次に、図5(A)に示すように、スロープ板30を後方台座131および前方台座132の上から取り除く。スロープ板30のフック部41を荷台21の溝穴42から引き抜き、台車20からスロープ板30のみを取り外してもよい。作業スペースが広い場合には、スロープ板30を荷台21に取り付けたまま台車20を前方に移動してもよい。これによって、洗濯機100の搬出が終了する。
【0044】
以上説明したように、洗濯機用の搬入搬出装置10は、洗濯機100を載せる荷台21と、荷台21の下面側に取り付けられたキャスター22とを有する台車20と、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112を滑らせて洗濯機100を移動可能なスロープ板30と、を有する。スロープ板30は、上面30aが荷台21の上面21aと面一となる状態に荷台21に取り付け可能に構成されている。スロープ板30は、荷台21から前方台座132の上を越えて後方台座131に向けて延伸し、スロープ板30の先端が、後方台座131の上面131aに後方脚部111を載せるスペースを露出させた状態において後方台座131の上面131aに載置可能に構成されている。
【0045】
このように構成した洗濯機用の搬入搬出装置10によれば、洗濯機100の脚部110を載せる台座130を備える防水パン120に対して、洗濯機100を簡単に搬入したり、簡単に搬出したりできる。そのため、搬入作業および搬出作業に伴う作業者の身体的な負荷を軽減することができ、洗濯機100や周辺の壁等に傷をつけることなく、洗濯機100を簡単に搬入および搬出できる。
【0046】
スロープ板30は、洗濯機100を正面側から見て右側に位置する右側の後方脚部111Rおよび右側の前方脚部112Rを滑らせる第1板部31と、洗濯機100を正面側から見て左側に位置する左側の後方脚部111Lおよび左側の前方脚部112Lを滑らせる第2板部32と、を有する。このように構成することによって、スロープ板30を1枚板から構成する場合に比べて、スロープ板30全体の軽量化を図ることができ、取り扱いが容易になる。また、右側の前方脚部112Rと左側の前方脚部112Lとの間の離間距離が異なる防水パン120に対しても、第1板部31および第2板部32を用いることができる。
【0047】
スロープ板30は、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112の脱落を防止する壁部材33を有する。このように構成することによって、洗濯機100の後方脚部111および前方脚部112のスロープ板30からの脱落を防止しつつ滑らせることができる。そのため、荷台21と台座130との間で洗濯機100を容易に移動できる。
【0048】
荷台21の上面21aおよびスロープ板30の上面30aは、低摩擦材料50から構成されている。このように構成することによって、洗濯機100の脚部110は、荷台21の上面21aおよびスロープ板30の上面30aにおいて滑りやすくなる。
【0049】
スロープ板30は、荷台21に対して着脱自在な係止部40を有する。このように構成することによって、洗濯機用の搬入搬出装置10の保管時の省スペース化を図ることができる。
【0050】
上記の洗濯機100の搬入方法および洗濯機100の搬出方法によれば、洗濯機100の脚部110を載せる台座130を備える防水パン120に対して、洗濯機100を簡単に搬入したり、簡単に搬出したりできる。そのため、搬入作業および搬出作業に伴う作業者の身体的な負荷を軽減することができ、洗濯機100や周辺の壁等に傷をつけることなく、洗濯機100を簡単に搬入および搬出できる。
【0051】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく適宜改変することができる。
【0052】
例えば、スロープ板30が荷台21に対して着脱自在な実施形態について説明したが、スロープ板30は上面30aが荷台21の上面21aと面一となる状態に荷台21に取り付け可能に構成される限りにおいて適宜改変できる。例えば、スロープ板は、ヒンジ部を介して荷台に回動自在に取り付けてもよい。
【0053】
上記の実施形態においては、スロープ板30の長さは、荷台21の後端部を防水パン120の前方壁121に押し当てた状態で、後方台座131の上面131aに後方脚部111を載せるスペースを確保しつつスロープ板30の先端が後方台座131の上面131aに達することが可能な長さであるとした。ただし、スロープ板30の長さはこの場合に限定されるものではない。スロープ板30の先端が、後方台座131の上面131aに後方脚部111を載せるスペースを露出させた状態において後方台座131の上面131aに載置可能である限り、実施形態の場合よりも長いスロープ板30であってもよい。この場合、後方台座131の上面131aに後方脚部111を載せるスペースを簡単に確保できるように、後方台座131の側面に当接するストッパーをスロープ板30の下面に備えることが好ましい。
【0054】
防水パン120は台座130の高さが異なる複数種類が用意されることがある。台座130の高さが異なることに対応するため、台車20は、ローラ径が異なるキャスター22を荷台21に取り付け可能に構成することができる。あるいは、台車20は、ローラ径が同じキャスター22を荷台21に取り付ける高さ位置を変更可能に構成することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 洗濯機用の搬入搬出装置
20 台車
21 荷台
21a 荷台の上面
21b 荷台の基部
22 キャスター
30 スロープ板
30a スロープ板の上面
30b スロープ板の基部
31 第1板部
32 第2板部
33 壁部材
40 係止部
41 フック部
42 溝穴
50 低摩擦材料
100 洗濯機
110 脚部(後方脚部および前方脚部)
111 後方脚部
112 前方脚部
120 防水パン
121 前方壁
130 台座(後方台座および前方台座)
131 後方台座
131a 後方台座の上面
132 前方台座
132a 前方台座の上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7