(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170095
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H01L29/78 617K
H01L29/78 616T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081571
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】原 賢志
(72)【発明者】
【氏名】王 ル
(72)【発明者】
【氏名】山下 史哲
【テーマコード(参考)】
5F110
【Fターム(参考)】
5F110AA04
5F110BB12
5F110CC02
5F110DD05
5F110DD13
5F110EE09
5F110EE22
5F110EE24
5F110GG02
5F110GG12
5F110HM12
(57)【要約】
【課題】
2つのMOSFETを逆接続した半導体装置(双方向アナログスイッチ)において、従来よりもサイズを低減できる構造を提供する。
【解決手段】
本発明の半導体装置は、第1のスイッチング素子100aと、第1のスイッチング素子100aにソースを共通として逆接続された第2のスイッチング素子100bと、を備える半導体装置において、第1のスイッチング素子100aおよび第2のスイッチング素子100bは共通のSOI基板上に形成されており、第1のスイッチング素子100aおよび第2のスイッチング素子100bの間に形成される素子分離領域4に、第1のスイッチング素子100aおよび第2のスイッチング素子100bの共通のトレンチゲート電極6を有することを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子に逆接続された第2のスイッチング素子と、を備える半導体装置において、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は共通のSOI基板上に形成されており、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の間に形成される素子分離領域に、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の共通のトレンチゲート電極を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子のソース層は、ドレイン層の長軸方向に対向する一方の領域にのみ設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子のソース層は、それぞれのドレイン層の3方向を囲む領域に形成することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、それぞれ2つ以上のスイッチング素子を並列に接続し構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、並列に接続される前記第1のスイッチング素子のひとつのスイッチング素子と、並列に接続される前記第2のスイッチング素子のひとつのスイッチング素子とが交互に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、両端に配置された前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子は、ソース層がドレイン層の長軸方向に対向する一方の領域にのみ設けられていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に2つのMOSFETを逆接続した双方向アナログスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
双方向アナログスイッチは、入力された信号の状態に応じて回路のオン/オフの切り替えを行う半導体装置である。具体的な構成例として、2つのMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)をドレインを共通として逆接続したものがある。このような構成を有する双方向アナログスイッチの例として、特許文献1がある。特許文献1には、第1のMOSスイッチM1と、第2のMOSスイッチM2と、M1およびM2のドレインとなるNウェル領域2とが設けられている双方向スイッチが開示されている。すなわち、M1とM2とはドレインを共通にして逆接続されている。また、Nウェル領域2は、第1トレンチ3内にゲート絶縁膜6を介して形成された第1ゲート電極71aと、第1トレンチ3と距離を置いて設けられた第2トレンチ3内にゲート絶縁膜6を介して形成された第2ゲート電極72aとの間の領域に形成されている。
【0003】
双方向アナログスイッチの他の具体的な構成例として、2つのMOSFETをソースを共通として逆接続したものがある。このような構成を有する双方向アナログスイッチの例として、特許文献2がある。特許文献2の
図1には、第1のMOSスイッチ16と、第2のMOSスイッチ17とがソースを共通にして逆接続されている双方向スイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-016221号公報
【特許文献2】特許第5485108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置(双方向アナログスイッチ)をSOI(Silicon on Insulator)基板上に形成する場合において、上記特許文献1の構成では、M1とM2の間に素子分離領域を設ける必要はないが、それぞれのソースおよびゲートは独立して配置し、ゲートを駆動する回路をそれぞれ設ける必要があるため半導体装置のサイズを大きくしてしまうという課題があった。
【0006】
一方、上記特許文献2の構成では、16および17のソースおよびゲートを接続し、ゲートを駆動する回路を共通化することが可能であるが、16および17の素子を分離する素子分離領域をそれぞれに設ける必要となり、この素子分離領域が半導体装置のサイズを大きくしてしまうという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、2つのMOSFETを逆接続した半導体装置(双方向アナログスイッチ)において、従来よりもサイズを低減できる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、SOI基板上に形成された第1のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子にソースを共通として逆接続されSOI基板上に形成された第2のスイッチング素子と、を備える半導体装置において、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の間に形成される素子分離領域に、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の共通のトレンチゲート電極を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2つのMOSFETを逆接続した半導体装置(双方向アナログスイッチ)において、2つのMOSFETのゲートを共通にするトレンチゲート構造を設け、これを素子分離領域とするため、さらに素子分離領域を設ける必要が無く、従来よりもサイズを低減した構造を提供できる。
【0010】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0013】
図1は半導体装置(双方向アナログスイッチ)の一例を示す回路図である。なお、本発明において「半導体装置」とは、2つ以上のMOSFETが逆接続された双方向アナログスイッチのことを示すものとする。
図1に示すように、半導体装置は、第1のスイッチング素子100aおよび第2にスイッチング素子100bを有し、第1のスイッチング素子100aおよび第2にスイッチング素子100bが、ゲートおよびソースを共通にして、直列に逆接続されている。
【0014】
ここで、SOI基板上に形成された従来の半導体装置の構成について説明する。
図2は従来の半導体装置の構造の一例を示す平面図であり、
図3は
図2のE-E´線断面図である。従来の双方向アナログスイッチを構成するスイッチング素子の大まかな構成は、
図2および
図3に示すように、支持基板1と、埋込酸化膜2と、半導体基板3が積層されており、半導体基板3の上部にスイッチング素子のソース領域、ドレイン領域となる層が設けられている。
図2および
図3に示す半導体装置は、スイッチング素子として第1のスイッチング素子100aと第2のスイッチング素子100bとを有し、第1のスイッチング素子100aおよび第2のスイッチング素子100bのそれぞれが素子分離領域4を有している。素子分離領域4は、絶縁膜10と、絶縁膜10に挟まれたポリシリコン11で構成されている。
【0015】
第1のスイッチング素子100aおよび第2のスイッチング素子100bのそれぞれの中央付近には、ドレインn+層(ドレイン層)9と、それに接続されたドレイン配線13a,13bを有し、ドレインn+層9から所定の距離L1離れた領域にソースp層(ソース層)7を有し、ソースp層7の上部にゲート酸化膜5とゲート電極6が配置されている。ソースp層7内に形成されたそれぞれのソースn+層8およびソースp+層7aが共通のソース配線12により接続され、それぞれのゲート電極6が共通のゲート配線14で接続されている。
【0016】
上述した従来の双方向アナログスイッチの構成では、第1のスイッチング素子100aおよび第2のスイッチング素子100bのそれぞれの素子分離領域4の間に間隔を設ける必要があること、ゲート電極6を、ドレイン電極とソース電極をまたいで横方向に形成する必要があることから、素子サイズが大きくなるという課題があった。
【0017】
また、素子外部ではそれぞれの素子を接続するため、ソース配線およびゲート配線を引き回す必要があり配線領域が広くなる、また多層配線構造とする必要がありプロセスコストが高くなるという課題もあった。
【0018】
次に、上述した従来の課題を解決する本発明の半導体装置の構成を説明する。
図4は実施例1の半導体装置の構造を示す平面図であり、
図5は
図4のA-A´線断面図である。実施例1の半導体装置は、直列に逆接続されたスイッチング素子100a、100bを共通の素子分離領域4で取り囲み、さらに素子分離領域4の酸化膜をゲート酸化膜5、素子分離領域4の酸化膜5に挟まれた埋込ポリシリコンをゲート電極6とすることにある。すなわち、本実施例では、第1のスイッチング素子100aのゲート電極および第2のスイッチング素子100bのゲート電極を共通のトレンチゲート構造としている。
【0019】
これにより、従来の双方向アナログスイッチ構造で必要であったそれぞれのスイッチング素子の素子分離領域の間の領域を削減可能である。更に従来構造でそれぞれの素子に形成されていたゲート電極を共通化でき、かつチャネル領域を素子の深さ方向に形成することで素子サイズを低減可能である。例えば、
図3に示すソースp層7とドレインn+層9の距離をL1、素子分離領域4からソースp層7の端部までの距離をL2とする。従来構造では、ドレイン電極-ソース電極間にゲート電極(またはチャネル領域)を形成する領域が必要となる。一方、
図5に示す実施例1の構造では、
図3の構造と同等耐圧とした場合、ソースp層7とドレインn+層9の距離はL1となるが、ゲート電極は素子分離領域4に形成され、チャネル領域は素子分離領域4に沿って形成されるため、素子分離領域4からソースp層7端部までの距離L3はL2より短くすることが可能である。従って、素子サイズを低減可能である。
【0020】
また、
図4に示す実施例1の構成は、
図2に示す従来の構成のようにゲート配線14を素子外部で引き回す必要がないため、従来構造と比較して素子外部の配線領域を削減することが可能で、多層配線構造も不要となる。