(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170131
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】有機電解液系蓄電デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 11/78 20130101AFI20231124BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20231124BHJP
H01G 11/72 20130101ALI20231124BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20231124BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20231124BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20231124BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231124BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20231124BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20231124BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20231124BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20231124BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20231124BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20231124BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20231124BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20231124BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20231124BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20231124BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20231124BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20231124BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20231124BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01G11/78
H01G11/06
H01G11/72
H01G11/76
H01G11/84
H01G11/36
H01M10/052
H01M10/0566
H01M10/0585
H01M4/13
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/124
H01M50/178
H01M50/536
H01M50/548 301
H01M50/557
H01M50/566
H01M4/139
H01M4/587
H01M4/36 D
H01M4/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081635
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】521322812
【氏名又は名称】株式会社マテリアルイノベーションつくば
(74)【代理人】
【識別番号】110003753
【氏名又は名称】弁理士法人シエル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 坤
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠
(72)【発明者】
【氏名】羽藤 之規
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA13
5E078AB06
5E078AB12
5E078BA15
5E078DA02
5E078DA06
5E078FA13
5E078FA21
5E078FA23
5E078HA02
5E078HA23
5E078HA25
5E078HA26
5E078KA06
5E078KA07
5E078KA08
5E078KA09
5H011AA03
5H011AA09
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD06
5H011DD13
5H011DD26
5H011EE04
5H011FF04
5H011KK01
5H029AJ03
5H029AJ14
5H029AK06
5H029AL06
5H029AL19
5H029AM02
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ05
5H029CJ08
5H029CJ13
5H029CJ15
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5H029CJ30
5H029DJ02
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5H029DJ08
5H029DJ12
5H029DJ14
5H029DJ15
5H029EJ04
5H029HJ04
5H029HJ07
5H029HJ12
5H043AA05
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA09
5H043EA02
5H043EA39
5H043HA12D
5H043HA12E
5H043HA17D
5H043HA17E
5H043HA40D
5H043HA40E
5H043JA01E
5H043JA13D
5H043JA13E
5H043LA02D
5H043LA02E
5H043LA11E
5H043LA21D
5H043LA21E
5H043LA22D
5H043LA22E
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA14
5H050CB07
5H050CB29
5H050DA02
5H050DA03
5H050DA20
5H050EA08
5H050FA08
5H050FA10
5H050FA16
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA04
5H050GA07
5H050GA10
5H050GA13
5H050GA16
5H050GA22
5H050GA29
5H050HA04
5H050HA07
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】外装後のサイズが17mm
2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現する。
【解決手段】積層された複数の電極と、アルミラミネートフィルムの外装と、その電極に極性毎に電気的に接続された端子とを有する有機電解液系蓄電デバイスにおいて、以下のように構成される。積層された複数の電極のそれぞれは、有効部と前記端子が接続されたリード部とを含む。平面から見たときに電極の有効部を囲む外装領域をセル面積Soとし、前記外装領域の厚さをTとし、前記電極の前記有効部の面積をSeとし、面積の単位をmm
2、厚さの単位をmmとするとき、Se/So=0.2978lnSo-1.2088、但し、60<So<170及びT≦3.0の関係を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の電極と、アルミラミネートフィルムの外装と、前記複数の電極に電気的に接続された端子とを有する有機電解液系蓄電デバイスにおいて、
前記電極のそれぞれは、有効部と前記端子が接続されたリード部とを含み、
平面から見たときに前記電極の前記有効部を囲む前記外装領域をセル面積So(Xo×Yo)とし、前記外装領域の厚さをTとし、前記電極の前記有効部の面積をSe(Xe×Ye)とし、面積So,Seの単位をmm2、厚さTの単位をmmとするとき、以下の数式を全て満足することを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088
60<So<170
T≦3.0
【請求項2】
請求項1において、前記電極は集電体上に概ね方形に活物質が塗布されて前記有効部とされ、前記有効部は概ね方形であり、前記リード部は、前記集電体を前記電極の外方向に延長して形成され、
前記アルミラミネートフィルムは、前記端子を前記セル外に導く第1辺と前記第1辺と対向する第2辺と他の第3辺と第4辺とを有し、前記電極を囲む方形に成形され、
前記アルミラミネートフィルムは、前記第2辺で折り返され、前記第3辺と第4辺で熱融着された上で前記電極側に折り曲げられていることを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1において、前記リード部と前記端子は、前記有効部に沿った幅と前記有効部から離れる方向の長さを持つ被溶接領域で超音波溶接され、前記被溶接領域の長さが0.8mm以下であることを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項3において、前記被溶接領域に対する前記超音波溶接は、支持部とアンビルとホーンとを有する超音波溶接装置によって施されるものであって、
前記支持部は、前記複数の電極を、前記リード部を揃え、前記端子を重ねた状態で支持し、
前記アンビルは、溶接領域を囲み前記溶接領域よりも広い領域で前記端子に接する接触面を有し、前記接触面から離れるにしたがって広がる台の形状であり、
前記ホーンは、前記溶接領域を囲み前記溶接領域よりも広い平坦な領域と、前記溶接領域で積層された最も上のリード部に接する複数の突起を備え、さらに前記支持部と逆側に前記平坦な領域から離れた位置に前記平坦な領域よりも広がる補強部を備え、
前記アンビルと前記ホーンとで前記溶接領域を挟み込み超音波振動を印加することによって前記超音波溶接を行うことを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項5】
請求項4において、前記ホーンの前記溶接領域は、前記有効部に沿った幅と前記有効部から離れる方向の長さを持ち、前記溶接領域の長さは0.2mm以下であることを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項において、前記複数の電極は、前記有効部に正極活物質が塗布された正極電極と前記有効部に負極活物質が塗布された負極電極からなり、前記正極活物質及び前記負極活物質がイオンを吸脱着可能な活物質であることを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項7】
請求項6において、前記正極活物質及び前記負極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むことを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項8】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項において、前記複数の電極は、前記有効部に正極活物質が塗布された正極電極と前記有効部に負極活物質が塗布された負極電極からなり、前記正極活物質はイオンを吸脱着可能な活物質であり、前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵し放出することができる活物質で予めリチウムをプレドープ可能とされたことを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項9】
請求項8において、前記正極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むことを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイス。
【請求項10】
積層された複数の電極と、アルミラミネートフィルムの外装と、前記複数の電極に電気的に接続された端子とを有する有機電解液系蓄電デバイスの製造方法であって、前記製造方法は、第1工程乃至第8工程を含み、
前記第1工程では、活物質を含んで調整されたスラリーを、集電体である金属シートの表面と裏面の互いに位置合わせされた領域に塗布し、乾燥し、加圧プレスし、
前記第2工程では、前記金属シートから、前記活物質が塗布された概ね方形の有効領域と、前記有効領域の一辺の一部から前記活物質が塗布されていないリード領域とを有する電極片を切り出し、
前記第3工程では、異なる極性の電極片を有効領域の位置を合わせて交互に、同じ極性の電極片をリード領域の位置を合わせて、複数の電極片を積層し、
前記第4工程では、積層された前記複数の電極片の、同じ極性どうし重ね合わせられたリード領域に、それぞれ端子を超音波溶接し、
前記超音波溶接は、支持部とアンビルとホーンとを有する超音波溶接装置によって施されるものであって、
前記支持部は、前記複数の電極片を、前記リード部を揃え、前記端子を重ねた状態で支持し、
前記アンビルは、溶接領域を囲み前記溶接領域よりも広い領域で前記端子に接する接触面を有し、前記接触面から離れるにしたがって広がる台の形状であり、
前記ホーンは、前記溶接領域を囲み前記溶接領域よりも広い平坦な領域と、前記前記溶接領域で積層された最も上のリード部に接する複数の突起を備え、さらに前記支持部と逆側に前記平坦な領域から離れた位置に前記平坦な領域よりも広がる補強部を備え、
前記アンビルと前記ホーンとで前記溶接領域を挟み込み超音波振動を印加することによって前記超音波溶接を行い、
前記第5工程では、電極片のリード領域を有する辺を第1辺としたとき第1辺と対向する第3辺で折り返されたアルミラミネートフィルムで、積層された前記複数の電極片を包み、第2辺と第4辺の外側で前記アルミラミネートフィルムを熱融着し、
前記第6工程では、前記アルミラミネートフィルムで前記第2辺乃至第4辺を封止された前記複数の電極片を乾燥し、
前記第7工程では、前記第2辺乃至第4辺が封止された前記アルミラミネートフィルム内に、電解液を注入し、
前記第8工程では、前記第2辺乃至第4辺が封止された前記アルミラミネートフィルム内の気体を排気して減圧した状態で、前記アルミラミネートフィルムの前記第1辺を熱融着によって封止する
ことを特徴とする有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【請求項11】
請求項10において、前記第1工程における位置合わせの精度は0.2mm以下であることを特徴とする有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項10において、前記第4工程における前記溶接領域は、前記支持部から遠ざかる方向の長さが0.2mm以下であることを特徴とする有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【請求項13】
請求項10において、前記製造工程は、前記アルミラミネートフィルムの前記第2辺及び第4辺の熱融着された部分を、積層された前記複数の電極片の方向に折り曲げる、第9工程をさらに含むことを特徴とする有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項10から請求項13のうちのいずれか1項において、前記第1工程で調整されるスラリーは、正極の電極片向けに正極活物質を含むスラリーと負極の電極片向けに負極活物質を含むスラリーであり、前記正極活物質及び前記負極活物質がイオンを吸脱着可能な活物質であることを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項14において、前記正極活物質及び前記負極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むことを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【請求項16】
求項10から請求項13のうちのいずれか1項において、前記第1工程で調整されるスラリーは、正極の電極片向けに正極活物質を含むスラリーと負極の電極片向けに負極活物質を含むスラリーであり、前記正極活物質はイオンを吸脱着可能な活物質であり、前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵し放出することができる活物質で予めリチウムをプレドープ可能とされたことを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【請求項17】
請求項16において、前記正極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むことを特徴とする、有機電解液系蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電解液系蓄電デバイス及びその製造方法に関し、特に超小型でエネルギー密度の高い有機電解液系蓄電デバイスに好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
多くのものがインターネットに接続されるIoT(Internet of Things)が普及し、その中でウェアラブルデバイスへ注目が高まっている。ウェアラブルデバイスでは、特に電源技術に対する要求が高い。発火、発熱を完全に抑える安全性を担保した上で、小型・軽量・高エネルギー密度及び急速充電が求められる。これに応えられる蓄電デバイスの候補は、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタ等の有機電解液系蓄電デバイスである。有機電解液系蓄電デバイスのセルでは、電解液を挟んで電極を積層し、アルミラミネートフィルムを使って封止し、電極の端部にタブリードを取り付けてセルの外側に引き出すのが一般的である。このとき、電極を平たい面から見た(平面視した)ときに、蓄電に寄与する電極領域の周囲に、電極にタブを接続するための領域と、アルミラミネートフィルムを封止するための領域が、所謂オーバーヘッドとして存在する。ここでオーバーヘッドとは、電解液を封止するために不可欠であるが、エネルギー密度の向上には寄与しないので、小型化・軽量化の観点からは、安全を確保できる範囲でできる限り小さくすることが望ましいことを意味している。
【0003】
特許文献1には、アルミラミネートフィルムのヒートシール部の面積を小さく抑えて小型化を図った非水電解質二次電池が開示されている。電極群収納部の面積とアルミラミネートフィルム片面あたりのヒートシール部の面積の比を1.8以下に抑えることが好適とされ(請求項1)、異常高温時の剥離を抑えるためのヒートシール部の幅は2mm以上が好ましいことが示されている(第0074段落~第0075段落)。
【0004】
特許文献2には、電極タブの溶接特性が改善された二次電池が開示されている。複数枚積層された陽極と陰極のそれぞれから引き出したタブに、リードを超音波溶接する。同じ極性のタブを幅方向に複数に分割することによって、溶接する際にリードの上に重ねられるタブの枚数を減らすことができ、溶接特性が改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-063856号公報
【特許文献2】特表2020-513148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2について本発明者らが検討した結果、以下のような新たな課題があることがわかった。即ち、従来のリチウムイオン電池など電解液系蓄電デバイスでは、小型化に向けた技術開発が十分に行われていないことがわかった。ここで小型化を数値化するために、充填率という指標を導入することにする。電極を平たい面から見た(平面視した)ときに、蓄電に寄与する電極領域の面積をSeとし、同じ方向から見たときの外装領域の面積をSoとするとき、SeのSoに対する比Se/Soを充填率と定義する。セルのエネルギー密度を決めるのは電極領域であるから、充填率はできる限り高い方が良い。
【0007】
一方、ウェアラブルデバイス等では、小型化に対する要求が厳しく、これに搭載される蓄電デバイスについても例外ではない。多くの場合、全体の大きさを例えば10mm角までに抑えることが要求される。このような場合でも、ウェアラブルデバイスは、高い安全性と高い信頼性が担保されなければならないことは、言うまでもない。
【0008】
安全性を担保するためにアルミラミネートフィルムの剥離を抑えるには、アルミラミネートフィルムを融着して封止する領域を大きくする方が良い。また、信頼性を高めるために断線を防止するためには、電極とタブリードの溶接面積は大きい方が良い。アルミラミネートフィルムの熱融着やタブリードの溶接には、一定程度の面積が必要となるため、セルを小型化したときには、充填率が必然的に低下することとなる。アルミラミネートフィルムの熱融着には、通常5mm~10mm程度が必要とされ、溶接には通常3mm~5mm程度が必要とされる。このため、外装後のサイズを10mm角以内にした超小型のセルと製作することは、極めて困難である。
【0009】
特許文献1によれば、アルミラミネートフィルムのヒートシールには最低2mmの幅が必要とされる。特許文献2には、タブリードの溶接に必要な面積について具体的な値が示されていないが、特許文献1の表1に示された実施例の中では、タブリードの溶接部分を含むトップシールの幅の最小値は2mmである。しかしながら、この文献には、トップシールの幅を2mmにまで小型化するための具体的な手段は開示されていない。
【0010】
特許文献2に示される電池のタブは、幅方向で複数に分割されているために、分割されたそれぞれのタブの幅は狭く(
図5(b))、面積を維持するためには溶接領域を長手方向に伸ばすことが必要になる。ただし、この文献の中には、具体的数値は示されていない。
【0011】
本発明の目的は、外装後のサイズが超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施の形態によれば、下記の通りである。
【0013】
すなわち、積層された複数の電極と、アルミラミネートフィルムの外装と、その電極に極性ごとに電気的に接続された端子とを有する有機電解液系蓄電デバイスにおいて、以下のように構成される。
【0014】
積層された複数の電極のそれぞれは有効部と前記端子が接続されたリード部とを含む。
【0015】
平面から見たときに電極の有効部を囲む外装領域をセル面積Soとし、前記外装領域の厚さをTとし、前記電極の前記有効部の面積をSeとし、面積So,Seの単位をmm2、厚さTの単位をmmとするとき、以下の数式を全て満足する。
【0016】
Se/So ≧ 0.2978lnSo-1.2088
60<So<170
T≦3.0
なお、Se/Soを充填率と呼ぶことにする。
【発明の効果】
【0017】
前記一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0018】
すなわち、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の有機電解液系蓄電デバイスの構成例を示す説明図である。
【0020】
【
図2】
図2は、本発明の有機電解液系蓄電デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【0021】
【
図3】
図3は、活物質を含むスラリーを、集電体となる金属シートに塗布・プレスする装置の構成例を示す説明図である。
【0022】
【
図4】
図4は、活物質を含むスラリーが塗布された金属シートから、電極片を切り出す工程の説明図である。
【0023】
【
図5】
図5は、切り出された電極片を積層する工程の説明図である。
【0024】
【
図6】
図6は、切り出された電極片を積層する工程における位置合わせの説明図である。
【0025】
【
図7】
図7は、積層された電極片のリード領域に端子を超音波溶接する工程の説明図である。
【0026】
【
図8】
図8は、超音波溶接装置のホーンの構成例を示す説明図である。
【0027】
【
図9】
図9は、積層された電極をアルミラミネートフィルムで外装する工程の説明図である。
【0028】
【
図10】
図10は、アルミラミネートフィルムを左右で融着した後に折り返す工程の説明図である。
【0029】
【
図11】
図11は、本実施例で説明する試料の諸元をまとめた一覧表である。
【0030】
【
図12】
図12は、本実施例で説明する試料の左右の側辺での外装フィルムの処理方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0032】
〔1〕超小型有機電解液系蓄電デバイス(
図1)
本願において開示される代表的な実施の形態は、積層された複数の電極(1)と、アルミラミネートフィルムの外装(10)と、前記複数の電極に電気的に接続された端子(4)とを有する有機電解液系蓄電デバイス(100)であって、以下のように構成される。
【0033】
前記電極のそれぞれは有効部(2)と前記端子が接続されたリード部(3)とを含む。
【0034】
平面から見たときに前記電極の前記有効部を囲む前記外装領域をセル面積So(Xo×Yo)とし、前記外装領域の厚さをTとし、前記電極の前記有効部の面積をSe(Xe×Ye)とし、面積So,Seの単位をmm2、厚さTの単位をmmとするとき、以下の数式を全て満足する。
【0035】
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088
60<So<170
T≦3.0
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現することができる。
【0036】
〔2〕アルミラミネートフィルムを下辺で折り返し左右で熱融着して折り畳み(
図1,
図9,
図10)
〔1〕項の有機電解液系蓄電デバイスにおいて、前記電極は集電体(8)上に概ね方形に活物質(6,7)が塗布されて前記有効部とされ、前記有効部は概ね方形であり、前記リード部は、前記集電体を前記電極の外方向に延長して形成される。
【0037】
前記アルミラミネートフィルム(10)は、前記端子を前記セル外に導く第1辺(
図1の上辺)と前記第1辺と対向する第2辺(
図1の下辺)と他の第3辺と第4辺(
図1の左右の辺)とを有し、前記電極を囲む方形に成形される。
【0038】
前記アルミラミネートフィルムは、前記第2辺で折り返され(
図9)、前記第3辺と第4辺で熱融着された上で前記電極側に折り曲げられている(
図10)。
【0039】
これにより、外装の下辺及び左右の辺における余剰な面積を減らして充填率Se/Soを向上し、超小型化に寄与する。
【0040】
〔3〕被溶接領域の小面積化(
図1)
〔1〕項の有機電解液系蓄電デバイスにおいて、前記リード部と前記端子は、前記有効部に沿った幅と前記有効部から離れる方向の長さを持つ被溶接領域(5)で超音波溶接され、前記被溶接領域の長さが0.8mm以下であることを特徴とする。
【0041】
これにより、外装の上辺における余剰な面積を減らして充填率Se/Soを向上し、有機電解液系蓄電デバイスの超小型化に寄与する。なお、被溶接領域(5)とは電極のリード部と端子において溶接された領域を意味し、溶接領域(44)とは超音波溶接を行う装置において、ワークである電極のリード部(3)と端子(4)に超音波振動を印加する領域を意味する。振動の振幅の他、種々の要因によって、両領域は完全には一致しないため、異なる用語によって使い分けるが、特に区別する必要がない場合には、単に溶接領域と呼ぶ場合もある。
【0042】
〔4〕溶接領域の小面積化のための超音波溶接装置(
図7,
図8)
〔3〕項において、前記被溶接領域に対する前記超音波溶接は、支持部(41)とアンビル(42)とホーン(43)とを有し、以下のように構成される超音波溶接装置によって施される。
【0043】
前記支持部は、前記複数の電極を、前記リード部を揃え、前記端子を重ねた状態で支持することができるように構成されている。
【0044】
前記アンビルは、溶接領域(44)を囲み前記溶接領域よりも広い領域で前記端子に接する接触面を有し、前記接触面から離れるにしたがって広がる台の形状である。
【0045】
前記ホーンは、前記溶接領域を囲み前記溶接領域よりも広い平坦な領域と、前記溶接領域で積層された最も上のリード部に接する複数の突起を備え、さらに前記支持部と逆側に前記平坦な領域から離れた位置に前記平坦な領域よりも広がる補強部を備える(
図7,
図8)。
【0046】
この有機電解液系蓄電デバイスでは、前記アンビルと前記ホーンとで前記溶接領域を挟み込み超音波振動を印加することによって前記超音波溶接が行われる。
【0047】
これにより、〔3〕項の有機電解液系蓄電デバイスを実現するための、溶接領域の面積を小さくしても、強度を保つためことができる、具体的な方法の一つが示される。
【0048】
〔5〕溶接領域の小面積化のためのホーン(
図7,
図8)
〔4〕項において、前記ホーンの前記溶接領域(44)は、前記有効部に沿った幅と前記有効部から離れる方向の長さを持ち、前記溶接領域の長さは0.2mm以下である。
【0049】
これにより、〔3〕項の有機電解液系蓄電デバイスを実現するための、溶接領域の面積を小さくしても、強度を保つためことができる、より具体的な方法の一つが示される。
【0050】
〔6〕電気二重層キャパシタ
〔1〕項から〔5〕項のうちのいずれか1項の有機電解液系蓄電デバイスにおいて、前記複数の電極は、前記有効部に正極活物質が塗布された正極電極と前記有効部に負極活物質が塗布された負極電極からなり、前記正極活物質及び前記負極活物質がイオンを吸脱着可能な活物質である。
【0051】
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを実現することができる。
【0052】
〔7〕グラフェン/CNT複合材料
〔6〕項の有機電解液系蓄電デバイスにおいて、前記正極活物質及び前記負極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含む。
【0053】
これにより、〔6〕項の電気二重層キャパシタにおいて、エネルギー密度をさらに向上することができる。
【0054】
〔8〕リチウムイオンキャパシタ
〔1〕項から〔5〕項のうちのいずれか1項の有機電解液系蓄電デバイスにおいて、前記複数の電極は、前記有効部に正極活物質が塗布された正極電極と前記有効部に負極活物質が塗布された負極電極からなり、前記正極活物質はイオンを吸脱着可能な活物質であり、前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵し放出することができる活物質で予めリチウムをプレドープ可能とされたことを特徴とする。
【0055】
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度のリチウムイオンキャパシタを実現することができる。
【0056】
〔9〕グラフェン/CNT複合材料
〔8〕項の有機電解液系蓄電デバイスにおいて、前記正極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含む。
【0057】
これにより、〔8〕項のリチウムイオンキャパシタにおいて、エネルギー密度をさらに向上することができる。
【0058】
〔10〕超小型有機電解液系蓄電デバイスの製造方法(
図2)
本願において開示される代表的な実施の形態は、積層された複数の電極(1)と、アルミラミネートフィルムの外装(10)と、前記複数の電極に電気的に接続された端子(4)とを有する有機電解液系蓄電デバイス(100)の製造方法であって、前記製造方法は、以下の第1工程乃至第8工程(S1~S8)を含んで構成される。
【0059】
前記第1工程(S1)では、活物質を含んで調整されたスラリーを、集電体である金属シート(20)の表面と裏面の互いに位置合わせされた領域に塗布し、乾燥し、加圧プレスする(
図3)。
【0060】
前記第2工程(S2)では、前記金属シートから、前記活物質が塗布された概ね方形の有効領域(2)と、前記有効領域の一辺の一部から前記活物質が塗布されていないリード領域(3)とを有する電極片(1)を切り出す(
図4)。
【0061】
前記第3工程(S3)では、異なる極性の電極片を有効領域(2)の位置を合わせて交互に、同じ極性の電極片をリード領域(3)の位置を合わせて、複数の電極片(1)を積層する(
図5,
図6)。
【0062】
前記第4工程(S4)では、積層された前記複数の電極片の、同じ極性どうし重ね合わせられたリード領域(3)に、それぞれ端子(4)を超音波溶接する。
【0063】
前記超音波溶接は、支持部(41)とアンビル(42)とホーン(43)とを有する超音波溶接装置によって施される。前記支持部は、前記複数の電極片を、前記リード部を揃え、前記端子を重ねた状態で支持する(
図7)。前記アンビル(42)は、溶接領域(44)を囲み前記溶接領域よりも広い領域で前記端子に接する接触面を有し、前記接触面から離れるにしたがって広がる台の形状である(
図7)。前記ホーン(43)は、前記溶接領域を囲み前記溶接領域よりも広い平坦な領域と、前記前記溶接領域で積層された最も上のリード部に接する複数の突起を備え、さらに前記支持部と逆側に前記平坦な領域から離れた位置に前記平坦な領域よりも広がる補強部を備える(
図8)。
【0064】
前記アンビルと前記ホーンとで前記溶接領域を挟み込み超音波振動を印加することによって前記超音波溶接を行う。
【0065】
前記第5工程(S5)では、電極片のリード領域を有する辺を第1辺としたとき第1辺と対向する第3辺で折り返されたアルミラミネートフィルムで、積層された前記複数の電極片を包み(
図9)、第2辺と第4辺の外側で前記アルミラミネートフィルムを熱融着する。
【0066】
前記第6工程(S6)では、前記アルミラミネートフィルムで前記第2辺乃至第4辺を封止された前記複数の電極片を乾燥する。
【0067】
前記第7工程(S7)では、前記第2辺乃至第4辺が封止された前記アルミラミネートフィルム内に、電解液を注入する。
【0068】
前記第8工程(S8)では、前記第2辺乃至第4辺が封止された前記アルミラミネートフィルム内の気体を排気して減圧した状態で、前記アルミラミネートフィルムの前記第1辺を熱融着によって封止する。
【0069】
これにより、超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現することができる。
【0070】
〔11〕金属シート(集電体)の表と裏での、スラリー塗布の位置合わせ精度
〔10〕項の有機電解液系蓄電デバイスの製造方法において、前記第1工程における位置合わせの精度は0.2mm以下であることを特徴とする。
【0071】
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを実現することができる。
【0072】
〔12〕超音波溶接におけるホーンの溶接領域のサイズ
〔10〕項の有機電解液系蓄電デバイスの製造方法において、前記第4工程における前記溶接領域は前記支持部から遠ざかる方向の長さが0.2mm以下であることを特徴とする。
【0073】
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを実現することができる。
【0074】
〔13〕アルミラミネートフィルムの熱融着部分の折り曲げ
〔10〕項の有機電解液系蓄電デバイスの製造方法において、前記製造工程は、前記アルミラミネートフィルムの前記第2辺及び第4辺の熱融着された部分を、積層された前記複数の電極片の方向に折り曲げる、第9工程をさらに含む(
図10)。
【0075】
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを実現することができる。
【0076】
〔14〕電気二重層キャパシタ
〔10〕項から〔13〕項のうちのいずれか1項に記載する有機電解液系蓄電デバイスの製造方法において、前記第1工程で調整されるスラリーは、正極の電極片向けに正極活物質を含むスラリーと負極の電極片向けに負極活物質を含むスラリーであり、前記正極活物質及び前記負極活物質がイオンを吸脱着可能な活物質であることを特徴とする。
【0077】
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを実現することができる。
【0078】
〔15〕グラフェン/CNT複合材料
〔14〕項において、前記正極活物質及び前記負極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むことを特徴とする。
【0079】
これにより、〔14〕項の電気二重層キャパシタにおいて、エネルギー密度をさらに向上することができる。
【0080】
〔16〕リチウムイオンキャパシタ
〔10〕項から〔13〕項のうちのいずれか1項に記載する有機電解液系蓄電デバイスの製造方法において、前記第1工程で調整されるスラリーは、正極の電極片向けに正極活物質を含むスラリーと負極の電極片向けに負極活物質を含むスラリーであり、前記正極活物質はイオンを吸脱着可能な活物質であり、前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵し放出することができる活物質で予めリチウムをプレドープ可能とされたことを特徴とする。
【0081】
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度のリチウムイオンキャパシタを実現することができる。
【0082】
〔17〕グラフェン/CNT複合材料
〔16〕項において、前記正極活物質がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むことを特徴とする。
【0083】
これにより、〔16〕項のリチウムイオンキャパシタにおいて、エネルギー密度をさらに向上することができる。
【0084】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0085】
〔実施形態1〕超小型有機電解液系蓄電デバイス
図1は、本発明の有機電解液系蓄電デバイスの構成例を示す説明図である。有機電解液系蓄電デバイス100は、積層された複数の電極1とアルミラミネートフィルムの外装10と極性の異なる電極1ごとにそれぞれ電気的に接続された端子4とを有する。電極1のそれぞれは、集電体である金属シート上に活物質層が形成された有効部2と活物質層がなく端子4が接続されるリード部3とを含む。
図1に示すように平面から見たときに電極1の有効部2を囲む外装10の領域をセル面積So(Xo×Yo)、外装された全体の厚さをT、電極1の有効部2の面積をSe(Xe×Ye)とする。但し、面積So,Seの単位をmm
2、厚さTの単位をmmとする。このとき、本発明の有機電解液系蓄電デバイス100は、以下の数式を全て満足するように構成される。
【0086】
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088
60<So<170
T≦3.0
これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現することができる。
【0087】
外装のアルミラミネートフィルム10は、下辺で折り返し、左右の側辺で熱融着して折り畳むとよい。
【0088】
図9は、積層された電極1をアルミラミネートフィルム10で外装する工程の説明図である。
図9では、
図1に示す電極1の上辺が右側、下辺が左側に描かれている。電極1の下辺の部分で、外装するアルミラミネートフィルム10を折り返すことにより、下辺の余剰面積を減らして充填率Se/Soを向上することができる。
【0089】
図10は、アルミラミネートフィルム10を左右の側辺で融着した後に折り返す工程の説明図である。
図10には、側辺方向の断面の片側が描かれている。
図1に示す電極1の左辺と右辺で、外装するアルミラミネートフィルム10を熱融着する(
図10の上側)。熱融着する領域は、従来は電極の周囲5mm~10mm程度必要とされているが、本発明では例えば、2段階熱融着方式により2mmを達成している。2段階熱融着方式は、低温で熱融着して融着部分を固定する第1段階と、当該融着部分を精密に調整して高温で補強融着する第2段階よりなる融着方式である。さらに、アルミラミネートフィルム10の融着された部分を電極1の方向に折り曲げる(
図10の下側)ことにより、左右の余剰面積を減らして充填率Se/Soを向上することができる。なお、
図10下側は、アルミラミネートフィルム10の折り曲げた部分と積層された電極1を覆う部分が離れて描かれているが、実際にはできる限り近づくように折り曲げる。
【0090】
次に、外装のアルミラミネートフィルム10の上辺において、余剰面積を減らし、充填率を向上する方法について説明する。
図1に示すように、外装の上辺部分には、電極1のリード部3と端子4とを溶接する領域である被溶接領域5が必要である。外装のアルミラミネートフィルム10は、被溶接領域5の外側で封止されるので、この領域が余剰面積となり充填率の向上を妨げる。電極1の有効部2から離れる方向での被溶接領域5の長さYwを短縮することが、余剰面積を抑えるために重要な技術である。
【0091】
本発明の有機電解液系蓄電デバイス100において、電極1のリード部3と端子4は、電極1の有効部2に沿った幅Xwと有効部2から離れる方向の長さYwを持つ被溶接領域5で超音波溶接される。被溶接領域5の長さYwは、0.15mm以上0.8mm以下であると好適である。これにより、外装の上辺における余剰な面積を減らし、有機電解液系蓄電デバイス100の超小型化に寄与する。被溶接領域5の長さYwの値は大きいほど溶接効果が良好になる一方、充填率Se/Soの値は低下してしまうので、長さYwの値は小さいほど良い。ただし、Ywの値が0.1mmまで小さくなると、溶接部が破損する問題が発生する。溶接面積が小さくなり過ぎると、エネルギーが被溶接領域に集中してせん断強度の低下を招く。この問題を解決するために溶接エネルギーを下げると、電極と端子の間の溶接強度が低下して電極と端子が分離されやすくなり、また抵抗が大きくなるという問題が生じる。被溶接領域5の長さYwの値を0.1mm以下にするための適切なエネルギーの範囲は極めて狭く実用的でないため、Ywの値は多少の余裕を見込んで0.15mm以上が好適である。具体例は、「比較例14(試料番号14)」に示す。
【0092】
被溶接領域5の長さYwを上述のように短縮するための超音波溶接装置40について説明する。超音波溶接装置40は、要部として支持部41とアンビル42とホーン43とを備える。
図7は、超音波溶接装置40のこれら要部を示し、積層された電極片1のリード部3に端子4を超音波溶接する工程の説明図である。また、
図8は、超音波溶接装置40のホーン43の構成例を示す説明図である。
図8は、溶接領域44(後述)側から見た正面図(a)、
図7と同じ方向から見た正面側面図(b)及び正面図(a)の右側から見た右側面図(c)に分けて示されている。
【0093】
支持部41は、複数の電極1を、同じで極性のリード部3を揃え、端子4を重ねた状態で支持することができるように構成されている。
図5を引用して後述するように、複数の電極片1は、正極活物質6を集電体8として機能する金属シートの表裏面に積層された正極と、負極活物質7を集電体8として機能する金属シートの表裏面に積層された負極が、セパレータ9を挟んで交互に積層される。このとき、正極のリード部3と負極のリード部3は、互いに重ならない位置に配置される。
図7には、正極側と負極側それぞれ2個の電極1がセパレータ9を挟んで交互に積層された電極1が、支持部41に支持されている例が示されている。正極の2個の電極1から延びるリード部3が、アンビル42の上にセットされた端子4に重ねられ、アンビル42と反対側からホーン43で挟み込まれる。リード部3と端子4との接触部は、ホーン43から加圧され、図示しない駆動源からホーン43に加えられる超音波振動によって、比較的低温で溶接される。ホーン43から超音波振動を印加される領域を、溶接領域44と呼ぶことにする。これはリード部3と端子4が溶接された結果である被溶接領域5と区別するための呼び変えである。
【0094】
アンビル42は、溶接領域44を囲みそれよりも広い領域で端子4を支える接触面を持ち、接触面から離れるにしたがって広がる台の形状であり、ホーン43は溶接領域44を囲みそれよりも広い平坦な領域と、積層された最も上のリード部3に接する複数の突起を備え、支持部41と逆側に、リード部3に接する突起がある平坦な領域から離れた位置に、その平坦な領域よりも広がる補強部を備える。ホーン43の支持部41側は、支持部41と干渉するため鋭角に切り立っていて、溶接領域44の面積を小さくすると強度が不足するため、支持部41と干渉しない側に補強部を設ける。一実施例では、溶接領域44の幅1mm、長さ0.2mmのホーン43により、良好な超音波溶接を達成することができた。
【0095】
これにより、被溶接領域5の有効部2から離れる方向の長さYwをできる限り抑え、外装の上辺における余剰な面積を減らし、有機電解液系蓄電デバイス100の超小型化に寄与することができる。
【0096】
なお、本実施形態で示したアンビル42及びホーン43の形状は、一例に過ぎず、同一の発明思想の範囲内で適宜変更することができる。例えば、電極1のリード部3は、同じ形状で同じ位置に重ね合わされているが、複数の電極1のリード部3が、有効部2に沿った方向の幅Xwで互いに重ならない位置で並ぶように変更してもよい。これにより、被溶接領域5ではリード部3が1枚だけ端子4に溶接されればよいので、溶接強度は向上する。また、溶接が経年劣化で外れるときにも、1箇所の溶接不要が複数の電極に影響しないので、1箇所の溶接の不良によって、有機電解液系蓄電デバイス100の性能、即ち、蓄電容量が、突然、著しく劣化することを防ぐことができる。
【0097】
有機電解液系蓄電デバイス100は、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池とすることができる。有機電解液系蓄電デバイス100の電極1の有効部2には、正極と負極それぞれについて正極活物質6と負極活物質7が積層される。有機電解液系蓄電デバイス100を電気二重層キャパシタとするには、正極活物質6及び負極活物質7を、イオンを吸脱着可能な活物質とする。有機電解液系蓄電デバイス100をリチウムイオンキャパシタとするには、正極活物質6はイオンを吸脱着可能な活物質とし、負極活物質7はリチウムイオンを吸蔵し放出することができる活物質で予めリチウムをプレドープ可能な物質とする。これにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高密度の電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタを実現することができる。電気二重層キャパシタにおいて、正極活物質6及び負極活物質7がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むように構成すると、エネルギー密度をさらに向上することができる。電気二重層キャパシタにおいては、正極活物質6がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料を含むように構成すると、エネルギー密度をさらに向上することができる。
【0098】
〔実施形態2〕超小型有機電解液系蓄電デバイスの製造方法
実施形態1に示した本発明の一実施形態である有機電解液系蓄電デバイス100の製造方法について、一つの実施形態を示して説明する。
【0099】
図2は、本発明の有機電解液系蓄電デバイス100の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の製造方法は、積層された複数の電極片1とアルミラミネートフィルム20の外装と複数の電極片1に同じ極性のリード部3にそれぞれに電気的に接続された端子4を有する有機電解液系蓄電デバイス100の製造方法であって、例えば、以下の第1工程~第8工程(S1~S8)を含んで構成されている。なお、電極1は電極片1と、有効部2は有効領域2と、リード部3はリード領域3と呼び変えているが、同義である。
【0100】
第1工程(S1)は、スラリーの塗布・プレス工程である。スラリーを金属シート20の表面と裏面に塗布し、乾燥し、加圧プレスする工程である。
図3はスラリーを金属シート20に塗布・プレスする装置30の構成例を示す説明図である。金属シート20は、集電体8として機能する金属(例えばアルミニウム)であり、スラリーは活物質とバインダーと溶媒(例えば水)を含んで調製されている。スラリーが塗布される領域21と塗布されない領域22は、所定の幅と間隔になるように且つ金属シート20の表面と裏面の位置合わせされた領域に、例えばノズル31を使って塗布され、乾燥された後に、例えばプレス用ロール32を使って加圧されて、集電体8として機能する金属シート20上に活物質層として積層して形成される。スラリーが塗布される領域21と塗布されない領域22は、例えばそれぞれ15mmと10mmとされ、金属シート20の表面と裏面での位置合わせ精度は0.2mm以下とされる。スラリーの塗布には、ノズルを用いる例を示したが、2個のロールを近接して一方のロールに塗布したスラリーを他方のロールに転写する転写方式に代えてもよい。金属シート20の一方の面にスラリーを間欠的に塗布した後、その位置をセンサーによって検知し、2つの転写ロールを近接させ離すタイミングを調整することによって、表裏面の位置合わせを行い、金属シート20の走行速度を適切に調整することによって、塗布領域21と未塗布領域22の境界部分における塗布されたスラリーの厚さの不均一を抑えることができる。
【0101】
第2工程(S2)は、電極切断工程である。
図4は、金属シート20から電極片1を切り出す工程の説明図である。金属シート20には、上述のように間欠的に形成されたスラリーの塗布領域21と未塗布領域22から、活物質層が形成された領域と未形成の領域が形成されている。
図4に例示するように、活物質層が形成された領域から概ね方形の有効領域2と、この有効領域2に隣接し活物質層が形成されていない領域からリード領域3となる部分を有する電極片1を、金属シート20から切り出す。正極と負極の活物質が異なる場合には、第2工程は正極と負極それぞれについて行う。
【0102】
第3工程(S3)は、電極片積層工程である。
図5は、切り出された複数の電極片1を積層する工程の説明図である。この工程では、異なる極性の電極片を有効領域2の位置を合わせて交互に、同じ極性の電極片をリード領域3の位置を合わせて、複数の電極片1を重ね合わせる。例えば、
図5に示すように、正極活物質6を集電体8として機能する金属シート20の表裏面に積層された電極片1(正極)と、負極活物質7を集電体8として機能する金属シート20の表裏面に積層された電極片1(負極)が、セパレータ9を挟んで交互に積層される。このとき、正極のリード領域3と負極のリード領域3は、互いに重ならない位置に配置される。電極片1の数は、正極と負極それぞれ1枚でも良いし複数でも良い。
【0103】
図6は、切り出された電極片を積層する工程における位置合わせの説明図である。
【0104】
第4工程(S4)は、端子溶接工程である。この工程では、
図7を引用して実施形態1で説明したように、積層された複数の電極片1の、同じ極性どうし重ね合わせられたリード領域3に、それぞれ端子4を超音波溶接する。この超音波溶接は、
図7を引用して実施形態1で説明したように、支持部41とアンビル42とホーン43とを有する超音波溶接装置40によって施される。超音波溶接装置40の構成例及びホーン43の構成例については、実施形態1において既に説明したので、本実施形態では説明を省略する。
【0105】
第5工程(S5)は、外装となるアルミラミネートフィルム10の熱融着工程である。この工程については、実施形態1において
図9及び
図10を引用して説明したので、本実施形態では説明を省略する。
【0106】
第6工程(S6)は乾燥工程である。この工程では、アルミラミネートフィルム10で左右両辺が封止された複数の電極片1を乾燥する。
【0107】
第7工程(S7)は、電解液の含浸工程である。この工程では、三辺が封止されたアルミラミネートフィルム10の中に、有機電解液を注入する。
【0108】
第8工程(S8)は真空熱融着工程である。この工程では、三辺が封止され電解液が注入されたアルミラミネートフィルム10内の気体を、真空排気して減圧した状態で、残り1辺(
図1では上辺)を熱融着によって封止する。電極片1のリード部3と端子4の被溶接領域5をアルミラミネートフィルム10の外装容器内に封止し、溶接された端子4を外側に引き出す。端子4とアルミラミネートフィルム10の間の封止には、例えば特開2016-129113に開示される技術を用いるとよい。
【0109】
これにより、超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現することができる。
【0110】
本実施形態2の製造方法は、実施形態1と同様に、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池などの有機電解液系蓄電デバイスに適用することができる。
【0111】
3.実施例
以下、各種の実施例及び比較例について説明する。
図11は、本実施例で説明する試料の諸元をまとめた一覧表である。また
図12は、本実施例で説明する試料の左右の側辺での外装フィルムの処理方法を示す説明図である。
【0112】
〔実施例1(試料番号1)〕
6.5mm×6.2mmの正極10枚と負極11枚を、セパレータ9を挟んで交互に積層して電極1の有効部2とする電極積層ユニットを構成した。アルミニウム製の端子4を溶接した後、ラミネートフィルムで外装して封止し、外形サイズが縦12.8mm×横10.2mm×厚さ2.492mmの電気二重層キャパシタ(EDLC: Electric Double Layer Capacitor)セルを製作した。充填率は以下のように算出される。
【0113】
セル面積So(Xo×Yo)= 12.8mm×10.2mm=130.56mm2、
電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)= 6.5mm×6.2mm=40.3mm2、
したがって、充填率Se/So=40.3mm2/130.56mm2=0.309、即ち30.9%。
【0114】
0.2978lnSo-1.2088=0.2978×ln130.056-1.2088=0.242であるので
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす。
【0115】
ここで、60<So(130.56)<170、T (2.49)≦3.0であり、前提条件を満たす。
【0116】
本実施例1のEDLCセルの製作方法について詳細に説明する。
【0117】
正極の製造法
正極膜のスラリー:比表面積1600m2/g粒子径(D50=5μm)のYP-50活性炭粉末87重量部、アセチレンブラック粉体5重量部、アクリル系バインダー4重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部、水210重量部となる組成にて充分混合することによりスラリーを得た。
【0118】
正極用集電体は厚さ22μmのアルミニウムエッチング箔を使った。上記正極のスラリーをロールコーターにて該正極集電体の両面に間欠コーティング(コーティング部10mm、非コーティング部10mm)して正極電極層を成形し、真空乾燥後、正極全体の厚さ(両面の正極電極層厚さと正極集電体厚さの合計)が82μmの正極を得た。
【0119】
負極の製造法
上記の正極の製造法と同じ製造法で負極を製造した。
【0120】
セルの作製
正極を6.5mm×6.2mmに10枚カットし、負極を6.5mm×6.2mmに11枚カットし、カットされた正極と負極を、セパレータを挟んで交互に積層し、最上部と最下部にさらにセパレータを重ねて4辺をテープ留めして、電極積層ユニットを得た。この電極積層ユニットにおいて、正極及び負極集電体の端子溶接部(幅2mm)に、アルミニウム製端子(幅2mm、厚0.1mm)を重ねて超音波溶接した。溶接面積は(Yw×Xw=0.2mm×1.0mm)である。これを120℃で12時間乾燥した後、電極端子の端部を外装ラミネートフィルムポーチ(9.8mm×9.8mm×2.5mm)外に引き出した状態で底辺で折り返し、外装ラミネートフィルムの端子部の両側辺を封止幅2mmで熱融着した後、電解液としてEMI-BF4(1-ethyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate)を真空含浸させた。残った上辺を減圧下にて封止幅2mmで熱融着して、真空封止した。最後に、
図12上段のように両側辺を1回折り返して、セルの組立てを完了した。組立てたセルは、フィルム型キャパシタセルである。
【0121】
セルの電気的特性
セルの電気化学特性を、マルチチャンネル ポテンショ/ガルバノスタット(Bio-Logic Science Instruments社製、VMP-300)を用いて測定した。電極膜活性物質の単位重量あたりの定電流0.2A/gでセル電圧が2.7Vになるまで充電し、次いで、電極膜活性物質の単位重量あたりの定電流0.2A/gでセル電圧が2.7Vになるまで放電した。放電開始時の電圧Vmaxと放電終了時電圧0Vとの間の放電曲線から初期静電容量を求めた。また、エネルギー密度Ecell(Wh/kg)を、式Ecell=1/2CV2を使って算出した。その後、耐久性評価のために、雰囲気温度65℃の条件下で、セル電圧2.7Vを印加して2000時間経過後の静電容量をシミュレーションによって求め、静電容量保持率を算出した。
【0122】
初期静電容量0.57Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.55Fとなり、容量保持率97.1%を得た。上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0123】
〔実施例2(試料番号2)〕
実施例2は、正極と負極の材料、サイズと枚数を含めセルについては実施例1と同じである。外装ラミネートフィルムの左右の側辺での封止幅を、実施例1の2.0mmから1.5mmに短縮した。
【0124】
電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)、セル面積So(Xo×Yo)及び厚さTは、実施例1と同じ値となり、充填率も実施例1と同じ30.9%である。また、60<So(130.56)<170、T(2.49)≦3.0であり、Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす点でも同様である。
【0125】
セルの電気的特性を実施例1と同じ方法で測定したところ、初期静電容量0.57Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.54Fとなり、容量保持率94.7%を得た。実施例1の容量保持率97.1%よりも若干低下したものの、上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0126】
〔実施例3(試料番号3)〕
実施例3は、正極と負極の材料、サイズと枚数を含めセルについては実施例1と同じである。外装ラミネートフィルムの左右の側辺での封止幅を、実施例1の2.0mmから3.0mmに伸ばし、
図12中段に示すように左右の側辺での折曲げを2回とした。
【0127】
電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)及び厚さTは実施例1と同じ値となり、セル面積So(Xo×Yo)は135.68mm2(=12.8×10.6)と増加したため、充填率は実施例1よりも若干低下して29.7%となった。
【0128】
0.2978lnSo-1.2088=0.2978×ln135.68-1.2088=0.253であるので
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす。
【0129】
また、60<So(135.68)<170、T (2.49)≦3.0であり、前提条件を満たす。
【0130】
セルの電気的特性を実施例1と同じ方法で測定したところ、初期静電容量0.57Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.56Fとなり、容量保持率98.2%を得た。実施例1の容量保持率97.1%よりも向上し、上述の充填率29.7%とともに、良好な結果が得られた。
【0131】
〔実施例4(試料番号4)〕
実施例4は、正極と負極の材料、サイズと枚数を含めセルについては実施例1と同じである。外装ラミネートフィルムの左右の側辺での封止幅を、実施例1の2.0mmから5.0mmに伸ばし、
図12下段に示すように左右の側辺を外装の表面上に折り返した。
【0132】
厚さTは2.71mmと増加したが、電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)及びセル面積So(Xo×Yo)は実施例1と同じ値となり、充填率は実施例1と同じ30.9%となった。また、60<So(130.56)<170、T (2.71)≦3.0であり、Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす。
【0133】
セルの電気的特性を実施例1と同じ方法で測定したところ、初期静電容量0.57Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.566Fとなり、容量保持率99.3%を得た。実施例1の容量保持率97.1%よりも向上し、上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0134】
〔実施例5(試料番号5)〕
実施例5~8(試料番号5~8)は、活物質材料を活性炭粉末からカーボンナノチューブ/グラフェン(CNT/G)に変えて製造した正極及び負極を用いたフィルム型キャパシタセルである。
【0135】
正極及び負極の製造法
正極及び負極の製造法は、活物質材料の変更以外は同じで、電極層と集電体の厚さを合計した全体の厚さは92μmとなった。
【0136】
セルの作製
正極を11枚、負極を12枚に変更した以外は、実施例1と同じ方法でセルを組み立てた。
【0137】
厚さTは2.94 mmと増加したが、電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)及びセル面積So(Xo×Yo)は実施例1と同じ値となり、充填率は実施例1と同じ30.9%となった。また、60<So(130.56)<170、T (2.94)≦3.0であり、Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす。
【0138】
セルの電気的特性を実施例1と同じ方法で測定したところ、初期静電容量1.63Fに対して2000時間経過後の静電容量は1.59Fとなり、容量保持率97.7%を得た。実施例1~4(資料番号1~4)の活性炭粉末を活物質材料とした場合に較べて、静電容量が3倍超に増加した上に容量保持率も同等以上の97.7%であり、上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0139】
〔実施例6(試料番号6)〕
実施例6は、正極と負極の材料及びサイズは実施例5と同じであるが、枚数を正極7枚と負極8枚に変更してセルを製作した。
【0140】
厚さは実施例5の2.94mmから2.00mmに薄くなったが、電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)とセル面積So(Xo×Yo)は実施例5と同じ値となり、充填率も実施例5と同じ30.9%である。また、60<So(130.56)<170、T (2.00)≦3.0であり、Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす点でも同様である。
【0141】
セルの電気的特性を実施例1と同じ方法で測定したところ、初期静電容量1.04Fに対して2000時間経過後の静電容量は1.01Fとなり、容量保持率97.4%を得た。実施例5の容量保持率97.7%よりも僅かに低下したものの、上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0142】
〔実施例7(試料番号7)〕
実施例7は、正極と負極の材料及びサイズは実施例5、6と同じであるが、枚数を正極3枚と負極4枚に変更してセルを製作した。外装ラミネートフィルムの左右の側辺での折曲げを、
図12中段に示すように2回とした。
【0143】
厚さは実施例5の2.94mm、実施例6の2.00mmから1.06mmに薄くなった。
【0144】
セル面積So(Xo×Yo)が135.68mm2(=12.8×10.6)と増加したため、充填率は実施例5,6よりも若干低下して29.7%となった。
【0145】
0.2978lnSo-1.2088=0.2978×ln135.68-1.2088=0.253であるので
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす。
【0146】
また、60<So(135.68)<170、T (1.06)≦3.0であり、前提条件を満たす。
【0147】
電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)とセル面積So(Xo×Yo)は実施例5、6と同じ値となり、充填率も実施例5、6と同じ30.9%である。また、60<So(130.56)<170、T (2.00)≦3.0であり、Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす点でも同様である。
【0148】
セルの電気的特性を実施例5,6と同じ方法で測定したところ、初期静電容量0.45Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.44Fとなり、容量保持率98.1%を得た。実施例5、6の97.7%、97.4%よりも向上し、上述の充填率29.7%とともに、良好な結果が得られた。
【0149】
〔実施例8(試料番号8)〕
実施例8は、正極と負極の材料、面積及び枚数は実施例6と同じであるが、正極と負極の製造において、集電体の厚さを変えずに活物質厚さを増やして、正極と負極それぞれ1枚あたりの厚さを92μmから154μmに変更してセルを製作した。
【0150】
厚さは実施例6の2.00mmから2.93mmに厚くなったが、電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)とセル面積So(Xo×Yo)は実施例6と同じ値となり、充填率も実施例6と同じ30.9%である。また、60<So(130.56)<170、T (2.93)≦3.0であり、Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす点でも同様である。
【0151】
セルの電気的特性を実施例5と同じ方法で測定したところ、初期静電容量1.96Fに対して2000時間経過後の静電容量は1.92Fとなり、容量保持率97.9%を得た。実施例6の容量保持率97.4%よりも僅かながら向上し、上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0152】
〔実施例9(試料番号9)〕
実施例9~10(試料番号9~10)は、フィルム型のリチウムイオンキャパシタセルである。
【0153】
6.5mm×6.2mmの正極8枚と負極9枚を、セパレータを挟んで交互に積層し、プレドープ用のリチウム金属箔を配置して、電極1の有効部2とする電極積層ユニットを構成した。アルミニウム製及びニッケル製の端子4を溶接した後、ラミネートフィルムで外装して封止し、外形サイズが縦12.8mm×横10.2mm×厚さ2.492mmのリチウムイオンキャパシタ(LIC: Lithium Ion Capacitor)セルを製作した。充填率は以下のように算出される。
【0154】
セル面積So(Xo×Yo)= 12.8mm×10.2mm=130.56mm2、
電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)= 6.5mm×6.2mm=40.3mm2、
したがって、充填率Se/So=40.3mm2/130.56mm2=0.309、即ち30.9%。
【0155】
0.2978lnSo-1.2088=0.2978×ln130.056-1.2088=0.242であるので
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満たす。
【0156】
ここで、60<So(130.56)<170、T (2.49)≦3.0であり、前提条件を満たす。
【0157】
本実施例9のリチウムイオンキャパシタセルの製作方法について詳細に説明する。
【0158】
正極の製造法
正極膜のスラリー:CNT/graphene(カーボンナノチューブ/グラフェン)粉末87重量部、アセチレンブラック粉体5重量部、アクリル系バインダー4重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部、水210重量部となる組成にて充分混合することにより、正極膜のスラリーを得た。
【0159】
厚さ31μmのアルミニウム貫通箔を集電体とし、上記正極膜のスラリーをロールコーターにて該集電体の両面にコーティングして正極電極層を成形し、真空乾燥した。完成した正極は、両面の正極電極層厚さと正極集電体厚さを合計した全体の厚さが195μmとなった。
【0160】
負極の製造法
負極膜のスラリー:のATエレクトロード株式会社製の電極材BELLFINE(登録商標)LN-0001粉末(比表面積<30m2/g、粒子径D50=1.5±0.5μm)88重量部、アセチレンブラック粉体5重量部、SBR(スチレンブタジエンゴム)系バインダー3重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部、水210重量部となる組成にて充分混合することにより負極膜のスラリーを得た。
【0161】
厚さ21μの銅箔を集電体とし、上記負極膜のスラリーをロールコーターにて該集電体の両面にコーティングして負極電極層を成形し、真空乾燥した。完成した負極は、両面の負極電極層厚さと負極集電体厚さを合計した全体の厚さが66μmとなった。
【0162】
正極の単位重量あたりの静電容量測定
上記正極を30mm× 30mmに2枚切り出して評価用電極とした。この2枚の評価用電極それぞれに端子を超音波融着して、厚み25μmのセルロース製セパレータを挟んで対向させて外装体に収納し、外装体内に電解液を注入し、電極端子の端部を外装体外に引き出した状態で外装体をヒートシールすることにより封入し、評価ラミネートセルを組立てた。ここで、外装体はポリプロピレンとアルミニウムとナイロンとを積層したラミネートフィルム、電解液はEthylene CarbonateとDiethyl Carbonateの体積比1:1混合液にLiPF6を1mol/l溶解させた溶液である。
【0163】
製作した評価タミネートセルの単位重量あたりの静電容量を、室温において0V~2.7Vの電位範囲で測定した。
【0164】
単位重量あたりの静電容量Cは、式C=4I/(mdV/dt)に従う。ここで、Iは定電流、mは2つの電極の合計質量である。dV/dtは放電開始時の電圧Vmaxと1/2Vmaxとの間の放電曲線を直線フィッティングして得られる傾きである。
【0165】
評価用電極の正極の単位重量あたりの静電容量は150F/gであった。
【0166】
負極の単位重量あたりの静電容量測定
上記負極を30mm× 30mmに切り出して評価用電極とした。この電極に対極として30mm× 30mm×厚さ100μmのリチウム金属を参照極とし、厚さ50μmのポリプロピレン製の微多孔膜をセパレータとして介して組み合わせ、電解液を注入して半電池を組み立てた。電解液は、Ethylene CarbonateとDiethyl Carbonateの体積比1:1混合液にLiPF6を1mol/l溶解させた溶液である。
【0167】
充電電流密度50mA/gにて負極活物質重量に対して500mAh/g分のリチウムイオンを充電し、その後50mA/gにて3Vまで放電を行った。放電開始1分後の負極の電位から0.2V電位変化する間の放電時間より負極の単位重量当たりの静電容量を求めたところ4000F/gであった。
【0168】
セルの作製
正極を6.5mm×6.2mmに8枚カットし、負極を6.5mm×6.2 mmに9枚カットし、カットされた正極と負極をセパレータを挟んで交互に積層し、120℃で12時間乾燥した後、最上部と最下部にさらにセパレータを重ねて4辺をテープ留めして、リチウム金属を銅ラスに圧着したものを正極と対向するように電極積層ユニットの最外部に1枚配置し、電極積層ユニットを得た。この電極積層ユニットにおいて、正極集電体の端子溶接部(幅2mm)にアルミニウム製端子(幅2mm)を、負極集電体の端子溶接部(幅2mm)にニッケル製端子(幅2mm)を、それぞれ重ねて超音波溶接した。溶接面積は(Yw×Xw=0.2mm×1.0mm)である。電極端子の端部を外装ラミネートフィルムポーチ(9.8mm×9.8mm×2.9mm)外に引き出した状態で底辺で折り返し、外装ラミネートフィルムの端子部の両側辺を封止幅2mmで熱融着した後、電解液を真空含浸させた。電解液は、Ethylene CarbonateとDiethyl Carbonateの体積比1:1混合液にLiPF
6を1mol/l溶解させた溶液である。残った上辺を減圧下にて封止幅2mmで熱融着して真空封止した。最後に、
図12上段のように両側辺を1回折り返して、セルの組立てを完了した。組立てたセルは、フィルム型キャパシタセルである。
【0169】
セルの電気的特性
組み立てたセルを14日間放置したところ、セル電圧が2.7V以上になったので、リチウムイオンが予備充電されたと判断した。その後、10mAの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、10mAの定電流でセル電圧が2.2Vになるまで放電した。この3.8V-2.2Vサイクルから初期静電容量を求めた。次に、耐久性評価のため、2000時間経過後の静電容量、静電容量保持率をシミュレーションした。
【0170】
初期静電容量4.47Fに対して2000時間経過後の静電容量は4.45Fとなり、容量保持率99.6%を得た。上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0171】
〔実施例10(試料番号10)〕
実施例10(試料番号10)は、正極の活物質材料を実施例9(試料番号9)のカーボンナノチューブ/グラフェンから活性炭粉末に変えて製造した正極及び負極を用いたフィルム型キャパシタセルである。
【0172】
正極及び負極の製造法
正極の活物質に使用した材料は、比表面積1600m2/g粒子径(D50=5μm)のYP-50活性炭粉末で、他の工程は実施例9と同じである。電極層と集電体の厚さを合計した全体の厚さは201μmとなった。
【0173】
負極の製造法は、実施例9(資料番号9)の負極の製造法と同じである。
【0174】
正極及び負極の単位重量あたりの静電容量測定
実施例9の正極と同様の方法で本実施例10の正極について、単位重量当たりの静電容量を求めたところ100F/gであった。本実施例10の負極は、実施例9と活物質材料を含めて同じであるから、単位重量当たりの静電容量も同じく、4000F/gである。
【0175】
セルの作製
正極の活物質材料の変更以外は、実施例9と同じ方法でセルを組み立てた。
【0176】
厚さTは2.87 mmと若干増加したが、電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)及びセル面積So(Xo×Yo)は実施例1と同じ値となり、充填率は実施例1と同じ30.9%となった。また、60<So(130.56)<170、T (2.87)≦3.0であり、Se/So≧0.2978lnSo-1.2088を満たす。
【0177】
セルの電気的特性を実施例9と同じ方法で測定したところ、初期静電容量2.08Fに対して2000時間経過後の静電容量は2.06Fとなり、容量保持率99.3%を得た。上述の充填率30.9%とともに、良好な結果が得られた。
【0178】
以下、比較例について説明する。比較例11~14(試料番号11~14)は、実施例1~4(試料番号1~4)と同様に、活物質材料を活性炭とする電気二重層キャパシタ(EDLC)である。
【0179】
〔比較例11(試料番号11)
正極及び負極の製造法、セルの作製方法及びセルの電気的特性の測定方法は、実施例1~4と同じであるが、正極と負極の電極サイズを5.2mm×6.2mmに、溶接面積を1mm×1mmに変更した。
【0180】
電極サイズを変更したので、電極1の有効部2の面積Seが変わり、充填率は以下のように算出される。
【0181】
セル面積So(Xo×Yo)= 12.8mm×10.2mm=130.56mm2
電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)= 5.2mm×6.2mm=32.2mm2
したがって、充填率Se/So=32.2mm2/130.56mm2=0.247、即ち24.7%。
【0182】
0.2978lnSo-1.2088=0.2978×ln130.056-1.2088=0.242であるので
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を、余裕はないが満足する。
【0183】
ここで、60<So(130.56)<170、T (2.49)≦3.0であり、前提条件を満たす。
【0184】
セルの電気的特性を実施例9と同じ方法で測定したところ、初期静電容量0.48Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.46Fとなり、容量保持率97.4%を得た。容量保持率は良好であるが、上述したように充填率24.7%は低い。
【0185】
〔比較例12(試料番号12)
正極及び負極の製造法、セルの作製方法及びセルの電気的特性の測定方法は、実施例1~4と同じであり、正極と負極の電極サイズと溶接面積も実施例1~4と同じであるが、セル外装の左右の側辺の封止部を折り曲げない例である。
【0186】
左右を折り曲げない分だけセルの幅Yoが大きくなり、セル面積Soが変わる。充填率は以下のように算出される。
【0187】
セル面積So(Xo×Yo)= 12.8mm×13.8mm=176.64mm2
電極1の有効部2の面積Se(Xe×Ye)= 6.5mm×6.2mm=40.3mm2
したがって、充填率Se/So=40.3mm2/176.64mm2=0.228、即ち22.8%。
【0188】
0.2978lnSo-1.2088=0.2978×ln176.64-1.2088=0.332であるので
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満足しない。
【0189】
セルの電気的特性を実施例9と同じ方法で測定したところ、初期静電容量0.57Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.55Fとなり、容量保持率96.8%を得た。容量保持率は良好であるが、上述したように充填率22.8%は低い。
【0190】
〔比較例13(試料番号13)
正極及び負極の製造法、セルの作製方法及びセルの電気的特性の測定方法は、実施例1~4と同じであり、正極と負極の電極サイズと溶接面積も実施例1~4と同じであるが、セル外装の左右の側辺の封止幅を1mmに短縮した例である。
【0191】
封止幅を短縮してもセル面積Soには影響せず充填率は実施例1と同じ値となる。即ち、
充填率Se/So=40.3mm2/176.64mm2=0.309、即ち30.9%
0.2978lnSo-1.2088=0.2978×ln130.56-1.2088=0.242であるので
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088 を満足する。また、60<So(130.56)<170、T (2.49)≦3.0であり、前提条件も満たす。
【0192】
一方、セルの電気的特性を実施例9と同じ方法で測定したところ、初期静電容量0.57Fに対して2000時間経過後の静電容量は0.12Fとなり、容量保持率31.2%となった。封止幅1mmでは不十分であると考察される。
【0193】
〔比較例14(試料番号14)
正極及び負極の製造法、セルの作製方法及び正極と負極の電極サイズは、実施例1~4と同じであり、溶接面積を0.1mm×幅1mmに縮小した例である。
【0194】
溶接部に強度不足が認められ、セルの電気的特性は測定できなかった。
【0195】
実施例1(試料番号1)において、端子として使用した厚さ0.1mmのアルミニウムの厚さ方向の抵抗値は13mΩと測定され、これを集電体の端子溶接部(幅2mm)に重ねて、溶接面積Yw×Xw=0.2mm×1.0mmで超音波溶接したときの厚さ方向の抵抗値は14mΩと測定された。この差から溶接部の厚さ方向の抵抗値は、約1mΩと推定される。一方、本実施例14(試料番号14)において、溶接面積を0.1mm×幅1mmに縮小したときの厚さ方向の抵抗値は、1Ωを超えており、溶接の不良が疑われる。
【0196】
以上のように、実施例1~10のように、以下の数式を満足することにより、外装後のサイズが170mm2以内の超小型でありながら高エネルギー密度の有機電解液系蓄電デバイスを実現することができる。
【0197】
Se/So≧0.2978lnSo-1.2088
60<So<170
T≦3.0
一方、比較例11~14に例示したように、上記の数式を満たさない場合には、種々の特性に問題が発生する場合があることがわかった。
【0198】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0199】
1 電極(電極片)
2 電極(電極片)の有効部(有効領域)
3 電極(電極片)のリード部(リード領域)
4 端子
5 被溶接領域
6 正極活物質
7 負極活物質
8 集電体
9 セパレータ
10 アルミラミネートフィルム(外装)
20 金属シート(集電体)
21 スラリーが塗布された領域(塗布領域)
22 スラリーが塗布されていない領域(未塗布領域)
30 スラリーを金属シートに塗布・プレスする装置
31 ノズル
32 プレス用ロール
40 超音波溶接装置
41 支持部
42 アンビル
43 ホーン
44 溶接領域
51 スラリーが塗布された領域
52 スラリーを
100 有機電解液系蓄電デバイス