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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169973
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】複合スイッチ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20231124BHJP
【FI】
H02M1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081356
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 晃裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆二
【テーマコード(参考)】
5H740
【Fターム(参考)】
5H740BA02
5H740BB01
5H740BC01
5H740BC02
5H740MM03
(57)【要約】
【課題】スイッチング素子の多段直列による高耐圧化を図りつつ、低コスト化および小型化を実現する。
【解決手段】直流電源の電圧Eに直列接続されたスイッチング素子Un1、Un2と、スイッチング素子Un1、Un2の直列回路に並列接続されたスナバ回路SCと、を有し、スイッチング素子Un1は、自己消弧機能を有し、スイッチング素子Un2は、自己消弧機能を有さず、スナバ回路SCは、コンデンサーC1とリアクトルL1との直列回路を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に直列接続された複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子の直列回路に並列接続されたスナバ回路と、
を有し、
前記複数のスイッチング素子のうち、
少なくとも1つは自己消弧機能を有し、
少なくとも1つは自己消弧機能を有さず、
前記スナバ回路は、
コンデンサーとインダクタンス成分との直列回路を含む
ことを特徴とする複合スイッチ回路。
【請求項2】
前記直流電源の電圧がEであり、
前記直列接続された複数のスイッチング素子の個数がN(Nは2以上の整数)であれば、
前記自己消弧機能を有するスイッチング素子の耐圧、および、前記自己消弧機能を有しないスイッチング素子の耐圧は、
それぞれE/N以上E未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の複合スイッチ回路。
【請求項3】
前記インダクタンス成分は、
配線の寄生インダクタンスである
ことを特徴とする請求項1に記載の複合スイッチ回路。
【請求項4】
前記複数のスイッチング素子に直列に接続されたリアクトルを有し、
前記スナバ回路は、
前記複数のスイッチング素子および前記リアクトルの直列回路に並列接続される
ことを特徴とする請求項1または3に記載の複合スイッチ回路。
【請求項5】
前記スナバ回路は、
前記コンデンサーとインダクタンス成分とに直列に接続された抵抗を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の複合スイッチ回路。
【請求項6】
前記複数のスイッチング素子に、電圧均衡素子が並列接続された
ことを特徴とする請求項1に記載の複合スイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、回路全体の高耐圧化を図りつつ、自己消弧能力を有しないスイッチング素子を、簡素な回路構成で消弧させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力を交流電力に変換するDC/AC変換回路では、スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの自己消弧能力を有する素子が適用されつつある。また、高耐圧化を実現するために、自己消弧能力を有するスイッチング素子を多段直列する技術も一般的である。ただし、自己消弧能力を有する素子を適用した構成では、素子自体が高価であるので、高コスト化を招き、多段直列する技術では特に顕著になる。そこで、スイッチング素子として以前より使用されていたサイリスタの適用が検討されている。
【0003】
しかしながら、サイリスタは周知のように自己消弧能力を有しない。このため、サイリスタをターンオフさせるためには、当該サイリスタを強制的に消弧させる強制転流回路が別途必要になる(例えば特許文献1参照)。
スイッチング素子を多段直列した構成では、強制電流回路をサイリスタ毎に並列接続して、または、大規模な強制転流回路を多段直列したスイッチング素子に並列接続して、別途設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-12372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、自己消弧能力を有しないスイッチング素子を適用する場合、回路構成が複雑化し、大型化するという課題がある。このような事情に鑑みて、本発明の目的は、スイッチング素子の多段直列による高耐圧化を図りつつ、低コスト化および小型化を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る複合スイッチ回路は、スイッチ回路は、直流電源の電圧間に直列接続された複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子の直列回路に並列接続されたスナバ回路と、を有し、前記複数のスイッチング素子のうち、少なくとも1つは自己消弧機能を有し、少なくとも1つは自己消弧機能を有さず、前記スナバ回路は、コンデンサーとインダクタンス成分との直列回路を含む。
この態様に係る複合スイッチ回路によれば、スイッチング素子を多段直列した構成において、自己消弧能力を有しないスイッチング素子の消弧を低コスト化、小型化して実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る複合スイッチ回路の構成を示す図である。
図2】複合スイッチ回路の動作を説明するための図である。
図3】複合スイッチ回路における電圧/電流変化を示す図である。
図4】複合スイッチ回路の第1変形例を示す図である。
図5】複合スイッチ回路の第2変形例を示す図である。
図6】複合スイッチ回路の第3変形例を示す図である。
図7】複合スイッチ回路の第4変形例を示す図である。
図8】第1比較例に係るスイッチ回路の構成を示す図である。
図9】第2比較例に係るスイッチ回路の構成を示す図である。
図10】第3比較例に係るスイッチ回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る複合スイッチ回路について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る複合スイッチ回路10の構成を示す図である。
この図に示されるように、複合スイッチ回路10は、直流電源の電圧Eが印加された正極Pと負極Nとの間において、スイッチング素子Un1およびUn2の直列回路と、当該直列回路に並列接続されたスナバ回路SCと、を有する。
【0009】
スイッチング素子Un1は、自己消弧機能を有するスイッチング素子である。自己消弧機能を有するスイッチング素子とは、素子のオン状態およびオフ状態をゲート信号によって切り替え可能なものをいい、例えばGTO(Gate Turn-Off thyristor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Turn-off thyristor)などが挙げられる。
スイッチング素子Un2は、自己消弧機能を有しないスイッチング素子である。自己消弧機能を有しないスイッチング素子としては、例えばサイリスタが挙げられる。
スイッチング素子Un1およびUn2には、図示省略した上位装置から、例えば共通のゲート信号が供給される。
【0010】
本実施形態において、スナバ回路SCは、コンデンサーC1とリアクトルL1との直列回路により構成される。後述するように、リアクトルL1は、スナバ回路SCの配線に寄生するインダクタンス成分を用いることができるが、本実施形態では、部品としてのリアクトルL1を用いている。
【0011】
図2は、複合スイッチ回路10の動作を説明するための図である。
便宜的に、スイッチング素子Un1およびUn2のオン時において、正極Pから負極Nに向かって流れる電流をIとし、電流Iのうち、スイッチング素子Un1およびUn2の直列回路に流れる電流をI1とし、スナバ回路SCに流れる電流をI2とする。すなわち、I=I1+I2である。
また、スイッチング素子Un2において順方向に流れる電流をI12とする。
【0012】
スイッチング素子Un1にバイアスされる電圧をVun1とし、スイッチング素子Un2にバイアスされる電圧をVun2とする。また、スナバ回路SCのコンデンサーC1における両端の電圧をVc1とし、リアクトルL1における両端の電圧をVL1とする。
なお、スイッチング素子Un1およびUn2の直列回路の両端電圧(Vun1+Vun2)は、スナバ回路SCの両端電圧(Vc1+VL1)に等しいので、スイッチング素子Un2においてバイアスされる電圧Vun2は、(Vc1+VL1-Vun1)である。
【0013】
また、スイッチング素子Un1およびUn2がオフ状態であって、電圧不均衡が生じないという理想状態であれば、スイッチング素子Un1およびUn2にそれぞれ印加される電圧は、半分ずつのE/2になる。
【0014】
図3は、複合スイッチ回路10における電圧変化および電流変化を示す図である。
複合スイッチ回路10の動作は、期間(A)、(B)および(C)に大別される。このうち、期間(A)は、スイッチング素子Un1の遮断期間であり、自己消弧機能を有するスイッチング素子Un1がターンオフするタイミングt1から、電流I12に流れる電流がゼロに到達するタイミングt2までの期間である。期間(B)は、スイッチング素子Un2の遮断期間であり、タイミングt2から、電圧Vun2がゼロになるタイミングt3までの期間である。期間(C)は、スナバ回路SCにおけるコンデンサーC1の充電期間であり、タイミングt3以降の期間である。
【0015】
タイミングt1において、スイッチング素子Un1がターンオフすると、スイッチング素子Un2に流れる電流I12が徐々に減少し、やがてタイミングt2においてゼロになる。このため、電圧Vun1は、ターンオフのタイミングt1から、電流I12がゼロになるタイミングt2まで上昇する。
なお、上述したようにスイッチング素子Un1およびUn2がオフ状態であれば、電圧Vun1は、E/2で均衡する。
【0016】
また、スイッチング素子Un1がターンオフすると、スイッチング素子Un1およびUn2の直列回路に流れていた電流I1がスナバ回路SCに転流する。このため、スナバ回路SCに流れる電流I2は、タイミングt1におけるゼロから上昇する。ただし、電流I2は、ピーク値に達した後に、ゼロに向かって徐々に減少する。
リアクトルL1では、電圧VL1が電流I2の変化率(傾き)に応じて誘起される。なお、電圧VL1は、図に示されるように、電圧上昇後の下降時に定常時のゼロを下回るアンダーシュートが発生する場合がある。
【0017】
一方、スイッチング素子Un1がターンオフすると、スナバ回路SCにおいてコンデンサーC1では充電が開始するので、電圧Vc1は電圧Eにむかって上昇する。充電による電圧Vc1の上昇率は、コンデンサーC1に流れる電流I2に比例し、コンデンサーC1のキャパシタンスに反比例する。
【0018】
このように期間(A)では、スイッチング素子Un1のターンオフにより、スイッチング素子Un2に流れる電流I12が減少してゼロになり、電流I2がゼロから上昇し、当該電流I2に応じて電圧VL1が誘起される。なお、期間(A)では、スイッチング素子Un2の順方向に電流が流れるので、電圧Vun2はゼロである。
【0019】
タイミングt2においてスイッチング素子Un2に流れる電流I12がゼロになると、当該スイッチング素子Un2にバイアスされる電圧Vun2は、ゼロから(Vc1+VL1-Vun1)の値で変化する。
本実施形態では、タイミングt2の後において、電圧の和(Vc1+VL1)が、電圧Vun1(≒E/2)よりも低くなるように、コンデンサーC1のキャパシタンス、リアクトルL1のインダクタンスが設定される。特に、コンデンサーC1のキャパシタンスが比較的大きく設定される。
【0020】
このため、タイミングt2からタイミングt3までの期間(B)では、電圧Vun2が負値になるので、スイッチング素子Un2には、逆バイアスが印加される。このため、本実施形態では、期間(B)において、スイッチング素子Un1が消弧して、再点弧が防止される。
なお、期間(B)において、電圧Vc1は、引き続き電圧Eに向かって上昇するので、電圧Vun2はボトム値まで低下した後に上昇する。
【0021】
電圧Vun2は、タイミングt3においてゼロに達し、この後、電圧E/2で均衡している電圧Vun1を電圧Eから差し引いた電圧、すなわち電圧E/2に向かって上昇する。なお、タイミングt3以降であれば、スイッチング素子Un1およびUn2はゲート信号によってターンオン可能である。
【0022】
実施形態では、自己消弧機能を有するスイッチング素子の1個と、自己消弧機能を有しないスイッチング素子の1個と、を直列接続した構成としたが、より高圧化に対応するために、直列接続するスイッチング素子の個数を3以上としてもよい。すなわち、直列接続するスイッチング素子の個数は2以上であって、少なくとも1つが自己消弧機能を有するスイッチング素子であればよい。
【0023】
直列接続されたスイッチング素子の個数がN(Nは2以上の整数)である場合、各スイッチング素子の耐圧は、それぞれ電圧を個数のNで除したE/N以上であって、かつ、直流電源の電圧E未満であればよい。換言すれば、直流電源の電圧Eに対して、スイッチング素子の各耐圧が、それぞれE/N以上E未満に抑えられる。
【0024】
ここで、本実施形態に対する優位性を説明するための比較例のいくつかについて説明する。
【0025】
図8は、第1比較例を示す図であり、自己消弧機能を有するスイッチング素子だけが3個直列接続された構成である。自己消弧機能を有するスイッチング素子の価格は、定格がほぼ同じであれば、自己消弧機能を有しないスイッチング素子の価格の約2倍である。このため、第1比較例は、高コストになってしまう。
【0026】
図9は、第2比較例を示す図であり、自己消弧機能を有しないスイッチング素子が直列接続され、スイッチング素子毎に強制転流回路が並列に接続された構成である。第2比較例では、スイッチング素子の分のコストは抑えられるが、強制転流回路がスイッチング素子の個数分だけ必要になるので、回路全体でみれば、高コストになってしまう。
【0027】
図10は、第3比較例を示す図であり、自己消弧機能を有しないスイッチング素子が直列接続され、スイッチング素子の直列回路に強制転流回路が並列に1つ接続された構成である。第3比較例では、スイッチング素子の分のコストは抑えられるが、強制転流回路に高耐圧が要求されるので、装置の規模が大型化してしまう。
【0028】
これに対して本実施形態によれば、直列接続されるスイッチング素子のうち、少なくとも1つには、高価な自己消弧機能を有するスイッチング素子が必要になるが、他のスイッチング素子は、安価な自己消弧機能を有しないスイッチング素子を用いることができる。
また、本実施形態では、スイッチング素子とは別にスナバ回路SCが必要になるが、直列接続されるスイッチング素子の個数にかかわらず、1個で済み、構成素子についてもコンデンサーC1およびリアクトルL1で済む。
したがって、本実施形態に係る複合スイッチ回路10によれば、図8乃至図10に示される構成と比較して、回路全体でみれば低コスト化および小型化を図ることが可能になる。
【0029】
本実施形態では、図1に示される構成に限られず、次のような変形または応用が可能である。
【0030】
図4は、第1変形例に係る複合スイッチ回路10aを示す図である。複合スイッチ回路10aでは、正極Pと負極Nとの間に印加される電圧Eにおいて、自己消弧機能を有するスイッチング素子Un1と、自己消弧機能を有しないスイッチング素子Un2、Un3と、リアクトルL2とが直列に接続され、この直列回路に並列にスナバ回路SCが接続された構成である。
すなわち、第1変形例は、スイッチング素子Un1、Un2およびUn3の直列回路に、さらにリアクトルL2が直列に接続された構成である。
【0031】
なお、第1変形例では、便宜的に自己消弧機能を有しないスイッチング素子Un3が付加されているが、スイッチング素子の耐圧が許すのであれば、省略可能であるし、さらに自己消弧機能を有しないスイッチング素子、自己消弧機能を有しないスイッチング素子の一方、または、双方を直列接続に加えてもよい。
【0032】
第1変形例では、スイッチング素子Un1のターンオフ後において、リアクトルL2で誘起される電圧を、スイッチング素子Un2に、逆バイアスとして印加することができる。このため、第1変形例によれば、スイッチング素子Un1のターンオフ後において、実施形態と比較して確実にスイッチング素子Un2およびUn3を消弧させることができる。
【0033】
図5は、第2変形例に係る複合スイッチ回路10bを示す図である。複合スイッチ回路10bは、スナバ回路SCのリアクトルL1として、破線で示されるように、配線に寄生するインダクタンスを用いたものである。
第2変形例では、スナバ回路SCに、部品としてのリアクトルL1が存在しないので、構成の簡略化および小型化を図ることができる。
【0034】
図6は、第3変形例に係る複合スイッチ回路10cを示す図である。複合スイッチ回路10cは、スナバ回路SCにおいて、コンデンサーC1およびリアクトルL1に、抵抗R1を加えて直列接続したものである。
第3変形例では、抵抗R1がダンピング抵抗として機能するので、スイッチング素子Un1がスイッチングしたときに発生する振動を素早く減衰させて、共振を抑えることができる。
【0035】
図7は、第4変形例に係る複合スイッチ回路10dを示す図である。
遮断後においてスイッチング素子Un1、Un2、Un3に印加される電圧を迅速にバランスさせるための電圧均衡素子を設けてもよい。電圧均衡素子としては、抵抗、コンデンサー、バリスタの単独または組み合わせを用いることができる。
図に示される複合スイッチ回路10dは、スイッチング素子Un1と並列にバランス用の抵抗RaおよびスナバコンデンサーとしてCaが接続され、スイッチング素子Un2と並列にバランス用の抵抗Rbが接続され、スイッチング素子Un3と並列にバランス用の抵抗Rcが接続された例である。
【0036】
以上に例示した各種の形態から、例えば次のような態様が把握される。
【0037】
本開示のひとつの態様1に係る複合スイッチ回路は、直流電源に直列接続された複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子の直列回路に並列接続されたスナバ回路と、を有し、前記複数のスイッチング素子のうち、少なくとも1つは自己消弧機能を有し、少なくとも1つは自己消弧機能を有さず、前記スナバ回路は、コンデンサーとインダクタンス成分との直列回路を含む。
態様1によれば、スイッチング素子の多段直列による高耐圧化を、自己消弧機能を有するスイッチング素子の数を減して実現することできるので、低コスト化、小型化して実現することが可能になる。
【0038】
態様1の具体的な態様2において、前記直流電源の電圧がEであり、前記直列接続された複数のスイッチング素子の個数がN(Nは2以上の整数)であれば、前記自己消弧機能を有するスイッチング素子の耐圧、および、前記自己消弧機能を有しないスイッチング素子の耐圧は、それぞれE/N以上E未満である。態様2によれば、直流電源の電圧Eに対して、スイッチング素子の各耐圧が、それぞれE/N以上E未満に抑えられる。
【0039】
態様1の具体的な態様3において、前記インダクタンス成分は、配線の寄生インダクタンスである。態様3によれば、スナバ回路に、部品としてのリアクトルを設けずに済むので、構成の簡略化および小型化を図ることができる。
【0040】
態様1または3の具体的な態様4において、前記複数のスイッチング素子に直列に接続されたリアクトルを有し、前記スナバ回路は、前記複数のスイッチング素子および前記リアクトルの直列回路に並列接続される。態様4によれば、自己消弧機能を有するスイッチング素子のターンオフ後において、リアクトルで誘起される電圧を、自己消弧機能を有しないスイッチング素子に、逆バイアスとして印加することができる。
【0041】
態様1の具体的な態様5において、前記スナバ回路は、前記コンデンサーとインダクタンス成分とに直列に接続された抵抗を含む。態様5によれば、抵抗がダインピング抵抗として機能するので、自己消弧機能を有するスイッチング素子がスイッチングしたときに発生する振動を素早く減衰させるので、共振を抑えることができる。
【0042】
態様1の具体的な態様6において、前記複数のスイッチング素子に、電圧均衡素子が並列接続される。態様6によれば、複数のスイッチング素子がオフ状態に移行したときに、スイッチング素子にバイアスされる電圧を迅速にバランスさせることが可能になる。なお、電圧均衡素子としては、抵抗、コンデンサー、バリスタの単独または組み合わせを用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
10…複合スイッチ回路、Un1…(自己消弧機能を有する)スイッチング素子、Un2、Un3…(自己消弧機能を有しない)スイッチング素子、SC…スナバ回路、L1、L2…リアクトル、C1、Ca…コンデンサー、R1、Ra、Rb、Rc…抵抗。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10