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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170026
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】液晶表示装置およびその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20231124BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231124BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611A
G09G3/20 611D
G09G3/20 624C
G09G3/20 642B
G09G3/20 642P
G02F1/133 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081459
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】植畑 正樹
(72)【発明者】
【氏名】森 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】水永 隆行
(72)【発明者】
【氏名】近藤 和也
(72)【発明者】
【氏名】野島 孝志
(72)【発明者】
【氏名】吉本 一久
(72)【発明者】
【氏名】川本 晃祐
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】中道 一喜
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZB05
5C006AC25
5C006AC27
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF54
5C006AF69
5C006AF83
5C006BA19
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC06
5C006BC12
5C006BC20
5C006BF24
5C006BF25
5C006FA04
5C006FA23
5C006FA25
5C006FA48
5C006GA02
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD26
5C080FF11
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK02
5C080KK07
5C080KK43
5C080KK47
(57)【要約】
【課題】消費電力の増大を抑制しつつクロストークの発生を抑制することのできる液晶表示装置を実現する。
【解決手段】共通電極ドライバ400は、第1抵抗器(抵抗器421)と第2抵抗器(抵抗器422)とオペアンプ423とからなる反転増幅器と、第1抵抗器の抵抗値に対する第2抵抗器の抵抗値の比である抵抗比を1水平走査期間の長さに応じて調整する抵抗比調整回路424とを含む。第1抵抗器の一端にはフィードバック電圧VcomFBが与えられる。抵抗比調整回路424は、1水平走査期間の長さを第1時間とする第1駆動が行われる時の抵抗比よりも、1水平走査期間の長さを第1時間よりも長い第2時間とする第2駆動が行われる時の抵抗比を小さくする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像信号線と、複数の走査信号線と、前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応して設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極に対して共通的に設けられた共通電極とを含む表示部と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記共通電極を駆動する共通電極駆動回路と
を備え、
前記共通電極駆動回路は、
反転入力端子と、前記共通電極に印加されるべき電圧である基準電圧が与えられる非反転入力端子と、前記共通電極に接続された出力端子とを有するオペアンプと、
一端に前記共通電極の電圧のフィードバック電圧が与えられ、他端が前記オペアンプの反転入力端子に接続された第1抵抗器と、
一端が前記オペアンプの反転入力端子に接続され、他端が前記オペアンプの出力端子に接続された第2抵抗器と、
前記第1抵抗器の抵抗値に対する前記第2抵抗器の抵抗値の比である抵抗比を1水平走査期間の長さに応じて調整する抵抗比調整回路と
を含み、
前記抵抗比調整回路は、前記第1抵抗器および前記第2抵抗器の少なくとも一方の抵抗値を制御することによって、1水平走査期間の長さを第1時間とする第1駆動が行われる時の前記抵抗比よりも1水平走査期間の長さを前記第1時間よりも長い第2時間とする第2駆動が行われる時の前記抵抗比を小さくすることを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項2】
Nを1よりも大きい数として、前記第2時間が前記第1時間のN倍であれば、前記抵抗比調整回路は、前記第2駆動が行われる時の前記抵抗比を前記第1駆動が行われる時の前記抵抗比のN分の1とすることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1抵抗器は、可変抵抗器であって、
前記抵抗比調整回路は、前記第1抵抗器の抵抗値を変化させることによって、前記抵抗比を調整することを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2抵抗器は、可変抵抗器であって、
前記抵抗比調整回路は、前記第2抵抗器の抵抗値を変化させることによって、前記抵抗比を調整することを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1抵抗器および前記第2抵抗器は、可変抵抗器であって、
前記抵抗比調整回路は、前記第1抵抗器の抵抗値および前記第2抵抗器の抵抗値を変化させることによって、前記抵抗比を調整することを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記共通電極駆動回路は、さらに、前記第1駆動が行われる時と前記第2駆動が行われる時とで前記オペアンプの非反転入力端子に与えられる前記基準電圧の電圧値を異ならせる基準電圧変更回路を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
液晶表示装置の駆動方法であって、
前記液晶表示装置は、
複数の映像信号線と、複数の走査信号線と、前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応して設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極に対して共通的に設けられた共通電極とを含む表示部と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記共通電極を駆動する共通電極駆動回路と、
を備え、
前記共通電極駆動回路は、
反転入力端子と、前記共通電極に印加されるべき電圧である基準電圧が与えられる非反転入力端子と、前記共通電極に接続された出力端子とを有するオペアンプと、
一端に前記共通電極の電圧のフィードバック電圧が与えられ、他端が前記オペアンプの反転入力端子に接続された第1抵抗器と、
一端が前記オペアンプの反転入力端子に接続され、他端が前記オペアンプの出力端子に接続された第2抵抗器と
を含み、
前記駆動方法は、前記第1抵抗器の抵抗値に対する前記第2抵抗器の抵抗値の比である抵抗比を1水平走査期間の長さに応じて調整する抵抗比調整ステップを含み、
前記抵抗比調整ステップでは、1水平走査期間の長さを第1時間とする第1駆動が行われる時の前記抵抗比よりも1水平走査期間の長さを前記第1時間よりも長い第2時間とする第2駆動が行われる時の前記抵抗比の方が小さくなるよう、前記第1抵抗器および前記第2抵抗器の少なくとも一方の抵抗値が制御されることを特徴とする、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、少なくとも2つの駆動周波数を切り替えつつ動作する液晶表示装置およびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置は、テレビジョン、ノートパソコン、携帯電話などの様々な機器に用いられている。液晶表示装置の表示部には、目標とする表示画像に応じた映像信号が与えられる複数の画素電極と、液晶を介して当該複数の画素電極との間に電圧を印加するための共通電極とが設けられている。共通電極は液晶パネルを構成する基板上に形成され、当該共通電極には駆動基板上に設けられた回路から所定の電圧が供給される。なお、後述するように、駆動基板上に設けられた回路から共通電極に対して出力される電圧の値と液晶パネル内における共通電極の実際の電圧の値とは必ずしも一致しない。そこで、本明細書では、便宜上、駆動基板上に設けられた回路から共通電極に対して出力される電圧のことを「出力共通電圧」といい、液晶パネル内における共通電極の電圧のことを「パネル内共通電圧」という。また、出力共通電圧とパネル内共通電圧とを区別しない場合には、「共通電圧」という用語を用いる。なお、共通電圧(共通電極の電圧)は、しばしば「Vcom」と呼ばれている。
【0003】
液晶表示装置に関し、近年、低消費電力化の要求が高まっている。低消費電力化を実現する駆動方式の1つとして、低周波駆動と呼ばれる駆動方式が知られている。低周波駆動によれば、液晶表示装置の駆動周波数が標準的な周波数の1/2、1/3などに低減される。従来の一般的な液晶表示装置の駆動周波数は60Hzであるので、低周波駆動が採用されると、駆動周波数は30Hz、20Hzなどに低減される。
【0004】
ところで、動作中に通常駆動と低周波駆動との切り替えが行われる液晶表示装置も存在する。通常駆動と低周波駆動とでは、駆動周波数が異なるため、リフレッシュ周期(液晶容量への映像信号の書き込みを行う周期)も異なる。このようなリフレッシュ周期の違いに起因して、フリッカが視認されることがある。これは、通常駆動時と低周波駆動時とではリーク電流が実効電圧に及ぼす影響の大きさが異なり、実効電圧の不均衡が生じるからである。
【0005】
そこで、特開2002-116739号公報には、実効電圧の不均衡に起因するフリッカの発生を抑制するためのオフセット電圧設定部を備えた液晶表示装置が開示されている。そのオフセット電圧設定部は、長さの異なるリフレッシュ期間毎に共通電圧のレベルを切り替える。これにより、正極性の実効電圧および負極性の実効電圧を定める基準となる共通電圧の値がリフレッシュ周期(リフレッシュ期間の長さ)に応じて適正に設定され、フリッカの発生が抑制される。
【0006】
しかしながら、上記のようなオフセット電圧設定部を備えていても、表示画像によっては例えばソースバスライン(映像信号線)と共通電極との間に形成される寄生容量などの存在に起因してパネル内共通電圧に変動が生じる。具体的には、出力共通電圧が図7で符号91を付した太点線で示すような駆動周波数毎の定電圧であっても、表示画像によっては、パネル内共通電圧は図7で符号92を付した実線で示すように変動する。パネル内共通電圧のこのような変動に起因して、クロストークと呼ばれる表示異常が発生することがある。これに関し、パネル内共通電圧の変動が生じても、パネル内共通電圧が各水平走査期間の終了時点までに目標とする定電圧に収束するのであれば、クロストークは生じない。一方、パネル内共通電圧が各水平走査期間の終了時点までに目標とする定電圧に収束しない場合には、クロストークが生じる。従って、クロストークは、特に、高解像度表示を行うために液晶の充電期間(1水平走査期間の長さ)が短い場合に発生しやすい。
【0007】
ここで、図8を参照しつつ、クロストークの一例について説明する。図8に示す表示部において、領域P1ではキラーパターンの表示が行われ、領域P2~P5では中間調の画像表示が行われるものと仮定する。このようなケースにおいて、領域P2と領域P3との境界、領域P2と領域P4との境界、領域P3と領域P5との境界、および領域P4と領域P5との境界が視認される。図8では、それらの境界を太点線で示している。
【0008】
上記のようなクロストークの発生を抑制するための「Vcomフィードバック回路」と呼ばれる回路を備えた液晶表示装置が、例えば特開2019-133019号公報に開示されている。図9に示すように、Vcomフィードバック回路900は、抵抗器901と抵抗器902とオペアンプ903とによって構成されている。抵抗器901と抵抗器902とオペアンプ903との接続関係より、Vcomフィードバック回路900は反転増幅器によって構成されていることが把握される。このような構成により、Vcomフィードバック回路900は、パネル内共通電圧を専用の配線によってフィードバックした電圧(以下、単に「フィードバック電圧」という。)VcomFBに基づいて基準電圧VREFに補正を施すことによって得られる電圧を出力共通電圧VcomOUTとして出力する。このようなVcomフィードバック回路900において、パネル内共通電圧が各水平走査期間の終了時点までに目標とする定電圧に収束するように、抵抗器901の抵抗値と抵抗器902の抵抗値との比が調整されている。これにより、パネル内共通電圧の変動が生じてもクロストークの発生が抑制される。
【0009】
なお、特開2001-147420には、全データ信号線の出力の総和に応じたカップリング信号に基づいて出力共通電圧を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002-116739号公報
【特許文献2】特開2019-133019号公報
【特許文献3】特開2001-147420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
Vcomフィードバック回路を備えた液晶表示装置において駆動周波数を60Hzとする通常駆動と駆動周波数を30Hzとする低周波駆動との切り替えを行う構成が採用されている場合、出力共通電圧の波形が図10で符号93を付した太点線で示すような波形であるときに、パネル内共通電圧は例えば図10で符号94を付した実線で示すように変動する。
【0012】
ところで、Vcomフィードバック回路900(図9参照)に関し、抵抗器901の抵抗値に対する抵抗器902の抵抗値の比を「補正強度」というと、補正強度の値が大きいほど、パネル内共通電圧の収束に要する時間は短くなるが、オペアンプ903での消費電力は大きくなる。従来のVcomフィードバック回路900においては補正強度は一定の値であるため、図10から把握されるように、通常駆動時(60Hz駆動期間)と低周波駆動時(30Hz駆動期間)とでパネル内共通電圧は同じように収束する。図10において符号95を付した部分に着目すると、クロストークの発生を抑制するためには時点taまでにパネル内共通電圧が収束すれば良いのであるが、図10に示す例では時点taよりもかなり早いタイミングである時点tbにパネル内共通電圧が収束している。これは、低周波駆動が行われている期間については、不必要に補正強度が大きく、無駄に電力を消費していることになる。しかるに、上述したように、近年、液晶表示装置に関して低消費電力化の要求が高まっている。
【0013】
そこで、以下の開示は、消費電力の増大を抑制しつつクロストークの発生を抑制することのできる液晶表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、
複数の映像信号線と、複数の走査信号線と、前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応して設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極に対して共通的に設けられた共通電極とを含む表示部と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記共通電極を駆動する共通電極駆動回路と
を備え、
前記共通電極駆動回路は、
反転入力端子と、前記共通電極に印加されるべき電圧である基準電圧が与えられる非反転入力端子と、前記共通電極に接続された出力端子とを有するオペアンプと、
一端に前記共通電極の電圧のフィードバック電圧が与えられ、他端が前記オペアンプの反転入力端子に接続された第1抵抗器と、
一端が前記オペアンプの反転入力端子に接続され、他端が前記オペアンプの出力端子に接続された第2抵抗器と、
前記第1抵抗器の抵抗値に対する前記第2抵抗器の抵抗値の比である抵抗比を1水平走査期間の長さに応じて調整する抵抗比調整回路と
を含み、
前記抵抗比調整回路は、前記第1抵抗器および前記第2抵抗器の少なくとも一方の抵抗値を制御することによって、1水平走査期間の長さを第1時間とする第1駆動が行われる時の前記抵抗比よりも1水平走査期間の長さを前記第1時間よりも長い第2時間とする第2駆動が行われる時の前記抵抗比を小さくする。
【0015】
(2)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
Nを1よりも大きい数として、前記第2時間が前記第1時間のN倍であれば、前記抵抗比調整回路は、前記第2駆動が行われる時の前記抵抗比を前記第1駆動が行われる時の前記抵抗比のN分の1とする。
【0016】
(3)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記第1抵抗器は、可変抵抗器であって、
前記抵抗比調整回路は、前記第1抵抗器の抵抗値を変化させることによって、前記抵抗比を調整する。
【0017】
(4)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記第2抵抗器は、可変抵抗器であって、
前記抵抗比調整回路は、前記第2抵抗器の抵抗値を変化させることによって、前記抵抗比を調整する。
【0018】
(5)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記第1抵抗器および前記第2抵抗器は、可変抵抗器であって、
前記抵抗比調整回路は、前記第1抵抗器の抵抗値および前記第2抵抗器の抵抗値を変化させることによって、前記抵抗比を調整する。
【0019】
(6)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)から上記(5)までのいずれかの構成を含み、
前記共通電極駆動回路は、さらに、前記第1駆動が行われる時と前記第2駆動が行われる時とで前記オペアンプの非反転入力端子に与えられる前記基準電圧の電圧値を異ならせる基準電圧変更回路を含む。
【0020】
(7)また、本発明のいくつかの実施形態による駆動方法は、液晶表示装置の駆動方法であって、
前記液晶表示装置は、
複数の映像信号線と、複数の走査信号線と、前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応して設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極に対して共通的に設けられた共通電極とを含む表示部と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記共通電極を駆動する共通電極駆動回路と、
を備え、
前記共通電極駆動回路は、
反転入力端子と、前記共通電極に印加されるべき電圧である基準電圧が与えられる非反転入力端子と、前記共通電極に接続された出力端子とを有するオペアンプと、
一端に前記共通電極の電圧のフィードバック電圧が与えられ、他端が前記オペアンプの反転入力端子に接続された第1抵抗器と、
一端が前記オペアンプの反転入力端子に接続され、他端が前記オペアンプの出力端子に接続された第2抵抗器と
を含み、
前記駆動方法は、前記第1抵抗器の抵抗値に対する前記第2抵抗器の抵抗値の比である抵抗比を1水平走査期間の長さに応じて調整する抵抗比調整ステップを含み、
前記抵抗比調整ステップでは、1水平走査期間の長さを第1時間とする第1駆動が行われる時の前記抵抗比よりも1水平走査期間の長さを前記第1時間よりも長い第2時間とする第2駆動が行われる時の前記抵抗比の方が小さくなるよう、前記第1抵抗器および前記第2抵抗器の少なくとも一方の抵抗値が制御される。
【発明の効果】
【0021】
本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置によれば、共通電極駆動回路は、オペアンプと第1抵抗器(この第1抵抗器の一端には共通電極の電圧のフィードバック電圧が与えられる)と第2抵抗器とからなる反転増幅器と、抵抗比(第1抵抗器の抵抗値に対する第2抵抗器の抵抗値の比)を1水平走査期間の長さに応じて調整する抵抗比調整回路とを含む。上記のような反転増幅器が設けられることにより、共通電極の電圧のフィードバック電圧に基づき基準電圧に補正を施すことによって得られる電圧が共通電極に供給されるので、第1抵抗器および第2抵抗器の抵抗値を適宜に設定することによりクロストークの発生を抑制することが可能となる。また、1水平走査期間の長さを第1時間とする第1駆動と1水平走査期間の長さを第1時間よりも長い第2時間とする第2駆動との間での切り替えが行われる場合に関し、抵抗比調整回路は、第2駆動が行われる時の抵抗比を第1駆動が行われる時の抵抗比よりも小さくする。これにより、第2駆動が行われている期間におけるオペアンプでの消費電力が低減される。以上より、消費電力の増大を抑制しつつクロストークの発生を抑制することのできる液晶表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態における共通電極ドライバの構成を示す回路図である。
図2】上記実施形態において、液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図3】上記実施形態において、液晶表示装置の基板の構成について説明するための図である。
図4】上記実施形態において、液晶パネルの構成を示す概略図である。
図5】上記実施形態において、パネル内共通電圧の変動について説明するための波形図である。
図6】上記実施形態の効果について説明するための図である。
図7】従来技術に関し、パネル内共通電圧の変動について説明するための波形図である。
図8】従来技術で生じるクロストークについて説明するための図である。
図9】従来技術に関し、Vcomフィードバック回路の構成を示す回路図である。
図10】従来技術において通常駆動時と低周波駆動時とでパネル内共通電圧が同じように収束することについて説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、一実施形態について説明する。
【0024】
<1.全体構成および動作概要>
図2は、一実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、タイミングコントローラ100とゲートドライバ(走査信号線駆動回路)200とソースドライバ(映像信号線駆動回路)300と共通電極ドライバ(共通電極駆動回路)400と表示部500とを備えている。なお、図2は機能的な構成を示す図であるので、構成要素間の位置関係などについては実際とは異なっている。
【0025】
表示部500には、複数本のソースバスライン(映像信号線)SLと複数本のゲートバスライン(走査信号線)GLとが配設されている。それら複数本のソースバスラインSLと複数本のゲートバスラインGLとの各交差点に対応して、画素を形成する画素形成部5が設けられている。すなわち、表示部500には、複数個の画素形成部5が含まれている。各画素形成部5には、対応する交差点を通過するゲートバスラインGLに制御端子が接続されると共に当該交差点を通過するソースバスラインSLに第1導通端子が接続されたスイッチング素子である薄膜トランジスタ(画素TFT)50と、その薄膜トランジスタ50の第2導通端子に接続された画素電極51と、上記複数個の画素形成部5に共通的に設けられた共通電極54および補助容量電極55(換言すれば、複数個の画素電極51に対して共通的に設けられた共通電極54および補助容量電極55)と、画素電極51と共通電極54とによって形成される液晶容量52と、画素電極51と補助容量電極55とによって形成される補助容量53とが含まれている。液晶容量52と補助容量53とによって画素容量56が構成されている。なお、図2には、1つの画素形成部5のみを示している。
【0026】
図3は、液晶表示装置の基板の構成について説明するための図である。但し、ここで示す構成は一例であって、これには限定されない。この液晶表示装置は、表示部500を含む液晶パネル610と、駆動基板としてのPCBA(PCBアセンブリ)620と、FPC(フレキシブルプリント基板)630とによって構成されている。液晶パネル610は、画素電極51を含みTFTアレイが形成されたTFTアレイ基板617と、共通電極54やカラーフィルタなどが形成された対向基板618と、TFTアレイ基板617と対向基板618とによって挟持される液晶層619とによって構成されている(図4参照)。なお、図4では、偏光板の図示を省略している。
【0027】
液晶パネル610を構成するTFTアレイ基板617上の額縁領域には、ソースドライバ300がICチップの形態で設けられている。なお、ゲートドライバ200は、TFTアレイ基板617上にモノリシックに形成されている。FPC630上には、タイミングコントローラ100から液晶パネル610へと各種信号を伝達するための配線などが形成されている。PCBA620には、タイミングコントローラ100と共通電極ドライバ400とが設けられている。共通電極ドライバ400には、タイミングコントローラ100から共通電圧制御信号VCTLが与えられる。これに関し、タイミングコントローラ100と共通電極ドライバ400との間の通信インタフェースには、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)通信が採用される。
【0028】
本実施形態においては、共通電極54は平面状の1つの電極であって、当該1つの電極上の一点と共通電極ドライバ400とを接続する専用の配線によって、パネル内共通電圧(液晶パネル610内の共通電極54の電圧)がフィードバック電圧VcomFBとして共通電極ドライバ400に与えられる。
【0029】
なお、液晶のモードにIPSモードが採用される場合には、画素電極51と共通電極54とが同じ基板上に形成される。このような場合についても、本発明を適用することができる。
【0030】
次に、図2に示す構成要素の動作について説明する。タイミングコントローラ100は、ゲートドライバ200、ソースドライバ300、および共通電極ドライバ400の動作を制御する。詳しくは、タイミングコントローラ100は、外部から送られる画像データDATおよびタイミング信号群(水平同期信号や垂直同期信号など)TGを受け取り、デジタル映像信号DVと、ゲートドライバ200の動作を制御するゲート制御信号GCTLと、ソースドライバ300の動作を制御するソース制御信号SCTLと、共通電極ドライバ400の動作を制御する共通電圧制御信号VCTLとを出力する。ゲート制御信号GCTLには、ゲートスタートパルス信号,ゲートクロック信号などが含まれている。ソース制御信号SCTLには、ソーススタートパルス信号,ソースクロック信号,ラッチストローブ信号などが含まれている。共通電圧制御信号VCTLには、後述するスイッチ制御信号SWCTLおよび後述する抵抗値制御信号SRが含まれている。
【0031】
ゲートドライバ200は、タイミングコントローラ100から送られるゲート制御信号GCTLに基づいて、アクティブな走査信号の各ゲートバスラインGLへの印加を1垂直走査期間を周期として繰り返す。
【0032】
ソースドライバ300は、タイミングコントローラ100から送られるデジタル映像信号DVとソース制御信号SCTLとに基づいて、各ソースバスラインSLに駆動用映像信号を印加する。このとき、ソースドライバ300では、ソースクロック信号のパルスが発生するタイミングで、各ソースバスラインSLに印加すべき電圧を示すデジタル映像信号DVが順次に保持される。そして、ラッチストローブ信号のパルスが発生するタイミングで、上記保持されたデジタル映像信号DVがアナログ電圧に変換される。その変換されたアナログ電圧は、駆動用映像信号として全てのソースバスラインSLに一斉に印加される。
【0033】
共通電極ドライバ400は、共通電圧生成の基準となる電圧である基準電圧VREFとタイミングコントローラ100から送られる共通電圧制御信号VCTLと上述したフィードバック電圧VcomFBとを受け取り、基準電圧VREFに対して適宜に補正を施すことによって得られた電圧を出力共通電圧VcomOUTとして出力する。その出力共通電圧VcomOUTが共通電極54に印加される。
【0034】
以上のようにして、共通電極54に共通電圧が印加されている状態で、ゲートバスラインGLに走査信号が印加され、ソースバスラインSLに駆動用映像信号が印加されることにより、外部から送られた画像データDATに基づく画像が表示部500に表示される。
【0035】
<2.共通電極ドライバの構成>
図1を参照しつつ、本実施形態における共通電極ドライバ400の構成について説明する。図1に示すように、本実施形態における共通電極ドライバ400は、オフセット電圧設定回路410とVcomフィードバック回路420とを含んでいる。なお、本実施形態に係る液晶表示装置については駆動周波数を60Hzとする通常駆動と駆動周波数を30Hzとする低周波駆動との切り替えを行う構成が採用されているものと仮定する。但し、これには限定されない。
【0036】
オフセット電圧設定回路410は、抵抗器411と抵抗器412と切替スイッチ413とによって構成されている。抵抗器411については、一端には基準電圧VREFが与えられ、他端は接地されている。抵抗器412についても、一端には基準電圧VREFが与えられ、他端は接地されている。抵抗器411および抵抗器412は、可変抵抗器である。抵抗器411のタップからは第1基準電圧VREF1が取り出され、抵抗器412のタップからは第2基準電圧VREF2が取り出される。切替スイッチ413には、第1基準電圧VREF1が与えられる第1入力端子4131と、第2基準電圧VREF2が与えられる第2入力端子4132と、Vcomフィードバック回路420内のオペアンプ423の非反転入力端子に接続された出力端子4133とが含まれている。切替スイッチ413については、タイミングコントローラ100から送られるスイッチ制御信号SWCTLに基づいて、出力端子4133の接続先が第1入力端子4131と第2入力端子4132との間で切り替えられる。なお、このオフセット電圧設定回路410によって基準電圧変更回路が実現されている。
【0037】
本実施形態においては、第1基準電圧VREF1の電圧値は第2基準電圧VREF2の電圧値よりも高く、通常駆動時には出力端子4133が第1入力端子4131に接続され、低周波駆動には出力端子4133が第2入力端子4132に接続されると仮定する。すなわち、Vcomフィードバック回路420内のオペアンプ423の非反転入力端子には、低周波駆動時よりも通常駆動時の方が高い電圧が与えられる。但し、これには限定されない。
【0038】
Vcomフィードバック回路420は、抵抗器421と抵抗器422とオペアンプ423と抵抗比調整回路424とによって構成されている。なお、抵抗器421によって第1抵抗器が実現され、抵抗器422によって第2抵抗器が実現される。抵抗器421については、一端にはフィードバック電圧VcomFBが与えられ、他端はオペアンプ423の反転入力端子と抵抗器422の一端とに接続されている。抵抗器422については、一端は抵抗器421の他端とオペアンプ423の反転入力端子とに接続され、他端はオペアンプ423の出力端子と共通電極54とに接続されている。オペアンプ423については、反転入力端子は抵抗器421の他端と抵抗器422の一端とに接続され、非反転入力端子は切替スイッチ413の出力端子4133に接続され、出力端子は抵抗器422の他端と共通電極54とに接続されている。抵抗比調整回路424は、タイミングコントローラ100から送られる抵抗値制御信号SRに基づいて抵抗器421および抵抗器422の少なくとも一方の抵抗値を制御することによって、抵抗比(抵抗器421の抵抗値に対する抵抗器422の抵抗値の比)を調整する。なお、タイミングコントローラ100から共通電極ドライバ400には、1水平走査期間の長さに応じて抵抗比が調整されるように抵抗値制御信号SRが送信される。
【0039】
共通電極54に印加されるべき電圧(本実施形態では、第1基準電圧VREF1または第2基準電圧VREF2)であってオペアンプ423の非反転入力端子に与えられる電圧を「目標電圧」というと、図1から把握されるように抵抗器421と抵抗器422とオペアンプ423とによって反転増幅器が構成されているので、フィードバック電圧VcomFBが目標電圧よりも高ければ、目標電圧よりも低い電圧が出力共通電圧VcomOUTとしてオペアンプ423の出力端子から出力され、フィードバック電圧VcomFBが目標電圧よりも低ければ、目標電圧よりも高い電圧が出力共通電圧VcomOUTとしてオペアンプ423の出力端子から出力される。このように目標電圧に補正を施すことによって得られた電圧を共通電極54に供給することによって、変動している状態のパネル内共通電圧が目標電圧へと徐々に収束する。その際の目標電圧に対する補正の程度が抵抗比に依存する。換言すれば、変動している状態のパネル内共通電圧が目標電圧に収束するのに要する時間が抵抗比に依存する。なお、抵抗比は1水平走査期間の長さに応じて調整されるが、これについての詳しい説明は後述する。
【0040】
上述したように、抵抗比調整回路424は、抵抗器421および抵抗器422の少なくとも一方の抵抗値を制御する。すなわち、抵抗器421が可変抵抗器であって抵抗比調整回路424が抵抗値制御信号SRに基づき抵抗器421の抵抗値を変化させることによって抵抗比を調整するという構成を採用しても良いし、抵抗器422が可変抵抗器であって抵抗比調整回路424が抵抗値制御信号SRに基づき抵抗器422の抵抗値を変化させることによって抵抗比を調整するという構成を採用しても良いし、抵抗器421および抵抗器422が可変抵抗器であって抵抗比調整回路424が抵抗値制御信号SRに基づき抵抗器421および抵抗器422の抵抗値を変化させることによって抵抗比を調整するという構成を採用しても良い。
【0041】
<3.抵抗比の調整>
次に、抵抗比(抵抗器421の抵抗値に対する抵抗器422の抵抗値の比)の調整について説明する。本実施形態においては、1水平走査期間の長さが長いほど抵抗比は小さくなるように抵抗比の調整が行われる。より詳しくは、抵抗比が1水平走査期間の長さに反比例するように抵抗比の調整が行われる。ここで、1水平走査期間の長さがT1である場合の好適な抵抗比をK1で表す。そうすると、1水平走査期間の長さがT2である場合の抵抗比は、K1×(T1/T2)となる。なお、Vcomフィードバック回路420内でこのように抵抗比の調整が行われるように、タイミングコントローラ100から共通電極ドライバ400に抵抗値制御信号SRが送信される。
【0042】
より具体的な例について説明する。なお、抵抗器421の抵抗値をRaで表し、抵抗器422の抵抗値をRbで表す。上述したように、本実施形態においては、駆動周波数を60Hzとする通常駆動と駆動周波数を30Hzとする低周波駆動との間での切り替えが行われる。また、FHD(フルハイビジョン)の液晶パネルが採用されていて(すなわち、1080水平走査期間の長さに相当する有効表示期間が設けられていて)、かつ、各フレームにつき31水平走査期間の長さに相当する帰線期間が設けられるものと仮定する。
【0043】
通常駆動時において、抵抗値Raが2kΩかつ抵抗値Rbが6kΩであるときに好適な動作が行われるものと仮定する。そうすると、通常駆動時における抵抗比は3である。ここで、通常駆動時における抵抗比を上記K1に割り当て、通常駆動時における1水平走査期間の長さを上記T1に割り当て、低周波駆動時における1水平走査期間の長さを上記T2に割り当てる。期間の長さを表す単位にμ秒を用いると、通常駆動時における1水平走査期間の長さT1は次式(1)に示すように15μ秒であり、低周波駆動時における1水平走査期間の長さT2は次式(2)に示すように30μ秒である。
T1=1000000/(60×(1080+31))
=15 ・・・(1)
T2=1000000/(30×(1080+31))
=30 ・・・(2)
【0044】
以上のように、通常駆動時における抵抗比K1は3であり、通常駆動時における1水平走査期間の長さT1は15μ秒であり、低周波駆動時における1水平走査期間の長さT2は30μ秒である。このとき、低周波駆動時における抵抗比K2は次式(3)に示すように1.5となる。
K2=K1×(T1/T2)
=3×(15/30)
=1.5 ・・・(3)
【0045】
以上より、低周波駆動時には、抵抗比が1.5となるように、抵抗値Raおよび抵抗値Rbの少なくとも一方が通常駆動時とは異なる値へと変更される。一例を挙げると、抵抗値Raは2kΩで維持され、抵抗値Rbが6kΩから3kΩへと変更される。この場合、低周波駆動から通常駆動へと切り替えられる際に、抵抗値Rbが3kΩから6kΩへと変更される。
【0046】
抵抗比の調整が上記のように行われることにより、低周波駆動時には通常駆動時に比べてパネル内共通電圧の収束に要する時間が長くなる。例えば、出力共通電圧VcomOUTの波形が図5で符号71を付した太点線で示すような波形であるときに、パネル内共通電圧の波形は図5で符号72を付した実線で示すような波形となる。なお、図5より、通常駆動時(60Hz駆動期間)においても低周波駆動時(30Hz駆動期間)においても水平走査期間の終了時点までにパネル内共通電圧は目標電圧に収束していることが把握される。従って、クロストークの発生が抑制されている。
【0047】
<4.効果>
本実施形態によれば、共通電極ドライバ400は、共通電極54に印加されるべき電圧である目標電圧(反転増幅器を構成するオペアンプ423の非反転入力端子に与える電圧)に対してフィードバック電圧(パネル内共通電圧を専用の配線によってフィードバックした電圧)VcomFBに基づいて補正を施すことによって得られる電圧を出力共通電圧VcomOUTとして出力するVcomフィードバック回路420を含んでいる。そのVcomフィードバック回路420は、反転増幅器を構成する2つの抵抗器421,422の抵抗比(抵抗器421の抵抗値に対する抵抗器422の抵抗値の比)を1水平走査期間の長さに応じて調整する抵抗比調整回路424が設けられている。そして、抵抗比調整回路424は、抵抗器421および抵抗器422の少なくとも一方の抵抗値を制御することにより、低周波駆動時における抵抗比を通常駆動時における抵抗比よりも小さくする。その結果、低周波駆動時には通常駆動時に比べて目標電圧に対する補正の程度(補正強度)が小さくなり、低周波駆動時には通常駆動時に比べてパネル内共通電圧が緩やかに目標電圧に収束する。これにより、低周波駆動時に関し、従来技術において図6で符号81を付した実線で示すように変化していたパネル内共通電圧の波形が、本実施形態では図6で符号82を付した実線で示すような波形となる。従来技術においてはパネル内共通電圧の収束に時間Taを要しているのに対して、本実施形態においてはパネル内共通電圧の収束に時間Tbを要している。目標電圧に対する補正の程度(補正強度)が小さいほどパネル内共通電圧の収束に要する時間は長くなるがオペアンプ423での消費電力は小さくなるので、図6より、本実施形態によれば従来技術に比べて消費電力が小さくなることが把握される。また、抵抗器421および抵抗器422の抵抗値が適宜に設定されていれば、通常駆動時においても低周波駆動時においてもパネル内共通電圧が水平走査期間の終了時点までに目標電圧に収束するので、クロストークの発生が抑制される。以上のように、本実施形態によれば、消費電力の増大を抑制しつつクロストークの発生を抑制することのできる液晶表示装置が実現される。
【0048】
また、本実施形態によれば、共通電極ドライバ400は、目標電圧を第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2との間で切り替えるためのオフセット電圧設定回路410を含んでいる。これにより、リフレッシュ周期に応じて目標電圧が適正に設定され、実効電圧の不均衡に起因するフリッカの発生が抑制される。
【0049】
<5.その他>
上記実施形態では駆動周波数を60Hzとする通常駆動と駆動周波数を30Hzとする低周波駆動との間での切り替えが行われる場合を例に挙げて説明したが、駆動周波数の具体的な数値については特に限定されない。また、1水平走査期間の長さの具体的な数値についても特に限定されない。それらの具体的な数値に関わらず、抵抗比調整回路424は、抵抗器421の抵抗値Raに対する抵抗器422の抵抗値Rbの比である抵抗比を1水平走査期間の長さに応じて調整すれば良い。また、1水平走査期間の長さを第1時間とする第1駆動と1水平走査期間の長さを第1時間よりも長い第2時間とする第2駆動との間での切り替えが行われる場合に関し、抵抗比調整回路424は、第2駆動が行われる時の抵抗比を第1駆動が行われる時の抵抗比よりも小さくすれば良い。これに関し、Nを1よりも大きい数として、第2時間が第1時間のN倍であれば、抵抗比調整回路424は、第2駆動が行われる時の抵抗比を第1駆動が行われる時の抵抗比のN分の1とするのが好ましい。このように1水平走査期間の長さに反比例するように抵抗比を調整することによって、より効果的に、消費電力の増大を抑制しつつクロストークの発生を抑制することが可能となる。
【0050】
また、上記実施形態では2種類の駆動周波数(60Hzと30Hz)の間での切り替えが行われているが、これには限定されず、3種類以上の駆動周波数の間での切り替えが行われる場合にも本発明を適用することができる。換言すれば、1水平走査期間の長さが異なる3種類以上の駆動態様の間での切り替えが行われる場合にも本発明を適用することができる。
【0051】
以上において本発明を詳細に説明したが、以上の説明は全ての面で例示的なものであって制限的なものではない。多数の他の変更や変形が本発明の範囲を逸脱することなく案出可能であると了解される。
【符号の説明】
【0052】
51…画素電極
54…共通電極
100…タイミングコントローラ
400…共通電極ドライバ
410…オフセット電圧設定回路
420…Vcomフィードバック回路
421,422…(Vcomフィードバック回路内の)抵抗器
423…オペアンプ
424…抵抗比調整回路
500…表示部
610…液晶パネル
SR…抵抗値制御信号
VcomOUT…出力共通電圧
VcomFB…フィードバック電圧
VCTL…共通電圧制御信号
VREF…基準電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10