(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170119
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231124BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201H
H01G4/228 A
H01G4/228 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081609
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】筑摩 忍
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF00
5E082AA02
5E082AB03
5E082BC32
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】接合部がコンデンサ本体から剥離しにくい積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】本発明の積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層4と内部電極層5とが交互に積層された積層体2、並びに、下地電極層30及び該下地電極層30の外周に形成された第1めっき層31を含み、前記積層体2の積層方向と直交する長さ方向の両側の端面のそれぞれに配置され且つ前記内部電極層5と接続された外部電極3、を有するコンデンサ本体1Aと、前記コンデンサ本体1Aにおける前記積層方向の一方の主面側に配置され、前記外部電極3と接続されている、240℃以上の金属を主成分とする接合部10と、を備え、前記外部電極3の外周と前記接合部10の外周とに、連続して第2めっき層32が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層体、並びに、下地電極層及び該下地電極層の外周に形成された第1めっき層を含み、前記積層体の積層方向と直交する長さ方向の両側の端面のそれぞれに配置され且つ前記内部電極層と接続された外部電極、を有するコンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体における前記積層方向の一方の主面側に配置され、前記外部電極と接続されている、融点が240℃以上の金属を主成分とする接合部と、を備え、
前記外部電極の外周と前記接合部の外周とに、連続して第2めっき層が形成されている、
積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記第1めっき層は、第1Niめっき層及び第1Snめっき層を含み、
前記第2めっき層は、第2Niめっき層及び第2Snめっき層を含む、
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第1Snめっき層は、前記第2Snめっき層より表面粗さが大きい、
請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記第1Snめっき層は、前記第2Snめっき層より厚い、
請求項2又は請求項3に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量且つ小型の積層セラミックコンデンサが求められている。このような積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極とが交互に積み重ねられた内層部を有する。そして、その内層部の上部と下部とに外層部としての誘電体層が配置されて直方体状の積層体が形成され、積層体の長手方向の両端面に外部電極が設けられてコンデンサ本体が形成される。
さらに、いわゆる「鳴き」の発生を抑制するために、コンデンサ本体における基板に実装される側に、いわゆるバンプ部として、はんだで製造された接合部を備える積層セラミックコンデンサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/098990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の積層セラミックコンデンサによると、接合部がコンデンサ本体から剥離することがあった。
【0005】
本発明は、接合部がコンデンサ本体から剥離しにくい積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層体、並びに、下地電極層及び該下地電極層の外周に形成された第1めっき層を含み、前記積層体の積層方向と直交する長さ方向の両側の端面のそれぞれに配置され且つ前記内部電極層と接続された外部電極、を有するコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体における前記積層方向の一方の主面側に配置され、前記外部電極と接続されている、融点が240℃以上の金属を主成分とする接合部と、を備え、前記外部電極の外周と前記接合部の外周とに、連続して第2めっき層が形成されている、積層セラミックコンデンサを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接合部がコンデンサ本体から剥離しにくい積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す積層セラミックコンデンサ1のII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図1に示す積層セラミックコンデンサ1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
図2は、積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるII-II線に沿った部分断面図である。
図3は、積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるIII-III線に沿った断面図である。
【0010】
積層セラミックコンデンサ1は、略直方体形状で、積層体2と、積層体2の両端に設けられた一対の外部電極3とを備えるコンデンサ本体1A、及び、コンデンサ本体1Aに取り付けられた接合部10を備える。また、積層体2は、誘電体層4と内部電極層5とを複数組含む内層部6を含む。
【0011】
以下の説明において、積層セラミックコンデンサ1の向きを表わす用語として、一対の外部電極3が設けられている方向を長さ方向Lとする。誘電体層4と内部電極層5とが積層されている方向を積層方向Tとする。長さ方向L及び積層方向Tのいずれにも交差する方向を幅方向Wとする。なお、実施形態においては、幅方向Wは長さ方向L及び積層方向Tのいずれにも直交している。
【0012】
また、積層体2の6つの外表面のうち、積層方向Tに相対する一対の外表面を第1主面A1と第2主面A2とし、幅方向Wに相対する一対の外表面を第1側面B1と第2側面B2とし、長さ方向Lに相対する一対の外表面を第1端面C1と第2端面C2とする。
図2は、幅方向Wの中央部を通り、且つ積層方向T及び長さ方向Lに延びる断面である。
【0013】
なお、第1主面A1と第2主面A2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて主面Aとし、第1側面B1と第2側面B2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて側面Bとし、第1端面C1と第2端面C2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて端面Cとして説明する。
【0014】
(積層体2)
積層体2は、内層部6と、内層部6の主面A側に配置される外層部7と、サイドギャップ部8と、を備える。積層体2は、稜線部Rに丸みがつけられていることが好ましい。稜線部Rは、積層体2の2面、すなわち主面Aと側面B、主面Aと端面C、又は、側面Bと端面Cが交わる部分であり、主面Aと側面Bと端面Cとが交わる角部も含む。
【0015】
(内層部6)
内層部6は、積層方向Tに沿って交互に積層された誘電体層4と内部電極層5とを複数組含む。
【0016】
(誘電体層4)
誘電体層4は、セラミック材料で製造されている。セラミック材料としては、例えば、BaTiO3を主成分とする誘電体セラミックが用いられる。また、セラミック材料として、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、ニッケル化合物等の副成分のうちの少なくとも1つを添加したものを用いてもよい。
【0017】
(内部電極層5)
内部電極層5は、例えばニッケル、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等に代表される金属材料により形成されていることが好ましい。
【0018】
内部電極層5は、複数の第1内部電極層5Aと、複数の第2内部電極層5Bとを備える。第1内部電極層5Aと第2内部電極層5Bとは、交互に配置されている。なお、第1内部電極層5Aと第2内部電極層5Bとを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて内部電極層5として説明する。
【0019】
内部電極層5は、第1内部電極層5Aと第2内部電極層5Bとの間で互いに対向する対向部52と、第1内部電極層5Aと第2内部電極層5Bとの間で互いに対向せず、対向部52から一方の端面C側に引き出された引出部51とを備える。引出部51の端部は、端面Cに露出し、外部電極3に電気的に接続されている。引出部51が延びる方向は、第1内部電極層5Aと第2内部電極層5Bとで異なり、第1端面C1側と第2端面C2側とに交互に引き出される。そして、積層方向Tに隣り合う第1内部電極層5Aと第2内部電極層5Bとの対向部52間に電荷が蓄積され、コンデンサとして機能する。
【0020】
(外層部7)
外層部7は、内層部6の両主面A側にそれぞれ配置され、内層部6の誘電体層4と同じ材料で製造されている。
【0021】
(サイドギャップ部8)
サイドギャップ部8は、積層体2における内層部6の両側面B側に設けられている。サイドギャップ部8は、誘電体層4と同じ材料で一体的に製造されている。
【0022】
(外部電極3)
外部電極3は、積層体2の両端面Cに設けられている。外部電極3は、端面Cだけでなく、主面A及び側面Bの端面C側の一部も覆っている。外部電極3は、下地電極層30と、下地電極層30の外周に形成された第1めっき層31とを含む。
【0023】
(下地電極層30)
下地電極層30は、端面Cに露出した内部電極層5の引出部51の端部に電気的に接続されている。実施形態で下地電極層30は、例えば、銅、ニッケル、銀、パラジウム、銀-パラジウム合金、金等の導電性金属を含む導電性ペーストを焼成した、いわゆる焼き付け電極である。
【0024】
(第1めっき層31)
第1めっき層31は、下地電極層30の外周に、下地電極層30を覆うように配置されている第1Niめっき層31aと、第1Niめっき層31aの外周に、第1Niめっき層31aを覆うように配置されている第1Snめっき層31bとを含む。第1Niめっき層31aは、ニッケル又はニッケルを含む合金のめっきからなる。第1Snめっき層31bはSn又はSnを含む合金のめっきからなる。
【0025】
(接合部10)
接合部10は、一対の2つの接合部である第1接合部10Aと第2接合部10Bとを備える。以下、第1接合部10Aと、第2接合部10Bとを区別して説明する必要のない場合、接合部10として説明する。
【0026】
コンデンサ本体1Aの主面A2側における、長さ方向Lの一方に第1接合部10Aが配置され、他方に第2接合部10Bが配置されている。第1接合部10Aと第2接合部10Bとは互いに略矩形の同形であって対向し、一定の距離、離間して配置されている。
【0027】
接合部10は、融点が240℃以上の金属を主成分としており、実施形態では、例えば、高温はんだで製造されている。高温はんだは、例えばSn、Ag、Cuを含み、再溶融温度が300℃以上の金属であり、200℃以上で一旦溶融した後、冷却硬化すれば300℃以上に加熱しないと再溶融しない。これに限定されず、例えばSn-Sb系高温半田であってもよい。
【0028】
また、接合部10は、CuおよびNiから選ばれる少なくとも1種の、融点が240℃以上の高融点金属を主成分とし、さらに低融点金属としてのSnを含んだ金属間化合物を主成分としてもよい。このような金属間化合物を主成分とすることにより、半田付け時の温度でも溶融しない融点を有し、かつ所望の形態をもって配置することが容易となる。
なお、金属間化合物は、特に、SnとCu-Ni合金との反応により生成された金属間化合物であることが好ましい。このような金属間化合物は、これを生成するにあたり、反応速度が速く、形状の変化が少ないという利点を有する。なお、金属間化合物を構成する高融点金属として、Agをさらに含んでいてもよい。なお、本明細書において、主成分とするとは、含有率が50%以上であることをいう。
また、接合部10の実装面側表面は、図示しないが、表面に凹凸を有している。
【0029】
(第2めっき層32)
外部電極3に接合部10が取り付けられた状態で、外部電極3及び接合部10の外周を第2めっき層32が覆っている。
【0030】
第2めっき層32は、第2Niめっき層32aと、第2Niめっき層32aの外周に、第2Niめっき層32aを覆うように配置されている第2Snめっき層32bとを含む。第2Niめっき層32aは、第1Niめっき層31aと同様に、ニッケル又はニッケルを含む合金のめっきからなる。第2Snめっき層32bは第1Snめっき層31bと同様に、Sn又はSnを含む合金のめっきからなる。
【0031】
第2Snめっき層32bの表面は、第1Snめっき層31bの表面より滑らかである。すなわち、第1Snめっき層31bは、第2Snめっき層32bよりも表面粗さが大きい。ここでいう表面粗さは、「最大高さ」と呼ばれる高さ方向のパラメーターである表面粗さRzである。表面粗さRzは、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出したときの、最大山高さと最大谷深さとの和である。なお、第1Snめっき層31bは、第2Snめっき層32bより厚い。
また、上述のように、接合部10の実装面側表面は、表面に凹凸を有している。第2めっき層32は、この接合部10の凹凸の形状に追従して形成されるので、アンカー効果により、接合部10と第2めっき層32との接合性がより高まる。
【0032】
(積層セラミックコンデンサ1の製造方法)
次に、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。
図4は、積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明するフローチャートである。
積層セラミックコンデンサ1の製造工程は、積層体製造工程S1と、下地電極層形成工程S2と、第1めっき層形成工程S3と、接合部取付工程S4と、第2めっき層形成工程S5と、を備える。
【0033】
(積層体製造工程S1)
まず、積層体製造工程S1において、セラミックスラリーがシート状に成形された積層用セラミックグリーンシートに導電体ペーストで内部電極層5のパターンが印刷された素材シートが用意される。
そして、内部電極パターンが隣り合う素材シート間において長さ方向において半ピッチずつずれた状態になるように、複数の素材シートが積み重ねられる。
さらに、複数枚積層された素材シートの両側に、それぞれ外層部となる外層部用セラミックグリーンシートが積み重ねられ、熱圧着されることによりマザーブロック部材が形成される。
マザーブロック部材を、積層体の寸法に対応した切断線に沿って分割することで、複数の積層体2が製造される。
【0034】
(下地電極層形成工程S2)
次に、下地電極層形成工程S2において、積層体2の両端部に、下地電極層30が形成される。下地電極層30は、例えば、導電性金属とガラスとを含む導電性ペーストを、積層体2の両端部に塗布して焼き付けることにより形成される。下地電極層30は、
図2に示すように、積層体2両側の端面Cのみならず、主面A側まで延びて、主面Aの端面C側の一部も覆うように形成する。
【0035】
(第1めっき層形成工程S3)
第1めっき層形成工程S3において、下地電極層30の外周に下地電極層30を覆うように、まず、第1Niめっき層31aを形成する。次いで第1Niめっき層31aの外周に、第1Niめっき層31aを覆うように、第1Snめっき層31bを形成する。以上の工程により、外部電極3が積層体2に形成されたコンデンサ本体1Aが製造される。
【0036】
(接合部取付工程S4)
接合部取付工程S4において、コンデンサ本体1Aにおける、第2主面A2側の外部電極3の外周に、接合部10を形成する。接合部10は、融点が240℃以上の金属、例えば高温はんだを下地電極層30の外周に配置することで形成する。
【0037】
高温はんだを用いた場合、高温はんだは、200℃以上で一旦溶融した液体の状態で第1Snめっき層31bの表面に配置される。このとき、第1Snめっき層31bの表面は第2Snめっき層32bの表面より粗い。ゆえに、第1Snめっき層31bの表面には、第2Snめっき層32bの表面と比べて凹凸が多い。溶融した液状の高温はんだは、第1Snめっき層31bの表面の凹凸部分に流入し、高温はんだで製造された接合部10が第1Snめっき層31bに強固に接着する。
【0038】
この際、第1Niめっき層31aが下地電極層30の表面を覆うように配置されている。したがって、コンデンサ本体1Aに、接合部10として高温はんだを配置する際に、下地電極層30がはんだで侵食されることが防止される。
また、第1Niめっき層31aの外周には、第1Snめっき層31bが配置されている。したがって、接合部10として高温はんだを配置する際に、はんだの濡れ性が向上され、接合部10を容易に取り付けることができる。
【0039】
(第2めっき層形成工程S5)
第2めっき層形成工程S5において、外部電極3の外周と接合部10の外周とに第2めっき層32が形成される。第2めっき層32は、外部電極3における接合部10が取り付けられている部分以外の、第1Snめっき層31bが露出している部分と、接合部10の外周とを連続して一体的に覆う。
【0040】
第2めっき層32は、まず、第2Niめっき層32aを、外部電極3における接合部10が取り付けられている部分以外の第1Snめっき層31bが露出している部分と、接合部10の外周とに連続して一体的に形成する。
次いで、第2Niめっき層32aの外周に、第2Niめっき層32aを覆うようにして第2Snめっき層32bを形成する。
以上の工程により、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
【0041】
以上、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によると、第1めっき層31が形成された外部電極3の外周と、接合部10の外周に、連続して第2めっき層32が形成されている。すなわち、接合部10は、コンデンサ本体1Aに取り付けられた状態で、コンデンサ本体1Aの外部電極3と一体的に第2めっき層32に覆われている。このように、接合部10ごとコンデンサ本体1Aの外部電極3の外周が第2めっき層32に覆われているので、接合部10がコンデンサ本体1Aから剥離しにくい。
【0042】
また、積層セラミックコンデンサ1を基板に実装する際に、高温はんだよりも低温で融解する通常のはんだ(以下、低温はんだという)が用いられる。このとき、第2Snめっき層32bの表面粗さが大きすぎると、第2Snめっき層32bで覆われている接合部10の側面を低温はんだが上りにくく、フィレットが形成されにくい。
しかし、実施形態では第2Snめっき層32bが第1Snめっき層31bよりも表面が滑らかである。したがって、第2Snめっき層32bで覆われている接合部10の側面を低温はんだが上りやすく、フィレットが形成されやすい。ゆえに積層セラミックコンデンサ1の基板への実装が安定する。
【0043】
第1Snめっき層31bの表面は、第2Snめっき層32bの表面より粗い。このように第1Snめっき層31bの表面を粗くするにはある程度の厚みが必要であるため、第1Snめっき層31bは、第2Snめっき層32bより厚くなっている。
一方、第2Snめっき層32bの表面を、第1Snめっき層31bの表面より滑らかにするために、第2Snめっき層32bは第1Snめっき層31bより薄くなっている。
【0044】
また、第2Niめっき層32aが外部電極3及び接合部10の外周を覆っているので、低温はんだを配置する際に、外部電極3及び接合部10がはんだで侵食されることが防止される。
また、第2Niめっき層32aの外周には、第2Snめっき層32bが配置されている。したがって、積層セラミックコンデンサ1を基板に実装する際に、低温はんだの濡れ性が向上され、実装が容易になる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は以下である。
<1>誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層体、並びに、下地電極層及び該下地電極層の外周に形成された第1めっき層を含み、前記積層体の積層方向と直交する長さ方向の両側の端面のそれぞれに配置され且つ前記内部電極層と接続された外部電極、を有するコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体における前記積層方向の一方の主面側に配置され、前記外部電極と接続されている、融点が240℃以上の金属を主成分とする接合部と、を備え、前記外部電極の外周と前記接合部の外周とに、連続して第2めっき層が形成されている、積層セラミックコンデンサ。
<2>前記第1めっき層は、第1Niめっき層及び第1Snめっき層を含み、前記第2めっき層は、第2Niめっき層及び第2Snめっき層を含む、<1>に記載の積層セラミックコンデンサ。
<3>前記第1Snめっき層は、前記第2Snめっき層より表面粗さが大きい、<2>に記載の積層セラミックコンデンサ。
<4>前記第1Snめっき層は、前記第2Snめっき層より厚い、<2>又は<3>に記載の積層セラミックコンデンサ。
【0046】
だだし、本発明はこれに限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、実施形態においてはまた、接合部10を覆う第2めっき層32は、第2Niめっき層32aと第2Snめっき層32bとを含んでいる。ただし、これに限定されず、第2Snめっき層32bだけであってもよい。ただし、第2Snめっき層32bだけの場合と比べて、第2Niめっき層32aと第2Snめっき層32bとを含んでいると、接合部10がコンデンサ本体1Aから、より剥離しにくい。
【符号の説明】
【0047】
1 積層セラミックコンデンサ
1A コンデンサ本体
2 積層体
3 外部電極
4 誘電体層
5 内部電極層
6 内層部
7 外層部
10 接合部
30 下地電極層
31 第1めっき層
31a 第1Niめっき層
31b 第1Snめっき層
32 第2めっき層
32a 第2Niめっき層
32b 第2Snめっき層