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特開2023-170120コネクタ及びコネクタ付きワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170120
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタ付きワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20231124BHJP
【FI】
H01R12/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081610
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪 慧吾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一栄
(72)【発明者】
【氏名】松永 貴士
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼柳 政祥
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AB21
5E223AC23
5E223BA04
5E223CA27
5E223CB26
5E223CC15
5E223DA01
5E223EA03
5E223EA07
5E223EA13
5E223EC22
5E223EC32
(57)【要約】
【課題】平型配索材のハウジングでの位置決めを行うことができるコネクタ及びコネクタ付きワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】インナーハウジング5に、平型配索材2の左右向に並んで設けられ、互いの間に平型配索材2を位置づけ、互いに近づく方向に平型配索材2を押す一対のバネ部54,54を設ける。また、インナーハウジング5に、下側に突出し、下側に積層された他のインナーハウジング5が有する一対のバネ部54,54と一対の側壁53,53との隙間に圧入される一対の圧入部55,55を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平型配索材の端末を収容し、前記平型配索材の厚さ方向に積層された複数のハウジングを備えたコネクタであって、
複数の前記ハウジングは各々、
前記平型配索材の幅方向に並んで設けられ、互いの間に前記平型配索材を位置づけ、互いに近づく方向に前記平型配索材を押す一対のバネ部と、
前記幅方向に対向して設けられ、互いの間に一対の前記バネ部を位置づける一対の立壁と、
前記厚さ方向一方側に突出し、前記厚さ方向一方に積層された他の前記ハウジングが有する一対の前記バネ部と一対の前記立壁との隙間に圧入される一対の圧入部と、を有する、
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
一対の前記圧入部は、前記平型配索材の長さ方向において前記平型配索材の端末から離れる側に向かうに従って互いに近づく傾斜面が設けられた、
コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記バネ部は、固定端と、前記固定端よりも前記平型配索材の長さ方向において前記平型配索材の端末から離れた側に配置され、前記幅方向に撓む自由端と、を有する、
コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタにおいて、
前記バネ部は、前記固定端から前記自由端に向かうに従って前記立壁との隙間が広くなるように設けられた、
コネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記ハウジングには、端子が収容され、
前記端子の接続部と前記平型配索材の導体が前記厚さ方向に重ねられた状態で電気的に接続されている、
コネクタ。
【請求項6】
請求項1に記載のコネクタと、
前記コネクタのハウジングに端末が収容される平型配索材と、を備えた、
コネクタ付きワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びコネクタ付きワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
FFC(Flexible Flat Cable)やFPC(Flexible Printed Circuits)等の平型配索材の端末に取り付けるコネクタとしては、特許文献1に示すものが知られている。特許文献1に示すコネクタは、平型配索材に接続される端子として、ピアッシング端子が用いられている。
【0003】
ピアッシング端子を用いる場合、先に複数のピアッシング端子と平型配索材の端末とを接続した後、ピアッシング端子をコネクタのハウジングに収容させる必要がある。このため、平型配索材のハウジングでの位置決めを行うことができず、平型配索材がハウジングの樹脂壁に引っかかることにより圧着部への応力集中が懸念される、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5115933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、平型配索材のハウジングでの位置決めを行うことができるコネクタ及びコネクタ付きワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記を特徴としている。
平型配索材の端末を収容し、前記平型配索材の厚さ方向に積層された複数のハウジングを備えたコネクタであって、
複数の前記ハウジングは各々、
前記平型配索材の幅方向に並んで設けられ、互いの間に前記平型配索材を位置づけ、互いに近づく方向に前記平型配索材を押す一対のバネ部と、
前記幅方向に対向して設けられ、互いの間に一対の前記バネ部を位置づける一対の立壁と、
前記厚さ方向一方側に突出し、前記厚さ方向一方に積層された他の前記ハウジングが有する一対の前記バネ部と一対の前記立壁との隙間に圧入される一対の圧入部と、を有する、
コネクタであること。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタ付きワイヤハーネスは、下記を特徴としている。
上記コネクタと、
前記コネクタのハウジングに端末が収容される平型配索材と、を備えた、
コネクタ付きワイヤハーネスであること。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、平型配索材のハウジングでの位置決めを行うことができるコネクタ及びコネクタ付きワイヤハーネスを提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のコネクタ付きワイヤハーネスの分解斜視図である。
図2図2は、インナーハウジングに平型配索材を組付ける前の図1に示すインナーハウジング及び平型配索材の上面図である。
図3図3は、インナーハウジングに平型配索材を組付ける途中の図1に示すインナーハウジング及び平型配索材の上面図である。
図4図4は、インナーハウジングに平型配索材を組付けた後の図1に示すインナーハウジング及び平型配索材の上面図である。
図5図5は、図1に示すインナーハウジングの上側から見た斜視図である。
図6図6は、図1に示すインナーハウジング及び平型配索材の分解斜視図である。
図7図7は、図5に示すインナーハウジングの下面図である。
図8図8は、図5に示すインナーハウジングの後面図である。
図9図9は、図5に示すインナーハウジングの下側から見た斜視図である。
図10図10は、積層前の図5に示すインナーハウジングの部分上面図である。
図11図11は、積層後の図5に示すインナーハウジングの部分上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。コネクタ付きワイヤハーネス1は、典型的には、車両に搭載されるコネクタ付きワイヤハーネス1である。
【0012】
以下、説明の便宜上、図1図11に示すように、「前(F)」、「後(B)」、「左(L)」、「右(R)」、「上(U)」及び「下(D)」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、前後方向は、本発明の「長さ方向」に対応し、後側は、本発明の「長さ方向において平型配索材の端末から離れた側」に対応している。また、左右方向は、本発明の「幅方向」に対応している。また、上下方向は、本発明の「厚さ方向」に対応し、下側は、本発明の「厚さ方向一方側」に対応している。
【0013】
図1に示すように、コネクタ付きワイヤハーネス1は、平型配索材2と、平型配索材2の端末に接続される端子3と、端子3及び平型配索材2の端末を収容するコネクタ4と、を備えている。
【0014】
平型配索材2は、図2図4に示すように、左右方向に離間して並べられた帯状の複数の導体21と、これら複数の導体21を一括で覆う絶縁シート22と、を有し、全体としてシート状に設けられている。平型配索材2は、端末の絶縁シート22が取り除かれ、複数の導体21の端末が露出している。本実施形態では、導体21は、13本、設けられている。
【0015】
図1に示すように、端子3は、複数の導体21と1対1で接続され、端子3の数と導体21の数とは等しい。端子3は、金属板をプレス加工して形成され、導体21に接続される導体接続部31と、相手コネクタの端子に接続される端子接続部32と、が前後方向に並んで設けられている。導体接続部31は、平板状に形成されている。導体接続部31と導体21とは、上下方向に重ねられ、圧着、圧接、レーザ、半田などにより互いに電気的に接続されている。端子接続部32は、導体接続部31の前側に連なって設けられている。本実施形態では、端子接続部32は、四角筒状に設けられた雌型であるが、これに限定されるものではなく、雄型であってもよい。
【0016】
コネクタ4は、端子3及び平型配索材2の端末が収容され、上下方向に積層された複数のインナーハウジング5(ハウジング)と、複数のインナーハウジング5を収容するアウターハウジング6と、アウターハウジング6に取り付けられるレバー7と、を有している。
【0017】
本実施形態では、インナーハウジング5は、5つ積層されて設けられている(なお、図1では2つ省略して3つのインナーハウジング5を図示している)。インナーハウジング5は、図5に示すように、上側から見て左右方向に長尺な略矩形状に設けられた底壁51と、底壁51上を左右方向に仕切って複数の端子収容室Cを形成する複数の隔壁52と、を有している。
【0018】
底壁51は、前側に設けられた第1底壁部511と、後側に設けられ、第1底壁部511よりも下側に位置する第2底壁部512と、を有している。端子3は、端子接続部32が第1底壁部511上に接触して配置され、導体接続部31が第2底壁部512上に配置される。端子3の導体接続部31と第2底壁部512との間には上下方向に隙間が生じる。平型配索材2は、第2底壁部512上に重ねて配置され、導体接続部31と第2底壁部512との隙間に挿入される。これにより、下から上に向かって第2底壁部512、平型配索材2の導体21、導体接続部31の順に重ねることができる。
【0019】
底壁51からは複数の隔壁52が上方に向かって立設されている。隔壁52は、左右方向に並べて設けられ、前後方向に延在している。隔壁52は、後述する前壁56から第2底壁部512の前端よりも少し後側まで延在している。端子3は、2つの隔壁52の間に形成された端子収容室Cに一つずつ収容されている。本実施形態では、隔壁52によって13の端子収容室Cが形成されている。また、平型配索材2の導体21は、第2底壁部512上から突出する2つの隔壁52の間に一つずつ収容されている。
【0020】
また、インナーハウジング5は、底壁51の左右方向両側から立設された一対の側壁53,53(立壁)と、一対の側壁53,53間に位置づけられる一対のバネ部54,54と、を有している。一対の側壁53,53は、底壁51の前端から後端に亘って立設して設けられ、左右方向に対向する。図2等に示すように、一対の側壁53,53の内側面は各々、前側に設けた第1内側面S1と、後側に設けられ第1内側面S1よりも左右方向外側に位置する第2内側面S2と、第1内側面S1及び第2内側面S2間に設けられた段差面S3と、を有する形状となっている。この段差面S3にバネ部54が突設されている。
【0021】
一対のバネ部54,54は各々、段差面S3に固定される固定端541と、固定端541よりも後側に配置され、左右方向に撓む自由端542と、を有する。一対のバネ部54,54は、自由端542が第2底壁部512上に設けられ、自由端542が固定端541に向けて折り返される形状となっている。また、一対のバネ部54,54は、自由端542同士の距離が固定端541同士の距離よりも狭くなっている。これにより、左側のバネ部54及び左側の側壁53の隙間は、固定端541から自由端542に向かうに従って広くなるように設けられている。また、右側のバネ部54及び右側の側壁53の隙間も同様に、固定端541から自由端542に向かうに従って広くなるように設けられている。一対のバネ部54は、左右方向に並んで設けられ、互いの間に平型配索材2を位置づけ、互いに近づく方向に平型配索材2を押す。
【0022】
また、インナーハウジング5は、図5図9に示すように、第2底壁部512から下側に向かって突出する一対の圧入部55,55を有している。一対の圧入部55,55は、左右方向に並べて配置されている。一対の圧入部55,55は、図7に示すように、前後方向に延在し、底壁51の後端まで延在している。左側の圧入部55は、図6図11に示すように、下側に積層された他のインナーハウジング5が有する左側のバネ部54と左側の側壁53との隙間に圧入される。右側の圧入部55は、下側に積層された他のインナーハウジング5が有する右側のバネ部54と右側の側壁53との隙間に圧入される。一対の圧入部55,55は、図7に示すように、後側に向かうに従って互いに近づく傾斜面S4が設けられている。
【0023】
また、インナーハウジング5は、図5に示すように、底壁51の前端から上側に立設する前壁56を有している。前壁56には、相手端子を挿入して、端子3と接続するための開口561が複数設けられている。複数の開口561は、左右方向に並んで設けられている。開口561は、インナーハウジング5に収容される端子3の数と同じ数だけ設けられている(本実施形態では13個)。
【0024】
また、インナーハウジング5には、図8等に示すように、係止突起57及び係止突起58を有している。係止突起57は、底壁51から下側に突出して設けられている。係止突起57は、左右方向に並んで複数設けられている。係止突起58は、一対の側壁53,53から左右方向外側に向かって突出して設けられている。
【0025】
アウターハウジング6は、図1に示すように、アウターハウジング本体8と、カバー9と、を有している。アウターハウジング本体8は、底壁(図示せず)と、底壁の前側から立設された前壁81と、底壁の左右方向両端から上側に立設された一対の側壁82,82と、を有する。底壁は、積層されたインナーハウジング5の下側を覆う。底壁には、上述した係止突起57が後から前に向かってスライド挿入され、インナーハウジング5を左右方向に係止する係止溝(図示せず)が設けられている。
【0026】
前壁81は、積層されたインナーハウジング5の前側を覆う。前壁81には、インナーハウジング5の前壁56に設けた開口561と前後方向に対向する開口811が複数設けられている。この開口811から相手端子が挿入される。一対の側壁82,82は、積層された複数のインナーハウジング5の側壁53を覆う。側壁82には、上述した係止突起58が後から前に向かってスライド挿入され、インナーハウジング5を上下方向に案内する係止溝(図示せず)が設けられている。
【0027】
カバー9は、上壁91と、上壁91の左右方向両側から下側に下垂された一対の側壁92,92と、を有する。上壁91は、アウターハウジング本体8の上側開口を塞ぎ、積層された複数のインナーハウジング5の上側を覆う。上壁91には、インナーハウジング5の隔壁52間に挿入され、インナーハウジング5を左右方向に係止する係止突起(図示せず)が設けられている。一対の側壁92,92は、アウターハウジング本体8の一対の側壁82,82の外側を覆う。
【0028】
レバー7は、アウターハウジング6の上下方向両側を覆う一対の側板部71,71と、一対の側板部71,71を連結する連結部72と、を有する。一対の側板部71,71には、長孔から成る2つの回動孔711がそれぞれ形成されている。この回動孔711にアウターハウジング6に設けた回動突起911をそれぞれ挿入することにより、レバー7をコネクタ4に対して回動可能に軸支する。
【0029】
次に、上述したコネクタ付きワイヤハーネス1の組み立て手順について説明する。まず、インナーハウジング5の端子収容室Cに端子3を収容する。端子収容室Cの上側開口から端子3を収容させる。このとき、端子3の端子接続部32を第1底壁部511上に重ねて配置し、導体接続部31を第2底壁部512上に配置する。
【0030】
次に、図2図4に示すように、平型配索材2の端末をインナーハウジング5に組付ける。詳しく説明すると、平型配索材2の端末を前側に向けて、後から前にスライドさせてインナーハウジング5の第2底壁部512上に搭載させる。このとき、平型配索材2は、図3に示すように、一対のバネ部54,54の自由端542間に位置づけられ、一対のバネ部54、54の自由端542を互いに離れる方向(左右方向外側)に撓ませる。図10を用いて説明すると、互いの間に平型配索材2を位置づけると一対のバネ部54,54は、実線に示す位置から点線で示す位置に撓む。平型配索材2は、一対のバネ部54,54により、互いに近づく方向に押される。
【0031】
そして、一対のバネ部54,54の反力により、図4に示すように、平型配索材2の左右方向中心が一対のバネ部54,54間の中心位置に位置決めされる。このように位置決めさせると、平型配索材2の導体21を、2つの隔壁52の間であって、導体接続部31と第2底壁部512との隙間に挿入して、導体21と導体接続部31とを上下方向に重ねることができる。その後、上下方向に重ねられた導体21と導体接続部31とを圧着、圧接、レーザ、半田などにより電気的に接続する。
【0032】
次に、図6に示すように、平型配索材2の端末及び端子3が組付けられたインナーハウジング5を上下に重ねる。このとき、図6及び図11に示すように、上側のインナーハウジング5の一対の圧入部55,55を、下側のインナーハウジング5の側壁53とバネ部との隙間に圧入させる。詳しく説明すると、上側のインナーハウジング5を後から前にスライドさせて、圧入部55の前端を下側のインナーハウジング5のバネ部54の自由端542と側壁53との間から挿入させて、圧入させる。これにより、上下のインナーハウジング5同士を固定することができる。また、このとき上側のインナーハウジング5の底壁51から下側に突出した係止突起57が、下側のインナーハウジング5の隔壁52間に挿入される。
【0033】
次に、上下方向に積層され、圧入された複数のインナーハウジング5をアウターハウジング本体8に収容し、さらにカバー9、レバー7の順に組付けて完成する。
【0034】
上述した実施形態によれば、平型配索材2の左右方向に並んで設けられ、互いの間に平型配索材2を位置づけ、互いに近づく方向に平型配索材2を押す一対のバネ部54,54をインナーハウジング5に設けることにより、平型配索材2のインナーハウジング5内での左右方向における位置決めを行うことができる。これにより、先に端子3をインナーハウジング5に収容した後で、平型配索材2を組付けることができる。しかも、インナーハウジング5を積層すると、上側のインナーハウジング5の圧入部55が、下側のインナーハウジング5のバネ部54と側壁53との隙間に圧入される。このため、図11に示すように、バネ部54が左右方向外側にさらに撓むことがなく、平型配索材2がガタつくことを抑制することができる。
【0035】
上述した実施形態によれば、一対の圧入部55,55は、後側に向かうに従って互いに近づく傾斜面S4が設けられている。これにより、上側のインナーハウジング5を後から前にスライドさせて、圧入部55の前端を下側のインナーハウジング5のバネ部54の自由端542と側壁53との間から挿入させる際に挿入させやすくなる。
【0036】
上述した実施形態によれば、バネ部54は、自由端542が固定端541よりも後ろ側に配置される。これにより、上側のインナーハウジング5を後から前にスライドさせて、圧入部55を下側のインナーハウジング5のバネ部54の自由端542と側壁53との間から圧入することができる。
【0037】
上述した実施形態によれば、バネ部54は、固定端541から自由端542に向かうに従って側壁53との隙間が広くなるように設けられた。これにより、上側のインナーハウジング5を後から前にスライドさせた際に、圧入部55を下側のインナーハウジング5のバネ部54の自由端542と側壁53との間から挿入させやすくなる。
【0038】
上述した実施形態によれば、インナーハウジング5には、端子3が収容され、端子3の導体接続部31と平型配索材2の導体21が上下方向に重ねられた状態で電気的に接続されている。これにより、先に端子3をインナーハウジング5に収容した状態で平型配索材2を組付けることができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0040】
例えば、上述した実施形態によれば、圧入部55は、傾斜面S4が設けられていたが、これに限ったものではない。圧入部55に傾斜面S4を設けなくてもよい。
【0041】
また、バネ部54は、固定端541よりも自由端542が前側に設けられていてもよい。また、バネ部54を、固定端541から自由端542に向かうに従って側壁53との隙間が広くなるように設けなくてもよい。この場合、上側のインナーハウジング5を上から下にスライドさせて、圧入部55を上からバネ部54と側壁53との隙間に圧入する。
【0042】
また、インナーハウジング5に端子3を収容することも必須ではない。相手コネクタの端子とインナーハウジング5に収容された平型配索材2とを直接接続するようにしてもよい。
【0043】
ここで、上述した本発明に係るコネクタ及びコネクタ付きワイヤハーネスの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
平型配索材(2)の端末を収容し、前記平型配索材(2)の厚さ方向(上下方向)に積層された複数のハウジング(5)を備えたコネクタ(4)であって、
複数の前記ハウジング(5)は各々、
前記平型配索材(2)の幅方向(左右方向)に並んで設けられ、互いの間に前記平型配索材(2)を位置づけ、互いに近づく方向に前記平型配索材(2)を押す一対のバネ部(54,54)と、
前記幅方向(左右方向)に対向して設けられ、互いの間に一対の前記バネ部(54,54)を位置づける一対の立壁(53,53)と、
前記厚さ方向(上下方向)一方側(下側)に突出し、前記厚さ方向一方(下側)に積層された他の前記ハウジング(5)が有する一対の前記バネ部(54,54)と一対の前記立壁(53,53)との隙間に圧入される一対の圧入部(55,55)と、を有する、
コネクタ(4)。
【0044】
上記[1]の構成によれば、一対のバネ部(54,54)により、平型配索材(2)のハウジング(5)内での幅方向(左右方向)における位置決めを行うことができる。しかも、一対の圧入部(55,55)により、一対のバネ部(54,54)が幅方向(左右方向)外側にさらに撓むことがなく、平型配索材(2)がガタつくことを抑制することができる。
【0045】
[2]
[1]に記載のコネクタ(4)において、
一対の前記圧入部(55,55)は、前記平型配索材(2)の長さ方向(前後方向)において前記平型配索材(2)の端末から離れる側(後側)に向かうに従って互いに近づく傾斜面(S4)が設けられた、
コネクタ(4)。
【0046】
上記[2]の構成によれば、ハウジング(5)の圧入部(55)を厚さ方向一方側(下側)に積層されたハウジング(5)のバネ部(54)と立壁(53)との間に挿入させやすくなる。
【0047】
[3]
[1]に記載のコネクタ(4)において、
前記バネ部(54)は、固定端(541)と、前記固定端(541)よりも前記平型配索材(2)の長さ方向(前後方向)において前記平型配索材(2)の端末から離れた側(後側)に配置され、前記幅方向(左右方向)に撓む自由端(542)と、を有する、
コネクタ(4)。
【0048】
上記[3]の構成によれば、厚さ方向他方側のハウジング(5)を長さ方向(前後方向)にスライドさせて、圧入部(55)を厚さ方向一方側(下側)のハウジング(5)のバネ部(54)の自由端(542)と立壁(53)との間から圧入することができる。
【0049】
[4]
[3]に記載のコネクタ(4)において、
前記バネ部(54)は、前記固定端(541)から前記自由端(542)に向かうに従って前記立壁(53)との隙間が広くなるように設けられた、
コネクタ(4)。
【0050】
上記[4]の構成によれば、厚さ方向他方側のハウジング(5)を長さ方向(前後方向)にスライドさせた際に、圧入部(55)を厚さ方向一方側(下側)のハウジング(5)のバネ部(54)の自由端(542)と立壁(53)との間から挿入させやすくなる。
【0051】
[5]
[1]に記載のコネクタ(4)において、
前記ハウジング(5)には、端子(3)が収容され、
前記端子(3)の接続部(32)と前記平型配索材(2)の導体(21)が前記厚さ方向(上下方向)に重ねられた状態で電気的に接続されている、
コネクタ(4)。
【0052】
上記[5]の構成によれば、先に端子(3)をインナーハウジング5に収容した状態で平型配索材(2)を組付けることができる。
【0053】
[6]
[1]に記載のコネクタ(4)と、
前記コネクタ(4)のハウジング(5)に端末が収容される平型配索材(2)と、を備えた、
コネクタ付きワイヤハーネス(1)。
【0054】
上記[6]の構成によれば、平型配索材(2)のハウジング(5)内での幅方向における位置決めを行うことができる。しかも、一対の圧入部(55,55)により、一対のバネ部(54,54)が幅方向外側にさらに撓むことがなく、平型配索材(2)がガタつくことを抑制することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 コネクタ付きワイヤハーネス
2 平型配索材
4 コネクタ
5 ハウジング(インナーハウジング)
31 導体接続部(接続部)
53 側壁(立壁)
54 バネ部
55 圧入部
541 固定端
542 自由端
S4 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11