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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170126
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】燃料タンクの水張り検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/12 20060101AFI20231124BHJP
   G01M 3/32 20060101ALI20231124BHJP
   B65D 90/22 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01N3/12
G01M3/32 U
B65D90/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081619
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】福田 智之
【テーマコード(参考)】
2G061
2G067
3E170
【Fターム(参考)】
2G061AA05
2G061AB01
2G061BA03
2G061CB04
2G061DA10
2G067AA03
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB31
2G067CC02
3E170AA03
3E170AA04
3E170AB03
3E170AB29
3E170CA08
3E170GB01
3E170GB08
3E170KC01
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】より効率的な燃料タンクの水張り検査方法を提供すること。
【解決手段】燃料タンクの水張り検査方法は、燃料タンク10の内部に袋部材30を配置する袋部材配置工程と、燃料タンク10の内部と、袋部材配置工程で燃料タンク10の内部に配置された袋部材30の内部と、に水を注入する水張り工程と、燃料タンク10の内部から水張り工程で溜められた水の漏洩を確認する漏洩確認工程と、燃料タンク10の内部に注入された水は不純物を除去するフィルタ部60を介して排出し、袋部材30の内部に注入された水はフィルタ部60を介さずに排出する排出工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの内部に袋部材を配置する袋部材配置工程と、
前記燃料タンクの内部と、前記袋部材配置工程で前記燃料タンクの内部に配置された前記袋部材の内部と、に水を注入する水張り工程と、
前記燃料タンクの内部から前記水張り工程で溜められた水の漏洩を確認する漏洩確認工程と、
前記燃料タンクの内部に注入された水は不純物を除去するフィルタを介して排出し、前記袋部材の内部に注入された水は前記フィルタを介さずに排出する排出工程と、を含む、燃料タンクの水張り検査方法。
【請求項2】
前記燃料タンクは、前記燃料タンクの下部に前記燃料タンクの内部と連通する複数の開口部が形成され、
前記水張り工程では、前記燃料タンクの内部と、前記袋部材の内部と、にそれぞれ前記複数の開口部のうちのいずれかを介して水が注入され、
前記排出工程では、前記燃料タンクの内部に注入された水は、前記複数の開口部のうちのいずれかから前記フィルタを介して排出され、前記袋部材の内部に注入された水は、前記複数の開口部のうちの残りの開口部のいずれかから前記フィルタを介さずに排出される、請求項1に記載の燃料タンクの水張り検査方法。
【請求項3】
前記排出工程では、前記袋部材の内部の水を吸引ポンプにより吸引して排出する、請求項1又は2に記載の燃料タンクの水張り検査方法。
【請求項4】
前記袋部材は、弾性変形可能な弾性部材により形成され、
前記水張り工程において前記袋部材は弾性変形して膨張しながら注入された水を内部に貯留し、
前記排出工程において前記袋部材は復元力により収縮して内部に貯留された水を押し出して排出する、請求項1又は2に記載の燃料タンクの水張り検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクの水張り検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンクの耐圧性能等を検証するために、燃料タンク内に水を張って水張り試験が行われる。この種の技術を示すものとして、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、LNGタンクの内壁の溶接部の表面に、亜鉛含有塗料を塗布するステップと、亜鉛含有塗料が溶接部の表面になっている状態で、海水又は汚水を含む腐食性の水をLNGタンク内に導入するステップと、LNGタンク内に腐食性の水を張り、所定の期間が経過した後、腐食性の水をLNGタンクから排出するステップと、LNGタンクの内壁を探傷するステップと、を含むLNGタンクの水張り試験方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-132834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水張り検査(試験)後の燃料タンク内の水には燃料タンク内部の油等の汚れが混じる場合がある。この場合、当該水の排出のための汚れの除去作業に時間がかかるため、検査の作業効率という観点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、より効率的に行うことができる燃料タンクの水張り検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る燃料タンクの水張り検査方法は、燃料タンクの内部に袋部材を配置する袋部材配置工程と、前記燃料タンクの内部と、前記袋部材配置工程で前記燃料タンクの内部に配置された前記袋部材の内部と、に水を注入する水張り工程と、前記燃料タンクの内部から前記水張り工程で溜められた水の漏洩を確認する漏洩確認工程と、前記燃料タンクの内部に注入された水は不純物を除去するフィルタを介して排出し、前記袋部材の内部に注入された水は前記フィルタを介さずに排出する排出工程と、を含む。
【0007】
(1)の燃料タンクの水張り検査方法は、より効率的に行うことができる。
【0008】
(2) 本発明に係る燃料タンクの水張り検査方法では、前記燃料タンクは、前記燃料タンクの下部に前記燃料タンクの内部と連通する複数の開口部が形成され、前記水張り工程では、前記燃料タンクの内部と、前記袋部材の内部と、にそれぞれ前記複数の開口部のうちのいずれかを介して水が注入され、前記排出工程では、前記燃料タンクの内部に注入された水は、前記複数の開口部のうちのいずれかから前記フィルタを介して排出され、前記袋部材の内部に注入された水は、前記複数の開口部のうちの残りの開口部のいずれかから前記フィルタを介さずに排出されることが好ましい。
【0009】
(2)の燃料タンクの水張り検査方法は、下部に形成された開口部から水の注入と排出を行うことができるため、注入又は排出のためのホース等を開口部に接続する際に、作業員が開口部にアクセスしやすくなる。また、燃料タンクの下部に開口部が形成される場合、燃料タンク内の水は重力により燃料タンクの下方に押されているため、下部に形成された開口部から外部へ押し出される。このため、燃料タンク内の水をより容易に排出可能である。
【0010】
(3) 本発明に係る燃料タンクの水張り検査方法は、前記排出工程では、前記袋部材の内部の水を吸引ポンプにより吸引して排出することが好ましい。
【0011】
(3)の燃料タンクの水張り検査方法は、排出工程において、燃料タンク内の水の重力に加えて吸引ポンプによる吸引力により燃料タンク内の水が排出されるため、燃料タンク内の水をより容易に排出可能である。
【0012】
(4) 本発明に係る燃料タンクの水張り検査方法は、前記袋部材は、弾性変形可能な弾性部材により形成され、前記水張り工程において前記袋部材は弾性変形して膨張しながら注入された水を内部に貯留し、前記排出工程において前記袋部材は復元力により収縮して内部に貯留された水を押し出して排出することが好ましい。
【0013】
(4)の燃料タンクの水張り検査方法は、排出工程において、燃料タンク内の水の重力に加えて袋部材の復元力により燃料タンク内の水が排出されるため、コストをかけずに燃料タンク内の水をより容易に排出可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より効率的に行うことができる燃料タンクの水張り検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る水張り検査方法の袋部材配置工程における燃料タンクの一例を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る水張り検査方法の水張り工程における燃料タンクの一例を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る水張り検査方法の排水工程における燃料タンクの一例を示す模式図である。
図4】本発明の変形例に係る水張り検査方法の排水工程における燃料タンクの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る水張り検査方法について図1~3を用いて説明する。当該水張り検査方法は、燃料タンク10の耐圧試験等をより効率的に行うための方法である。まずは、以下に水張り検査の対象の燃料タンク10と、水張り検査に用いる構成について説明する。
【0017】
<燃料タンク>
燃料タンク10は、内部に燃料を貯蔵するための円筒状の構造物である。しかし、燃料タンク10の形状は、円筒形に限らず、例えば球形状でもよい。また、本実施形態に係る燃料タンク10に貯蔵される燃料は、例えば重油等の油である。なお、燃料タンク10に貯蔵される燃料は、油に限らず、LNG(Liquefied Natural Gas)やLPG(Liquefied Petroleum Gas)等でもよい。
【0018】
本実施形態に係る燃料タンク10は、燃料タンク10の内部に連通する開口部としてのマンホール10aが外周面における下側に等間隔に4か所で形成されている。即ち、燃料タンク10は、燃料タンク10の下部に燃料タンク10の内部と連通する複数のマンホール10aが形成される。マンホール10aは、点検等のために作業員が出入りしたり、後述するホースと接続して水張り検査に用いる水の注入や排出が行われたりするための開口である。また、マンホール10aには、マンホール10aを開閉可能な不図示の蓋が設けられている。
【0019】
<検査用の構成>
次に、水張り検査に用いられる構成について、説明する。水張り検査に用いられる構成は、図1~3に示すように、第1ホース接続アタッチメント10a1と、第2ホース接続アタッチメント10a2と、水張り工程における流路20aと、排出工程における流路20bと、袋部材30と、水栓40と、吸引ポンプ50と、フィルタ部60と、が含まれる。
【0020】
流路20aは、図1、2に示すように水張り工程において燃料タンク10へ水を供給するための流路である。流路20aは、図1に示すように、流路20a1と、流路20a2と、流路20a3と、を含む。流路20aにおいて、流路20a1は、第1ホース接続アタッチメント10a1に接続されている流路20a2と、第2ホース接続アタッチメント10a2に接続されている流路20a3と、に分岐しており、分岐点の上流側で水栓40と接続されている。
【0021】
流路20bは、図3に示すように排出工程において燃料タンク10内に貯留された水を外部へ排出するための流路である。流路20bは、図3に示すように、流路20b1と、流路20b2と、流路20b3と、を含む。流路20bにおいて、フィルタ部60を介して第1ホース接続アタッチメント10a1に接続する流路20b2と、吸引ポンプ50を介して第2ホース接続アタッチメント10a2に接続される流路20b3と、が下流側で流路20b1に合流しており、流路20b1は、合流点の下流側端部で海等に向けて水を放出可能に開放されている。
【0022】
流路20a及び流路20bは、例えばホースで構成される。流路20aと流路20bとに用いられるホースは、同じホースを流用してもよいし、別のホースを用いてもよい。また、流路を構成するものは、ホースに限らない。例えば、流路を構成するものはパイプでもよいし、ホースやパイプの組み合わせでもよい。
【0023】
本実施形態に係る袋部材30は、内部に水を溜めるための構成である。袋部材30は、袋部30aと開口部30bとからなる。本実施形態に係る水張り検査方法においては、複数の袋部材30が用いられる。なお、水張り検査に持ちいる袋部材30は1つでもよい。また、袋部材30は、複数の袋部30aと複数の袋部30aの内部に連通する1つの開口部30bとを有する構成でもよい。
【0024】
第1ホース接続アタッチメント10a1は、燃料タンク10のマンホール10aにおいてマンホール10aとの間で水密性を確保して設置可能であり、流路20aのホースと接続するための構成である。また、第1ホース接続アタッチメント10a1は、不図示のバルブを有する。
【0025】
第2ホース接続アタッチメント10a2は、燃料タンク10のマンホール10aにおいてマンホール10aとの間で水密性を確保して設置可能であり、燃料タンク10内に配置された複数の袋部材30の開口部30bと流路20aのホースと接続するための構成である。なお、複数の袋部材30の開口部30bは、1つにまとめられて第2ホース接続アタッチメント10a2に接続される。また、第2ホース接続アタッチメント10a2は、不図示のバルブを有する。
【0026】
水栓40は、不図示の水源から圧送された水を供給できる。不図示の水源は、例えば川の水を処理した水からなる工業用水である。このため、本実施形態に係る水張り検査方法では、水栓40から水圧による燃料タンク10への水張りを行うことができる。水栓40は、例えば消火栓であることが好ましい。
【0027】
吸引ポンプ50は、袋部材30の内部に貯留された水を吸い出して排出するための構成である。袋部材30の内部の水は、袋部材30が萎むことで内部から排出されるが、袋部材30の材質によっては萎みにくく排出されがたいため、吸引ポンプ50により吸引するようにしている。
【0028】
フィルタ部60は、流路20bのうち燃料タンク10の内部と海との間に設けられ、燃料タンク10の内部より排出される水から油等の汚れを除去するための構成である。フィルタ部60は、例えば活性炭フィルタである。なお、フィルタ部60は、活性炭フィルタに限らず、例えばコアレッサー型油水分離器でもよい。
【0029】
<水張り検査方法>
次に、本実施形態に係る水張り検査方法の詳細について説明する。当該水張り検査方法は、袋部材配置工程と、水張り準備工程と、水張り工程と、漏洩確認工程と、排出準備工程と、排出工程と、を含む。各工程の詳細については、以下に説明する。
【0030】
まず、図1を用いて、袋部材配置工程を説明する。本実施形態に係る袋部材配置工程は、燃料タンク10の内部に複数の袋部材30を配置する工程である。図1に示すように袋部材30を燃料タンク10の内部に配置し、袋部材配置工程が終了する。
【0031】
次に、図1を用いて、水張り準備工程を説明する。本実施形態に係る水張り準備工程では、複数のマンホール10aのうち3か所のマンホール10aの蓋を開けた状態にする。次に、図1に示すように、流路20aを構成するホースと、水栓40と、2つの第1ホース接続アタッチメント10a1と、第2ホース接続アタッチメント10a2と、を接続する。
【0032】
具体的には、3か所のマンホール10aのうち2か所のマンホール10aに第1ホース接続アタッチメント10a1を、残りの1か所のマンホール10aに第2ホース接続アタッチメント10a2を接続する。2つの第1ホース接続アタッチメント10a1のうちの一方と第2ホース接続アタッチメント10a2とに流路20aを接続する。また、第2ホース接続アタッチメント10a2には袋部材30の開口部30bが接続される。なお、2つの第1ホース接続アタッチメント10a1のうちの他方は、流路20aとは接続せずに排出工程の際に使用される。
【0033】
2つの第1ホース接続アタッチメント10a1のうちの一方及び第2ホース接続アタッチメント10a2のバルブは開いた状態にし、2つの第1ホース接続アタッチメント10a1のうちの他方のバルブは閉じた状態にする。なお、一方の第1ホース接続アタッチメント10a1のバルブは、水張り工程までは閉じた状態でもよい。また、第2ホース接続アタッチメント10a2のバルブは、水張り工程までは閉じた状態でもよい。このようにして、水張り準備工程が完了する。
【0034】
なお、袋部材30は、燃料タンク10内に常設されるものではなく、水張り検査時にのみタンクの内部に配置される。また、水張り準備工程は、袋部材配置工程の後に行う必要はなく、逆の順序で行われてもよいし、水張り準備工程の途中で袋部材を配置してもよい。
【0035】
次に、図2を用いて、水張り工程について説明する。図2~4におけるWSは、燃料タンク10の内部に注入された水の水面を示す。本実施形態に係る水張り工程は、燃料タンク10の内部と、袋部材配置工程で燃料タンク10の内部に配置された袋部材30の内部と、に水を注入する工程である。なお、袋部材30への水の注入と、燃料タンク10への水の注入に順序はなく、また同時に行ってもよい。
【0036】
まず、水栓40のバルブを開き、流路20a1へ水を供給し、燃料タンク10と袋部材30に耐圧試験等に必要な量の水を注入する。耐圧試験等に必要な量は、例えば燃料タンク10を満水にする量である。次に、水栓40のバルブを閉じ、流路20aへの水の供給を止める。次に、一方の第1ホース接続アタッチメント10a1及び第2ホース接続アタッチメント10a2のバルブを閉じて、流路20aのホースを外し、水張り工程を終了する。なお、排出準備工程までは流路20aのホースは必ずしも外す必要はない。
【0037】
漏洩確認工程では、水張り工程において燃料タンク10の内部に溜められた水が溶接箇所等から漏洩しているか否かを確認して耐圧試験を行う。
【0038】
次に、図3を用いて、排出準備工程について、説明する。図3に示すように、流路20bを構成するホースと、2つの第1ホース接続アタッチメント10a1のうちの他方の第1ホース接続アタッチメント10a1と、第2ホース接続アタッチメント10a2と、を接続する。具体的には、本実施形態に係る排出準備工程では、図3に示すように、後述する流路20b3との合流点と他方の第1ホース接続アタッチメント10a1との間にフィルタ部60が配置された流路20b2となるように、他方の第1ホース接続アタッチメント10a1とホースとフィルタ部60とを接続する。
【0039】
流路20b2は、上述のように、他方の第1ホース接続アタッチメント10a1の下流側にフィルタ部60を有し、その下流側に第2ホース接続アタッチメント10a2に接続される流路20b3との合流点を有する。
【0040】
また、図3に示すように、流路20b2との合流点と第2ホース接続アタッチメント10a2との間に吸引ポンプ50が配置された流路20b3となるように、第2ホース接続アタッチメント10a2とホースと吸引ポンプ50とを接続する。流路20b3は、上述のように、第2ホース接続アタッチメント10a2の下流側に吸引ポンプ50があり、その下流側に他方の第1ホース接続アタッチメント10a1に接続される流路20b2との合流点がある。
【0041】
次に、図3を用いて、排出工程について説明する。本実施形態に係る排出工程は、燃料タンク10の内部に注入された水を不純物の除去をするフィルタ部60を介して排出し、袋部材30の内部に注入された水を、フィルタ部60を介さずに排出する工程である。
【0042】
また、排出工程では、燃料タンク10の内部に注入された水は、他方の第1ホース接続アタッチメント10a1のバルブを開き、フィルタ部60を介して流路20bを通じて海に排出する。袋部材30の内部の水は、第2ホース接続アタッチメント10a2のバルブを開き、吸引ポンプ50を起動して、流路20bを通じて吸引して海に排出する。
【0043】
排出工程では、燃料タンク10の内部に注入された水は、複数のマンホール10aのうち1つからフィルタ部60を介して排出され、袋部材30の内部に注入された水は、複数のマンホール10aのうちの残りのマンホール10aの1つからフィルタ部60を介さずに排出される。水張り検査に用いた水の排出が完了した後に、水張り検査に用いた2つの第1ホース接続アタッチメント10a1と、第2ホース接続アタッチメント10a2と、ホースと、袋部材30と、吸引ポンプ50と、フィルタ部60と、を取り外して、排出工程を終了し、水張り検査を終了する。
【0044】
ここで、従来では、燃料タンク水張り検査後の水の排出時に、油や汚れを取り除くフィルタ部を使用し、海上へ排出する際に常に油が混入していないかの監視を必要としていた。その場合、フィルタ部の処理量に限りがあるため、水の排出に多くの時間が費やされていた。また、油や汚れが取り除かれているかの監視も必要なため、労力がかかっていた。
【0045】
本実施形態に係る水張り検査方法では、袋部材30の内部に水張り検査時に燃料タンク10に注入される水の一部が貯留されることから、袋部材30の内部の水は汚れや油を含まない。このため、排出工程において、水張り検査時に燃料タンク10に注入される水の一部はフィルタ部を介さずに海に排出でき、また監視の労力を減らすことができ、効率的に水張り検査を行うことができる。
【0046】
[変形例]
なお、上述の実施形態では、水張り工程において、水栓40内の水圧を利用して袋部材30や燃料タンク10内への水の注入を行っていたが、これに限らず、例えば河川や貯水槽等の任意の水源からポンプ等の圧送手段により袋部材30の内部や燃料タンク10の内部に水を圧送(注入)してもよい。
【0047】
また、排水工程において、袋部材30の内部の水を吸引ポンプ50により吸引して排出していたが、これに限らない。例えば、袋部材30の材質を、弾性変形可能な弾性部材により形成することで、図4に示すように排出工程において袋部材30は復元力により収縮して内部に貯留された水を押し出して、吸引ポンプ50を有さずに袋部材30内部の水を排出できる。弾性部材は、例えば樹脂であることが好ましい。樹脂は、例えば、ゴム、エラストマー等が挙げられる。
【0048】
なお、水張り工程において、燃料タンク10への水の注入後に袋部材への水の注入を行う場合、袋部材30へ注入する水は、燃料タンク10の内部に注入された水の水圧に加えて袋部材30の復元力に抗するための水圧が必要となり、逆の順序の場合に比べ必要となる水圧が大きくなる。従って、本変形例においては、袋部材30への水の注入を行った後に燃料タンク10への水の注入を行うことがより好ましい。
【0049】
また、上述の一実施形態に係る燃料タンク10の水張り検査方法では、開口部としてマンホール10aが用いられるものとして説明していたが、開口部は、マンホール10aに限らない。
【0050】
また、燃料タンク10に形成されるマンホール10aの数は、特に限定されない。例えば、マンホールの数は1つでもよい。マンホールの数が1つの場合のホース接続アタッチメントは、袋部材30の開口部30bとホースと、の間の接続と、燃料タンク10の内部とホースとの間の接続と、を同時に可能とする構造とすることが好ましい。
【0051】
また、燃料タンク10におけるマンホール10aが設けられる場所は、燃料タンク10の外周面における下側に限らず、外周面における上側に設けられてもよいし、燃料タンク10の上面に設けられてもよい。
【0052】
上述の実施形態に係る燃料タンク10の水張り検査方法では、水張り工程において燃料タンク10の下部に設けられたマンホール10aから水を注入していたが、これに限らず、例えば燃料タンク10の上部に設けられたマンホールから水を注入してもよい。これにより、水の注入の際に要する水圧を減じて、より早く燃料タンク10の内部に水を注入することができ、より効率的に水張り検査を行うことができる。また、排出工程において、燃料タンク10の上部に設けられたマンホールから吸引ポンプに接続されたホース等を介して水を吸引して排出してもよい。
【0053】
また、袋部材30も同様に上部に設けられたマンホールから袋部材30の内部に水を注入してもよい。また、排出工程において燃料タンク10の上部に設けられたマンホールから袋部材30の内部の水を吸引ポンプに接続されたホース等を介して水を吸引して排出してもよい。
【0054】
また、水張り工程において、先に燃料タンク10の内部に水が注入された場合、袋部材30が燃料タンク10の内部の水から圧力をうけるため、袋部材30の内部に水を注入するために必要な圧力が増えてしまう。従って、水張り工程において、袋部材30の内部への水の注入は、燃料タンク10の内部への水の注入よりも先に行うことがより好ましい。これにより、袋部材30への水の注入の際に要する水圧を減じて、より早く袋部材30に水を注入することができ、効率的に水張り検査を行うことができる。
【0055】
また、上述の実施形態では、水張り工程において、1つの水栓40を用いていたが、水栓40の数は1つに限らず、2つ以上でもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、排出工程において、排水先が1か所だけであったが、これに限らず、2か所以上でもよい。例えば、排出工程において、海と河川に排出させても良い。
【0057】
また、上述の実施形態では、袋部材30や燃料タンク10への水の供給排出にそれぞれ1つのマンホール10aを用いていたが、これに限らず、袋部材30や燃料タンク10への水の供給排出にそれぞれ2つ以上のマンホール10aを用いてもよい。
【0058】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 燃料タンク
30 袋部材
60 フィルタ部
図1
図2
図3
図4