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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169999
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/20 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H01H73/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081410
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
(72)【発明者】
【氏名】新美 貴広
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030EA01
5G030EA02
5G030XX12
5G030XX20
5G030YY04
(57)【要約】
【課題】電線の係合を解除する解除レバーを容易に組み付けることができる回路遮断器を提供する。
【解決手段】
回路遮断器は、電線の端部と係合可能な端子座と、第1方向に回転することで端子座における電線の係合を解除可能な解除レバーと、解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、解除レバーを端子座に対して第1方向及び第2方向に回動可能に支持する回動軸と、を備え、回動軸は、解除レバーに対して移動不能に固定され、回動軸は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、第1方向及び第2方向に回動可能に端子座に嵌合する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部と係合可能な端子座と、
第1方向に回転することで前記端子座における前記電線の係合を解除可能な解除レバーと、
前記解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、
前記解除レバーを前記端子座に対して前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に支持する回動軸と、
を備え、
前記回動軸は、前記解除レバーに対して移動不能に固定され、
前記回動軸は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に前記端子座に嵌合する、
回路遮断器。
【請求項2】
前記端子座には、前記回動軸を挿通可能な開口が形成され、
前記回動軸は、前記開口に回転可能に挿通される軸部と、前記軸部の延在方向に直交する断面方向に沿って前記開口に比べて拡縮可能に変形する軸係合部とを有し、
前記端子座は、前記解除レバーと前記軸係合部との間に設けられる、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
電線の端部と係合可能な端子座と、
第1方向に回転することで前記端子座における前記電線の係合を解除可能な解除レバーと、
前記解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、
前記解除レバーを前記端子座に対して前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に支持する回動軸と、
を備え、
前記回動軸は、前記端子座に対して移動不能に固定され、
前記回動軸は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に前記解除レバーに嵌合する、
回路遮断器。
【請求項4】
前記解除レバーには、前記回動軸を挿通可能な開口が形成され、
前記回動軸は、前記開口に回転可能に挿通される軸部と、前記軸部の延在方向に直交する断面方向に沿って前記開口に比べて拡縮可能に変形する軸係合部とを有し、
前記解除レバーは、前記端子座と前記軸係合部との間に設けられる、請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記端子座が嵌合可能な嵌合部を有し、前記端子座及び前記解除レバーの少なくとも一部を収容する収容部をさらに備える、請求項1~4の何れか一項に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回路遮断器において電線の係合を解除するために用いられる解除レバーが知られている。特許文献1には、回路遮断器において、板ばねと電線との係合を解除させる解除レバーが開示されている。解除レバーは、電線差込口側の電線収容部の下部に回動支点を設けると共に、板ばねに上方から干渉可能な解除干渉片を設けている。解除レバーを電線差込口側に付勢する阻止ばね(レバー付勢ばね)は、解除レバーと遮断器ケース(収容部)の間に組み付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-353381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路遮断器の収容部内に各構成物を組み付ける場合、レバー付勢ばねが解除レバーと収容部との間に設けられるため、解除レバーは、レバー付勢ばねが収容部内に組み付けられた後に組み付ける必要がある。このとき、解除レバーに対するレバー付勢ばねの弾性力及び方向によっては、解除レバーが収容部内の所定の配置箇所からずれたり、収容部から脱離したりする可能性がある。このように、回路遮断器に対して解除レバーの組み付け作業を容易にする構造が求められている。
【0005】
本開示は、電線の係合を解除する解除レバーを容易に組み付けることができる回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る回路遮断器は、電線の端部と係合可能な端子座と、第1方向に回転することで端子座における電線の係合を解除可能な解除レバーと、解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、解除レバーを端子座に対して第1方向及び第2方向に回動可能に支持する回動軸と、を備え、回動軸は、解除レバーに対して移動不能に固定され、回動軸は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、第1方向及び第2方向に回動可能に端子座に嵌合する。
【0007】
この回路遮断器は、端子座と、解除レバーと、レバー付勢ばねと、回動軸とを備える。回動軸は、解除レバーに対して移動不能に固定され、端子座に対して第1方向及び第2方向に回動可能に嵌合する。これにより、回路遮断器内に組み付けられた解除レバーは、第1方向に回転することができ、端子座における電線の係合を解除することができる。また、回動軸が端子座に対して脱離不能であるため、回動軸が固定されている解除レバーも、端子座に対して脱離不能となる。例えば、端子座及び解除レバーを回路遮断器内に組み付けるとき、レバー付勢ばねの弾性力によって解除レバーが押圧された場合であっても、端子座が回路遮断器に組み付けられていることで、解除レバーが回路遮断器内から脱離することが抑制される。よって、この回路遮断器では、電線の係合を解除する解除レバーを容易に組み付けることができる。
【0008】
一実施形態に係る回路遮断器において、端子座には、回動軸を挿通可能な開口が形成され、回動軸は、開口に回転可能に挿通される軸部と、軸部の延在方向に直交する断面方向に沿って開口に比べて拡縮可能に変形する軸係合部とを有し、端子座は、解除レバーと軸係合部との間に設けられてもよい。この場合、回動軸の軸係合部は、端子座に形成された開口に対して拡縮可能に変形するため、回動軸の軸係合部を縮小させて開口に挿通させて、端子座を解除レバーと軸係合部との間に設けることができる。さらに、端子座を挟んで解除レバーに対向する位置で軸係合部を拡大させることができる。この場合、レバー付勢ばねによって解除レバーが脱離する方向に移動しても、軸係合部が端子座に当接して解除レバーの脱離を抑制できる。よって、解除レバーを容易に端子座に組み付けることができると共に、適切に解除レバーの脱離を抑制できる。
【0009】
本開示の他の側面に係る回路遮断器は、電線の端部と係合可能な端子座と、第1方向に回転することで端子座における電線の係合を解除可能な解除レバーと、解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、解除レバーを端子座に対して第1方向及び第2方向に回動可能に支持する回動軸と、を備え、回動軸は、端子座に対して移動不能に固定され、回動軸は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、第1方向及び第2方向に回動可能に解除レバーに嵌合する。
【0010】
この回路遮断器は、端子座と、解除レバーと、レバー付勢ばねと、回動軸とを備える。回動軸は、端子座に対して移動不能に固定され、解除レバーに対して第1方向及び第2方向に回動可能に嵌合する。これにより、回路遮断器内に組み付けられた解除レバーは、第1方向に回転することができ、端子座における電線の係合を解除することができる。また、回動軸が解除レバーに対して脱離不能であるため、回動軸が固定されている端子座も、解除レバーに対して脱離不能となる。例えば、端子座及び解除レバーを回路遮断器内に組み付けるとき、レバー付勢ばねの弾性力によって解除レバーが押圧された場合であっても、端子座が回路遮断器に組み付けられていることで、解除レバーが回路遮断器内から脱離することが抑制される。よって、この回路遮断器では、電線の係合を解除する解除レバーが容易に組み付けられる。
【0011】
一実施形態に係る回路遮断器において、解除レバーには、回動軸を挿通可能な開口が形成され、回動軸は、開口に回転可能に挿通される軸部と、軸部の延在方向に直交する断面方向に沿って開口に比べて拡縮可能に変形する軸係合部とを有し、解除レバーは、端子座と軸係合部との間に設けられてもよい。この場合、回動軸の軸係合部は、解除レバーに形成された開口に対して拡縮可能に変形するため、回動軸の軸係合部を縮小させて開口に挿通させて、解除レバーを端子座と軸係合部との間に設けることができる。さらに、解除レバーを挟んで端子座に対向する位置で軸係合部を拡大させることができる。この場合、レバー付勢ばねによって解除レバーが脱離する方向に移動しても、軸係合部が端子座に当接して解除レバーの脱離を抑制できる。よって、解除レバーを容易に端子座に組み付けることができると共に、適切に解除レバーの脱離を抑制できる。
【0012】
一実施形態に係る回路遮断器は、端子座が嵌合可能な嵌合部を有し、端子座及び解除レバーの少なくとも一部を収容する収容部をさらに備えてもよい。この場合、端子座が収容部の嵌合部に嵌合することで、レバー付勢ばねが弾性力によって解除レバーを押圧する場合であっても、解除レバーと嵌合している端子座が解除レバーと共に脱離することが抑制される。よって、解除レバー、及び解除レバー20と嵌合する端子座をより強固に収容部に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る回路遮断器によれば、電線の係合を解除する解除レバーを容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す側面図である。
図2】実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す斜視図である。
図3】実施形態に係る回路遮断器の内部の一例を示す部分斜視図である。
図4】実施形態に係る回路遮断器の内部の一例を示す部分側面図である。
図5】実施形態に係る回路遮断器における収容部の嵌合部の一例を示す部分斜視図である。
図6】実施形態に係る回路遮断器における回動軸の一例を示す部分斜視図である。
図7】実施形態に係る回路遮断器における解除レバー、端子座及び回動軸の一例を示す部分側面図である。
図8】実施形態に係る回路遮断器における解除レバー、端子座及び回動軸の一例を示す部分正面図である。
図9】変形例に係る回路遮断器における解除レバー、端子座及び回動軸の一例を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」「前」「背」等の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0016】
図1は、実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す側面図である。図2は、実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す側面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下では、XY平面に沿った方向を水平方向、Z方向を上下方向ともいう。
【0017】
図1及び図2に示される回路遮断器1は、電源と負荷装置との間を結ぶ電路に介在する装置であって、後述の接点部70の接触及び離間を制御して、電路の開閉を制御する。ここで、回路遮断器1は、電路の開閉状態として少なくとも開状態及び閉状態の2つの状態を取りうる。開状態とは、作業者が操作する等の外的な動作を含む作用により接点が離間し、電路に電流が流れない状態である。閉状態とは、作業者が操作する等の外的な動作を含む作用により接点が接触し、電路に電流が流れる状態である。回路遮断器1は、トリップ状態を電路の開状態として取ってもよい。トリップ状態とは、電路における過電流、短絡、漏電等の異常状態を検知して、回路遮断器1内の構造の作用により接点が離間し、電路に電流が流れない状態である。
【0018】
回路遮断器1は、収容部10と、解除レバー20と、回動軸21と、レバー付勢ばね29と、端子座31とを備える。端子座31及び後述の板ばね32を合わせて電線係合部30と記載する場合がある。回路遮断器1は、漏電を検出する零相変流器5と、電磁引き外し装置7と、プリント基板9と、接点移動部60とをさらに備える。プリント基板9は漏電が発生したら電磁引き外し装置7を引き外し動作させる漏電検出回路を組み付けている。なお、プリント基板9に搭載されている素子は省略してある。回路遮断器1は、複数の接点部70と、複数の電源側端子80と、複数の負荷側端子90と、をさらに備える。回路遮断器1は、例えば、2つの接点部70A,70Bと、2つの電源側端子80A,80Bと、2つの負荷側端子90A、90Bとを備える。電線係合部30の一部は、例えば、各負荷側端子90A,90Bに設けられる構成である。詳細は後述する。
【0019】
収容部10は、端子座31及び解除レバー20の少なくとも一部を収容する。本実施形態の収容部10は、例えば、解除レバー20の一部、電線係合部30、零相変流器5、電磁引き外し装置7、プリント基板9、接点移動部60、複数の接点部70、複数の電源側端子80、及び、複数の負荷側端子90等の構成を収容する筐体である。収容部10は、例えば、筐体の長手方向がX方向に沿って延在している。
【0020】
収容部10は、例えば、右側ケース(不図示)と、図1に示される中央ケース10Bと、左側ケース10Cとを有する。Y方向の正方向(左側)に向かって、右側ケース、中央ケース10B及び左側ケース10Cが順に配置されている。中央ケース10Bは、右側ケースと左側ケース10Cとの間に配置され、右側(Y方向の負方向)において右側ケースと嵌合し、左側の端部において左側ケース10Cと嵌合する。右側ケースと中央ケース10Bと左側ケース10Cとがそれぞれ嵌合することで後述の操作レバー61の一部及び解除レバー20の一部を除く各構成物が収容部10内に収容される。右側ケース、中央ケース10B及び左側ケース10Cは、互いに嵌合する際に係止可能な係止部をそれぞれ有する。右側ケースと左側ケース10Cとは、略対称に形成されている。
【0021】
収容部10には、前側(X方向の正方向)を向く面において、負荷装置から延在する電線EL(図4参照)を差し込むことが可能な複数の電線差込口11が設けられる。電線差込口11として、例えば、2つの電線差込口11A,11Bが設けられる。電線差込口11A,11Bは、右側ケース、中央ケース10B及び左側ケース10CをそれぞれX方向に向かって貫通している開口である。収容部10において、Y方向の左側に向かって、電線差込口11A,11Bが順に配置されている。
【0022】
複数の電源側端子80は、電源に電気的に接続可能な端子である。本実施形態の2つの電源側端子80A,80Bは、収容部10においてX方向の負方向を向く面(背面)に配置される。2つの電源側端子80A,80Bが設けられた背面は上下方向に沿って延在する面で形成される。例えば、収容部10の背面側の上部において、電源側端子80Aが配置され、収容部10の背面側の下部において、電源側端子80Bが配置されている。収容部10において、上下方向に沿って、電源側端子80A,80Bが並んで配置されている。
【0023】
複数の負荷側端子90は、負荷装置に電気的に接続可能な端子である。2つの負荷側端子90A,90Bは、収容部10においてX方向の正方向を向く面(前面)に配置され、Y方向に沿って整列して配置されている。収容部10の前面側において、Y方向の左側に向かって、負荷側端子90A,90Bが順に配置されている。2つの負荷側端子90A,90Bが設けられた前面の一部は負荷装置から延在する電線EL(図4参照)の接続操作がしやすいように傾斜して形成されている。負荷側端子90Aは、電源側端子80Aと電気的に接続可能である。負荷側端子90Bは、電源側端子80Bと電気的に接続可能である。
【0024】
図3は、実施形態に係る回路遮断器の内部の一例を示す部分斜視図である。図2及び図3に示される各接点部70は、電源と負荷装置とを電気的に接続可能な電路の開閉を接点移動部60の動きに合わせて切り替え可能な構成である。接点部70Aは、電源側端子80Aと、負荷側端子90Aとをそれぞれ電気的に接続する。接点部70Bは、電源側端子80Bと、負荷側端子90Bとをそれぞれ電気的に接続する。接点部70は、X方向において、各電源側端子80と各負荷側端子90との間に配置される。Y方向の左側に向かって、接点部70A,70Bが順に配置されている。各接点部70は、例えば、電源側接触子71と、負荷側接触子72と、板状部材73とを有する。
【0025】
接点部70Aは、電源側接触子71Aと、負荷側接触子72Aと、板状部材73Aとを有する。接点部70Bは、例えば、電源側接触子71Bと、負荷側接触子72Bと、板状部材73Bとを有する。電源側接触子71A,71Bは、それぞれ電源側端子80A,80Bと電気的に接続している。負荷側接触子72A,72Bは、それぞれ負荷側端子90A,90Bと電気的に接続している。接点部70Aにおいては電源側接触子71Aと負荷側接触子72Aとが電気的に接続可能であって、接点部70Bにおいては電源側接触子71Bと負荷側接触子72Bとが電気的に接続可能である。
【0026】
各接点部70は、閉状態と開状態とを後述の接点移動部60による開閉動作により切り替えることができる。板状部材73A,73Bは、水平方向に延在する。板状部材73A,73Bは、それぞれ接点移動部60に接続され、接点移動部60の開閉動作に合わせてその前端部(X方向の正方向の端部)が上下方向に移動する。板状部材73A,73Bは、その後部(X方向の負方向側(背面側)の部分)において、一端が収容部10に接続されたばね部材(不図示)とそれぞれ接続し、上方に付勢されている。電源側接触子71A,71Bは、それぞれ板状部材73A,73Bの前端部であって下面に配置され、下方に向かって露出している。電源側接触子71A,71Bは、接点移動部60によりそれぞれ負荷側接触子72A,72Bに対して相対的に移動し、互いに接触又は離間が可能である。負荷側接触子72A,72Bは、収容部10内において位置が固定されている。負荷側接触子72A,72Bは、例えば、収容部10の下部において、上方に向かって露出するように後述の端子座31A,31Bに設けられる。
【0027】
電源側接触子71Aと負荷側接触子72Aとが接触しているとき、及び、電源側接触子71Bと負荷側接触子72Bとが接触しているとき、電路が形成される閉状態となる。電源側接触子71Aと負荷側接触子72Aとが離間しているとき、又は、電源側接触子71Bと負荷側接触子72Bとが離間しているときのいずれかの場合、電路が形成されていない開状態又はトリップ状態となる。電源側接触子71A及び負荷側接触子72A、並びに、電源側接触子71B及び負荷側接触子72Bにおいて、それぞれの接触又は離間状態が接点移動部60の開閉動作により切り替えられる。
【0028】
閉状態においては、電源と負荷装置とを電気的に接続する電路が形成される。本実施形態の電路は、例えば、電源から発された電流が電源側端子80A、電源側接触子71A、負荷側接触子72A、負荷側端子90A、負荷装置、負荷側端子90B、負荷側接触子72B、電源側接触子71B、電源側端子80Bを順に通り、最終的に電源に戻るように構成された回路である。なお、電路は、電源から発された電流が電源側端子80B、電源側接触子71B、負荷側接触子72B、負荷側端子90B、負荷装置、負荷側端子90A、負荷側接触子72A、電源側接触子71A、電源側端子80Aを順に通り、最終的に電源に戻るように構成された回路であってもよい。
【0029】
図1及び図2を再び参照する。接点移動部60は、収容部10に対して相対的に移動可能に支持され、複数の接点部70における開閉動作を制御する。接点移動部60は、操作レバー61と、板状部材73に接続する開閉機構部62と、を有する。操作レバー61は、電路に対して開閉操作、すなわち通電(オン)操作及び遮断(オフ)操作可能な治具である。操作レバー61が作業者に把持されて回動軸を中心に一方に回転されることで、開閉機構部62が下方に移動することで板状部材73A,73Bをそれぞれ下方に移動させ、電源側接触子71A,71Bを負荷側接触子72A,72Bに接触させ、電路を閉状態にする。操作レバー61が作業者に把持されて回動軸を中心に他方に回転されることで、開閉機構部62が上方に移動することで板状部材73A,73Bをそれぞれ上方に移動させ、電源側接触子71A,71Bを負荷側接触子72A,72Bから離間させ、電路を開状態にする。
【0030】
図4は、実施形態に係る回路遮断器の内部の一例を示す部分側面図である。図2図4に示される電線係合部30は、電線ELと係合するユニットである。例えば、回路遮断器1は、複数の電線係合部30を備える。例えば、収容部10において、Y方向の左側に向かって、2つの電線係合部30A,30Bが順に配置されている。電線係合部30Aの一部は、負荷側端子90Aを構成し、電線係合部30Bの一部は、負荷側端子90Bを構成する。各電線係合部30は、例えば、端子座31と、板ばね32とを有する。すなわち、電線係合部30Aは、端子座31Aと、板ばね32Aとを有し、電線係合部30Bは、例えば、端子座31Bと、板ばね32Bとを有する。以下、1つの電線係合部30(図面では電線係合部30A)に着目して説明する。電線係合部30A及び電線係合部30Bは同一の構成を有する。
【0031】
図3及び図4に示される端子座31は、電線の端部と係合可能な構成である。係合可能とは、回路遮断器1に電線ELを接続する場合には、端子座31が他の構成(本実施形態では板ばね32)と共に電線ELの端部と係合することを指している。回路遮断器1において、実際に電線ELが係合しているか否かは問わない。回路遮断器1において、電線ELが係合していても電線ELが係合していなくてもよい。端子座31は、回路遮断器1に接続される電線ELと負荷側接触子72とを電気的に接続する。端子座31は、板ばね32と共に負荷装置と接続可能な電線ELと係合し、当該電線ELと負荷側端子90とを電気的に接続する。端子座31内に挿入された電線ELの端部は、例えば、X方向に沿って延在する。端子座31は、例えば、1枚の金属板を折り曲げて形成された部材である。端子座31において、板ばね32を内部に収容可能な収容空間31aと、電源側接触子71と負荷側接触子72との開閉動作が可能な開閉空間31bとがそれぞれ画成される。収容空間31a及び開閉空間31bは、それぞれX方向に沿って貫通しており、上下方向に並んで設けられている。収容空間31aは、電線差込口11の背面側に形成される。収容空間31aは、例えば、右側に開口している。開閉空間31bは、収容空間31aの下方に形成される。開閉空間31bは、例えば、左側に開口している。端子座31の各部位の詳細については後述する。
【0032】
板ばね32は、端子座31において電線ELと係合する。板ばね32は、例えば、金属板が湾曲して形成された部材である。板ばね32は、その主面が上方を向き、当該主面の幅方向がY方向に沿っている。板ばね32は、収容空間31a内に収容される。板ばね32は、端子座31の一部と係合して電線ELを挟み込んで保持する。板ばね32の具体的構成は後述する。
【0033】
回動軸21は、解除レバー20を端子座31に対して第1方向R1及び第2方向R2に回動可能に支持する。第1方向R1は、例えば、回動周方向のうち、電線ELの係合を解除する際に回動する方向である。第2方向R2は、後述のレバー付勢ばね29及び後述の板ばね32の係止部32aによって付勢される一方向であって、解除レバー20の回動周方向のうち第1方向R1とは反対方向である。回動可能とは、解除レバー20を第1方向R1及び第2方向R2に回動させる場合には、回動軸21が解除レバー20を支持しつつも第1方向R1及び第2方向R2に回動するという機能を発揮することで解除レバー20を回動させることを指している。本実施形態の回動軸21は、解除レバー20に対して移動不能に固定されている。回動軸21は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、第1方向R1及び第2方向R2に回動可能に端子座31に嵌合する。回動軸21は、例えば、Y方向に沿って延在する。回動軸21の具体的構成は後述する。
【0034】
解除レバー20は、第1方向R1に回転することで端子座31における電線ELの係合を解除可能な構成である。解除可能とは、端子座31において電線ELが係合している場合には、解除レバー20が第1方向R1に回転するという機能を発揮することで電線ELの係合を解除することを指している。回路遮断器1の収容部10内の電線ELの係合を解除するために用いられ、収容部10内に一部が収容される。解除レバー20は、例えば、電線差込口11より背面側に設けられる。例えば、回路遮断器1は、複数の解除レバー20を備える。例えば、収容部10において、Y方向の左側に向かって、2つの解除レバー20A,20Bが順に配置されている。解除レバー20Aは、電線係合部30Aにおける電線ELの係合を解除するために用いられ、解除レバー20Bは、電線係合部30Bにおける電線ELの係合を解除するために用いられる。以下、1つの解除レバー20に着目して説明する。解除レバー20A及び解除レバー20Bは同一の構成を有する。
【0035】
解除レバー20は、本体部22と、係合解除部23と、操作部24と、干渉部25とを備える。本体部22は、回動軸21を中心に第1方向R1及び第2方向R2に回動可能である。本体部22は、その下端部に回動軸21が設けられている。本体部22の一部は、収容部10から回転径方向Cの外側に突出している。回転径方向Cとは、回動軸21を中心にした円の径方向を指す。回転径方向Cの外側とは、本体部22の回転径方向Cにおいて、回動軸21から見て遠ざかる側を指す。
【0036】
係合解除部23は、本体部22と共に回動軸21を中心に第1方向R1に沿って回転することで電線ELの係合を解除する。係合解除部23は、本体部22の前側において、Y方向に沿って左側に向かって突出している部位である。係合解除部23は、収容空間31a内に突出している。係合解除部23は、電線差込口11に対して背面側に設けられる。係合解除部23は、板ばね32(後述の係止部32a)の前面に干渉可能な位置に設けられる。本体部22が第1方向R1に沿って回転することで、係合解除部23も第1方向R1に回転し、板ばね32(後述の係止部32a)に当接する。本体部22がそのまま第1方向R1に沿って回転することで、係合解除部23が板ばね32(後述の係止部32a)を第1方向R1に押圧し、係止部32aの電線ELに対する係止を解除する。
【0037】
操作部24は、係合解除部23に対して回転径方向Cの外側に位置し、本体部22から回転径方向Cの外側に突出する。操作部24は、例えば、収容部10の回転径方向Cの外側に突出している。操作部24は、例えば、Y方向に沿って延在する棒状の部位である。操作部24は、例えば、本体部22の第2方向R2側に位置する外縁部22bの端部に設けられる。本体部22が第1方向R1に回動する場合、例えば、操作部24は、収容部10内に収容されない。操作部24は、作業者が操作可能な部位である。ここでの作業者の操作とは、作業者が例えば指等の力を付与する物体によって操作部24に対して第1方向R1へ力を加えることを指す。力を付与する物体とは、作業者の身体の一部であってもよいし、作業者が用いる道具であってもよい。
【0038】
干渉部25は、本体部22の背面側において、Y方向に沿って左側に向かって突出している部位である。干渉部25は、収容空間31a内に突出している。干渉部25は、電線差込口11及び係合解除部23に対して背面側に設けられる。解除レバー20が収容部10内に設けられるとき、干渉部25は、板ばね32(後述の押圧部32b)の背面側に位置する。
【0039】
レバー付勢ばね29は、解除レバー20の移動を制限する。レバー付勢ばね29は、解除レバー20の初期位置からの第1方向R1への移動量が所定の範囲に収まるように付勢する。言い換えれば、レバー付勢ばね29は、解除レバー20が初期位置に戻るように第2方向R2に向かって解除レバー20を付勢する弾性力を発揮する。解除レバー20の初期位置とは、例えば、解除レバー20の前面が収容部10の前側の内壁に当接するときの位置である。解除レバー20は、例えば、電線ELが収容部10内に挿入されていない場合にレバー付勢ばね29によって当該初期位置に位置する。解除レバー20は、例えば、電線ELの端部が収容部10内に挿入され、干渉部25に当接するまで当該初期位置に位置する。レバー付勢ばね29が解除レバー20を第2方向R2に付勢することで、作業者の押圧による解除レバー20の第1方向R1への回転移動量が所定の範囲で収まる。電線ELが収容部10内に挿入された後において、レバー付勢ばね29が解除レバー20を第2方向R2に付勢することで、干渉部25は、電線ELを端子座31の後述の係合板部31cに向かって付勢するように当接する。作業者の第1方向R1への押圧による解除レバー20の移動終了後、解除レバー20は、初期位置まで付勢される。
【0040】
レバー付勢ばね29は、例えば、収容部10の上部において、電線差込口11より背面側に設けられる。レバー付勢ばね29は、回路遮断器1の収容部10外に一部露出し、その他の部分が収容部10内に収容されている。レバー付勢ばね29の一端部は、例えば収容部10の上部に連結される。レバー付勢ばね29の他端部は、例えば解除レバー20の本体部22の上部に連結される。レバー付勢ばね29は、Y方向に向かって弾性力を有する。すなわち、Y方向において収容部10の内側に向かって収縮することで弾性力が収容部10の外側に向かって働く。例えば、回路遮断器1は、複数のレバー付勢ばね29を備える。例えば、収容部10において、Y方向の左側に向かって、2つのレバー付勢ばね29A,29Bが順に配置されている(図6参照)。レバー付勢ばね29A及びレバー付勢ばね29Bは同一の構成を有する。
【0041】
以下、電線係合部30、収容部10、解除レバー20及び回動軸21の順に、各構成の詳細について説明する。図3及び図4に示される電線係合部30における端子座31は、例えば、背面側から前面側に向かって見てS字状に屈曲している部材である。端子座31は、係合板部31cと、載置板部31dと、第1連結板部31eと、接触子板部31fと、第2連結板部31gとを有する。
【0042】
係合板部31c、載置板部31d及び接触子板部31fは、板ばね32において係合する電線の端部の延在方向に沿って延在する。例えば、係合板部31c、載置板部31d及び接触子板部31fは、水平方向(又は水平方向に延在する平面より前側で上方に傾斜した平面)に沿って延在している板状の部分である。例えば、下方に向かって係合板部31c、載置板部31d及び接触子板部31fが順に並んで設けられている。第1連結板部31e及び第2連結板部31gは、例えば、X方向(電線ELの端部の延在方向)及びZ方向に沿って延在している板状の部分である。例えば、下方に向かって第1連結板部31e及び第2連結板部31gが順に並んで設けられている。
【0043】
係合板部31cは、板ばね32と共に一方から延在する電線ELの端部と係合する。本実施形態では、係合板部31cは、前面側から背面側に向かって延在する電線ELの端部を板ばね32と共に挟持する。載置板部31dは、板ばね32を載置している。第1連結板部31eは、係合板部31cと載置板部31dとを連結している。第1連結板部31eは、例えば、係合板部31cの左端部及び載置板部31dの左端部に固定されている。係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eは、収容部10の中央ケース10Bの後述の嵌合部12内に設けられる。
【0044】
接触子板部31fには、負荷側接触子72が設けられる。第2連結板部31gは、載置板部31dと接触子板部31fとを連結している。第2連結板部31gは、載置板部31dの右端部及び接触子板部31fの右端部に固定されている。負荷側接触子72は、載置板部31d、第2連結板部31g及び接触子板部31fを介して板ばね32に電気的に接続可能である。
【0045】
端子座31において、係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eに囲まれる収容空間31aが画成される。また、端子座31において、載置板部31d、接触子板部31f及び第2連結板部31gに囲まれる開閉空間31bが画成される。開閉空間31b内には接点部70の各構成が収容される。接触子板部31f上に設けられた負荷側接触子72は、開閉空間31bの下部に設けられ、上方から電源側接触子71が接点移動部60によって移動してくることで、互いに接触、接近又は離間する。
【0046】
端子座31には、回動軸21を挿通可能な開口が形成される。例えば、端子座31の第2連結板部31gには、回動軸21を挿通可能な開口31hが形成される。開口31hは、Y方向に沿って貫通している。開口31hによって、第2連結板部31gの右側の空間と開閉空間31bとが連通している。開口31hにおける回転径方向Cの直径を、以下、直径raとして説明する(図7参照)。
【0047】
板ばね32は、電線ELを係止する係止部32aと、電線ELを端子座31の係合板部31cに押圧する押圧部32bと、係止部32aと押圧部32bとの間に位置する延在部32cとを有する。係止部32aが前面側、押圧部32bが背面側に配置される。延在部32cは、水平方向に沿って延在し、載置板部31d上に載置される。係止部32aは、例えば、延在部32cの前端部から、上方に向かって背面側に傾斜するように延在する。係止部32aは、例えば、背面側に傾斜するように変形可能な部位である。押圧部32bは、例えば、延在部32cの後端部から上方に向かって延在し、その先端が下方を向くように湾曲している。すなわち、押圧部32bは、上方に向かって突出している湾曲部を有する。
【0048】
電線差込口11(図3参照)から挿入された電線ELの端部は、端子座31の収容空間31a内に進入し、係止部32aの上部を背面側に押圧して、係合板部31cと係止部32aとの間の領域を広げることで当該領域を通って係止部32aの背面側に移動する。電線ELの端部は、押圧部32bの湾曲部に当接して押圧部32bを少なくとも電線ELの径だけ下方に向かって変形させる。係止部32aが、電線ELに対して上方かつ背面側に向かって引っ掛かることで、電線ELの前方への移動を抑制する。電線ELは、係止部32aの上端及び押圧部32bの湾曲部と係合板部31cの下面との間に挟まれるように位置する。このように、当該電線ELは、板ばね32によって端子座31に電気的に接続される。
【0049】
電線差込口11(図3参照)から電線ELを引き抜く場合、作業者が解除レバー20の操作部24を、レバー付勢ばね29による第2方向R2への弾性力より大きな力で第1方向R1に押圧することで、係合解除部23が第1方向R1に回転し、板ばね32の係止部32aの前面に当接する。さらに解除レバー20が第1方向R1に回転することで、係合解除部23が係止部32aを背面側かつ下方に向かって傾斜させ、係合板部31cと係止部32aとの間の領域を電線ELの径より大きくすることができる。これにより、係止部32aによる電線ELの引っかかり(係合)と係合板部31cに対する電線ELの接触とが解消されるため、作業者が電線ELを前方に引っ張ることで電線ELを電線差込口11から引き抜くことができる。電線ELの引き抜き後、作業者が操作部24への押圧を終了することで、レバー付勢ばね29及び板ばね32の係止部32aによる弾性力によって第2方向R2へ解除レバー20が付勢される。
【0050】
図5は、実施形態に係る回路遮断器における収容部の嵌合部の一例を示す部分斜視図である。図5に示されるように、収容部10は、端子座31が嵌合可能な嵌合部12を有する。例えば、収容部10の中央ケース10Bにおいて、嵌合部12が設けられる。嵌合部12は、例えば、端子座31の一部を嵌合可能な凹部である。嵌合部12は、例えば、背面側の一部が開口し、右側に開放された箱状を呈する。本実施形態の嵌合部12は、端子座31の係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eを嵌めて収容する部位である。
【0051】
端子座31の一部を収容する嵌合部12の内面は、例えば、上背面12a、上面12b、下背面12c、下面12d、前面12e及び左側面12fによって形成されている。上背面12a及び下背面12cは、上下方向に沿って離間して配置され、Y方向及び上下方向に延在している。上背面12aと下背面12cとの間において、第1方向R1に回転する解除レバー20の干渉部25(図4参照)が通過可能である。前面12eは、上背面12a及び下背面12cと前面側に離間して配置され、Y方向及び上下方向に沿って延在している。上面12bは、X方向及びY方向に沿って延在している。下面12dは、上面12bに対して下方に離間して配置され、X方向及びY方向に沿って延在している。左側面12fは、上背面12a、上面12b、下背面12c、下面12d及び前面12eと接続し、X方向及び上下方向に沿って延在している。
【0052】
図4及び図5を参照する。端子座31を収容部10に設けられるとき、端子座31の各構成と嵌合部12の各面との位置の関係について説明する。端子座31の係合板部31cの上面は、例えば、嵌合部12の上面12bと対向して接触又は接近して設けられる。係合板部31cの厚み方向(Y方向及び上下方向)に延在する背面は、上背面12aの上部と対向して接触又は接近して設けられる。係合板部31cの厚み方向(Y方向及び上下方向)に延在する前面は、前面12eの上部と対向して接触又は接近して設けられる。載置板部31dの下面は、例えば、嵌合部12の下面12dの下部と対向して接触又は接近して設けられる。載置板部31dの厚み方向(Y方向及び上下方向)に延在する背面は、下背面12cの下部と対向して接触又は接近して設けられる。載置板部31dの厚み方向(Y方向及び上下方向)に延在する前面は、前面12eの下部と対向して接触又は接近して設けられる。第1連結板部31eの左側面は、例えば、嵌合部12の左側面12fと対向して接触又は接近して設けられる。第1連結板部31eの厚み方向(Y方向及び上下方向)に延在する背面は、上背面12aの左側部及び下背面12cの左側部と対向して接触又は接近して設けられる。第1連結板部31eの厚み方向(Y方向及び上下方向)に延在する前面は、前面12eの左側部と対向して接触又は接近して設けられる。
【0053】
端子座31が嵌合部12に嵌合するとき、端子座31の上部を左側に向かって押圧することで、端子座31の係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eが嵌合部12の各面12a~12eに左側に向かって摺動する。端子座31の第1連結板部31eが嵌合部12の左側面12fに接触、又は、所定の距離まで接近することで、端子座31の係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eが嵌合部12内に収容され、嵌合する。端子座31が嵌合部12に嵌合するとき、端子座31の係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eの少なくとも1つと、嵌合部12の各面12a~12eの少なくとも1つの面とが接触する。これにより、端子座31が右側に移動する場合、端子座31の係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eの少なくとも1つと、嵌合部12の各面12a~12eの少なくとも1つの面との間で左側への摩擦力が働くため、端子座31の右側への移動が抑制される。また、端子座31の上部が嵌合部12内に嵌合することで、例えば、端子座31の係合板部31c及び載置板部31dが回転径方向Cに弾性力を働かせることで、係合板部31c及び載置板部31dが嵌合部12内の各面12a~12eに接触する。端子座31の弾性力によって嵌合部12内で少なくとも回転径方向Cに向かって突っ張るため、右側への移動が抑制される。
【0054】
収容部10は、収容部10には、回動軸21を収容可能な穴部13が形成されている。例えば、収容部10の中央ケース10Bの嵌合部12の下方において、穴部13が形成されている。穴部13は、X方向及び上下方向において、回動軸21が設けられる位置と同一の位置に設けられる。穴部13は、例えば、円筒状を呈し、中央ケース10BにおいてY方向に沿って貫通している。穴部13は、回動軸21の後述の軸係合部27を収容する。穴部13のY方向に沿った長さは、後述の軸係合部27のY方向に沿った長さより大きい。穴部13における回転径方向Cの直径を、以下、直径rbとして説明する(図7参照)。穴部13の直径rbは、端子座31の開口31hの直径raより大きい。
【0055】
解除レバー20の本体部22は、例えば、X方向及び上下方向に延在する板状の中央部22aを有する。中央部22aは、端子座31の係合板部31c及び載置板部31dの右側において、収容空間31aを覆うように配置される。すなわち、中央部22aは、第1連結板部31e及び第2連結板部31gの延在方向に沿って配置される。中央部22aの下部は、下方に行くにしたがって前面側に突出しているように傾斜している。
【0056】
本体部22は、本体部22の回転径方向Cの外側に位置する外縁部22bを有する。外縁部22bは、中央部22aの回転径方向Cの外側であって、中央部22aの上端部に設けられる。外縁部22bは、例えば、本体部22の回動時に収容部10の外縁に沿って摺動するように回動する。本体部22が第1方向R1に回動する場合、例えば、外縁部22bは、その背面側の部位が順に収容部10内に収容される。
【0057】
操作部24は、外縁部22bの一部から回転径方向Cの外側に突出する。操作部24は、例えば、本体部22の第2方向R2側(前面側)に位置する外縁部22bの端部から回転径方向Cの外側に突出している部位である。例えば、操作部24は、上下方向において第1方向R1に向かって傾斜している。例えば、操作部24の前面の一端部に対して、操作部24の前面の他端部は、第1方向R1に位置する。例えば、操作部24の背面は、回転径方向Cの外側に沿って延在している。操作部24の上部の角部は一部切り欠かれていてもよい。操作部24は、例えば、第1方向R1に向かって凹んだ凹部を有する。
【0058】
干渉部25は、解除レバー20の回動に合わせて、電線ELに対して接触、接近又は離間する。電線差込口11を介して収容部10内に電線ELが挿入されるとき、板ばね32の押圧部32bより背面側に挿入された電線ELは、干渉部25に当接して解除レバー20を少なくとも電線ELの径だけ第1方向R1に回転させ、端子座31の後述の係合板部31cと干渉部25との間に位置する。このとき、電線ELは、レバー付勢ばね29による第2方向R2へ付勢する弾性力を上回るように、背面側に向けて押圧して挿入される。挿入後は、干渉部25は、レバー付勢ばね29によって第2方向R2へ付勢され、電線ELの端部に接触又は近接する。回路遮断器1は、干渉部25の位置に基づいて電線ELの接続状態を判定し、表示装置(不図示)において接続状態を表示してもよい。干渉部25が作業者が解除レバー20の操作部24を第1方向R1へ押圧することで、干渉部25は、電線ELの端部から離間する。
【0059】
図6は、実施形態に係る回路遮断器における回動軸の一例を示す部分斜視図である。図6に示される回動軸21は、例えば、解除レバー20の本体部22の中央部22aに対して移動不能に固定されている。移動不能とは、解除レバー20と回動軸21との位置関係が不変であることを指す。移動不能とは、例えば、回動軸21が解除レバー20に対して第1方向R1、第2方向R2、回転径方向C、X方向、Y方向及び上下方向、並びにこれらの組み合わせの方向に移動することがないことを指す。移動不能には、例えば、部材の軋み、撓み、歪み等、製造工程及び経年変化によって生じるずれは含まれない。移動不能とは、解除レバー20が回動軸21に対する位置関係を変えずに、解除レバー20が回動軸21と共に回動機能を発揮できる状態で維持されることを指す。ここでの移動不能とは、回路遮断器1が右側ケース、中央ケース10B及び左側ケース10Cによって閉じた状態のみで生じる態様ではなく、回路遮断器1を構成する各部材を組み立てる状態でも生じる態様でもあり、解除レバー20及び回動軸21の構成のみがある状態でも生じる態様である。
【0060】
回動軸21は、例えば、本体部22の中央部22aのうち、下方に行くに従って前面側に突出し、先細りしている下端部において、左側に突出するように形成されている。例えば、回動軸21は、解除レバー20と一体的に形成されている。一体的に形成されているとは、例えば、解除レバー20と回動軸21との境界が連続していることを指す。解除レバー20と回動軸21とは、例えば、一部材における各部位として機能している。解除レバー20及び回動軸21は、例えば、樹脂などの少なくとも一方向に拡縮するような、変形が可能な同一の材料によって一体成形されている。拡縮するような変形とは、例えば、弾性変形を含む。ここでの一方向への拡縮とは、例えば、Y方向から見たとき、回転径方向Cに沿って回動中心から外縁までの距離を拡大させたり縮小させたりすることを指す。
【0061】
図7は、実施形態に係る回路遮断器における解除レバー、端子座及び回動軸の一例を示す部分側面図である。図8は、実施形態に係る回路遮断器における解除レバー、端子座及び回動軸の一例を示す部分正面図である。図6図8に示される回動軸21は、端子座31に形成された開口31hに回転可能に挿通される軸部26と、軸部26の延在方向に直交する断面方向に沿って開口31hに比べて拡縮可能に変形する軸係合部27とを有する。軸部26は、Y方向に沿って延在している。軸部26における回転径方向Cの直径を、以下、直径rcとして説明する(図7参照)。軸部26の直径rcは、端子座31の開口31hの直径ra以下である。これにより、回動軸21は、第1方向R1及び第2方向R2に回動可能に端子座31の開口31hに挿通される。軸部26は、解除レバー20の本体部22の中央部22aの下端部に設けられている基端部26aと、解除レバー20及び端子座31の第2連結板部31gより左側に設けられている先端部26bとを有する。基端部26aは、例えば、円柱状の部位であり、Y方向に沿って延在している。
【0062】
先端部26bは、基端部26aの左端部から左側に延在している複数の部位である。本実施形態の先端部26bは、基端部26aから2つの先端部26bが形成されており、当該2つの先端部26bとの間には、所定の幅の開口26cが形成されている。2つの先端部26bは、開口26cの幅の分だけ互いに離間している。開口26cは、例えば、回動軸21の回動中心位置を通り、回転径方向C及びY方向に延在する1つの面に沿って、所定の幅を有する空間である。開口26cは、例えば、左側及び回転径方向Cの外側に向かって開放されている。開口26cは、回転径方向Cのある一方(例えば図6では上方)から見て、U字状を呈する。先端部26bの外面は、例えば、基端部26aの直径rcと同一の直径rcの円柱によって形成される一部の周面であり、基端部26aの外周面と連続するようにY方向に沿って延びている。2つの先端部26bが互いに対向する面は、例えば、平面である。上述の幅とは、X方向及び上下方向に延在する平面において、軸部26の回動中心を通り、2つの当接部27aが互いに対向する面に直交する方向の長さである。
【0063】
軸係合部27は、例えば、軸部26の先端部26bの数に合わせて形成される。本実施形態では、2つの軸係合部27が形成されている。2つの軸係合部27が互いに対向する面は、平面である。上述した開口26cは、Y方向において、2つの軸係合部27との間の空間を含むものとする。軸係合部27は、例えば、Y方向に沿って延在している。軸係合部27は、軸部26の先端部26bから回転径方向Cの外側に延在している当接部27aと、当接部27aから左側に延在している傾斜部27bとを有する。
【0064】
当接部27aは、例えば、Y方向に沿った軸を中心とし、開口31hの径及び基端部26aの径より大きい径の円柱の一部である。当接部27aは、当該円柱から開口26cを除いた部位である。当接部27aの回転径方向Cの外側の部位は、例えば、軸部26の先端部26bより回転径方向Cの外側に延在し、端子座31の開口31hの縁より回転径方向Cの外側に延在している。X方向及び上下方向に沿った平面において、2つの当接部27aの当該部位における回転径方向Cの外面の各1点の位置を、回動軸21の回動中心位置を通るように結んだ長さを、以下、長さrdとして説明する(図7参照)。外力が加わっていない状態において、当接部27aの長さrdは、開口31hの直径ra及び基端部26aの直径rcより大きい。また、軸係合部27の直径rcは、穴部13を形成する内面と接触しないように、穴部13の直径rbより所定の長さだけ小さい。当接部27aの右側の面である側面27c(図8参照)は、軸部26の先端部26bより回転径方向Cの外側及びX方向に延在している面であり、先端部26bの外面に直交している。側面27cは、端子座31の第2連結板部31gに当接可能である。なお、当接部27aの回転径方向Cの外側の部位のうち、開口26c近傍の部位は、開口26cの幅方向に沿って切り欠かれている。開口26c近傍の部位とは、例えば、2つの当接部27aのうち、図6における上下方向に位置する部位である。
【0065】
当接部27aが上述した構造を有することにより、回動軸21が開口31hに挿通され、当接部27aが第2連結板部31gの開口31hの左側に位置するとき、回動軸21は、その延在方向(Y方向)に沿って、端子座31に対して脱離不能に嵌合する。脱離不能とは、回動軸21と端子座31との嵌合が解除されないことを指す。脱離不能とは、端子座31が解除レバー20から所定の長さ以上移動しない(離間しない)ことを指す。ここでの所定の長さとは、例えば、回動軸21の軸部26のY方向に沿った長さである。脱離不能とは、所定の長さ以上移動せず、解除レバー20が端子座31に対する回動機能を発揮できる状態で維持されることを指す。脱離不能には、例えば、部材の軋み、撓み、歪み等、製造工程及び経年変化によって生じる脱離(所定の長さ以上のずれ)は含まれない(許容される)。ここでの脱離不能とは、回路遮断器1が右側ケース、中央ケース10B及び左側ケース10Cによって閉じた状態のみで生じる態様ではなく、回路遮断器1を構成する各部材を組み立てる状態でも生じる態様でもあり、解除レバー20、回動軸21及び端子座31の構成のみが互いに組み合わさった状態でも生じる態様である。回動軸21又は端子座31に対して力がY方向に加わった場合であっても、解除レバー20又は軸係合部27が端子座31に当接することで、解除レバー20及び軸係合部27に対して端子座31が相対的に所定の長さ以上移動することを抑制する。
【0066】
傾斜部27bは、Y方向に沿った軸を中心とする円錐台の一部である。傾斜部27bは、当該円錐台から開口26cを除いた部位である。傾斜部27bは、当接部27aと接続する右側から先端の左側に向かってテーパーがつけられており、右側から左側に向かって回転径方向Cの外側の面が回動中心から近くなるように傾斜している。すなわち、傾斜部27bは、左側に向かって細くなっている(回転径方向Cの長さが小さくなっている)。傾斜部27bの左側の端部は、例えば、X方向及び上下方向に沿っている面で構成されている。2つの傾斜部27bの左側の端部において、回転径方向Cの外面の各1点の位置を回動軸21の回動中心位置を通るように結んだ長さを、以下、長さreとして説明する(図7参照)。傾斜部27bの左側の端部の長さreは、当接部27aの長さrdより小さい。また、傾斜部27bの左側の端部の長さreは、端子座31の開口31hの直径raより小さい。
【0067】
以下、回路遮断器1における端子座31と解除レバー20との嵌合について説明する。例えば、端子座31と解除レバー20とが嵌合する前に、収容空間31aにおいて、板ばね32が載置板部31d上に載置される。次に、端子座31の開口31hに対して、解除レバー20に対して移動不能に固定された回動軸21を右側から左側に向かって嵌合させる。このとき、回動軸21の軸係合部27の傾斜部27bが開口31hに挿入される。傾斜部27bの左側の端部の長さreは、端子座31の開口31hの直径raより小さいため、傾斜部27bの左側の端部は、開口31h内に挿通可能である。ここで、回動軸21の軸係合部27の当接部27aにおける長さrdは、回転径方向Cの内側への外力が加わっていないとき、開口31hの直径raより大きい。
【0068】
しかし、回動軸21が、(1)傾斜部27bがテーパーが付けられている、(2)回動軸21の回動中心位置に開口26cが設けられている、(3)回動軸21が樹脂などの縮小するような変形可能な材料で成形されている、等の特徴を有する。このことから、傾斜部27bが開口31h内に左側に向かって進入すればするほど、開口31hを形成する第2連結板部31gの面によって回転径方向Cの内側に向かって押圧されることで、2つの軸係合部27は、回転径方向Cの内側(開口26cの幅方向)に向かって互いに近接又は接触するように移動する。これにより、軸係合部27は、開口31hの内面に接触しながら移動することができ、軸係合部27の当接部27aも開口31h内に進入することができる。このとき、回転径方向Cの内側への外力が加わった状態の2つの当接部27aにおいて、回転径方向Cの外面の各1点の位置を回動軸21の回動中心位置を通るように結んだ長さは、開口31hの直径ra以下となっている。
【0069】
軸係合部27の当接部27aが開口31hから退出したとき、軸係合部27と開口31hを形成する内面とが接触しておらず、軸部26の直径rcが開口31hの直径raより小さいため、回動軸21に対して回転径方向Cの内側に向かって外力(押圧力)が加わらなくなる。回動軸21が樹脂などの拡大するような変形可能な材料で成形されているため、2つの軸係合部27は、回転径方向Cの外側に向かって互いに離間するように移動する。これにより、軸係合部27の当接部27aの側面27cは、開口31hの左側において、端子座31の第2連結板部31gの左側面に当接可能なように、開口31hより拡大する。解除レバー20は回動軸21に対して移動不能であって、回動軸21は開口31hに挿通されているため、解除レバー20はY方向に沿っての移動、又は、第1方向若しくは第2方向への回動のみ可能である。解除レバー20及び回動軸21に対して右側に向かって外力が加わった場合であっても、当接部27aの側面27cが第2連結板部31gの左側面に当接するため、回動軸21は、開口31hから脱離しない。なお、解除レバー20及び回動軸21に対して左側に向かって外力が加わった場合であっても、解除レバー20の本体部22の左側面が第2連結板部31gの右側面に当接するため、回動軸21は、開口31hから脱離しない。このように、端子座31は、解除レバー20と軸係合部27との間に設けられ、解除レバー20は、回動軸21を介して、収容空間31aを覆うように端子座31に嵌合することができる。
【0070】
次に、回路遮断器1における収容部10と、端子座31及び解除レバー20との嵌合について説明する。収容部10の左側ケース10Cに対して中央ケース10Bが嵌合した状態で、レバー付勢ばね29が中央ケース10Bの上部に設けられる。次に、レバー付勢ばね29の端部に対して解除レバー20が接続されるように、端子座31と解除レバー20とが組み合わさった状態で収容部10に嵌合する。このとき、端子座31の係合板部31c、載置板部31d及び第2連結板部31gは、収容部10の嵌合部12に嵌合する。また、回動軸21の軸係合部27は、収容部10の穴部13に収容される。なお、解除レバー20が最も左側に移動し、回動軸21が最も左側に移動した場合であっても、収容部10の中央ケース10B及び左側ケース10Cに当接しないように穴部13が形成される。
【0071】
解除レバー20に対してレバー付勢ばね29が接続されたとき、レバー付勢ばね29によって、解除レバー20に対して左側に向かって弾性力が働く場合がある。このとき、嵌合部12において、端子座31の係合板部31c、載置板部31d及び第2連結板部31gの少なくとも1部位に対して摩擦力が働くため、解除レバー20に対して働く弾性力によって端子座31が共に左側に移動することを抑制できる。
【0072】
以上のように、本実施形態の回路遮断器1は、端子座31と、解除レバー20と、レバー付勢ばね29と、回動軸21とを備える。回動軸21は、解除レバー20に対して移動不能に固定され、端子座31に対して第1方向R1及び第2方向R2に回動可能に嵌合する。これにより、回路遮断器1内に組み付けられた解除レバー20は、第1方向R1に回転することができ、端子座31における電線ELの係合を解除することができる。また、回動軸21が端子座31に対して脱離不能であるため、回動軸21が固定されている解除レバー20も、端子座31に対して脱離不能となる。例えば、端子座31及び解除レバー20を回路遮断器1内に組み付けるとき、レバー付勢ばね29の弾性力によって解除レバー20が押圧された場合であっても、端子座31が回路遮断器1に組み付けられていることで、解除レバー20が回路遮断器1内から脱離することが抑制される。よって、この回路遮断器1では、電線ELの係合を解除する解除レバー20を容易に組み付けることができる。また、回動軸21は端子座31に対して嵌合するため、端子座31の成形時に、回動軸21を考慮して成形しなくてよい。これにより、本実施形態の端子座31は、1枚の金属板から成形することができるため、コストを低く抑えることができる。また、回動軸21は、解除レバー20に一体的に形成される。この場合、例えば、回動軸21を解除レバー20と共に一体成形することができるため、解除レバー20に回動軸21を組み付ける工数を減らすことができる。
【0073】
また、端子座31には、回動軸21を挿通可能な開口31hが形成され、回動軸21は、開口31hに回転可能に挿通される軸部26と、Y方向(軸部26の延在方向の一例)に直交する断面方向(X方向及び上下方向)に沿って開口31hに比べて拡縮可能に変形する軸係合部27とを有し、端子座31は、解除レバー20と軸係合部27との間に設けられる。この場合、回動軸21の軸係合部27は、端子座31に形成された開口31hに対して拡縮可能に変形するため、回動軸21の軸係合部27を縮小させて開口31hに挿通させて、端子座31を解除レバー20と軸係合部27との間に設けることができる。さらに、端子座31を挟んで解除レバー20に対向する位置で軸係合部27を拡大させることができる。この場合、レバー付勢ばね29によって解除レバー20が脱離する方向(右側)に移動しても、軸係合部27が端子座31に当接して解除レバー20の脱離を抑制できる。よって、解除レバー20を容易に端子座31に組み付けることができると共に、適切に解除レバー20の脱離を抑制できる。また、回動軸21において、軸部26と軸係合部27とを別部材で成形する必要がなくなるため、軸部26と軸係合部27とを組み付ける工数を減らすことができる。
【0074】
従来の回路遮断器では、例えば、収容部に回動軸を設置し、解除レバーに設けられた開口に挿通させていた。この場合、挿通させる回動軸に本実施形態の軸係合部27のような嵌合する部位が設けられておらず、レバー付勢ばねによって解除レバーは脱離する可能性があった。また、端子座、回動軸及び解除レバー等をそれぞれ形成し、収容部に設置するため、多くの工数がかかっていた。これに対し、本実施形態の回路遮断器1では、軸係合部27によって解除レバー20が端子座31に対して脱離不能となり、収容部10内に組み付けられたときでも解除レバー20が脱離することが抑制される。また、本実施形態の回路遮断器1では、回動軸21が解除レバー20に固定されていることで、回動軸21を解除レバー20と一体物として取り扱うことができ、工数を減らすことができる。
【0075】
また、回路遮断器において収容部に回動軸を設けることも考えられるが、各構成物を取り扱う作業者側に回動軸が突出することで、破損する可能性がある。本実施形態では、収容部10から突出する部位として回動軸を設けることなく、さらに回動軸21が端子座31に嵌合した状態で収容部10に組み付けられるため、回動軸21の破損を抑制できる。
【0076】
また、回路遮断器1は、端子座31が嵌合可能な嵌合部12を有し、端子座31及び解除レバー20の少なくとも一部を収容する収容部10をさらに備える。この場合、端子座31が収容部10の嵌合部12に嵌合することで、レバー付勢ばね29が弾性力によって解除レバー20を押圧する場合であっても、解除レバー20と嵌合している端子座31が解除レバー20と共に脱離することが抑制される。よって、解除レバー20、及び解除レバー20と嵌合する端子座をより強固に収容部10に組み付けることができる。
【0077】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。例えば、回路遮断器1の他に、電源及び負荷装置の少なくとも1つを備える回路遮断器システムを一体的に形成してもよい。
【0078】
例えば、回路遮断器1において、接点部70は、電源側端子80及び負荷側端子90の数は限定されない。接点部70は、1又は3以上の電源側端子80を有していてもよく、1又は3以上の負荷側端子90を有していてもよい。この場合、電源側接触子71及び負荷側接触子72の数も限定されない。
【0079】
回動軸21が設けられる位置及び回動軸21の軸係合部27の位置は、上述の実施形態の形状に限定されず、例えば以下のような形状であってもよい。図9は、変形例に係る回路遮断器における解除レバー、端子座及び回動軸の一例を示す部分正面図である。変形例において、実施形態と同一名称であって符号のみが異なる構成は、特に記載がない限り、実施形態の構成と同一の構造及び機能を有する。以下に説明されていない回路遮断器100に関する構成及び機能は、実施形態の回路遮断器1に関する構成及び機能と同一である。図9に示される回路遮断器100は、解除レバー120と、回動軸121と、電線係合部130と、を備える。回動軸121は、端子座131に対して移動不能に固定され、解除レバー120に対して第1方向R1及び第2方向R2に回動可能に嵌合する点で、実施形態の回路遮断器1の構成と異なる。
【0080】
変形例に係る解除レバー120には、回動軸121を挿通可能な開口が形成される。例えば、解除レバー120の本体部122の中央部122aには、回動軸121を挿通可能な開口122dが形成される。開口122dは、Y方向に沿って貫通している。開口122dによって、解除レバー20の本体部22の右側の空間と第2連結板部31gの右側の空間とが連通している。開口122dにおける回転径方向Cの直径は、例えば、上述の実施形態の開口31hの直径raと同一である(図7参照)。
【0081】
回動軸121は、端子座131に対して移動不能に固定されている。回動軸121は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、第1方向R1及び第2方向R2に回動可能に端子座131に嵌合する。回動軸121は、例えば、Y方向に沿って延在する。回動軸121は、例えば、端子座131の第2連結板部131gに対して移動不能に固定されている。移動不能とは、端子座131と回動軸121との位置関係が不変であることを指し、上述の実施形態と同様の態様である。回動軸121は、第2連結板部131gのうち、前側の上部において、右側に突出するように形成されている。例えば、回動軸121は、端子座131と一体的に形成されている。端子座131及び回動軸121は、例えば、金属などの少なくとも一方向に拡縮するような変形が可能な同一の材料によって一体成形されている。
【0082】
回動軸121は、解除レバー120に形成された開口122dに回転可能に挿通される軸部126と、軸部126の延在方向に直交する断面方向に沿って開口122dに比べて拡縮可能に変形する軸係合部127とを有する。軸部126における回転径方向Cの直径は、例えば、上述の実施形態の軸部26の直径rcと同一である(図7参照)。軸部126は、第2連結板部31gに設けられている基端部126aと、解除レバー20及び端子座31の第2連結板部31gより右側に設けられている先端部126bとを有する。先端部126bは、基端部126aの右端部から右側に延在している複数の部位である。開口126cは、例えば、右側及び回転径方向Cの外側に向かって開放されている。
【0083】
軸係合部127は、例えば、軸部126の先端部126bの数に合わせて形成される。軸係合部127は、軸部126の先端部126bから回転径方向Cの外側に延在している当接部127aと、当接部127aから右側に延在している傾斜部127bとを有する。
【0084】
当接部127aは、例えば、Y方向に沿った軸を中心とし、開口122dの径及び基端部26aの径より大きい径の円柱の一部である。当接部127aは、当該円柱から開口26cを除いた部位である。X方向及び上下方向に沿った平面において、2つの当接部27aの回転径方向Cの外面の各1点の位置を、回動軸21の回動中心位置を通るように結んだ長さは、上述の実施形態の長さrdと同一である(図7参照)。外力が加わっていない状態において、当接部127aの長さrdは、開口122dの直径ra及び基端部126aの直径rcより大きい。当接部127aの回転径方向Cの外側の部位は、例えば、軸部126の先端部126bより回転径方向Cの外側に延在し、端子座131の開口122dの縁より回転径方向Cの外側に延在している。当接部127aの左側の面である側面127cは、軸部126の先端部126bより回転径方向Cの外側及びX方向に延在している面であり、先端部126bの外面に直交している。側面127cは、解除レバー20の本体部22の中央部122aに当接可能である。
【0085】
これにより、回動軸121が開口122dに挿通され、当接部127aが本体部22の中央部122aの開口122dの右側に位置するとき、回動軸121は、その延在方向(Y方向)に沿って、端子座131に対して脱離不能に嵌合する。脱離不能とは、解除レバー120と回動軸121との嵌合が解除されないことを指し、上述の実施形態と同様の態様である。解除レバー120又は回動軸121に対して力がY方向に加わった場合であっても、軸係合部127又は端子座131が解除レバー120に当接することで、軸係合部127及び端子座131に対して解除レバー120が相対的に所定の長さ以上移動することを抑制する。
【0086】
傾斜部127bは、Y方向に沿った軸を中心とする円錐台の一部である。傾斜部127bは、当該円錐台から開口126cを除いた部位である。傾斜部127bは、当接部127aと接続する左側から先端の右側に向かってテーパーがつけられており、左側から右側に向かって回転径方向Cの外側の面が回動中心から近くなるように傾斜している。すなわち、傾斜部127bは、右側に向かって細くなっている(回転径方向Cの長さが小さくなっている)。傾斜部127bの右側の端部は、例えば、X方向及び上下方向に沿っている面で構成されている。2つの傾斜部127bの右側の端部において、回転径方向Cの外面の各1点の位置を回動軸21の回動中心位置を通るように結んだ長さは、上述の実施形態の長さreと同一である(図7参照)。傾斜部127bの右側の端部の長さreは、当接部127aの長さrdより小さい。また、傾斜部127bの右側の端部の長さreは、解除レバー20の開口122dの直径raより小さい。
【0087】
以下、回路遮断器100における端子座131と解除レバー120との嵌合について説明する。例えば、端子座131と解除レバー120とが嵌合する前に、収容空間131aにおいて、板ばね32が載置板部131d上に載置される。次に、解除レバー120の開口122dに対して、端子座131に対して移動不能に固定された回動軸121を左側から右側に向かって嵌合させる。このとき、回動軸121の軸係合部127の傾斜部127bが開口122dに挿入される。傾斜部127bの右側の端部の長さreは、解除レバー120の開口122dの直径raより小さいため、傾斜部127bの右側の端部は、開口122d内に挿通可能である。ここで、回動軸121の軸係合部127の当接部127aにおける長さrdは、回転径方向Cの内側への外力が加わっていないとき、開口122dの直径raより大きい。
【0088】
しかし、回動軸121が、(1)傾斜部127bがテーパーが付けられている、(2)回動軸121の回動中心位置に開口126cが設けられている、(3)回動軸121が金属などの縮小するような変形可能な材料で成形されている、等の特徴を有する。このことから、傾斜部127bが開口122d内に右側に向かって進入すればするほど、開口122dを形成する解除レバー20の面によって回転径方向Cの内側に向かって押圧されることで、2つの軸係合部127は、回転径方向Cの内側(開口126cの幅方向)に向かって互いに近接又は接触するように移動する。これにより、軸係合部127は、開口122dの内面に接触しながら移動することができ、軸係合部127の当接部127aも開口122d内に進入することができる。このとき、回転径方向Cの内側への外力が加わった状態の2つの当接部127aにおいて、回転径方向Cの外面の各1点の位置を回動軸121の回動中心位置を通るように結んだ長さは、開口122dの直径ra以下となっている。回動軸121の開口126cの大きさ及び形状等は、外力が加わった状態の当接部127aが開口122d内を挿通可能なように適宜設定される。すなわち、Y方向から見た当接部127aの総断面積が、少なくともY方向から見た開口122dの大きさより小さくなるように設定される。
【0089】
軸係合部127の当接部127aが開口122dから退出したとき、軸係合部127と開口122dを形成する内面とが接触しておらず、軸部126の直径rcが開口122dの直径raより小さいため、回動軸121に対して回転径方向Cの内側に向かって外力(押圧力)が加わらなくなる。回動軸121が金属などの拡大するような変形可能な材料で成形されているため、2つの軸係合部127は、回転径方向Cの外側に向かって互いに離間するように移動する。これにより、軸係合部127の当接部127aの左側の側面127cは、開口122dの右側において、解除レバー20の本体部22の中央部122aの右側面に当接可能なように、開口122dより拡大する。端子座131は回動軸121に対して移動不能であって、回動軸121は開口122dに挿通されているため、解除レバー120はY方向に沿っての移動、又は、第1方向若しくは第2方向への回動のみ可能である。解除レバー120に対して右側に向かって外力が加わった場合であっても、当接部27aの側面127cが解除レバー20の本体部22の右側面に当接するため、回動軸121は、開口122dから脱離しない。なお、解除レバー20に対して左側に向かって外力が加わった場合であっても、端子座131の第2連結板部131gの右側面が解除レバー20の本体部22の左側面に当接するため、回動軸121は、開口122dから脱離しない。このように、解除レバー20は、端子座131と軸係合部127との間に設けられ、解除レバー120は、回動軸121を介して、収容空間131aを覆うように端子座131に嵌合することができる。
【0090】
回路遮断器100において、上述の実施形態と同様、収容部10(図5参照)と、端子座131及び解除レバー120とは嵌合する。なお、上述した実施形態の穴部13と同様、収容部10において、回動軸121の先端(軸係合部127)を接触不能に覆う穴部113が設けられてもよい。
【0091】
以上のように、図9に示される変形例の回路遮断器100は、端子座131と、解除レバー120と、レバー付勢ばね29と、回動軸121とを備える。回動軸121は、端子座131に対して移動不能に固定され、解除レバー120に対して第1方向R1及び第2方向R2に回動可能に嵌合する。これにより、回路遮断器100内に組み付けられた解除レバー120は、第1方向R1に回転することができ、端子座131における電線ELの係合を解除することができる。また、回動軸121が解除レバー120に対して脱離不能であるため、回動軸121が固定されている端子座131も、解除レバー120に対して脱離不能となる。例えば、端子座131及び解除レバー120を回路遮断器100内に組み付けるとき、レバー付勢ばね29の弾性力によって解除レバー120が押圧された場合であっても、端子座131が回路遮断器100に組み付けられていることで、解除レバー120が回路遮断器100内から脱離することが抑制される。よって、この回路遮断器100では、電線ELの係合を解除する解除レバー120が容易に組み付けられる。
【0092】
また、解除レバー120には、回動軸121を挿通可能な開口122dが形成され、回動軸121は、開口122dに回転可能に挿通される軸部126と、軸部126の延在方向(Y方向)に直交する断面方向に沿って開口122dに比べて拡縮可能に変形する軸係合部127とを有し、解除レバー120は、端子座131と軸係合部127との間に設けられる。この場合、回動軸121の軸係合部127は、解除レバー120に形成された開口122dに対して拡縮可能に変形するため、回動軸121の軸係合部127を縮小させて開口122dに挿通させて、解除レバー120を端子座131と軸係合部127との間に設けることができる。さらに、解除レバー120を挟んで端子座131に対向する位置で軸係合部127を拡大させることができる。この場合、レバー付勢ばね29によって解除レバー120が脱離する方向(右側)に移動しても、軸係合部127が端子座131に当接して解除レバー120の脱離を抑制できる。よって、解除レバー120を容易に端子座131に組み付けることができると共に、適切に解除レバー120の脱離を抑制できる。
【0093】
以下、実施形態及び変形例に係る回路遮断器1,100の各構成について、変形例を説明する。以下、実施形態に係る回路遮断器1と変形例に係る回路遮断器100とにおいて、同様の機能を持つ構成については、変形例に係る回路遮断器100における各構成の符号を省略する。
【0094】
例えば、回路遮断器1,100は、それぞれレバー付勢ばね29を備えなくてもよい。収容部10内に端子座31,131及び解除レバー20,120を組み付ける場合に、収容部10の内部が露出している向きに関わらず、端子座31,131及び解除レバー20,120が脱離することを抑制できる。例えば、収容部10の中央ケース10Bの内部が露出している右方向(Y方向の負方向)が重力方向に沿うように収容部10が設けられていても、端子座31,131は中央ケース10Bの嵌合部12に嵌合するため、端子座31,131と、端子座31,131に脱離不能に嵌合している解除レバー20,120とは、重力方向に脱離することが抑制される。したがって、レバー付勢ばね29による弾性力以外の力が働いても、解除レバー20,120は、回路遮断器1,100内にそれぞれ容易に組み付けることができる。
【0095】
また、回動軸21は、解除レバー20に対して移動不能に構成されていれば、解除レバー20に対する回動軸21の設けられ方は限定されない。回動軸121は、端子座131に対して移動不能に構成されていれば、端子座131に対する回動軸121の設けられ方は限定されない。例えば、回動軸21,121は、解除レバー20及び端子座131にそれぞれ一体的に構成されなくてもよい。一体的に構成されていないとは、例えば、解除レバー20若しくは端子座131と回動軸21,121とのそれぞれの間において、隙間が生じている状態、又は、他の部材が介在している状態等を指す。解除レバー20及び回動軸21と、端子座131及び回動軸121とは、ぞれぞれ、一部材中の各部位として機能しなくてもよい。この場合、例えば、回動軸21,121は、解除レバー20及び端子座131のそれぞれに対して、ねじ又はボルト等の締結部材によって固定されていてもよく、接着剤等を用いて接着されてもよく、溶接若しくは溶着されていてもよい。上述した固定により、回動軸21,121は、解除レバー20及び端子座131に対してそれぞれ移動不能に構成され得る。さらに、回動軸21,121を構成する材料は上述の材料に限定されず、解除レバー20及び端子座131とはそれぞれ異なる材料で構成されていてもよい。
【0096】
また、解除レバー20,120が端子座31,131に対してY方向に沿って脱離不能に構成されていれば、回動軸21,121の大きさ、形状等は限定されない。例えば、回動軸21,121の軸部26,126と軸係合部27,127とはそれぞれ別部材で形成されていてもよい。この場合、回動軸21の軸部26を端子座31の開口31hに挿通した後、開口31hから左側に突出した軸部26の左端部に軸係合部27を係合してもよい。回動軸121の軸部126を解除レバー120の開口122dに挿通した後、開口122dから右側に突出した軸部126の右端部に軸係合部127を係合してもよい。このとき、軸部26,126には開口26c,126cがそれぞれ形成されていなくてもよく、軸部26,126の先端部26b,126bはそれぞれ複数の部位でなくてもよく、軸係合部27,127はそれぞれ複数の部材でなくてもよい。例えば、軸部26,126はそれぞれボルトであって、軸係合部27,127はそれぞれナットであってもよい。
【0097】
また、回動軸21,121の開口26c,126cの大きさ及び形状等は、外力が加わった状態の当接部27a,127aがそれぞれ開口31h,122d内を挿通可能なように適宜設定される。すなわち、Y方向から見た当接部27a,127aの総断面積が、少なくともY方向から見た開口31h,122dの大きさよりそれぞれ小さくなるように設定される。例えば、2つの当接部27a,127aにおける長さrdから、開口26c,126cの幅を除いた長さが、開口31h,122dの直径ra以下となる。軸係合部27が拡縮可能な長さ及び向きは、開口26c,126cの大きさ及び形状に応じて変化するため、軸係合部27,127の大きさ及び形状は、開口26c,126cの大きさ及び形状に応じて適宜設定される。
【0098】
また、回動軸21,121の軸係合部27,127は、端子座31の開口31h及び解除レバー20の開口122dに対してそれぞれ拡縮可能でなくてもよい。例えば、上述のように、軸係合部27,127は軸部26,126とそれぞれ別部材であってもよい。また、例えば、軸係合部27,127は、開口31h,122dにそれぞれ挿通可能に構成されており、拡大可能に構成されていてもよい。この場合、軸係合部27,127は、縮小することなく開口31h,122d内に挿通される。開口31hから左側に突出した軸係合部27に対して、例えば治具等を用いて軸係合部27を回転径方向Cの外側に向かって拡大させる。開口122dから右側に突出した軸係合部127に対して、例えば治具等を用いて軸係合部127を回転径方向Cの外側に向かって拡大させる。
【0099】
軸係合部27の当接部27aの側面27cは、先端部26bの外面に直交していなくてもよい。側面27cは、軸部26の先端部26bより回転径方向Cの外側に延在している面であり、右側から左側に行くにしたがって、回転径方向Cの外側から内側に傾斜するような面であってもよい。すなわち、軸係合部27における当接部27aは、右側から左側に向かって回転径方向Cの外側から内側に傾斜していてもよい。軸係合部27における当接部27aは、少なくとも左側から右側に向かって回転径方向Cの外側から内側に傾斜するような形状を取らない。
【0100】
軸係合部127の当接部127aの側面127cは、先端部126bの外面に直交していなくてもよい。側面127cは、軸部126の先端部126bより回転径方向Cの外側に延在している面であり、左側から右側に行くにしたがって、回転径方向Cの外側から内側に傾斜するような面であってもよい。すなわち、軸係合部127における当接部127aは、左側から右側に向かって回転径方向Cの外側から内側に傾斜していてもよい。軸係合部127における当接部127aは、少なくとも右側から左側に向かって回転径方向Cの外側から内側に傾斜するような形状を取らない。軸係合部27,127は、例えば、矢印又はマッシュルームのような形状を取っていてもよい。
【0101】
また、回動軸21,121の開口26c,126cの開放されている方向は、それぞれ先端部26b,126bの数に応じて適宜変化する。例えば、例えばm個(mは自然数)の先端部26bが設けられている場合には、開口26cは、回転径方向C及びY方向に延在する少なくともn個の面に沿っており、左側及び回転径方向Cの外側に向かって開放されている。例えば、例えばn個(nは自然数)の先端部126bが設けられている場合には、開口126cは、回転径方向C及びY方向に延在する少なくともn個の面に沿っており、右側及び回転径方向Cの外側に向かって開放されている。2つの先端部26b,126bが互いに対向する面は、平面でなくてもよく、回転径方向Cの外側又は内側に向かって湾曲してY方向に延在するような湾曲面であってもよい。
【0102】
また、端子座31の開口31h及び解除レバー120の開口122dの形状、数等は限定されない。端子座31及び解除レバー120には、解除レバー20の第1方向R1及び第2方向R2の回動方向に沿った円弧状の開口がそれぞれさらに設けられてもよい。このとき、解除レバー20及び端子座131は、当該円弧状の開口に嵌合可能な軸をそれぞれさらに有していてもよい。端子座31と解除レバー20とが複数の開口及び軸で嵌合することで、より強固に端子座31と解除レバー20とを組み付けることができ、端子座131と解除レバー120とが複数の開口及び軸で嵌合することで、より強固に端子座131と解除レバー120とを組み付けることができる。
【0103】
また、収容部10は、嵌合部12を有さなくてもよい。レバー付勢ばね29による弾性力によって解除レバー20が右側に押圧された場合であっても、端子座31の自重、及び、端子座31と収容部10の各部材との摩擦によって、解除レバー20,120が端子座31,131と共に右側に脱離することが抑制される。嵌合部12の大きさ、形状等の特徴は、端子座31の大きさ、形状等の特徴に合わせて適宜調整される。嵌合部12の内面の構成は、上記に限定されず、適宜大きさ、形状、数、配置等は変更されてもよい。嵌合部12は、端子座31の全部又は一部を挟持するように嵌合していてもよく、端子座31の全部又は一部と引っかかるように嵌合していてもよく、端子座31の全部又は一部と右側への移動に対して左側に向かって摩擦力が生じるような形状を有していてもよい。
【0104】
また、収容部10の穴部13は、回動軸21,121に接触してもよい。収容部10の中央ケース10Bは、解除レバー20,120と回動軸21,121の軸係合部27,127との間にそれぞれ設けられてもよい。このとき、解除レバー20,120の本体部22,122と端子座31,131の第2連結板部31g,131gとのそれぞれの間、又は、第2連結板部31g,131gと軸係合部27,127とのそれぞれの間の少なくとも1つの位置に、Y方向に沿って貫通した穴部13が設けられていてもよい。このとき、中央ケース10Bの穴部13内に回動軸21,121がそれぞれ挿通される。これにより、端子座31,131及び解除レバー20,120が収容部10から脱離することが抑制される。また、収容部10には、穴部13が形成されなくてもよい。
【0105】
上述の実施形態及び変形例に示されるように、本開示の回路遮断器は、電線の端部と係合可能な端子座と、第1方向に回転することで前記端子座における前記電線の係合を解除可能な解除レバーと、前記解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、前記解除レバーを前記端子座に対して前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に支持する回動軸と、を備え、前記回動軸は、前記解除レバー及び前記端子座の一方に対して移動不能に固定され、前記回動軸は、前記解除レバー及び前記端子座の他方に対して、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に前記端子座に嵌合する。
【0106】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[形態1]~[形態5]に記載する。
【0107】
[形態1]
電線の端部と係合可能な端子座と、
第1方向に回転することで前記端子座における前記電線の係合を解除可能な解除レバーと、
前記解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、
前記解除レバーを前記端子座に対して前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に支持する回動軸と、
を備え、
前記回動軸は、前記解除レバーに対して移動不能に固定され、
前記回動軸は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に前記端子座に嵌合する、
回路遮断器。
[形態2]
前記端子座には、前記回動軸を挿通可能な開口が形成され、
前記回動軸は、前記開口に回転可能に挿通される軸部と、前記軸部の延在方向に直交する断面方向に沿って前記開口に比べて拡縮可能に変形する軸係合部とを有し、
前記端子座は、前記解除レバーと前記軸係合部との間に設けられる、[形態1]に記載の回路遮断器。
[形態3]
電線の端部と係合可能な端子座と、
第1方向に回転することで前記端子座における前記電線の係合を解除可能な解除レバーと、
前記解除レバーを第2方向に付勢するレバー付勢ばねと、
前記解除レバーを前記端子座に対して前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に支持する回動軸と、
を備え、
前記回動軸は、前記端子座に対して移動不能に固定され、
前記回動軸は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、前記第1方向及び前記第2方向に回動可能に前記解除レバーに嵌合する、
回路遮断器。
[形態4]
前記解除レバーには、前記回動軸を挿通可能な開口が形成され、
前記回動軸は、前記開口に回転可能に挿通される軸部と、前記軸部の延在方向に直交する断面方向に沿って前記開口に比べて拡縮可能に変形する軸係合部とを有し、
前記解除レバーは、前記端子座と前記軸係合部との間に設けられる、[形態3]に記載の回路遮断器。
[形態5]
前記端子座が嵌合可能な嵌合部を有し、前記端子座及び前記解除レバーの少なくとも一部を収容する収容部をさらに備える、[形態1]~[形態4]の何れか一項に記載の回路遮断器。
【符号の説明】
【0108】
1,100…回路遮断器、10…収容部、11…電線差込口、12…嵌合部、13,113…穴部、20,20A,20B,120…解除レバー、21,121…回動軸、22,122…本体部、26,126…軸部、27,127…軸係合部、29,29A,29B…レバー付勢ばね、30,30A,30B,130…電線係合部、31,31A,31B,131…端子座、31g,131g…第2連結板部、31h,122d…開口、32,32A,32B…板ばね、70,70A,70B…接点部、71,71A,71B…電源側接触子、72,72A,72B…負荷側接触子、80,80A,80B…電源側端子、90,90A,90B…負荷側端子、C…回転径方向、R1…第1方向、R2…第2方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9