(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170029
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A01D41/12 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081463
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山中 拓希
(72)【発明者】
【氏名】松下 博昭
【テーマコード(参考)】
2B074
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA04
2B074CD05
2B074DF03
2B074DF08
(57)【要約】
【課題】エンジンとラジエータとの間に冷却ファンとファンシュラウドとが設けられた収穫機において、冷却ファンのメンテナンス作業を行い易くする。
【解決手段】ファンシュラウドは、冷却ファン27が位置するファン開口31の機体前後方向一方側部分31rを形成する第1縁部37aを含む第1分割ファンシュラウド30Aと、ファン開口31の機体前後方向他方側部分31fを形成する第2縁部37bを含む第2分割ファンシュラウド30Bと、に分割されている。第1分割ファンシュラウド30Aは、樹脂製であり、第2分割ファンシュラウド30Bは、板金製である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンよりも機体横外側に設けられたエンジ冷却用のラジエータと、前記エンジンと前記ラジエータとの間に回転可能に設けられ、前記ラジエータに冷却風を導入する冷却ファンと、前記エンジンと前記ラジエータとの間に設けられ、前記冷却ファンが位置する円形形状のファン開口を有するファンシュラウドと、を有する原動部が備えられ、
前記ファンシュラウドは、前記ファン開口の機体前後方向一方側部分を形成する第1縁部を含む第1分割ファンシュラウドと、前記ファン開口の機体前後方向他方側部分を形成する第2縁部を含む第2分割ファンシュラウドと、に分割され、
前記第1分割ファンシュラウドは、樹脂製であり、
前記第2分割ファンシュラウドは、板金製である収穫機。
【請求項2】
前記第1分割ファンシュラウドに、前記冷却ファンの回転軸芯に沿う方向視において前記回転軸芯を中心とする放射状に並ぶ複数のリブが備えられている請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記冷却ファンの回転軸芯に沿う方向視における前記第1分割ファンシュラウドの面積が前記回転軸芯に沿う方向視における前記第2分割ファンシュラウドの面積よりも大きい請求項1に記載の収穫機。
【請求項4】
前記第1分割ファンシュラウドが前記ラジエータに支持され、
前記第2分割ファンシュラウドが前記第1分割ファンシュラウドに支持されている請求項1に記載の収穫機。
【請求項5】
前記ファンシュラウドは、前記冷却ファンの回転軸芯に沿う方向視において四角形形状に形成され、
前記第1分割ファンシュラウドは、前記第1縁部と、前記第1縁部の上端部から水平方向に沿って前記ファンシュラウドにおける機体前後方向他方側の縁部まで延びる第1上辺部と、前記第1縁部の下端部から水平方向に沿って前記ファンシュラウドにおける機体前後方向他方側の縁部まで延びる第1下辺部と、を含むとともに、前記四角形状の角部を含むU字形状に形成され、
前記第2分割ファンシュラウドは、前記第2縁部と、前記第1上辺部と相対する第2上辺部と、前記第1下辺部と相対する第2下辺部と、を含み、
前記第1分割ファンシュラウドにおける前記第1上辺部と前記第1下辺部との間の領域を前記第2分割ファンシュラウドによって埋めることで、前記第1縁部と前記第2縁部とによって前記ファン開口が構成される請求項1から4のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項6】
運転部と、圃場に植立する作物を収穫する収穫部と、前記収穫部によって収穫された作物を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部によって得られた脱穀粒を貯留する貯留部と、が備えられ、
前記運転部の下部に前記原動部が設けられ、
前記貯留部は、前記運転部の後方に設けられ、かつ、前記貯留部の後部に機体上下方向に沿う状態で設けられた縦軸芯を揺動支点にして、前記運転部の後方に位置する作業用の閉じ位置と走行機体の横外側に張り出すメンテナンス用の開き位置とに亘って揺動可能に支持され、
前記第1縁部が、前記ファン開口の機体前後方向後側部分を形成し、かつ、前記第2縁部が、前記ファン開口の機体前後方向前側部分を形成するように構成され、
前記第1分割ファンシュラウドは、前記貯留部を前記開き位置にした状態において、機体後方に向けて抜き出し可能である請求項1から4のいずれか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを有する原動部が備えられた収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した収穫機には、特許文献1に示される収穫機(コンバイン)のように、原動部は、エンジンよりも機体横外側に設けられたエンジ冷却用のラジエータと、エンジンとラジエータとの間に回転可能に設けられ、ラジエータに冷却風を導入する冷却ファンと、エンジンとラジエータとの間に設けられ、冷却ファンが位置するファン開口を有するファンシュラウドとを有するもがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した収穫機において、冷却ファンの清掃などのメンテンス作業を行う際、ファンシュラウドが取り扱いくいものであると、ファンシュラウドを取り除き難いなど、メンテンス作業に掛かる手間が多くなる。
【0005】
本発明は、冷却ファンのメンテナンス作業を行い易い収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による収穫機は、
エンジンと、前記エンジンよりも機体横外側に設けられたエンジ冷却用のラジエータと、前記エンジンと前記ラジエータとの間に回転可能に設けられ、前記ラジエータに冷却風を導入する冷却ファンと、前記エンジンと前記ラジエータとの間に設けられ、前記冷却ファンが位置する円形形状のファン開口を有するファンシュラウドと、を有する原動部が備えられ、前記ファンシュラウドは、前記ファン開口の機体前後方向一方側部分を形成する第1縁部を含む第1分割ファンシュラウドと、前記ファン開口の機体前後方向他方側部分を形成する第2縁部を含む第2分割ファンシュラウドと、に分割され、前記第1分割ファンシュラウドは、樹脂製であり、前記第2分割ファンシュラウドは、板金製である。
【0007】
本構成によると、ファンシュラウドを板金製の第2分割ファンシュラウドによって熱変形など変形し難くしながら、ファンシュラウドを樹脂製の第1分割ファンシュラウドによって取り扱い易いように軽くできるので、冷却ファンを清掃するのにファンシュラウドを取り除き易くて冷却ファンのメンテナンス作業を行い易い。
【0008】
本発明においては、
前記第1分割ファンシュラウドに、前記冷却ファンの回転軸芯に沿う方向視において前記回転軸芯を中心とする放射状に並ぶ複数のリブが備えられていると好適である。
【0009】
本構成によると、第1分割ファンシュラウドが複数のリブによって補強されて熱変形など変形し難くなるので、ファンシュラウドに剛性を備えさせることができる。
【0010】
本発明においては、
前記冷却ファンの回転軸芯に沿う方向視における前記第1分割ファンシュラウドの面積が前記回転軸芯に沿う方向視における前記第2分割ファンシュラウドの面積よりも大きいと好適である。
【0011】
本構成によると、ファンシュラウドの樹脂製の部分の面積が板金製の部分の面積よりも広いので、ファンシュラウドがより軽くなり、ファンシュラウドを取り扱い易い。
【0012】
本発明においては、
前記第1分割ファンシュラウドが前記ラジエータに支持され、前記第2分割ファンシュラウドが前記第1分割ファンシュラウドに支持されていると好適である。
【0013】
本構成によると、第1分割ファンシュラウドがラジエータに支持されたままにしながら、第2分割ファンシュラウドを取り外すことができるので、第1分割ファンシュラウドを外れないように保持する手間を掛けずに楽に第2分割ファンシュラウドを取り外すことができる。
【0014】
本発明においては、
前記ファンシュラウドは、前記冷却ファンの回転軸芯に沿う方向視において四角形形状に形成され、前記第1分割ファンシュラウドは、前記第1縁部と、前記第1縁部の上端部から水平方向に沿って前記ファンシュラウドにおける機体前後方向他方側の縁部まで延びる第1上辺部と、前記第1縁部の下端部から水平方向に沿って前記ファンシュラウドにおける機体前後方向他方側の縁部まで延びる第1下辺部と、を含むとともに、前記四角形状の角部を含むU字形状に形成され、前記第2分割ファンシュラウドは、前記第2縁部と、前記第1上辺部と相対する第2上辺部と、前記第1下辺部と相対する第2下辺部と、を含み、前記第1分割ファンシュラウドにおける前記第1上辺部と前記第1下辺部との間の領域を前記第2分割ファンシュラウドによって埋めることで、前記第1縁部と前記第2縁部とによって前記ファン開口が構成されると好適である。
【0015】
本構成によると、第1分割ファンシュラウドの第1上辺部と第1下辺部との間の領域に第2分割ファンシュラウドを埋めることにより、第1分割ファンシュラウドと第2分割ファンシュラウドとを組み合わせてファンシュラウドを構成できるので、ファンシュラウドを組み立て易い。
【0016】
本発明においては、
運転部と、圃場に植立する作物を収穫する収穫部と、前記収穫部によって収穫された作物を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部によって得られた脱穀粒を貯留する貯留部と、が備えられ、前記運転部の下部に前記原動部が設けられ、前記貯留部は、前記運転部の後方に設けられ、かつ、前記貯留部の後部に機体上下方向に沿う状態で設けられた縦軸芯を揺動支点にして、前記運転部の後方に位置する作業用の閉じ位置と走行機体の横外側に張り出すメンテナンス用の開き位置とに亘って揺動可能に支持され、前記第1縁部が、前記ファン開口の機体前後方向後側部分を形成し、かつ、前記第2縁部が、前記ファン開口の機体前後方向前側部分を形成するように構成され、前記第1分割ファンシュラウドは、前記貯留部を前記開き位置にした状態において、機体後方に向けて抜き出し可能であると好適である。
【0017】
本構成によると、貯留部を開き位置にして運転部の後方に作業スペースを確保し、この作業スペースに第1分割ファンシュラウドを原動部から抜き出すことができるので、さらには、第1分割ファンシュラウドが樹脂製であって軽いので、第1分割ファンシュラウドを原動部から抜き出し易い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】普通型コンバインの全体を示す側面図である。
【
図2】普通型コンバインの全体を示す平面図である。
【
図5】ラジエータ、ファンシュラウドおよび冷却ファンを示す平面図である。
【
図6】ラジエータ、ファンシュラウドおよび冷却ファンを示す背面図である。
【
図7】ラジエータ側とは反対側から見たファンシュラウドを示す側面図である。
【
図8】第1分割ファンシュラウドと第2分割ファンシュラウドとが分離した状態のファンシュラウドを示す側面図である。
【
図9】第1の別実施形態のファンシュラウドを示す側面図である。
【
図10】第2の別実施形態のファンシュラウドを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る収穫機の一例である普通型コンバインの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
〔全体構成〕
図1及び
図2に、稲や麦などの作物を収穫対象とする普通型コンバインが示されている。このコンバインは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を装備した走行機体Vの前部に、収穫対象の作物としての植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する収穫搬送部3を昇降揺動可能に連結している。そして、走行機体Vは、機体フレーム1上に、収穫搬送部3から搬送される作物としての刈取穀稈を扱き処理するとともに、その扱き処理で得られた脱穀処理物を穀粒と排ワラとに選別する脱穀部4、脱穀部4にて得られた穀粒を貯留する貯留部としての穀粒タンク5、穀粒タンク5に貯留される穀粒を機外に排出するための穀粒排出装置6、操縦者が搭乗して運転操作を行う運転部7等を備えている。このコンバインは、植立穀稈の株元を切断して刈り取り、刈り取った刈取穀稈の全部を脱穀部4に投入する全稈投入型に構成されている。
【0021】
運転部7は機体前部右側に位置しており、運転部7の後方に穀粒タンク5が備えられている。さらに、脱穀部4が左側に位置し、穀粒タンク5が右側に位置する状態で、脱穀部4と穀粒タンク5とが左右方向に並ぶ状態で備えられている。そして、運転部7の下部には、駆動用のエンジン21を有する原動部20が設けられている。
【0022】
この実施形態で、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、
図1,2に符号(F)で示す方向が機体前側、
図1,2に符号(B)で示す方向が機体後側である。
図2に符号(L)で示す方向が機体左側、
図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。従って、機体左右方向が機体横幅方向に対応する。
【0023】
収穫搬送部3は、機体走行に伴って、植立穀稈を刈り取る収穫部9と、収穫部9にて刈り取られた刈取穀稈を機体後部側の脱穀部4に向けて搬送するフィーダ10とを備え、機体フレーム1とフィーダ10とにわたって架設した刈取昇降用の油圧シリンダ(図示せず)が伸縮作動することで、フィーダ10の後端部に位置する横軸芯周りで昇降揺動自在に支持されている。
【0024】
収穫部9は、収穫部9全体を支持する枠体としての刈取フレーム12と、刈取対象となる植立穀稈と非刈取対象の植立穀稈とを分草する左右一対のデバイダ13と、収穫対象の植立穀稈を後方に向けて掻き込む回転リール14と、収穫対象の植立穀稈の株元側を切断して刈り取るバリカン形の刈刃15と、切断後の刈取穀稈を左右方向の中間側に横送りして寄せ集めて後方に向けて送り出すオーガ16とを備えている。
【0025】
穀粒タンク5は、穀粒タンク5の後部に備えられた接続ケース17を介して機体フレーム1に支持されている。接続ケース17には、穀粒排出装置6が接続されている。接続ケース17は、穀粒排出装置6の縦スクリュー搬送部6aにおけるスクリュー軸芯と同一の軸芯上に位置し、機体上下方向に沿った縦軸芯Yを揺動支点にして揺動可能な状態で機体フレーム1に支持されている。穀粒タンク5は、縦軸芯Yを揺動支点して運転部7の後方に機体前後方向に沿って位置する作業用の閉じ位置と、走行機体の横外側に張り出すメンテナンス用の開き位置とにわたって揺動可能な状態で機体フレーム1に支持されている。
【0026】
〔原動部〕
図1,2に示されるように、原動部20は、運転部7の下部に設けられている。
図3,4に示されるように、原動部20は、運転座席8が取付けられた座席支持台22よって形成されるエンジンルーム23を備えている。座席支持台22は、運転座席8が取り付けられた天板部22aと、天板部22aの前部から下向きに延びエンジン21を前方から覆う前壁部(図示せず)と、を有している。
【0027】
図1,2,3,4に示されるように、エンジンルーム23に、エンジン21が設けられている。エンジン21は、クランク軸(図示せず)が機体横幅方向に沿う状態で設けられている。エンジン21よりも機体横外側にエンジン冷却用のラジエータ25が設けられている。ラジエータ25は、機体フレーム1に立設された支持枠26に支持されている。ラジエータ25とエンジン21との間に、冷却ファン27、および、ファンシュラウド30が設けられている。ファンシュラウド30は、ラジエータ25に支持されている。ラジエータ25に対してエンジン21が位置する側とは反対側の箇所に、エンジン21に供給される燃焼用空気の冷却を行うインタークーラ28および、空調用のコンデンサアッシ(図示せず)が設けられている。ラジエータ25よりも機体横外側に防塵ケース29が設けられている。なお、
図1では、ラジェータ25を、
図3では、冷却ファン27を、便宜上、削除している。
【0028】
図3,4,5,6に示されるように、冷却ファン27は、ファンシュラウド30に備えられたファン開口31(
図7参照)に位置する状態でエンジン21の支持部21aに回転可能に支持されている。冷却ファン27は、冷却ファン27のプーリ部とエンジン21の出力プーリ21bとに巻回された無端回動ベルト21cを介してエンジン21によって駆動され、エンジンルーム23の外気を防塵ケース29に備えられた上下3段の除塵部材付きの吸気開口部29a(
図1参照)を介してエンジンルーム23の内部に吸引して冷却風を発生させ、発生した冷却風をラジエータ25に導入するように構成されている。
【0029】
防塵ケース29は、防塵ケース29の後部に備えられたヒンジ部29b(
図1,3参照)を介して支持枠26に支持されている。防塵ケース29は、ヒンジ部29bの機体上下方向に沿う開閉軸芯を揺動支点してエンジンルーム23を機体横外側から覆う閉じ状態と、エンジンルーム23の覆いを解除する開き状態とに亘って揺動可能な状態で支持枠26に支持されている。
【0030】
〔ファンシュラウド〕
ファンシュラウド30は、
図3,4,5,6に示されるように、冷却ファン27が位置する円形形状のファン開口31(
図7参照)を有する状態でエンジン21とラジエータ25との間に設けられ、ラジエータ25に支持されるように構成されている。
【0031】
図7,8に示されるように、ファンシュラウド30のファン開口31を形成する縁部37は、ファン開口31の機体後方側部分31rを形成する第1縁部37aと、ファン開口31の機体前方側部分31fを形成する第2縁部37bとに分割されている。ファンシュラウド30は、第1縁部37aを含む第1分割ファンシュラウド30Aと、第2縁部37bを含む第2分割ファンシュラウド30Bと、に分割されている。第1分割ファンシュラウド30Aは、樹脂材を成形することによって作製されており、いわゆる樹脂製である。第2分割ファンシュラウド30Bは、板金を成形することによって作製されており、いわゆる板金製である。ファンシュラウド30には、熱などによる変形が生じ難い性状が板金製の第2分割ファンシュラウド30Bによって備えられ、重さが軽い性状が樹脂製の第1分割ファンシュラウド30Aによって備えられる。
【0032】
図7,8に示されるように、第1分割ファンシュラウド30Aに、冷却ファン27の回転軸芯Zに沿う方向視において回転軸芯Zを中心とする放射状に並ぶ複数のリブ40が備えられている。第1分割ファンシュラウド30Aは、複数のリブ40によって補強されている。本実施形態では、複数のリブ40は、第1分割ファンシュラウド30Aのラジエータ側とは反対側の側面に設けられているが、リブ40は、第1分割ファンシュラウド30Aのラジェータ側の側面に設けることが可能である。
【0033】
図7,8に示されるように、ファンシュラウド30は、回転軸芯Zに沿う方向視における第1分割ファンシュラウド30Aの面積が回転軸芯Zに沿う方向視における第2分割ファンシュラウド30Bの面積よりも大きくなるように構成されている。
【0034】
図7に示されるように、ファンシュラウド30は、回転軸芯Zに沿う方向において四角形形状に形成されている。
図8に示されるように、第1分割ファンシュラウド30Aは、第1縁部37aを含む他、第1縁部37aの上端部70から水平方向に沿ってファンシュラウドにおける機体前方側の縁部71まで延びる第1上辺部72と、第1縁部37aの下端部73から水平方向に沿ってファンシュラウド30における機体前方側の縁部71まで延びる第1下辺部74と、を含むとともに、四角形状の角部を含むU字形状に形成されている。
【0035】
図7,8に示されるように、第2分割ファンシュラウド30Bは、第2縁部37bを含む他、第1分割ファンシュラウド30Aの第1上辺部72と相対する第2上辺部75と、第1分割ファンシュラウド30Aの第1下辺部74と相対する第2下辺部76と、を含み、第1分割ファンシュラウド30Aにおける第1上辺部72と第1下辺部74との間の領域を第2分割ファンシュラウド30Bよって埋めることで、第1縁部37aと第2縁部37bとによってファン開口31が構成されるように構成されている。第1分割ファンシュラウド30Aの第1上辺部72と第1下辺部74との間の領域に第2分割ファンシュラウド30Bを埋めることにより、第1分割ファンシュラウド30Aと第2分割ファンシュラウド30Bとを組み合わせてファンシュラウド30を構成することができる。
【0036】
図7は、ファンシュラウド30をラジエータ側とは反対側から回転軸芯Zに沿う方向で見た側面図である。
【0037】
本実施形態では、
図5,6,7に示されるように、ファンシュラウド30は、回転軸芯Zに沿う方向視において四角形形状に形成されている。ファンシュラウド30には、円形形状のファン開口31を有する縦板部32が備えられている。縦板部32は、回転軸芯Zに沿う方向において四角形形状に形成されている。縦板部32の上側横辺部32aから上壁板部33が機体右横外側に斜め上向きにラジエータ25に向けて延ばされている。縦板部32の下側横辺部32bから下壁板部34が機体右横外側に斜め下向きにラジエータ25に向けて延ばされている。縦板部32の前側縦辺部32cから前壁板部35が機体右横外側に斜め前向きにラジエータ25に向けて延ばされている。縦板部32の後側縦辺部32dから後壁板部36が機体右横外側に斜め後ろ向きにラジエータ25に向けて延ばされている。ファンシュラウド30は、上壁板部33と下壁板部34との間隔、前壁板部35と後壁板部36との間隔のそれぞれがラジエータ側ほど広くなるラジエータ側広がりのラッパ状に構成されている。上壁板部33、下壁板部34、前壁板部35および後壁板部36それぞれのラジェータ側の端部に、ラジエータ25と相対するフランジ部33a,34a,35a,36aが設けられている。
【0038】
第1分割ファンシュラウド30Aに、縦板部32のうち、第1縁部37aの周囲に位置する部分32eと、上壁板部33と、下壁板部34と、後壁板部36と、前壁板部35の下部35bと、が含まれている。上壁板部33の機体前方側部分が第1上辺部72に含まれ、下壁板部34の機体前方側部分が第1下辺部74に含まれている。
【0039】
第2分割ファンシュラウド30Bに、縦板部32のうち、第2縁部37bの周囲に位置する部分32fと、前壁板部35のうちの上部35cと、が含まれている。
【0040】
ファンシュラウド30のラジエータ25への支持は、第1分割ファンシュラウド30Aがラジエータ25に支持され、第2分割ファンシュラウド30Bが第1分割ファンシュラウド30Aに支持されることによって行われる。
【0041】
具体的には、
図7,8に示されるように、第1分割ファンシュラウド30Aの外周部の4箇所の角部に取付け部41が設けられている。
図5,6,7に示されるように、4箇所の取付け部41のそれぞれは、連結穴41aを有し、連結穴41aをラジエータ側とは反対側から通した連結ボルト42がラジエータ25に備えられた支持部25aに係合されることによってラジエータ25に連結され、第1分割ファンシュラウド30Aをラジエータ25に支持するように構成されている。
【0042】
図8に示されるように、第1分割ファンシュラウド30Aに、第1縁部37aの上端部70に埋設されたネジ穴部材49、第1縁部37aの下端部73に穿設された連結穴39、第1上辺部72の上端部70が位置する側とは反対側の端部、および、第1下辺部74の下端部73が位置する側とは反対側の端部のそれぞれに設けられたネジ穴部材50が備えられている。ネジ穴部材49のネジ穴は、機体前後方向に沿う方向に開口されている。ネジ穴部材50は、機体横幅方向に沿う方向に開口されている。第2分割ファンシュラウド30Bにおける第2縁部37bの上端部43は、連結穴43aを有し、連結穴43aを機体前方側から通した連結ボルト47がネジ穴部材49に係合されることによって第1縁部37aの上端部70に連結されるように構成されている。第2分割ファンシュラウド30Bにおける第2縁部37bの下端部44は、下端部44に溶接によって取り付けられた連結ボルト45を有し、連結ボルト45が第1縁部37aの連結穴39に挿通されてネジ穴部材51によって締め付けられることにより、第1縁部37aの下端部73に連結されるように構成されている。前壁板部35に設けられたフランジ部35aのうちの第2分割ファンシュラウド30Bに位置するフランジ部分は、このフランジ部分の上端部および下端部のそれぞれに設けられた連結穴46を有し、上端部の連結穴46を通した連結ボルト52が第1上辺部72のネジ穴部材50に係合され、下端部の連結穴46を通した連結ボルト52が第1下辺部74のネジ穴部材50に係合されることによって第1上辺部72と第1下辺部74とに連結されるように構成されている。
【0043】
図5,7に示されるように、ファンシュラウド30のフランジ部33a、フランジ部34a、フランジ部35a、フランジ部36aのそれぞれと、ラジエータ25との間に、フランジ部33a、フランジ部34a、フランジ部35a、フランジ部36aのそれぞれからラジエータ25に向けて突設された突条のリブ53、および、リブ53によってラジエータ25に押し付けられるシール部材54が設けられている。ファンシュラウド30のフランジ部35aと、ラジエータ25との間に、フランジ部35aからラジエータ25に向けて突設された突条のリブ53、および、リブ53によってラジエータ25に押し付けられるシール部材54が設けられている。ファンシュラウド30とラジエータ25との間がリブ53とシール部材54とによってシールされるように構成されている。
【0044】
冷却ファン27の清掃、点検などのメンテナンスを行う場合、少なくとも第1分割ファンシュラウド30Aをエンジンルーム23から抜き出することが可能である。
【0045】
すなわち、穀粒タンク5を開き位置に位置変更して原動部20の後方に作業スペースを確保する。座席支持台22の前壁部に開閉可能に設けられた作業開口55(
図4参照)から工具などをエンジンルーム23に差し入れて、連結ボルト47および連結ボルト52を取り外し、原動部20の後方の作業スペースからエンジンルーム23の機体後方向き開口24(
図3参照)を介して工具などをエンジンルーム23に差し入れて、ネジ穴部材51を取り外し、第2分割ファンシュラウド30Bを第1分割ファンシュラウド30Aから取り外す。次に、座席支持台22の作業開口55から第1分割ファンシュラウド30Aの4箇所の連結ボルト42のうちの機体前方側の2箇所の連結ボルト42を取り外し、原動部20の後方の作業スペースからエンジンルーム23の機体後方向き開口24を介して工具などをエンジンルーム23に差し入れて、第1分割ファンシュラウド30Aの4箇所の連結ボルト42のうちの機体後方側の2箇所の連結ボルト42を取り外すことにより、第1分割ファンシュラウド30Aをラジエータ25から取り外してエンジンルーム23の機体後方向き開口24を介してエンジンルーム23から原動部20の後方に抜き出すことができる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、ファン開口31の機体後方側部分を形成する縁部を第1縁部37aに設定すると共にこの第1縁部37aを含む分割ファンシュラウドを樹脂製の第1分割ファンシュラウド30Aとし、ファン開口31の機体前方側部分31fを形成する縁部を第2縁部37bに設定すると共にこの第2縁部37bを含む分割ファンシュラウドを板金製の第2分割ファンシュラウド30Bとした例を示したが、これに限らない。すなわち、ファン開口31の機体前方側部分31fを形成する部分を第1縁部に設定すると共にこの第1縁部を含む分割ファンシュラウドを樹脂製の第1分割ファンシュラウドとし、ファン開口31の機体後方側部分31rを形成する縁部を第2縁部に設定すると共にこの第2縁部を含む分割ファンシュラウドを板金製の第2分割ファンシュラウドとしたものであってもよい。
【0047】
(2)
図9は、第1の別実施形態のファンシュラウド30の側面図である。第1の別実施形態のファンシュラウド30は、冷却ファン27の回転軸芯Zを通る状態で機体上下方向に沿った分割箇所60によって樹脂製の第1分割ファンシュラウド30Aと、板金製の第2分割ファンシュラウド30Bとに分割されている。回転軸芯Zに沿う方向における第1分割ファンシュラウド30Aの面積と、回転軸芯Zに沿う方向における第2分割ファンシュラウド30Bの面積とが同じにされている。
【0048】
(3)
図10は、第2の別実施形態のファンシュラウド30の側面図である。第2の別実施形態のファンシュラウド30は、冷却ファン27の回転軸芯Zを通る状態で機体上下方向に沿った分割箇所60によって樹脂製の第1分割ファンシュラウド30Aと、板金製の第2分割ファンシュラウド30Bとに分割され、第1分割ファンシュラウド30Aが冷却ファン27の回転軸芯Zを通る状態で機体前後方向に沿った分割箇所61によって上側の第1分割ファンシュラウド30A1と、下側の第1分割ファンシュラウド30A2とに分割されている。
【0049】
(3)上記した実施形態では、リブ40が設けられた例を示したが、リブ40を設けないものであってもよい。
【0050】
(4)上記した実施形態では、第1分割ファンシュラウド30Aがラジエータ25に支持され、第2分割ファンシュラウド30Bが第1分割ファンシュラウド30Aに支持される例を示したが、これに限らず、第2分割ファンシュラウド30Bがラジエータ25に支持され、第1分割ファンシュラウド30Aが第2分割ファンシュラウド30Bに支持されるもの、あるいは、第1分割ファンシュラウド30Aおよび第2分割ファンシュラウド30Bが別々にラジエータ25に支持されるものであってもよい。
【0051】
(5)上記した実施形態では、貯留部として穀粒タンクが備えれた例を示したが、貯留部としは、袋詰めホッパーを採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、普通型コンバインや自脱型コンバインに適用可能であり、また、稲、麦、トウモロコシ、人参など各種の作物を収穫対象とする収穫機に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
4 脱穀部
7 運転部
9 収穫部
20 原動部
21 エンジン
23 ラジエータ
27 冷却ファン
30 ファンシュラウド
30A 第1分割ファンシュラウド
30B 第2分割ファンシュラウド
31 ファン開口
31r ファン開口の機体後方側部分(機体前後方向一方側部分)
31f ファン開口の機体前方側部分(機体前後方向他方側部分)
37a 第1縁部
37b 第2縁部
40 リブ
70 上端部
71 縁部
72 第1上辺部
73 下端部
74 第1下辺部
75 第2上辺部
76 第2下辺部
Y 縦軸芯
Z 回転軸芯