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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170012
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】電気設備試験車両および試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20231124BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01R31/00
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081438
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 剛
【テーマコード(参考)】
2G036
5G503
【Fターム(参考)】
2G036BA45
2G036CA12
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】電気設備試験における試験品質や作業効率を向上させる電気設備試験車両および試験方法を提供することである。
【解決手段】実施形態の電気設備試験車両は、接続部と、操作部と、電気設備試験装置とを持つ。接続部は、車体の外側に設けられ、被試験電気設備に接続されたケーブルと接続可能である。操作部は、車両内の利用者から前記被試験電気設備の試験に対する操作を受け付ける。電気設備試験装置は、前記接続部と電気的に接続され、前記操作部により受け付けられた操作内容に基づいて、前記車両の走行用のバッテリを電源として前記被試験電気設備に対する試験を行う。また、前記操作部および前記電気設備試験装置は、前記車両の車室内に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の外側に設けられ、被試験電気設備に接続されたケーブルと接続可能な接続部と、
車両内の利用者から前記被試験電気設備の試験に対する操作を受け付ける操作部と、
前記接続部と電気的に接続され、前記操作部により受け付けられた操作内容に基づいて、前記車両の走行用のバッテリを電源として前記被試験電気設備に対する試験を行う電気設備試験装置と、を備え、
前記操作部および前記電気設備試験装置は、前記車両の車室内に設けられる、
電気設備試験車両。
【請求項2】
前記バッテリの直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、
前記インバータを介して供給される電力を用いて前記被試験電気設備に特殊な試験要素に対する試験を行う追加試験装置と、を更に備える、
請求項1に記載の電気設備試験車両。
【請求項3】
前記車体の上部に設置され、太陽光を用いて発電を行う太陽光発電システムを更に備え、
前記太陽光発電システムにより発電された電力で前記バッテリを充電する、
請求項1に記載の電気設備試験車両。
【請求項4】
前記車両の上部に設定され、前記上部から所定方向に移動可能な移動屋根部を更に備え、
前記移動屋根部は、前記バッテリからの電力によって点灯する照明機器を備える、
請求項1に記載の電気設備試験車両。
【請求項5】
情報を記憶する記憶装置と、
前記電気設備試験装置による試験結果を印刷する印刷部と、を更に備え、
前記電気設備試験装置は、前記操作部により受け付けられた試験条件に応じて前記記憶装置に記憶された試験用ソフトウェアを起動して試験を実行し、実行結果を前記印刷部に印刷させる、
請求項1に記載の電気設備試験車両。
【請求項6】
前記車室内の利用者と、車外の作業者との間で通話を行う通話装置を更に備える、
請求項1に記載の電気設備試験車両。
【請求項7】
GPS装置からの出力に基づいて車両の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて車両周辺の地図情報を提供するナビゲーション装置を更に備え、
前記電気設備試験装置は、前記GPS装置からの出力に基づいて時刻同期が必要な外部装置との対向試験を実施する、
請求項1に記載の電気設備試験車両。
【請求項8】
前記電気設備試験装置および前記操作部は、前記電気設備試験車両と着脱自在に構成されると共に、前記電気設備試験装置と前記操作部とを一体化する機構を備える、
請求項1に記載の電気設備試験車両。
【請求項9】
車体の外側に設けられ、被試験電気設備に接続されたケーブルと接続可能な接続部と、
車両内の利用者から前記被試験電気設備の試験に対する操作を受け付ける操作部と、
前記接続部と電気的に接続され、前記操作部により受け付けられた操作内容に基づいて、前記車両の走行用のバッテリを電源として前記被試験電気設備に対する試験を行う電気設備試験装置と、
他車両に連結して前記車体を前記他車両にけん引させる連結部と、
を備える電気設備試験車両。
【請求項10】
電気設備試験車両が、
車体の外側に設けられた接続部により被試験電気設備に接続されたケーブルと接続し、
車室内に設けられた操作部により、前記車室内の利用者から前記被試験電気設備の試験に対する操作を受け付け、
前記操作部によって受け付けられた操作内容に基づいて、前記接続部と電気的に接続され、車両の走行用のバッテリを電源として作動する電気設備試験装置により前記被試験電気設備に対する試験を行う、
試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気設備試験車両および試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外などに配置された電気設備の電気試験を行う試験システムが知られている。例えば、屋外分散型制御保護システムを有する変電所や電気設備が各所に広がる大型の太陽光発電所等では、屋外の各所に設置されたキュービクル等の設備の前に試験器を運び、その設備の中の配電盤などの試験を行っている。このため、各所に移動する際には、その都度、試験器の複数の機器を持ち運べるように取り外したり、各所で再度組み立てるなどの作業が発生したり、変電所に設置された分電盤からの電源ケーブルを長く引いて電源を確保する等の作業が必要となる場合があった。そのため、試験時間のロスや接続変更間違い等によって試験品質や作業効率が低下する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6104626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電気設備試験における試験品質や作業効率を向上させる電気設備試験車両および試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気設備試験車両は、接続部と、操作部と、電気設備試験装置とを持つ。接続部は、車体の外側に設けられ、被試験電気設備に接続されたケーブルと接続可能である。操作部は、車両内の利用者から前記被試験電気設備の試験に対する操作を受け付ける。電気設備試験装置は、前記接続部と電気的に接続され、前記操作部により受け付けられた操作内容に基づいて、前記車両の走行用のバッテリを電源として前記被試験電気設備に対する試験を行う。また、前記操作部および前記電気設備試験装置は、前記車両の車室内に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の車両100の外観の一例を示す図。
図2】第1実施形態の車両100の構成の一例を示す図。
図3】第1の実施形態の車両100の車室内を説明するための図。
図4】追加試験装置148を含む車室内を説明するための図。
図5】第2の実施形態の車両100Aの外観の一例を示す図。
図6】第3の実施形態の車両100Bの外観の一例を示す図。
図7】スライド式屋根機構230に設けられた照明機器について説明するための図。
図8】第4の実施形態の車両100Cの機能構成の一例を示す図。
図9】記憶装置240およびプリンタ242が設置された車室内を説明するための図。
図10】第5の実施形態の車両100Dの機能構成の一例を示す図。
図11】マイク250およびスピーカ252が設置された車室内を説明するための図。
図12】第6の実施形態の車両100Eの車室内を説明するための図。
図13】試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとを一体化させる機構について説明するための図。
図14】第7の実施形態における車両100Fの外観の一例を示す図。
図15】第7の実施形態の車両100Fの車室内を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気設備試験車両および試験方法を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の車両100の外観の一例を示す図である。車両100は、「電気設備試験車両」の一例である。後述する車両100A~100Fについても同様とする。図1の例では、車両100が、被試験電気設備300付近に移動して駐車されている場面を示している。被試験電気設備300は、例えば、車両100によって所定の電気試験される設備であり、例えば分散型制御保護システムを有する変電所や電気設備が各所に広がる大型の太陽光発電所における屋外などに配置される電気設備である。被試験電気設備300付近とは、例えば、被試験電気設備300に接続されたケーブル321~323と電気的に接続することができる距離である。ケーブル321は、試験入力用のケーブルである。ケーブル322は、被試験電気設備300の出力用のケーブルである。ケーブル323は、追加試験用の入出力ケーブルである。
【0009】
車両100は、例えば、電気自動車である。電気自動車は、走行用のバッテリ(二次電池)を搭載しており、充電によってバッテリに電気が蓄電されたり、バッテリから供給される電力によって駆動される電動モータ(動力部の一例)によって走行するものである。車両100は、電動モータ(バッテリ)とエンジン等の内燃機関とを駆動源とするハイブリッド車両であってもよい。
【0010】
図1において、車両100の車体の外側には、ケーブル321~323のそれぞれの端部と着脱自在に接続可能な接続部120を備える。図1の例では、接続部120として、ケーブル321と接続可能な第1プラグ121と、ケーブル322と接続可能な第2プラグ122と、ケーブル323と接続可能な第3プラグ123とを備えているが、数についてはこれに限定されない。図1の例において、接続部120は、車両100本体の左側面に設けられているが、車両100の前面や後面、右側面に設けられていてもよい。
【0011】
接続部120は、後述する車載装置(例えば、電気設備試験装置)と電気的に接続されているため、ケーブル321~323の一端が接続部120により接続され、他端が被試験電気設備300と接続されることで、車載装置と被試験電気設備300とが電気的に接続される。
【0012】
図2は、第1実施形態の車両100の構成の一例を示す図である。車両100は、例えば、接続部120と、車載機器140とを備える。接続部120は、上述したように第1プラグ121と、第2プラグ122と、第3プラグ123とを備える。
【0013】
車載機器140は、例えば、試験用操作部142と、電気設備試験装置144と、インバータ146と、追加試験装置148と、ナビゲーション装置150と、バッテリ152と、HMI(Human Machine Interface)154と、制御部156とを備える。試験用操作部142は、「操作部」の一例である。試験用操作部142は、例えば、車室内の利用者(作業員、乗員)が情報を提供する表示部と、利用者の操作を受け付ける操作受付部とを備える。表示部は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。操作受付部は、例えば、ボタンやスイッチ、レバー等の各種の入力インターフェースを備える。また、試験用操作部142は、入出力が可能なタッチパネル装置であってもよい。
【0014】
試験用操作部142は、電気設備試験装置144と有線または無線で接続される。試験用操作部142は、被試験電気設備300に対する試験のための各種設定情報を受け付けて電気設備試験装置144に出力したり、電気設備試験装置144の制御により電気試験の実行結果等を表示部に表示させる。各種設定情報には、例えば、電流値、電圧値、電圧と電流との位相、その他の一般的な試験で行われる設定内容などが含まれる。
【0015】
電気設備試験装置144は、試験用操作部142により受け付けられた操作内容に基づいて被試験電気設備300に対して、所定項目の試験を行う。電気設備試験装置144は、例えば、第1プラグ121および第2プラグ122と電気的に接続されており、各プラグに接続されたケーブル321、322を介して被試験電気設備300の配電盤などに試験用の模擬入力(例えば、電流値、電圧値、電圧と電流との位相)等を印加し、印加後の結果を取得する。
【0016】
インバータ146は、バッテリ152から出力される直流電圧を商用100[V]の交流電圧に変換する変換部である。また、インバータは、電気設備試験装置144に内蔵されていてもよい。インバータ146は、電気設備試験装置144に内蔵されたインバータとは異なる電圧値に変換したり、周波数変換等を行ってもよい。
【0017】
追加試験装置148は、被試験電気設備300に特殊な試験要素(電気設備試験装置144で実施する項目以外の項目)がある場合に、追加の試験用出力を供給する設備である。特殊な試験要素とは、例えば、直流電圧や直流電流等を用いた試験項目や、被試験電気設備300ごとに予め決められた個別の試験項目である。追加試験装置148は、例えば、第3プラグ123と電気的に接続されており、第3プラグ123に接続されたケーブル323を介して被試験電気設備300と情報(信号)の送受信を行う。
【0018】
ナビゲーション装置150は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機(GPS装置の一例)と、ナビHMIと、経路決定部とを備える。GPS受信機は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機であってもよい。ナビゲーション装置150は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に地図情報を保持している。GPS受信機は、GPS衛星から受信した信号に基づいて、車両100の位置を特定する。また、GPS受信機は、衛星信号を受信することで、位置だけでなく正確な時刻を取得できる。ナビHMIは、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMIは、HMI154と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部は、例えば、GPS装置により特定された車両100の位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMIを用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、地図情報を参照して決定する。
【0019】
ナビゲーション装置150は、車両100の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて地図情報から車両周辺(車両100から所定距離以内)の地図を取得してナビHMIに出力することで、利用者に周辺地図を提供する。また、ナビゲーション装置150は、地図上経路に基づいて、ナビHMIを用いた経路案内を行ってもよい。
【0020】
バッテリ152は、例えば、リチウムイオン電池等の充電と放電とを繰り返すことが可能な二次電池である。バッテリ152を構成する二次電池としては、例えば、鉛蓄電池、ニッケル・水素電池、ナトリウムイオン電池等の他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ、または二次電池とキャパシタとを組み合わせた複合電池等も考えられる。バッテリ152は、例えば、バッテリ152は、車両100の外部の充電設備等から供給される電力を蓄えたり、車両100の走行のため、または車載機器を作動させるための放電を行う。
【0021】
HMI154は、車両100の利用者に対して各種情報を提示すると共に、利用者による入力操作を受け付ける。HMI154は、例えば、車載用表示装置を備える。車載用表示装置は、例えば、LCDや有機EL表示装置等である。車載用表示装置は、例えば、インストルメントパネルにおける運転席(ステアリングホイールに最も近い座席)の正面付近に設けられ、乗員がステアリングホイールの間隙から、或いはステアリングホイール越しに視認可能な位置に設置される。また、車載用表示装置は、インストルメントパネルの中央に設置されてもよい。また、車載用表示装置は、HUD(Head Up Display)であってもよい。また、HMI154は、例えば、スピーカ、スイッチ、マイク、ブザー、タッチパネル、キー等が含まれてよい。また、HMI154は、乗員からの操作内容を受け付けるタッチパネル装置であってもよい。HMI154は、制御部156の制御により、車両100の状態に関する情報が出力される。車両100の状態とは、例えば、車両100の速度や、シフト位置、バッテリ残量、エンジン回転数、異常情報等が含まれる。
【0022】
制御部156は、車載機器140の各構成全体を制御する。制御部156は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め車載機器140のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで車載機器140のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。制御部156は、バッテリ152からの電力を各機器に供給する際の制御等を行う。
【0023】
次に、試験用操作部142および電気設備試験装置144の設置位置について説明する。図3は、第1の実施形態の車両100の車室内を説明するための図である。図3に示すように、試験用操作部142は、車室内の運転席ST1の横にある補助席ST2の前部のダッシュボード部に凹凸の嵌合や取付部等により着脱自在に設置されている。このとき、試験用操作部142の表示部(設定画面)は、補助席側から視認できるように配置されている。電気設備試験装置144は、ダッシュボード部の下方に設置される。試験用操作部142および電気設備試験装置144を作動させるための電力は、バッテリ152から供給される。
【0024】
電気設備試験装置144は、車内ケーブル(不図示)を介して第1プラグ121と電気的に接続される。利用者は、車室内から試験用操作部142を用いて試験を行うための操作を行う。電気設備試験装置144は、試験用操作部142により受け付けられた操作内容に基づく電圧、電流等を、ケーブル321を介して被試験電気設備300に出力させる。また、被試験電気設備300からの動作出力は、ケーブル322を介して接続部120から電気設備試験装置144に取り込まれる。このように、第1の実施形態において、利用者は、車室内にいる状態で被試験電気設備300の電気試験を行うことができる。
【0025】
図4は、追加試験装置148を含む車室内を説明するための図である。図4の例において、追加試験装置148は、インバータ146を介してバッテリ152からの電力を取得する。インバータ146は、前部座席の正面のダッシュボード部の中央付近に設けられたシガープラグ(電源プラグの一例)202に接続されたケーブルを介してバッテリ152からの電力を取得し、AC100[V]等の所定の交流電圧値に変換する。また、インバータ146には、図4に示すように、追加試験装置148への電源供給用にAC100[V]コンセント(ソケット/アウトレット)204が設けられている。追加試験装置148は、追加試験装置用電源ケーブル206をAC100[V]コンセント204に接続して、インバータ146から電源の供給を受けることができる。
【0026】
追加試験装置148は、例えば、運転席ST1の後方(後部座席)付近に設置される。第1の実施形態では、被試験電気設備300に特殊な試験要素がある場合に、追加試験装置148を図4に示す設置場所に設置して追加の試験用出力を被試験電気設備300に供給する。追加試験装置148から被試験電気設備300への入出力は、例えば、追加試験装置148に接続されたケーブル208の端部208Aを、車室の内壁等に設けられた第3プラグ123と接続された外部入出力プラグ210で中継し、ケーブル323を経由して被試験電気設備300の入出力端子に接続される。これにより、追加試験装置148と被試験電気設備300とが電気的に接続されるため、特殊な試験要素の試験が可能になる。
【0027】
なお、第1の実施形態において、制御部156は、ナビゲーション装置150で取得したGPS受信機からの出力を電気設備試験装置144または追加試験装置148に出力してもよい。この場合、例えば、電気設備試験装置144または追加試験装置148は、ナビゲーション装置150と電気的に接続され、GPS受信機で取得した情報を取得する。これにより、電気設備試験装置144や追加試験装置148にGPS受信機等を設ける必要がないため、設備コストを削減することができると共に、GPS受信機からの正確な時刻情報を用いて、対向試験等のように被試験電気設備300(外部装置の相手端子)との時刻同期が必要な試験等も実施することができる。したがって、電気設備試験における試験品質を向上させることができる。
【0028】
上述した第1の実施形態によれば、車両100に電気設備試験用の機器(例えば、電気設備試験装置144、追加試験装置148)を搭載し、車両100の走行用のバッテリを用いて上記機器を作動させることで、機器の移動(持ち運び)が容易になると共に、現場の施設から電源を確保する必要がないため、作業効率を向上させることができる。更に、車体の外側に設けられた接続部120により車載機器と被試験電気設備300との電気的接続が可能となるため、作業員は車室内にいる状態で作業が行えるため、作業負担を軽減でき、より適切な試験を実施することができる。したがって、精度等の試験品質を向上させることができる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、電気設備試験車両の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の車両100と比較して、車両に太陽光発電システムに設けられている点で相違する。以下では主に上記相違点を中心として説明する。
【0030】
図5は、第2の実施形態の車両100Aの外観の一例を示す図である。図5に示す車両100Aは、第1の実施形態に示す電気設備試験車両100と比較して、車両本体の外側上部(天井部)に太陽光発電システム220が設置されている。
【0031】
太陽光発電システム220は、例えば、太陽電池モジュール222と、ルーフキャリア224A、224Bと、充電コントローラ226と、ケーブル228A、228Bを備える。太陽電池モジュール222は、車体の屋根の上部において横方向に延伸して設けられた2つのルーフキャリア224A、224B上に設置されている。太陽電池モジュール222は、太陽光を受光して電気(直流電力)を生成する。生成された電気は、ケーブル228Aを介して充電コントローラ226に出力される。充電コントローラ226は、入力された電気をバッテリ152に充電可能な電気に変換(DC-DC変換)し、変換した電気を、ケーブル228Bを介してバッテリ152に出力する。
【0032】
上述した第2の実施形態によれば、太陽光発電システム220によって発電された電気を用いてバッテリ152を充電しながら被試験電気設備300の試験や車両100Aの走行を行うことができる。したがって、例えば、長時間の試験を行う場合にはバッテリ残量が不安になるが、太陽光発電システム220によってバッテリ152の充電が行われるため、安心して試験を行うことができる。このように、長時間の試験を行うことができるため、様々な試験を行うことができるため、試験品質をより向上させることができる。
【0033】
(第3の実施形態)
次に、電気設備試験車両の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、車両100の車体の上部に設けられたルーフキャリアにスライド式の移動屋根を設けている点で相違する。以下では、主に第1の実施形態の車両100との相違点について説明する。
【0034】
図6は、第3の実施形態の車両100Bの外観の一例を示す図である。図6の例に示す車両100Bは、第1の実施形態に示す電気設備試験車両100と比較して、車両本体の外側上部(天井部)にスライド式屋根機構230が設置されている。
【0035】
スライド式屋根機構230は、例えば、移動屋根部232と、ルーフキャリア234A、234Bとを備える。移動屋根部232は、例えば板状に形成されており、車体の横方向に平行に延伸して配置された二つのルーフキャリア234A、234Bに対して所定方向(例えば、延伸方向、車体の横方向)にスライドして移動可能な機構を有する。所定方向は、例えば、ケーブル321~323と接続する接続部120が設けられている方向であり、水平方向でもよく、水平から所定角度に傾斜させた方向でもよい。また、移動屋根部232は、所定距離だけ移動させた位置で固定(ロック)できるような固定機構を備えていてもよい。
【0036】
これにより、図6に示すように作業員Pがケーブル321~323等を接続する等の作業を行う場合に、外が雨天等の状況であっても移動屋根部232をスライドさせることで、作業員Pは雨に濡れずに作業を行うことができる。したがって、作業員の作業負担を軽減させることができる。
【0037】
また、第3の実施形態では、スライド式屋根機構230に、照明機器が設けられていてもよい。図7は、スライド式屋根機構230に設けられた照明機器について説明するための図である。なお、図7の例は、図6の矢印A方向から移動屋根部232を見た図(移動屋根部232の裏側の図)を示すものである。図7の例において、移動屋根部232の裏側(下方)には、照明機器236と、スイッチ部238とが設けられている。照明機器236は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光部が複数直列に配列されていてもよく、一つの発光部が設置されていてもよい。照明機器236は、バッテリ152からの電力によって点灯(発光)する。スイッチ部238は、照明機器236における点灯のオン、オフを切り替える。スイッチ部238は、例えば、直列に配置された照明機器236の末端に設置されると共にバッテリ152と接続されている。例えば、作業者Pは、スイッチ部238を操作することで、照明機器236への電力の供給と遮断とを切り替えることで、照明機器236の点灯または消灯が行われる。なお、スライド式屋根機構230には、周辺の照度を検知するセンサを備え、周辺の照度が閾値以下の場合に照明機器236が自動点灯し、閾値より大きい場合に自動消灯する機構が設けられていてもよい。
【0038】
第3の実施形態において、スライド式屋根機構230に照明機器236を設けることで、夜間において明るい環境で試験を行うことができる。なお、第3の実施形態では、スライド式屋根機構230に、第2の実施形態における太陽光発電システム220が設けられていてもよい。
【0039】
(第4の実施形態)
次に、電気設備試験車両の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態と比較して、電気設備試験装置144に付属して記憶装置とプリンタ等の印刷部が設けられる点で相違する。以下では主に上記相違点を中心として説明する。
【0040】
図8は、第4の実施形態の車両100Cの機能構成の一例を示す図である。図8に示す車両100Cは、例えば、接続部120と、車載機器140Cとを備える。車載機器140Cは、第1の実施形態の車載機器140の構成と比較して、制御部156に代えて制御部156Cを備えると共に、更に記憶装置240とプリンタ(印刷部の一例)242とを備える。
【0041】
記憶装置240は、HDDやSSD、フラッシュメモリなどの記憶装置である。例えば、記憶装置240は、車載機器140に設けられる記憶装置であってもよく、試験専用に使用される補助的な記憶装置であってもよい。また、記憶装置240は、メモリカードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体から情報の読み出したり、記憶媒体に情報を書き込むドライブ装置やカードスロット等のリーダライタであってもよい。記憶装置240は、制御部156Cの制御により、記憶部(あるいは記憶媒体)に格納された情報を読み出したり、試験結果等の所定の情報を記憶部に記憶させる。
【0042】
プリンタ242は、制御部156Cの制御により、予めトレイ等に収納された紙等の印刷媒体に文字や画像等を印刷する。第4の実施形態では、記憶装置240やプリンタ242に供給される電力もバッテリ152から供給される。
【0043】
制御部156Cは、車載機器140Cの各構成全体を制御する。例えば、制御部156Cは、制御部156と同様の機能を有する他、試験用操作部142により受け付けられた利用者からの操作内容に基づき、記憶装置240に記憶された情報を読み出したり、記憶装置240に試験結果等の情報を書き込む制御を行う。また、制御部156Cは、記憶装置240に対する制御に代えて(または加えて)、試験用操作部142により受け付けられた利用者からの操作内容に基づき、試験内容や試験結果を、プリンタ242を介して紙等に印刷させる制御を行ってもよい。
【0044】
図9は、記憶装置240およびプリンタ242が設置された車室内を説明するための図である。図9に示すように、記憶装置240およびプリンタ242は、車室内の試験用操作部142および電気設備試験装置144の付近(所定距離以内)に設置される。
【0045】
第4の実施形態において、例えば、利用者が車室内から試験用操作部142の設定画面で試験条件を設定すると、制御部156Cは、設定された試験条件に基づいて、予め記憶装置240に記憶された自動試験用のソフトウェアを起動させ、試験条件に沿った試験を実行させる。なお、制御部156は、例えば、記憶媒体がドライブ装置等に挿入された場合に、記憶媒体に記憶された試験用のソフトウェアを自動起動させて、試験条件を入力するための画像を試験用操作部142の表示部に表示させ、利用者からの試験条件の設定を受け付けてもよい。更に、制御部156Cは、利用者からの指示により試験条件や試験日時、試験結果等を記憶媒体へ記憶させたり、プリント162から印字出力させる。
【0046】
上述した第4の実施形態によれば、予め記憶装置に記憶させた試験用ソフトウェアが実行する機能を有することで、自動的な試験の実施や、その結果の記憶装置(或いは記憶媒体)への記録、およびプリンタ242による印字出力等が可能となる。このように、予め車両100に記憶装置240およびプリンタ242が搭載されているため、毎回準備する必要がなく、作業負担を軽減させることができる。
【0047】
(第5の実施形態)
次に、電気設備試験車両の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、第1の実施形態と比較して、車外にいる利用者(以下、「車外作業者」称する)と車室内にいる利用者(以下、「車内作業者」)とが通話するための機能を有する点で相違する。以下では主に上記相違点を中心として説明する。
【0048】
図10は、第5の実施形態の車両100Dの機能構成の一例を示す図である。図10に示す車両100Dは、例えば、接続部120と、車載機器140Dとを備える。車載機器140Dは、第1の実施形態の車載機器140の構成と比較して、制御部156に代えて制御部156Dを備えると共に、更にマイク(音声入力部)250と、スピーカ(音声出力部)252と、通信部254とを備える。マイク250、スピーカ252、および通信部254は、「通話装置」の一例である。
【0049】
マイク250は、車内作業員の音声等を入力する。スピーカ252は、車外作業員が利用するヘッドセット(ヘッドホンとマイク(マイクロホン)とが一体化した装置)256によって取得され通信部254により受信した車外作業員の音声を出力する。通信部254は、ヘッドセット256と無線または有線により接続する。
【0050】
制御部156Dは、車載機器140Dの各構成全体を制御する。制御部156Dは、制御部156と同様の機能を有する他に、通話装置とヘッドセット256との通話制御(音声の送受信制御)を行う。なお、第5の実施形態において、車外作業員が複数いる場合には、車外作業員ごとにヘッドセット256が装着される。この場合、制御部156Dは、通話装置と、全てのヘッドセットまたは特定のヘッドセットとの間の通話制御を行う。
【0051】
図11は、マイク250およびスピーカ252が設置された車室内を説明するための図である。図11の例において、マイク250は、試験用操作部142と一体に構成され、スピーカ252は、車室内の側面部に設置されているが、これに限定されるものではなく、マイク250およびスピーカ252の両方が、試験用操作部142に設置されてもよく、車室内の側面部に設置されてもよい。また、制御部156Dは、予め車両100Dが搭載されている既存のマイクおよびスピーカを流用してヘッドセット256との通話制御を行ってもよい。
【0052】
上述した第5の実施形態によれば、車内にマイク250とスピーカ252とを装備し、車外作業者がヘッドセット256を装着することにより、無線または有線にて車外作業員と車内作業員とがリアルタイムで連絡しながら電気試験を行うことができる。したがって、作業効率をより向上させることができると共に、より適切な電気試験を実施することができるため、試験品質をより向上させることができる。
【0053】
(第6の実施形態)
次に、電気設備試験車両の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、第1の実施形態と比較して、試験用操作部142と電気設備試験装置144とをユニット化して電気設備試験車両と着脱可能に構成されている点で相違する。以下では主に上記相違点を中心として説明する。
【0054】
図12は、第6の実施形態の車両100Eの車室内を説明するための図である。図12では、車体から取り外された試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとが示されている。試験用操作部142Eおよび電気設備試験装置144Eは、上述の実施形態に示す試験用操作部142および電気設備試験装置144と同様の機能を有し、更に車体に対して嵌合や固定部による固定等によって着脱自在な機能を備えている。
【0055】
第6の実施形態において、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとは、例えば、ケーブルおよびコネクタによって電気的に接続される。図12の例では、試験用操作部142Eに接続された制御信号用ケーブル260と電源供給用ケーブル261のそれぞれの端部を、電気設備試験装置144Eに設けられた制御信号用コネクタ262と電源供給用コネクタ263に接続することで、電気的に接続される。また、電気設備試験装置144Eには、電源ケーブル264を備えており、電源ケーブル264を外部の電源供給部に接続することで、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとに電力が供給される。上述したケーブルおよびコネクタは、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとで逆に設けられてもよい。また、電気設備試験装置144Eには、入出力コネクタ265,266が設けられており、それぞれが被試験電気設備300に接続されたケーブル(例えば、ケーブル321,322)と接続することが可能である。
【0056】
また、第6の実施形態では、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとを固定(合体)して一体化させる機構が設けられていてもよい。図13は、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとを一体化させる機構について説明するための図である。図13の例では、電気設備試験装置144Eに留め金部267が設けられ、試験用操作部142Eに留め金部267を受け付けて固定する留め金受け部268が設けられている。なお、留め金部267および留め金受け部268は、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとで逆に設けられてもよく、異なる箇所に複数設けられてもよい。また、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとを固定して一体化させる機構については、これに限定されるものではなく、嵌合や螺合、その他のロック機構により固定してもよい。
【0057】
第6の実施形態では、車室内に設置され、電気的に接続された試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eの制御信号用ケーブル260を制御信号用コネクタ262から取り外すと共に、電源供給用ケーブル261を電源供給用コネクタ263から取り外すことで、試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eとを車体から取り出す。そして取り出し後に、制御信号用ケーブル260および電源供給用ケーブル261をそれぞれに対応するコネクタに再度接続した上で、留め金部267を留め金受け部268にかけて合体させ、電源ケーブル264を例えば外部のAC100[V]の電源部に接続する。
【0058】
上述した第6の実施形態によれば、車両100Eに搭載された試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eを持ち運び可能な試験器として車外で利用することができる。したがって、例えば、ビルの屋上等に被試験電気設備300が存在し、車両100Eを近くに移動させることができない場合であっても、車体から取り外した試験用操作部142Eと電気設備試験装置144Eの試験ユニットを用いて試験を行うことができる。更に、第6の実施形態によれば、試験用操作部142Eや電気設備試験装置144Eのメンテナンス(例えば、計器校正)時や交換等においても、各ユニットのみを車体から取り外すことができるため、より簡単に対応することができる。
【0059】
(第7の実施形態)
次に、電気設備試験車両の第7の実施形態について説明する。第7の実施形態は、第1の実施形態と比較して、自らが走行可能な動力部を有していない車両(例えば、トレーラーのようにトラクタ(動力部を有する車両)によってけん引される車両)に、試験用操作部142や電気設備試験装置144等が搭載されている点で相違する。以下では主に上記相違点を中心として説明する。
【0060】
図14は、第7の実施形態における車両100Fの外観の一例を示す図である。図14に示す車両100Fは、トラクタ(他車両)と連結する連結部270と、自立用車輪272等を備える。車両100Fは、連結部270によって連結されたトラクタにけん引されることで移動することができる。また、車両100Fは、牽引するトラクタと切り離したときには、自立用車輪を取り付けることにより自立できる。
【0061】
また、車両100Fの本体の外側には、他の実施形態と同様に、被試験電気設備300からのケーブルを接続する接続部120(第1プラグ121、第2プラグ122、第3プラグ123)が設けられている。また、車両100の本体外側には、後述する蓄電装置を充電するための電力を受け付ける蓄電池充電用ソケット274が設けられている。また、車両100Fには、例えば、作業員が車両100Fに乗降するためのドア(不図示)や、窓等が設けられる。また、図14に示す車両100Fには、上述した第2の実施形態に示すように太陽光発電システム220が設置されているが、設置されていなくてもよい。太陽光発電システム220の構成(太陽電池モジュール222、ルーフキャリア224、充電コントローラ226、ケーブル228A、228B)については、上述の構成と同様であるため、ここでの具体的な説明は省略する。充電コントローラ226は、太陽電池モジュール222によって太陽光から充電された電力に対して、後述する蓄電装置が最適な充電ができるように出力電圧、電流を調整した上で、蓄電装置に電力を供給する。
【0062】
図15は、第7の実施形態の車両100Fの車室内を説明するための図である。図15の例では、車両100F内の車室内に、上述した第6の実施形態に示す試験用操作部142Eおよび電気設備試験装置144Eが設置されている。また、車室内には、蓄電装置280と、インバータ282とが設置されている。
【0063】
蓄電装置280は、試験用操作部142Eや電気設備試験装置144E等に電力を供給するためのバッテリ(二次電池)である。インバータ282は、蓄電装置280の電力をAC100[V]の交流電圧に変換する電圧変換部である。
【0064】
インバータ282は、蓄電装置280の直流電圧を商用100[V]の交流電圧に変換し、その出力をインバータ282に接続された電源ケーブル264を介して試験用操作部142Eや電気設備試験装置144Eに供給される。
【0065】
また、図15の例において、車両100Fの側面に設けられた接続部120と、電気設備試験装置144Eの入出力コネクタ265,266とは、ケーブル285、286によって電気的に接続される。したがって、例えば、電気設備試験装置144Eから出力される電圧、電流等を、ケーブル285を介して被試験電気設備300に出力でき、被試験電気設備300からの動作出力を、ケーブル286を介して電気設備試験装置144Eに取り込むことができる。
【0066】
上述した第7の実施形態によれば、トレーラー等の車両100F内で被試験電気設備300の電気試験等を行うことができる。なお、車両100Fは、上述した他の実施形態の車両(電気自動車)と同様に、車体の外側(側面)に蓄電池充電用ソケット274を装備しているため、外部から蓄電装置280に蓄電池充電ケーブルを介して充電することができる。
【0067】
なお、上述した第1~第7の実施形態のそれぞれは、他の一以上の実施形態の一部または全部と組み合わせてもよい。
【0068】
以上説明した実施形態によれば、電気設備試験における試験品質や作業効率を向上させることができる。また、実施形態によれば、電気設備試験用の試験装置を車両に搭載しておくことで、簡単に移動させて電気試験を実行することができる。また、車両のバッテリの電力を利用することで、試験用電源のない屋外の配電盤の電気試験であっても容易に実施することができる。したがって、実施形態によれば、試験準備時間の削減や、電気試験における安全性の向上、試験品質の向上等が期待できる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
100、100A~100F…車両(電気設備試験車両)、120…接続部、140…車載機器、142、142E…試験用操作部、144、144E…電気設備試験装置、146、282…インバータ、148…追加試験装置、150…ナビゲーション装置、152…バッテリ、154…HMI、156…制御部、220…太陽光発電システム、230…スライド式屋根機構、240…記憶装置、242…プリンタ、250…マイク、252…スピーカ、254…通信部、256…ヘッドセット、270…連結部、272…自立用車輪、280…蓄電装置、300…被試験電気設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15