(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170001
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】解除レバー及び回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H01H73/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081412
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
(72)【発明者】
【氏名】新美 貴広
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030EA01
5G030EA02
5G030XX12
5G030XX20
5G030YY04
(57)【要約】
【課題】電線の係合の解除操作に係る操作性を改善できる解除レバー及び回路遮断器を提供する。
【解決手段】
解除レバーは、回路遮断器の収容部内の電線の係合を解除するために用いられ、収容部内に一部が収容される解除レバーであって、回動軸を中心に回動可能である本体部と、本体部と共に回動軸を中心に第1方向に沿って回転することで電線の係合を解除する係合解除部と、第1方向に向かって凹んだ凹部を有する操作部と、を備え、本体部は、本体部の回転径方向の外側に位置する外縁部を有し、操作部は、係合解除部に対して回転径方向の外側に位置し、外縁部から回転径方向の外側に突出する。回路遮断器は、上述した解除レバーと、電線と係合する電線係合部と、解除レバーの少なくとも一部及び電線係合部を収容する収容部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器の収容部内の電線の係合を解除するために用いられ、前記収容部内に一部が収容される解除レバーであって、
回動軸を中心に回動可能である本体部と、
前記本体部と共に前記回動軸を中心に第1方向に沿って回転することで前記電線の係合を解除する係合解除部と、
前記第1方向に向かって凹んだ凹部を有する操作部と、
を備え、
前記本体部は、前記本体部の回転径方向の外側に位置する外縁部を有し、
前記操作部は、前記係合解除部に対して前記回転径方向の外側に位置し、前記外縁部から前記回転径方向の外側に突出する、
解除レバー。
【請求項2】
前記凹部は、前記回転径方向及び前記回動軸の延在方向の少なくとも一方向と前記第1方向とに沿った前記操作部の断面が湾曲している部分である、請求項1に記載の解除レバー。
【請求項3】
前記操作部は、前記本体部の回動方向のうち前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する前記外縁部の端部に設けられる、請求項1又は2に記載の解除レバー。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の解除レバーと、
電線と係合する電線係合部と、
前記解除レバーの少なくとも一部及び前記電線係合部を収容する収容部と、
を備える、回路遮断器。
【請求項5】
前記解除レバーの前記操作部は、前記収容部から前記回転径方向の外側に突出している、請求項4に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記解除レバー及び前記収容部は、分電盤の筐体内に収容可能であって、
前記操作部は、前記筐体から離間して前記分電盤内に収容される、請求項5に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、解除レバー及び回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回路遮断器において電線の係合を解除するために用いられる解除レバーが知られている。特許文献1には、回路遮断器において、板ばねと電線との係合を解除させる解除レバーが開示されている。解除レバーは、回動支点と、遮断器ケース上部に露出して解除操作する操作部と、板ばねに上方から干渉可能な解除干渉片とを備えている。操作部をスライド操作して解除レバーを電線差し込み口から離れる方向へ回動させ、解除干渉片が板バネにおける電線への係合部に干渉動作し、板ばねによる電線の係合が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、回路遮断器では、板ばねによる付勢によって、解除レバーが回路遮断器内で電線の係合及び電線の係合の解除における各動作より大きく移動することを抑制するため、解除レバーは、板ばねとは別のレバー付勢ばねによって付勢されている。作業者が解除レバーによって電線の係合の解除に関する操作を行う際には、板ばね及び当該ばねによる弾性力が働くこととなる。このため、当該操作における解除レバーの操作荷重を小さくするなど、操作性を改善できる余地がある。
【0005】
本開示は、電線の係合の解除操作に係る操作性を改善できる解除レバー及び回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る解除レバーは、回路遮断器の収容部内の電線の係合を解除するために用いられ、収容部内に一部が収容される解除レバーであって、回動軸を中心に回動可能である本体部と、本体部と共に回動軸を中心に第1方向に沿って回転することで電線の係合を解除する係合解除部と、第1方向に向かって凹んだ凹部を有する操作部と、を備え、本体部は、本体部の回転径方向の外側に位置する外縁部を有し、操作部は、係合解除部に対して回転径方向の外側に位置し、外縁部から回転径方向の外側に突出する。
【0007】
この解除レバーは、本体部と、係合解除部と、操作部とを備える。係合解除部は、本体部と共に回動軸を中心に第1方向に沿って回転することで、電線の係合を解除できる。操作部は、外縁部から解除レバーの回転径方向の外側に突出しているため、作業者は、解除レバーの外側から操作部を操作できる。操作部は、係合解除部が電線の係合を解除する際に回転する方向である第1方向に沿って凹んだ凹部を有する。作業者が回路遮断器における電線の係合を解除する場合、作業者は、例えば指などの力を付与する物体によって対象の解除レバーの操作部に対して第1方向へ力を加えることで、解除レバーを当該第1方向に沿って回転させる。操作部に凹部が設けられることで、作業者は、指などの力を付与する物体を対象の解除レバーに対して容易にフィットさせることができ、容易に操作部を第1方向に沿って回転させることができる。また、操作部が外縁部から回転径方向の外側に突出していることで、解除レバーの支点である回動軸から力点である操作部までの径の長さが、回動軸から作用点である係合解除部までの径の長さよりさらに長くなるため、より小さな力で係合解除部における電線の係合を解除できる。したがって、この解除レバーは、電線の係合の解除操作に係る操作性を改善できる。
【0008】
一実施形態に係る解除レバーにおいて、凹部は、回転径方向及び回動軸の延在方向の少なくとも一方向と第1方向とに沿った操作部の断面が湾曲している部分であってもよい。この場合、作業者の指などの力を付与する物体が凹部に当てはまりやすくなり、操作部に対して力を加えやすくすることができる。
【0009】
一実施形態に係る解除レバーにおいて、操作部は、本体部の回動方向のうち第1方向とは反対の第2方向側に位置する外縁部の端部に設けられてもよい。外縁部の端部は、外縁部において、解除レバーの回動方向のうち電線の係合を解除する方向である第1方向とは反対の第2方向側に位置する。操作部が当該端部に設けられることで、操作部が外縁部の回転周方向の途中に設けられる場合に比べて、解除レバーの回転中において操作部と回路遮断器の他の部材との干渉を抑えることができる。
【0010】
本開示の他の側面に係る回路遮断器は、上述した解除レバーと、電線と係合する電線係合部と、解除レバーの少なくとも一部及び電線係合部を収容する収容部と、を備える。
【0011】
この回路遮断器は、解除レバーと、電線係合部と、収容部とを備える。解除レバーの係合解除部が、回動軸を中心に第1方向に沿って回転することで、電線係合部における電線の係合を解除できる。操作部は、外縁部から解除レバーの回転径方向の外側に突出しているため、作業者は、解除レバーの外側から操作部を操作できる。操作部は、係合解除部が電線係合部における電線の係合を解除する場合、作業者は、例えば指などの力を付与する物体によって対象の解除レバーの操作部に対して第1方向へ力を加えることで、解除レバーを当該第1方向に沿って回転させる。操作部に凹部が設けられることで、作業者は、指などの力を付与する物体を対象の解除レバーに対して容易にフィットさせることができ、容易に操作部を第1方向に沿って回転させることができる。また、操作部が外縁部から回転径方向の外側に突出していることで、解除レバーの支点である回動軸から力点である操作部までの径の長さが、回動軸から作用点である係合解除部までの径の長さよりさらに長くなるため、より小さな力で係合解除部における電線の係合を解除できる。したがって、この回路遮断器は、電線の係合の解除操作に係る操作性を改善できる。
【0012】
一実施形態に係る回路遮断器における解除レバーの操作部は、収容部から回転径方向の外側に突出していてもよい。この場合、作業者は、回路遮断器の収容部の外側において容易に操作部にアクセスして当該操作部を操作できるため、電線の係合を容易に解除することができる。
【0013】
一実施形態に係る回路遮断器において、解除レバー及び収容部は、分電盤の筐体内に収容可能であって、操作部は、筐体から離間して分電盤内に収容されてもよい。この場合、操作部は、解除レバーの外縁部より回転径方向の外側に突出しているが、分電盤の筐体から離間している。このため、回路遮断器を分電盤の筐体内に収容する場合であっても、分電盤の筐体の開閉時に操作部が当該筐体に当接することを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る解除レバー及び回路遮断器によれば、電線の係合の解除操作に係る操作性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る分電盤内に収容された回路遮断器の一例を示す部分平面図である。
【
図2】実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す側面図である。
【
図3】実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係る回路遮断器の内部及び解除レバーの一例を示す部分斜視図である。
【
図5】実施形態に係る回路遮断器の電線係合部及び解除レバーの一例を示す部分側面図である。
【
図6】実施形態に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分斜視図である。
【
図7】実施形態に係る回路遮断器の解除レバーの動作の一例を示す部分側面図である。
【
図8】変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分平面図及び部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」「前」「背」等の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0017】
図1は、実施形態に係る分電盤内に収容された回路遮断器の一例を示す部分平面図である。
図2は、実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す側面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下では、XY平面に沿った方向を水平方向、Z方向を上下方向ともいう。
【0018】
図1及び
図2に示される分電盤100は、電源Pから電線(電力線)により送られてきた電力を負荷装置L(負荷回路)へと分岐する電気設備である。分電盤100は、例えば、建物に設けられる電力システムにおいて、電源Pから電線により送られてきた電力を建物の所定の箇所に設けられた負荷装置Lへと分岐する。分電盤100と電源Pとの間、及び、分電盤100と負荷装置Lとの間には、それぞれ他の構成が介在していてもよい。
【0019】
分電盤100は、その内部に回路遮断器1などが集合して取り付けられ、配線された構造を有する。例えば、分電盤100内において、複数の回路遮断器1がY方向に沿って配置される。分電盤100は、電源Pから配線された電線を複数の電線に分岐させてそれぞれ回路遮断器1に接続させ、各回路遮断器1を介して電源Pから負荷装置Lへと電力を供給する。このように、回路遮断器1は、電源Pと負荷装置Lとを電気的に接続することができる。なお、電源と回路遮断器1とは電線によって接続されていなくてもよく、回路遮断器1と負荷装置とは電線によって接続されていなくてもよい。
【0020】
分電盤100は、筐体101を有する。筐体101は、上方が開口した有底箱状を呈する。筐体101の底部には、回路遮断器1の底部が取り付けられる。筐体101は、中扉102と、外扉103(
図2参照)とを有する。中扉102は、筐体101の上端部の一部を覆う板状の部位である。中扉102は、筐体101の上部の一部において開閉可能に設けられる。中扉102の中央部には、開口102aが形成されている。開口102aは、例えば、上面視にて矩形状を呈する。開口102aにおいて、回路遮断器1における一部の構成が露出している。一部の構成とは、例えば、後述の収容部10及び接点移動部60の操作レバー61である。後述の解除レバー20は、中扉102の下方に設けられ、筐体101から露出していない。外扉103は、筐体101及び中扉102の上方を覆う板状の部位である。外扉103は、筐体101の上端部の一部において開閉可能に設けられる。
【0021】
回路遮断器1は、電源Pと負荷装置Lとの間を結ぶ電路に介在する装置であって、後述の接点部70の接触及び離間を制御して、電路の開閉を制御する。ここで、回路遮断器1は、電路の開閉状態として少なくとも開状態及び閉状態の2つの状態を取りうる。開状態とは、作業者が操作する等の外的な動作を含む作用により接点が離間し、電路に電流が流れない状態である。閉状態とは、作業者が操作する等の外的な動作を含む作用により接点が接触し、電路に電流が流れる状態である。回路遮断器1は、トリップ状態を電路の開状態として取ってもよい。トリップ状態とは、電路における過電流、短絡、漏電等の異常状態を検知して、回路遮断器1内の構造の作用により接点が離間し、電路に電流が流れない状態である。
【0022】
図3は、実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す斜視図である。
図2及び
図3に示される回路遮断器1は、収容部10と、解除レバー20と、電線係合部30とを備える。回路遮断器1は、漏電を検出する零相変流器5と、電磁引き外し装置7と、プリント基板9と、レバー付勢ばね29と、接点移動部60とをさらに備える。プリント基板9は漏電が発生したら電磁引き外し装置7を引き外し動作させる漏電検出回路を組み付けている。なお、プリント基板9に搭載されている素子は省略してある。回路遮断器1は、複数の接点部70と、複数の電源側端子80と、複数の負荷側端子90と、をさらに備える。回路遮断器1は、例えば、2つの接点部70A,70Bと、2つの電源側端子80A,80Bと、2つの負荷側端子90A、90Bとを備える。電線係合部30の一部は、例えば、各負荷側端子90A,90Bに設けられる構成である。詳細は後述する。
【0023】
収容部10は、解除レバー20の少なくとも一部と、電線係合部30を収容する。本実施形態の収容部10は、例えば、解除レバー20の一部、電線係合部30、零相変流器5、電磁引き外し装置7、プリント基板9、接点移動部60、複数の接点部70、複数の電源側端子80、及び、複数の負荷側端子90等の構成を収容する筐体である。収容部10は、例えば、筐体の長手方向がX方向に沿って延在している。
【0024】
収容部10は、例えば、右側ケース10A(
図6参照)と、
図1に示される中央ケース10Bと、左側ケース10Cとを有する。Y方向の左側(Y方向の正方向)に向かって、右側ケース10A、中央ケース10B及び左側ケース10Cが順に配置されている。中央ケース10Bは、右側ケース10Aと左側ケース10Cとの間に配置され、右側(Y方向の負方向)において右側ケース10Aと嵌合し、左側の端部において左側ケース10Cと嵌合する。右側ケース10Aと中央ケース10Bと左側ケース10Cとがそれぞれ嵌合することで後述の操作レバー61の一部及び解除レバー20の一部を除く各構成物が収容部10内に収容される。右側ケース10A、中央ケース10B及び左側ケース10Cは、互いに嵌合する際に係止可能な係止部をそれぞれ有する。右側ケース10Aと左側ケース10Cとは、略対称に形成されている。
【0025】
収容部10には、前側(X方向の正方向)を向く面において、負荷装置Lから延在する電線EL(
図4参照)を差し込むことが可能な複数の電線差込口11が設けられる。電線差込口11として、例えば、2つの電線差込口11A,11Bが設けられる。電線差込口11A,11Bは、右側ケース10A、中央ケース10B及び左側ケース10CをそれぞれX方向に向かって貫通している開口である。収容部10において、Y方向の左側に向かって、電線差込口11A,11Bが順に配置されている。
【0026】
複数の電源側端子80は、電源Pに電気的に接続可能な端子である。本実施形態の2つの電源側端子80A,80Bは、収容部10においてX方向の負方向を向く面(背面)に配置される。2つの電源側端子80A,80Bが設けられた背面は上下方向に沿って延在する面で形成される。例えば、右側ケース10A及び中央ケース10Bの背面側の上部において、電源側端子80Aが配置され、中央ケース10B及び左側ケース10Cの背面側の上部において、電源側端子80Bが配置されている。収容部10において、Y方向の左側に向かって、電源側端子80A,80Bが順に配置されている。
【0027】
複数の負荷側端子90は、負荷装置に電気的に接続可能な端子である。2つの負荷側端子90A,90Bは、収容部10においてX方向の正方向を向く面(前面)に配置され、Y方向に沿って整列して配置されている。収容部10の前面側において、Y方向の左側に向かって、負荷側端子90A,90Bが順に配置されている。2つの負荷側端子90A,90Bが設けられた前面の一部は負荷装置Lから延在する電線EL(
図4参照)の接続操作がしやすいように傾斜して形成されている。負荷側端子90Aは、電源側端子80Aと電気的に接続可能である。負荷側端子90Bは、電源側端子80Bと電気的に接続可能である。
【0028】
図4は、実施形態に係る回路遮断器の内部及び解除レバーの一例を示す部分斜視図である。
図3及び
図4に示される各接点部70は、電源と負荷装置とを電気的に接続可能な電路の開閉を接点移動部60の動きに合わせて切り替え可能な構成である。接点部70Aは、電源側端子80Aと、負荷側端子90Aとをそれぞれ電気的に接続する。接点部70Bは、電源側端子80Bと、負荷側端子90Bとをそれぞれ電気的に接続する。接点部70は、X方向において、各電源側端子80と各負荷側端子90との間に配置される。Y方向の左側に向かって、接点部70A,70Bが順に配置されている。各接点部70は、例えば、電源側接触子71と、負荷側接触子72と、板状部材73とを有する。
【0029】
接点部70Aは、電源側接触子71Aと、負荷側接触子72Aと、板状部材73Aとを有する。接点部70Bは、例えば、電源側接触子71Bと、負荷側接触子72Bと、板状部材73Bとを有する。電源側接触子71A,71Bは、それぞれ電源側端子80A,80Bと電気的に接続している。負荷側接触子72A,72Bは、それぞれ負荷側端子90A,90Bと電気的に接続している。接点部70Aにおいては電源側接触子71Aと負荷側接触子72Aとが電気的に接続可能であって、接点部70Bにおいては電源側接触子71Bと負荷側接触子72Bとが電気的に接続可能である。
【0030】
各接点部70は、閉状態と開状態とを後述の接点移動部60による開閉動作により切り替えることができる。板状部材73A,73Bは、水平方向に延在する。板状部材73A,73Bは、それぞれ接点移動部60に接続され、接点移動部60の開閉動作に合わせてその前端部(X方向の正方向の端部)が上下方向に移動する。板状部材73A,73Bは、その後部(X方向の負方向側(背面側)の部分)において、一端が収容部10に接続されたばね部材(不図示)とそれぞれ接続し、上方に付勢されている。電源側接触子71A,71Bは、それぞれ板状部材73A,73Bの前端部であって下面に配置され、下方に向かって露出している。電源側接触子71A,71Bは、接点移動部60によりそれぞれ負荷側接触子72A,72Bに対して相対的に移動し、互いに接触又は離間が可能である。負荷側接触子72A,72Bは、収容部10内において位置が固定されている。負荷側接触子72A,72Bは、例えば、収容部10の下部において、上方に向かって露出するように後述の端子座31A,31Bに設けられる。
【0031】
電源側接触子71Aと負荷側接触子72Aとが接触しているとき、及び、電源側接触子71Bと負荷側接触子72Bとが接触しているとき、電路が形成される閉状態となる。電源側接触子71Aと負荷側接触子72Aとが離間しているとき、又は、電源側接触子71Bと負荷側接触子72Bとが離間しているときのいずれかの場合、電路が形成されていない開状態又はトリップ状態となる。電源側接触子71A及び負荷側接触子72A、並びに、電源側接触子71B及び負荷側接触子72Bにおいて、それぞれの接触又は離間状態が接点移動部60の開閉動作により切り替えられる。
【0032】
閉状態においては、電源Pと負荷装置Lとを電気的に接続する電路が形成される。本実施形態の電路は、例えば、電源Pから発された電流が電源側端子80A、電源側接触子71A、負荷側接触子72A、負荷側端子90A、負荷装置L、負荷側端子90B、負荷側接触子72B、電源側接触子71B、電源側端子80Bを順に通り、最終的に電源Pに戻るように構成された回路である。なお、電路は、電源Pから発された電流が電源側端子80B、電源側接触子71B、負荷側接触子72B、負荷側端子90B、負荷装置L、負荷側端子90A、負荷側接触子72A、電源側接触子71A、電源側端子80Aを順に通り、最終的に電源Pに戻るように構成された回路であってもよい。
【0033】
図2及び
図3を再び参照する。接点移動部60は、収容部10に対して相対的に移動可能に支持され、複数の接点部70における開閉動作を制御する。接点移動部60は、操作レバー61と、板状部材73に接続する開閉機構部62と、を有する。操作レバー61は、電路に対して開閉操作、すなわち通電(オン)操作及び遮断(オフ)操作可能な治具である。操作レバー61が作業者に把持されて回動軸を中心に一方に回転されることで、開閉機構部62が下方に移動することで板状部材73A,73Bをそれぞれ下方に移動させ、電源側接触子71A,71Bを負荷側接触子72A,72Bに接触させ、電路を閉状態にする。操作レバー61が作業者に把持されて回動軸を中心に他方に回転されることで、開閉機構部62が上方に移動することで板状部材73A,73Bをそれぞれ上方に移動させ、電源側接触子71A,71Bを負荷側接触子72A,72Bから離間させ、電路を開状態にする。
【0034】
図5は、実施形態に係る回路遮断器の電線係合部及び解除レバーの一例を示す部分側面図である。
図3~
図5に示される電線係合部30は、電線ELと係合するユニットである。例えば、回路遮断器1は、複数の電線係合部30を備える。例えば、収容部10において、Y方向の左側に向かって、2つの電線係合部30A,30Bが順に配置されている。電線係合部30Aの一部は、負荷側端子90Aを構成し、電線係合部30Bの一部は、負荷側端子90Bを構成する。各電線係合部30は、例えば、端子座31と、板ばね32とを有する。すなわち、電線係合部30Aは、端子座31Aと、板ばね32Aとを有し、電線係合部30Bは、例えば、端子座31Bと、板ばね32Bとを有する。以下、1つの電線係合部30(図面では電線係合部30A)に着目して説明する。電線係合部30A及び電線係合部30Bは同一の構成を有する。
【0035】
図4及び
図5に示される端子座31は、負荷装置Lと接続可能な電線ELと係合し、当該電線ELと負荷側端子90とを電気的に接続する。端子座31は、例えば、金属板を折り曲げて形成された部材である。端子座31において、板ばね32を内部に収容可能な収容空間31aと、電源側接触子71と負荷側接触子72との開閉動作が可能な開閉空間31bとがそれぞれ画成される。収容空間31a及び開閉空間31bは、それぞれX方向に沿って貫通しており、上下方向に並んで設けられている。収容空間31aは、電線差込口11(
図5参照)の背面側に設けられる。収容空間31aは、例えば、右側に開口している。開閉空間31bは、収容空間31aの下方に設けられる。開閉空間31bは、例えば、左側に開口している。端子座31の各部位の詳細については後述する。
【0036】
板ばね32は、端子座31において電線ELと係合する。板ばね32は、例えば、金属板が湾曲して形成された部材である。板ばね32は、その主面が上方を向き、当該主面の幅方向がY方向に沿っている。板ばね32は、収容空間31a内に収容される。板ばね32は、端子座31の一部と係合して電線ELを挟み込んで保持する。板ばね32の具体的構成は後述する。
【0037】
解除レバー20は、回路遮断器1の収容部10内の電線ELの係合を解除するために用いられ、収容部10内に一部が収容される。解除レバー20は、例えば、電線差込口11(
図5参照)より背面側に設けられる。例えば、回路遮断器1は、複数の解除レバー20を備える。例えば、収容部10において、Y方向の左側に向かって、2つの解除レバー20A,20Bが順に配置されている。解除レバー20Aは、電線係合部30Aにおける電線ELの係合を解除するために用いられ、解除レバー20Bは、電線係合部30Bにおける電線ELの係合を解除するために用いられる。以下、1つの解除レバー20に着目して説明する。解除レバー20A及び解除レバー20Bは同一の構成を有する。
【0038】
図5に示されるように、解除レバー20の下部において、回動軸21が設けられる。回動軸21は、例えば、解除レバー20に回動不能に固定されて設けられる。回動軸21は、解除レバー20の一部材として構成されていてもよく、解除レバー20に接続可能な別部材として構成されていてもよい。回動軸21は、例えば、Y方向に沿って延在し、円柱状を呈する。回動軸21は、例えば、電線差込口11の下方の中央ケース10Bに回動可能に接続される。
【0039】
再び
図4及び
図5を参照する。解除レバー20は、本体部22と、係合解除部23と、操作部24と、干渉部25とを備える。本体部22は、回動軸21を中心に第1方向R1及び第2方向R2に回動可能である。第1方向R1は、例えば、回動周方向のうち、電線ELの係合を解除する際に回動する方向である。第2方向R2は、後述のレバー付勢ばね29及び後述の板ばね32の係止部32aによって付勢される一方向であって、本体部22の回動周方向のうち第1方向R1とは反対方向である。本体部22は、その下端部に回動軸21が固定されている。本体部22の一部は、収容部10から回転径方向Cの外側に突出している。回転径方向Cとは、回動軸21を中心にした円の径方向を指す。回転径方向Cの外側とは、本体部22の回転径方向Cにおいて、回動軸21から見て遠ざかる側を指す。
【0040】
係合解除部23は、本体部22と共に回動軸21を中心に第1方向R1に沿って回転することで電線ELの係合を解除する。係合解除部23は、本体部22の前側において、Y方向に沿って左側に向かって突出している部位である。係合解除部23は、収容空間31a内に突出している。係合解除部23は、電線差込口11(
図5参照)に対して背面側に設けられる。係合解除部23は、板ばね32(後述の係止部32a)に干渉可能な位置に設けられる。本体部22が第1方向R1に沿って回転することで、係合解除部23も第1方向R1に回転し、板ばね32(後述の係止部32a)の前面に当接する。本体部22がそのまま第1方向R1に沿って回転することで、係合解除部23が板ばね32(後述の係止部32a)を第1方向R1に押圧し、係止部32aの電線ELに対する係止を解除する。
【0041】
操作部24は、係合解除部23に対して回転径方向Cの外側に位置し、本体部22から回転径方向Cの外側に突出する。操作部24は、例えば、収容部10の回転径方向Cの外側に突出している。操作部24は、例えば、Y方向に沿って延在する棒状の部位である。操作部24は、例えば、本体部22の第2方向R2側に位置する外縁部22bの端部に設けられる。本体部22が第1方向R1に回動する場合、例えば、操作部24は、収容部10内に収容されない。操作部24は、作業者が操作可能な部位である。ここでの作業者の操作とは、作業者が例えば指等の力を付与する物体によって操作部24に対して第1方向R1へ力を加えることを指す。力を付与する物体とは、作業者の身体の一部であってもよいし、作業者が用いる道具であってもよい。
【0042】
干渉部25は、本体部22の背面側において、Y方向に沿って左側に向かって突出している部位である。干渉部25は、収容空間31a内に突出している。干渉部25は、電線差込口11及び係合解除部23に対して背面側に設けられる。解除レバー20が収容部10内に設けられるとき、干渉部25は、板ばね32(後述の押圧部32b)の背面側に位置する。
【0043】
レバー付勢ばね29は、解除レバー20の移動を制限する。レバー付勢ばね29は、解除レバー20の初期位置からの第1方向R1への移動量が所定の範囲に収まるように付勢する。言い換えれば、レバー付勢ばね29は、解除レバー20が初期位置に戻るように第2方向R2に向かって解除レバー20を付勢する弾性力を発揮する。解除レバー20の初期位置とは、例えば、解除レバー20の前面が収容部10の前側の内壁に当接するときの位置である。解除レバー20は、例えば、電線ELが収容部10内に挿入されていない場合にレバー付勢ばね29によって当該初期位置に位置する。解除レバー20は、例えば、電線ELの端部が収容部10内に挿入され、干渉部25に当接するまで当該初期位置に位置する。レバー付勢ばね29が解除レバー20を第2方向R2に付勢することで、作業者の押圧による解除レバー20の第1方向R1への回転移動量が所定の範囲で収まる。電線ELが収容部10内に挿入された後において、レバー付勢ばね29が解除レバー20を第2方向R2に付勢することで、干渉部25は、電線ELを端子座31の後述の係合板部31cに向かって付勢するように当接する。作業者の第1方向R1への押圧による解除レバー20の移動終了後、解除レバー20は、初期位置まで付勢される。
【0044】
レバー付勢ばね29は、例えば、収容部10の上部において、電線差込口11より背面側に設けられる。レバー付勢ばね29は、回路遮断器1の収容部10外に一部露出し、その他の部分が収容部10内に収容されている。レバー付勢ばね29の一端部は、例えば収容部10の上部に連結される。レバー付勢ばね29の他端部は、例えば解除レバー20の本体部22の上部に連結される。例えば、回路遮断器1は、複数のレバー付勢ばね29を備える。例えば、収容部10において、Y方向の左側に向かって、2つのレバー付勢ばね29A,29Bが順に配置されている(
図4参照)。レバー付勢ばね29A及びレバー付勢ばね29Bは同一の構成を有する。
【0045】
以下、電線係合部30及び解除レバー20の詳細について説明する。端子座31は、例えば、背面側から前面側に向かって見てS字状に屈曲している部材である。端子座31は、係合板部31cと、載置板部31dと、第1連結板部31eと、接触子板部31fと、第2連結板部31gとを有する。
【0046】
係合板部31c、載置板部31d及び接触子板部31fは、例えば、水平方向(又は水平方向に延在する平面より前側で上方に傾斜した平面)に沿って延在している板状の部分である。例えば、下方に向かって係合板部31c、載置板部31d及び接触子板部31fが順に設けられている。第1連結板部31e及び第2連結板部31gは、例えば、X方向(電線ELの端部の延在方向)及び上下方向に沿って延在している板状の部分である。係合板部31cは、前面側から背面側に向かって延在する電線ELの端部を板ばね32と共に挟持する。載置板部31dは、板ばね32を載置している。第1連結板部31eは、係合板部31cと載置板部31dとを連結している。第1連結板部31eは、係合板部31cの左端部及び載置板部31dの左端部に固定されている。
【0047】
接触子板部31fは、負荷側接触子72が設けられる。第2連結板部31gは、載置板部31dと接触子板部31fとを連結している。第2連結板部31gは、載置板部31dの右端部及び接触子板部31fの右端部に固定されている。第2連結板部31gは、載置板部31dの左端部及び接触子板部31fの左端部に固定されていてもよい。端子座31において、係合板部31c、載置板部31d及び第1連結板部31eに囲まれる収容空間31aが画成される。また、端子座31において、載置板部31d、接触子板部31f及び第2連結板部31gに囲まれる開閉空間31bが画成される。
【0048】
板ばね32は、電線ELを係止する係止部32aと、電線ELを端子座31の係合板部31cに押圧する押圧部32bと、係止部32aと押圧部32bとの間に位置する延在部32cとを有する。係止部32aが前面側、押圧部32bが背面側に配置される。延在部32cは、水平方向に沿って延在し、載置板部31d上に載置される。係止部32aは、例えば、延在部32cの前端部から、上方に向かって背面側に傾斜するように延在する。係止部32aは、例えば、背面側に傾斜するように変形可能な部位である。押圧部32bは、例えば、延在部32cの後端部から上方に向かって延在し、その先端が下方を向くように湾曲している。すなわち、押圧部32bは、上方に向かって突出している湾曲部を有する。
【0049】
電線差込口11(
図3参照)から挿入された電線ELの端部は、端子座31の収容空間31a内に進入し、係止部32aの上部を背面側に押圧して、係合板部31cと係止部32aとの間の領域を広げることで当該領域を通って係止部32aの背面側に移動する。電線ELの端部は、押圧部32bの湾曲部に当接して押圧部32bを少なくとも電線ELの径だけ下方に向かって変形させる。係止部32aが、電線ELに対して上方かつ背面側に向かって引っ掛かることで、電線ELの前方への移動を抑制する。電線ELは、係止部32aの上端及び押圧部32bの湾曲部と係合板部31cの下面との間に挟まれるように位置する。このように、当該電線ELは、板ばね32によって端子座31に電気的に接続される。
【0050】
解除レバー20の本体部22は、例えば、X方向及び上下方向に延在する板状の中央部22aを有する。中央部22aは、端子座31の係合板部31c及び載置板部31dの右側において、収容空間31aを覆うように配置される。すなわち、中央部22aは、第1連結板部31e及び第2連結板部31gの延在方向に沿って配置される。中央部22aの下部は、下方に行くにしたがって前面側に突出しているように傾斜している。例えば、中央部22aの下端部には回動軸21が固定されている。
【0051】
本体部22は、本体部22の回転径方向Cの外側に位置する外縁部22bを有する。外縁部22bは、中央部22aの回転径方向Cの外側であって、中央部22aの上端部に設けられる。外縁部22bは、回転周方向及びY方向に沿って、中央部22aから左側に向かって延在する枠状の部位である。Y方向における外縁部22bの長さは、例えば、Y方向における収容部10の半分の長さほどである。外縁部22bの少なくとも一部は、収容部10から回転径方向Cの外側に突出している。外縁部22bは、本体部22の回動時に収容部10の外縁に沿って摺動するように回動する。本体部22が第1方向R1に回動する場合、例えば、外縁部22bは、その背面側の部位が順に収容部10内に収容される。
【0052】
図6は、実施形態に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分斜視図である。
図5及び
図6に示されるように、外縁部22bには回転径方向Cに貫通している開口22cが形成される(
図6参照)。開口22cは、上面視にて端子座31を視認可能なように貫通している。上述したレバー付勢ばね29の他端部は、解除レバー20の外縁部22bの開口22cに上方から挿通されてX方向に延在し、外縁部22bの内側に固定される。
【0053】
操作部24は、外縁部22bの一部から回転径方向Cの外側に突出する。操作部24は、例えば、本体部22の第2方向R2側(前面側)に位置する外縁部22bの端部から回転径方向Cの外側に突出している部位である。例えば、操作部24は、上下方向において第1方向R1に向かって傾斜している。例えば、操作部24の前面の上端辺に対して、操作部24の前面の他端辺は、第1方向R1に位置する。例えば、操作部24の背面は、回転径方向Cの外側に沿って延在している。操作部24の上部の角部は一部切り欠かれていてもよい。
【0054】
操作部24は、第1方向R1に向かって凹んだ凹部24aを有する。凹部24aは、操作部24の第2方向R2側(前面側)の部位に設けられる。凹部24aは、操作部24の前面の一部又は全部が第1方向R1に向かって凹んだ部分である。凹部24aは、例えば、回転径方向C及びY方向(回動軸21の延在方向)の少なくとも一方向と第1方向R1とに沿った操作部24の断面が湾曲している部分である。すなわち、凹部24aは、回転径方向C及びY方向に延在する面(以下、「基準面」と記載)上のある線に沿って、第1方向R1に凹んだ部分である。基準面とは仮想上の面であって、操作部24の構成には含まれない。基準面上のある線とは、直線であってもよく、湾曲していてもよい。本実施形態の操作部24において、凹部24aは、基準面上のY方向に延びる線に沿って、所定の曲率で第1方向R1に向かって湾曲して凹んだ部分である。第1方向R1に向かって凹んだとは、操作部24の一部から延び得る基準面から遠ざかる(離間する)方向である第1方向R1に向かって面が延在していることを指す。凹部24aは、操作部24の上下方向に対する傾斜方向に沿って延在している。凹部24aは、操作部24のうち第2方向R2に向かって突出する複数の部位の間において、第1方向R1に向かって凹んでいてもよい。当該突出する複数の部位とは、例えば、操作部24の前面側の端辺周辺の部位である。本実施形態の操作部24の前面の右端辺と左端辺とは、Y方向において当該右端辺と当該左端辺との間に位置する操作部24の中央部より第2方向R2に向かって突出する。当該中央部は、凹部24aに相当する。凹部24aは、操作部24のうち第2方向R2に向かって突出する1の部位から操作部24の少なくとも回転径方向及びY方向のいずれかに位置する端部に向かって第1方向R1へと傾斜するように凹んでいてもよい。
【0055】
平坦部24bは、回転径方向Cの外側の部位である。平坦部24bは、上方に向かって露出した部分である。平坦部24bに、作業者の指等の力を付与する物体が上方から覆うように当接してもよい。平坦部24bは、例えば、回転周方向(第1方向R1又は第2方向R2)及びY方向に沿って延在している上面を有する。平坦部24bが設けられることで、操作部24が上方に向かって突出する、鋭利な突起部とすることを抑制できる。このため、作業者による操作部24の操作時において、安全性を向上させると共に、操作部24の破断を抑制することができる。平坦部24bは、滑り止めの機能を有していてもよい。例えば、平坦部24bは、上方に向かって回転周方向に傾斜する複数の面を有し、当該面の傾斜が互いに異なるように設定されてもよい。平坦部24bとして、回転周方向若しくはY方向に延在する凹凸、又は、局所的に窪んだ複数の凹凸が形成されていてもよい。
【0056】
干渉部25は、解除レバー20の回動に合わせて、電線ELに対して接触、接近又は離間する。電線差込口11を介して収容部10内に電線ELが挿入されるとき、板ばね32の押圧部32bより背面側に挿入された電線ELは、干渉部25に当接して解除レバー20を少なくとも電線ELの径だけ第1方向R1に回転させ、端子座31の後述の係合板部31cと干渉部25との間に位置する。このとき、電線ELは、レバー付勢ばね29による第2方向R2へ付勢する弾性力を上回るように、背面側に向けて押圧して挿入される。挿入後は、干渉部25は、レバー付勢ばね29によって第2方向R2へ付勢され、電線ELの端部に接触又は近接する。回路遮断器1は、干渉部25の位置に基づいて電線ELの接続状態を判定し、表示装置(不図示)において接続状態を表示してもよい。干渉部25が作業者が解除レバー20の操作部24を第1方向R1へ押圧することで、干渉部25は、電線ELの端部から離間する。
【0057】
以下、回路遮断器1に対して接続された電線ELの係合を解除する場合の回路遮断器1の動きを説明する。
図5を再び参照する。
図5は、解除レバー20が収容部10の第2方向R2側に位置するときの状態である初期状態の一例を示す図である。レバー付勢ばね29及び板ばね32が解除レバー20を第2方向R2に向けて弾性力によって付勢しているため、解除レバー20bは収容部10の第2方向R2側に位置する初期状態となる。初期状態では、端子座31の係合板部31cと板ばね32とにより回路遮断器1の収容空間31a内に電線ELが係合されている。初期状態において、干渉部25は、電線ELに当接している。初期状態において、解除レバー20の係合解除部23は、板ばね32の係止部32aを押圧していない。初期状態において、係合解除部23は、係止部32aに離間、接近又は接触していてもよい。初期状態における解除レバー20は、上述した初期位置と同一の位置に位置する。
【0058】
作業者が回路遮断器1から所定の電線ELを外したい(電線ELの係合を解除したい)場合、作業者は、接点移動部60を操作して、電路を開状態にする。例えば、作業者は、操作レバー61を操作して、接点部70における電源側接触子71と負荷側接触子72とを離間させる。作業者は、開状態にした後、所定の電線ELが係合している電線係合部30に対応する解除レバー20の操作部24を操作して電線係合部30内の当該電線ELの係合を解除する。電線係合部30に対応する解除レバー20とは、電線係合部30Aに対する解除レバー20Aであり、電線係合部30Bに対する解除レバー20Bである。作業者は、操作部24の凹部24aに指等の力を付与する物体を当接させ、第1方向R1に向けて操作部24を押圧する。このとき、分電盤100内に複数の回路遮断器1がY方向に沿って設けられており、回路遮断器1にも複数の解除レバー20がY方向に沿って設けられているが、凹部24aが操作部24に設けられていることで、作業者が操作したい目的の操作部24において、力を付与する物体を凹部24aに容易にフィットさせ、押圧することができる。
【0059】
図7は、実施形態に係る回路遮断器の解除レバーの動作の一例を示す部分側面図である。
図7は、解除レバー20が初期状態から第1方向R1に所定の角度だけ回転した状態である解除状態の一例を示す図である。操作部24が第1方向R1に向けて、レバー付勢ばね29による第2方向R2への弾性力より大きな力で押圧され、第1方向R1へと回転移動する場合、解除レバー20に設けられた各構成が回動軸21を中心に第1方向R1へと回転する。解除状態のとき、作業者は電線係合部30における電線ELの係合を解除して、回路遮断器1内から電線ELを引き抜くことができる。
【0060】
解除状態のとき、解除レバー20に設けられた干渉部25は、第1方向R1へと回転することで、電線ELから第1方向R1へと離間する。また、解除状態のとき、解除レバー20に設けられた係合解除部23は、第1方向R1へと回転することで、板ばね32の係止部32aを第1方向R1へと押圧する。係止部32aが第1方向R1へと押圧されることで、係止部32aの上端が係合板部31cから離間するように、載置板部31dに近接するように傾斜する。これにより、係合板部31cと係止部32aとの間の領域を電線ELの径より大きくすることができ、係合板部31cに沿って挿通された電線ELに対する係止部32aの引っかかり(係合又は係止)と、係合板部31cに対する電線ELの接触とが解除される。
【0061】
初期状態から解除状態に遷移するとき、本体部22の外縁部22bは、収容部10の外面を摺動しながら第1方向R1へと回転することで、その背面側の部位から順に収容部10内に収容される。解除レバー20は、例えば、少なくとも操作部24が収容部10内に収容される前に係合解除部23によって電線ELの係合を解除するように構成される。作業者は、例えば、操作部24を第1方向R1へと押圧して回転移動させた状態で、電線ELを前方に引っ張ることで電線係合部30における電線ELの係合を解除し、回路遮断器1内から電線ELを引き抜くことができる。電線ELの引き抜き後、作業者が操作部24への押圧を終了することで、レバー付勢ばね29及び板ばね32の係止部32aによる弾性力によって第2方向R2へ解除レバー20が付勢される。
【0062】
以上のように、本実施形態の回路遮断器1及び解除レバー20は、電線の係合の解除操作に係る操作性を改善できる。解除レバー20は、本体部22と、係合解除部23と、操作部24とを備える。係合解除部23は、本体部22と共に回動軸21を中心に第1方向R1に沿って回転することで、電線ELの係合を解除できる。操作部24は、外縁部22bから解除レバー20の回転径方向Cの外側に突出しているため、作業者は、解除レバー20の外側から操作部24を操作できる。操作部24は、係合解除部23が電線の係合を解除する際に回転する方向である第1方向R1に沿って凹んだ凹部24aを有する。作業者が回路遮断器1における電線ELの係合を解除する場合、作業者は、例えば指などの力を付与する物体によって対象の解除レバー20の操作部24に対して第1方向R1へ力を加えることで、解除レバー20を当該第1方向R1に沿って回転させる。操作部24に凹部24aが設けられることで、作業者は、指などの力を付与する物体を対象の解除レバー20に対して容易にフィットさせることができ、容易に操作部24を第1方向R1に沿って回転させることができる。操作部24が凹部24aを有することで、作業者は、視覚だけでなく触覚でも操作部24の位置を認知することができる。また、操作部24が外縁部22bから回転径方向Cの外側に突出していることで、解除レバー20の支点である回動軸21から力点である操作部24までの径の長さが、回動軸21から作用点である係合解除部23までの径の長さよりさらに長くなるため、より小さな力で係合解除部23における電線ELの係合を解除できる。本実施形態の回路遮断器1においても、従来の回路遮断器と同様、板ばね32による付勢によって、解除レバー20が収容部10内で電線ELの係合及び電線ELの係合の解除における各動作より大きく移動することを抑制するため、解除レバー20は、板ばね32とは別のレバー付勢ばね29によって付勢されている。作業者が解除レバー20によって電線ELの係合の解除に関する操作を行う際には、板ばね32及び当該レバー付勢ばね29による弾性力が働くこととなる。本実施形態の回路遮断器1によれば、当該操作における解除レバー20の操作荷重を小さくし、操作性を改善できる。
【0063】
また、凹部24aは、回転径方向C及びY方向(回動軸21の延在方向)の少なくとも一方向と第1方向R1とに沿った操作部24の断面が湾曲している部分である。この場合、作業者の指などの力を付与する物体が凹部24aに当てはまりやすくなり、操作部24に対して力を加えやすくすることができる。分電盤内に複数の回路遮断器1が並べられているなど、複数の解除レバーが隣接して並べられている場合において、操作部が押圧しにくいと、操作部の操作時に他の解除レバーを押圧してしまう可能性がある。しかしながら、凹部24aが操作部24が設けられることで、作業者の所望の解除レバー20の操作部24の凹部24aにフィットさせてしまえば、他の解除レバー20を押圧することなく電線ELの係合の解除操作を行うことができる。
【0064】
また、操作部24は、本体部22の回動方向のうち第1方向R1とは反対の第2方向R2側に位置する外縁部22bの端部に設けられる。外縁部22bの端部は、外縁部22bにおいて、解除レバー20の回動方向のうち電線ELの係合を解除する方向である第1方向R1とは反対の第2方向R2側に位置する。操作部24が当該端部に設けられることで、操作部24が外縁部22bの回転周方向の途中に設けられる場合に比べて、解除レバー20の回転中において、操作部24と、収容部10等の回路遮断器1の他の部材との干渉を抑えることができる。
【0065】
また、解除レバー20の操作部24は、収容部10から回転径方向Cの外側に突出している。この場合、作業者は、回路遮断器1の収容部10の外側において容易に操作部24にアクセスして当該操作部24を操作できるため、電線ELの係合を容易に解除することができる。また、解除レバー20において、外縁部22bは、収容部10から回転径方向Cの外側に突出可能である。操作部24が外縁部22bの第2方向側の端部に設けられ、かつ、外縁部22bが収容部10から回転径方向Cの外側に突出する場合、外縁部22bと操作部24とが収容部10の外側に位置し、外縁部22bの前端部と操作部24の前端部との位置が一致している。これにより、作業者は、操作部24の回転径方向Cにおける操作部24及び外縁部22bの長さ分だけ、指などの力を付与する物体を当接させる部分が大きくなる。よって、作業者は解除レバー20を操作する際に力を付与しやすくなる。
【0066】
また、回路遮断器1において、解除レバー20及び収容部10は、分電盤100の筐体101内に収容可能であって、操作部24は、筐体101から離間して分電盤100内に収容されてもよい。この場合、操作部24は、解除レバー20の外縁部22bより回転径方向Cの外側に突出しているが、分電盤100の筐体101の中扉102から離間している。このため、回路遮断器1を分電盤100の筐体101内に収容する場合であっても、分電盤100の筐体101の中扉102及び外扉103の開閉時に操作部24が当該筐体101の中扉102及び外扉103等の構成に当接することを抑制できる。
【0067】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。例えば、回路遮断器1の他に、電源P及び負荷装置Lの少なくとも1つを備える回路遮断器システムを一体的に形成してもよい。
【0068】
例えば、回路遮断器1において、接点部70は、電源側端子80及び負荷側端子90の数は限定されない。接点部70は、1又は3以上の電源側端子80を有していてもよく、1又は3以上の負荷側端子90を有していてもよい。この場合、電源側接触子71及び負荷側接触子72の数も限定されない。接触子板部31fが係合板部31cの上方に設けられ、第2連結板部31gが係合板部31c及び接触子板部31fと連結して固定されていてもよい。このとき、開閉空間31bは、収容空間31aの上方に画成される。
【0069】
また、回路遮断器1において、操作部24は、筐体101から離間して分電盤100内に収容されなくてもよい。この場合、操作部24は、筐体101の上端から上方に突出していてもよい。
【0070】
例えば、解除レバー20において凹部24aは、回転径方向C及びY方向(回動軸21の延在方向)の少なくとも一方向と第1方向R1とに沿った操作部24の断面が湾曲している部分でなくてもよい。凹部24aは、操作部24の前面における任意の点を中心に第1方向R1に向かって凹んだ部分であってもよい。凹部24aは、基準面に対して第1方向R1に向かって平面状に傾斜していてもよい。凹部24aは、湾曲面と平面との組み合わせで構成されていてもよい。操作部24において、1又は複数の凹部24aが形成されてもよい。複数の凹部24aが形成されることで、作業者による力を付与する物体が操作部24に対して滑りにくくなり、より確実に所望の操作部24を押圧することができる。初期状態において、解除レバー20Aの操作部24のうち、解除レバー20Bの操作部24に隣接する端部は、当該端部に隣接する解除レバー20Bの操作部24の端部に比べて、回転周方向に突出又は凹んでいてもよい。
【0071】
例えば、操作部24は、本体部22の回動方向のうち第1方向R1とは反対の第2方向R2側に位置する外縁部22bの端部に設けられなくてもよい。例えば、解除レバー20の操作部24は、収容部10から回転径方向Cの外側に突出していなくてもよい。この場合、作業者は、収容部10に設けられた開口等から収容部10の内側の操作部24にアクセスしてもよい。例えば、操作部24は、上下方向において第1方向R1に向かって傾斜していなくてもよい。この場合、操作部24の前面は、回転径方向Cに沿って延在していてもよい。
【0072】
凹部24aの形状は、上述の形状に限定されず、例えば以下のような形状であってもよい。
図8は、変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分平面図及び部分側面図である。変形例において、実施形態と同一名称であって符号のみが異なる構成は、特に記載がない限り、実施形態の構成と同一の機能を有する。
図8(a)は、変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分平面図である。
図8(b)は、変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分側面図である。
図8(a)及び
図8(b)に示される操作部224は、実施形態に係る操作部24と上部の前面側の角部が切り欠かれていない点で相違する。操作部224は、外縁部222bに接続している底部から回転径方向Cの外側に向かって、第1方向R1に傾斜している。凹部224aは、当該傾斜方向に沿って延在している。Y方向において、凹部224aは、操作部224の中央部が第1方向R1に向かって凹むように形成されている。
【0073】
図8(c)は、変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分平面図である。
図8(d)は、変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分側面図である。
図8(c)及び
図8(d)に示される操作部324の凹部324aは、
図8(a)及び
図8(b)に示される操作部224の凹部224aと、延在する方向が相違する。解除レバー320の操作部324は、本体部322の外縁部322bに接続している底部から回転径方向Cの外側に向かって、第1方向R1に傾斜している。回転径方向Cにおいて、凹部324aは、操作部324の中央部が第1方向R1に向かって凹むように形成されている。凹部324aは、Y方向に沿って延在している。
【0074】
図8(e)は、変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分平面図である。
図8(f)は、変形例に係る解除レバーの操作部の一例を示す部分側面図である。
図8(e)及び
図8(f)に示される操作部424の凹部424aは、
図8(a)及び
図8(b)に示される操作部224の凹部224aと、湾曲している部分が増えている点で相違する。解除レバー420の操作部424は、本体部422の外縁部422bに接続している底部から回転径方向Cの外側に向かって、第1方向R1に傾斜している。回転径方向Cにおいて、凹部424aは、操作部424の中央部が第1方向R1に向かって凹むように形成されている。Y方向において、凹部424aは、操作部424の中央部が第1方向R1に向かって凹むように形成されている。
【0075】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[形態1]~[形態6]に記載する。
【0076】
[形態1]
回路遮断器の収容部内の電線の係合を解除するために用いられ、前記収容部内に一部が収容される解除レバーであって、
回動軸を中心に回動可能である本体部と、
前記本体部と共に前記回動軸を中心に第1方向に沿って回転することで前記電線の係合を解除する係合解除部と、
前記第1方向に向かって凹んだ凹部を有する操作部と、
を備え、
前記本体部は、前記本体部の回転径方向の外側に位置する外縁部を有し、
前記操作部は、前記係合解除部に対して前記回転径方向の外側に位置し、前記外縁部から前記回転径方向の外側に突出する、
解除レバー。
[形態2]
前記凹部は、前記回転径方向及び前記回動軸の延在方向の少なくとも一方向と前記第1方向とに沿った前記操作部の断面が湾曲している部分である、[形態1]に記載の解除レバー。
[形態3]
前記操作部は、前記本体部の回動方向のうち前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する前記外縁部の端部に設けられる、請求項[形態1]又は[形態2]に記載の解除レバー。
[形態4]
[形態1~[形態3]の何れか一項に記載の解除レバーと、
電線と係合する電線係合部と、
前記解除レバーの少なくとも一部及び前記電線係合部を収容する収容部と、
を備える、回路遮断器。
[形態5]
前記解除レバーの前記操作部は、前記収容部から前記回転径方向の外側に突出している、[形態4]に記載の回路遮断器。
[形態6]
前記解除レバー及び前記収容部は、分電盤の筐体内に収容可能であって、
前記操作部は、前記筐体から離間して前記分電盤内に収容される、[形態4]又は[形態5]に記載の回路遮断器。
【符号の説明】
【0077】
1…回路遮断器、10…収容部、20,20A,20B…解除レバー、21…回動軸、22…本体部、22a…中央部、22b…外縁部、23…係合解除部、24…操作部、24a…凹部、30,30A,30B…電線係合部、31,31A,31B…端子座、32,32A,32B…板ばね、70,70A,70B…接点部、80,80A,80B…電源側端子、90,90A,90B…負荷側端子、100…分電盤、101…筐体、C…回転径方向、L…負荷装置、P…電源、R1…第1方向、R2…第2方向。