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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170068
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】端子と電線の接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H01R4/48 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081528
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏 綾那
(57)【要約】
【課題】ギャップの管理を容易にする。
【解決手段】本開示の端子と電線の接続構造10は、第1電線11と、第2電線12と、第1電線11と第2電線12を接続する端子20と、を備える、端子と電線の接続構造10であって、第1電線11は、第1芯線11Aと、第1芯線11Aを包囲してなる第1絶縁被覆11Bと、を有し、第2電線12は、第2芯線12Aと、第2芯線12Aを包囲してなる第2絶縁被覆12Bと、を有し、端子20は、第1芯線11Aに接続される第1接続部21と、第2芯線12Aに接続される第2接続部22と、第1接続部21と第2接続部22を連結する連結部23と、を有し、第1接続部21は、第1芯線11Aを受ける第1受け部21Aと、第1受け部21Aとの間で第1芯線11Aを押圧することで第1芯線11Aに所定の接圧を付与する第1接圧付与部21Bと、が一体に形成された単一部品である、端子と電線の接続構造10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電線と、第2電線と、前記第1電線と前記第2電線を接続する端子と、を備える、端子と電線の接続構造であって、
前記第1電線は、第1芯線と、前記第1芯線を包囲してなる第1絶縁被覆と、を有し、
前記第2電線は、第2芯線と、前記第2芯線を包囲してなる第2絶縁被覆と、を有し、
前記端子は、前記第1芯線に接続される第1接続部と、前記第2芯線に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部を連結する連結部と、を有し、
前記第1接続部は、前記第1芯線を受ける第1受け部と、前記第1受け部との間で前記第1芯線を押圧することで前記第1芯線に所定の接圧を付与する第1接圧付与部と、が一体に形成された単一部品である、端子と電線の接続構造。
【請求項2】
前記第1接続部と前記連結部と前記第2接続部とは前後方向に並んで配され、
前記第1受け部は平板状をなして前記前後方向に長い形態をなし、
前記第1接圧付与部は、前記第1受け部の左右両側縁から立ち上がる形態で一対設けられており、一対の前記第1接圧付与部は、前記第1受け部の左右方向の中心を上下方向にのびる軸線に関して左右対称に設けられており、
前記第1接続部は、前記前後方向から見た場合に、前記第1受け部と一対の前記第1接圧付与部とによって筒形状となるように形成されている、請求項1に記載の端子と電線の接続構造。
【請求項3】
前記第1受け部は、前記第1芯線に向けて突出するとともに前記前後方向にのびるビードを有し、
前記第1接圧付与部は、前記第1芯線に向けて突出するとともに前記前後方向にのびるビードを有している、請求項2に記載の端子と電線の接続構造。
【請求項4】
前記第1接続部と前記第2接続部は同一形状の単一部品であって、前記第1接続部と前記連結部と前記第2接続部とは一体に形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子と電線の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子と電線の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
導体が絶縁被覆で包囲されてなる被覆電線を接続する接続構造として、例えば特開2020-187997号公報(下記特許文献1)に記載の接続装置が知られている。この接続装置は、押圧部材と、可動側導通部材と、固定側導通部材と、を有する。押圧部材は、電気的に絶縁性のゴム材料からなり、弾性変形することが可能である。
【0003】
可動側導通部材は、例えば銅またはアルミなどの金属製の板材からなり、全体として前後方向に長い形状をなす。可動側導通部材は、押圧部材に対し、押圧部材の上面の収容凹部に嵌合された状態で固着されている。可動側導通部材は、第1接触部と、第2接触部と、第1接触部と第2接触部を連結する連結部と、を有する単一部品である。
【0004】
固定側導通部材は、例えば銅またはアルミなどの金属製の板材からなり、取付部と、第1接点部と、取付部と、第2接点部と、取付部と、がこの順にならんで一体に形成された単一部品である。固定側導通部材は、合成樹脂材料からなるハウジングに形成された接続部の天井面に固定して取り付けられている。一方、押圧部材は、接続部の底面に載置された状態で配置されている。
【0005】
固定側導通部材は、押圧部材および可動側導通部材よりも上方に位置し、可動側導通部材との間に所定の間隔を空けて上下方向に対向している。第1接点部と第2接点部は、可動側導通部材側へ突出している。第1接点部および第2接点部の下端と、押圧部材が弾性変形してない状態における可動側導通部材の上面との間の上下方向の間隔は、導体の外径寸法よりも小さい寸法に設定されている。
【0006】
導体と第1接触部および第1接点部との接続は、導体の接続端部が、接続部内に進入して第1接触部と第1接点部との間に割り込んで挟まれることで行われる。押圧部材が弾性変形していない状態では、第1接触部と第1接点部との間隔が、接続端部の外径寸法よりも小さいので、接続端部が、第1接触部を下方へ変位させるとともに、押圧部材を上下に潰すように弾性変形させる。押圧部材の弾性復元力により、導体と第1接触部とが所定の接圧で導通可能に接続されるとともに、導体と第1接点部とが所定の接圧で導通可能に接続される。導体と第2接触部および第2接点部との接続も同様にして行われる。これにより、一対の導体が接続装置を介して導通可能に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-187997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の接続装置では、可動側導通部材と固定側導通部材が一部品で構成されておらず、各部材の公差を考慮する必要があるため、ギャップ(第1接点部および第2接点部の下端と、押圧部材が弾性変形してない状態における可動側導通部材の上面と、の間の上下方向の間隔)の管理が容易ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の端子と電線の接続構造は、第1電線と、第2電線と、前記第1電線と前記第2電線を接続する端子と、を備える、端子と電線の接続構造であって、前記第1電線は、第1芯線と、前記第1芯線を包囲してなる第1絶縁被覆と、を有し、前記第2電線は、第2芯線と、前記第2芯線を包囲してなる第2絶縁被覆と、を有し、前記端子は、前記第1芯線に接続される第1接続部と、前記第2芯線に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部を連結する連結部と、を有し、前記第1接続部は、前記第1芯線を受ける第1受け部と、前記第1受け部との間で前記第1芯線を押圧することで前記第1芯線に所定の接圧を付与する第1接圧付与部と、が一体に形成された単一部品である、端子と電線の接続構造である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ギャップの管理を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1の端子と第1電線および第2電線との接続構造を示す分解斜視図である。
図2図2は、実施形態1の端子と第1電線および第2電線との接続構造を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態1の端子と第1電線との接続構造を示す断面図である。
図4図4は、実施形態1の複数の端子がゴム栓に前後方向から挿入された状態を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態1の複数の端子がキャリアで連結された状態でゴム栓に上方から挿入される様子を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態2の端子と第1電線および第2電線との接続構造を示す分解斜視図である。
図7図7は、実施形態2の端子と第1電線および第2電線との接続構造を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態2の端子と第1電線との接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の端子と電線の接続構造は、第1電線と、第2電線と、前記第1電線と前記第2電線を接続する端子と、を備える、端子と電線の接続構造であって、前記第1電線は、第1芯線と、前記第1芯線を包囲してなる第1絶縁被覆と、を有し、前記第2電線は、第2芯線と、前記第2芯線を包囲してなる第2絶縁被覆と、を有し、前記端子は、前記第1芯線に接続される第1接続部と、前記第2芯線に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部を連結する連結部と、を有し、前記第1接続部は、前記第1芯線を受ける第1受け部と、前記第1受け部との間で前記第1芯線を押圧することで前記第1芯線に所定の接圧を付与する第1接圧付与部と、が一体に形成された単一部品である、端子と電線の接続構造である。
【0013】
上記の接続構造によると、第1接続部を構成する第1受け部と第1接圧付与部とが一体に形成された単一部品であるから、ギャップ(第1受け部と第1接圧付与部の間の寸法)の管理を容易できる。第1電線の第1芯線は、第1受け部と第1接圧付与部の間に挿入されて押圧されることで所定の接圧を受けることになるので、第1芯線と第1接続部が導通可能に接続される。
【0014】
(2)前記第1接続部と前記連結部と前記第2接続部とは前後方向に並んで配され、前記第1受け部は平板状をなして前記前後方向に長い形態をなし、前記第1接圧付与部は、前記第1受け部の左右両側縁から立ち上がる形態で一対設けられており、一対の前記第1接圧付与部は、前記第1受け部の左右方向の中心を上下方向にのびる軸線に関して左右対称に設けられており、前記第1接続部は、前記前後方向から見た場合に、前記第1受け部と一対の前記第1接圧付与部とによって筒形状となるように形成されていることが好ましい。
第1接続部は筒形状となるように形成されているから、前後方向からギャップを測定しやすくなり、ギャップの管理をさらに容易にできる。
【0015】
(3)前記第1受け部は、前記第1芯線に向けて突出するとともに前記前後方向にのびるビードを有し、前記第1接圧付与部は、前記第1芯線に向けて突出するとともに前記前後方向にのびるビードを有していることが好ましい。
第1受け部がビードを介して第1芯線に接触し、第1接圧付与部がビードを介して第1芯線に接触するから、第1接続部内に弾性接触片などのバネを設けることなく第1芯線に高い接圧を付与できる。
【0016】
(4)前記第1接続部と前記第2接続部は同一形状の単一部品であって、前記第1接続部と前記連結部と前記第2接続部とは一体に形成されていることが好ましい。
このようにすると、第2接続部のギャップ(第2受け部と第2接圧付与部の間の寸法)の管理も容易にできる。第2電線の第2芯線は、第2受け部と第2接圧付与部の間に挿入されて押圧されることで所定の接圧を受けることになるので、第2芯線と第2接続部が導通可能に接続される。第1接続部と連結部と第2接続部とは一体に形成されているから、第1電線と第2電線が端子を介して導通可能に接続される。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子と電線の接続構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図5を参照しつつ説明する。以下の説明においては、図3に示す図示上下方向を上下方向、図3に示す図示左右方向を左右方向、図1および図2に示す端子20の長い方向を前後方向とし、第1電線11および第2電線12の端子20への挿入方向をそれぞれ前方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0019】
本実施形態の端子と電線の接続構造10は、図1に示すように、第1電線11と、第2電線12と、端子20と、を備えている。第1電線11は、導電性の単芯線または金属細線からなる第1芯線11Aを第1絶縁被覆11Bで包囲した周知の形態のものである。同様に第2電線12は、導電性の単芯線または金属細線からなる第2芯線12Aを第2絶縁被覆12Bで包囲した周知の形態のものである。
【0020】
端子20は、金属製であり、筒形状をなす雌端子である。端子20は、プレス加工、切削加工、鋳造等、公知の手法により所定の形状に形成される。端子20を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。端子20の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。
【0021】
端子20は、第1芯線11Aに接続される第1接続部21と、第2芯線12Aに接続される第2接続部22と、第1接続部21と第2接続部22を連結する連結部23と、を有している。第1接続部21と連結部23と第2接続部22とは、この順に前後方向に並んで配されている。以下において第1接続部21から見て連結部23側を前側とし、第2接続部22から見て連結部23側を前側とする。
【0022】
第1接続部21と第2接続部22は同一形状の単一部品であって、第1接続部21と連結部23と第2接続部22とは一体に形成されている。以下においては第1接続部21の構成のみを説明し、第2接続部22の構成については説明を省略するものとし、第1接続部21と同じ構成については符号のアルファベット部分に第1接続部21と同じアルファベットを用いる。
【0023】
第1接続部21は、図3に示すように、第1芯線11Aを受ける第1受け部21Aと、第1受け部21Aの左右両側縁から立ち上がる一対の第1接圧付与部21Bと、を備える。第1受け部21Aと一対の第1接圧付与部21Bとは一体に形成されている。すなわち、第1接続部21は、第1受け部21Aと一対の第1接圧付与部21Bとが一体に形成された単一部品である。
【0024】
図1および図2に示すように、第1受け部21Aは平板状をなして前後方向に長い形態をなしている。第1受け部21Aと連結部23の底壁と第2受け部22Aとは平板状をなして面一に形成されている。第1受け部21Aと連結部23の底壁と第2受け部22Aとのいずれかに、端子20を収容するハウジング(図示せず)やゴム栓等に対する係止構造を設けてもよい。一対の第1接圧付与部21Bは、第1受け部21Aの左右方向の中心を上下方向にのびる軸線Lに関して左右対称に設けられている。
【0025】
第1受け部21Aは、上方に突出するとともに前後方向にのびるビード21Cを有している。図3において図示左側の第1接圧付与部21B(以下においては「左側の第1接圧付与部21B」と略していう)は、右下に突出するとともに前後方向にのびるビード21Dを有している。同じく図示右側の第1接圧付与部21B(以下においては「右側の第1接圧付与部21B」と略していう)は、左下に突出するとともに前後方向にのびるビード21Dを有している。
【0026】
左側の第1接圧付与部21Bは、第1受け部21Aの左側縁から上方に突出した後、ビード21Dの手前で時計回り方向に弧状をなしてのびる形態とされている。右側の第1接圧付与部21Bは、第1受け部21Aの右側縁から上方に突出した後、ビード21Dの手前で反時計回り方向に弧状をなしてのびる形態とされている。第1接続部21は、前後方向から見た場合に、第1受け部21Aと一対の第1接合付与部21Bとによって筒形状となるように形成されている。
【0027】
左側の第1接圧付与部21Bの先端と右側の第1接圧付与部21Bの先端とは、隙間Sを介して左右方向に対向して配されている。第1接続部21内に第1芯線11Aが挿入される前の隙間Sは、第1接続部21内に第1芯線11Aが挿入された後の隙間Sよりも小さくなるように設定されている。したがって、第1接続部21内に第1芯線11Aが挿入されると、一対の接圧付与部21Bが左右方向に離間するように弾性的に拡開変形するとともに、隙間Sが大きくなる。
【0028】
拡開変形した状態の一対の接圧付与部21Bの弾性によって第1芯線11Aに所定の接圧が付与されるようになっている。第1受け部21Aはビード21Cを介して第1芯線11Aを上方に押圧し、左側の第1接圧付与部21Bはビード21Dを介して第1芯線11Aを右下に押圧し、右側の第1接圧付与部21Bはビード21Dを介して第1芯線11Aを左下に押圧する。すなわち、3つのビード21C、21Dは、第1芯線11Aを包囲する配置で第1芯線11Aに向けて突出する形態とされているから、第1芯線11Aは3つのビード21C、21Dから所定の接圧を受けることになる。
【0029】
第1接続部21に対して第1電線11の第1芯線11Aを後方から挿入すると、第1芯線11Aが第1受け部21Aのビード21Cと一対の第1接圧付与部21Bの一対のビード21Dとによって所定の接圧を受けることで、第1芯線11Aと第1接続部21が導通可能に接続される。同様に第2接続部22に対して第2電線12の第2芯線12Aを後方から挿入すると、第2芯線12Aが第2受け部22Aのビード22Cと一対の第2接圧付与部22Bの一対のビード22Dとによって所定の接圧を受けることで、第2芯線12Aと第2接続部22が導通可能に接続される。これにより、第1電線11と第2電線12が端子20を介して導通可能に接続される。
【0030】
図4に示すように、端子20は第1ゴム栓30の収容孔31に収容されているものでもよい。一対の第1接圧付与部21Bの弾性による接圧に加えて、第1ゴム栓30の弾性による接圧が第1芯線11Aに付与されるため、第1芯線11Aにより高い接圧を付与できる。
【0031】
図4の場合、端子20を第1ゴム栓30の収容孔31に挿入する際に、端子20の角部によって第1ゴム栓30を傷つけてしまい、第1ゴム栓30の破片が端子20の中に入る可能性がある。この対策として、図5に示すように、切れ込み41を形成した第2ゴム栓40を用いることが考えられる。第2ゴム栓40は、上下2段で左右方向に並んだ複数の収容孔42を有している。上段側の収容孔42には、第2ゴム栓40の上部に切れ込み41を入れ、下段側の収容孔42には、第2ゴム栓40の下部に切れ込み41を入れておく。複数の端子20は、キャリア13によって連結された連鎖端子とされている。各端子20を上から第2ゴム栓40に一括で挿入すると、各端子20が各切れ込み41を押し広げながら各収容孔42に収容される。このようにすると、端子20の角部によって第2ゴム栓40を傷つけることがない。
【0032】
[実施形態1の作用効果]
本開示の端子と電線の接続構造10は、第1電線11と、第2電線12と、第1電線11と第2電線12を接続する端子20と、を備える、端子と電線の接続構造10であって、第1電線11は、第1芯線11Aと、第1芯線11Aを包囲してなる第1絶縁被覆11Bと、を有し、第2電線12は、第2芯線12Aと、第2芯線12Aを包囲してなる第2絶縁被覆12Bと、を有し、端子20は、第1芯線11Aに接続される第1接続部21と、第2芯線12Aに接続される第2接続部22と、第1接続部21と第2接続部22を連結する連結部23と、を有し、第1接続部21は、第1芯線11Aを受ける第1受け部21Aと、第1受け部21Aとの間で第1芯線11Aを押圧することで第1芯線11Aに所定の接圧を付与する第1接圧付与部21Bと、が一体に形成された単一部品である、端子と電線の接続構造10である。
【0033】
上記の接続構造10によると、第1接続部21を構成する第1受け部21Aと第1接圧付与部21Bとが一体に形成された単一部品であるから、ギャップ(第1受け部21Aと第1接圧付与部21Bの間の寸法)の管理を容易できる。第1電線11の第1芯線11Aは、第1受け部21Aと第1接圧付与部21Bの間に挿入されて押圧されることで所定の接圧を受けることになるので、第1芯線11Aと第1接続部21が導通可能に接続される。
【0034】
第1接続部21と連結部23と第2接続部22とは前後方向に並んで配され、第1受け部21Aは平板状をなして前後方向に長い形態をなし、第1接圧付与部21Bは、第1受け部21Aの左右両側縁から立ち上がる形態で一対設けられており、一対の第1接圧付与部21Bは、第1受け部21Aの左右方向の中心を上下方向にのびる軸線Lに関して左右対称に設けられており、第1接続部21は、前後方向から見た場合に、第1受け部21Aと一対の第1接圧付与部21Bとによって筒形状となるように形成されていることが好ましい。
第1接続部21は筒形状となるように形成されているから、前後方向からギャップを測定しやすくなり、ギャップの管理をさらに容易にできる。
【0035】
第1受け部21Aは、第1芯線11Aに向けて突出するとともに前後方向にのびるビード21Cを有し、第1接圧付与部21Bは、第1芯線11Aに向けて突出するとともに前後方向にのびるビード21Dを有していることが好ましい。
第1受け部21Aがビード21Cを介して第1芯線11Aに接触し、第1接圧付与部21Bがビード21Dを介して第1芯線11Aに接触するから、第1接続部21内に弾性接触片などのバネを設けることなく第1芯線11Aに高い接圧を付与できる。
【0036】
第1接続部21と第2接続部22は同一形状の単一部品であって、第1接続部21と連結部23と第2接続部22とは一体に形成されていることが好ましい。
このようにすると、第2接続部22のギャップ(第2受け部22Aと第2接圧付与部22Bの間の寸法)の管理も容易にできる。第2電線12の第2芯線12Aは、第2受け部22Aと第2接圧付与部22Bの間に挿入されて押圧されることで所定の接圧を受けることになるので、第2電線12と第2接続部22が導通可能に接続される。第1接続部21と連結部23と第2接続部22とは一体に形成されているから、第1電線11と第2電線12が端子20を介して導通可能に接続される。
【0037】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図6から図8を参照しつつ説明する。実施形態2の端子と電線の接続構造110は、実施形態1の端子20に誘い込み形状を追加したものである。実施形態2の端子50の構成において実施形態1の端子20と同じ構成については十の位の数字を2から5に変更した符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0038】
端子50は、第1接続部51と、第2接続部52と、連結部53と、第1接続部51の後端から後方にのびる第1ガイド部54と、第2接続部52の後端から後方にのびる第2ガイド部55と、を有している。第1ガイド部54と第2ガイド部55は後方に向かうにつれて広がるように形成された誘い込み形状を有している。第1ガイド部54と第2ガイド部55は同一形状であるため、以下においては第1ガイド部54を代表として説明するものとし、第1ガイド部54と同じ構成については一の位の数字を4から5に変更した符号を付すものとする。
【0039】
第1ガイド部54は、図6および図7に示すように、第1接続部51の後端に連なって第1接続部51と一体に形成されている。第1ガイド部54は、第1底壁54Aと、第1底壁54Aの両側縁から上方に立ち上がる一対の第1側壁54Bと、が一体に形成された単一部品である。
【0040】
第1底壁54Aは平板状をなし、第1受け部51Aの後端に連なっている。第1底壁54Aは、図8に示すように、後方に向かうにつれて下方に向かうとともに左右方向の寸法が大きくなるように形成されている。
【0041】
左側の第1側壁54Bは、左側の第1接圧付与部51Bの後端に連なっている。左側の第1側壁54Bは、第1底壁54Aの左側縁から上方に突出した後、前後方向から見てビード51Dと対応する箇所の手前で時計回り方向に弧状をなしてのびる形態とされている。
【0042】
右側の第1側壁54Bは、右側の第1接圧付与部51Bの後端に連なっている。右側の第1側壁54Bは、第1底壁54Aの右側縁から上方に突出した後、前後方向から見てビード51Dと対応する箇所の手前で反時計回り方向に弧状をなしてのびる形態とされている。
【0043】
一対の第1側壁54Bは、後方に向かうにつれて第1底壁54Aからの高さ寸法が大きくなるとともに左右方向の離間寸法が大きくなるように形成されている。
【0044】
第1接続部51に対して第1電線11の第1芯線11Aを後方から挿入すると、第1芯線11Aが第1ガイド部54によって誘い込まれて第1接続部51内に進入し、第1受け部51Aのビード51Cと一対の第1接圧付与部51Bの一対のビード51Dとによって所定の接圧を受けることで、第1芯線11Aと第1接続部51が導通可能に接続される。同様に第2接続部52に対して第2電線12の第2芯線12Aを後方から挿入すると、第2芯線12Aが第2ガイド部55によって誘い込まれて第2接続部52内に進入し、第2受け部52Aのビード52Cと一対の第2接圧付与部52Bの一対のビード52Dとによって所定の接圧を受けることで、第2芯線12Aと第2接続部52が導通可能に接続される。これにより、第1電線11と第2電線12が端子50を介して導通可能に接続される。
【0045】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態1、2では一対の接圧付与部を有する第1接続部を例示したが、第1接続部が有する接圧付与部の数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0046】
(2)上記実施形態1、2では一対の第1接圧付与部が軸線Lに関して左右対称に形成されているものを例示したが、左右対称である必要はなく、第1接続部全体が筒形状となるように一対の第1接圧付与部を軸線Lに関して非対称に形成してもよい。
【0047】
(3)上記実施形態1、2ではビードを有する第1接続部を例示したが、ビードの代わりに弾性接触片などのバネを第1接続部内に設けてもよい。
【0048】
(4)上記実施形態1で端子20とは別体のゴム栓によって接圧を増加するものを例示したが、別体のSUSバネによって接圧を増加してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10:端子と電線の接続構造 11:第1電線 11A:第1芯線 11B:第1絶縁被覆 12:第2電線 12A:第2芯線 12B:第2絶縁被覆 13:キャリア
20:端子 21:第1接続部 21A:第1受け部 21B:第1接圧付与部 21C:ビード 21D:ビード 22:第2接続部 22A:第2受け部 22B:第2接圧付与部 22C:ビード 22D:ビード 23:連結部
30:第1ゴム栓 31:収容孔
40:第2ゴム栓 41:切れ込み 42:収容孔
50:端子 51:第1接続部 51A:第1受け部 51B:第1接圧付与部 51C:ビード 51D:ビード 52:第2接続部 52A:第2受け部 52B:第二節圧付与部 52C:ビード 52D:ビード 53:連結部 54:第1ガイド部 54A:第1底壁 54B:第1側壁 55:第2ガイド部 55A:第2底壁 55B:第2側壁
110:端子と電線の接続構造
L:軸線 S:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8