(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169974
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20231124BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20231124BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02G3/22
F16L5/02 N
B60R16/02 622
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081357
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 彬友
(72)【発明者】
【氏名】城田 一将
(72)【発明者】
【氏名】矢野 拓海
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA01
5G363AA09
5G363AA16
5G363BA02
5G363CA12
5G363CB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電線間の線間止水及び編組導体の接地が可能で、かつ、取付パネルに対して配索材を室内側から容易に組み付けることが可能なワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネスWHは、取付パネル100の貫通孔101に、第一グロメット10及び第二グロメット20を備えるグロメットユニットが取り付けられた状態において、シールドリングSRにより編組導体Whとブラケット30と、を電気的に接続し、ブラケット30の一部が貫通孔101に挿通された挿通状態において、フランジ部32が延在方向に室内側面102と対向し、筒状部31が室外側面103から室外側に突出し、かつ、ボルト挿入孔にスタッドボルト106が挿入され、当該スタッドボルト106にナットが螺合して、取付パネル100にフランジ部32が締結されることで、ブラケット30と取付パネル100との間が電気的に接続される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内と室外とを隔てる一枚の取付パネルの室内側面から室外側面に貫通する貫通孔に挿通される少なくとも1本の配索材と、
導電性を有し、前記配索材の延在方向の外周面のうち、前記室外側面側に位置する外周面を覆う編組導体と、
導電性を有し、前記延在方向の両端が開口して前記配索材が挿通され、かつ一部が前記貫通孔に挿入された状態で前記取付パネルに取り付けられるブラケットと、
前記編組導体の前記室外面側の端部を前記ブラケットに固定し、前記編組導体と前記ブラケットとを電気的に接続する環状のシールドリングと、
前記ブラケットと前記配索材との間に配置され、前記ブラケットと前記配索材との間を止水する第一グロメットと、
前記ブラケットと前記貫通孔との間に配置され、前記ブラケットと前記取付パネルとの間を止水する第二グロメットと、を備え、
前記ブラケットは、
前記配索材が挿通される筒状部と、
前記筒状部の前記延在方向の一方の端部から前記延在方向と直交する方向に突出する環状のフランジ部と、
前記フランジ部を前記延在方向に貫通し、前記室内側面に設けられた締結部材が挿入される少なくとも一対のボルト挿入孔と、を有し、
前記ブラケットの一部が前記貫通孔に挿通された挿通状態において、前記フランジ部が前記延在方向に前記室内側面と対向し、かつ前記筒状部が前記室外側面から前記室外側に突出し、かつ前記ボルト挿入孔に前記締結部材が挿入され、
前記締結部材に被締結部材が螺合して前記取付パネルに前記フランジ部が締結されることで前記ブラケットと前記取付パネルとの間が電気的に接続される、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の車両において、車両の床下に高圧のシールド付き配索材を配索する場合、当該シールド付け配索材を、必要に応じて、車両の室外と室内とを隔てる取付パネルに形成された貫通孔に挿通して配索している。このようなシールド付き配索材には、例えば、ボディアース構造及び止水機能を有するグロメット構造が適用されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、配索材が挿通された板金付きグロメットを取付パネルの貫通孔に組み付ける場合、室外側から組付け作業が行われているが、車両組立工程の順序変更により、室内側から組付け作業が必要となることがある。室内側から組付け作業を行う場合、室外側からの組付け作業に比べて、配索材を覆う編組導体を取付パネルに電気的に接続することで編組導体を接地することが容易ではなく、編組導体の接地と電線間の線間止水との両立が容易ではない。
【0005】
本発明は、電線間の線間止水及び編組導体の接地が可能で、かつ取付パネルに対して配索材を室内側から容易に組み付けることができるワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、車両の室内と室外とを隔てる一枚の取付パネルの室内側面から室外側面に貫通する貫通孔に挿通される少なくとも1本の配索材と、導電性を有し、前記配索材の延在方向の外周面のうち、前記室外側面側に位置する外周面を覆う編組導体と、導電性を有し、前記延在方向の両端が開口して前記配索材が挿通され、かつ一部が前記貫通孔に挿入された状態で前記取付パネルに取り付けられるブラケットと、前記編組導体の前記室外面側の端部を前記ブラケットに固定し、前記編組導体と前記ブラケットとを電気的に接続する環状のシールドリングと、前記ブラケットと前記配索材との間に配置され、前記ブラケットと前記配索材との間を止水する第一グロメットと、前記ブラケットと前記貫通孔との間に配置され、前記ブラケットと前記取付パネルとの間を止水する第二グロメットと、を備え、前記ブラケットは、前記配索材が挿通される筒状部と、前記筒状部の前記延在方向の一方の端部から前記延在方向と直交する方向に突出する環状のフランジ部と、前記フランジ部を前記延在方向に貫通し、前記室内側面に設けられた締結部材が挿入される少なくとも一対のボルト挿入孔と、を有し、前記ブラケットの一部が前記貫通孔に挿通された挿通状態において、前記フランジ部が前記延在方向に前記室内側面と対向し、かつ前記筒状部が前記室外側面から前記室外側に突出し、かつ前記ボルト挿入孔に前記締結部材が挿入され、前記締結部材に被締結部材が螺合して前記取付パネルに前記フランジ部が締結されることで前記ブラケットと前記取付パネルとの間が電気的に接続される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るワイヤハーネスによれば、電線間の線間止水及び編組導体の接地が可能で、かつ取付パネルに対して配索材を室内側から容易に組み付けることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るワイヤハーネスの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るワイヤハーネスの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るワイヤハーネスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。すなわち、以下の実施形態における構成要素には、いわゆる当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0010】
[実施形態]
図1に示す本実施形態のワイヤハーネスWHは、例えば、電気自動車等の車両の床下に配索される高圧のシールド付き配索材である。ワイヤハーネスWHは、2本の配索材Wと、配索材Wをシールドするための編組導体Whと、2本の配索材Wが挿通されるグロメットユニット1とを備える。ワイヤハーネスWHは、車両(不図示)の室外(例えば、エンジンコンパートメント)と室内(例えば、キャビン)とを隔てる取付パネル100に形成された貫通孔101に挿通して配索される。取付パネル100は、例えば、車両のボディー等を構成し、導電性を有する一枚の金属板である。貫通孔101は、
図1及び
図2に示すように、取付パネル100の室内側面102から室外側面103に貫通する。言い換えると、貫通孔101は、当該取付パネル100を板厚方向に沿って貫通する。貫通孔101には、ボディアース構造及び止水機能を有するグロメットユニット1が組み付けられる。取付パネル100は、締結部材の一例であり、
図2に示すように、室内側面102より突出する一対のスタッドボルト105,106を有する。一対のスタッドボルト105,106は、貫通孔101を挟んで対向する位置に設けられている。
【0011】
なお、以下の説明では、図示のX方向は、本実施形態におけるワイヤハーネスWHの延在方向である。Y方向は、本実施形態におけるワイヤハーネスWHの延在方向に直交する第一方向である。第一方向は、例えば、ワイヤハーネスWHにおける2本の配索材Wの配列方向である。Z方向は、本実施形態におけるワイヤハーネスWHの延在方向及び第一方向に直交する第二方向である。X方向、Y方向、及びZ方向は、相互に直交するものとする。第一方向及び第二方向は鉛直方向、鉛直方向と直交する水平方向に限られない。第一方向及び第二方向は、取付パネル100の延在方向に相当する。本実施形態における延在方向は、上述した取付パネル100の板厚方向に相当し、貫通孔101に対する配索材W、グロメットユニット1の挿通方向に相当する。ここでは、説明をわかり易くするため便宜的に、2本の配索材Wが延在方向に沿って直線状に配索されるものとして説明するが、これに限らず、グロメットユニット1が取付パネル100に取り付けられた状態で、グロメットユニット1に挿通された2本の配索材Wが延在方向から外れるように一部で屈曲や湾曲されて設けられるものであってもよい。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、グロメットユニット1が取付パネル100に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0012】
グロメットユニット1は、取付パネル100を境界にして区画される2つの空間(室外空間、室内空間)に渡って配索材Wを配索する際に当該貫通孔101に適用されるものである。グロメットユニット1は、取付パネル100の貫通孔101に配索材Wが挿通された状態で貫通孔101に取り付けられ、スタッドボルト105,106と被締結部材であるナット110,111によりカラー120,121を介して取付パネル100の室内側面102に固定される。
【0013】
配索材Wは、例えば、電線によって構成される。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。ここでは、配索材Wは、例えば、高圧系に用いられる太物の電線が用いられる。
【0014】
編組導体Whは、配索材Wの延在方向の外周面のうち、室外側面側に位置する外周面を覆ってシールドするものである。編組導体Whは、導電性を有する複数の編組線を網目状に編み込んで筒状に形成される。なお、
図1、
図4に示す編組導体Whは、図示の便宜のため、編組導体Whにおける網目形状を省略してある。編組導体Whの延在方向の一方の端部は、グロメットユニット1と電気的に接続してあり、グロメットユニット1、及び、取付パネル100の接地部材を介して接地される。グロメットユニット1は、編組導体Whに対して電気的に接続される。
【0015】
グロメットユニット1は、ワイヤハーネスWHの配索材Wが挿通され当該配索材Wの周囲に外装された状態で貫通孔101に組み付けられることで、編組導体Whを取付パネル100と電気的に接続して接地すると共に当該貫通孔101を止水(防水)するものである。グロメットユニット1は、貫通孔101を通る配索材Wの保護、貫通孔101の防水の他、防塵、遮音等の機能も有する。グロメットユニット1は、ブラケット30と、第一グロメット10と、第二グロメット20と、シールドリングSRとを備える。
【0016】
ブラケット30は、導電性を有する金属材料等で構成される。ブラケット30は、
図1に示すように、一部が貫通孔101に挿入された挿入状態で取付パネル100に取り付けられる。ブラケット30は、延在方向の両端が開口して配索材Wが挿通される。ブラケット30は、上記挿入状態で第二グロメット20を介して取付パネル100に支持される。ブラケット30は、上記挿入状態で、第一グロメット10を介して2本の配索材Wを支持する。ブラケット30は、
図2~
図4に示すように、筒状部31と、フランジ部32と、閉塞部33とを備える。
【0017】
筒状部31は、延在方向に延在し、ブラケット30に2本の配索材Wが挿通された状態において、延在方向に沿って当該配索材Wが挿通される部分である。筒状部31は、延在方向から見た場合、長径と短径とを有する長円形状を有し、長径方向に沿って2本の配索材Wの配列されている。筒状部31は、延在方向の一方の室内側端部にフランジ部32が連結され、他方の室外側端部に閉塞部33が連結される。
【0018】
フランジ部32は、筒状部31の室内側端部から延在方向と直交する方向に突出し環状に形成された部分である。フランジ部32は、筒状部31の径方向外側に向けて延在する。フランジ部32は、延在方向から見た場合、略矩形状を有する。フランジ部32は、延在方向から見た形状が第二グロメット20の形状と略同一である。フランジ部32は、延在方向に貫通する一対のボルト挿入孔36,37を有する。一対のボルト挿入孔36,37は、第二開口部35を挟んで対向する位置に設けられている。第二開口部35は、延在方向に貫通し、延在方向から見た場合、長円形状を有する。第二開口部35には、第二グロメット20の一部が挿入される。ボルト挿入孔36,37は、上述した挿通状態において、取付パネル100のスタッドボルト105,106に挿通される。
【0019】
閉塞部33は、筒状部31の室外側端部から延在方向と直交する方向に突出し環状に形成された部分である。閉塞部33は、筒状部31の径方向内側に向けて延在する。閉塞部33は、延在方向に貫通する第一開口部34を有する。第一開口部34は、延在方向から見た場合、長円形状を有する。第一開口部34には、第一グロメット10が取り付けられる。
【0020】
第一グロメット10は、ブラケット30と配索材Wとの間に配置され、ブラケット30と配索材Wとの間を止水するものである。第一グロメット10は、
図2~
図4に示すように、本体部11と、筒状部12と、連結部13とを含んで構成され、これらが一体となって弾性体として形成される。第一グロメット10は、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性が低く高い可撓性を有する絶縁性の弾性樹脂材料(例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等)により形成される。
【0021】
本体部11は、第一グロメット10がブラケット30の第一開口部34に装着された状態で閉塞部33と配索材Wとの間を止水すると共に、延在方向に沿って配索材Wが挿通される部分である。本体部11は、室外側止水部14A、及び、室内側止水部14Bを含んで構成され、全体として円筒状に形成される。
【0022】
室外側止水部14Aは、ブラケット30の第一開口部34の周りを囲むように環状に形成される。室外側止水部14Aは、閉塞部33の延在方向の一方の面として構成される室外側面33Aに対して接触し、当該室外側面33Aとの間を止水する部分である。室外側止水部14Aは、第一止水突部15を含んで構成される。第一止水突部15は、室外側止水部14Aの径方向外側の端部に設けられ、先端が室外側面33Aに向くように突状に形成されて室外側止水部14Aの環状に沿う環状の外周部として形成される。室外側止水部14Aは、第一グロメット10が第一開口部34に装着された状態で、弾性変形によって第一開口部34の周縁の室外側面33Aに密着し、第一開口部34の全周縁をシールするよう構成される。
【0023】
室内側止水部14Bは、ブラケット30の第一開口部34の周りを囲むように環状に形成される。室内側止水部14Bは、閉塞部33の延在方向の他方の面として構成される室内側面33Bに対して接触し、当該室内側面33Bとの間を止水する部分である。室内側止水部14Bは、第一グロメット10が第一開口部34に装着された状態で、弾性変形によって第一開口部34の周縁の室内側面33Bに密着し、第一開口部34の全周縁をシールするよう構成される。
【0024】
筒状部12は、延在方向に延在し、ブラケット30に2本の配索材Wが挿通された状態において、内側に延在方向に沿って配索材Wが挿通される。筒状部12は、連結部13に対して一体に設けられ、連結部13を介して本体部11に連結される。筒状部12は、取付パネル100の室外側面103から離れるように連結部13から延在方向に沿って延在し、連結部13を貫通するように構成される。筒状部12に挿通された配索材Wは、本体部11を貫通して配置される。筒状部12は、複数が並んで形成される。筒状部12は、2本が第一方向に沿って並んで形成される。1本の筒状部12は、1本の配索材Wを挿通する。1本の配索材Wは、1本の電線として構成される。筒状部12は、第一グロメット10が第一開口部34に装着された状態で、弾性変形によって配索材Wの外周面のうち、室外側にある外周面に密着し、配索材Wの全外周面をシールするよう構成される。
【0025】
連結部13は、筒状部12を囲むように設けられ、筒状部12と本体部11とを繋ぐように形成される。連結部13は、
図4に示すように、断面形状が略S字状に形成されて、延在方向、第一方向、及び、第二方向に撓むことを許容される。
【0026】
第二グロメット20は、ブラケット30と貫通孔101との間に配置され、ブラケット30と取付パネル100との間を止水するものである。第二グロメット20は、
図2~
図4に示すように、本体部と、フランジ部22とを含んで構成され、これらが一体となって弾性体として形成される。第二グロメット20は、第一グロメット10と同様に、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性が低く高い可撓性を有する絶縁性の弾性樹脂材料(例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等)により形成される。
【0027】
本体部21は、延在方向に延在し、ブラケット30に2本の配索材Wが挿通された状態において、内側に当該配索材Wが挿通される部分である。本体部21は、延在方向から見た場合、長径と短径とを有する長円形状を有し、長径方向に沿って2本の配索材Wの配列されている。本体部21は、延在方向の一方の室内側端部にフランジ部22が連結される。
【0028】
フランジ部22は、本体部21の室外側端部から延在方向と直交する方向に突出し環状に形成された部分である。フランジ部22は、本体部21の径方向外側に向けて延在する。フランジ部22は、延在方向から見た場合、略矩形状を有する。フランジ部22は、延在方向に貫通する一対の貫通孔26,27を有する。一対の貫通孔26,27は、開口部28を挟んで対向する位置に設けられている。開口部28は、延在方向に貫通し、延在方向から見た場合、長円形状を有する。開口部28には、ブラケット30の筒状部31が挿入される。貫通孔26,27は、上述した挿通状態において、取付パネル100のスタッドボルト105,106に挿通される。フランジ部22は、第二止水突部23,24,25を含んで構成される。
【0029】
第二止水突部23は、フランジ部22の室外側面に設けられ、先端が室外側に向くように突状に形成されて本体部21の環状に沿って形成される。第二止水突部23は、ブラケット30が第二グロメット20を介して取付パネル100に支持された状態において、取付パネル100の室内側面102に対して延在方向に対向する。
【0030】
第二止水突部24,25は、フランジ部22の室内側面に設けられ、先端が室内側に向くように突状に形成されて開口部28に沿って形成される。第二止水突部24,25は、ブラケット30が第二グロメット20を介して取付パネル100に支持された状態において、ブラケット30のフランジ部32に対して延在方向に対向する。第二止水突部24は、延在方向から見た場合、第二止水突部25より内側に位置し、かつフランジ部22に複数設けられている。
【0031】
シールドリングSRは、
図1、
図4に示すように、編組導体Whの室外面側の端部をブラケット30に固定し、編組導体Whとブラケット30とを電気的に接続するものである。シールドリングSRは、導電性を有する金属材料等で構成され、環状に形成される。シールドリングSRは、当該ブラケット30の筒状部31の外周面との間で編組導体Whの室外面側の端部を挟んだ状態で、ブラケット30に固定される。
【0032】
次に、グロメットユニット1を用いたワイヤハーネスWHの取付方法である取付手順について説明する。なお、ワイヤハーネスWHが取付パネル100の貫通孔101に挿通され、グロメットユニット1が室内側にあるものとする。まず、グロメットユニット1を、取付パネル100の室内側から貫通孔101に挿入しつつ、ボルト挿入孔36,37及び貫通孔26,27にスタッドボルト105,106を挿入する。この場合、貫通孔101に対して第一グロメット10側から挿入し、第二グロメット20の本体部21を貫通孔101の周縁に当接させる。そして、本体部21が貫通孔101の室外側に位置し、かつ第二グロメット20のフランジ部22が取付パネル100の室内側面102に接触するように押し込む。次に、スタッドボルト105,106の室内側端部にカラー120,121を挿通した後、スタッドボルト105,106にナット110,111を螺合させる。そして、インパクトレンチやエアドライバ、ナットランナー等の締付け用工具を用いてナット110,111を締付けて取付パネル100に対してグロメットユニット1を固定する。
【0033】
本実施形態における編組導体Whは、
図4に示すように、ワイヤハーネスWHにおけるグロメットユニット1が取付パネル100に組み付けられた状態において、シールドリングSRによりブラケット30に固定され、当該ブラケット30との間で電気的に接続される。グロメットユニット1が取付パネル100に組み付けられた状態は、上述したブラケット30の一部が貫通孔101に挿通された挿通状態である。ブラケット30は、上記挿通状態にて、フランジ部32が延在方向に室内側面102と対向し、筒状部31が室外側面103から室外側に突出し、ボルト挿入孔36,37にスタッドボルト105,106が挿入される。そして、スタッドボルト105,106にナット110,111が螺合して取付パネル100にフランジ部32が締結されることでブラケット30と取付パネル100との間が電気的に接続される。これにより、取付パネル100に対してグロメットユニット1を室内側から組み付ける組付け作業においても編組導体Whの接地が可能となる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、ブラケット30の一部が貫通孔101に挿通された挿通状態において、フランジ部32が延在方向に室内側面102と対向し、かつ筒状部31が室外側面103から室外側に突出し、かつボルト挿入孔36,37にスタッドボルト105,106が挿入され、当該スタッドボルト105,106にナット110,111が螺合して取付パネル100にフランジ部32が締結されることでブラケット30と取付パネル100との間が電気的に接続される。
【0035】
上記構成により、編組導体Whがブラケット30に固定された状態で、室内側から取付パネル100に対してブラケット30を取り付けることが可能となり、取付パネル100に対して配索材Wを室内側から容易に組み付けることができる。また、ブラケット30と配索材Wとの間が第一グロメット10により止水され、かつブラケット30と取付パネル100との間が第二グロメット20により止水されるので、室内側から組付け作業においても電線間の線間止水が可能となる。さらに、ブラケット30のボルト挿入孔36,37に取付パネル100のスタッドボルト105,106が挿入されスタッドボルト105,106にナット110,111が螺合して取付パネル100にフランジ部32が締結されることでブラケット30と取付パネル100との間が電気的に接続されるので、室内側から組付け作業においても編組導体Whの接地が可能となる。このように、電線間の線間止水と編組導体Whの接地が可能で、かつ取付パネル100に対して配索材Wを室内側から容易に組み付けることができる。
【0036】
なお、上述した本発明の実施形態に係るワイヤハーネスWH、及び、ワイヤハーネスWHの取付方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。また、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。また、ワイヤハーネスWHは、コルゲートチューブ、樹脂テープ、プロテクタ等の外装部材、電気接続箱、固定具など種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、配索材Wは、高圧系に用いられる太物の電線によって構成されるものとして説明したがこれに限らず、金属棒、電線束等によって構成されてもよい。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、電線を束ねたものである。
【0038】
また、上記実施形態では、筒状部31は、延在方向から見た場合長円形状を有するが、これに限定されず、円形状を有するものであってもよい。また、筒状部31は、配索材Wが1本の場合に、延在方向から見た形状が円形状であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 グロメットユニット
10 第一グロメット
20 第二グロメット
30 ブラケット
31 筒状部
32 フランジ部
36,37 ボルト挿入孔
100 取付パネル
101 貫通孔
102 室内側面
103 室外側面
105,106 スタッドボルト
110,111 ナット
WH ワイヤハーネス
W 配索材
Wh 編組導体
SR シールドリング