(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170098
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/18 20060101AFI20231124BHJP
B65H 19/22 20060101ALI20231124BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231124BHJP
B41J 15/16 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B65H19/18
B65H19/22
G03G15/00 410
B41J15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081574
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】直井 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 翔
(72)【発明者】
【氏名】宗田 唱
【テーマコード(参考)】
2C060
2H072
3F064
【Fターム(参考)】
2C060CB03
2C060CB04
2H072HA04
3F064AA01
3F064AA03
3F064AA08
3F064BB17
3F064FA04
(57)【要約】
【課題】装置のダウンタイムを低減可能な画像形成装置及び画像形成装置の制御方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、第1ロールから繰り出されて第2ロールに巻き取られるよう搬送される連続媒体に対して、連続媒体に張力が付与された状態で、画像を形成する本体部と、第1ロール及び第2ロールの少なくとも一方を交換するための操作の際に、本体部における連続媒体の張力を維持する張力維持機構と、を備える。本体部は、操作の際に、張力が保たれている間に画像形成の予備動作を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロールから繰り出されて第2ロールに巻き取られるよう搬送される連続媒体に対して、前記連続媒体に張力が付与された状態で、画像を形成する本体部と、
前記第1ロール及び前記第2ロールの少なくとも一方を交換するための操作の際に、前記本体部における前記連続媒体の前記張力を維持する張力維持機構と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記操作の際に、前記張力が保たれている間に画像形成の予備動作を実行する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記張力維持機構は、
前記連続媒体に所定の張力を付与する張力付与部と、
前記所定の張力が前記連続媒体に付与された状態で前記連続媒体を保持する保持部と、
を有する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記連続媒体を搬送する搬送方向における前記連続媒体において、前記本体部より上流側及び下流側の少なくとも一方を保持する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記連続媒体を間に挟んで搬送するニップローラーを有する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記連続媒体を切断又は前記連続媒体同士を接続する際に、前記連続媒体をクランプでテーブル上に押さえつけるスプライステーブルを備え、
前記保持部は、前記クランプを有する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記本体部における前記連続媒体の前記張力を検知する張力検知部を備え、
検知された前記張力が異常である場合、前記張力維持機構は、前記操作に応じた前記張力を維持する動作を終了する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記張力維持機構は、前記連続媒体の張力を制御する張力制御部をさらに備え、
前記張力制御部は、前記連続媒体を搬送する搬送方向において、前記保持部より前記本体部側に配置される、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記張力制御部は、上下動可能に設けられ、自重を前記連続媒体に付与するダンサーローラーを有する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ダンサーローラーが上下動する範囲の最下部又は最上部にある場合、前記張力が異常と検知する張力検知部を備える、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
操作によるユーザーの指示に基づいて、前記画像形成装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記ユーザーの指示により、前記第1ロール及び前記第2ロールの少なくとも一方を交換するためのロール交換状態に移行した場合、画像形成の予備動作を許可する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記画像の形成を開始可能な画像形成可能状態である場合、前記ユーザーの指示により、前記ロール交換状態に移行する、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記張力維持機構は、
前記連続媒体に所定の張力を付与する張力付与部と、
前記所定の張力が前記連続媒体に付与された状態で前記連続媒体を保持する保持部と、
を有し、
前記制御部は、前記画像形成可能状態から前記ロール交換状態に移行する際に、前記保持部を動作させて、前記連続媒体を保持させた後、前記張力付与部による張力の付与を停止させる、
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記ロール交換状態である場合、前記ユーザーの指示により、前記画像の形成を開始可能な画像形成可能状態に移行する、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記張力維持機構は、
前記連続媒体に所定の張力を付与する張力付与部と、
前記所定の張力が前記連続媒体に付与された状態で前記連続媒体を保持する保持部と、
を有し、
前記制御部は、前記ロール交換状態から前記画像形成可能状態に移行する際に、前記張力付与部による張力の付与を開始させた後、前記保持部を動作させて、前記連続媒体の保持を解除する、
請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記張力維持機構は、
前記連続媒体に所定の張力を付与する張力付与部と、
前記所定の張力が前記連続媒体に付与された状態で前記連続媒体を保持する保持部と、
を有し、
前記制御部は、前記ロール交換状態において、前記張力に異常がある場合、前記ロール交換状態を解除し、前記保持部を動作させて、前記連続媒体の保持を解除し、前記張力付与部による張力の付与を停止させる、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項17】
第1ロールから繰り出されて第2ロールに巻き取られるよう搬送される連続媒体に対して、前記連続媒体に張力が付与された状態で、本体部により画像を形成する画像形成装置において、
前記第1ロール及び前記第2ロールの少なくとも一方を交換するための操作の際に、前記本体部における前記連続媒体の前記張力を維持するよう張力維持機構を動作させる、
画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式等の画像形成装置には、ロール紙や連続帳票等の連続媒体をロール・ツー・ロール(roll-to-roll)で搬送し、搬送された連続媒体に画像を形成するものがある。
【0003】
上述した画像形成装置においては、搬送経路に沿って連続媒体を搬送できるように、連続媒体に所定の張力を付与して搬送している。これにより、連続媒体が搬送経路以外の部分に入り込むことを防止している。
【0004】
例えば、電子写真方式やインクジェット方式等の画像形成装置において、連続媒体が搬送経路以外の部分に入り込んでしまうと、ジャム等の搬送トラブルが生じる可能性がある。また、電子写真方式の画像形成装置は、形成された画像を定着させる定着部を有しており、定着部の高温部分に連続媒体が入り込んでしまうと、連続媒体が変形したり、変色したりする可能性がある。
【0005】
以上のような問題が生じないように、連続媒体に所定の張力を付与して搬送しており、また、連続媒体に所定の張力を付与している場合のみ、定着部を所定の温度に制御して、画像形成を行ったりしている。
【0006】
上述した画像形成装置は、その装置本体に連続媒体を供給する供給ロールや装置本体に供給された連続媒体を巻き取る巻き取りロールを有している。供給ロールは、例えば、供給ロールにおける連続媒体の残量等に応じて交換され、また、巻き取りロールは、例えば、巻き取りロールにおける連続媒体の巻き取り量に等に応じて交換される。
【0007】
上述した画像形成装置において、供給ロールや巻き取りロールのロール交換時には、供給ロールや巻き取りロールの近傍で連続媒体が切断されるので、連続媒体に所定の張力を付与できない状態となる。このように、連続媒体に所定の張力を付与できない場合、特許文献1に開示された画像形成装置では、連続媒体の変形等を低減するため、定着部を停止状態としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したように、ロール交換時には、連続媒体に所定の張力を付与できない状態となるので、画像形成に係る構成、例えば、定着部等を停止状態としている。画像形成に係る構成を停止状態としたので、ロール交換後に、画像形成に係る構成が安定化するための予備動作(例えば、定着部を所定温度に昇温するウォームアップ等)が必要となる。予備動作は完了するまでに長い時間待つ必要があり、ロール交換後に予備動作を行うと、装置のダウンタイムが長くなる。そのため、ロール交換時において、画像形成に係る構成を停止状態とすることなく、予備動作を実施可能として、装置のダウンタイムを低減することが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、装置のダウンタイムを低減可能な画像形成装置及び画像形成装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、
第1ロールから繰り出されて第2ロールに巻き取られるよう搬送される連続媒体に対して、前記連続媒体に張力が付与された状態で、画像を形成する本体部と、
前記第1ロール及び前記第2ロールの少なくとも一方を交換するための操作の際に、前記本体部における前記連続媒体の前記張力を維持する張力維持機構と、
を備える。
【0012】
本発明に係る画像形成装置の制御方法は、
第1ロールから繰り出されて第2ロールに巻き取られるよう搬送される連続媒体に対して、前記連続媒体に張力が付与された状態で、本体部により画像を形成する画像形成装置において、
前記第1ロール及び前記第2ロールの少なくとも一方を交換するための操作の際に、前記本体部における前記連続媒体の前記張力を維持するよう張力維持機構を動作させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置のダウンタイムを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図であり、当該装置の印刷待機状態を示す図である。
【
図2】
図1に示した画像形成装置の印刷状態を示す図である。
【
図3】
図1に示した画像形成装置のロール交換状態を示す図である。
【
図4】
図1に示した画像形成装置の定常状態を示す図である。
【
図5】
図1に示した画像形成装置の制御系の主要部を示すブロック図である。
【
図6】
図1に示した画像形成装置における各装置状態への移行を説明する図である。
【
図7】
図1に示した画像形成装置において、印刷待機状態からロール交換状態への移行を説明するフローチャートである。
【
図8】
図7に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、保持部に連続媒体を保持させた場合の画像形成装置の供給部を示す図である。
【
図9】
図7に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、張力付与部のモーターの回転を停止させた場合の画像形成装置の供給部を示す図である。
【
図10】
図7に示したフローチャートとは異なる順序で行った場合の画像形成装置の供給部を示す図である。
【
図11】
図1に示した画像形成装置において、ロール交換状態から印刷待機状態への移行を説明するフローチャートである。
【
図12】
図11に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、張力付与部のモーターを回転させて、連続媒体に張力を付与した場合の画像形成装置の供給部を示す図である。
【
図13】
図11に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、保持部での連続媒体の保持を解除させた場合の画像形成装置の供給部を示す図である。
【
図14】
図11に示したフローチャートと異なる順序で行った場合の画像形成装置の供給部を示す図である。
【
図15】
図1に示した画像形成装置において、ロール交換状態から定常状態への移行を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[画像形成装置の構成]
図1~
図4は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図であり、それぞれ、その印刷待機状態、印刷状態、ロール交換状態、定常状態を示す図である。また、
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示すブロック図である。
【0017】
画像形成装置1は、例えば、連続した用紙、布(布帛)、樹脂等からなる記録媒体である連続媒体Sに画像を形成可能なものである。そのため、画像形成装置1は、
図1~
図4に示すように、画像形成装置本体100(本発明における本体部)と供給部70と回収部80とを備える。供給部70は、ロール状に巻回された連続媒体Sを画像形成装置本体100へ供給し、回収部80は、画像形成装置本体100からの連続媒体Sをロール状に回収する。
【0018】
画像形成装置本体100は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。即ち、画像形成装置本体100は、感光体上に形成されたCMYKの各色のトナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、連続媒体Sに二次転写することにより、画像を形成する。なお、CMYKは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のことである。
【0019】
画像形成装置本体100には、一例として、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色のトナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0020】
画像形成装置1は、
図5に示すように、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、定着部60、供給部70、回収部80、制御部200、通信部211、記憶部212等を備える。
【0021】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202及びRAM(Random Access Memory)203等を備える。CPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部212に格納されているLUT(Look Up Table)等の各種データが参照される。記憶部212は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0022】
制御部200は、通信部211を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部200は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて連続媒体Sに画像を形成する。通信部211は、例えば、LANカード等の通信制御カードで構成される。
【0023】
制御部200には、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、定着部60、供給部70、回収部80、通信部211、記憶部212が、それぞれ接続されている。これらは、制御部200の指示に基づいて所定の処理を実行する。
【0024】
画像形成装置本体100において、操作表示部20は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
【0025】
画像処理部30は、例えば、外部の装置から送信された入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じた所定の画像処理を行う回路等を備える。画像処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0026】
なお、画像形成装置本体100は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置及び原稿画像走査装置(スキャナー)等を有する画像読取部を備えていてもよい。自動原稿給紙装置は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置へ送り出す。原稿画像走査装置は、自動原稿給紙装置から搬送された原稿を光学的に走査して、原稿画像を読み取る。そして、画像読取部は、原稿画像走査装置による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この場合、画像処理部30は、画像読取部で生成された入力画像データに対して、上述した所定の画像処理を行えばよい。
【0027】
画像形成部40は、画像形成ユニット41、中間転写ユニット42、二次転写ユニット43等を備える。画像処理部30からの画像データに基づいて、画像形成ユニット41Yは、Y成分の有色トナーによる画像を形成する。同様に、画像形成ユニット41Mは、M成分の有色トナーによる画像を形成し、画像形成ユニット41Cは、C成分の有色トナーによる画像を形成し、画像形成ユニット41Kは、K成分の有色トナーによる画像を形成する。
【0028】
画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。具体的には、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、各々、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、ドラムクリーニング装置415等を有する。なお、
図1~
図4において、画像形成ユニット41M、41C、41Kにおける露光装置、現像装置、感光体ドラム、帯電装置、ドラムクリーニング装置への符号は省略する。また、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、ドラムクリーニング装置415としては、公知の技術を採用することができるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0029】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421等を備える。中間転写ベルト421は、複数の支持ローラーにループ状に張架され、矢印A方向(
図2を参照)に走行する。複数の支持ローラーとしては、バックアップローラー、一次転写ローラー、駆動ローラー等のローラーを有しているが、ここでは、これらの図示を省略する。中間転写ベルト421は感光体ドラム413に圧接されており、これにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写する。
【0030】
なお、中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421の表面に摺接する板状のベルトクリーニングブレード等を有するベルトクリーニング装置を備えた構成でもよい。ベルトクリーニング装置は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナー等を除去する。
【0031】
二次転写ユニット43は、二次転写ローラー431等を備える。二次転写ローラー431は、中間転写ベルト421に圧接されている。これにより、中間転写ベルト421と二次転写ローラー431との間に二次転写ニップが形成される。
【0032】
二次転写ユニット43においては、二次転写ニップに連続媒体Sが搬送されると、中間転写ベルト421に担持されている各色のトナー像が連続媒体S上に一括転写される。トナー像が転写された連続媒体Sは、二次転写ローラー431によって、定着部60に向けて搬送される。
【0033】
なお、二次転写ユニット43としては、二次転写ローラー431等を有するローラー式の二次転写ユニットに代えて、複数の支持ローラーに張架された二次転写ベルト等を有するベルト式の二次転写ユニットでもよい。
【0034】
搬送部50は、一部の図示を省略しているが、複数の搬送ローラー51、52や搬送ガイド等から構成されている。搬送部50は、供給部70から供給された連続媒体Sを、画像形成部40(二次転写ニップ)及び定着部60に搬送し、画像形成部40(二次転写ニップ)及び定着部60を経て画像形成された連続媒体Sを、回収部80へ搬送する。
【0035】
定着部60は、定着ローラー61、加圧ローラー62等を備える。定着ローラー61、加圧ローラー62は、それぞれが上下動して、連続媒体Sから離間したり、連続媒体Sを挟持したりするよう構成されている。
【0036】
定着ローラー61は、所定の定着温度に加熱されており、加圧ローラー62は、定着ローラー61との間で連続媒体Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。この定着部60では、トナー像が二次転写されて搬送されてきた連続媒体Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、連続媒体Sにトナー像を定着させている。
【0037】
供給部70は、連続媒体Sを搬送する搬送方向T(
図2を参照)において、画像形成装置本体100よりも上流側に配置される。供給部70は、第1ロール71、張力付与部72、張力制御部73、張力検知部74、スプライステーブル75、従動ローラー76等を備える。
【0038】
供給部70の構成及び動作については後述するが、供給部70は、第1ロール71に巻回された連続媒体Sを所定の張力を付与した状態で繰り出して、連続媒体Sを画像形成装置本体100へ供給するよう構成されている。
【0039】
回収部80は、搬送方向Tにおいて、画像形成装置本体100よりも下流側に配置される。回収部80は、第2ロール81、張力付与部82、張力制御部83、張力検知部84、ニップローラー85等を備える。
【0040】
回収部80の構成及び動作についても後述するが、回収部80は、画像形成装置本体100で画像形成されて排出された連続媒体Sを所定の張力を付与した状態で第2ロール81に巻き取って、連続媒体Sを回収するよう構成されている。
【0041】
供給部70は、所定の張力を付与した状態で第1ロール71から連続媒体Sを繰り出し、回収部80は、所定の張力を付与した状態で連続媒体Sを第2ロール81に巻き取り、このようにして、連続媒体Sは搬送される。このようにして、張力が付与された状態で搬送される連続媒体Sに対して、画像形成装置本体100は画像を形成する。
【0042】
ところで、従来の画像形成装置においては、上述したように、ロール交換時に、連続媒体に所定の張力を付与できない状態となるので、画像形成に係る構成、例えば、定着部等を停止状態としていた。画像形成に係る構成を停止状態としたので、ロール交換後に、画像形成に係る構成が安定化するためのウォームアップ等の予備動作が必要となる。予備動作は完了するまでに長い時間待つ必要があり、ロール交換後に予備動作を行うと、装置のダウンタイムが長くなる。そのため、ロール交換時において、画像形成に係る構成を停止状態とすることなく、予備動作を実施可能として、装置のダウンタイムを低減することが望まれていた。
【0043】
そこで、本実施の形態において、画像形成装置1は、第1ロール71及び第2ロール81の少なくとも一方を交換するための操作の際に、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を維持する張力維持機構701、801を備えるようにしている。第1ロール71及び第2ロール81の少なくとも一方を交換するための操作は、例えば、以下に説明するロール交換状態へ移行する操作である。張力維持機構701、801は、以下に説明する張力付与部と保持部とを少なくとも有する構成である。また、張力維持機構701、801は、以下に説明する張力制御部を更に有する構成でもよい。
【0044】
詳細は以下に説明するが、本実施の形態において、張力付与部としては、供給部70の張力付与部72、回収部80の張力付与部82を用いる。また、保持部としては、供給部70のスプライステーブル75における保持部751(第1クランプ75a、テーブル75c)を用いる。また、保持部としては、回収部80のニップローラー85における保持部851(第1ニップローラー85a、第2ニップローラー85b)を用いる。また、張力制御部としては、供給部70の張力制御部73、回収部80の張力制御部83を用いる。
【0045】
[供給部及び回収部の構成、動作]
供給部70及び回収部80の構成や動作について、
図1~
図4を参照して説明を行う。
【0046】
上述したように、供給部70は、第1ロール71、張力付与部72、張力制御部73、張力検知部74、スプライステーブル75、従動ローラー76等を備える。そして、供給部70は、第1ロール71に巻回された連続媒体Sを所定の張力を付与した状態で繰り出して、連続媒体Sを画像形成装置本体100へ供給するよう構成されている。
【0047】
また、回収部80は、第2ロール81、張力付与部82、張力制御部83、張力検知部84、ニップローラー85等を備える。そして、回収部80は、画像形成装置本体100で画像形成されて排出された連続媒体Sを所定の張力を付与した状態で第2ロール81に巻き取って、連続媒体Sを回収するよう構成されている。
【0048】
供給部70の張力付与部72及び回収部80の張力付与部82は、連続媒体Sの両端部側から連続媒体Sに所定の張力を付与するものである。
【0049】
供給部70の張力付与部72は、図示は省略するが、回転駆動軸、クラッチ、モーター等を有し、これらは、制御部200により制御される。第1ロール71は、連続媒体Sが巻回されたロール状のものであり、回転駆動軸に対して、取り付け、取り外し可能な構成である。
【0050】
回転駆動軸は、その外周に取り付けられる第1ロール71を回転可能に保持するものであり、印刷待機状態(
図1を参照)及び印刷状態(
図2を参照)においては、連続媒体Sを引っ張る方向(巻き取る方向)に回転する。引っ張る方向は、
図1及び
図2においては、時計回りの方向(点線矢印を参照)である。
【0051】
回転駆動軸は、クラッチを介して、モーターにより回転駆動される構成である。クラッチは、モーターから回転駆動軸への回転を伝達又は遮断するものであり、例えば、パウダークラッチである。
【0052】
パウダークラッチは、そのトルクが所定のトルク未満の場合は、その入力側と出力側とを連結させて、モーターからの回転を回転駆動軸へ伝達する。一方、パウダークラッチは、そのトルクが所定のトルク以上の場合は、その入力側と出力側との間を非連結として、モーターから回転駆動軸への回転の伝達を遮断する。
【0053】
モーターは、連続媒体Sを引っ張る方向に回転しており、パウダークラッチは、そのトルクが所定のトルク未満か否かで、連結又は非連結となる。従って、モーターは、パウダークラッチを介して、所定のトルクで連続媒体Sを引っ張ることになり、連続媒体Sには所定の張力が付与されることになる。
【0054】
回収部80の張力付与部82は、供給部70の張力付与部72と同様の構成であり、図示は省略するが、回転駆動軸、クラッチ、モーター等を有し、これらも、制御部200により制御される。第2ロール81は、連続媒体Sをロール状に巻き取るものであり、回転駆動軸に対して、取り付け、取り外し可能な構成である。
【0055】
回転駆動軸は、その外周に取り付けられる第2ロール81を回転可能に保持するものであり、印刷待機状態及び印刷状態においては、連続媒体Sを引っ張る方向(巻き取る方向)に回転する。引っ張る方向は、
図1及び
図2においては、反時計回りの方向(点線矢印を参照)である。
【0056】
回転駆動軸も、パウダークラッチを介して、モーターにより回転駆動される構成である。このような構成により、モーターは、パウダークラッチを介して、所定のトルクで連続媒体Sを引っ張ることになり、連続媒体Sには所定の張力が付与されることになる。
【0057】
供給部70の張力制御部73、回収部80の張力制御部83は、連続媒体Sにおける張力を制御して、所定の張力に安定させるものである。
【0058】
連続媒体Sは、その両端部において、上述した張力付与部72、82により所定の張力が付与される。また、供給部70、回収部80及び画像形成装置本体100は、連続媒体Sを搬送したり、搬送案内したりする多数のローラー(搬送ローラー51、52、従動ローラー76等)を有している。多数のローラーを介しても、張力付与部72、82から離れた位置において、例えば、画像形成装置本体100を含む区間SCにおいて、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させるため、張力制御部73、83が設けられている。
【0059】
張力制御部73は、搬送方向Tにおいて(
図2参照)、画像形成装置本体100より上流側に配置され、保持部751を有するスプライステーブル75より下流側に配置されている。
【0060】
張力制御部73は、ガイドローラー73a、73b、ダンサーローラー73c等を有する。ガイドローラー73a、73bは、搬送方向Tにおいて、ダンサーローラー73cの上流側、下流側にそれぞれ配置される。ダンサーローラー73cは、所定の重量(自重、又は、所定の重量の錘)を有し、所定の可動範囲内を上下動可能に構成されている。
【0061】
ガイドローラー73a、73bは、連続媒体Sの下面に接し、ガイドローラー73aとガイドローラー73bとの間に配置されたダンサーローラー73cは、連続媒体Sの上面に接して、連続媒体Sを搬送するよう構成されている。そのため、ガイドローラー73aとガイドローラー73bとの間において、連続媒体Sはダンサーローラー73cの重量により下方に引っ張られることになり、これにより、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させることができる。
【0062】
張力制御部83は、搬送方向Tにおいて、画像形成装置本体100より下流側に配置され、保持部851を有するニップローラー85より上流側に配置されている。
【0063】
張力制御部83も、張力制御部73と同様に、ガイドローラー83a、83b、ダンサーローラー83c等を有し、張力制御部73と同様の構成により、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させることができる。
【0064】
このように、搬送方向Tにおいて、画像形成装置本体100の上流側、下流側のそれぞれに張力制御部73、83が配置されているので、張力制御部73と張力制御部83との間の区間SCにおいて、連続媒体Sの張力を所定の張力に安定させることができる。
【0065】
張力制御部73、83には、連続媒体Sの張力を検知する張力検知部74、84がそれぞれ設けられている。張力検知部74、84は、例えば、近接センサーであり、ここでは、ダンサーローラー73c、83cの可動範囲の最下部の近傍に配置されている。
【0066】
連続媒体Sの張力が緩んだり、失われたりすると、ダンサーローラー73c、83cの重量により、ダンサーローラー73c、83cが下方に移動する。近接センサーは、可動範囲の最下部の近傍に移動したダンサーローラー73c、83cを検知することにより、連続媒体Sの張力が低いこと(張力の異常)を検知する。
【0067】
また、張力検知部74、84として、ダンサーローラー73c、83cの可動範囲の最上部の近傍に近接センサーを配置してもよい。この場合、トラブル等により、連続媒体Sの張力が所定の張力より高くなると、その張力により、ダンサーローラー73c、83cが上方に移動する。近接センサーは、可動範囲の最上部の近傍に移動したダンサーローラー73c、83cを検知することにより、連続媒体Sの張力が高いこと(張力の異常)を検知する。
【0068】
このような張力異常の場合、制御部200は、例えば、連続媒体Sの搬送自体を停止して、張力異常(張力低下、張力超過等)のエラーメッセージをユーザーに通知する。また、制御部200は、連続媒体Sの張力を維持する動作を終了するようにしてもよい。
【0069】
なお、ここでは、張力検知部74、84として、近接センサーを例示したが、連続媒体Sの張力(又は、張力に相関する物理量)を検知するセンサーであれば、どのようなセンサーでも使用可能である。例えば、張力検知部74、84としては、ダンサーローラー73c、83cの上下動の位置に基づいて、張力を検知するものも使用可能である。
【0070】
供給部70のスプライステーブル75は、第1ロール71の交換の際の連続媒体Sの切断や連続媒体S同士の接続に用いられるものである。スプライステーブル75は、第1クランプ75a、第2クランプ75b、テーブル75c等を備える。
【0071】
第1クランプ75a及び第2クランプ75bの動作については、後述の
図3に示すロール交換状態において説明を行うが、制御部200の制御により、それぞれが上下動可能に構成されている。例えば、スプライステーブル75の使用時以外は、第1クランプ75a及び第2クランプ75bは、上方の位置に移動されて、テーブル75cから上方に離間している(例えば、
図1等を参照)。
【0072】
また、スプライステーブル75の使用時には、第1クランプ75a及び第2クランプ75bの一方又は両方は、下方の位置に移動されて、連続媒体Sをテーブル75c上に押さえつける。これにより、第1クランプ75a、第2クランプ75bは、テーブル75cとの間に連続媒体Sを挟み込んで、連続媒体Sを保持するようにしている(例えば、
図3を参照)。
【0073】
本実施の形態においては、後述の
図3で説明するように、スプライステーブル75の第1クランプ75a及びテーブル75cを保持部751として用いる。第1ロール71の交換の間、保持部751(第1クランプ75a及びテーブル75c)により、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を保つよう連続媒体Sを保持する。このとき、保持部751は、所定の張力が連続媒体Sに付与された状態で連続媒体Sを保持する。
【0074】
回収部80のニップローラー85は、連続媒体Sの搬送に用いられるものである。ニップローラー85は、第1ニップローラー85a、第2ニップローラー85b等を備える。
【0075】
第1ニップローラー85a、第2ニップローラー85bの動作については、後述の
図1~
図4において説明を行うが、制御部200の制御により、それぞれが上下動可能に構成されている。また、制御部200の制御により、第1ニップローラー85a及び第2ニップローラー85bの少なくとも一方が回転駆動して、連続媒体Sを搬送方向T(
図2を参照)へ搬送するよう構成されている。
【0076】
例えば、第1ニップローラー85aを下方に移動させ、第2ニップローラー85bを上方に移動させて、これらの間に連続媒体Sを挟持させる(
図1、
図3を参照)。また、第1ニップローラー85a及び第2ニップローラー85bの間に連続媒体Sを挟持させた状態で、これら回転駆動させて、連続媒体Sを搬送する(
図2)。また、第1ニップローラー85aを上方に移動させ、第2ニップローラー85bを下方に移動させて、これらを連続媒体Sから離間させる(
図4を参照)。
【0077】
本実施の形態においては、後述の
図3で説明するように、ニップローラー85の第1ニップローラー85a、第2ニップローラー85bを保持部851として用いる。第2ロール81の交換の間、保持部851(第1ニップローラー85a及び第2ニップローラー85b)により、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を保つよう連続媒体Sを保持する。このとき、保持部851は、所定の張力が連続媒体Sに付与された状態で連続媒体Sを保持する。
【0078】
[画像形成装置の装置状態]
次に、
図1~
図4を参照して、画像形成装置1の印刷待機状態、印刷状態、ロール交換状態及び定常状態を説明する。
【0079】
[印刷待機状態]
図1は、画像形成装置1の印刷待機状態を示す図である。印刷待機状態(本発明における画像形成可能状態)は、画像形成装置1において、連続媒体Sへの画像形成(印刷)を開始可能な状態であり、ユーザーからの指示(後述の
図6に示す印刷指示)があれば、連続媒体Sへの画像形成(印刷)を開始する。
【0080】
印刷待機状態において、画像形成部40は、制御部200からの指示があれば、画像形成に係る構成を安定化させる動作確認等の予備動作が実施可能である。また、定着部60の定着ローラー61及び加圧ローラー62は、互いに離間して、連続媒体Sから離間した状態であるが、制御部200からの指示があれば、連続媒体Sを挟持可能であり、これらを安定化させるウォームアップ等の予備動作が実施可能である。
【0081】
また、印刷待機状態において、スプライステーブル75の第1クランプ75a及び第2クランプ75bは、テーブル75cから上方に離間している。つまり、連続媒体Sは、第1クランプ75a及び第2クランプ75bとテーブル75cとの間に保持されていない状態である。
【0082】
また、印刷待機状態において、第1ニップローラー85aと第2ニップローラー85bとの間に、つまり、保持部851に連続媒体Sが保持されているが、ニップローラー85は回転駆動しておらず、連続媒体Sは搬送されていない状態である。
【0083】
また、印刷待機状態において、パウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第1ロール71は回転していないが、張力付与部72のモーター及びパウダークラッチの入力側は連続媒体Sを引っ張る方向に回転している。そのため、パウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第1ロール71は、張力付与部72のモーター及びパウダークラッチの入力側の回転により、所定のトルクで引っ張られる状態である。これにより、張力付与部72は、第1ロール71とニップローラー85との間の区間SAにおいて、搬送方向Tの上流側端部から、連続媒体Sに所定の張力を付与するようにしている。
【0084】
また、印刷待機状態において、パウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第2ロール81は回転していないが、張力付与部82のモーター及びパウダークラッチの入力側も連続媒体Sを引っ張る方向に回転している。そのため、パウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第2ロール81は、張力付与部82のモーター及びパウダークラッチの入力側の回転により、所定のトルクで引っ張られる状態である。これにより、張力付与部82は、ニップローラー85と第2ロール81との間の区間SBにおいて、搬送方向Tの下流側端部から、連続媒体Sに所定の張力を付与するようにしている。
【0085】
上述したように、印刷待機状態において、上記の区間SAにおいては、張力付与部72が連続媒体Sに所定の張力を付与するようにしている。そして、上記の区間SAにおいては、張力制御部73及び張力制御部83が、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させて、上記の区間SCにおいても、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させている。
【0086】
ここで、予備動作について説明を行う。上述したように、画像形成装置本体100は、現像装置412(本発明における現像部)、感光体ドラム413や中間転写ベルト421(本発明における転写部)、定着部60等を有する。
【0087】
現像装置412では、予備動作として、感光体ドラム413に現像する画像(トナー像)の濃度調整や色ずれ調整(キャリブレーション)を行う。
【0088】
また、感光体ドラム413では、予備動作として、中間転写ベルト421に転写する画像(トナー像)の画像調整を行い、また、中間転写ベルト421では、予備動作として、連続媒体Sに転写する画像(トナー像)の画像調整を行う。
【0089】
上述したキャリブレーションや画像調整は、トナー像を現像装置412が感光体ドラム413に現像し、現像されたトナー像を感光体ドラム413が中間転写ベルト421に転写し、転写されたトナー像を画像読取機(図示省略)で読み取って行う。
【0090】
また、定着部60では、連続媒体Sに転写された画像(トナー像)を定着させるため、予備動作として、所定の温度への昇温(ウォームアップ)を行う。
【0091】
上述した予備動作の際に、連続媒体Sの張力が緩むと、中間転写ベルト421、定着ローラー61、加圧ローラー62等の駆動部品に連続媒体Sが巻き付いて、予備動作が正しくできなかったり、上述した駆動部品に不具合が生じたりする可能性が考えられる。従って、上述した予備動作においては、連続媒体Sの張力が保たれている必要がある。
【0092】
そこで、本実施の形態では、印刷待機状態、印刷状態に加えて、後述するロール交換の間も、保持部751、851により、張力が付与された状態の連続媒体Sを保持するようにしている。そのため、ロール交換状態においても、上記の予備動作が可能であり、装置のダウンタイムを低減することができる。また、ロール交換の間に上記の予備動作を実施することができるので、例えば、印刷状態での予備動作の回数を減らすことができ、画像形成(印刷)の効率も向上可能である。
【0093】
[印刷状態]
図2は、画像形成装置1の印刷状態を示す図である。印刷状態は、ユーザーからの指示(
図6に示す印刷指示)により、連続媒体Sへの画像形成(印刷)を行っている状態である。
【0094】
印刷状態において、画像形成部40は、制御部200からの指示があれば、動作確認等の予備動作が実施可能である。また、定着部60の定着ローラー61及び加圧ローラー62は、それらの間に連続媒体Sを挟持して、連続媒体Sを搬送方向Tへ搬送している状態であり、制御部200からの指示があれば、ウォームアップ等の予備動作が実施可能である。
【0095】
また、印刷状態において、スプライステーブル75の第1クランプ75a及び第2クランプ75bは、テーブル75cから上方に離間しており、テーブル75cとの間に連続媒体Sは保持されていない状態である。
【0096】
また、印刷状態において、ニップローラー85は、連続媒体Sを挟持すると共に、画像形成装置本体100での画像形成に合わせて回転駆動しており、連続媒体Sは搬送されている状態である。
【0097】
また、印刷状態において、張力付与部72のモーター及びパウダークラッチの入力側は連続媒体Sを引っ張る方向に回転している。また、張力付与部72のパウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第1ロール71は、ニップローラー85の回転駆動による連続媒体Sの搬送により、張力付与部72のモーター及びパウダークラッチの入力側の回転方向とは反対方向に回転している。連続媒体Sの搬送中に、連続媒体Sの張力が低下し、張力付与部72のパウダークラッチのトルクが所定のトルク未満となると、当該パウダークラッチが連結状態となり、連続媒体Sが所定のトルクで引っ張られることになる。これにより、張力付与部72は連続媒体Sに所定の張力を付与するようにしている。
【0098】
また、印刷状態において、張力付与部82のモーター及びパウダークラッチの入力側は連続媒体Sを引っ張る方向に回転している。また、張力付与部82のパウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第2ロール81は、ニップローラー85の回転駆動による連続媒体Sの搬送に合わせて、張力付与部82のモーター及びパウダークラッチの入力側の回転方向と同じ方向に回転している。連続媒体Sの搬送中に、連続媒体Sの張力が低下し、張力付与部82のパウダークラッチのトルクが所定のトルク未満となると、当該パウダークラッチが連結状態となり、連続媒体Sが所定のトルクで引っ張られることになる。これにより、張力付与部82は、連続媒体Sに所定の張力を付与するようにしている。
【0099】
また、印刷状態においては、張力制御部73及び張力制御部83が、搬送中の連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させている。これにより、複数のローラーを介して、張力付与部72及び張力付与部82から離れている区間SC(
図1を参照)において、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させている。
【0100】
印刷状態において、トラブル等により、連続媒体Sの張力が緩んだり、失われたりする場合には、上述した張力検知部74、84が、連続媒体Sの張力が所定の張力より低下したことを検知する。そして、制御部200は、張力検知部74、84の検知結果に基づいて、張力低下等のエラーメッセージをユーザーに通知したり、予備動作や連続媒体Sの搬送を禁止したりする。
【0101】
[ロール交換状態]
図3は、画像形成装置1のロール交換状態を示す図である。ロール交換状態は、ユーザーからの指示(後述の
図6に示すロール交換オン)により、ロール交換を実施できる状態である。
【0102】
ロール交換状態において、画像形成部40は、制御部200からの指示があれば、動作確認等の予備動作が実施可能である。また、定着部60の定着ローラー61及び加圧ローラー62は、互いに離間して、連続媒体Sから離間した状態であるが、制御部200からの指示があれば、ウォームアップ等の予備動作が実施可能である。これは、以下に説明するように、ロール交換状態においても、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を維持するようにしているため、以上のような予備動作が実施可能である。また、ロール交換状態においては、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を維持するようにしているので、この張力が保たれている間に予備動作を実行するようにしてもよい。
【0103】
ロール交換状態において、スプライステーブル75の第1クランプ75aは、下方に移動されて、保持部751、つまり、第1クランプ75aとテーブル75cとの間に連続媒体S(切断後の連続媒体Sr)が保持されている状態である。
【0104】
供給部70において、保持部751は、張力が付与された状態の連続媒体Sを保持することにより、所定の張力を維持するよう連続媒体Sを保持している。
【0105】
スプライステーブル75の第2クランプ75bは、テーブル75cから上方に離間しているが、後述するように、連続媒体S同士を接続する際には、下方に移動されて、第2クランプ75bとテーブル75cとの間に新たな連続媒体Sが保持される。
【0106】
また、ロール交換状態において、ニップローラー85は回転駆動しておらず、連続媒体Sは搬送されていないが、保持部851(第1ニップローラー85aと第2ニップローラー85bとの間)に連続媒体S(切断後の連続媒体Sr)が保持されている状態である。
【0107】
回収部80において、保持部851は、張力が付与された状態の連続媒体Sを保持することにより、所定の張力を維持するよう連続媒体Sを保持している。
【0108】
第1ロール71及び第2ロール81の両方を交換する場合、連続媒体Sの切断前は、保持部751及び保持部851で連続媒体Sを保持しており、これらで、所定の張力を維持するよう連続媒体Sを保持している。また、連続媒体Sの切断後も、連続媒体Srの両端部が保持部751、851でそれぞれ保持されて、連続媒体Srにおいて所定の張力が維持されている。
【0109】
第1ロール71のみを交換する場合には、上述した保持部751で連続媒体Sを保持すればよく、保持部851は、連続媒体Sを保持していても、保持していなくてもよい。保持部851で連続媒体Sを保持しない場合は、張力付与部82のモーターの回転は停止させず、張力付与部82が、搬送方向Tの下流側端部から、連続媒体Sに所定の張力を付与するようにする。
【0110】
第2ロール81のみを交換する場合には、上述した保持部851で連続媒体Sを保持すればよく、保持部751は、連続媒体Sを保持していても、保持していなくてもよい。保持部751で連続媒体Sを保持しない場合は、張力付与部72のモーターの回転は停止させず、張力付与部72が、搬送方向Tの上流側端部から、連続媒体Sに所定の張力を付与するようにする。
【0111】
第1ロール71及び第2ロール81の両方又はいずれか一方のみを交換する場合、いずれの場合も、保持部751と保持部851との間の区間SDにおいては、張力制御部73及び張力制御部83が、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させている。そのため、区間SCにおいても、張力制御部73及び張力制御部83が、連続媒体Sにおける張力を所定の張力に安定させている。
【0112】
そして、第1ロール71を交換する場合、張力付与部72のモーターの回転は停止されて、保持部751と第1ロール71との間の連続媒体Sに張力は付与されていない。保持部751と第1ロール71との間の連続媒体Sを切断すれば、張力付与部72の回転駆動軸から第1ロール71を取り外すことができ、また、当該回転駆動軸に新たな第1ロール71を取り付けることができる。
【0113】
同様に、第2ロール81を交換する場合、張力付与部82のモーターの回転は停止されて、保持部851と第2ロール81との間の連続媒体Sに張力は付与されていない。保持部851と第2ロール81との間の連続媒体Sを切断すれば、張力付与部82の回転駆動軸から第2ロール81を取り外すことができ、また、当該回転駆動軸に新たな第2ロール81を取り付けることができる。
【0114】
ロール交換状態において、トラブル等により、連続媒体Sの張力が緩んだり、失われたりする場合には、上述した張力検知部74、84が、連続媒体Sの張力が所定の張力より低下したことを検知する。そして、制御部200は、張力検知部74、84の検知結果に基づいて、張力低下等のエラーメッセージをユーザーに通知したり、予備動作を禁止したりする。また、この場合、制御部200は、後述の
図6で説明するように、ロール交換状態から定常状態へ移行する。
【0115】
ロール交換の際の手順については、
図7~
図14を参照して後述するが、ロール交換状態において、供給部70のスプライステーブル75を用いた連続媒体Sの切断及び連続媒体S同士の接続を以下に説明する。
【0116】
上述したロール交換状態において、第1ロール71を交換する場合、以下に説明するように、まず、スプライステーブル75を用いて、連続媒体Sを切断する。
【0117】
ロール交換状態においては、
図8及び
図9でも説明するように、スプライステーブル75の第1クランプ75aを下方に下げ、第1クランプ75aとテーブル75cとの間に連続媒体Sを挟み込むことで、保持部751に連続媒体Sを保持させる(
図8を参照)。その後、張力付与部72のモーターの回転を停止させる(
図9を参照)。スプライステーブル75の第2クランプ75bは、テーブル75cから上方に離間した状態のままである。
【0118】
そして、第1クランプ75aと第2クランプ75bとの間のテーブル75c上において、それらの間の領域の連続媒体Sをカッター等(図示省略)で切断する。
【0119】
連続媒体Sの切断後、第1クランプ75a側の切断後の連続媒体Srは、保持部751(第1クランプ75aとテーブル75cとの間)に保持された状態のままである。一方、第2クランプ75b側の連続媒体Sは、第2クランプ75b等に保持されていないので、回転駆動軸から第1ロール71を取り外すことができる。
【0120】
以上説明した連続媒体Sの切断の手順は、後述の
図6で説明するロール交換オンがユーザーに選択にされると、制御部200が全ての手順又は一部の手順を自動的に制御する。
【0121】
上述した連続媒体Sの切断後、スプライステーブル75を用いて、連続媒体S同士を接続するときには、回転駆動軸に新たな第1ロール71を取り付ける。次に、第2クランプ75bとテーブル75cとの間に新たな第1ロール71の連続媒体Sn(
図12を参照)の先端部を通す。次に、第1クランプ75aと第2クランプ75bとの間のテーブル75c上において、切断後の連続媒体Srと新たな第1ロール71の連続媒体Snとの端部同士を重ね合わせる。
【0122】
次に、第2クランプ75bを下方に下げ、第2クランプ75bとテーブル75cとの間に新たな第1ロール71の連続媒体Snを挟み込んで、連続媒体Snを保持する。このとき、切断後の連続媒体Srは、保持部751(第1クランプ75aとテーブル75cとの間)に保持された状態である。
【0123】
次に、第1クランプ75aと第2クランプ75bとの間のテーブル75c上において、それらの間の領域の重なり合った2つの連続媒体Sr、Snを切断し、切断された連続媒体Sr、Sn同士を接着テープTa等の接着部材で接続する。次に、張力付与部72のモーターを回転させて、上記の接続を行った連続媒体Snに張力を付与する(後述の
図12を参照)。
【0124】
次に、第1クランプ75a及び第2クランプ75bを上方に上げ、テーブル75cから離間させる(後述の
図13を参照)。切断後の連続媒体Srと新たな第1ロール71の連続媒体Snとは接続されているので、以降は、これらの連続媒体Sr、Snは、一つながりの連続媒体Sとなる。そして、張力付与部72から連続媒体Snに張力を付与しているので、一つながりの連続媒体S(連続媒体Sr、Sn)の張力を維持しながら、第1ロール71の交換は終了することになる。
【0125】
以上説明した連続媒体S同士の接続の手順も、制御部200が全ての手順又は一部の手順を自動的に制御する。
【0126】
なお、ここでは、供給部70のスプライステーブル75を用いた連続媒体Sの切断及び連続媒体S同士の接続を説明したが、回収部80にも同等の構成を設けて、連続媒体Sの切断及び連続媒体S同士の接続を行ってもよい。
【0127】
[定常状態]
図4は、画像形成装置1の定常状態を示す図である。定常状態は、ユーザーからの指示(後述の
図6に示す印刷待機オン指示)があれば、印刷待機状態へ移行する状態であるが、以下に説明するように、連続媒体Sに張力を付与する前の状態である。
【0128】
定常状態は、連続媒体Sに張力を付与する前の状態であるので、予備動作は実施できない。従って、定常状態において、画像形成部40は、動作確認等の予備動作は実施不可である。また、定着部60の定着ローラー61及び加圧ローラー62は、互いに離間して、連続媒体Sから離間した状態であり、これらの間に連続媒体Sは保持されておらず、また、ウォームアップ等の予備動作は実施不可である。
【0129】
また、定常状態において、スプライステーブル75の第1クランプ75a及び第2クランプ75bは、テーブル75cから上方に離間しており、テーブル75cとの間に連続媒体Sは保持されていない状態である。つまり、保持部751は、連続媒体Sを保持していない。
【0130】
また、定常状態において、ニップローラー85の第1ニップローラー85a及び第2ニップローラー85bは、互いに離間して、連続媒体Sから離間した状態であり、これらの間に連続媒体Sが保持されておらず、連続媒体Sは搬送されていない状態である。つまり、保持部851は、連続媒体Sを保持していない。
【0131】
また、定常状態において、張力付与部72のモーター及びパウダークラッチの入力側は回転していない。そのため、張力付与部72は、連続媒体Sに所定の張力を付与していない状態である。また、ニップローラー85により、連続媒体Sは搬送されていないので、張力付与部72のパウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第1ロール71も回転していない。
【0132】
また、定常状態において、張力付与部82のモーター及びパウダークラッチの入力側も回転していない。そのため、張力付与部82は、連続媒体Sに所定の張力を付与していない状態である。また、ニップローラー85により、連続媒体Sは搬送されていないので、張力付与部82のパウダークラッチの出力側、回転駆動軸及び第2ロール81も回転していない。
【0133】
上述したように、定常状態においては、連続媒体Sは、保持部751、851に保持されておらず、また、張力付与部72、82から張力も付与されていない。そのため、張力制御部73及び張力制御部83においては、ダンサーローラー73c、83cの重量により、ダンサーローラー73c、83cが下方に移動し、これに伴い、当該部分の連続媒体Sは下方に垂れ下がった状態となる。
【0134】
この状態においては、張力検知部74、84が、連続媒体Sの張力が所定の張力より低下したことを検知している。制御部200は、張力検知部74、84の当該検知結果に基づいて、張力低下等のエラーメッセージをユーザーに通知したり、上述した予備動作や連続媒体Sの搬送を禁止したりする。
【0135】
[装置状態の移行]
以上説明したように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、その装置状態として、印刷待機状態、印刷状態、ロール交換状態、定常状態等を有し、ユーザーの指示や装置状態に応じて、装置状態を移行する。
図6は、画像形成装置1における各装置状態への移行を説明する図である。
【0136】
画像形成装置1の初期状態を電源オフ状態C0とすると、ユーザーが電源オンC1を画像形成装置1に指示すると、画像形成装置1は、上述した定常状態C2に移行する。この定常状態C2では、上述したように、連続媒体Sに張力を付与する前の状態であるので、予備動作は禁止である。
【0137】
定常状態C2において、画像形成装置1に連続媒体Sがセットされて、連続媒体Sに張力を付与可能な状態となると、ユーザーが印刷待機オンC3を画像形成装置1に指示することにより、画像形成装置1は、上述した印刷待機状態C4に移行する。この印刷待機状態C4では、上述したように、連続媒体Sに張力が付与されている状態であるので、予備動作は許可される。
【0138】
印刷待機状態C4において、ユーザーが印刷指示C5を画像形成装置1に指示すると、画像形成装置1は、上述した印刷状態C6に移行し、印刷を実行する。この印刷状態C6でも、上述したように、連続媒体Sに張力が付与されている状態であるので、予備動作は許可される。そして、印刷終了後、画像形成装置1は、上述した印刷待機状態C4に移行する(戻る)。
【0139】
また、印刷待機状態C4において、ユーザーがロール交換オンC7を画像形成装置1に指示すると、画像形成装置1は、上述したロール交換状態C8に移行する。このロール交換状態C8において、ユーザーは、第1ロール71及び第2ロール81の少なくとも一方のロール交換を行う。このロール交換状態C8でも、上述したように、連続媒体Sに張力が付与されている状態であるので、予備動作は許可される。なお、印刷待機状態C4からロール交換状態C8への移行については、
図7~
図10を参照して後述する。
【0140】
そして、ロール交換後、ユーザーがロール交換オフC9を画像形成装置1に指示すると、画像形成装置1は、上述した印刷待機状態C4に移行する(戻る)。なお、ロール交換状態C8から印刷待機状態C4への移行については、
図11~
図14を参照して後述する。
【0141】
ロール交換中において、連続媒体Sに付与している張力が緩んだり、失われたりして、張力検知部74、84が、連続媒体Sの張力が所定の張力より低下したこと(張力異常)を検知すると、画像形成装置1は、上述した定常状態C2に移行する。なお、ロール交換状態C8から定常状態C2への移行については、
図15を参照して後述する。
【0142】
なお、ここでは、連続媒体Sの張力が所定の張力より低下した場合、張力異常と検知して、上述した定常状態C2に移行しているが、連続媒体Sの張力が所定の張力より高い場合も、張力異常と検知して、上述した定常状態C2に移行するようにしてもよい。
【0143】
この場合、上述したように、ダンサーローラー73c、83cの可動範囲の最上部の近傍に近接センサーを配置し、当該近接センサーにダンサーローラー73c、83cが近接した場合、連続媒体Sの張力が所定の張力より高いことを検知する。また、上述した印刷状態C6において、つまり、印刷中において、連続媒体Sの張力異常を検知した場合も、上述した定常状態C2に移行するようにしてもよい。
【0144】
[印刷待機状態からロール交換状態への移行]
上述した印刷待機状態C4からロール交換状態C8への移行について、
図7~
図10も参照して後述する。
【0145】
ここで、
図7は、画像形成装置1において、印刷待機状態C4からロール交換状態C8への移行を説明するフローチャートである。
図8は、
図7に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、保持部751に連続媒体Sを保持させた場合の画像形成装置1の供給部70を示す図である。
図9は、
図7に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、張力付与部72のモーターの回転を停止させた場合の画像形成装置1の供給部70を示す図である。また、
図10は、
図7に示したフローチャートとは異なる順序で行った場合の画像形成装置1の供給部70を示す図である。
【0146】
ここでは、供給部70を例にとって説明し、回収部80側は、例えば、保持部851により、連続媒体Sは保持されているものとする。
【0147】
(ステップS11)
印刷待機状態において、制御部200は、ロール交換ボタンがオンかどうかを確認する。ロール交換ボタンがオンである場合(YES)、ステップS12へ進み、ロール交換ボタンがオンでない場合(NO)、ステップS11を繰り返す。なお、ここでは図示していないが、制御部200は、例えば、印刷指示ボタンがオンかどうかも確認しており、印刷指示ボタンがオンである場合には、
図6で説明したように、印刷状態C5へ移行し、印刷を実行する。
【0148】
(ステップS12)
制御部200は、スプライステーブル75の第1クランプ75aを下方に移動させて、保持部751(第1クランプ75a、テーブル75c)に連続媒体Sを保持させる。このとき、張力付与部72のモーターは回転し続けており、パウダークラッチを介して、所定のトルクで連続媒体Sを引っ張ることにより、連続媒体Sに所定の張力を付与している(
図8を参照)。従って、保持部751は、連続媒体Sに所定の張力が付与されている状態で、連続媒体Sを保持して、連続媒体Sの張力を維持する。
【0149】
(ステップS13)
制御部200は、張力付与部72のモーターの回転を停止させる(
図9を参照)。つまり、連続媒体Sへの張力の付与を停止する。
【0150】
このように、張力付与部72のモーターの回転を停止させる前に、保持部751に連続媒体Sを保持させる。これにより、
図3に示す区間SDにおいて、連続媒体Sにおける張力を確実に維持することができ、区間SCにおいても、連続媒体Sにおける張力を維持することができる。
【0151】
もし仮に、ステップS12とステップS13の順序を逆にした場合には、保持部751に連続媒体Sを保持させる前に、張力付与部72のモーターの回転を停止させることになる。
【0152】
この場合、区間SDにおいて、張力付与部72から連続媒体Sへ付与する張力が失われる。そして、張力制御部73において、ダンサーローラー73cの重量により、ダンサーローラー73cが下方に移動し、当該部分の連続媒体Sは下方に垂れ下がった状態となる(
図10を参照)。これは、
図4に示す定常状態と同じ状態であり、区間SCにおける連続媒体Sの張力も失われ、所定の搬送経路に沿うよう連続媒体Sを配置していない状態となり、予備動作を実行できない状態となってしまう。
【0153】
従って、区間SD、SCにおいて、連続媒体Sにおける張力を維持するため、張力付与部72のモーターの回転を停止させる前に、保持部751に連続媒体Sを保持させることが必要である。
【0154】
(ステップS14)
制御部200は、装置状態として、印刷待機状態C4からロール交換状態C8へ移行する。
【0155】
なお、ここでは、供給部70を例にとって説明したが、回収部80も同様の手順となるので、重複する説明は省略する。この場合、供給部70側は、例えば、保持部751により、連続媒体Sは保持されているものとする。
【0156】
[ロール交換状態から印刷待機状態への移行]
上述したロール交換状態C8から印刷待機状態C4への移行について、
図11~
図14も参照して後述する。
【0157】
ここで、
図11は、画像形成装置1において、ロール交換状態C8から印刷待機状態C4への移行を説明するフローチャートである。
図12は、
図11に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、張力付与部72のモーターを回転させて、連続媒体Sに張力を付与した場合の画像形成装置1の供給部70を示す図である。
図13は、
図11に示したフローチャートに従う順序で行った場合であって、保持部751での連続媒体Sの保持を解除させた場合の画像形成装置1の供給部70を示す図である。また、
図14は、
図11に示したフローチャートとは異なる順序で行った場合の画像形成装置1の供給部70を示す図である。
【0158】
ここでも、供給部70を例にとって説明し、回収部80側は、例えば、保持部851により、連続媒体Sは保持されているものとする。
【0159】
(ステップS21)
ロール交換状態において、制御部200は、ロール交換ボタンがオフかどうかを確認する。ロール交換ボタンがオフである場合(YES)、ステップS22へ進み、ロール交換ボタンがオフでない場合(NO)、ステップS21を繰り返す。
【0160】
(ステップS22)
制御部200は、上記のステップS13で停止させた張力付与部72のモーターを回転させて、連続媒体Sr、Snに張力を付与する(
図12を参照)。このとき、スプライステーブル75の第1クランプ75a及び第2クランプ75bは、下方に移動した状態であり、テーブル75cとの間に、連続媒体Sr、Snをそれぞれ保持している。保持部751(第1クランプ75a及びテーブル75c)は、連続媒体Srを保持して、連続媒体Srの張力を維持している。
【0161】
(ステップS23)
制御部200は、第1クランプ75a及び第2クランプ75bを上方に移動させて、上記のステップS12で連続媒体Sを保持させた保持部751での連続媒体Srの保持を解除させる。また、第2クランプ75bとテーブル75cとの間における連続媒体Srの保持も解除させる(
図13を参照)。
【0162】
このように、保持部751での連続媒体Sr、Snの保持を解除する前に、張力付与部72のモーターを回転させて、連続媒体Sr、Snに張力を付与する。これにより、区間SD(
図3を参照)において、連続媒体Srにおける張力を確実に維持することができ、区間SCにおいても、連続媒体Srにおける張力を維持することができる。
【0163】
もし仮に、ステップS22とステップS23の順序を逆にした場合には、張力付与部72のモーターを回転させて、連続媒体Sr、Snに張力を付与する前に、保持部751での連続媒体Sの保持を解除することになる。
【0164】
この場合、保持部751が連続媒体Srを保持することで維持していた区間SDにおける連続媒体Srの張力を、保持部751での連続媒体Srの保持を解除することで失うことになる。このとき、張力制御部73においては、ダンサーローラー73cの重量により、ダンサーローラー73cが下方に移動し、当該部分の連続媒体Srは下方に垂れ下がった状態となる(
図14を参照)。これは、
図4に示す定常状態と同じ状態であり、区間SCにおける連続媒体Srの張力も失われ、所定の搬送経路に沿うよう連続媒体Sを配置していない状態となり、予備動作を実行できない状態となってしまう。
【0165】
従って、区間SD、SCにおいて、連続媒体Srにおける張力を維持するため、保持部751での連続媒体Srの保持を解除する前に、張力付与部72のモーターを回転させて、連続媒体Sr、Snに張力を付与することが必要である。
【0166】
(ステップS24)
制御部200は、装置状態として、ロール交換状態C8から印刷待機状態C4へ移行する。画像形成装置1の装置状態は、
図1に示す印刷待機状態となる。
【0167】
なお、ここでも、供給部70を例にとって説明したが、回収部80も同様の手順となるので、重複する説明は省略する。この場合、供給部70側は、例えば、保持部751により、連続媒体Sは保持されているものとする。
【0168】
[ロール交換状態から定常状態への移行]
上述したロール交換状態C8から定常状態C2への移行について、
図15も参照して後述する。
【0169】
ここで、
図15は、画像形成装置1において、ロール交換状態C8から定常状態C2への移行を説明するフローチャートである。
【0170】
連続媒体Sの張力に異常がある場合、制御部200は、装置状態として、ロール交換状態C8から定常状態C2へ移行する。
【0171】
(ステップS31)
ロール交換状態において、制御部200は、連続媒体Sの張力が異常かどうかを確認する。制御部200は、例えば、上述した張力検知部74、84を用いて、連続媒体Sの張力が異常かどうかを確認する。連続媒体Sの張力が異常である場合(YES)、ステップS32へ進み、連続媒体Sの張力が異常でない場合(NO)、ステップS31を繰り返す。
【0172】
(ステップS32)
制御部200は、予備動作を禁止する。制御部200は、上述した予備動作、例えば、定着部60のウォームアップ等の予備動作を禁止する。
【0173】
(ステップS33)
制御部200は、張力付与部72、82のモーターの回転を停止させ、連続媒体Sへの張力の付与を停止する。
【0174】
(ステップS34)
制御部200は、連続媒体Sを保持させた保持部751、851での連続媒体Sの保持を解除させる。
【0175】
具体的には、制御部200は、第1クランプ75aを上方に移動させて、保持部751での連続媒体Sの保持を解除させる。このとき、第2クランプ75bがテーブル75cとの間に連続媒体Sを保持している状態であれば、第2クランプ75bも上方に移動させて、その部分での連続媒体Sの保持を解除させる。また、第1ニップローラー85a及び第2ニップローラー85bを互いに離間させて、保持部851での連続媒体Sの保持を解除させる。
【0176】
(ステップS35)
制御部200は、装置状態として、ロール交換状態C8から定常状態C2へ移行する。画像形成装置1の装置状態は、
図4に示す定常状態となる。
【0177】
[まとめ]
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1は、第1ロール71及び第2ロール81の少なくとも一方を交換するための操作の際に、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を維持する張力維持機構701、801を備える。
【0178】
また、本実施の形態の画像形成装置の制御方法は、第1ロール71及び第2ロール81の少なくとも一方を交換するための操作の際に、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を維持するよう張力維持機構701、801を動作させる。
【0179】
このように構成した本実施の形態の画像形成装置及びその制御方法によれば、画像形成装置本体100における連続媒体Sの張力を維持した状態で、第1ロール71や第2ロール81の交換が可能となる。
【0180】
そして、印刷待機状態、印刷状態に加えて、ロール交換の間、保持部751、851により、張力が付与された状態の連続媒体Sを保持しているので、ロール交換状態においても、予備動作が可能である。そのため、装置のダウンタイムを低減することができる。また、ロール交換の間に予備動作を実施することで、印刷状態での予備動作の回数を減らすことができ、画像形成(印刷)の効率も向上可能である。
【0181】
また、ロール交換の間、保持部751、851により、張力が付与された状態の連続媒体Sを保持しているので、画像形成装置本体100を含む画像形成装置1内において、連続媒体Sは所定の搬送経路に沿って配置されている。そのため、ロール交換の間、搬送経路以外の部分に連続媒体Sが侵入することはなく、例えば、連続媒体Sの搬送を再開したときに、搬送トラブル等を起こすことはなくなる。その結果、装置のダウンタイムを低減することができる。
【0182】
<他の実施の形態>
上記の実施の形態では、画像形成装置本体100として、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置を例示したが、本発明は、画像形成装置本体100として、インクジェット技術を利用した画像形成装置にも適用可能である。
【0183】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0184】
1 画像形成装置
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
412 現像装置
413 感光体ドラム
421 中間転写ベルト
50 搬送部
60 定着部
61 定着ローラー
62 加圧ローラー
70 供給部
701 張力維持機構
71 第1ロール
72 張力付与部
73 張力制御部
73a、73b ガイドローラー
73c ダンサーローラー
74 張力検知部
75 スプライステーブル
75a 第1クランプ
75b 第2クランプ
75c テーブル
751 保持部
76 従動ローラー
80 回収部
801 張力維持機構
81 第2ロール
82 張力付与部
83 張力制御部
83a、83b ガイドローラー
83c ダンサーローラー
84 張力検知部
85 ニップローラー
85a 第1ニップローラー
85b 第2ニップローラー
851 保持部
100 画像形成装置本体
200 制御部