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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169970
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20231124BHJP
   H01R 4/34 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R4/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081353
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 翔太郎
【テーマコード(参考)】
5E012
5E021
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E021FA03
5E021FA05
5E021FB09
5E021FB20
5E021FC16
5E021FC21
5E021LA09
(57)【要約】
【課題】ハウジングの内部における温度上昇を抑制することができるとともに、体格の大型化を抑制する。
【解決手段】シールドコネクタ1は、電線Wと、端子金具2と、導電性部材3と、締結部材4と、ハウジング5と、熱伝達部材と、シールドシェル7と、を備える。端子金具2は、導電性を有し、電線Wに対して電気的に接続される。導電性部材3は、電力供給先に対して電気的に接続される。締結部材4は、導電性部材3と端子金具2とを接触させて、導電性部材3と端子金具2とを電気的に接続する。ハウジング5は、絶縁性を有し、端子金具2、導電性部材3、および、締結部材4を収容する収容空間5sを有する。熱伝達部材は、収容空間5sに位置して端子金具2または導電性部材3に接触する接触部423、および、ハウジング5の外部に露出する露出部を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線に対して電気的に接続される導電性の端子金具と、
電力供給先に対して電気的に接続される導電性部材と、
前記導電性部材と前記端子金具とを接触させて、前記導電性部材と前記端子金具とを電気的に接続する締結部材と、
前記端子金具、前記導電性部材、および、前記締結部材を収容する収容空間を有する絶縁性のハウジングと、
前記収容空間に位置して前記端子金具または前記導電性部材に接触する接触部、および、前記ハウジングの外部に露出する露出部を有する熱伝達部材と、
前記ハウジングの外部において、前記熱伝達部材に接触する絶縁性伝熱部材と、
前記絶縁性伝熱部材に接触し、前記ハウジングを覆う金属製のシールドシェルと、
を備える、
ことを特徴とするシールドコネクタ。
【請求項2】
前記締結部材は、ネジ部を有するボルトと、前記ネジ部に螺合するネジ孔を有するナットと、を有し、
前記熱伝達部材は、前記ナットであり、
前記露出部は、前記ナットの軸線方向において、前記ネジ孔が形成された一方の端部とは異なる他方の端面である、
請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記熱伝達部材は、前記導電性部材であり、
前記導電性部材は、金属材料で板状に形成され、前記端子金具と接触する端子金具接触部と、当該端子金具接触部に位置してネジ部が挿通される貫通孔と、前記端子金具接触部から突出する突出部と、有し、
前記露出部は、前記突出部の一方の面である、
請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記熱伝達部材は、前記導電性部材とは異なる板状部材であり、
前記板状部材は、導電性を有する金属材料で板状に形成され、前記端子金具と接触する端子金具接触部と、当該端子金具接触部に位置してネジ部が挿通される貫通孔と、前記端子金具接触部から突出する突出部と、有し、
前記露出部は、前記突出部の一方の面である、
請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
弾性変形可能に形成され、前記ハウジングと前記シールドシェルとの間に配置され、前記ハウジングと前記シールドシェルとの間を止水する環状のパッキンを備え、
前記パッキンの内部に前記露出部および前記絶縁性伝熱部材が配置され、
前記ハウジングが前記シールドシェルに押圧されて前記パッキンは弾性変形した状態にある、
請求項1~4のいずれか一項に記載のシールドコネクタ。
【請求項6】
少なくとも前記電線と、前記端子金具と、前記導電性部材と、前記締結部材と、を有して電気接続ユニットが構成され、
前記収容空間は、印加する電圧の極性が異なる複数の前記電気接続ユニットが収容され、
前記ハウジングは、前記収容空間において、一方の極性の電圧が印加される一方側電気接続ユニットと、他方の極性の電圧が印加される他方側電気接続ユニットとの間に介在する絶縁性の隔壁を有する、
請求項2に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
シールドコネクタは、導電性の電線と、電線の端末に設けられた端子金具と、電線および端子金具を収容する絶縁性のハウジングと、電線、端子金具およびハウジングを収容する金属性のシールドシェルと、を備える。そして、シールドコネクタは、電線をシールドシェルで覆うことによって、所望のシールド機能を発揮し、当該シールド機能によって、電線から発生するノイズがシールドシェルの外部に漏れることを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-107043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールドコネクタは、電線から端子金具に電流が流れると、電線および端子金具が発熱し、ハウジングの内部温度が上昇する。このため、従来のシールドコネクタは、端子金具を大型化すること、または、電線の径を太くすることによって、ハウジングの内部温度の上昇を抑制していた。
【0005】
しかしながら、端子金具を大型化した場合、または、電線の径を太くした場合には、シールドコネクタの体格が大型化する。
【0006】
ところで、車両に搭載するシールドコネクタは、車両に搭載する電気機器が増加するに伴い、電気機器間を電気的に接続する電子部品が増加するため、小型化が望まれていた。そのため、ハウジングの内部における温度上昇を抑制することができるとともに、体格の大型化を抑制することができるシールドコネクタが要望されていた。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ハウジングの内部における温度上昇を抑制することができるとともに、体格の大型化を抑制することができるシールドコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係るシールドコネクタは、電線と、前記電線に対して電気的に接続される導電性の端子金具と、電力供給先に対して電気的に接続される導電性部材と、前記導電性部材と前記端子金具とを接触させて、前記導電性部材と前記端子金具とを電気的に接続する締結部材と、前記端子金具、前記導電性部材、および、前記締結部材を収容する収容空間を有する絶縁性のハウジングと、前記収容空間に位置して前記端子金具または前記導電性部材に接触する接触部、および、前記ハウジングの外部に露出する露出部を有する熱伝達部材と、前記ハウジングの外部において、前記熱伝達部材に接触する絶縁性伝熱部材と、前記絶縁性伝熱部材に接触し、前記ハウジングを覆う金属製のシールドシェルと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態に係るシールドコネクタは、上記構成を有するため、ハウジングの内部における温度上昇を抑制することができるとともに、体格の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係るシールドコネクタを有するコネクタ装置の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るシールドコネクタの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係るシールドコネクタにおいて、電線の軸線を含む平面における断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るシールドコネクタのハウジングの内部を示す平面図である。
図5図5は、第2実施形態に係るシールドコネクタの要部を示す断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係るシールドコネクタの要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るシールドコネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るシールドコネクタ1を有するコネクタ装置100の斜視図である。図2は、第1実施形態に係るシールドコネクタ1の一部の斜視図である。図3は、第1実施形態に係るシールドコネクタ1において、電線Wの軸線XLを含む平面における断面図である。図4は、第1実施形態に係るシールドコネクタ1のハウジング5の内部を示す平面図である。
【0013】
Xは、本実施形態に係るシールドコネクタ1の電線Wの軸線方向である。Yは、本実施形態に係るシールドコネクタ1において、軸線方向Xに対して直交する第1直交方向Yである。Zは、本実施形態に係るシールドコネクタ1において、軸線方向Xおよび第1直交方向Yに対してそれぞれ直交する第2直交方向XZである。
【0014】
図1に示す本実施形態に係るシールドコネクタ1は、自動車等の車両に搭載されるワイヤハーネスWH1に組み込まれる。ワイヤハーネスWH1は、例えば、車両に搭載される各機器間の電気的な接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、複数の電線Wによって各機器を電気的に接続するものである。なお、ワイヤハーネスWH1は、この他、さらに、電気接続箱、グロメット等を含んで構成されてもよい。以下、各図を参照してシールドコネクタ1の構成について詳細に説明する。
【0015】
シールドコネクタ1は、図1に示す相手方シールドコネクタ101に対して電気的に接続される。シールドコネクタ1は、相手方シールドコネクタ101と共にコネクタ装置100を構成する。コネクタ装置100は、シールドコネクタ1と相手方シールドコネクタ101との電気的な接続によって、シールドコネクタ1に接続された第1接続対象物と、相手方シールドコネクタ101に接続された第2接続対象物とを電気的に接続する装置である。
【0016】
相手方シールドコネクタ101は、第2接続対象物の導電性の筐体101aの内部に設けられる。そして、当該筐体101aは、後述するシールドシェル7が取り付けられる。また、筐体101aおよびシールドコネクタ1は、当該筐体101aにおける第1直交方向Yの一方側の表面と、シールドシェル7における第1直交方向Yの他方側の表面とが接触して配置される。そして、図1に示すように、筐体101aの表面積は、シールドシェル7の表面積よりも広い。また筐体101aの第2直交方向XZにおける上面は、第1ボルトBo1に螺合する第1ネジ孔が形成される。
【0017】
第1接続対象物は、例えば、インバータ等の電源回路であり、シールドコネクタ1は、電線Wを介して、電源回路に対して電気的に接続される。第2接続対象物は、例えば、回転機等の電気機器(電力供給先)102であり、相手方シールドコネクタ101は、相手方電線101Wを介して電気機器102に対して電気的に接続される。
【0018】
そして、コネクタ装置100は、シールドコネクタ1と相手方シールドコネクタ101とが電気的に接続されることによって、電源回路と電気機器102とを電気的に接続し、電源回路から電気機器102への電力の供給および電気機器102で発生させた電力で電源回路を充電することができる。
【0019】
シールドコネクタ1は、電線Wと、端子金具2と、導電性部材3と、締結部材4と、ハウジング5と、絶縁性伝熱部材6と、シールドシェル7と、パッキン8と、編組導体91と、第1ホルダ92と、第2ホルダ93と、を備える。つまり、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、少なくとも、電線Wと、端子金具2と、導電性部材3と、締結部材4と、ハウジング5と、シールドシェル7と、を備える。
【0020】
電線Wは、導電性の芯線Waと、芯線Waを被覆する絶縁性の被覆部Wbとを備える。電線Wは、軸線方向Xに延在する。電線Wの軸線方向Xにおける一方側の端部は、不図示の第1接続対象物に対して電気的に接続される。また、電線Wの軸線方向Xにおける他方側の端部は、端子金具2が設けられる。
【0021】
端子金具2は、導電性の金属材料によって形成される。図3に示す端子金具2は、軸線方向Xにおける一方側に、電線Wの芯線Waに対して電気的に接続される芯線接続部21を有する一方、軸線方向Xにおける他方側に、導電性部材3に対して電気的に接続される導電性部材接続部22を有する。つまり、端子金具2は、電線Wに対して電気的に接続される。本実施形態に係る端子金具2は、導電性部材3に対して直接的に接触する。また、導電性部材接続部22は、後述するボルト41のネジ部413を挿通する端子金具貫通孔22hを有する。
【0022】
導電性部材3は、導電性を有する金属材料で形成される。導電性部材3は、電力供給先である電気機器102に対して電気的に接続される。本実施形態に係る導電性部材3は、図4に示すように、第1直交方向Yにおける一方の端部に、端子金具2に対して電気的に接続される端子金具接続部31を有する一方、第1直交方向Yにおける他方の端部に、電力供給先である電気機器102に対して電気的に接続される電気機器接続部32を有する。端子金具接続部31は、板状に形成される。また、端子金具接続部31は、後述するボルト41のネジ部413を挿通する導電性部材貫通孔31hを有する。一方、電気機器接続部32は、棒状に形成される。
【0023】
締結部材4は、導電性部材3と端子金具2とを接触させ、導電性部材3と端子金具2とを電気的に接触させる。本実施形態に係る締結部材4は、図3に示すように、ボルト41とナット42とワッシャ43とを有する。つまり、締結部材4は、少なくともボルト41とナット42とを有する。
【0024】
ボルト41は、導電性を有する金属材料で形成される。ボルト41は、円柱状に形成されたボルト基部411と、ボルト基部411の一方側の端部に形成され、工具の先端が挿入される頭部412と、ボルト基部411の外周面に形成されたネジ部413とを有する。つまり、ボルト41は、ネジ部413を有する。本実施形態に係るホルトは、第2直交方向XZに延在する直線状に形成される。
【0025】
ナット42は、導電性を有する金属材料で形成され、後述するハウジング本体部51に設けられる。より具体的に説明すると、ナット42は、ハウジング本体部51にインサート成形される。本実施形態に係るシールドコネクタ1は、ナット42が熱伝達部材である。
【0026】
ナット42は、円筒状に形成されたナット基部421と、ナット基部421に形成され、ネジ部413に螺合するネジ孔422と、を有する。つまり、ネットは、ネジ部413に螺合するネジ孔422を有する。そして、本実施形態に係るナット42は、第2直交方向XZにおける一方の端部に、収容空間5sに位置して端子金具2に接触する接触部423を有する一方、第2直交方向XZにおける他方の端部に、ハウジング5の外部に露出する端面424(露出部)を有する。つまり、熱伝達部材であるナット42は、収容空間5sに位置して端子金具2に接触する接触部423、および、ハウジング5の外部に露出する露出部(端面424)を有する。換言すると、露出部は、ナット42の軸線方向Xにおいて、ネジ孔422が形成された一方の端部とは異なる他方の端面である。ナット42は、金属材料で形成されるため、ナット42の熱伝導率は、空気の熱伝導率および絶縁性樹脂の熱伝導率よりも大きい。また、本実施形態に係るナット42は、絶縁性伝熱部材6に対して直接的に接触する。さらに、本実施形態に係るナット42は、第2直交方向Zに延在する直線状に形成される。
【0027】
ワッシャ43は、金属材料で形成され、環状に形成される。そして、ワッシャ43には、ボルト41のネジ部413が挿通される。
【0028】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、端子金具2、導電性部材3、および、締結部材4が各電線Wに対応して設けられる。また、シールドコネクタ1は、少なくとも電線Wと、端子金具2と、導電性部材3と、締結部材4と、を有して電気接続ユニットUが構成される。
【0029】
ハウジング5は、絶縁性の合成樹脂等で形成され、ハウジング本体部51と、ハウジング蓋部52と、ハウジング係止部53と、ハウジングパッキン54と、を有する。ハウジング5は、端子金具2、導電性部材3、および、締結部材4を収容する収容空間5sを有する。そして、収容空間5sは、印加する電圧の極性が異なる複数の電気接続ユニットUが収容される。
【0030】
ハウジング本体部51は、図3に示すように、第1直交方向Yの一方側の端部にハウジング底部511を有する一方、第1直交方向Yの他方側の端部に開閉開口部512を有する箱状に形成される。また、ハウジング本体部51は、電線Wが挿通される第1挿通開口部513と、導電性部材3が電気的に接続される相手方端子が挿通される第2挿通開口部514とを有する(図4参照)。
【0031】
ハウジング本体部51は、さらに、第2直交方向Zにおいて、ハウジング底部511の収容空間5s側の表面からハウジング蓋部52へ向けて突出する絶縁性の隔壁515を有する。隔壁515は、収容空間5sにおいて、一方の極性の電圧が印加される一方側電気接続ユニットU1と、他方の極性の電圧が印加される他方側電気接続ユニットU2との間に介在する。つまり、ハウジング5は、収容空間5sにおいて、一方の極性の電圧が印加される一方側電気接続ユニットU1と、他方の極性の電圧が印加される他方側電気接続ユニットU2との間に介在する絶縁性の隔壁515を有する。
【0032】
ハウジング蓋部52は、ハウジング本体部51の開閉開口部512を閉塞する。ハウジング蓋部52は、矩形の板状に形成される。
【0033】
ハウジング係止部53は、ハウジング蓋部52をハウジング本体部51に係止する。ハウジング係止部53は、図2に示すように、ハウジング本体部51に形成された係止爪531と、係止爪531に対して係止可能であってハウジング蓋部52に形成された係止受け部532とで構成される。
【0034】
ハウジングパッキン54は、例えば、熱硬化性エラストマ(合成ゴム)または熱可塑性エラストマ等の弾性変形可能な弾性および絶縁性を有する材料で環状に形成される。そして、ハウジングパッキン54は、ハウジング本体部51とハウジング蓋部52との間を止水する。
【0035】
絶縁性伝熱部材6は、ハウジング5の外部において、ナット42の露出部に接触し、かつ、第2シェル部材72に接触する。つまり、絶縁性伝熱部材6は、ハウジング5の外部において、ナット42に接触し、かつ、シールドシェル7に接触する。本実施形態に係る絶縁性伝熱部材6は、例えば、サーコン(登録商標)で、矩形板状に形成される。サーコン(登録商標)は、シリコーンゴムに、熱伝導性および絶縁性の粒子を含有する。このため、絶縁性伝熱部材6の熱伝導率は、空気の熱伝導率および絶縁性樹脂の熱伝導率よりも大きい。
【0036】
図3に示すシールドシェル7は、導電性の金属材料で形成される。シールドシェル7は、第1シェル部材71と、第2シェル部材72と、ハウジング5が収容されるシールド空間7sと、を有する。さらに、シールドシェル7は、当該シールドシェル7の外部から電線Wをシールド空間7sに挿通する第1シェル開口部70aと、当該シールドシェル7の外部から相手方端子をシールド空間7sに挿通する第2シェル開口部と、を有する。シールドシェル7は、導電性の金属材料で形成されるため、シールドシェル7の熱伝導率は、空気の熱伝導率および絶縁性樹脂の熱伝導率よりも大きい。
【0037】
第1シェル部材71は、図1図2に示す第1ネジNe1の先端を挿通する第1シェル貫通孔を有し、第2シェル部材72は、第1ネジNe1のネジ部に螺合する第2シェルネジ孔を有する。そして、作業者は、第1シェル貫通孔に第1ネジNe1の先端を挿通させた後、第2シェルネジ孔に第1ネジNe1のネジを螺合させることによって、ハウジング5の外部において、第1シェル部材71に第2シェル部材72を組み付けてシールドシェル7を形成する。
【0038】
パッキン8は、第1パッキン81と、第2パッキン82と、第3パッキン83とを有する。
【0039】
第1パッキン81(パッキン)は、例えば、熱硬化性エラストマ(合成ゴム)または熱可塑性エラストマ等の弾性変形可能な弾性および絶縁性を有する材料で環状に形成される。第1パッキン81の内部には、ナット42の露出部およぶ絶縁性伝熱部材6が配置される。そして、第1パッキン81は、ハウジング5とシールドシェル7との間に配置され、ハウジング5とシールドシェル7との間を止水する。つまり、第1パッキン81(パッキン8)は、弾性変形可能に形成され、ハウジング5とシールドシェル7との間に配置され、ハウジング5とシールドシェル7との間を止水する。本実施形態に係る第1パッキン81は、内側に位置する第1パッキン内側部811と、第1パッキン内側部811の外側に位置する第1パッキン外側部812とを有する。
【0040】
第2パッキン82は、例えば、熱硬化性エラストマ(合成ゴム)または熱可塑性エラストマ等の弾性変形可能な弾性および絶縁性を有する材料で環状に形成される。第2パッキン82は、電線Wを挿通させるパッキン挿通孔82hを有する。そして、第2パッキン82は、ハウジング5と電線Wとの間を止水する。
【0041】
第3パッキン83は、例えば、熱硬化性エラストマ(合成ゴム)または熱可塑性エラストマ等の弾性変形可能な弾性および絶縁性を有する材料で環状に形成される。そして、第3パッキン83は、ハウジング5と、相手方シールドコネクタ101との間を止水する。
【0042】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、第1シェル部材71と第2シェル部材72との間から水がシールド空間7sの内部に浸入するおそれがある。しかし、シールドコネクタ1は、ハウジングパッキン54および複数のパッキン8を設けることにより、所望の止水性を確保することができる。
【0043】
編組導体91は、図1に示すように、導電性材料によって2本の電線Wの外周面を一括的に覆うよう筒状に形成され、電線Wから発生するノイズが外部に漏れることを抑制する。編組導体91は、複数の編組線を網目状に編み込んで形成される。なお、図1に示す編組導体91は、図示の便宜のため、編組導体91における網目形状を省略して仮想線で示してあり、他の図においては、編組導体91を省略してある。
【0044】
シールドコネクタ1は、編組導体91をシールドシェル7の外周面に取り付ける環状のシールリング911を備える。そして、編組導体91の軸線方向Xにおける一方側の端部は、当該シールリング911によってシールドシェル7と電気的に接続してあり、シールドシェル7および相手方シールドコネクタ101の接地部材を介して接地される。
【0045】
第1ホルダ92は、絶縁性の合成樹脂によって形成され、電線Wを挿通させるホルダ挿通孔92hを複数(本実施形態では2つ)有する(図1参照)。第1ホルダ92は、第2パッキン82がハウジング5から脱落することを防止する。第1ホルダ92は、第1係止爪を有する一方、ハウジング5は、当該第1係止爪に係止可能な第1係止受け部を有する。そして、シールドコネクタ1は、第1係止爪および第1係止受け部によって、第1ホルダ92をハウジング5に係止する。
【0046】
第2ホルダ93は、絶縁性の合成樹脂によって形成され、第3パッキン83がハウジング5から脱落することを防止する。第2ホルダ93は、第2係止爪を有する一方、ハウジング5は、当該第2係止爪に係止可能な第2係止受け部を有する。そして、シールドコネクタ1は、第2係止爪および第2係止受け部によって、第2ホルダ93をハウジング5に係止する。
【0047】
次に、上述したコネクタ装置100の組み立てについて説明する。最初に、作業者は、筐体101aに相手方シールドコネクタ101を組み付ける。
【0048】
次いで、作業者は、第1ホルダ92の各ホルダ挿通孔92hに電線Wを挿通した後、第2パッキン82のパッキン挿通孔82hに電線Wを挿通する。その後、作業者は、ハウジング本体部51の第1挿通開口部513に電線Wの先端を挿入する。
【0049】
次に、作業者は、各電線Wの端末に端子金具2をそれぞれ取り付ける。次いで、作業者は、ボルト41の先端に、導電性部材貫通孔31hを挿通した後、ボルト41の先端に端子金具貫通孔22hを挿通する。
【0050】
次に、作業者は、ボルト41のネジ部413を、ナット42のネジ孔422に螺合することによって、ハウジング5に、端子金具2および導電性部材3を取り付ける。この際、少なくともボルト41およびナット42を有する締結部材4によって、端子金具2と導電性部材3と接触させ、それによって、端子金具2と導電性部材3とが電気的に接続される。
【0051】
次いで、作業者は、ハウジング本体部51の開閉開口部512をハウジング蓋部52によって閉塞し、ハウジング本体部51にハウジング蓋部52を組み付けてハウジング5を形成する。
【0052】
次に、作業者は、ハウジング5に第2パッキン82を取り付けた後、第1ホルダ92をハウジング5に組み付け、第2パッキン82がハウジング5から脱落することを第1ホルダ92で防止する。
【0053】
次いで、作業者は、ハウジング5に第3パッキン83を取り付けた後、第2ホルダ93をハウジング5に組み付け、第3パッキン83がハウジング5から脱落することを第2ホルダ93で防止する。
【0054】
次に、作業者は、ナット42の露出部に絶縁性伝熱部材6を接触させた後、絶縁性伝熱部材6の周囲に環状の第1パッキン81を配置する。
【0055】
次いで、作業者は、ハウジング5の外部に、第1シェル部材71および第2シェル部材72を配置し、第1シェル貫通孔に第1ネジNe1の先端を挿通させた後、第2シェルネジ孔に第1ネジNe1のネジを螺合させる。これによって、作業者は、ハウジング5の外部において、第1シェル部材71に第2シェル部材72を組み付けてシールドシェル7を形成する。シールドシェル7が形成された状態では、ハウジング5がシールドシェル7に押圧されて第1パッキン81(パッキン8)は弾性変形した状態にある。
【0056】
次に、作業者は、環状のシールリング911によって、編組導体91(図1参照)を第1シェル部材71の外周面に取り付ける。
【0057】
次いで、作業者は、相手方シールドコネクタ101にシールドコネクタ1を嵌合させ、導電性部材3と相手方端子とを電気的に接続する。
【0058】
最後に、作業者は、第2シェル部材72の第1ボルト41孔に第1ボルトBo1の先端を挿通した後、第1ボルトBo1を第1ネジ孔に螺合することによって、筐体101aにシールドコネクタ1を取り付け、コネクタ装置100を形成する。
【0059】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、以下の構成を有する。シールドコネクタ1は、収容空間5sに位置して端子金具2または導電性部材3に接触する接触部423、および、ハウジング5の外部に露出する露出部を有する熱伝達部材と、ハウジング5の外部において、熱伝達部材に接触する絶縁性伝熱部材6と、絶縁性伝熱部材6に接触し、ハウジング5を覆う金属製のシールドシェル7と、を備える。そのため、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、熱伝達部材であるナット42と、絶縁性伝熱部材6と、シールドシェル7とによって、電線W、端子金具2および導電性部材3に電圧が印加されることでハウジング5の内部に発生する熱を、外部に放熱することができる。その結果、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、ハウジング5の内部における温度上昇を抑制することができる。しかも、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、電線Wの径を太くすること、および、端子金具2を大型化することなく、熱伝達部材および絶縁性伝熱部材6を設けて放熱性を向上させるため、シールドコネクタ1の体格の大型化を抑制することができる。その上、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、ナット42と、絶縁性伝熱部材6と、シールドシェル7とによって放熱経路が形成される。そして、ナット42は、直線状に形成される。そのため、曲状部を有するナットを介在させて放熱経路を形成シールドコネクタと比較した場合、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、放熱経路を短くすることができるため、放熱性を向上することができる。さらに、筐体101aおよびシールドコネクタ1は、当該筐体101aにおける第1直交方向Yの一方側の表面と、シールドシェル7における第1直交方向Yの他方側の表面とが接触して配置される。そして、図1に示すように、筐体101aの表面積は、シールドシェル7の表面積よりも広い。それらによって、電気接続ユニットUに電流を流すことによって収容空間5sで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0060】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、以下の構成を有する。締結部材4は、ネジ部413を有するボルト41と、ネジ部413に螺合するネジ孔422を有するナット42と、を有し、熱伝達部材はナット42であり、露出部は、ナット42の軸線方向Xにおいて、ネジ孔422が形成された一方の端部とは異なる他方の端面である。締結部材4は、ナット42にボルト41を螺合することによって、端子金具2と導電性部材3とが電気的に接続される。そのため、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、ナット42を熱伝達部材として使用するため、熱伝達部材に別途の部品を設ける場合と比較して、シールドコネクタ1を構成する部品が増加することを抑制することができ、それにより、体格が大型化することを一層抑制することができる。
【0061】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、以下の構成を有する。ハウジング5がシールドシェル7に押圧されて第1パッキン(パッキン)81は弾性変形した状態にある。そのため、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、第1パッキン81を利用して、熱伝達部材であるナット42を絶縁性伝熱部材6に押圧することができるとともに、絶縁性伝熱部材6をシールドシェル7に押圧することができる。ところで、異なる2つの材質の部品の熱伝達率を向上するため、一方の部品を他方の部品に押圧し、単位面積当たりの押圧力を大きくすることが考えられる。そして、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、パッキン8を利用して熱伝達部材であるナット42を絶縁性伝熱部材6に押圧することができるため、熱伝達部材と絶縁性伝熱部材6との熱伝達率を向上することができる。その上、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、パッキン8を利用して絶縁性伝熱部材6をシールドシェル7に押圧することができるため、絶縁性伝熱部材6とシールドシェル7との熱伝達率を向上することができる。従って、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、弾性変形したパッキン8によって、ハウジング5の内部の温度上昇を確実に抑制することができる。
【0062】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、以下の構成を有する。ハウジング5は、収容空間5sにおいて、一方の極性の電圧が印加される一方側電気接続ユニットU1と、他方の極性の電圧が印加される他方側電気接続ユニットU2との間に介在する絶縁性の隔壁515を有する。仮に、収容空間5sにおいて、一方側電気接続ユニットU1と他方側電気接続ユニットU2との間に絶縁性の隔壁515が介在せずに空気のみが介在する場合、所望の絶縁距離(空間距離および沿面距離)を確保するためには、シールドコネクタ1は、一方側電気接続ユニットU1と他方側電気接続ユニットU2との間に大きな隙間が必要となり大型化する。一方、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、収容空間5sにおいて、一方側電気接続ユニットU1と、他方側電気接続ユニットU2との間に絶縁性の隔壁515が配置されるため、一方側電気接続ユニットU1と、他方側電気接続ユニットU2との間の絶縁距離(空間距離および沿面距離)を増大させることができる。従って、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、収容空間5sに複数の電気接続ユニットUをコンパクトに収容することができ、体格の大型化を抑制することができる。
【0063】
なお、上述した実施形態に係るナット42の接触部423は、端子金具2に対して直接的に接触するものを説明した。しかし、本実施形態に係るナット42の接触部423は、それに限られない。例えば、ナット42の接触部423は、導電性部材3に対して直接的に接触してもよい。
【0064】
さらに、上述実施形態に係るシールドコネクタ1は、端子金具2または導電性部材3に対してナット42の接触部423が直接的に接触するものを説明した。しかし、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、それに限られない。例えば、ナット42の接触部423と端子金具2との間に、金属製の伝熱部品を介在させてもよい。伝熱部品は、空気および絶縁性の樹脂よりも熱伝導率が高い金属材料で形成された部品であって、例えば、ワッシャである。
【0065】
また、上述した実施形態に係る絶縁性伝熱部材6は、サーコン(登録商標)によって形成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係る絶縁性伝熱部材6は、それに限られない。例えば、絶縁性伝熱部材6は、シリコーンゴムによって形成してもよい。
【0066】
さらに、上述した実施形態に係るシールドシェル7は、ハウジング5とシールドシェル7との間に配置され、ハウジング5とシールドシェル7との間を止水する第1パッキン81を有するものを説明した。しかし、本実施形態に係るシールドシェル7は、それに限られない。例えば、シールドシェル7は、ナット42の外周面の全周に熱硬化性エラストマ(合成ゴム)等の止水部材を取り付けた状態で、ナット42をハウジング5にインサート成形し、ナット42とハウジング5との間の止水性を確保してもよい。そして、この場合には、シールドシェル7に第1パッキン81を設ける必要はない。
【0067】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るシールドコネクタ1Aの要部を示す断面図である。第1実施形態に係るシールドコネクタ1は、ナット42が熱伝達部材であるものを説明した。一方、第2実施形態に係るシールドコネクタ1Aは、導電性部材3が熱伝達部材である。以下、第2実施形態に係るシールドコネクタ1Aにおいて、第1実施形態に係るシールドコネクタ1と異なる部分について説明し、同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
導電性部材3Aは、金属材料で板状に形成される。本実施形態に係る導電性部材3Aは、ハウジング本体部51にインサート成形される。導電性部材3Aの端子金具接続部31Aは、端子金具接触部313と、導電性部材貫通孔313h(貫通孔)と、中間部312と、導電性部材突出部(突出部)314と、を有する。そして、導電性部材3Aは、中間部312および端子金具接触部313が収容空間5sに位置する一方、導電性部材突出部314がハウジング5の外部に露出する。
【0069】
端子金具接触部313は、端子金具2に接触する。本実施形態に係る導電性部材3Aは、複数の端子金具接触部313を有する。各端子金具接触部313は、第2直交方向Zにおいて、端子金具接続部31Aを貫通する導電性部材貫通孔313h(貫通孔)を有する。つまり、各導電性部材貫通孔313hは、第2直交方向Zにおいて、各端子金具接触部313を貫通する。また、各導電性部材貫通孔313hは、ボルト41のネジ部413がそれぞれ挿通される。
【0070】
中間部312は、軸線方向Xにおいて、複数の端子金具接触部313の間に位置し、軸線方向Xに延在する。
【0071】
導電性部材突出部314は、端子金具接触部313から第2直交方向Zへ向けて突出する。より具体的に説明すると、導電性部材突出部314は、端子金具接触部313から第2直交方向Zの一方へ向けて突出し、かつ、第2直交方向Zへ延在する第2直交方向延在部314aと、ハウジング5の外部に位置して軸線方向Xへ延在する軸線方向延在部314bとを有する。第2直交方向延在部314aの第2直交方向Zの端部と、軸線方向延在部314bの端部とは、直角に交差する。
【0072】
換言すると、導電性部材3Aは、端子金具2と接触する端子金具接触部313と、端子金具接触部313に位置してネジ部413が挿通される導電性部材貫通孔313hと、端子金具接触部313から突出する導電性部材突出部314と、有する。そして、導電性部材突出部314における軸線方向延在部314bの一方の面は、ハウジング5の外部に位置する露出部である。つまり、導電性部材突出部314の一方の面は、ハウジング5の外部に位置する露出部である。
【0073】
締結部材4Aは、ボルト41とナット42Aとワッシャ43とを有する。ナット42Aは、ハウジング本体部51にインサート成形される。ナット42Aの第2直交方向Zにおける一方の端面および他方の端面424Aは、収容空間5sに位置する。換言すれば、本実施形態に係るナット42Aは、当該ナット42Aの全部が収容空間5sに位置する。
【0074】
締結部材4Aは、ナット42Aにボルト41を螺合することによって、端子金具2と導電性部材3Aとが電気的に接続される。つまり、締結部材4Aは、当該締結部材4を締結することによって、端子金具2と導電性部材3Aとが電気的に接続される。
【0075】
本実施形態に係るシールドコネクタ1Aは、以下の構成を有する。熱伝達部材は、導電性部材3Aであり、導電性部材3Aは、金属材料で板状に形成され、端子金具2と接触する端子金具接触部313と、端子金具接触部313に位置してネジ部413が挿通される導電性部材貫通孔313hと、端子金具接触部313から突出する導電性部材突出部314と、有する。そして、露出部は、導電性部材突出部314の一方の面である。しかも、本実施形態に係るシールドコネクタ1Aは、電線Wの径を太くすること、および、端子金具2を大型化することなく、熱伝達部材である導電性部材3Aおよび絶縁性伝熱部材6を設けて放熱性を向上させるため、シールドコネクタ1の体格の大型化を抑制することができる。その上、本実施形態に係るシールドコネクタ1Aは、金属材料で板状に形成された導電性部材3Aを熱伝達部材に使用するため、ナット42を熱伝達部材として使用する場合と比較して熱伝達部材の面積を広くすることができ、それにより、放熱性を向上させることができる。さらに、本実施形態に係るシールドコネクタ1Aは、締結部材4Aと熱伝達部材とを別個に形成する。締結部材4Aは、導電性部材3Aと端子金具2とを接触させる機能を有するため、ハウジング5における位置が限定される。一方、導電性部材3Aは、ハウジング5における位置が限定されないため、露出部である導電性部材突出部314の配置変更を容易に行うことができる。
【0076】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係るシールドコネクタ1Bの要部を示す断面図である。第1実施形態に係るシールドコネクタ1は、ナット42が熱伝達部材であるものを説明した。一方、第3実施形態に係るシールドコネクタ1Bにおいて、熱伝達部材は、導電性部材3とは異なる板状部材11である。以下、第3実施形態に係るシールドコネクタ1Bにおいて、第1実施形態に係るシールドコネクタ1と異なる部分について説明し、同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
板状部材11は、導電性を有する金属材料で板状に形成される。本実施形態に係る板状部材11は、ハウジング本体部51にインサート成形される。板状部材11は、端子金具2と接触する端子金具接触部111と、端子金具接触部111に位置してネジ部413が挿通される板状部材貫通孔(貫通孔)111hと、端子金具接触部111から突出する板状部材突出部112と、を有する。板状部材突出部112は、端子金具接触部111から第2直交方向Zの一方へ突出し、かつ、第2直交方向Zへ延在する第2直交方向延在部112aと、ハウジング5の外部に位置して軸線方向Xへ延在する軸線方向延在部112bとを有する。
【0078】
端子金具接触部111の軸線方向Xの端部と、第2直交方向延在部112aの第2直交方向Zの端部とは、直角に交差する。また、第2直交方向延在部112aの第2直交方向Zの端部と、軸線方向延在部112bの端部とは、直角に交差する。
【0079】
そして、板状部材突出部112における軸線方向延在部112bの一方の面は、ハウジング5の外部に位置する露出部である。つまり、板状部材突出部112の一方の面は、ハウジング5の外部に位置する露出部である。別言すると、板状部材11は、端子金具接触部111が収容空間5sに位置する一方、板状部材突出部112の先端面である露出部がハウジング5の外部に露出する。
【0080】
締結部材4Bは、ボルト41とナット42Bとワッシャ43とを有する。ナット42Bは、ハウジング本体部51にインサート成形される。ナット42Aの第2直交方向Zにおける一方の端面および他方の端面424Aは、収容空間5sに位置する。換言すれば、本実施形態に係るナット42Aは、当該ナット42Aの全部が収容空間5sに位置する。
【0081】
締結部材4Bは、ナット42Bにボルト41を螺合することによって、端子金具2と導電性部材3と板状部材11とが電気的に接続される。つまり、締結部材4Bは、当該締結部材4を締結することによって、端子金具2と導電性部材3と板状部材11とが電気的に接続される。
【0082】
本実施形態に係るシールドコネクタ1Bは、以下の構成を有する。熱伝達部材は、導電性部材3とは異なる板状部材11であり、板状部材11は、金属材料で板状に形成され、端子金具2と接触する端子金具接触部111と、当該端子金具接触部111に位置して前記ネジ部413が挿通される板状部材貫通孔111hと、端子金具接触部111から突出する板状部材突出部112と、有する。そして、露出部は、板状部材突出部112の一方の面である。そのため、本実施形態に係るシールドコネクタ1Bは、金属材料で板状に形成された板性部材を放熱専用の熱伝達部材として使用するため、ナット42を熱伝達部材として使用する場合と比較して熱伝達部材の面積を広くすることができ、それにより、放熱性を向上させることができる。さらに、本実施形態に係るシールドコネクタ1Bは、締結部材4Bと熱伝達部材とを別個に形成する。締結部材4Bは、導電性部材3と端子金具2とを接触させる機能を有するため、ハウジング5における位置が限定される。一方、導電性部材3は、ハウジング5における位置が限定されないため、露出部である板状部材突出部112の配置変更を容易に行うことができる。
【0083】
なお、上述した実施形態に係るシールドコネクタ1、1A、1Bは、2本の電線Wを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、それに限られない。例えば、シールドコネクタ1、1A、1Bは、1本の電線Wを備えてもよいし、3本の以上の電線Wを備えてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1、1A、1B シールドコネクタ
2 端子金具
3、3A 導電性部材
313 端子金具接触部
313h 導電性部材貫通孔(貫通孔)
314 導電性部材突出部(突出部)
4 締結部材
41 ボルト
413 ネジ部
42 ナット(熱伝達部材)
422 ネジ孔
423 接触部
424 端面(露出部)
5 ハウジング
5s 収容空間
515 隔壁
7 シールドシェル
102 電気機器(電力供給先)
111 端子金具接触部
111h 板状部材貫通孔(貫通孔)
112 板状部材突出部(突出部)
U 電気接続ユニット
U1 一方側電気接続ユニット
U2 他方側電気接続ユニット
W 電線
X 軸線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6