(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169995
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】パーキングブレーキ制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 17/22 20060101AFI20231124BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20231124BHJP
B60T 7/00 20060101ALI20231124BHJP
B60T 3/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B60T17/22 C
B60T7/12 B
B60T7/00 A
B60T3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081400
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】濱口 裕
【テーマコード(参考)】
3D049
3D124
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB08
3D049HH40
3D049HH47
3D049QQ01
3D049RR05
3D124AA07
3D124BB02
3D124CC42
3D124DD54
3D246DA02
3D246GB15
3D246GC11
3D246HA51A
3D246JB11
3D246MA16
(57)【要約】
【課題】輪止めが設置された状態での車両の発進を防止する。
【解決手段】パーキングブレーキ制御装置100は、車両Vに設けられた輪止め収納部3への輪止めWの収納の有無を検出する収納検出部11と、収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されない場合、パーキングブレーキ2を作動させるブレーキ制御部13と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のパーキングブレーキを制御するパーキングブレーキ制御装置であって、
前記車両に設けられた輪止め収納部への輪止めの収納の有無を検出する収納検出部と、
前記収納検出部によって前記輪止めの収納が検出されない場合、前記パーキングブレーキを作動させるブレーキ制御部と、を備えるパーキングブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記輪止め収納部への前記輪止めの収納を支障する収納支障状態と、前記輪止めの収納を許容する収納許容状態とに状態を切り替え可能な支障構造と、
前記収納支障状態から前記収納許容状態への前記支障構造の状態の切り替えを解除可能に禁止する施錠部を、を更に備える、請求項1に記載のパーキングブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記支障構造の状態を検出する支障状態検出部を更に備え、
前記ブレーキ制御部は、
前記収納検出部によって前記輪止めの収納が検出されていないときに前記支障状態検出部によって前記支障構造が前記収納支障状態から前記収納許容状態になったことが検出され、その後に前記収納検出部によって前記輪止めの収納が検出された場合、前記パーキングブレーキの作動を解除し、
前記収納検出部によって前記輪止めの収納が検出されていない状態かつ前記支障状態検出部によって前記支障構造が前記収納支障状態であることが検出されている状態から、前記支障状態検出部によって前記支障構造が前記収納許容状態となったことが検出されること無く前記収納検出部によって前記輪止めの収納が検出された場合、前記パーキングブレーキの作動を解除しない、請求項2に記載のパーキングブレーキ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のパーキングブレーキを制御するパーキングブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型車等の車両には、タイヤの前後(前及び/又は後ろ)に設置する輪止めが搭載されている。このような車両に対して整備作業等を行う際には、タイヤに輪止めを設置し、車両の発進を防止している。特に、エンジンを作動させた状態で行う作業もあり、車両が自動運転車両である場合には自動運転や遠隔指示による誤発進を防ぐために、輪止めが必要となる。
【0003】
車両に対して作業を行う際の車両の発進を防止する装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この装置では、車両に対して作業を実施するときに意図しない車両の起動を防ぐため、車両を起動させる起動回路を遮断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
輪止めを用いて車両の発進を防止する場合、作業終了後に輪止めが外されているか否かの確認を忘れ、輪止めが設置されたまま車両を発進させてしまうことが考えられる。上記特許文献1に記載された装置では、輪止めの取り外し有無までは考慮されていない。
【0006】
そこで、本発明は、輪止めが設置された状態での車両の発進を防止できるパーキングブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパーキングブレーキ制御装置は、車両のパーキングブレーキを制御するパーキングブレーキ制御装置であって、車両に設けられた輪止め収納部への輪止めの収納の有無を検出する収納検出部と、収納検出部によって輪止めの収納が検出されない場合、パーキングブレーキを作動させるブレーキ制御部と、を備える。
【0008】
このパーキングブレーキ制御装置は、収納検出部によって輪止めの収納が検出されない場合、パーキングブレーキを作動させることによって車両が発進できないようにしている。つまり、輪止めがタイヤの前後から取り外されて収納されないと、車両は発進できない。このように、パーキングブレーキ制御装置は、輪止めが設置された状態での車両の発進を防止できる。
【0009】
パーキングブレーキ制御装置は、輪止め収納部への輪止めの収納を支障する収納支障状態と、輪止めの収納を許容する収納許容状態とに状態を切り替え可能な支障構造と、収納支障状態から収納許容状態への状態の切り替えを解除可能に禁止する施錠部と、更に備えていてもよい。
【0010】
このパーキングブレーキ制御装置では、例えば、車両の整備を行う作業者が、輪止めをタイヤの前後に設置し、支障構造が収納支障状態から収納許容状態へ切り替わらないように施錠部を施錠する。この状態では、第三者は、施錠部が施錠されていることによって、輪止め収納部に輪止めを収納することができない。これにより、パーキングブレーキ制御装置は、第三者等によって輪止めが輪止め収納部に意図せず収納されてしまうことを防止し、車両の意図しない発進を防止することが可能となる。
【0011】
パーキングブレーキ制御装置は、支障構造の状態を検出する支障状態検出部を更に備え、ブレーキ制御部は、収納検出部によって輪止めの収納が検出されていないときに支障状態検出部によって支障構造が収納支障状態から収納許容状態になったことが検出され、その後に収納検出部によって輪止めの収納が検出された場合、パーキングブレーキの作動を解除し、収納検出部によって輪止めの収納が検出されていない状態かつ支障状態検出部によって支障構造が収納支障状態であることが検出されている状態から、支障状態検出部によって支障構造が収納許容状態となったことが検出されること無く収納検出部によって輪止めの収納が検出された場合、パーキングブレーキの作動を解除しなくてもよい。
【0012】
ここで、上記の「収納検出部によって輪止めの収納が検出されていないときに支障状態検出部によって支障構造が収納支障状態から収納許容状態になったことが検出され、その後に収納検出部によって輪止めの収納が検出された場合」とは、輪止めの収納のために作業者が支障構造を収納許容状態に切り替え、輪止め収納部に収納された輪止めが収納検出部によって検出された場合である。つまり、支障構造が切り替えられて、輪止め収納部に輪止めが正しく収納された場合である。この場合、パーキングブレーキ制御装置は、パーキングブレーキの作動を解除することで、輪止めの収納に応じた適切なパーキングブレーキの制御が可能となる。
【0013】
一方、上記の「収納検出部によって輪止めの収納が検出されていない状態かつ支障状態検出部によって支障構造が収納支障状態であることが検出されている状態から、支障状態検出部によって支障構造が収納許容状態となったことが検出されること無く収納検出部によって輪止めの収納が検出された場合」とは、支障構造が収納許容状態に切り替えられていないにも関わらず、収納検出部によって輪止めの収納が検出された場合である。つまり、支障構造が切り替えられていないため、輪止め収納部に輪止めが正しく収納されていない状態である。この場合、パーキングブレーキ制御装置は、パーキングブレーキの作動を解除しないことで、輪止めの収納に応じた適切なパーキングブレーキの制御が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、輪止めが設置された状態での車両の発進を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係るパーキングブレーキ制御装置が適用された車両の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、輪止め収納部を横方向から見た断面図である。
【
図4】
図4は、ブレーキ制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1に示されるパーキングブレーキ制御装置100は、自動運転車両等の車両Vに設けられたパーキングブレーキ2を制御する。この車両Vは、輪止めWを2つ備え、さらに2つの輪止めWを収納する輪止め収納部3を備えている。但し、車両Vに備えられる輪止めWの個数及び輪止め収納部3に収納される輪止めWの個数は2個に限定されない。輪止めWは、タイヤTの前後に設置され、車両Vの発進を防止するためのものである。輪止めW及びパーキングブレーキ2としては、周知の種々の構成を用いることができる。また、車両Vは、車両Vの作業者等に対して情報を提示する報知部4を備えている。報知部4は、例えは、音を出力するスピーカ、ディスプレイ等の表示機器、ランプ等を備えている。
【0018】
まず、輪止め収納部3周りの構成について説明する。
図2及び
図3に示されるように、輪止め収納部3は、開口部3aを有する箱状を呈している。輪止め収納部3は、開口部3aを介して内部に輪止めWを収納し、開口部3aを介して輪止めWを取り出すことができる。輪止め収納部3は、例えば車両VのタイヤTの近傍の位置等の適宜の位置に設けられている。
【0019】
輪止め収納部3には、開口部3aを開閉可能に覆う板状の蓋(支障構造)31が設けられている。例えば、蓋31は、ヒンジ等によって、輪止め収納部3の開口部3aの縁部に揺動可能に取り付けられている。
【0020】
蓋31が閉じられた状態(
図2において二点鎖線で示される状態)では、輪止め収納部3に輪止めWを収納することができず、輪止め収納部3から輪止めWを取り出すことができない。つまり、蓋31が閉じられた状態とは、輪止め収納部3への輪止めWの収納を支障する収納支障状態となる。
【0021】
また、蓋31が開けられた状態(
図2において実線で示される状態)では、輪止め収納部3に輪止めWを収納することができ、輪止め収納部3から輪止めWを取り出すことができる。つまり、蓋31が開けられた状態とは、輪止め収納部3への輪止めWの収納を許容する収納許容状態となる。
【0022】
このように、蓋31は、収納支障状態(閉じられた状態)と収納許容状態(開けられた状態)とに状態を切り替えることができる。なお、蓋31は、開口部3aの全体を覆っていてもよく、輪止め収納部3への輪止めWの収納を支障することができれば開口部3aの一部のみを覆っていてもよい。また、蓋31は、収納支障状態と収納許容状態とに状態を切り替え可能であれば、輪止め収納部3に取り付けられていてもよく、輪止め収納部3から取り外し可能であってもよい。
【0023】
輪止め収納部3には、閉じられた状態(収納支障状態)から開けられた状態(収納許容状態)への蓋31の状態の切り替えを解除可能に禁止する施錠部32が設けられている。例えば、施錠部32は、蓋31に取り付けられ、輪止め収納部3の開口部3aの縁部に係合することにより、蓋31が開かないようにする構成であってもよい。蓋31の状態の切り替えを解除可能に禁止することができれば、施錠部32の構成は特に限定されない。例えば、施錠部32は、錠と鍵とを備え、作業者が鍵を用いることによって施錠される構成であってもよい。
【0024】
ここでは、作業者は、輪止め収納部3から輪止めWを取り出した後に蓋31を閉じ、蓋31が開かないように施錠部32を施錠する。これにより、第三者によって、輪止め収納部3に輪止めWが意図せず収納されてしまうことを防止できる。また、作業者は、輪止め収納部3に輪止めWを収納した後、輪止めWが取り出されないように、施錠部32を施錠することもできる。
【0025】
輪止め収納部3には、収納センサS1及び状態センサS2が設けられている。収納センサS1は、輪止め収納部3内への輪止めWの収納の有無を検出する。収納センサS1は、例えば非接触センサであってもよく、物理的に接触して有無を検出するスイッチであってもよい。収納センサS1は、例えば、輪止め収納部3の内面に設けられていてもよい。収納センサS1は、輪止め収納部3内に収納される2つの輪止めWのそれぞれの有無を検出することができる。本実施形態において収納センサS1は、2個設けられている(
図3参照)。また、収納センサS1は、輪止め収納部3の開口部3aから届きにくい奥側の位置に設けられているとよい。
【0026】
状態センサS2は、蓋31の状態を検出する。ここでは、状態センサS2は、蓋31が開けられた状態であるか、閉じられた状態であるかを検出することができる。蓋31の状態を検出することができれば、状態センサS2の種類及び設置位置は限定されない。
【0027】
次に、制御装置1の詳細について説明する。
図4に示される制御装置1は、物理的には、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットによって構成されている。この電子制御ユニットでは、例えば、ROM又はRAMに記録されているプログラムをCPUで実行することにより、以下で説明する各種の機能が実現される。制御装置1は、機能的には、収納検出部11、支障状態検出部12、ブレーキ制御部13、及び報知制御部14を備えている。
【0028】
収納検出部11は、収納センサS1の検出結果に基づいて、輪止め収納部3への輪止めWの収納の有無を検出する。ここでは、収納検出部11は、輪止め収納部3内に輪止めWが2個とも収納されているか否かを検出する。
【0029】
支障状態検出部12は、状態センサS2の検出結果に基づいて、蓋31の状態を検出する。ここでは、支障状態検出部12は、蓋31が閉じられた状態であるか開けられた状態であるかを検出する。
【0030】
ブレーキ制御部13は、パーキングブレーキ2の制御を行う。ここでは、ブレーキ制御部13は、収納検出部11によって輪止め収納部3への輪止めWの収納が検出されない場合、パーキングブレーキ2を作動させる。これにより、例えば、車両Vの整備等のために作業者が輪止め収納部3から輪止めWを取り出してタイヤTの前後に設置した場合、パーキングブレーキ2が作動し、車両Vの発進が防止される。
【0031】
一方、ブレーキ制御部13は、収納検出部11によって輪止め収納部3に輪止めWが収納されていることが検出されている場合、輪止めWの収納の有無に基づくパーキングブレーキ2の作動を解除する。この場合、パーキングブレーキ2は、輪止めWの有無以外の制御に基づいて作動状態とされてもよい。
【0032】
また、より精度よくパーキングブレーキ2の作動を解除するため、ブレーキ制御部13は、収納検出部11の検出結果に加え、支障状態検出部12の検出結果も用いる。具体的には、ブレーキ制御部13は、収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されていないときに支障状態検出部12によって蓋31が閉じられた状態から開けられた状態になったことが検出され、その後に収納検出部11によって輪止めWの収納が検出された場合、パーキングブレーキ2の作動を解除する。
【0033】
なお、ここでの「収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されていないときに支障状態検出部12によって蓋31が閉じられた状態から開けられた状態になったことが検出され、その後に収納検出部11によって輪止めWの収納が検出された場合」とは、輪止めWの収納のために作業者が蓋31を開け、輪止め収納部3に収納された輪止めWが検出された場合である。つまり、蓋31が開けられて、輪止め収納部3に輪止めWが正しく収納された場合である。この場合、ブレーキ制御部13は、パーキングブレーキ2の作動を解除する。これにより、車両Vの発進が可能となる。
【0034】
一方、ブレーキ制御部13は、収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されていない状態かつ支障状態検出部12によって蓋31が閉じられていることが検出されている状態から、支障状態検出部12によって蓋31が開けられた状態となったことが検出されること無く収納検出部11によって輪止めWの収納が検出された場合、パーキングブレーキ2の作動を解除しない。
【0035】
なお、ここでの「収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されていない状態かつ支障状態検出部12によって蓋31が閉じられていることが検出されている状態から、支障状態検出部12によって蓋31が開けられた状態となったことが検出されること無く収納検出部11によって輪止めWの収納が検出された場合」とは、蓋31が開けられていないにも関わらず、収納検出部11によって輪止めWの収納が検出された場合である。つまり、蓋31が開けられていないため、輪止め収納部3に輪止めWが正しく収納されていない状態である。
【0036】
なお、輪止め収納部3に輪止めWが正しく収納されていない状態とは、例えば輪止めWが正しく収納されているように見せかけるために、通常とは異なる方法が採られた等の場合に生じ得る。ここでは、蓋31が閉じられて施錠部32が施錠されている場合、第三者は蓋31を開けることができず、輪止め収納部3に輪止めWを収納することができない。このため、第三者は、パーキングブレーキ2の作動を解除したい場合、例えば、輪止め収納部3と蓋31との隙間等から棒を差し込んで収納センサS1を作動させ、輪止めWが収納されているように見せかけることが考えられ得る。このように、輪止め収納部3に輪止めWが正しく収納されていない状態である場合、ブレーキ制御部13は、パーキングブレーキ2の作動を解除せず、パーキングブレーキ2の作動状態を維持する。これにより、輪止めWが正しく収納されていない状態では、車両Vは発進できない。
【0037】
報知制御部14は、報知部4を用いて報知を行う。ここでは、報知制御部14は、整備等の作業の終了時に収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されない場合、輪止めWが収納されていないことを報知部4を通じて報知する。また、報知制御部14は、車両Vの運行終了時等の時に収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されている場合、輪止めWの設置が忘れられていることを報知部4を通じて報知してもよい。
【0038】
本実施形態では、収納検出部11、支障状態検出部12、ブレーキ制御部13、蓋31、及び施錠部32によって、車両Vのパーキングブレーキ2を制御するパーキングブレーキ制御装置100が構成されている。
【0039】
以上のように、このパーキングブレーキ制御装置100は、収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されない場合、パーキングブレーキ2を作動させ、車両Vが発進できないようにしている。つまり、輪止めWがタイヤTの前後から取り外されて収納されないと、車両Vは発進できない。このように、パーキングブレーキ制御装置100は、輪止めWが設置された状態での車両Vの発進を防止できる。また、パーキングブレーキ制御装置100は、輪止めWの収納の有無を検出することにより、輪止めWが設置された状態での車両Vの発進を簡易に防止できる。
【0040】
ここで、車両Vの整備作業等を行う場合、車両Vのキーを抜き取ることにより発進を防止することができる。しかしながら、キーを抜き取ると、エンジン作動時(アイドリング時)にしか行えない点検作業を行うことができない。これに対して本実施形態のパーキングブレーキ制御装置100では、パーキングブレーキ2を作動させることによって車両Vの発進を防止する構成であるため、エンジンを作動時にしか行えない作業を行う際にも、車両Vの発進を防止できる。
【0041】
パーキングブレーキ制御装置100は、輪止め収納部3の開口部3aを開閉可能な蓋31を備えている。さらに、パーキングブレーキ制御装置100は、蓋31が閉じられた状態から開けられた状態への状態の切り替えを禁止する施錠部32が設けられている。このため、このパーキングブレーキ制御装置100では、例えば、車両Vの整備を行う作業者が、輪止めWをタイヤTの前後に設置し、蓋31が閉じられた状態から開けられないように施錠部32を施錠する。この状態では、第三者は、施錠部32が施錠されていることによって、輪止め収納部3に輪止めWを収納することができない。これにより、パーキングブレーキ制御装置100は、第三者等によって意図せず輪止め収納部3に輪止めWが収納されてしまうことを防止し、車両Vの意図しない発進を防止することが可能となる。
【0042】
ブレーキ制御部13は、収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されていないときに支障状態検出部12によって蓋31が閉じられた状態から開けられた状態になったことが検出され、その後に収納検出部11によって輪止めWの収納が検出された場合、パーキングブレーキ2の作動を解除する。つまり、この検出が行われた場合とは、蓋31が開けられて、輪止め収納部3に輪止めWが正しく収納された場合である。この場合、ブレーキ制御部13は、パーキングブレーキ2の作動を解除することで、輪止めWの収納に応じた適切なパーキングブレーキ2の制御が可能となる。
【0043】
一方、ブレーキ制御部13は、収納検出部11によって輪止めWの収納が検出されていない状態かつ支障状態検出部12によって蓋31が閉じられていることが検出されている状態から、支障状態検出部12によって蓋31が開けられた状態となったことが検出されること無く収納検出部11によって輪止めWの収納が検出された場合、パーキングブレーキ2の作動を解除しない。つまり、この検出が行われた場合とは、蓋31が開けられていないため、輪止め収納部3に輪止めWが正しく収納されていない場合である。この場合、パーキングブレーキ制御装置100は、パーキングブレーキ2の作動を解除せずに作動状態を維持し、車両Vの発進を禁止する。このように、パーキングブレーキ制御装置100は、輪止めWの収納に応じた適切なパーキングブレーキ2の制御が可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、パーキングブレーキ制御装置100は、輪止め収納部3への輪止めWの収納を支障する支障構造として、蓋31を用いることに限定されない。例えば、パーキングブレーキ制御装置100は、支障構造として輪止め収納部3の開口部3aを横切るように配置可能な支障物(例えば、棒状部材等)を備えていてもよい。この支障物は、収納支障状態と収納許容状態とに状態を切り替え可能であれば、輪止め収納部3に取り付けられていてもよく、輪止め収納部3から取り外し可能であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
2…パーキングブレーキ、3…輪止め収納部、11…収納検出部、12…支障状態検出部、13…ブレーキ制御部、31…蓋(支障構造)、32…施錠部、100…パーキングブレーキ制御装置、V…車両、W…輪止め。