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  • 特開-脱臭装置 図1
  • 特開-脱臭装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170103
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】脱臭装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/126 20060101AFI20231124BHJP
   E03C 1/28 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E03C1/126
E03C1/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081583
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 浩和
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 伸雄
(72)【発明者】
【氏名】都築 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】澤木 一司
(72)【発明者】
【氏名】永田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】滝 宣広
(72)【発明者】
【氏名】大浦 裕之
(72)【発明者】
【氏名】戸屋 智和
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA01
2D061AB06
2D061DA02
2D061DD03
2D061DD20
(57)【要約】
【課題】吸気部が故障しても排水管の臭気が室内側に逆流することを防止できる脱臭装置を提供する。
【解決手段】トラップ部22を有する排水管20を備えた水回り設備11に備えられる脱臭装置10であり、吸気部51と、前記吸気部51から延びた排気管52と、前記排水管20に設けられ、前記排気管52が接続される接続部53と、を有し、前記排気管52の排気口55は、前記トラップ部22に溜まる封水34内に開口している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラップ部を有する排水管を備えた水回り設備に備えられる脱臭装置であり、
吸気部と、
前記吸気部から延びた排気管と、
前記排水管に設けられ、前記排気管が接続される接続部と、を有し、
前記排気管の排気口は、前記トラップ部に溜まる封水内に開口している、脱臭装置。
【請求項2】
前記排気口は、前記トラップ部のディップよりも下側に位置している、請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記トラップ部は、前記排水管を構成する管部に対して取り外し自在であり、
前記接続部は、前記トラップ部に設けられている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の脱臭装置。
【請求項4】
前記接続部は、前記封水の最高水位の水面よりも上側に設けられている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の脱臭装置。
【請求項5】
前記吸気部は、前記封水の最高水位の水面よりも上側に配置されている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の脱臭装置。
【請求項6】
前記水回り設備は、キャビネットを有し、
前記吸気部及び前記トラップ部は、前記キャビネット内に配置されている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の脱臭装置。
【請求項7】
前記吸気部は、イオン発生機を有している、請求項6に記載の脱臭装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水回り設備の周囲に発生した臭気を、排水管に排気する脱臭装置が知られている。例えば下記特許文献1に記載された脱臭装置は、台所のシンク等に配置された生ゴミ処理機の臭気を排気管に排気する。脱臭装置は、吸気部を有している。吸気部は、常時作動している。吸気部は、生ごみ処理機の臭気を吸引し、排気配管に排気する。排気配管は、シンクの排水管のトラップの下流側に接続している。これによって、生ゴミ処理機の臭気は室内に逆流しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-142611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸気部が故障した場合、排水管の臭気が室内側に逆流する虞がある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、吸気部が故障しても排水管の臭気が室内側に逆流することを防止できる脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の脱臭装置は、トラップ部を有する排水管を備えた水回り設備に備えられる脱臭装置であり、吸気部と、前記吸気部から延びた排気管と、前記排水管に設けられ、前記排気管が接続される接続部と、を有し、前記排気管の排気口は、前記トラップ部に溜まる封水内に開口しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】脱臭装置であって、手洗い器のキャビネット内に配置された状態を示す正面図
図2】脱臭装置を示す一部切り欠き断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
脱臭装置10は、図1に示すように、手洗い器11の近傍に配置される。手洗い器11は、トイレ室の内部に備えられている。以下、各構成部材において、手洗い器11の近傍に配置された状態における鉛直方向上側を上側、下側を下側、トイレ室の内側を前側、その反対側を後側、前側から見て右側を右側、左側を左側、として説明する。各図においてX軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側を示す。
【0009】
手洗い器11は、水栓ユニット14、排水ユニット16、カウンター41及びキャビネット42を備えている。水栓ユニット14は吐水口15を有している。使用者は、水栓ユニット14からの吐水により、手などを洗うことができる。本明細書における「水」は、冷水のみならず、加熱されたお湯も含む。
【0010】
排水ユニット16は、ボウル17と、排水管20と、を備えている。ボウル17は、吐水口15の下方に設けられている。ボウル17の下部には排水口18が設けられている。ボウル17は、吐水口15から吐出された水を受け、排水口18から排水管20に水を排出する。
【0011】
排水管20は、ボウル17からの排水を、床面12に設けられた床排水管13に排出する。排水管20は、キャビネット42の収納空間43に収納されている。排水管20は、第一管部21と、トラップ部22と、第二管部23と、を有している。トラップ部22は、第一管部21及び第二管部23に対し、取り外し自在である。
【0012】
第一管部21は、ボウル17の下部に接続されている。第一管部21は、ボウル17の排水口18と連通している。第一管部21は、下側に鉛直に延びている。
【0013】
トラップ部22は、図2に示すように、第一管部21の下流側に接続されている。トラップ部22は、内部に水を貯留し封水34を形成する。封水34は、床排水管13からの悪臭や害虫の侵入を防ぐ。
【0014】
トラップ部22は、上流側から順に、上流側接続部24、下降部25、底部26、上昇部27、及び下流側接続部28を有している。上流側接続部24は、第一管部21の下端部に接続自在である。下降部25は、上流側接続部24から下側に鉛直に延びている。上流側接続部24及び下降部25は、同軸の円筒形状をなしている。底部26は、下降部25の下端部から右側に水平に延びている。底部26は、水平に広がった扁平な形状をなしている。上昇部27は、底部26の後端部から上側に鉛直に延びている。上昇部27は、直方体形状をなしている。上昇部27の上端は、上流側接続部24の上端よりも上側に位置している。上昇部27の容積は、下降部25の容積よりも大きい。上昇部27の水平断面の大きさは、下降部25の水平断面の大きさよりも大きい。トラップ部22は、第二管部23にトイレ用排水等を流入させて排水経路を統合しても封水切れを起こしにくい容積を有している。
【0015】
上昇部27の上面は、水平に広がった平坦な面である。上昇部27の上面は、前後方向よりも左右方向に長い長方形状をなしている。上昇部27には、後述する排気管52の接続部53が設けられている。下流側接続部28は、上昇部27の上端部から右側に水平に延びている。下流側接続部28は、円筒状をなしている。下流側接続部28は、第二管部23の上端部に接続自在である。
【0016】
トラップ部22は、図2に示すように、ディップ29及びウェア32を有している。ディップ29は、底部26の頂部である。ディップ29は、上昇部27の下端と下降部25の下端とを連結する底部26の上面33のうち最下端部である。ウェア32は、あふれ面下端部である。ウェア32は、下流側接続部28の左端の下端部である。封水34の封水面35は、下流側接続部28の内側に嵌め込まれた第二管部23の上端部によって、ウェア32より上方に作られる。封水面35は、封水34の最高水位の水面である。封水面35は、トラップ部22及び第一管部21に形成されている。
【0017】
トラップ部22は、点検口36を有している。点検口36は、トラップ部22の底部26の下面37に設けられている。トラップ部22の内部は、点検口36を取り外して掃除できる。
【0018】
第二管部23は、トラップ部22の下流側に接続されている。第二管部23の上端部は、下流側接続部28に接続されている。第二管部23は、トラップ部22の下流側接続部28から下側に鉛直に延びている。第二管部23の下端部は、床面12の床排水管13に接続されている。
【0019】
カウンター41は、図1に示すように、略水平方向に拡がる板状の部材である。カウンター41は、キャビネット42の天板の上面に載置されている。カウンター41は、キャビネット42から右側に延出している。カウンター41には、ペーパーホルダが固定されている。ボウル17は、カウンター41の上に載置されている。
【0020】
キャビネット42は、ボウル17の下側に備えられている。キャビネット42の下面は、床面12に設置されている。キャビネット42は、略直方体の箱状である。キャビネット42の内部は、縦長の収納空間43である。キャビネット42は、前面に扉(図示せず)を有している。扉は、収納空間43に配置されている排水管20を隠すことができる。収納空間43には、トイレブラシやチャームボックスなどを配置できる。
【0021】
カウンター41及びキャビネット42の天板には、上下方向に貫通孔44が形成されている。ボウル17の下部と第一管部21とは、貫通孔44において接続されている。
【0022】
脱臭装置10は、図2に示すように、吸気部51と、吸気部51から延びた排気管52と、排気管52が接続される接続部53と、を有している。脱臭装置10は、キャビネット42の収納空間43の上端部に配置されている。
【0023】
吸気部51には、吸気口54が設けられている。吸気部51は、排水管20の封水面35よりも上側に配置されている。吸気部51は、図示しないファン、逆止弁及びイオン発生機を有している。ファンは、収納空間43の空気を吸気口54から吸気部51の内部に取り入れ、取り入れた空気を排気管52へ圧送する。逆止弁は、ファン及びポンプの下流に設けられている。逆止弁は、吸気部51から排気管52への空気の流れを許容し、排気管52から吸気部51への空気の流れを制限する。イオン発生機は、プラズマクラスター(登録商標)イオンを作り出してキャビネット42の内部に放出する。これによって、キャビネット42の内部は除菌される。脱臭装置10の吸気口54、ファン、逆止弁及びイオン発生機は、排水管20の封水面35よりも上側に配置されている。
【0024】
排気管52は、合成樹脂製のホースである。排気管52は、吸気部51の上面から延出し、排水管20まで延びている。排気管52のうち吸気部51から接続部53までの部分は屈曲している。
【0025】
排気管52は、接続部53からトラップ部22の内部に延びている。排気管52のうち接続部53から下端の排気口55までの部分は鉛直に延びている。排気口55は、排水管20の封水面35よりも下側に配置されている。排気口55は、封水34内に開口している。
【0026】
排気口55は、トラップ部22のディップ29よりも下側に位置している。排気口55は下向きに開口している。したがって、点検口36を介して排気口55を掃除しやすい。
【0027】
排気口55は、封水34の下流側の領域Rに配置されている。下流側の領域Rは、封水34のうちディップ29を通る鉛直な基準面56を境にして下流側(図2では右側)の領域である。基準面56は、XY平面に対して直交する面である。
【0028】
吸気部51に取り込まれた収納空間43の空気は、排気管52を通り、排気口55から封水34の下流側の領域Rに排気される。封水34の下流側の領域Rに排気された空気は泡となって、上昇部27の封水面35に浮かび上がり、上昇部27の上端部から第二管部23へ流出する。
【0029】
接続部53は、トラップ部22に設けられている。接続部53は、上昇部27の上面に形成されている。接続部53は、上昇部27の上面を上下方向に貫通している。接続部53は、排水管20の封水面35よりも上側に位置している。接続部53において排気管52の周囲の隙間はシールされている。
【0030】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。脱臭装置10は、手洗い器11に備えられる。手洗い器11は、トラップ部22を有する排水管20を備えている。脱臭装置10は、吸気部51と、排気管52と、接続部53と、を有している。吸気部51は、手洗い器11の近傍に配置される。排気管52は、吸気部51から延びている。接続部53は、排水管20に設けられている。接続部53には、排気管52が接続される。排気管52の排気口55は、トラップ部22に溜まる封水34内に開口している。この構成によれば、排気口55は封水34によって塞がれているから、吸気部51が故障しても排気管52の臭気が室内側に逆流することを防止できる。
【0031】
排気口55は、トラップ部22のディップ29よりも下側に位置している。この構成によれば、封水34の水位が低下しても、排気口55は、封水34によって確実に塞がれる。したがって、吸気部51が故障しても排気管52の臭気が室内側に逆流することを防止できる。
【0032】
トラップ部22は、排水管20を構成する第一管部21及び第二管部23に対して取り外し自在である。接続部53は、トラップ部22に設けられている。この構成によれば、既存のトラップ部を取り外し、接続部53を有するトラップ部22を替わりに取り付けることによって、トラップ部の交換だけで既設の設備に脱臭機能を追加できる。
【0033】
接続部53は、排水管20の封水面35よりも上側に設けられている。この構成によれば、接続部53が排水管20の封水面35よりも下側に設けられている場合と比べて、接続部53から漏水しにくくできる。
【0034】
吸気部51は、排水管20の封水面35よりも上側に配置されている。この構成によれば、吸気部51が排水管20の封水面35よりも下側に設けられている場合と比べて、吸気部51側へ水漏れしにくくできる。
【0035】
吸気部51及びトラップ部22は、キャビネット42内に配置されている。この構成によれば、キャビネット42の臭気を排気管52に排気できるから、キャビネット42を快適に使用できる。
【0036】
吸気部51は、イオン発生機を有している。この構成によれば、キャビネット42内を除菌できるから、キャビネット42を快適に使用できる。
【0037】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において水回り設備は、手洗い器11である。これに限らず、水回り設備は、例えば、キッチンのシンクや洗面所に設けられる洗面化粧台であってもよい。
(2)上記実施形態において水回り設備は、キャビネット42を有している。これに限らず、水回り設備は、キャビネットを有していなくてもよい。
(3)上記実施形態においてキャビネット42内に除湿タイルを配置してもよい。これによって、キャビネット42の内部を除湿できる。
(4)上記実施形態において脱臭装置10はキャビネット42に収納されている。これに限らず、脱臭装置は、キャビネットの外側に配置してもよいし、キャビネットを備えない水回り設備の近傍に配置してもよい。
(5)上記実施形態において脱臭装置10の電源はコンセント式であってもよいし電池式であってもよい。
(6)上記実施形態において脱臭装置10はキャビネット42の扉の開閉を検知するセンサを備えても良い。この場合、キャビネット42の扉の開閉によって吸気部51を制御してもよい。例えば、扉を開けて閉めた後、所定時間(30分程度)吸気部51を駆動させてもよい。
(7)上記実施形態においてトラップ部22は、第一管部21及び第二管部23に対して取り外し自在である。これに限らず、トラップ部は排水管を構成する管部に対して取り外しにくいものであっても良い。
(8)上記実施形態において排気口55は、トラップ部22のディップ29よりも下側に位置している。これに限らず、排気口はトラップ部のディップより上側に位置しても良い。
(9)上記実施形態において接続部53は、封水面35よりも上側に設けられている。これに限らず、接続部は、封水面より下側に設けられても良い。
(10)上記実施形態において吸気部51は、封水面35よりも上側に配置されている。これに限らず、吸気部は、封水面より下側に配置しても良い。
(11)上記実施形態において吸気部51は、ファンを有している。これに限らず、吸気部は、ファンのかわりにポンプを有していてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…脱臭装置、11…手洗い器(水回り設備)、20…排水管、21…第一管部(排水管を構成する管部)、22…トラップ部、23…第二管部(排水管を構成する管部)、29…ディップ、34…封水、35…封水面(封水の最高水位の水面)、42…キャビネット、51…吸気部、52…排気管、53…接続部、55…排気口
図1
図2