(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170018
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】クランプ装置
(51)【国際特許分類】
E04G 5/04 20060101AFI20231124BHJP
E04G 3/28 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
E04G5/04 F
E04G3/28 302L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081447
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】下貞 典之
(72)【発明者】
【氏名】中村 崇志
(72)【発明者】
【氏名】久保 稔
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 英亮
(72)【発明者】
【氏名】岡 重洋
(72)【発明者】
【氏名】丈達 康太
(72)【発明者】
【氏名】青木 峻二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聖司
【テーマコード(参考)】
2E003
【Fターム(参考)】
2E003EB02
(57)【要約】
【課題】一対の係止部材に支持部材を確実に支持することが可能なクランプ装置を提供する。
【解決手段】一対の係止部材2aにそれぞれ係止可能なクランプ部材41を有し、一対のクランプ部材41は、支持部材に設けられた基端部から上方に延びる起立部42と、これらの起立部42から互いに接近する方向に形成されるとともに、係止部材を囲むように設けられた掛止爪43と、を有し、一対の係止部材2aとそれぞれ掛止爪43との間の隙間の有無により一対の係止部材2aにそれぞれ掛止爪43を固定又は解除する固定解除手段としての油圧ジャッキ49を備えている。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築物の下面の下側に一対の係止部材が設置され、これらの係止部材に支持部材を支持するためのクランプ装置であって、
前記一対の係止部材にそれぞれ係止可能なクランプ部材を有し、
前記一対のクランプ部材は、前記支持部材に設けられた基端部から上方に延びる起立部と、これらの起立部から互いに接近する方向に形成されるとともに、前記係止部材を囲むように設けられた掛止爪と、を有し、
前記一対の係止部材とそれぞれ前記掛止爪との間の隙間の有無により前記一対の係止部材にそれぞれ前記掛止爪を固定又は解除する固定解除手段を備え、
前記隙間を有しているとき前記一対の係止部材にそれぞれ前記掛止爪の係止状態が解除される一方、前記隙間を有していないとき前記一対の係止部材にそれぞれ前記掛止爪が固定されるように構成されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
構築物の下面の下側に一対の係止部材が設置され、これらの係止部材に支持部材を支持するためのクランプ装置であって、
前記一対の係止部材の延びる方向と直交する方向に移動可能に設けられるとともに、前記一対の係止部材にそれぞれ係止可能なクランプ部材を有し、
前記一対のクランプ部材は、前記支持部材にスライド可能に設けられた基端部から上方に延びる起立部と、これらの起立部から互いに接近する方向に形成された掛止爪と、を有し、
前記掛止爪を互いに接近する方向及び離反する方向にスライド可能に駆動する駆動手段を備え、
前記駆動手段を駆動して前記掛止爪を互いに接近する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪が前記一対の係止部材の上方位置まで移動する一方、
前記駆動手段を駆動して前記掛止爪を互いに離反する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪が前記一対の係止部材から離間した位置まで移動するように構成されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
前記一対の係止部材は、それぞれH型鋼の下部に形成された水平フランジであることを特徴とする請求項1又は2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記一対の係止部材は、互いに離間したL型鋼の水平フランジであることを特徴とする請求項1又は2に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記クランプ部材の基端部に螺合して貫通し、かつ同軸上に右ねじ及び左ねじが形成されたボールねじと、該ボールねじを正方向及び逆方向に回転させるモータとを有し、該モータによって前記ボールねじを正方向又は逆方向に回転させ、正方向に回転させたときに前記掛止爪が互いに接近する一方、逆方向に回転させたときに前記掛止爪が互いに離反するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば橋梁、高架式道路又は高架式鉄道、発電所等の構築物において各種作業に用いられる移動足場装置等の移動装置に設置されるクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構築物において各種作業に用いられる移動足場装置には、例えば特許文献1及び2に記載されたものがある。特許文献1に記載された移動足場装置は、ハンガーレールに沿って足場を移動するに際して、移動の障害となるものが存在する場合には、足場を形成する梁部材を左右に分割して障害物を交わしながら移動させ、障害物を交わした後に梁部材を連結させて、再びハンガーレールに沿って足場を移動させるものである。
【0003】
また、特許文献2に記載された足場装置は、橋梁の鍔部を上,下回転移動手段により挟んで足場本体を吊り下げ、下回転移動手段の回転力により移動させ、橋桁接合部の添接板やボルト、あるいは橋桁に横桁が連結された箇所等では、移動を停止し、上回転移動手段を非移動位置に切り替えて、上記の箇所を通過した後、上回転移動手段を移動位置に切り替えて移動するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-113348号公報
【特許文献2】特開2007-51416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された移動足場装置では、ハンガーレールに沿って上走行部を走行する際、また特許文献2に記載された足場装置では、鍔部を上,下回転移動手段により挟んで足場本体を吊り下げて移動させる際にハンガーレール又は鍔部に走行部又は回転移動手段を確実に支持することが望まれていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、一対の係止部材に支持部材を確実に支持することが可能なクランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、構築物の下面の下側に一対の係止部材が設置され、これらの係止部材に支持部材を支持するためのクランプ装置であって、前記一対の係止部材にそれぞれ係止可能なクランプ部材を有し、前記一対のクランプ部材は、前記支持部材に設けられた基端部から上方に延びる起立部と、これらの起立部から互いに接近する方向に形成されるとともに、前記係止部材を囲むように設けられた掛止爪と、を有し、前記一対の係止部材とそれぞれ前記掛止爪との間の隙間の有無により前記一対の係止部材にそれぞれ前記掛止爪を固定又は解除する固定解除手段を備え、前記隙間を有しているとき前記一対の係止部材にそれぞれ前記掛止爪の係止状態が解除される一方、前記隙間を有していないとき前記一対の係止部材にそれぞれ前記掛止爪が固定されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、構築物の下面の下側に一対の係止部材が設置され、これらの係止部材に支持部材を支持するためのクランプ装置であって、前記一対の係止部材の延びる方向と直交する方向に移動可能に設けられるとともに、前記一対の係止部材にそれぞれ係止可能なクランプ部材を有し、前記一対のクランプ部材は、前記支持部材にスライド可能に設けられた基端部から上方に延びる起立部と、これらの起立部から互いに接近する方向に形成された掛止爪と、を有し、前記掛止爪を互いに接近する方向及び離反する方向にスライド可能に駆動する駆動手段を備え、前記駆動手段を駆動して前記掛止爪を互いに接近する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪が前記一対の係止部材の上方位置まで移動する一方、前記駆動手段を駆動して前記掛止爪を互いに離反する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪が前記一対の係止部材から離間した位置まで移動するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の構成に加え、前記一対の係止部材は、それぞれH型鋼の下部に形成された水平フランジであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2記載の構成に加え、前記一対の係止部材は、互いに離間したL型鋼の水平フランジであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の構成に加え、前記駆動手段は、前記クランプ部材の基端部に螺合して貫通し、かつ同軸上に右ねじ及び左ねじが形成されたボールねじと、該ボールねじを正方向及び逆方向に回転させるモータとを有し、該モータによって前記ボールねじを正方向又は逆方向に回転させ、正方向に回転させたときに前記掛止爪が互いに接近する一方、逆方向に回転させたときに前記掛止爪が互いに離反するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、一対の係止部材とそれぞれ掛止爪との間の隙間の有無により一対の係止部材にそれぞれ掛止爪を固定又は解除する固定解除手段を備え、隙間を有しているとき一対の係止部材にそれぞれ掛止爪の係止状態が解除される一方、隙間を有していないとき一対の係止部材にそれぞれ掛止爪が固定されるように構成されていることにより、一対の係止部材に支持部材を確実に支持させることが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明によれば、駆動手段を駆動して掛止爪を互いに接近する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪が一対の係止部材の上方位置まで移動する一方、駆動手段を駆動して掛止爪を互いに離反する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪が一対の係止部材から離間した位置まで移動するように構成されていることにより、一対の係止部材に支持部材を確実に支持させることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明によれば、一対の係止部材は、それぞれH型鋼の下部に形成された水平フランジであるため、支持部材を確実に支持させることができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明によれば、一対の係止部材は、互いに離間したL型鋼の水平フランジであることから、係止部材がL型鋼であっても支持部材を確実に支持させることができ、汎用性を高めることができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明によれば、モータによってボールねじを正方向又は逆方向に回転させ、正方向に回転させたときに掛止爪が互いに接近する一方、逆方向に回転させたときに掛止爪が互いに離反するように構成されているので、1つのモータによって掛止爪を接近させ、あるいは離反させることができるので、構造を簡素化し、操作性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した移動足場装置の全体構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した足場組立手順1を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立手順2を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立手順3を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立手順4を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した他の吊り足場組立手順1を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した他の吊り足場組立手順2を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した移動足場装置の全体構造を示す側面図である。
【
図9】
図8の枠部へのモータユニットの取付状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9のモータユニットを示す拡大正面図である。
【
図12】
図8のレール吊下げ部材を示す拡大正面図である。
【
図15】
図12のレール吊下げブラケットを示す斜視図である。
【
図16】
図8の足場吊下げ部材を示す拡大正面図である。
【
図21】(A)~(E)は本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序を示す側面図である。
【
図22】本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序における移動用足場の移動時の足場吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
【
図23】
図22の足場吊下げブラケットを示す拡大説明図である。
【
図24】
図22の移動足場装置の移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示し、レール吊下げユニットの固定時の状態を示す説明図である。
【
図25】本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序における上段レール移動時の足場吊下げ部材と下フランジとの位置関係を示す説明図である。
【
図26】
図25の足場吊下げブラケットを示す拡大説明図である。
【
図27】
図25の上段レールの移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示し、足場吊下げユニットの固定時の状態を示す拡大説明図である。
【
図28】本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序において添接板回避時で移動用足場の移動時の足場吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
【
図29】
図28の移動用足場の移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
【
図30】本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序において添接板回避時で上段レール移動時の足場吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
【
図31】
図30の上段レールの移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[発明の実施形態]
図1~
図5には、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立工法を示す。
【0020】
図1は、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した移動足場装置の全体構造を示す斜視図である。
図2は、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した足場組立手順1を示す斜視図である。
図3は、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立手順2を示す斜視図である。
図4は、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立手順3を示す斜視図である。
図5は、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立手順4を示す斜視図である。
【0021】
なお、
図1と
図2~
図7では、移動足場装置の構造が同一であるものの、
図2~
図7では、
図1と比べて移動足場装置の構造を簡略化して図示している。
【0022】
本実施形態を適用した移動足場装置1は、構築物としての橋梁におけるH型鋼からなる一対のフランジ部材(主桁)2の下面の下側に吊り足場を順次組み立てていくために用いられる。一対のフランジ部材2は、水平方向に互いに平行となるように並んで設置されている。移動足場装置1は、橋梁の一対のフランジ部材2における水平の下フランジ2a(係止部材)の下面に吊り下げられてフランジ部材2の延びる方向に移動可能に構成されている。移動足場装置1には、床面3が設置され、この床面3上に作業員Aが乗り、移動装置4を駆動することにより、移動足場装置1がフランジ部材2の延びる方向に移動される。
【0023】
次に、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した吊り足場組立工法の第1実施形態による吊り足場組立手順を
図2~
図5に従って説明する。
【0024】
まず、
図2に示す吊り足場組立手順1では、移動足場装置1に乗った作業員Aによって移動足場装置1の移動装置4を駆動することによりフランジ部材2の延びる方向、すなわち矢印Xの方向に移動足場装置1を移動させ、その進行方向に対して下流側に位置する一対のフランジ部材2の下フランジ2aにそれぞれチェーン、ワイヤ等の索条5の上端を作業員Aによって吊下げて固定する。これら2つの索条5は、移動足場装置1の移動方向に対して直交する方向に離間するように吊下げて固定される。
【0025】
その後、
図3の吊り足場組立手順2に示すように索条5間に作業員Aによって連結部材としてのおやご部材6を連結する。すなわち、おやご部材6は、移動足場装置1の移動方向に対して直交する方向に延びるように連結される。そして、矢印Xの方向に移動足場装置1を移動させながら、その下流側で索条5間に作業員Aによって連結したおやご部材6に対して一定の間隔をあけて
図4の吊り足場組立手順3に示すように一対の下フランジ2aにそれぞれ次の索条5を吊下げて固定するとともに、索条5間に作業員Aによって最初に連結したおやご部材6に対して平行となるように2番目のおやご部材6を連結する。
【0026】
さらに、
図5の吊り足場組立手順4に示すように、あらかじめ既設の主体足場7に乗った作業員Bによって最初に連結したおやご部材6とその次の2番目に連結したおやご部材6との間に架け渡し部材であるころばし部材8を複数架け渡す。この場合、それぞれのころばし部材8は、互いに一定の間隔となるように移動足場装置1の移動方向に対して同方向となるように最初に連結したおやご部材6とその次の2番目に連結したおやご部材6との間に架け渡される。そして、作業員Bによってころばし部材8上に足場板としての床材9を取り付けていく一方、移動足場装置1に乗った作業員Aによって上記と同様に一対の下フランジ2aにそれぞれ索条5を一定の間隔をあけて吊下げて固定するとともに、索条5間に3番目のおやご部材6を上記と同様に連結して吊り足場10を組み立てていくようにしている。
【0027】
このように本実施形態のクランプ装置の実施形態を適用した足場組立工法によれば、移動足場装置1の作業員Aによって一対のフランジ部材2の下フランジ2aに複数の索条5を移動足場装置1の移動方向に対して直交する方向に離間するように吊下げて固定し、これらの索条5間に直交する方向に延びるおやご部材6を連結し、移動足場装置1を移動させながらその下流側で索条5及びおやご部材6に対して間隔をあけて再度索条5及びおやご部材6を連結していき、これらのおやご部材6間に複数のころばし部材8を架け渡し、これらのころばし部材8上に床材9を設置して吊り足場10を組み立てていくようにしたことにより、一対のフランジ部材2の下フランジ2aに複数の索条5を固定して、これらの索条5間におやご部材6を連結する作業を移動足場装置1の作業員Aによって行うことができることから、吊り足場10の組立効率を著しく高めることが可能となるとともに、安全性も高めることができる。
【0028】
また、本実施形態のクランプ装置の実施形態を適用した足場組立工法によれば、一対のフランジ部材2に移動装置4を介して移動足場装置1が移動可能に設けられていることにより、吊り足場10の組立効率を一段と高めることが可能となる。
【0029】
また、本実施形態のクランプ装置の実施形態を適用した足場組立工法によれば、複数の索条5は、それぞれの上端がフランジ部材2の下フランジ2aに固定されて吊下げられているので、移動足場装置1の作業員Aによってフランジ部材2の下フランジ2aに複数の索条5を固定する作業が極めて容易になり、作業効率を高めることができる。
【0030】
次に、本発明に係るのクランプ装置の実施形態を適用した他の吊り足場組立工法による吊り足場組立手順を
図6、
図7に従って説明する。
【0031】
図6は、本発明に係るクランプ装置の実施形態を適用した他の吊り足場組立手順1を示す斜視図である。
図7は、本発明に係るのクランプ装置の実施形態を適用した他の吊り足場組立手順2を示す斜視図である。本吊り足場組立手順における各部の構成は、前記吊り足場組立手順と同一の部分には、同一の符号を付して説明する。
【0032】
まず、
図6に示す吊り足場組立手順1では、移動足場装置1に乗った作業員Aによって移動足場装置1の移動装置4を駆動することによりフランジ部材2の延びる方向、すなわち矢印Xの方向に移動足場装置1を移動させ、その進行方向に対して下流側に位置する一対のフランジ部材2の下フランジ2aにそれぞれ索条5の上端を作業員Aによって吊下げて固定する。そして、図示しない主体足場に乗った作業員Bによって索条5の下端に足場板としてのパネル11を取り付ける。
【0033】
そして、
図7の吊り足場組立手順2に示すように、移動足場装置1を移動させながらその下流側で索条5に対して一定間隔をあけて再度次の索条5を作業員Aによって吊下げて固定する一方、これらの索条5の下端にパネル11を作業員Bによって順次取り付けて吊り足場10を組み立てていく。
【0034】
このように本実施形態のクランプ装置の実施形態を適用した他の足場組立工法によれば、移動足場装置1の作業員Aによって一対のフランジ部材2の下フランジ2aに複数の索条5を移動足場装置1の移動方向に対して直交する方向に離間するように吊下げて固定し、これらの索条5間にパネル11を取り付けた後、移動足場装置1を移動させながらその下流側で索条5に対して間隔をあけて再度索条5を吊下げて固定していき、これらの索条5間にパネル11を順次取り付けて吊り足場10を組み立てていくことにより、一対のフランジ部材2の下フランジ2aに複数の索条5を固定する作業を移動足場装置1の作業員Aによって行うことができることから、吊り足場10の組立効率を著しく高めることが可能となるとともに、安全性も高めることができる。
【0035】
次に、移動足場装置1及びその移動装置4の構成を具体的に説明する。
【0036】
図8は、本発明に係る移動装置の実施形態を適用した移動足場装置の全体構造を示す側面図である。
図9は、
図8の枠部へのモータユニットの取付状態を示す斜視図である。
図10は、
図9のモータユニットを示す拡大正面図である。
図11は、
図8のラックを示す拡大平面図である。
図12は、
図8のレール吊下げ部材を示す拡大正面図である。
図13は、
図12の平面図である。
図14は、
図13の斜視図である。
図15は、
図12のレール吊下げブラケットを示す斜視図である。
図16は、
図8の足場吊下げ部材を示す拡大正面図である。
図17は、
図16の平面図である。
図18は、
図17の斜視図である。
図19は、
図16のローラユニットを示す斜視図である。
図20は、
図16の足場吊下げブラケットを示す斜視図である。なお、
図8は、上記と同様に
図1の移動足場装置の構造が同一であるものの、
図1と比べて移動足場装置の構造を簡略化して図示している。
【0037】
図8に示すように、移動装置4を備えた移動足場装置1は、上述したように構築物としての橋梁の一対のフランジ部材(H型鋼)2の下面の下側に吊り下げられて移動装置4によって所定の方向に移動する装置である。
【0038】
図8に示すように、移動装置4は、第1移動部材としての上段レール17と、第2移動部材及び支持部材としての下段レール18と、駆動手段としてのモータユニット20と、第1固定解除手段及びクランプ装置を構成するレール吊下げユニット30と、第2固定解除手段及びクランプ装置を構成する足場吊下げユニット40と、を備えている。
【0039】
上段レール17は、棒状、具体的には角筒状に形成され、フランジ部材2の延びる方向に沿って移動可能に設けられている。下段レール18は、棒状、具体的には角板状に形成され、上段レール17に沿って移動可能であって、支持部材としての移動用足場12の一部に設けられている。これにより、移動用足場12は、下段レール18の移動に伴って移動可能に構成されている。移動用足場12は、枠部13を有し、この枠部13は、下段レール18が設けられた上枠14と、この上枠14に取り付けられた下枠15と、を備えている。
【0040】
図9~
図11に示すように、モータユニット20は、上段レール17と下段レール18との間に設けられ、上段レール17と下段レール18とが相対移動可能に構成されている。具体的に、モータユニット20は、上段レール17の長さ方向に沿って設けられたラック部21と、このラック部21と噛み合うピニオン22及びこのピニオン22を駆動させるギヤモータ23と、を有する。ピニオン22及びギヤモータ23は、下段レール18に設けられている。したがって、ギヤモータ23を駆動させることで、ピニオン22が回転駆動してラック部21を介して上段レール17と下段レール18とが相対的に移動する。下段レール18におけるギヤモータ23の両側には、リミットスイッチ24が配置されており、これらのリミットスイッチ24が作動することで、この作動信号によってギヤモータ23の駆動を停止し、あるいはレール吊下げユニット30、足場吊下げユニット40を作動させる。
【0041】
レール吊下げユニット30は、
図12~
図15に示すようにフランジ部材2の下フランジ2aに対して上段レール17を任意の位置で固定及び解除可能に構成されている。レール吊下げユニット30は、一対のフランジ部材2の延びる方向と直交する方向に移動可能に設けられるとともに、一対のフランジ部材2の下フランジ2aにそれぞれ係止可能な一対のクランプ部材31と、上段レール17を吊り下げるための
図15に示すレール吊下げブラケット37を有している。このレール吊下げブラケット37は、固定ピン37aを有し、この固定ピン37aを用いて上段レール17をクランプレール38に保持している。
【0042】
各クランプ部材31は、
図12~
図15に示すように、クランプレール38にスライド可能に設けられた基端部からそれぞれ上方に延びる起立部32と、これらの起立部32から互いに接近する方向にそれぞれ起立部32と一体に形成された掛止爪33と、を備えている。これらの掛止爪33は、駆動手段としての駆動機構34によって互いに接近する方向及び離反する方向にスライド可能に駆動される。
【0043】
駆動機構34は、
図13に示すようにクランプ部材31の基端部に螺合して貫通し、かつ同軸上に右ねじ及び左ねじが形成されたボールねじ35と、このボールねじ35を正方向及び逆方向に回転させるモータ36と、を備えている。したがって、クランプ部材31は、モータ36を駆動させることによってボールねじ35を正方向又は逆方向に回転させ、ボールねじ35を正方向に回転させたときに掛止爪33が互いに接近する方向にクランプレール38に沿ってスライドする一方、ボールねじ35を逆方向に回転させたときに掛止爪33が互いに離反する方向にクランプレール38に沿ってスライドするように構成されている。
【0044】
そして、駆動機構34を駆動して掛止爪33を互いに接近する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪33が一対のフランジ部材2の下フランジ2aの上方位置まで移動する一方、駆動機構34を駆動して掛止爪33を互いに離反する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪33が一対のフランジ部材2の下フランジ2aから離間した外側の位置まで移動するように構成されている。
【0045】
足場吊下げユニット40は、
図16~
図20に示すように、フランジ部材2の下フランジ2aに対して下段レール18を任意の位置で固定及び解除可能に構成されている。足場吊下げユニット40は、一対のフランジ部材2の延びる方向と直交する方向に移動可能に設けられるとともに、一対のフランジ部材2の下フランジ2aにそれぞれ係止可能な一対のクランプ部材41と、上段レール17を移動させるときに円滑に移動させるためのローラユニット47(
図19に示す)と、移動用足場12を吊り下げるための足場吊下げブラケット48(
図20に示す)を有している。
【0046】
ローラユニット47は、上側にローラ47aが設けられ、このローラ47aは、上段レール17が移動するときに支持することで、円滑に移動可能にしている。ローラユニット47は、2つの固定ピン47bを有し、これらの固定ピン47bによりクランプレール51に固定されている。足場吊下げブラケット48は、2つのローラ48aを有し、これらのローラ48aは、移動用足場12、すなわち下段レール18の移動時に移動用足場12の荷重がかかり、移動用足場12を円滑に移動可能にしている。足場吊下げブラケット48は、2つの固定ピン48bを有し、これらの固定ピン48bを用いて上段レール17をクランプレール51に保持している。
【0047】
各クランプ部材41は、
図16~
図18に示すように、クランプレール51にスライド可能に設けられた基端部からそれぞれ上方に延びる起立部42と、これらの起立部42から互いに接近する方向にそれぞれ一体に形成された掛止爪43と、を備えている。これらの掛止爪43は、駆動手段としての駆動機構44によって互いに接近する方向及び離反する方向にスライド可能に駆動する。
【0048】
駆動機構44は、上述した駆動機構34と同様、
図17に示すようにクランプ部材41の基端部に螺合して貫通し、かつ同軸上に右ねじ及び左ねじが形成されたボールねじ45と、このボールねじ45を正方向及び逆方向に回転させるモータ46とを備えている。したがって、クランプ部材41は、モータ46を駆動させることによってボールねじ45を正方向又は逆方向に回転させ、ボールねじ45を正方向に回転させたときに掛止爪43が互いに接近する方向にクランプレール51に沿ってスライドする一方、逆方向に回転させたときに掛止爪43が互いに離反する方向にクランプレール51に沿ってスライドするように構成されている。
【0049】
そして、駆動機構44を駆動して掛止爪43を互いに接近する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪43が一対のフランジ部材2の下フランジ2aの上方位置まで移動する一方、駆動機構44を駆動して掛止爪43を互いに離反する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪43が一対のフランジ部材2の下フランジ2aから離間した外側の位置まで移動するように構成されている。
【0050】
次に、移動足場装置1の移動順序と、移動時の各構成部材の動作について説明する。
【0051】
図21(A)~(E)は、本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序を示す側面図である。
図22は、本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序における移動用足場の移動時の足場吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
図23は、
図22の足場吊下げブラケットを示す拡大説明図である。
図24は、
図22の移動足場装置の移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示し、レール吊下げユニットの固定時の状態を示す説明図である。
図25は、本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序における上段レール移動時の足場吊下げ部材と下フランジとの位置関係を示す説明図である。
図26は、
図25の足場吊下げブラケットを示す拡大説明図である。
図27は、
図25の上段レールの移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示し、足場吊下げユニットの固定時の状態を示す拡大説明図である。
【0052】
図21(A),(B)は、下段レール18、すなわち移動用足場12が移動可能であってレール吊下げユニットを下フランジ2aの上面に固定(接地)した時の状態を示している。具体的には、
図22に示すように足場吊下げユニット40の掛止部43は、下フランジ2aの上面に接触しておらず、下フランジ2aに対して隙間G1が形成されている。そして、足場吊下げブラケット48は、
図23に示すように上段レール17を介して移動用足場12を吊り下げており、この移動用足場12が上段レール17に沿って移動可能な状態である。一方、レール吊下げユニット30の掛止部33は、
図24に示すように下フランジ2aの上面に接触しており、下フランジ2aに固定されている。
【0053】
このように下フランジ2aにレール吊下げユニット30を介して上段レール17が固定されている状態で、モータユニット20のギヤモータ23を駆動させ、ピニオン22を回転させることで、ラック部21を介して上段レール17に対して下段レール18が、
図21(B)に示すように所定量移動する。本実施形態の場合には、例えば1200mm移動する。
【0054】
ここで、レール吊下げユニット30の一対の掛止部33の下部には、
図24に示すようにそれぞれローラ33aが取り付けられている。また、足場吊下げユニット40の一対の掛止部43の下部は、一方にローラ43aが取り付けられ、他方に固定解除手段としての油圧ジャッキ49が取り付けられている。
【0055】
図21(C),(D)は、上段レール17が移動可能であって足場吊下げユニット40が下フランジ2aの上面に固定(接地)した時の状態を示している。具体的には、
図25に示すように油圧ジャッキ49を駆動してリフト(持ち上げる)することで、足場吊下げユニット40の掛止部43が下フランジ2aの上面に対して固定される。このとき、足場吊下げユニット40の掛止部43のローラ43aと下フランジ2aの上面との間には、油圧ジャッキ49をリフトしたリフト分だけ隙間G1よりも大きな隙間G2となる。そのため、足場吊下げブラケット48のローラ48aは、
図26に示すように上段レール17に対して油圧ジャッキ49のリフト分の隙間G2が形成される。
【0056】
したがって、上段レール17は、足場吊下げユニット40のローラユニット47のローラ47aに支持されることで、上段レール17の自重分だけがローラユニット47のローラ47aに加わることとなる。一方、レール吊下げユニット30の掛止部33のローラ33aは、
図27に示すように下フランジ2aに油圧ジャッキ49をリフトしたリフト分の隙間G2が増えて、上段レール17が移動可能な状態になる。
【0057】
このように下フランジ2aにレール吊下げユニット30を介して上段レール17が移動可能な状態で、モータユニット20のギヤモータ23を駆動させ、ピニオン22を回転させることで、ラック部21を介して上段レール17が下段レール18に対して
図21(D)に示すように所定量移動する。
【0058】
図21(E)は、
図21(A)と同様に下段レール18、すなわち移動用足場12が移動可能であってレール吊下げユニットの下フランジ2aの上面に固定(接地)した時の状態を示している。この状態で再び上記と同様に下フランジ2aにレール吊下げユニット30を介して上段レール17が固定されている状態で、モータユニット20のギヤモータ23を駆動させ、ピニオン22を回転させることで、ラック部21を介して上段レール17に対して下段レール18が、
図21(B)に示すように所定量移動させる。このような一連の移動順序を繰り返すことによって移動用足場12を下フランジ2aに沿って順次移動させていく。
【0059】
次に、下フランジ2aに添接板50が設置されている場合における移動足場装置1の移動時の各構成部材の動作について説明する。
【0060】
図28は、本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序において添接板回避時で移動用足場の移動時の足場吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
図29は、
図28の移動用足場の移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
図30は、本実施形態で適用される移動足場装置の移動順序において添接板回避時で上段レール移動時の足場吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
図31は、
図30の上段レールの移動時のレール吊下げユニットと下フランジとの位置関係を示す説明図である。
【0061】
図28及び
図29は、下段レール18、すなわち移動用足場12が移動可能であってレール吊下げユニットの下フランジ2aの上面に固定(接地)した時の状態を示している。
図28に示すように足場吊下げユニット40の一対の掛止部43は、クランプ部材41のモータ46を駆動させることで、互いに離反して下フランジ2aの幅よりも開いた状態である。この状態で一対の掛止部43は、下フランジ2aの両側部に対してそれぞれ隙間G3が形成されている。
【0062】
また、足場吊下げブラケット48は、
図23に示すように上段レール17を介して移動用足場12を吊り下げており、この移動用足場12が上段レール17に沿って移動可能な状態である。一方、レール吊下げユニット30の掛止部33は、
図29に示すように下フランジ2aの上面に接触しており、下フランジ2aに固定されている。
【0063】
したがって、下フランジ2aにレール吊下げユニット30を介して上段レール17が固定されている状態で、モータユニット20のギヤモータ23を駆動させ、ピニオン22を回転させることで、ラック部21を介して上段レール17に対して下段レール18が、
図21(B)に示すように所定量移動する。
【0064】
図30及び
図31は、上段レール17が移動可能であって足場吊下げユニット40の下フランジ2aの上面に固定(接地)した時の状態を示している。
図30に示すように油圧ジャッキ49をリフトさせることで、足場吊下げユニット40の掛止部43が下フランジ2aに対して固定される。このとき、足場吊下げユニット40の掛止部43のローラ43aと下フランジ2aとの間には、油圧ジャッキ49をリフトしたリフト分だけ隙間G1よりも大きな隙間G2となる。そのため、足場吊下げブラケット48のローラ48aは、
図26に示すように上段レール17に対して油圧ジャッキ49をリフトしたリフト分の隙間G2が形成される。
【0065】
そして、上段レール17は、足場吊下げユニット40のローラユニット47のローラ47aに支持されることで、上段レール17の自重分だけがローラユニット47のローラ47aに加わることとなる。一方、レール吊下げユニット30の掛止部33のローラ33aは、
図31に示すように下フランジ2aに油圧ジャッキ49をリフトしたリフト分の隙間G2が増えて、上段レール17が移動可能な状態になる。
【0066】
したがって、下フランジ2aにレール吊下げユニット30を介して上段レール17が移動可能な状態で、モータユニット20のギヤモータ23を駆動させ、ピニオン22を回転させることで、ラック部21を介して上段レール17が下段レール18に対して
図21(D)に示すように所定量移動する。
【0067】
以上のように、本実施形態の移動装置4によれば、構築物である下フランジ2aに上段レール17をレール吊下げユニット30で固定し、下段レール18をモータユニット20で上段レール17に対して所定量移動させ、下フランジ2aに下段レール18を足場吊下げユニット40で固定し、上段レール17の固定状態をレール吊下げユニット30で解除した後、上段レール17をモータユニット20で下段レール18に対して所定量移動させるように構成されていることにより、1つの駆動手段で上段レール17と下段レール18を交互に移動させることができ、下フランジ2aの形状が添接版50等によって途中で変化する場合でも、所定の方向に円滑かつ確実に移動することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態の移動装置4によれば、モータユニット20は、上段レール17の長さ方向に設置されたラック部21と、下段レール18に設けられラック部21と噛み合うピニオン22を駆動させるギヤモータ23と、を備えているので、上段レール17と下段レール18を交互に円滑に移動させることができる。
【0069】
また、本実施形態の移動装置4によれば、下段レール18に移動用足場12が設けられ、この移動用足場12は、下段レール18の移動に伴って移動可能に構成されているので、移動用足場12を円滑に移動させることができる。
【0070】
本実施形態のクランプ部材31,41によれば、一対の下フランジ2aとそれぞれ掛止爪33,43との間の隙間G1の有無により一対の下フランジ2aにそれぞれ掛止爪33,43を固定又は解除する油圧ジャッキ49を備え、隙間G1を有しているとき一対の下フランジ2aにそれぞれ掛止爪33,43の係止状態が解除される一方、隙間G1を有していないとき一対の下フランジ2aにそれぞれ掛止爪33,43が固定されるように構成されていることにより、一対の下フランジ2aに移動用足場12を確実に支持させることが可能となる。
【0071】
また、本実施形態のクランプ部材31,41によれば、駆動機構34,44を駆動して掛止爪33,43を互いに接近する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪33,43が一対の下フランジ2aの上方位置まで移動する一方、駆動機構34,44を駆動して掛止爪33,43を互いに離反する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪33,43が一対の下フランジ2aから離間した位置まで移動するように構成されていることにより、一対の下フランジ2aに移動用足場12を確実に支持させることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態のクランプ部材31,41によれば、駆動機構34,44を駆動して掛止爪33,43を互いに離反する方向にスライドさせたとき、これらの掛止爪33,43が一対の下フランジ2aから離間した位置まで移動することから、下フランジ2aに添接板50等の障害物が設置されていたとしても移動装置4を円滑に移動させることができる。
【0073】
また、本実施形態のクランプ部材31,41によれば、一対の下フランジ2aは、それぞれH型鋼の下部に形成された水平フランジであるため、移動用足場12を確実に支持させることができる。
【0074】
また、本実施形態のクランプ部材31,41によれば、モータ36,46によってボールねじ35,45を正方向又は逆方向に回転させ、正方向に回転させたときに掛止爪33,43が互いに接近する一方、逆方向に回転させたときに掛止爪33,43が互いに離反するように構成されているので、1つのモータ36,46によって掛止爪33,43を接近させ、あるいは離反させることができるので、構造を簡素化し、操作性を高めることが可能となる。
【0075】
また、本実施形態のクランプ部材31,41によれば、一対の下フランジ2aは、互いに離間したL型鋼の水平フランジであることから、下フランジ2aがL型鋼であっても移動用足場12を確実に支持させることができ、汎用性を高めることができる。
【0076】
[発明の他の実施形態]
本発明の各実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0077】
例えば、上記各実施形態では、構築物として橋梁のフランジ部材2に沿って移動足場装置1を移動させるようにしたが、これに限らず高架式道路又は鉄道、発電所等の構築物にも適用可能である。
【0078】
また、上記各実施形態では、フランジ部材2にH型鋼を用いた場合について説明したが、H型鋼に限定することなく、L型鋼を用いてもよい。この場合、係止部材としての下フランジ2aの水平部にクランプ部材31,41を係止してもよい。したがって、一対の下フランジ2aは、互いに離間したL型鋼の水平フランジとした場合でも、移動用足場12を確実に支持させることができ、汎用性を高めることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 移動足場装置
2 フランジ部材
2a 下フランジ(係止部材)
3 床面
4 移動装置
5 索条
6 おやご部材(連結部材)
7 主体足場
8 ころばし部材(架け渡し部材)
9 床材(足場板)
10 吊り足場
11 パネル(足場板)
12 移動用足場(支持部材)
13 枠部
14 上枠
15 下枠
17 上段レール(第1移動部材)
18 下段レール(第2移動部材)
20 モータユニット(駆動手段)
21 ラック部
22 ピニオン
23 ギヤモータ
30 レール吊下げユニット(第1固定解除手段、クランプ装置)
31 クランプ部材
32 起立部
33 掛止爪
34 駆動機構(駆動手段)
35 ボールねじ
36 モータ
37 レール吊下げブラケット
38 クランプレール
40 足場吊下げユニット
41 クランプ部材
42 起立部
43 掛止爪
43a ローラ
44 駆動機構(駆動手段)
45 ボールねじ
46 モータ
47 ローラユニット
47a ローラ
48 足場吊下げブラケット
48a ローラ
49 油圧ジャッキ(固定解除手段)
50 添接板
51 クランプレール