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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169992
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20231124BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081390
(22)【出願日】2022-05-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】518063159
【氏名又は名称】マニフォールド有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】宮本 芳孝
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307AA01
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA49
2B307BA69
(57)【要約】
【課題】ルアー本体の材料に関わらず、硬質材料からなるリップを交換し易いルアーを提案する。
【解決手段】所定硬さの材料からなる擬似外観部の内部に、該擬似外観部と同等以上の硬さの硬質材料からなる平板状の基体部21が設けられたルアー本体と、該ルアー本体に取り付けられる硬質材料のリップ3とを備え、該基体部21に形成された嵌合スリット部37と、該リップ3に形成された被嵌合スリット部51とが着脱可能に嵌合された構成である。かかる構成は、ルアー本体の擬似外観部の材料に関わらず、リップ3の取り付けと取り外しとを比較的容易に行うことができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー本体と該ルアー本体から突出される板状のリップとを備え、魚釣りに使用されるルアーであって、
前記ルアー本体は、
所定硬さの材料により形成され、魚体の外観を模造した擬似外観部と、
前記擬似外観部の材料と同等以上の硬さを有する硬質材料により形成され、前記擬似外観部の内部に設けられた平板状の基体部と
を備えてなり、
前記ルアー本体の基体部が、その外周縁から切り込み形成された嵌合スリット部を備えると共に、前記リップが、前記擬似外観部の材料と同等以上の硬さを有する硬質材料により形成され、前記基体部の嵌合スリット部に着脱可能に嵌め合わされる被嵌合部を備え、
さらに、前記擬似外観部は、前記基体部の嵌合スリット部に臨む部位に設けられて、該基体部に取り付けられるリップを差し込む差込口部を備えたものであることを特徴とするルアー。
【請求項2】
擬似外観部は、基体部を全体的に覆う外装部と、該外装部と該基体部との間に設けられた内装部とを備え、
前記外装部を形成する材料が皮材料であり、前記内装部を形成する材料がポリエチレン材料であることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに使用されるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
ルアーには、水の抵抗を受ける板状のリップを備え、釣り人の操作により生き餌のように泳動させることができる構成が知られている。こうしたルアーには、プラスチック材料等の硬質材料により形成されたものと、合成ゴム等の軟質材料により形成されたものとがある。そして、一般的に、硬質材料のルアーには、硬質材料のリップが設けられ、軟質材料のルアーには、軟質材料のリップが一体的に設けられている。
【0003】
軟質材料のルアーは、魚が食いついた際に、生き餌と同じような感触を生じさせることができるという利点を有するものの、軟質材料のリップでは、水の抵抗に対して弱く、操作が難しい。そのため、例えば特許文献1のように、硬質材料の芯材が軟質材料の表面材により被覆された構成も提案されており、該芯材に、硬質材料のリップが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3090416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ルアーは、サイズや形状の異なるリップに取り替えることにより、操作性と泳動の動きとを変えることができる。そのため、釣り場所の状況や環境などに応じて、適宜リップを取り替えることによって釣果を高めることができる。
前述した硬質材料のルアーには、硬質材料のリップを取り替え可能に設けた構成がある。しかし、リップの取り替え可能な構成は、ルアーとリップとが共に硬質材料からなる構成に限られていた。尚、前述した特許文献1の従来構成は、リップが芯材に一体的に設けられていることから、該リップを取り替えることができない。
【0006】
本発明は、ルアーの材料に関わらず、硬質材料のリップを交換し得るルアーを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ルアー本体と該ルアー本体から突出される板状のリップとを備え、魚釣りに使用されるルアーであって、前記ルアー本体は、所定硬さの材料により形成され、魚体の外観を模造した擬似外観部と、前記擬似外観部の材料と同等以上の硬さを有する硬質材料により形成され、前記擬似外観部の内部に設けられた平板状の基体部とを備えてなり、前記ルアー本体の基体部が、その外周縁から切り込み形成された嵌合スリット部を備えると共に、前記リップが、前記擬似外観部の材料と同等以上の硬さを有する硬質材料により形成され、前記基体部の嵌合スリット部に着脱可能に嵌め合わされる被嵌合部を備え、さらに、前記擬似外観部は、前記基体部の嵌合スリット部に臨む部位に設けられて、該基体部に取り付けられるリップを差し込む差込口部を備えたものであることを特徴とするルアーである。
ここで、硬質材料は、擬似外観部の材料と同等の硬さを有する材料、又は該擬似外観部の材料に比して硬い材料を言う。基体部とリップとは、同じ硬質材料であっても良いし、互いに異なる硬質材料であっても良い。
【0008】
かかる構成にあっては、基体部の嵌合スリット部にリップの被嵌合部を嵌め合わせることにより、該リップを該基体部に取り付けることができると共に、リップを基体部から引張って被嵌合部と嵌合スリット部との嵌め合わせを解除することにより、該リップを取り外すことができる。このように本構成は、硬質材料により形成した基体部とリップとを被嵌合部と嵌合スリット部との嵌合により取り付けるものであるから、擬似外観部の材料に関わらず、該リップの取り付けと取り外しとを比較的容易に行うことができ、該リップの交換を容易に行うことができる。
【0009】
さらに、本構成にあって、擬似外観部が、基体部の硬質材料やリップの硬質材料に比して軟質な軟質材料により形成された構成であれば、魚が食いついた際に生き餌と同じような感触を生じさせることができると共に、硬質材料のリップによって、釣り人が所望の操作を行い易い。
【0010】
前述した本発明のルアーにあって、擬似外観部は、基体部を全体的に覆う外装部と、該外装部と該基体部との間に設けられた内装部とを備え、前記外装部を形成する材料が皮材料であり、前記内装部を形成する材料がポリエチレン材料である構成が提案される。
【0011】
かかる構成にあっては、擬似外観部が、皮材料の外装部とポリエチレン材料の内装部とを備えることから、魚が食いついた際に、より生き餌に近い感触を与えることができるため、釣果の向上に寄与できる。ここで、皮材料は、合皮と天然皮(本革)とのいずれであっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明のルアーは、前述したように、ルアー本体の擬似外観部の材料に関わらず、硬質材料のリップを容易に交換することができる。これにより、釣り場所の状況や環境などに応じて適宜リップを交換できるため、釣り果の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例のルアー1の、(A)側面図と、(B)縦断面図である。
図2】ルアー本体2の第一本体部11の、(A)側面図と、(B)正面図である。
図3】第一基体部21の側面図である。
図4】リップ3の、(A)平面図と、(B)正面図である。
図5】(A)リップ3を取り付けた第一基体部21を示す斜視図と、(B)リップ3を取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を具体化した実施例を、添付図面を用いて説明する。尚、実施例にあって、前方は、模造した魚体の頭部側を示し、後方は、該魚体の尻尾側を示す。そして、上方は、前記魚体の背側を示し、下方は、該魚体の腹側を示す。
【0015】
図1に、本実施例のルアー1を示す。ルアー1は、ルアー本体2とリップ3とにより構成され、該リップ3がルアー本体2に着脱可能に取り付けられたものである。
【0016】
ルアー本体2は、第一本体部11と第二本体部12と尾ヒレ部13とが前後方向に列ねられた構成であり、該第一本体部11と該第二本体部12とが相対的に揺動自在に連結されていると共に、該第二本体部12と該尾ヒレ部13とが相対的に揺動自在に連結されている。
【0017】
第一本体部11は、所定形状の金属板(例えば、ステンレス材料の板)からなる第一基体部21と、該第一基体部21を覆う第一擬似外観部22とから構成されており、該第一擬似外観部22が前記第二本体部12の第二擬似外観部42と共に魚体の外観を模して形成されている。第一基体部21は、図1~3に示すように、前端部に釣り糸や釣り針を連結できる複数の開口部31が設けられていると共に、後端部に前記第二本体部12と連結される複数の開口部32が上下に並設されている。ここで、前端部の各開口部31には、釣り糸が接続されたり、釣り針が連結されたりする。後端部の各開口部32は、リング部材39を介して第二本体部12に連結されている。さらに、第一基体部21には、下方へ突出する突部(図示せず)が設けられており、当該突部に開口部33が設けられている。この開口部33には釣り針が連結される。こうした第一基体部21は、各開口部31,32,33が前記第一擬似外観部22から露出するように設けられている。
【0018】
さらに、第一基体部21は、前端部寄り部位に、外周縁の下部から斜め上方へ切り込まれた嵌合スリット部37が形成されている。この嵌合スリット部37は、その幅が、前記リップ3の板厚と略同じ寸法に設定されており、後述するリップ3の被嵌合スリット部51と嵌め合わせることができる。
【0019】
第一擬似外観部22は、前記第一基体部21を覆うポリエチレン材料からなる第一内装部23と、該第一内装部23を覆う皮(合皮)材料からなる第一外装部24とを備え、第一外装部24が、図1,2に示すように、前述したように魚体の外観を模造した形態となっている。そして、第一内装部23と第一外装部24とには、前記第一基体部21の各開口部31~33を夫々露出させる穴部(図示せず)が設けられると共に、該第一基体部21の嵌合スリット部37に嵌合されるリップ3を差し込む差込口部27が設けられている。この差込口部27は、前記第一基体部21の嵌合スリット部37を臨む部位に設けられている。
【0020】
第二本体部12は、図1に示すように、所定形状の金属板(例えば、ステンレス材料の板)からなる第二基体部41と、該第二基体部41を覆う第二擬似外観部42とから構成されており、該第二擬似外観部42が前記第一擬似外観部22と共に魚体の外観を模して形成されている。第二基体部41は、前端部と後端部とに夫々複数の開口部44,45を備え、前端部の各開口部44が、前記第一基体部21の各開口部32とリング39を介して連結されている。第二擬似外観部42は、第二基体部41を覆うポリエチレン材料からなる第二内装部48と、該第二内装部48を覆う皮(合皮)材料からなる第二外装部49とを備え、第二外装部49が、前述したように魚体の外観を模造した形態となっている。そして、第二内装部48と第二外装部49とには、前記第二基体部41の各開口部44,45を露出させる穴部(図示せず)が設けられている。
【0021】
尾ヒレ部13は、魚の尾ヒレを模造して、皮(合皮)材料から形成されている。この尾ヒレ部13の前端部には、複数の開口部29が設けられており、各開口部29が、前記第二基体部41の開口部45とリング39を介して連結されている。
【0022】
本実施例にあっては、相互に揺動自在に連結された前記第一基体部21と前記第二基体部41とにより、本発明にかかる基体部が構成されている。そして、前記第一擬似外観部22と第二擬似外観部42とにより、本発明にかかる擬似外観部が構成されている。
【0023】
一方、リップ3は、図4に示すように、透明かつ硬質なプラスチック材料により平板状に形成されており、その外周縁から切り込み形成された被嵌合スリット部51を備える。被嵌合スリット部51は、その幅が、前記第一基体部21の板厚と略同じ寸法に形成されており、該第一基体部21の嵌合スリット部37と嵌め合わせることができる。こうしたリップ3は、図5(A)に示すように、被嵌合スリット部51が前記第一基体部21の嵌合スリット部37に嵌め合わされることによって、該第一基体部21に取り付けられる一方、図5(B)に示すように、この嵌め合わせを解除されることによって、該第一基体部21から取り外される。尚、被嵌合スリット部51が、本発明にかかる被嵌合部に相当する。
【0024】
ここで、リップ3と第一基体部21とが硬質材料により形成され且つ被嵌合スリット部51と嵌合スリット部37とが夫々前記幅で設けられていることから、両者が嵌め合わされた状態で、リップ3と第一基体部21とを比較的しっかりと固定される。これにより、ルアー1の泳動中にリップ3がルアー本体2から外れてしまうことを抑制できる。
【0025】
ルアー1では、図1に示すように、リップ3が第一本体部11の第一擬似外観部22の差込口部27を介して第一基体部21に取り付けられ、当該リップ3が第一本体部11から斜め下方へ突出されている。
【0026】
本実施例のルアー1は、リップ3の被嵌合スリット部51と第一基体部21の嵌合スリット部37とが嵌合されることによって、該リップ3がルアー本体2に取り付けられたものであり、該リップ3を比較的容易に着脱することができる。例えば、リップ3を交換する際には、該リップ3を引張って取り外した後に、新たなリップ3をルアー本体2の差込口部27を介して差し込んで、当該リップ3の被嵌合スリット部51を第一基体部21の嵌合スリット部37に嵌め合われことによって取り付けることができる。加えて、このリップ3の取り付けには、ネジ等の固定手段を別途要しない。このようにリップ3の交換を容易に行うことができることから、釣り場所の状況や環境などに応じて適宜リップ3を交換でき、釣り果を高めることができる。さらに、リップ3が被嵌合スリット部51と第一基体部21の嵌合スリット部37との嵌合により比較的しっかりと取り付けられる構成であるから、泳動中に外れてしまうことを抑制でき、所望の釣り果を安定して得られ易い。
【0027】
さらに、ルアー本体2は、金属板の第一,第二基体部21,41により当該ルアー本体2の骨格構造が形成されたものであるから、壊れ難いという利点がある。また、本実施例のルアー1は、リップ3が硬質材料(プラスチック材料)により形成されていることから、泳動中における水の抵抗に強く、釣り人が操作し易いという利点がある。
【0028】
また、ルアー本体2は、金属製の第一,第二基体部21,41を、ポリエチレン材料製の第一,第二内装部と皮材料製の第一,第二外装部とにより覆った構成であることから、魚が食いついた際に、生き餌に近い感触を与えることができる。特に、本実施例のルアー本体2は、第一,第二外装部24,49および尾ヒレ部13が皮材料により形成されていることから、水温による該ルアー本体2の温度低下を抑制できる。これにより、前記温度低下による魚の食いつき性が低減してしまうことを抑制でき、生き餌に近い感触を与えるという前述の効果が一層向上する。したがって、本実施例のルアー1は、例えばプラスチック等の硬質材料からなるルアーに比して、釣り果の飛躍的な向上が期待できる。
【0029】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、前述の実施例における各部の寸法形状は、適宜変更することができる。
また、実施例では、ルアー本体が第一本体部と第二本体部と尾ヒレ部とに三分割されたものであるが、これに限らず、二分割や五分割などの構成とすることもできる。
また、実施例では、第一,第二本体部が、第一,第二基体部と第一,第二擬似外観部とにより構成されるものとしたが、これに限らず、例えば、リップを取り付ける第一本体部のみが第一基体部と第一擬似外観部とにより構成され、第二本体部が第二擬似外観部のみにより構成されるものであっても良い。この場合には、第一基体部が本発明の基体部に相当し、第二擬似外観部が本発明の擬似外観部に相当する。
また、実施例では、第一,第二擬似外観部が皮材料とポリエチレン材料とにより形成されたものであるが、これに限らず、他の材料により形成することもできる。例えば、第一,第二外装部を皮材料により形成し且つ第一,第二内装部をウレタン材料やゴム材料により形成したものとしても良い。又は、第一,第二擬似外観部をゴム材料により形成したものとしても良い。このように擬似外観部を形成する材料に関わらず、実施例と同様にリップの交換を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 ルアー
2 ルアー本体
3 リップ
11 第一本体部
12 第二本体部
13 尾ヒレ部
21 第一基体部
22 第一擬似外観部
23 第一内装部
24 第一外装部
27 差込口部
29 開口部
31~33 開口部
37 嵌合スリット部
39 リング
41 第二基体部
42 第二擬似外観部
44,45 開口部
48 第二内装部
49 第二外装部
51 被嵌合スリット部(被嵌合部)
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1