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  • 特開-タイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170092
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20231124BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20231124BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20231124BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231124BHJP
【FI】
C08L9/00
B60C1/00 A
B60C11/12 A
C08K3/013
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081566
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】姫田 眞吾
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB11
3D131BC33
3D131BC35
3D131EB91Z
3D131EB94Z
3D131EB99Z
4J002AC011
4J002AC021
4J002AC022
4J002AC032
4J002AC061
4J002AC082
4J002BC052
4J002DA036
4J002DJ017
4J002FD016
4J002FD017
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】耐チップカット性に優れたタイヤを提供する。
【解決手段】イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含有するトレッドを備えたタイヤであって、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)及び総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量(質量部)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤ。
(1)イソプレン系ゴムの含有量>65質量%
(2)1.0質量%≦総スチレン量≦8.0質量%
(3)充填剤の含有量>総スチレン量
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含有するトレッドを備えたタイヤであって、
前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)及び総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量(質量部)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤ。
(1)イソプレン系ゴムの含有量>65質量%
(2)1.0質量%≦総スチレン量≦8.0質量%
(3)充填剤の含有量>総スチレン量
【請求項2】
踏面側の外側部分と、外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分とを含む溝を有する請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量X(質量%)、前記内側部分の溝幅Y(mm)が、下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ。
Y≧3.7-0.29X
【請求項4】
前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量(質量部)が、下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
カーボンブラックの含有量>総スチレン量
【請求項5】
前記トレッドは、シリカを含み、かつシリカの含有量>カーボンブラックの含有量を満たす請求項1記載のタイヤ。
【請求項6】
前記カーボンブラックが平均粒子径20nm以下のカーボンブラックを含む請求項1記載のタイヤ。
【請求項7】
前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量(質量部)が、下記式を満たす請求項5記載のタイヤ。
シリカの含有量>総スチレン量
【請求項8】
前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)、前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量(質量%)が、下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
300≦イソプレン系ゴムの含有量×総スチレン量≦420
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤには種々の性能が要求され、特に、トラック、バスなどの重荷重車では、耐チップカット性の向上が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記課題を解決し、耐チップカット性に優れたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含有するトレッドを備えたタイヤであって、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)及び総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量(質量部)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤに関する。
(1)イソプレン系ゴムの含有量>65質量%
(2)1.0質量%≦総スチレン量≦8.0質量%
(3)充填剤の含有量>総スチレン量
【発明の効果】
【0005】
本発明は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含有するトレッドを備えたタイヤであって、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)及び総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量(質量部)が、前記式(1)~(3)を満たすタイヤであるので、耐チップカット性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】踏面側の外側部分と、外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分とを含む溝部を示す断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含有するトレッドを備え、かつゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量及び総スチレン量、ゴム成分100質量部に対する充填剤の含有量が、前記式(1)~(3)を満たすタイヤである。
【0008】
前記タイヤで前述の効果が得られる理由は、以下のように推察される。
イソプレン系ゴムの含有量>65質量%かつ1.0質量%≦総スチレン量≦8.0質量%とすることで、ゴムの強度を高くしつつ、ゴム内部に形成されたスチレンドメインで衝撃を緩和させ易くすることができる。同時に、総スチレン量よりも充填剤量を多くすることで、スチレンドメイン、及びゴム相(NR/SBR)の界面も補強される為、ポリマー相間での亀裂の発生も抑制される。よって、ゴム内部で衝撃を緩和させ、かつ亀裂の発生に対する耐性も高くなる為、耐チップカット性が良好となると考えられる。
以上の作用により、耐チップカット性に優れたタイヤを提供できると推察される。
【0009】
このように、前記タイヤは、式(1)「イソプレン系ゴムの含有量>65質量%」、式(2)「1.0質量%≦総スチレン量≦8.0質量%」、式(3)「充填剤の含有量>総スチレン量」の構成にすることにより、耐チップカット性に優れたタイヤを提供するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、式(1)、(2)、(3)の構成は課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、耐チップカット性に優れたタイヤを提供することであり、そのための解決手段として前記パラメーターを満たすような構成にしたものである。
【0010】
前記タイヤにおけるトレッドは、ゴム成分と充填剤とを含有するトレッド用ゴム組成物により構成される。
【0011】
前記ゴム組成物において、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーであり、アセトンにより抽出されないポリマー成分がゴム成分に該当する。
【0012】
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0013】
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0014】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(質量%)は、下記式(2)を満たす。
(2)1.0質量%≦総スチレン量≦8.0質量%
総スチレン量の下限は、好ましくは2.7質量%以上、より好ましくは3.6質量%以上、更に好ましくは4.5質量%以上、特に好ましくは5.4質量%以上である。総スチレン量の上限は、好ましくは7.5質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは6.5質量%以下、特に好ましくは6.0質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0015】
ここで、ゴム成分100質量%中の総スチレン量は、ゴム成分全量中に含まれるスチレン部の合計含有量(単位:質量%)であり、Σ(各ゴム成分の含有量×各ゴム成分中のスチレン量/100)で算出できる。例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量:40質量%のSBRが85質量%、スチレン量:25質量%のSBRが5質量%、スチレン量:0質量%のBRが10質量%である場合、ゴム成分中の総スチレン量は、35.25質量%(=85×40/100+5×25/100+10×0/100)である。
【0016】
ゴム成分100質量%中の総ビニル量は、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上、更に好ましくは4.5質量%以上であり、また、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは11.0質量%以下、更に好ましくは9.0質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0017】
ここで、ゴム成分中の総ビニル量は、ゴム成分全質量を100とするときに、当該ゴム成分に含まれるSBR及びBRにおけるブタジエン部のビニル結合の合計含有量(単位:質量部)であり、Σ(各ゴム成分の含有量×各ゴム成分全質量に対する当該ゴム成分中のブタジエン部のビニル結合量の割合[質量%])で算出できる。例えば、ゴム成分100質量部中、スチレン量:40質量%、ビニル量:30質量%のSBRが85質量部、スチレン量:20質量%、ビニル量:20質量%のSBRが5質量部、ビニル量:10質量%のBRが10質量部である場合、ゴム成分中の総ビニル量は、17.1質量部(=85×(100[質量%]-40[質量%])×30[質量%]+5×(100[質量%]-20[質量%])×20[質量%]+10×10[質量%])である。
【0018】
なお、各ゴム成分100質量%中のスチレン量、ビニル量は、核磁気共鳴(NMR)法によって測定できる。
また、ゴム成分100質量%中の総スチレン量、総ビニル量について、本明細書の実施例では、上述の計算式に沿って算出しているが、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(Py-GC/MS)等により、タイヤから分析してもよい。
【0019】
前記ゴム組成物は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分を含有する。
【0020】
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
【0021】
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)が下記式(1)を満たす。
(1)イソプレン系ゴムの含有量>65質量%
該イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは67質量%以上、より好ましくは69質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0022】
イソプレン系ゴム以外に使用可能はゴム成分としては特に限定されず、タイヤ分野で公知のものを使用できる。例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレンスブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、SBR、BRが好ましい。
【0023】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
【0024】
SBRのスチレン量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは18質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0025】
SBRのビニル量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは24質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは65質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、特に好ましくは42質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0026】
なお、上述のSBRのスチレン量は、SBRが1種である場合、当該SBRのスチレン量を意味し、複数種である場合、平均スチレン量を意味する。
SBRの平均スチレン量は、{Σ(各SBRの含有量×各SBRのスチレン量)}/全SBRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量:40質量%のSBRが85質量%、スチレン量:25質量%のSBRが5質量%である場合、SBRの平均スチレン量は、39.2質量%(=(85×40+5×25)/(85+5))である。
【0027】
また、上述のSBRのビニル量はSBR中におけるブタジエン部の総質量を100とした時のビニル結合の割合であり(単位:質量%)、ビニル量[質量%]+シス量[質量%]+トランス量[質量%]=100[質量%]となる。SBRが1種である場合、当該SBRのビニル量を意味し、複数種である場合、平均ビニル量を意味する。
SBRの平均ビニル量は、Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])×各SBRのビニル量[質量%]}/Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])}で算出でき、例えば、ゴム成分100質量部中、スチレン量:40質量%、ビニル量:30質量%のSBRが75質量部、スチレン量:25質量%、ビニル量:20質量%のSBRが15質量部、残り10質量部がSBR以外である場合、SBRの平均ビニル量は、28質量%(={75×(100[質量%]-40[質量%])×30[質量%]+15×(100[質量%]-25[質量%])×20[質量%])}/{75×(100[質量%]-40[質量%])+15×(100[質量%]-25[質量%])}である。
【0028】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0029】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴム及びSBRの合計含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上で、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0030】
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B、LG Chem社製のBR1280等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0032】
なお、上述のBRのシス量は、BRが1種である場合、当該BRのシス量を意味し、複数種である場合、平均シス量を意味する。
BRの平均シス量は、{Σ(各BRの含有量×各BRのシス量)}/全BRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、シス量:90質量%のBRが20質量%、シス量:40質量%のBRが10質量%である場合、BRの平均シス量は、73.3質量%(=(20×90+10×40)/(20+10))である。
【0033】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0034】
ゴム成分は、オイルで伸展された油展ゴム、樹脂で伸展された樹脂伸展ゴムであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、油展ゴムが好ましい。
なお、油展ゴムに使用されるオイル、樹脂伸展ゴムに使用される樹脂は、後述の可塑剤で説明したものと同様である。また、油展ゴム中のオイル分、樹脂伸展ゴム中の樹脂分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
【0035】
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填材と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
【0036】
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0037】
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含む充填剤を含有する。
【0038】
前記ゴム組成物において、充填剤の含有量(総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上、特に好ましくは55質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0039】
カーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。カーボンブラックの原料は、リグニン、植物油等のバイオマス材料であってもよい。また、カーボンブラックの製造方法は、ファーネス法等の燃焼によるものであってもよいし、水熱炭化(HTC)によるものであってもよい。その他、鉱物油を燃焼させたカーボンブラック以外にリグニン由来のカーボンブラックや、タイヤ、ゴム製品を燃焼、精製して得たリサイクルカーボンを用いても良い。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
カーボンブラックの平均粒子径は、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは20nm以下、特に好ましくは18nm以下である。下限は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは12nm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0041】
特に、平均粒子径が20nm以下のカーボンブラックを用いた場合、効果がより良好に得られるが、このような効果が得られる理由は、ポリマーとカーボンブラック粒子の接触面積が向上することで、ゴムの補強性が向上し、耐カット性が向上するものと推察される。
【0042】
なお、本明細書において、カーボンブラックの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、カーボンブラック粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
【0043】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは35質量部以上であり、また、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、特に好ましくは52質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0044】
効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物において、充填剤100質量%中のカーボンブラック含有率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは23質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0045】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック以外に使用可能な充填剤としては、例えば、無機充填剤が好ましい。また、無機充填剤の他、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)等のナノセルロース;カーボンナノチューブなどの短繊維材料や、バイオ炭(バイオCHAR)なども使用できる。
【0046】
前記ゴム組成物において、無機充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、特に好ましくは40質量部以上であり、また、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0047】
無機充填剤としては、シリカ、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シリカが好ましい。
【0048】
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカの原料は、水ガラス(珪酸ソーダ)であってもよいし、もみ殻等のバイオマス材料であってもよい。市販品としては、EVONIK社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは150m/g以上、更に好ましくは200m/g以上である。また、該NSAは好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-81に準拠して測定できる。
【0050】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、特に好ましくは40質量部以上であり、また、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは55質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0051】
上記ゴム組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。市販されているものとしては、例えば、エボニックデグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは6質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、また、好ましくは16質量部以下、より好ましくは14質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0053】
前記ゴム組成物は、可塑剤を含んでもよい。
ここで、可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
【0054】
可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは0質量部である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0055】
ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは0質量部である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0057】
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。また、廃食油などを用いても良い。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
【0058】
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
【0059】
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
【0060】
ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
【0061】
上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは0質量部である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0062】
上記樹脂の軟化点は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。上記範囲内であると、ウェットグリップ性能などのタイヤ性能がより良好に得られる傾向がある。なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0063】
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
【0064】
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0065】
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
【0066】
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
【0067】
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
【0068】
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
【0069】
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
【0070】
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。
【0071】
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
【0072】
可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0073】
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0075】
上記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0077】
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは3.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0079】
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0080】
前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3.5質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0081】
上記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0082】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、また、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは2.8質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0083】
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0085】
上記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
【0086】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(質量%)、ゴム成分100質量部に対する充填剤の含有量(質量部)は、下記式(3)を満たす。
(3)充填剤の含有量>総スチレン量
充填剤の含有量/総スチレン量の下限は、好ましくは7.3以上、より好ましくは9.3以上、更に好ましくは10.0以上、特に好ましくは10.2以上である。充填剤の含有量/総スチレン量の上限は、好ましくは25.0以下、より好ましくは20.4以下、更に好ましくは15.3以下、特に好ましくは11.1以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0087】
効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(質量%)、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量(質量部)が、下記式を満たすことが望ましい。
カーボンブラックの含有量>総スチレン量
このような効果が得られる理由は、スチレンの周りにカーボンブラックを分散させることで、スチレンドメイン、及びゴム相(NR/SBR)の界面も補強される為、ポリマー相間での亀裂の発生も抑制され、耐チップカット性が向上するものと推察される。
【0088】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量/総スチレン量は、好ましくは2.8以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは5.6以上、特に好ましくは6.5以上である。上限は、好ましくは13.0以下、より好ましくは11.1以下、更に好ましくは9.6以下、特に好ましくは8.3以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0089】
効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(質量%)、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)が、下記式を満たすことが望ましい。
シリカの含有量>総スチレン量
このような効果が得られる理由は、スチレンの周りにシリカを分散させることで、スチレンドメイン、及びゴム相(NR/SBR)の界面も補強される為、ポリマー相間での亀裂の発生も抑制され、耐チップカット性が向上するものと推察される。
【0090】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量/総スチレン量は、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.3以上、更に好ましくは3.7以上、特に好ましくは4.6以上である。上限は、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.3以下、更に好ましくは8.0以下、特に好ましくは7.4以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0091】
効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物は、シリカを含み、かつシリカの含有量(ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量)>カーボンブラックの含有量(ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量)を満たすことが望ましい。
このような効果が得られる理由は、シリカ量をカーボン量より増やすことで、ゴムの柔軟性が得られ(伸び向上)、耐カット性が向上するものと推察される。
【0092】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量/カーボンブラックの含有量は、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは2.5以上、特に好ましくは2.7以上である。上限は、好ましくは15.0以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは5.0以下、特に好ましくは4.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0093】
効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物は、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)、前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量(質量%)が、下記式を満たすタイヤ。
150≦イソプレン系ゴムの含有量×総スチレン量≦550
このような効果が得られる理由は、イソプレン系ゴムの含有量×総スチレン量を所定範囲にすることで、ゴムの強度を高くしつつ、ゴム内部に形成されたスチレンドメインで衝撃を緩和させ易くなるため、ゴム内部で衝撃が緩和し、耐チップカット性が良好となると推察される。
イソプレン系ゴムの含有量×総スチレン量の下限は、好ましくは189以上、より好ましくは288以上、更に好ましくは300以上、特に好ましくは350以上、最も好ましくは378以上である。上限は、好ましくは525以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは420以下、特に好ましくは400以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0094】
上記ゴム組成物は、例えば、上述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
【0095】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~15分である。
【0096】
上記ゴム組成物は、トレッド(特に、走行時に路面に接する部分(キャップトレッド))に使用される。
【0097】
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、上記ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを得る。
【0098】
前記タイヤは、効果がより良好に得られる観点から、踏面側の外側部分と、外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分とを含む溝部(このような溝部を「フラスコグルーブ」とも称する)を有することが望ましい。
このような効果が得られる理由は、このような踏面側より内側の溝幅が大きい形状の溝部を備えることで、ゴムが変形しやすくなり、外部からの入力を逃がすことができるため、高い耐欠け性が付与されるものと推察される。
【0099】
なお、本明細書において、溝部とは、その深さの全範囲を対象としたときに最大幅が1.5mm以上の部分を含む凹部である溝、その深さの全範囲を対象としたときに最大幅が1.5mm未満の切り込みであるサイプの両者を含む概念である。
【0100】
図1は、踏面側の外側部分と、外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分とを含む溝部(フラスコグルーブ)を示す断面図の一例(溝部の横断面の一例)であるが、本発明は、特にこのような形態に限定されるものではない。
【0101】
溝5(溝部)は、トレッド部の踏面4a側に位置する第1部分7(踏面側の外側部分)と、第1部分7よりもタイヤ半径方向内側で第1部分7よりも大きい幅を有する第2部分8(外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分)とを含んでいる。溝5は、本実施形態では、第1部分7と第2部分8とでフラスコ状に形成されている。
【0102】
本実施形態の溝5は、トレッド部の新品から摩耗初期では、第1部分7が踏面4aに露出し、内部に相対的に大きな空洞を有することができるため、部分的にトレッド部の剛性を低下させ、その変形により、外部からの入力を緩和しやすくすることができることから、耐チップカット性が向上するものと考えられる。このような観点より、第1部分7の幅w1は、1.5mm未満で形成されることが好ましく、より好ましくは0.6~1.2mmである。また、トレッド部の摩耗終期では、第2部分8が踏面4aに露出するので、内部に適切な空洞を設ける観点から、相対的に大きな幅を有する溝としての機能を発揮して、排水性能を高く維持する。このような観点より、第2部分8の幅w2(最大幅)は、1.5mm以上で形成されることが好ましく、より好ましくは3~7mmである。
【0103】
第2部分8の幅(最大幅)w2は、ゴム欠けの防止などの観点から、第1部分7の幅w1の3.8~6.7倍であることが望ましい。
【0104】
第2部分8は、第2部分8の幅w2と第2部分8の深さh2との比(h2/w2)が、70~120%であることが望ましい。
【0105】
本実施形態では、第1部分7は、第1部分7の幅w1がタイヤ半径方向に等幅な第1等幅部7aを含んで形成されている。このような第1等幅部7aは、トレッド部のパターン剛性の低下を抑制して、操縦安定性能を高く維持する。
【0106】
第1部分7の溝深さh1は、効果がより良好に得られる観点から、溝5の溝深さHの0.30~0.56倍であることが好ましく、0.40~0.56倍であることがより好ましい。
【0107】
本実施形態の第2部分8は、幅w2がタイヤ半径方向内側に向かって漸増する第2漸増部8aと、幅w2が等幅(最大幅)でタイヤ半径方向に連続する第2等幅部8bとを含んでいる。このように、本実施形態の第2部分8は、上すぼみの六角形状で形成されている。
【0108】
なお、第2部分8は、このような態様に限定されるものではなく、横断面において、円形状や樽形状、タイヤ半径方向外側及び内側に向かって幅w2が漸増する砂時計形状、タイヤ半径方向内側に向かって溝幅が漸増する三角形状など、種々の形状が採用される。
【0109】
溝5の溝深さHは、例えば、6.0~6.6mm程度が望ましい。
【0110】
前記タイヤにおいて、効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(X(質量%))、並びに、踏面側の外側部分と、外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分とを含む溝部における前記内側部分の溝幅(Y(mm)、図1ではw2)が、下記式を満たすことが望ましい。
Y≧3.7-0.29X
このような効果が得られる理由は、ゴム成分中の総スチレン量が低下すると、耐カット性が低下してしまうが、前記内側部分の溝幅(Y)を大きくすることで、トレッドに柔軟性が生まれるので、ゴムが変形しやすくなり、耐カットが良好になるものと推察される。
Y+0.29Xは、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.6以上、更に好ましくは4.5以上、特に好ましくは5.1以上である。上限は、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.0以下、更に好ましくは5.7以下、特に好ましくは5.5以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0111】
Y(内側部分の溝幅)は、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.5mm以上、更に好ましくは3.0mm以上、特に好ましくは3.5mm以上である。上限は、好ましくは7.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは4.5mm以下、特に好ましくは4.0mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0112】
前記タイヤは、例えば、空気入りタイヤ、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等の様々なタイヤに用いることができる。
【0113】
前記タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤに使用可能であり、また、それぞれのウィンタータイヤ、スタッドレスタイヤとしても使用可能である。
【0114】
なかでも、重荷重用タイヤとして好適に使用できる。
なお、重荷重用タイヤとは、最大負荷能力が1400kg以上のものを指す。ここで、最大負荷能力とはそのタイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める最大負荷能力であり、例えば、JATMA規格(日本自動車タイヤ協会規格)であれば、ロードインデックス(LI)に基づく最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。そして、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。
【実施例0115】
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。
【0116】
以下に示す各種薬品を用いて表1に従って配合を変化させて得られるタイヤを検討して下記評価方法に基づいて算出した結果を表1に示す。
【0117】
(ゴム成分)
NR:TSR20
SBR1:下記製造例1(スチレン量:18質量%)
SBR2:Versalis社製のEuroprene SOL R C2525(スチレン量:25質量%、ビニル量24質量%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(ビニル量:1質量%、シス量:97質量%)
【0118】
(ゴム成分以外の薬品)
カーボンブラック1:N220(平均粒子径22nm)
カーボンブラック2:N134(平均粒子径18nm)
シリカ:EVONIK-DEGUSSA製のUltrasilVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5質量%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0119】
(製造例1)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、及び1,3-ブタジエンを仕込む。反応器の内容物の温度を20℃に調整し、その後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始する。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達する。重合転化率が99%に達する時点でブタジエンを追加し、更に5分重合させ、その後、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシランを変性剤として加えて15分間反応を行う。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加する。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥して変性SBRを得る。
【0120】
(実施例及び比較例)
表1に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得る。
次に、当該混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。
当該未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で30分間プレス加硫して試験用タイヤ(重荷重用タイヤ、サイズ:11R22.5)を得る。
【0121】
<耐チップカット性>
各試験用タイヤをトラックの前後輪に装着し、砂利の敷き詰めたコースを走行し、100km走行後のタイヤトレッド表面の外観(欠けの発生)を目視で観察する。比較例2を100とし、指数で表示する。指数が大きいほど、耐チップカット性に優れることを示す。
【0122】
【表1】
【0123】
本発明(1)は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含有するトレッドを備えたタイヤであって、
前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)及び総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記充填剤の含有量(質量部)が、下記式(1)~(3)を満たすタイヤである。
(1)イソプレン系ゴムの含有量>65質量%
(2)1.0質量%≦総スチレン量≦8.0質量%
(3)充填剤の含有量>総スチレン量
【0124】
本発明(2)は、踏面側の外側部分と、外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分とを含む溝を有する本発明(1)記載のタイヤである。
【0125】
本発明(3)は、前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量X(質量%)、前記内側部分の溝幅Y(mm)が、下記式を満たす本発明(1)又は(2)記載のタイヤである。
Y≧3.7-0.29X
【0126】
本発明(4)は、前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量(質量部)が、下記式を満たす本発明(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤである。
カーボンブラックの含有量>総スチレン量
【0127】
本発明(5)は、前記トレッドが、シリカを含み、かつシリカの含有量>カーボンブラックの含有量を満たす本発明(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤである。
【0128】
本発明(6)は、前記カーボンブラックが平均粒子径20nm以下のカーボンブラックを含む本発明(1)~(5)のいずれかに記載のタイヤである。
【0129】
本発明(7)は、前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量(質量%)、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量(質量部)が、下記式を満たす本発明(5)又は(6)記載のタイヤである。
シリカの含有量>総スチレン量
【0130】
本発明(8)は、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量(質量%)、前記ゴム成分100質量%中の前記総スチレン量(質量%)が、下記式を満たす本発明(1)~(7)のいずれかに記載のタイヤである。
300≦イソプレン系ゴムの含有量×総スチレン量≦420
【符号の説明】
【0131】
4a トレッド部の踏面
5 溝(溝部)
7 第1部分(踏面側の外側部分)
7a 第1等幅部
8 第2部分(外側部分よりもタイヤ半径方向内側に配され、かつ外側部分よりも溝幅が大きい内側部分)
8a 第2漸増部
8b 第2等幅部
w1 第1部分7の幅
w2 第2部分8の幅
h1 第1部分7の溝深さ
h2 第2部分8の深さ
H 溝5の溝深さ

図1