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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170046
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ベローズポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20231124BHJP
   F04B 43/08 20060101ALI20231124BHJP
   F04B 43/10 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F04B49/06 341C
F04B43/08 A
F04B43/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081492
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福井 克彦
【テーマコード(参考)】
3H077
3H145
【Fターム(参考)】
3H077AA08
3H077CC03
3H077CC07
3H077CC17
3H077DD13
3H077EE15
3H077EE23
3H077FF06
3H077FF34
3H077FF45
3H077FF55
3H145AA02
3H145AA16
3H145AA22
3H145BA28
3H145BA39
3H145CA25
3H145CA29
3H145DA22
3H145DA47
3H145EA04
3H145EA17
3H145EA34
(57)【要約】
【課題】安価な構成で流体圧調整部に異常が発生したこと把握することができるベローズポンプを提供する。
【解決手段】ベローズポンプ装置1の制御部6は、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が収縮途中状態まで収縮したときに、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が伸長途中であるか否かを判定し、その判定結果が肯定的である場合、次回の第2ベローズ14(第1ベローズ13)の伸長時に、第2駆動部28(第1駆動部27)の第2吸込側空気室26B(第1吸込側空気室26A)に供給される加圧空気の空気圧を昇圧させるように第2電空レギュレータ52(第1電空レギュレータ51)に昇圧指令を出力する昇圧制御を行う。制御部6は、昇圧制御を連続して行った回数をカウントし、カウントした回数が所定回数を超えた場合に第2電空レギュレータ52(第1電空レギュレータ51)が異常であると判定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立して伸縮自在であり、伸長により内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から移送流体を吐出する一対のベローズと、
吸込側流体室及び吐出側流体室を有し、前記吸込側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の伸長状態まで伸長させ、前記吐出側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の収縮状態まで収縮させる一対の駆動部と、
前記各駆動部の前記吸込側流体室に供給される加圧流体の流体圧を調整する一対の流体圧調整部と、
前記各ベローズの伸縮状態を検知する一対の検知部と、
一対の前記検知部の各検知信号に基づいて、一対の前記駆動部及び一対の前記流体圧調整部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
一対の前記ベローズのうち、一方のベローズが前記収縮状態となる手前で他方のベローズを前記伸長状態から収縮させるように、一対の前記駆動部を制御する駆動制御と、
前記一方のベローズが前記収縮状態となる手前の収縮途中状態まで収縮したときに、前記他方のベローズが伸長途中であるか否かを判定する昇圧判定を行い、前記昇圧判定の判定結果が肯定的である場合、次回の前記他方のベローズの伸長時における前記流体圧を昇圧させるように、前記他方のベローズを伸長させる前記駆動部に対応する前記流体圧調整部に昇圧指令を出力する昇圧制御と、を行い、
前記昇圧制御を連続して行った回数をカウントし、カウントした前記回数が所定回数を超えた場合に前記流体圧調整部が異常であると判定する、ベローズポンプ装置。
【請求項2】
互いに独立して伸縮自在であり、伸長により内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から移送流体を吐出する一対のベローズと、
吸込側流体室及び吐出側流体室を有し、前記吸込側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の伸長状態まで伸長させ、前記吐出側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の収縮状態まで収縮させる一対の駆動部と、
前記各駆動部の前記吸込側流体室に供給される加圧流体の流体圧を調整する一対の流体圧調整部と、
前記各ベローズの伸縮状態を検知する一対の検知部と、
一対の前記検知部の各検知信号に基づいて、一対の前記駆動部及び一対の前記流体圧調整部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
一対の前記ベローズのうち、一方のベローズが前記収縮状態となる手前で他方のベローズを前記伸長状態から収縮させるように、一対の前記駆動部を制御する駆動制御と、
前記一方のベローズが前記収縮状態となる手前の収縮途中状態まで収縮したときに、前記他方のベローズが前記伸長状態を所定時間以上継続しているか否かを判定する降圧判定を行い、前記降圧判定の判定結果が肯定的である場合、次回の前記他方のベローズの伸長時における前記流体圧を降圧させるように、前記他方のベローズを伸長させる前記駆動部に対応する前記流体圧調整部に降圧指令を出力する降圧制御と、を行い、
前記降圧制御を連続して行った回数をカウントし、カウントした前記回数が所定回数を超えた場合に前記流体圧調整部が異常であると判定する、ベローズポンプ装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記一方のベローズが前記収縮途中状態まで収縮したときに、前記他方のベローズが前記伸長状態を所定時間以上継続しているか否かを判定する降圧判定を行い、前記降圧判定の判定結果が肯定的である場合、次回の前記他方のベローズの伸長時における前記流体圧を降圧させるように、前記他方のベローズを伸長させる前記駆動部に対応する前記流体圧調整部に降圧指令を出力する降圧制御をさらに行い、
前記降圧制御を連続して行った回数をカウントし、前記昇圧制御を連続して行った回数、及び前記降圧制御を連続して行った回数のうち、いずれか一方が所定回数を超えた場合に前記流体圧調整部が異常であると判定する、請求項1に記載のベローズポンプ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、前記昇圧制御を連続して行った回数としてカウントする、請求項1又は請求項3に記載のベローズポンプ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、前記降圧制御を連続して行った回数としてカウントする、請求項2又は請求項3に記載のベローズポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造や化学工業等において、薬液や溶剤等の移送流体を送給するために使用されるベローズポンプとして、例えば特許文献1に記載されたベローズポンプが知られている。特許文献1に記載されたベローズポンプは、互いに独立して伸縮することで内部に移送流体を吸い込んで吐出する一対のベローズと、加圧空気の給排により各ベローズを伸縮させる一対のエアシリンダと、を備えている。このベローズポンプは、一方のベローズが最収縮(吐出終了)する手前で他方のベローズを最伸長状態から収縮させて移送流体を吐出するように、各エアシリンダの駆動を制御している。
【0003】
上記のように各エアシリンダの駆動を制御することで、一方のベローズの収縮から伸長(移送流体の吐出から吸い込み)に切り換わるタイミングで、他方のベローズは既に収縮して移送流体を吐出している状態となる。これにより、前記タイミングにおいて移送流体の吐出圧力が大きく落ち込むのを低減することができるので、ベローズポンプの吐出側の脈動を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-293502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ベローズポンプでは、一方のベローズが最収縮(吐出終了)する手前までに、他方のベローズを最伸長(吸い込み終了)させておく必要がある。しかし、雰囲気温度や移送流体の流量等が変化すると、その影響によりベローズの硬さが変化する。ベローズの硬さが変化すると、ベローズの伸長時間(吸い込み時間)が変化し、吐出側の脈動が悪化したり、「ウォータハンマ」と呼ばれる衝撃圧力やキャビテーションが発生したりすることで、ベローズポンプに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
そこで、本出願人は、ベローズの伸長時間が適正な時間になるように、電空レギュレータを用いてエアシリンダの空気室に供給する加圧空気の空気圧を自動的に適正な値に設定し直すベローズポンプ装置を提案している(国際出願PCT/JP2021/034699号)。このベローズポンプ装置では、一方のベローズが収縮途中状態まで収縮したときに、他方のベローズが所定の伸長状態まで伸長していない場合、制御部は、次回の他方のベローズの伸長時に、エアシリンダの空気室に供給する加圧空気の空気圧を昇圧させる昇圧制御を行う。また、一方のベローズが収縮途中状態まで収縮したときに、他方のベローズが所定の伸長状態を所定時間以上継続している場合、制御部は、次回の他方のベローズの伸長時に、エアシリンダの空気室に供給する加圧空気の空気圧を降圧させる降圧制御を行う。
【0007】
しかし、電空レギュレータに故障等の異常が発生した場合、一般的に電空レギュレータは、異常発生の直前に調整した空気圧で維持するようになっている。このため、エアシリンダには、異常発生の直前に調整された空気圧の加圧空気が常に供給され、その加圧空気によってベローズが伸縮動作を継続する。このように、ベローズの伸縮動作が継続すると、ベローズの伸長時間が変化し、上記のようにベローズポンプに悪影響を及ぼすおそれがある。その対策として、電空レギュレータのエア圧力を監視することが考えられる。しかし、その場合には、電空レギュレータの出力ラインに、エア圧力を監視するための別ラインや、エア圧力を検出する圧力計等を新たに接続する必要があり、コストアップに繋がる。
【0008】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであり、安価な構成で流体圧調整部に異常が発生したこと把握することができるベローズポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示は、互いに独立して伸縮自在であり、伸長により内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から移送流体を吐出する一対のベローズと、吸込側流体室及び吐出側流体室を有し、前記吸込側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の伸長状態まで伸長させ、前記吐出側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の収縮状態まで収縮させる一対の駆動部と、前記各駆動部の前記吸込側流体室に供給される加圧流体の流体圧を調整する一対の流体圧調整部と、前記各ベローズの伸縮状態を検知する一対の検知部と、一対の前記検知部の各検知信号に基づいて、一対の前記駆動部及び一対の前記流体圧調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、一対の前記ベローズのうち、一方のベローズが前記収縮状態となる手前で他方のベローズを前記伸長状態から収縮させるように、一対の前記駆動部を制御する駆動制御と、前記一方のベローズが前記収縮状態となる手前の収縮途中状態まで収縮したときに、前記他方のベローズが伸長途中であるか否かを判定する昇圧判定を行い、前記昇圧判定の判定結果が肯定的である場合、次回の前記他方のベローズの伸長時における前記流体圧を昇圧させるように、前記他方のベローズを伸長させる前記駆動部に対応する前記流体圧調整部に昇圧指令を出力する昇圧制御と、を行い、前記昇圧制御を連続して行った回数をカウントし、カウントした前記回数が所定回数を超えた場合に前記流体圧調整部が異常であると判定する、ベローズポンプ装置である。
【0010】
本開示のベローズポンプ装置において、流体圧調整部に異常が発生し、流体圧調整部が異常発生の直前に調整した流体圧で維持した場合、制御部が昇圧制御の昇圧指令を流体圧調整部に出力しても、流体圧調整部により流体圧を昇圧することができなくなる。このため、制御部は、流体圧調整部に対して昇圧指令を連続して出力することになる。本願発明者は、この点に着目して本開示を完成させた。すなわち、制御部は、昇圧制御を連続して行った回数をカウントし、カウントした前記回数が所定回数を超えた場合に流体圧調整部が異常であると判定する。これにより、圧力計等を用いない安価な構成で、流体圧調整部に異常が発生したことを把握することができる。
【0011】
(2)他の観点から見た本開示は、互いに独立して伸縮自在であり、伸長により内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から移送流体を吐出する一対のベローズと、吸込側流体室及び吐出側流体室を有し、前記吸込側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の伸長状態まで伸長させ、前記吐出側流体室に加圧流体を供給することで前記各ベローズを所定の収縮状態まで収縮させる一対の駆動部と、前記各駆動部の前記吸込側流体室に供給される加圧流体の流体圧を調整する一対の流体圧調整部と、前記各ベローズの伸縮状態を検知する一対の検知部と、一対の前記検知部の各検知信号に基づいて、一対の前記駆動部及び一対の前記流体圧調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、一対の前記ベローズのうち、一方のベローズが前記収縮状態となる手前で他方のベローズを前記伸長状態から収縮させるように、一対の前記駆動部を制御する駆動制御と、前記一方のベローズが前記収縮状態となる手前の収縮途中状態まで収縮したときに、前記他方のベローズが前記伸長状態を所定時間以上継続しているか否かを判定する降圧判定を行い、前記降圧判定の判定結果が肯定的である場合、次回の前記他方のベローズの伸長時における前記流体圧を降圧させるように、前記他方のベローズを伸長させる前記駆動部に対応する前記流体圧調整部に降圧指令を出力する降圧制御と、を行い、前記降圧制御を連続して行った回数をカウントし、カウントした前記回数が所定回数を超えた場合に前記流体圧調整部が異常であると判定する、ベローズポンプ装置である。
【0012】
本開示のベローズポンプ装置において、流体圧調整部に異常が発生し、流体圧調整部が異常発生の直前に調整した流体圧で維持した場合、制御部が降圧制御の降圧指令を流体圧調整部に出力しても、流体圧調整部により流体圧を降圧することができなくなる。このため、制御部は、流体圧調整部に対して降圧指令を連続して出力することになる。本願発明者は、この点に着目して本開示を完成させた。すなわち、制御部は、降圧制御を連続して行った回数をカウントし、カウントした前記回数が所定回数を超えた場合に流体圧調整部が異常であると判定する。これにより、圧力計等を用いない安価な構成で、流体圧調整部に異常が発生したことを把握することができる。
【0013】
(3)前記(1)のベローズポンプ装置において、前記制御部は、前記一方のベローズが前記収縮途中状態まで収縮したときに、前記他方のベローズが前記伸長状態を所定時間以上継続しているか否かを判定する降圧判定を行い、前記降圧判定の判定結果が肯定的である場合、次回の前記他方のベローズの伸長時における前記流体圧を降圧させるように、前記他方のベローズを伸長させる前記駆動部に対応する前記流体圧調整部に降圧指令を出力する降圧制御をさらに行い、前記降圧制御を連続して行った回数をカウントし、前記昇圧制御を連続して行った回数、及び前記降圧制御を連続して行った回数のうち、いずれか一方が所定回数を超えた場合に前記流体圧調整部が異常であると判定するのが好ましい。
この場合、昇圧制御が連続して行われる場合、及び降圧制御が連続して行われる場合のどちらであっても、流体圧調整部に異常が発生したことを把握することができる。
【0014】
(4)前記(1)又は(3)のベローズポンプ装置において、前記制御部は、前記昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、前記昇圧制御を連続して行った回数としてカウントするのが好ましい。
この場合、制御部は、流体圧調整部に昇圧指令を出力する前に、昇圧制御を連続して行った回数が所定回数を超えたと判定することができる。これにより、流体圧調整部に異常が発生したことを迅速に把握することができる。
【0015】
(5)前記(2)又は(3)のベローズポンプ装置において、前記制御部は、前記降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、前記降圧制御を連続して行った回数としてカウントするのが好ましい。
この場合、制御部は、流体圧調整部に降圧指令を出力する前に、降圧制御を連続して行った回数が所定回数を超えたと判定することができる。これにより、流体圧調整部に異常が発生したことを迅速に把握することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示のベローズポンプ装置によれば、安価な構成で流体圧調整部に異常が発生したこと把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係るベローズポンプ装置の概略構成図である。
図2】ベローズポンプの断面図である。
図3】ベローズポンプの動作を示す説明図である。
図4】ベローズポンプの動作を示す説明図である。
図5】昇圧制御の一例を示すタイムチャートである。
図6】降圧制御の一例を示すタイムチャートである。
図7】異常判定の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1は、実施形態に係るベローズポンプ装置1の概略構成図である。本実施形態のベローズポンプ装置1は、例えば半導体製造装置において薬液や溶剤等の移送流体を一定量供給するときに用いられる。ベローズポンプ装置1は、空気供給装置(流体供給装置)2、機械式レギュレータ3、第1電磁弁4、第2電磁弁5、制御部6、ベローズポンプ10、第1電空レギュレータ(流体圧調整部)51、及び第2電空レギュレータ(流体圧調整部)52を備えている。
【0019】
空気供給装置2は、例えばエアコンプレッサからなり、ベローズポンプ10に供給する加圧空気(加圧流体)を生成する。機械式レギュレータ3は、空気供給装置2で生成された加圧空気の空気圧(流体圧)を調整する。第1電空レギュレータ51及び第2電空レギュレータ52については後述する。
【0020】
図2は、本実施形態に係るベローズポンプ10の断面図である。本実施形態のベローズポンプ10は、中央部に配置されたポンプヘッド11と、このポンプヘッド11の左右方向の両側に取り付けられた一対のポンプケース12と、各ポンプケース12の内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられた一対のベローズである第1ベローズ13及び第2ベローズ14と、第1及び第2ベローズ13,14それぞれの内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられる合計4個のチェックバルブ15,チェックバルブ16と、を備えている。
【0021】
[ベローズ]
第1ベローズ13及び第2ベローズ14は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂により有底円筒形状に形成されている。第1及び第2ベローズ13,14の開放側端部に一体形成されたフランジ部13a及びフランジ部14aは、ポンプヘッド11の側面に気密状に押圧して固定されている。第1及び第2ベローズ13,14の各周壁は、蛇腹形状に形成され、互いに独立して左右方向に伸縮自在に構成されている。
【0022】
第1及び第2ベローズ13,14の閉塞側端部の外面には、ボルト17及びナット18により作動板19が固定されている。第1及び第2ベローズ13,14は、作動板19の外面が有底円筒形状のポンプケース12における底壁部121の内面に当接する最伸長状態と、後述するピストン体23の内面が底壁部121の外面に当接する最収縮状態との間で伸縮可能である。
【0023】
[ポンプケース]
第1ベローズ13のフランジ部13aには、ポンプケース12(以下、「第1ポンプケース12A」ともいう)の開口周縁部が、気密状に押圧して固定されている。これにより、第1ポンプケース12Aの内部における第1ベローズ13の外側には、気密状態が保持された第1吐出側空気室(吐出側流体室)21Aが形成されている。
【0024】
第1ポンプケース12Aには第1吸排気ポート22Aが設けられており、第1吸排気ポート22Aは、第1電磁弁4、第1電空レギュレータ51及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から第1吐出側空気室21Aの内部に加圧空気が供給されると、第1ベローズ13は所定の収縮状態(以下、単に「収縮状態」という)まで収縮する。第1ベローズ13の収縮状態は、最収縮状態であってもよいし、最収縮状態よりも手前の状態であってもよい。
【0025】
第2ベローズ14のフランジ部14aには、ポンプケース12(以下、「第2ポンプケース12B」ともいう)の開口周縁部が、気密状に押圧して固定されている。これにより、第2ポンプケース12Bの内部における第2ベローズ14の外側には、気密状態が保持された第2吐出側空気室(吐出側流体室)21Bが形成されている。
【0026】
第2ポンプケース12Bには第2吸排気ポート22Bが設けられており、第2吸排気ポート22Bは、第2電磁弁5、第2電空レギュレータ52及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から第2吐出側空気室21Bの内部に加圧空気が供給されると、第2ベローズ14は所定の収縮状態(以下、単に「収縮状態」という)まで収縮する。第2ベローズ14の収縮状態は、最収縮状態であってもよいし、最収縮状態よりも手前の状態であってもよい。
【0027】
各ポンプケース12A,12Bの底壁部121には棒状の連結部材20が貫通されており、連結部材20は、底壁部121に対して左右方向に摺動可能に支持されている。連結部材20の外端部にはピストン体23がナット24により固定されている。ピストン体23は、底壁部121の外側に一体に設けられた円筒状のシリンダ体25の内周面に対して、気密状態を保持しながら左右方向へ摺動可能に支持されている。
【0028】
これにより、第1ポンプケース12A側において、底壁部121、シリンダ体25、及びピストン体23によって囲まれた空間は、気密状態が保持された第1吸込側空気室(吸込側流体室)26Aとされている。また、第2ポンプケース12B側において、底壁部121、シリンダ体25、及びピストン体23によって囲まれた空間は、気密状態が保持された第2吸込側空気室(吸込側流体室)26Bとされている。
【0029】
第1ポンプケース12A側のシリンダ体25には、第1吸込側空気室26Aに連通する吸排気口251が形成されている。この吸排気口251は、第1電磁弁4、第1電空レギュレータ51及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から吸排気口251を介して第1吸込側空気室26Aの内部に加圧空気が供給されると、第1ベローズ13は所定の伸長状態(以下、単に「伸長状態」という)まで伸長する。第1ベローズ13の伸長状態は、最伸長状態であってもよいし、最伸長状態よりも手前の状態であってもよい。
【0030】
第2ポンプケース12B側のシリンダ体25には、第2吸込側空気室26Bに連通する吸排気口252が形成されている。この吸排気口252は、第2電磁弁5、第2電空レギュレータ52及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から吸排気口252を介して第2吸込側空気室26Bの内部に加圧空気が供給されると、第2ベローズ14は所定の伸長状態(以下、単に「伸長状態」という)まで伸長する。第2ベローズ14の伸長状態は、最伸長状態であってもよいし、最伸長状態よりも手前の状態であってもよい。
【0031】
以上の構成により、第1吐出側空気室21Aが内部に形成された第1ポンプケース12Aと、第1吸込側空気室26Aを形成するピストン体23及びシリンダ体25とにより、第1ベローズ13を伸長状態と収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第1駆動部(駆動部)27が構成されている。
また、第2吐出側空気室21Bが内部に形成された第2ポンプケース12Bと、第2吸込側空気室26Bを形成するピストン体23及びシリンダ体25とにより、第2ベローズ14を伸長状態と収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第2駆動部(駆動部)28が構成されている。
【0032】
[検知部]
第1駆動部27のシリンダ体25には、一対の近接センサ29A,近接センサ29Bが取り付けられている。第1駆動部27のピストン体23には、各近接センサ29A,29Bにより検知される被検知板30が取り付けられている。被検知板30は、ピストン体23とともに往復動することで、近接センサ29A,29Bに交互に近接する。
【0033】
近接センサ29Aは、第1ベローズ13が収縮状態となる手前の収縮途中状態のときに被検知板30を検知する位置に配置されている。近接センサ29Bは、第1ベローズ13が伸長状態のときに被検知板30を検知する位置に配置されている。各近接センサ29A,29Bは、被検知板30を検知すると、その検知信号を制御部6に出力する。一対の近接センサ29A,29Bは、第1ベローズ13の伸縮状態を検知する第1検知部(検知部)29として機能する。
【0034】
第2駆動部28のシリンダ体25には、一対の近接センサ31A,近接センサ31Bが取り付けられている。第2駆動部28のピストン体23には、各近接センサ31A,31Bより検知される被検知板32が取り付けられている。被検知板32は、ピストン体23とともに往復動することで、近接センサ31A,31Bに交互に近接する。
【0035】
近接センサ31Aは、第2ベローズ14が収縮状態となる手前の収縮途中状態のときに被検知板32を検知する位置に配置されている。近接センサ31Bは、第2ベローズ14が伸長状態のときに被検知板32を検知する位置に配置されている。各近接センサ31A,31Bは、被検知板30を検知すると、その検知信号を制御部6に出力する。一対の近接センサ31A,31Bは、第2ベローズ14の伸縮状態を検知する第2検知部(検知部)31として機能する。
【0036】
ここで、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の「収縮途中状態」とは、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の収縮経過位置が収縮開始位置(伸長状態)よりも収縮終了位置(収縮状態)に近い位置にあることを意味し、より詳細には、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長状態から収縮状態となるまでの収縮長さの50%~90%まで収縮した位置を意味する。
【0037】
[ポンプヘッド]
ポンプヘッド11は、PTFEやPFA等のフッ素樹脂から形成されている。ポンプヘッド11の内部には、移送流体の吸込通路34と吐出通路35が形成されている。吸込通路34及び吐出通路35は、ポンプヘッド11の外周面において開口し、当該外周面に設けられた吸込ポート及び吐出ポート(いずれも図示省略)に接続されている。
【0038】
吸込ポートは移送流体の貯留タンク等に接続され、吐出ポートは移送流体の移送先に接続される。また、吸込通路34及び吐出通路35は、それぞれポンプヘッド11の左右両側面に向けて分岐するとともに、ポンプヘッド11の左右両側面において開口する吸込口36及び吐出口37を有している。各吸込口36及び各吐出口37は、それぞれチェックバルブ15,16を介してベローズ13,14の内部と連通している。
【0039】
[チェックバルブ]
各吸込口36及び各吐出口37には、チェックバルブ15,16が設けられている。
吸込口36に取り付けられたチェックバルブ15(以下、「吸込用チェックバルブ」ともいう)は、バルブケース15aと、このバルブケース15aに収容された弁体15bと、この弁体15bを閉弁方向に付勢する圧縮コイルバネ15cとを有している。
【0040】
バルブケース15aは有底円筒形状に形成されている。バルブケース15aの底壁にはベローズ13,14の内部に連通する貫通孔15dが形成されている。弁体15bは、圧縮コイルバネ15cの付勢力により吸込口36を閉鎖(閉弁)し、ベローズ13,14の伸縮に伴う移送流体の流れによる背圧が作用すると吸込口36を開放(開弁)するようになっている。
【0041】
これにより、吸込用チェックバルブ15は、自身が配置されているベローズ13,14が伸長したときに開弁して、吸込通路34からベローズ13,14内部に向かう方向(一方向)への移送流体の吸入を許容する。また、吸込用チェックバルブ15は、自身が配置されているベローズ13,14が収縮したときに閉弁して、ベローズ13,14内部から吸込通路34に向かう方向(他方向)への移送流体の逆流を阻止する。
【0042】
吐出口37に取り付けられたチェックバルブ16(以下、「吐出用チェックバルブ」ともいう)は、バルブケース16aと、このバルブケース16aに収容された弁体16bと、この弁体16bを閉弁方向に付勢する圧縮コイルバネ16cとを有している。
【0043】
バルブケース16aは有底円筒形状に形成されている。バルブケース16aの底壁には、ベローズ13,14の内部に連通する貫通孔16dが形成されている。弁体16bは、圧縮コイルバネ16cの付勢力によりバルブケース16aの貫通孔16dを閉鎖(閉弁)し、ベローズ13,14の伸縮に伴う移送流体の流れによる背圧が作用するとバルブケース16aの貫通孔16dを開放(開弁)するようになっている。
【0044】
これにより、吐出用チェックバルブ16は、自身が配置されているベローズ13,14が収縮したときに開弁して、ベローズ13,14内部から吐出通路35に向かう方向(一方向)への移送流体の流出を許容する。また、吐出用チェックバルブ16は、自身が配置されているベローズ13,14が伸長したときに閉弁して、吐出通路35からベローズ13,14内部に向かう方向(他方向)への移送流体の逆流を阻止する。
【0045】
[ベローズポンプの動作]
次に、本実施形態のベローズポンプ10の動作を図3及び図4を参照して説明する。なお、図3及び図4においては第1及び第2ベローズ13,14の構成を簡略化して示している。図3に示すように、第1ベローズ13が収縮し、第2ベローズ14が伸長した場合、ポンプヘッド11の図中左側に装着された吸込用チェックバルブ15及び吐出用チェックバルブ16の各弁体15b,16bは、第1ベローズ13内の移送流体から圧力を受けて、各バルブケース15a,16aの図中右側にそれぞれ移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が閉弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が開弁し、第1ベローズ13内の移送流体が吐出通路35からポンプ外へ吐出される。
【0046】
一方、ポンプヘッド11の図中右側に装着された吸込用チェックバルブ15の弁体15bは、第2ベローズ14による吸入作用によってバルブケース15aの図中右側に移動する。ポンプヘッド11の図中右側に装着された吐出用チェックバルブ16の弁体16bは、第2ベローズ14による吸入作用、及び第1ベローズ13から吐出通路35に吐出された移送流体による押圧作用によって、バルブケース16aの図中右側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が開弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が閉弁し、吸込通路34から第2ベローズ14内に移送流体が吸い込まれる。
【0047】
次に、図4に示すように、第1ベローズ13が伸長し、第2ベローズ14が収縮した場合、ポンプヘッド11の図中右側に装着された吸込用チェックバルブ15及び吐出用チェックバルブ16の各弁体15b,16bは、第2ベローズ14内の移送流体から圧力を受けて、各バルブケース15a,16aの図中左側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が閉弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が開弁し、第2ベローズ14内の移送流体が吐出通路35からポンプ外へ吐出される。
【0048】
一方、ポンプヘッド11の図中左側に装着された吸込用チェックバルブ15の弁体15bは、第1ベローズ13による吸入作用によってバルブケース15aの図中左側に移動する。ポンプヘッド11の図中左側に装着された吐出用チェックバルブ16の弁体16bは、第1ベローズ13による吸入作用、及び第1ベローズ13から吐出通路35に吐出された移送流体による押圧作用によって、バルブケース16aの図中左側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が開弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が閉弁し、吸込通路34から第1ベローズ13内に移送流体が吸い込まれる。
以上の動作を繰り返し行うことで、左右のベローズ13,14は、交互に移送流体の吸入と吐出とを行うことができる。
【0049】
[電磁弁]
図1において、第1電磁弁4は、例えば、一対のソレノイド4a,ソレノイド4bを有する三位置の電磁切換弁からなる。各ソレノイド4a,4bは制御部6から受けた指令信号に基づいて励磁されるようになっている。これにより、第1電磁弁4は、制御部6により切り換え制御される。第1電磁弁4は、第1駆動部27において、第1吐出側空気室21Aに対する加圧空気の給排、及び第1吸込側空気室26Aに対する加圧空気の給排を切り換える。
【0050】
具体的には、第1電磁弁4は、ソレノイド4aが励磁されると、第1吐出側空気室21Aに加圧空気を供給するとともに第1吸込側空気室26A内の加圧空気を排出する状態に切り換わる。また、第1電磁弁4は、ソレノイド4bが励磁されると、第1吐出側空気室21A内の加圧空気を排出するとともに第1吸込側空気室26Aに加圧空気を供給する状態とに切り換わる。
【0051】
第2電磁弁5は、例えば一対のソレノイド5a,ソレノイド5bを有する三位置の電磁切換弁からなる。各ソレノイド5a,5bは制御部6から指令信号を受けて励磁されるようになっている。これにより、第2電磁弁5は、制御部6により切り換え制御される。第2電磁弁5は、第2駆動部28において、第2吐出側空気室21Bに対する加圧空気の給排、及び第2吸込側空気室26Bに対する加圧空気の給排を切り換える。
【0052】
具体的には、第2電磁弁5は、ソレノイド5aが励磁されると、第2吐出側空気室21Bに加圧空気を供給するとともに第2吸込側空気室26B内の加圧空気を排出する状態に切り換わる。また、第2電磁弁5は、ソレノイド5bが励磁されると、第2吐出側空気室21B内の加圧空気を排出するとともに第2吸込側空気室26Bに加圧空気を供給する状態とに切り換わる。
なお、本実施形態の第1及び第2電磁弁4,5は、三位置の電磁切換弁からなるが、中立位置を有しない二位置の電磁切換弁であってもよい。
【0053】
[電空レギュレータ]
第1電空レギュレータ51は、機械式レギュレータ3と第1電磁弁4との間に配置されている。第1電空レギュレータ51は、第1駆動部27の第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧、及び第1駆動部27の第1吐出側空気室21Aに供給される加圧空気の空気圧をそれぞれ調整する。
【0054】
第2電空レギュレータ52は、機械式レギュレータ3と第2電磁弁5との間に配置されている。第2電空レギュレータ52は、第2駆動部28の第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧、及び第2駆動部28の第2吐出側空気室21Bに供給される加圧空気の空気圧をそれぞれ調整する。
【0055】
なお、電空レギュレータ51,52は、少なくとも吸込側空気室26A,26Bに供給される加圧空気の空気圧を調整するものであればよい。また、本実施形態では、流体圧調整部として、空気圧を直接的に調整する電空レギュレータ51,52を用いているが、空気流量を調整する空気流量調整弁を用いて空気圧を間接的に調整してもよいし、空気以外の気体(例えば窒素)や液体等の圧力又は流量を調整する機器を用いてもよい。
【0056】
[制御部]
図1及び図2において、制御部6は、CPU等を有するコンピュータを備えて構成されている。制御部6の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることで発揮される。制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1駆動部27、第2駆動部28、第1電空レギュレータ51、及び第2電空レギュレータ52をそれぞれ制御する。以下、これらの制御について順に説明する。
【0057】
制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1電磁弁4及び第2電磁弁5を切り換えることにより、第1駆動部27及び第2駆動部28をそれぞれ制御する駆動制御を行う。
【0058】
具体的には、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13が収縮状態となる手前で第2ベローズ14を伸長状態から収縮させるとともに、第2ベローズ14が収縮状態となる手前で第1ベローズ13を伸長状態から収縮させるように、第1駆動部27及び第2駆動部28の各駆動を制御する。
【0059】
以上のように制御部6が駆動制御を行うことで、第1ベローズ13及び第2ベローズ14のうち、一方のベローズの収縮から伸長(移送流体の吐出から吸い込み)へ切り換えるタイミングにおいて、他方のベローズは既に収縮して移送流体を吐出しているので、前記タイミングにおいて移送流体の吐出圧力が大きく落ち込むのを低減することができる。その結果、ベローズポンプ10の吐出側の脈動を低減することができる。
【0060】
前記駆動制御において、例えば雰囲気温度が低下すると、その影響により第1ベローズ13及び第2ベローズ14が硬くなり、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間が長くなる場合がある。この場合、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間を短くするための昇圧制御を行う。制御部6は、昇圧制御として、昇圧判定を行うとともに、その判定結果に基づいて昇圧指令を出力する。
【0061】
具体的には、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が収縮途中状態まで収縮したときに、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が伸長途中であるか否かを判定する昇圧判定を行う。制御部6は、昇圧判定の判定結果が肯定的である(伸長途中である)場合、次回の第2ベローズ14(第1ベローズ13)の伸長時に、第2吸込側空気室26B(第1吸込側空気室26A)に供給される加圧空気の空気圧を昇圧させるように、第2電空レギュレータ52(第1電空レギュレータ51)に昇圧指令を出力する。昇圧指令には、前記空気圧の昇圧度合いが含まれる。この昇圧度合いは、+1kPa~+50kPa(より好ましくは+1kPa~+20kPa)とするのが望ましい。
【0062】
一方、前記駆動制御において、例えば雰囲気温度が上昇すると、その影響により第1ベローズ13及び第2ベローズ14が柔らかくなり、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間が短くなる場合がある。この場合、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13及び第2ベローズ14の各伸長時間を長くするための降圧制御を行う。制御部6は、降圧制御として、降圧判定を行うとともに、その判定結果に基づいて降圧指令を出力する。
【0063】
具体的には、制御部6は、第1検知部29及び第2検知部31の各検知結果に基づいて、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が収縮途中状態まで収縮したときに、第2ベローズ14(第1ベローズ13)が伸長状態を所定時間以上継続しているか否かを判定する降圧判定を行う。前記所定時間は、例えば500msec(好ましくは10~200msec)の値に設定するのが望ましい。
【0064】
制御部6は、降圧判定の判定結果が肯定的である(伸長状態を所定時間以上継続している)場合、次回の第2ベローズ14(第1ベローズ13)の伸長時に、第2吸込側空気室26B(第1吸込側空気室26A)に供給される加圧空気の空気圧を降圧させるように、第2電空レギュレータ52(第1電空レギュレータ51)に降圧指令を出力する。降圧指令には、前記空気圧の降圧度合いが含まれる。この降圧度合いは、-1kPa~-50kPa(より好ましくは-1kPa~-20kPa)とするのが望ましい。
【0065】
[昇圧制御の具体例]
図5は、制御部6により駆動制御中に行われる昇圧制御の一例を示すタイムチャートである。以下、図1及び図5を参照しながら、制御部6が実行する駆動制御及び昇圧制御について説明する。ここでは、第1ベローズ13が収縮途中(吐出中)であり、かつ第2ベローズ14が伸長途中(吸い込み中)の状態から説明する。
【0066】
制御部6は、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮途中状態を検知(ON)した時点t1で、第2ベローズ14が伸長途中であるか否かを判定する(昇圧判定)。この判定は、時点t1において近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長状態を非検知(OFF)であるか否かによって判定される。ここでは、時点t1において、近接センサ31Bは第2ベローズ14の伸長状態を非検知であるため、制御部6は、第2ベローズ14が伸長途中であると判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第2ベローズ14の伸長時(時点t6~時点t7)に昇圧指令を出力する。
【0067】
制御部6は、近接センサ31BがONになっていないと判定した場合、近接センサ31BがONになるまで待機する。そして、制御部6は、近接センサ31BがONになった時点t2で、第2電磁弁5のソレノイド5bを消磁させるとともにソレノイド5aを励磁させる。なお、制御部6は、時点t1において近接センサ31BがONになっていると判定した場合、直ちに第2電磁弁5のソレノイド5bを消磁させるとともにソレノイド5aを励磁させる。
【0068】
第2電磁弁5のソレノイド5aが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第2電空レギュレータ52、及び第2電磁弁5を介して、第2駆動部28の第2吐出側空気室21Bに供給される。その際、制御部6は、第2吐出側空気室21Bに供給される加圧空気の空気圧が所定値P2となるように第2電空レギュレータ52に制御指令を出力する。これにより、第1ベローズ13が収縮状態となる手前で、第2ベローズ14は伸長状態から収縮動作を開始する。
【0069】
第2ベローズ14が収縮動作を開始した後、制御部6は、近接センサ29AがONになった時点t1から所定の演算時間が経過した時点t3で、第1ベローズ13が収縮状態になったと判断する。そして、制御部6は、第1電磁弁4のソレノイド4aを消磁させるとともにソレノイド4bを励磁させる。
【0070】
第1電磁弁4のソレノイド4bが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第1電空レギュレータ51、及び第1電磁弁4を介して、第1駆動部27の第1吸込側空気室26Aに供給される。その際、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧が所定値P11となるように第1電空レギュレータ51に制御指令を出力する。第1電空レギュレータ51は、その制御指令に基づいて、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧が所定値P11となるように調整する。これにより、第1ベローズ13は収縮状態から伸長動作を開始する。
【0071】
次に、制御部6は、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮途中状態を検知(ON)した時点t4で、第1ベローズ13が伸長途中であるか否かを判定する(昇圧判定)。この判定は、時点t4において近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長状態を非検知(OFF)であるか否かによって判定される。ここでは、時点t4において、近接センサ29Bは第1ベローズ13の伸長状態を非検知であるため、制御部6は、第1ベローズ13が伸長途中であると判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第1ベローズ13の伸長時(時点t8~時点t9)に昇圧指令を出力する。
【0072】
制御部6は、近接センサ29BがONになっていないと判定した場合、近接センサ29BがONになるまで待機する。そして、制御部6は、近接センサ29BがONになった時点t5で、第1電磁弁4のソレノイド4bを消磁させるとともにソレノイド4aを励磁させる。なお、制御部6は、時点t4において近接センサ29BがONになっていると判定した場合、直ちに第1電磁弁4のソレノイド4bを消磁させるとともにソレノイド4aを励磁させる。
【0073】
第1電磁弁4のソレノイド4aが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第1電空レギュレータ51、及び第1電磁弁4を介して、第1駆動部27の第1吐出側空気室21Aに供給される。その際、制御部6は、第1吐出側空気室21Aに供給される加圧空気の空気圧が所定値P1となるように第1電空レギュレータ51に制御指令を出力する。第1電空レギュレータ51は、その制御指令に基づいて、第1吐出側空気室21Aに供給される加圧空気の空気圧が所定値P1となるように調整する。これにより、第2ベローズ14が収縮状態となる手前で、第1ベローズ13は伸長状態から収縮動作を開始する。
【0074】
第1ベローズ13が収縮動作を開始した後、制御部6は、近接センサ31AがONになった時点から所定時間が経過した時点t6で、第2ベローズ14が収縮状態になったと判断する。そして、制御部6は、第2電磁弁5のソレノイド5aを消磁させるとともにソレノイド5bを励磁させる。
【0075】
第2電磁弁5のソレノイド5bが励磁されると、空気供給装置2で生成された加圧空気は、機械式レギュレータ3、第2電空レギュレータ52、及び第2電磁弁5を介して、第2駆動部28の第2吸込側空気室26Bに供給される。その際、制御部6は、時点t1で行った昇圧判定の判定結果が肯定的であったので(近接センサ31Bが非検知であると判定したので)、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧を昇圧させるように第2電空レギュレータ52に昇圧指令を出力する。
【0076】
具体的には、制御部6は、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧が前回(時点t2以前)の値P21よりも高い値P22となるように、第2電空レギュレータ52に昇圧指令を出力する。第2電空レギュレータ52は、その昇圧指令に基づいて、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧が値P22となるように調整する。これにより、第2ベローズ14は、収縮状態から伸長動作を開始する。その伸長速度は、前回の第2ベローズ14の伸長速度よりも速くなる。
【0077】
次に、制御部6は、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮途中状態を検知(ON)した時点t7で、第2ベローズ14が伸長途中であるか否かを判定する(昇圧判定)。ここでは、上記のように第2ベローズ14の伸長速度が速くなり、第2ベローズ14の伸長時間が短くなることで、時点t7で第2ベローズ14は伸長状態に達する。したがって、時点t7において近接センサ31Bは第2ベローズ14の伸長状態を検知(ON)しているので、制御部6は、第2ベローズ14が伸長途中でないと判定する。この判定結果により、制御部6は、次回の第2ベローズ14の伸長時には昇圧指令を出力しない。
【0078】
制御部6は、近接センサ29BがONになっていると判定した場合、第2電磁弁5のソレノイド5bを消磁させるとともにソレノイド5aを励磁させる。第2電磁弁5のソレノイド5aが励磁されると、上記のように、第1ベローズ13が収縮状態となる手前(収縮途中状態)で、第2ベローズ14は伸長状態から収縮動作を開始する。
【0079】
第2ベローズ14が収縮動作を開始した後、制御部6は、近接センサ29AがONになった時点t7から所定の演算時間が経過した時点t8で、第1ベローズ13が収縮状態になったと判断し、第1電磁弁4のソレノイド4aを消磁させるとともにソレノイド4bを励磁させる。第1電磁弁4のソレノイド4bが励磁されると、上記のように、空気供給装置2で生成された加圧空気は、第1駆動部27の第1吸込側空気室26Aに供給される。
【0080】
その際、制御部6は、前記時点t4で行った昇圧判定の判定結果が肯定的であったので(近接センサ29Bが非検知であると判定したので)、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧を昇圧させるように第1電空レギュレータ51に昇圧指令を出力する。
【0081】
具体的には、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給された加圧空気の空気圧が前回(時点t3~時点t5)の値P11よりも高い値P12となるように、第1電空レギュレータ51に昇圧指令を出力する。第1電空レギュレータ51は、その昇圧指令に基づいて、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧が値P12となるように調整する。これにより、第1ベローズ13は、収縮状態から伸長動作を開始する。その伸長速度は、前回の第1ベローズ13の伸長動作時における伸長速度よりも速くなる。
【0082】
次に、制御部6は、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮途中状態を検知(ON)した時点t9で、第1ベローズ13が伸長途中であるか否かを判定する(昇圧判定)。ここでは、上記のように第1ベローズ13の伸長速度が速くなり、第1ベローズ13の伸長時間が短くなることで、時点t9で第1ベローズ13は伸長状態に達する。したがって、時点t9において近接センサ29Bは第1ベローズ13の伸長状態を検知(ON)しているので、制御部6は、第1ベローズ13が伸長途中でないと判定する。この判定結果により、制御部6は、次回の第1ベローズ13の伸長時には昇圧指令を出力しない。
【0083】
制御部6は、近接センサ29BがONになっていると判定した場合、第1電磁弁4のソレノイド4bを消磁させるとともにソレノイド4aを励磁させる。第1電磁弁4のソレノイド4aが励磁されると、上記のように、第2ベローズ14が収縮状態となる手前(収縮途中状態)で、第1ベローズ13は伸長状態から収縮動作を開始する。
【0084】
[降圧制御の具体例]
図6は、制御部6により駆動制御中に行われる降圧制御の一例を示すタイムチャートである。以下、図1及び図6を参照しながら、制御部6が実行する降圧制御について説明する。ここでは、図5と同様に、第1ベローズ13が収縮途中(吐出中)であり、かつ第2ベローズ14が伸長途中(吸い込み中)の状態から説明する。
【0085】
制御部6は、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、第1ベローズ13が収縮途中状態に達する前の時点t20で、近接センサ31Bは第2ベローズ14の伸長状態を検知しているので、制御部6は、近接センサ31BがONになったと判定する。
【0086】
制御部6は、近接センサ31BがONになったと判定した場合、さらに近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮途中状態を検知した時点t21で、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長状態を検知した時点t20から所定時間T以上継続しているか否かを判定する(降圧判定)。ここでは、時点t21において所定時間Tが経過しているので、制御部6は、時点t20から所定時間T以上継続していると判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第2ベローズ14の伸長時(時点t25~時点t26)に降圧指令を出力する。
【0087】
制御部6は、近接センサ29AがONになった時点t21で、第2電磁弁5のソレノイド5bを消磁させるとともにソレノイド5aを励磁させる。第2電磁弁5のソレノイド5aが励磁されると、上記のように、第1ベローズ13が収縮状態となる手前(収縮途中状態)で、第2ベローズ14は伸長状態から収縮動作を開始する。
【0088】
第2ベローズ14が収縮動作を開始した後、制御部6は、近接センサ29AがONになった時点t21から所定の演算時間が経過した時点t22で、第1ベローズ13が収縮状態になったと判断する。そして、制御部6は、第1電磁弁4のソレノイド4aを消磁させるとともにソレノイド4bを励磁させる。第1電磁弁4のソレノイド4bが励磁されると、上記のように、第1ベローズ13は収縮状態から伸長動作を開始する。
【0089】
次に、制御部6は、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、第2ベローズ14が収縮途中状態に達する前の時点t23で、近接センサ29Bは第1ベローズ13の伸長状態を検知しているので、制御部6は、近接センサ29BがONになったと判定する。
【0090】
制御部6は、近接センサ29BがONになったと判定した場合、さらに近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮途中状態を検知した時点t24で、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長状態を検知した時点t23から所定時間T以上継続しているか否かを判定する(降圧判定)。ここでは、時点t24において所定時間Tが経過しているので、制御部6は、時点t23から所定時間T以上継続していると判定する。この判定結果により、制御部6は、後述するように、次回の第1ベローズ13の伸長時(時点t27~時点t28)に降圧指令を出力する。
【0091】
制御部6は、近接センサ31AがONになった時点t24で、第1電磁弁4のソレノイド4bを消磁させるとともにソレノイド4aを励磁させる。第1電磁弁4のソレノイド4aが励磁されると、上記のように、第2ベローズ14が収縮状態となる手前(収縮途中状態)で、第1ベローズ13は伸長状態から収縮動作を開始する。
【0092】
第1ベローズ13が収縮動作を開始した後、制御部6は、近接センサ31AがONになった時点t24から所定の演算時間が経過した時点t25で、第2ベローズ14が収縮状態になったと判断する。そして、制御部6は、第2電磁弁5のソレノイド5aを消磁させるとともにソレノイド5bを励磁させる。第2電磁弁5のソレノイド5bが励磁されると、上記のように、空気供給装置2で生成された加圧空気は、第2駆動部28の第2吸込側空気室26Bに供給される。
【0093】
その際、制御部6は、前記時点t21で行った降圧判定の判定結果が肯定的であったので(近接センサ31BがONになった時点t20から所定時間T以上継続していると判定したので)、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧を降圧させるように、第2電空レギュレータ52に降圧指令を出力する。
【0094】
具体的には、制御部6は、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧が前回(時点t21以前)の値P21よりも低い値P23となるように、第2電空レギュレータ52に降圧指令を出力する。第2電空レギュレータ52は、その降圧指令に基づいて、第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧が値P23となるように調整する。これにより、第2ベローズ14は、収縮状態から伸長動作を開始する。その伸長速度は、前回の第2ベローズ14の伸長動作時における伸長速度よりも遅くなる。
【0095】
次に、制御部6は、近接センサ29Aが第1ベローズ13の収縮途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ31Bが第2ベローズ14の伸長状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、上記のように第2ベローズ14の伸長速度が遅くなり、第2ベローズ14の伸長時間が長くなることで、第1ベローズ13が収縮途中状態に達した時点t26で第2ベローズ14は伸長状態に達する。
【0096】
したがって、第1ベローズ13が収縮途中状態に達する前に、近接センサ31Bは第2ベローズ14の伸長状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ31BがONにならなかったと判定する。この判定結果により、第1ベローズ13が収縮途中状態に達した時点t26で、制御部6による降圧判定は行われないため、次回の第2ベローズ14の伸長時に降圧指令を出力しない。
【0097】
制御部6は、近接センサ31BがONになった時点t26で、第2電磁弁5のソレノイド5bを消磁させるとともにソレノイド5aを励磁させる。第2電磁弁5のソレノイド5aが励磁されると、上記のように、第1ベローズ13が収縮状態となる手前(収縮途中状態)で、第2ベローズ14は伸長状態から収縮動作を開始する。
【0098】
第2ベローズ14が収縮動作を開始した後、制御部6は、近接センサ29AがONになった時点t26から所定の演算時間が経過した時点t27で、第1ベローズ13が収縮状態になったと判断する。そして、制御部6は、第1電磁弁4のソレノイド4aを消磁させるとともにソレノイド4bを励磁させる。第1電磁弁4のソレノイド4bが励磁されると、上記のように、空気供給装置2で生成された加圧空気は、第1駆動部27の第1吸込側空気室26Aに供給される。
【0099】
その際、制御部6は、前記時点t24で行った降圧判定の判定結果が肯定的であったので(近接センサ29BがONになった時点t23から所定時間T以上継続していると判定したので)、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧を降圧させるように、第1電空レギュレータ51に降圧指令を出力する。
【0100】
具体的には、制御部6は、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧が前回(時点t22~時点t24)の値P11よりも低い値P13となるように、第1電空レギュレータ51に降圧指令を出力する。第1電空レギュレータ51は、その降圧指令に基づいて、第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧が値P13となるように調整する。これにより、第1ベローズ13は、収縮状態から伸長動作を開始する。その伸長速度は、前回の第1ベローズ13の伸長動作時における伸長速度よりも遅くなる。
【0101】
次に、制御部6は、近接センサ31Aが第2ベローズ14の収縮途中状態を検知(ON)する前に、近接センサ29Bが第1ベローズ13の伸長状態を検知(ON)したか否かを判定する。ここでは、上記のように第1ベローズ13の伸長速度が遅くなり、第1ベローズ13の伸長時間が長くなることで、第2ベローズ14が収縮途中状態に達した時点t28で第1ベローズ13は伸長状態に達する。
【0102】
したがって、第2ベローズ14が収縮途中状態に達する前に、近接センサ29Bは第1ベローズ13の伸長状態を非検知(OFF)であるため、制御部6は、近接センサ29BがONにならなかったと判定する。この判定結果により、第2ベローズ14が収縮途中状態に達した時点t28で、制御部6による降圧判定は行われないため、次回の第1ベローズ13の伸長時に降圧指令を出力しない。
【0103】
[異常判定]
図1において、上述のように制御部6が駆動制御を行っているときに、第1電空レギュレータ51に故障等の異常が発生した場合、第1電空レギュレータ51は、異常発生の直前に調整した空気圧で維持する。このため、制御部6が、昇圧制御の昇圧指令、又は降圧制御の降圧指令を第1電空レギュレータ51に出力しても、第1電空レギュレータ51により加圧空気の空気圧を調整することができなくなる。このため、制御部6は、第1電空レギュレータ51に対して昇圧指令又は降圧指令を連続して出力することになる。
【0104】
第2電空レギュレータ52に故障等の異常が発生した場合も同様に、第2電空レギュレータ52により加圧空気の空気圧を調整することができなくなる。このため、制御部6は、第2電空レギュレータ52に対して昇圧指令又は降圧指令を連続して出力することになる。本実施形態の制御部6は、このように連続して出力する点を利用して第1電空レギュレータ51及び第2電空レギュレータ52が異常であるか否かを判定する異常判定を行う。
【0105】
具体的には、制御部6は、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)について、昇圧制御を連続して行った回数をカウントする。本実施形態の制御部6は、昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、昇圧制御を連続して行った回数としてカウントする。制御部6は、カウントした回数が所定回数を超えたか否かを判定する。制御部6は、その判定結果が肯定的である場合、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)が異常であると判定する。
【0106】
また、制御部6は、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)について、降圧制御を連続して行った回数をカウントする。本実施形態の制御部6は、降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、降圧制御を連続して行った回数としてカウントする。制御部6は、カウントした回数が所定回数を超えたか否かを判定する。制御部6は、その判定結果が肯定的である場合、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)が異常であると判定する。
【0107】
以上より、制御部6は、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)について、昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数、及び降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数のうち、いずれか一方が所定回数を超えた場合、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)が異常であると判定する。制御部6は、第1電空レギュレータ51又は第2電空レギュレータ52が異常であると判定した場合、第1電磁弁4及び第2電磁弁5を切り換えて、第1駆動部27及び第2駆動部28の各駆動を停止させる。
【0108】
なお、前記所定回数は、昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数の場合と、降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数の場合とで、互いに同じ値に設定されていてもよいし、異なる値に設定されていてもよい。
【0109】
図7は、制御部6により駆動制御中に行われる異常判定の一例を示すフローチャートである。以下、図7を参照しながら、制御部6が実行する異常判定について説明する。なお、第1電空レギュレータ51の異常判定、及び第2電空レギュレータ52の異常判定は同様に行われるため、ここでは、第1電空レギュレータ51の異常判定について説明する。まず、制御部6は、カウント回数N及びカウント回数Mの各値を、それぞれ初期値である0に設定する(ステップST1)。カウント回数Nは、昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数ある。カウント回数Mは、降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数ある。
【0110】
次に、制御部6は、駆動制御中において第1電空レギュレータ51の昇圧判定を行ったときに、その判定結果が肯定的となった場合(ステップST2で「Yes」の場合)、カウント回数Nに1を加算するとともに、カウント回数Mを0にリセットする(ステップST3)。
【0111】
次に、制御部6は、カウント回数Nが所定回数を超えたか否かを判定する(ステップST4)。制御部6は、カウント回数Nが所定回数を超えていなければ(ステップST4で「No」の場合)、ステップST2に戻る。このように、ステップST2からステップST4までの処理が繰り返し行われることで、カウント回数Nが徐々に増えていく。そして、制御部6は、カウント回数Nが所定回数を超えると(ステップST4で「Yes」の場合)、第1電空レギュレータ51が異常であると判定し(ステップST5)、処理を終了する。
【0112】
一方、ステップST2において、制御部6は、昇圧判定の判定結果が否定的となった場合(ステップST2で「No」の場合)、ステップST6へ移行する。ステップST6において、制御部6は、第1電空レギュレータ51の降圧判定を行ったときに、その判定結果が肯定的となった場合(ステップST6で「Yes」の場合)、カウント回数Nを0にリセットするとともに、カウント回数Mに1を加算する(ステップST7)。また、制御部6は、降圧判定の判定結果が否定的となった場合(ステップST6で「No」の場合)、ステップST7の処理を行わずにステップST1に戻る。なお、本実施形態では、ステップST7でカウント回数Nをリセットしているが、ステップST2で「No」と判定した時点でカウント回数Nをリセットしてもよい。
【0113】
制御部6は、ステップST7の処理を行った場合、次にカウント回数Mが所定回数を超えたか否かを判定する(ステップST8)。制御部6は、カウント回数Mが所定回数を超えていなければ(ステップST8で「No」の場合)、ステップST2に戻る。このように、ステップST2、ステップST6、ステップST7、及びステップST8の処理が繰り返し行われることで、カウント回数Mが徐々に増えていく。そして、制御部6は、カウント回数Mが所定回数を超えると(ステップST8で「Yes」の場合)、第1電空レギュレータ51が異常であると判定し(ステップST5)、処理を終了する。
【0114】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のベローズポンプ装置1によれば、制御部6は、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)の昇圧制御を連続して行った回数をカウントし、そのカウントした回数が所定回数を超えた場合、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)が異常であると判定する。これにより、圧力計等を用いない安価な構成で、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)に異常が発生したことを把握することができる。
【0115】
制御部6は、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)の降圧制御を連続して行った回数をカウントし、そのカウントした回数が所定回数を超えた場合、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)が異常であると判定する。これにより、圧力計等を用いない安価な構成で、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)に異常が発生したことを把握することができる。
【0116】
制御部6は、昇圧制御を連続して行った回数、及び降圧制御を連続して行った回数のうち、いずれか一方が所定回数を超えた場合、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)のが異常であると判定する。このため、昇圧制御が連続して行われる場合、及び降圧制御が連続して行われる場合のどちらであっても、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)に異常が発生したことを把握することができる。
【0117】
制御部6は、昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、昇圧制御を連続して行った回数としてカウントする。このため、制御部6は、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)に昇圧指令を出力する前に、昇圧制御を連続して行った回数が所定回数を超えたと判定することができる。これにより、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)に異常が発生したことを迅速に把握することができる。
【0118】
制御部6は、降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を、降圧制御を連続して行った回数としてカウントする。このため、制御部6は、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)に降圧指令を出力する前に、降圧制御を連続して行った回数が所定回数を超えたと判定することができる。これにより、第1電空レギュレータ51(第2電空レギュレータ52)に異常が発生したことを迅速に把握することができる。
【0119】
[その他]
上記実施形態では、第1検知部29は、近接センサ29A,29Bにより構成されているが、レーザ光等を用いた変位センサで構成されていてもよい。同様に、第2検知部31は、近接センサ31A,31Bにより構成されているが、レーザ光等を用いた変位センサで構成されていてもよい。
【0120】
上記実施形態では、制御部6は、第1電空レギュレータ51又は第2電空レギュレータ52が異常であると判定した場合、第1駆動部27及び第2駆動部28の各駆動を停止させているが、それに加えて又はそれに替えて、報知手段により警告音等を出力させるようにしてもよい。
【0121】
上記実施形態では、制御部6は、昇圧制御を連続して行った回数として、昇圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を用いているが、昇圧指令を連続して出力した回数を用いてもよい。同様に、制御部6は、降圧制御を連続して行った回数として、降圧判定の判定結果が連続して肯定的となった回数を用いているが、降圧指令を連続して出力した回数を用いてもよい。
【0122】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0123】
1 ベローズポンプ装置
6 制御部
13 第1ベローズ(ベローズ)
14 第2ベローズ(ベローズ)
21A 第1吐出側空気室(吐出側流体室)
21B 第2吐出側空気室(吐出側流体室)
26A 第1吸込側空気室(吸込側空気室)
26B 第2吸込側空気室(吸込側空気室)
27 第1駆動部(駆動部)
28 第2駆動部(駆動部)
29 第1検知部(検知部)
31 第2検知部(検知部)
51 第1電空レギュレータ(流体圧調整部)
52 第2電空レギュレータ(流体圧調整部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7