(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170148
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】距離測定管理システム、第1種無線装置、第2種無線装置、距離測定管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/74 20060101AFI20231124BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20231124BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20231124BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01S13/74
H04W72/04 131
H04W64/00
G01S5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081686
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】河地 玄
(72)【発明者】
【氏名】藏野 隆
(72)【発明者】
【氏名】植田 真介
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 慎平
【テーマコード(参考)】
5J062
5J070
5K067
【Fターム(参考)】
5J062CC11
5J062FF01
5J070AC01
5J070AC02
5J070AE20
5J070AF01
5J070AK06
5J070BC10
5K067AA34
(57)【要約】
【課題】時刻を厳密に管理せずに、干渉発生の頻度を低減する技術を提供する。
【解決手段】第1スキャナ100aから第4スキャナ100dと第1タグ200aと第2タグ200bのうち、第1スキャナ100aと第1タグ200aとの組合せにおいて通信がなされることによって、第1スキャナ100aが第1タグ200aとの間の距離を測定可能である。設定部430は、第1スキャナ100aと第2スキャナ100bが距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定する。通信部410は、第1スキャナ100aと第2スキャナ100bに、設定部430において設定した測定可能期間を通知する。第1スキャナ100aと第2スキャナ100bは、測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの前記第1種無線装置と1つの前記第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、前記1つの前記第1種無線装置が前記1つの前記第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、
2つ以上の前記第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定する設定部と、
前記2つ以上の前記第1種無線装置のそれぞれ、または前記2つ以上の前記第1種無線装置の通信対象となる2つ以上の前記第2種無線装置のそれぞれに、前記設定部において設定した前記測定可能期間を通知する通信部とを備え、
前記2つ以上の前記第1種無線装置のそれぞれは、前記測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行する距離測定管理システム。
【請求項2】
前記2つ以上の前記第1種無線装置のそれぞれは、前記測定可能期間内の任意のタイミングで周波数を切りかえながら通信する請求項1に記載の距離測定管理システム。
【請求項3】
前記複数の前記第1種無線装置と前記複数の前記第2種無線装置から、前記1つの前記第1種無線装置と前記1つの前記第2種無線装置との組合せを2つ以上生成する生成部をさらに備え、
前記設定部は、前記生成部が生成した前記2つ以上の前記組合せのそれぞれにおける前記第1種無線装置に対して同一の前記測定可能期間を設定する請求項1または2に記載の距離測定管理システム。
【請求項4】
複数の前記測定可能期間が測定可能期間群として規定され、
前記設定部は、前記測定可能期間群に含まれる前記複数の前記測定可能期間のそれぞれに対して設定を実行し、
前記通信部は、前記測定可能期間群の開始前に、前記測定可能期間群に含まれる前記複数の前記測定可能期間を通知する請求項1または2に記載の距離測定管理システム。
【請求項5】
前記設定部は、前記複数の前記第1種無線装置における通信環境をもとに前記測定可能期間の長さを調節する請求項1または2に記載の距離測定管理システム。
【請求項6】
前記通信部は、前記複数の前記第1種無線装置を同期させるための同期信号を出力する請求項1または2に記載の距離測定管理システム。
【請求項7】
複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの前記第1種無線装置と1つの前記第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、前記1つの前記第1種無線装置が前記1つの前記第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、
2つ以上の前記第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間が距離測定管理システムにおいて設定され、前記距離測定管理システムから前記測定可能期間を受信するとともに、前記測定可能期間における任意のタイミングにおいて前記第2種無線装置との通信を実行する通信部と、
前記通信部における通信の結果をもとに、前記第2種無線装置との間の距離を測定する測距部と、
を備える第1種無線装置。
【請求項8】
複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの前記第1種無線装置と1つの前記第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、前記1つの前記第1種無線装置が前記1つの前記第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、
2つ以上の前記第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間が距離測定管理システムにおいて設定され、前記測定可能期間における任意のタイミングにおいて前記第1種無線装置との通信を実行する通信部と、
を備える第2種無線装置。
【請求項9】
複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの前記第1種無線装置と1つの前記第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、前記1つの前記第1種無線装置が前記1つの前記第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、
2つ以上の前記第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定するステップと、
前記2つ以上の前記第1種無線装置のそれぞれ、または前記2つ以上の前記第1種無線装置の通信対象となる2つ以上の前記第2種無線装置のそれぞれに前記測定可能期間を通知するステップと、
前記2つ以上の前記第1種無線装置のそれぞれが、前記測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行するステップと、
とを備える距離測定管理方法。
【請求項10】
複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの前記第1種無線装置と1つの前記第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、前記1つの前記第1種無線装置が前記1つの前記第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、
2つ以上の前記第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定するステップと、
前記2つ以上の前記第1種無線装置のそれぞれ、または前記2つ以上の前記第1種無線装置の通信対象となる2つ以上の前記第2種無線装置のそれぞれに前記測定可能期間を通知するステップとを備え、
前記2つ以上の前記第1種無線装置のそれぞれが、前記測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行することをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定技術に関し、特に2つの装置間の距離を測定する距離測定管理システム、第1種無線装置、第2種無線装置、距離測定管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの無線装置間の距離を測定するために、2つの無線装置間において無線通信がなされる。例えば、1つ目の無線装置(以下、「第1種無線装置」という)から2つ目の無線装置(以下、「第2種無線装置」という)にキャリア信号が送信されるとともに、第2種無線装置から第1種無線装置にもキャリア信号が送信される。第1種無線装置における受信結果と、第2種無線装置における受信結果とをもとに、第1種無線装置と第2種無線装置との間の距離が測定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置とが近接し、これらが同時に距離測定のための通信を実行すると、同一周波数チャネルに同時に送信された信号の衝突により干渉が発生する。干渉の発生により通信の品質が低下し、距離の測定精度が低下する。一方、各装置において距離測定のための通信を実行する期間が重複しないように制御しつつ、多数の装置に短い期間内で距離を測定させるためには、各装置が切れ目なく通信を実行するよう厳密な時刻同期が必要となる。そのため、距離測定のための通信を実行する時刻を厳密に管理せずに、干渉発生の頻度を低減することが求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、時刻を厳密に管理せずに、干渉発生の頻度を低減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の距離測定管理システムは、複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの第1種無線装置と1つの第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置が1つの第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定する設定部と、2つ以上の第1種無線装置のそれぞれ、または2つ以上の第1種無線装置の通信対象となる2つ以上の第2種無線装置のそれぞれに、設定部において設定した測定可能期間を通知する通信部とを備える。2つ以上の第1種無線装置のそれぞれは、測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行する。
【0007】
本開示の別の態様は、第1種無線装置である。この装置は、複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの第1種無線装置と1つの第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置が1つの第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間が距離測定管理システムにおいて設定され、距離測定管理システムから測定可能期間を受信するとともに、測定可能期間における任意のタイミングにおいて第2種無線装置との通信を実行する通信部と、通信部における通信の結果をもとに、第2種無線装置との間の距離を測定する測距部と、を備える。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、第2種無線装置である。この装置は、複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの第1種無線装置と1つの第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置が1つの第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間が距離測定管理システムにおいて設定され、測定可能期間における任意のタイミングにおいて第1種無線装置との通信を実行する通信部と、を備える。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、距離測定管理方法である。この方法は、複数の第1種無線装置と複数の第2種無線装置のうち、1つの第1種無線装置と1つの第2種無線装置との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置が1つの第2種無線装置との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定するステップと、2つ以上の第1種無線装置のそれぞれ、または2つ以上の第1種無線装置の通信対象となる2つ以上の第2種無線装置のそれぞれに測定可能期間を通知するステップと、2つ以上の第1種無線装置のそれぞれが、測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行するステップと、とを備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、時刻を厳密に管理せずに、干渉発生の頻度を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施例に係る無線測距システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)-(b)は、
図1の無線測距システムにおけるスキャナ、タグ、位置推定装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3(a)-(b)は、
図1の無線測距システムにおいて使用される信号のフォーマットを示す図である。
【
図4】
図1の無線測距システムの別の構成を示す図である。
【
図5】
図5(a)-(b)は、
図4の無線測距システムによる通信の概要を示す図である。
【
図6】
図6(a)-(b)は、
図4の無線測距システムによる通信の別の概要を示す図である。
【
図7】
図7(a)-(b)は、
図4の無線測距システムによる通信のさらに別の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施例は、2つの無線装置間の距離を測定する無線測距システムに関する。無線測距システムに含まれる無線装置は、例えばスキャナとタグである。スキャナは、タグに対して測定用信号を送信する。タグは、測定用信号の受信結果(以下、「第1受信データ」という)を生成する。タグは、スキャナに対して測定用信号と第1受信データとを送信する。スキャナは、測定用信号の受信結果(以下、「第2受信データ」という)を生成する。スキャナは、第1受信データと第2受信データとを平均化して受信データを生成し、受信データをもとにMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法により距離を測定する。さらに、無線測距システムには、位置が固定されたスキャナが複数含まれており、各スキャナにおいて測定されたタグとの距離をもとに、タグの位置が推定される。
【0014】
無線測距システムにおける複数のスキャナと複数のタグが同時に通信を実行する場合、測定用信号の衝突により干渉が発生する。干渉により、第1受信データと第2受信データの少なくとも1つの精度が低下する。第1受信データと第2受信データの少なくとも1つの精度が低下すると、距離の測定精度が低下する。一方、干渉の発生を抑制するために、例えば、複数のスキャナと複数のタグの通信のタイミングを一切重ねない制御が実行される。しかしながら、このような制御を実現するために、各装置の動作タイミングを厳密に同期する必要があるので、実現が困難である。また、通信が実行されない期間が多くなるので、電波の利用効率が低下し、無線測距システムに含まれるスキャナとタグの数が低下する。
【0015】
本実施例に係る無線測距システムには、距離を測定するための通信の期間よりも長い測定可能期間を2つ以上のスキャナに通知する。当該2つ以上のスキャナは、測定可能期間内の任意のタイミングでタグとの通信を実行する。1つの測定可能期間に含めるスキャナの数が制限されるので、時刻を厳密に管理しなくても干渉発生の頻度が低減される。ここでは、(1)無線測距システム1000によるタグ200の位置推定の原理、(2)通信のタイミングの制御を順に説明する。
【0016】
(1)無線測距システム1000によるタグ200の位置推定の原理
図1は、無線測距システム1000の構成を示す。無線測距システム1000は、スキャナ100と総称される第1スキャナ100aから第4スキャナ100d、タグ200と総称される第1タグ200a、第2タグ200b、位置推定装置300を含む。無線測距システム1000に含まれるスキャナ100の数は「4」に限定されず、タグ200の数は「2」に限定されない。スキャナ100を第1種無線装置と呼ぶ場合、タグ200は第2種無線装置と呼ばれる。
【0017】
各スキャナ100の位置は固定であり、スキャナ100はタグ200との無線通信機能を有する。例えば、第1スキャナ100aと第1タグ200aとの組合せにおいて無線通信がなされることによって、第1スキャナ100aは、第1スキャナ100aと第1タグ200aとの間の距離(以下、「第1距離」という)を測定する。また、第2スキャナ100bと第1タグ200aとの組合せにおいて無線通信がなされることによって、第2スキャナ100bは、第2スキャナ100bと第1タグ200aとの間の距離(以下、「第2距離」という)を測定する。さらに、第3スキャナ100cと第1タグ200aとの組合せにおいて無線通信がなされることによって、第3スキャナ100cは、第3スキャナ100cと第1タグ200aとの間の距離(以下、「第3距離」という)を測定する。各スキャナ100は、有線または無線により位置推定装置300と通信可能であり、測定した距離の情報を位置推定装置300に送信する。
【0018】
位置推定装置300は、各スキャナ100から距離の情報を受信する。また、位置推定装置300は、各スキャナ100が固定された位置情報を記憶する。位置情報は、例えば緯度と経度により示される。位置推定装置300は、第1距離、第2距離、第3距離と、第1スキャナ100aから第3スキャナ100cのそれぞれの位置情報とをもとに、三点測位を実行することによって第1タグ200aの位置を推定する。第2タグ200bに対しても同様の処理が実行される。
【0019】
図2(a)-(b)は、無線測距システム1000におけるスキャナ100、タグ200、位置推定装置300の構成を示す。
図2(a)は、スキャナ100、タグ200の構成を示す。スキャナ100は、通信部102、導出部130、測距部140、外部通信部150、制御部160を含み、通信部102は、送信部110、受信部120を含む。タグ200は、通信部202、導出部230を含み、通信部202は、送信部210、受信部220を含む。スキャナ100は距離を測定する処理を実行する装置であり、タグ200は距離の測定対象となる装置である。
【0020】
スキャナ100の送信部110は、タグ200における受信環境の測定に使用すべき第1測定用信号と、第1測定用信号の送信タイミングが示されるトリガ信号とをタグ200に送信する。
図3(a)-(b)は、無線測距システム1000において使用される信号のフォーマットを示す。
図3(a)は、送信部110から送信される信号のフォーマットを示す。信号の先頭にはトリガ信号が配置される。トリガ信号は予め定められたパターンを有し、これに続いて第1測定用信号が配置されることを示す。第1測定用信号では、互いに異なる複数の周波数「f
1」、「f
2」、・・・、「f
K」の無変調波が時分割多重されている。無変調波の周波数間隔は等間隔である。第1測定用信号では、「f
1」、「f
2」、・・・、「f
n-1」、「f
n+1」、・・・、「f
K」のように、特定の周波数「f
n」がはじめから欠落されてもよい。第1測定用信号では、周波数の昇順に無変調波が並べられいなくてもよく、降順またはランダムに配置されていてもよい。
図3(b)は後述するので、
図2に戻る。
【0021】
タグ200の受信部220は、トリガ信号と第1測定用信号とをスキャナ100から受信する。受信部220は送信部110と非同期で動作する。受信部220は、トリガ信号を受信することによって、第1測定用信号の受信を認識する。導出部230は、受信部220において受信した第1測定用信号に含まれる複数の周波数の無変調波のそれぞれに対して受信結果を導出する。各受信結果は、受信部220における直交検波の結果であり、かつ同相成分と直交成分とを含む複素データである。複数の周波数のそれぞれに対する受信結果の組合せが、前述の第1受信データに相当する。第1受信データは、トリガ信号が示す送信タイミングにおいてタグ200が第1測定用信号をもとに測定した受信環境を示す。
【0022】
送信部210は、導出部230において導出した第1受信データと、スキャナ100における受信環境の測定に使用すべき第2測定用信号とをスキャナ100に送信する。第1受信データは第2測定用信号とは別に送信されてもよい。例えば、第1受信データは第2測定用信号より後に送信されてもよい。
図3(b)は、送信部210から送信される信号のフォーマットを示す。信号の先頭には第1受信データが配置される。第1受信データに続いて第2測定用信号が配置される。第2測定用信号では、互いに異なる複数の周波数「f
1」、「f
2」、・・・、「f
K」の無変調波が時分割多重されている。無変調波の周波数間隔は等間隔である。第2測定用信号でも、周波数の昇順に無変調波が並べられいなくてもよく、降順またはランダムに配置されていてもよい。
図2に戻る。
【0023】
スキャナ100の受信部120は、第1受信データと第2測定用信号とをタグ200から受信する。受信部120は送信部210と非同期で動作する。受信部120は、第1受信データを測距部140に出力する。導出部130は、受信部220において受信した第2測定用信号に含まれる複数の周波数の無変調波のそれぞれに対して受信結果を導出する。各受信結果は、受信部120における直交検波の結果であり、かつ同相成分と直交成分とを含む複素データである。複数の周波数のそれぞれに対する受信結果の組合せが、前述の第2受信データに相当する。第2受信データは、スキャナ100が第2測定用信号をもとに測定した受信環境を示す。導出部130は、第2受信データを測距部140に出力する。
【0024】
測距部140は、導出部において導出した第2受信データと、受信部において受信した第1受信データを受けつける。第1受信データと第2受信データは、前述のごとく、複数の周波数のそれぞれに対応した成分を含み、かつ複素データである。測距部140は、第1受信データと第2受信データとを成分毎に対応づけてから成分毎に平均を計算することによって、第1受信データと第2受信データをもとに受信データを生成する。そのため、受信データも、複数の周波数のそれぞれに対応した成分を有する。前述のごとく、送信部110と受信部220は同期せず、受信部120と送信部210は同期しないので、スキャナ100とタグ200は非同期で動作する。そのため、第1受信データと第2受信データのそれぞれには同期のずれの成分が含まれており、第1受信データと第2受信データは、距離に応じた位相情報を示さない。しかしながら、第1受信データには、スキャナ100に対するタグ200の同期のずれの成分が含まれ、第2受信データには、タグ200に対するスキャナ100の同期のずれの成分が含まれる。第1受信データと第2受信データとを平均化することによって、同期のずれが相殺されるので、距離に応じた位相情報が得られる。
【0025】
測距部140は、受信データをもとに、MUSIC法により、タグ200との間の距離を測定する。受信データに含まれる成分の数をKとすると、時刻tでの受信データX(t)は、次のように示される。
【数1】
x
1(t)、x
2(t)等は、受信データX(t)に含まれる各成分であり、例えば、x
1(t)は周波数f
1に対応した成分を示す。周波数f
1に対応した成分は、同相成分の状態を示すI
1(t)と、直交成分の状態を示すQ
1(t)とを使用すると、次のように示される。
【数2】
ここで、Aは、無変調波の振幅を示す。また、周波数f
iに対応した成分は、同相成分の状態を示すI
i(t)と、直交成分の状態を示すQ
i(t)とを使用すると、次のように示される。
【数3】
【0026】
受信データの相関行列R
xxは、次のように示される。
【数4】
Hは複素共役転置、E[]は時間平均を示す。相関行列R
xxに対する固有値展開は、次のように示される。
【数5】
ここで、e
iは相関行列R
xxの固有ベクトルを示し、λ
iは固有値を示し、σ
2は雑音電力を示す。
【0027】
距離推定で使用されるモードベクトルa(r
i)は次のように示される。
【数6】
Tは転置を示す。これらより以下の関係が成り立つ。
【数7】
【0028】
そのため、MUSIC評価関数P
MUSICは次のように示される。
【数8】
式(8)において、rを変化させると、MUSIC評価関数P
MUSICの値も変化する。MUSIC評価関数P
MUSICのピークを検出し、当該ピークに対応するrの値が、測定すべき距離rに相当する。
【0029】
外部通信部150は、有線または無線により
図1の位置推定装置300と接続されており、位置推定装置300と通信可能である。外部通信部150は、測距部140において測定した距離の情報を位置推定装置300に送信する。その際、本スキャナ100を識別するための識別情報(以下、「スキャナID」という)と、距離を測定したタグ200を識別するための識別情報(以下、「タグID」という)も送信される。制御部160は、スキャナ100の動作を制御し、制御部260は、タグ200の動作を制御する。
【0030】
図2(b)は、位置推定装置300の構成を示す。位置推定装置300は、距離記憶部310、位置推定部320を含む。距離記憶部310は、各スキャナ100と通信することによって、各スキャナ100から距離の情報を受信する。距離記憶部310は、スキャナID、タグID、距離を対応づけながら記憶する。また、距離記憶部310は、各スキャナ100のスキャナIDと、スキャナ100が固定された位置情報とを対応づけながら記憶する。
【0031】
位置推定部320は、距離記憶部310から、スキャナID、タグID、距離の組合せであって、推定対象の1つのタグIDが含まれた組合せを3つ以上、例えば3つ抽出する。また、位置推定部320は、抽出した組合せに含まれたスキャナIDの位置情報を距離記憶部310から抽出する。さらに、位置推定部320は、抽出した組合せに含まれた距離と、抽出した位置情報をもとに、三点測位を実行する。三点測位の結果が、推定対象のタグ200の位置である。
【0032】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0033】
(2)通信のタイミングの制御
図4は、無線測距システム1000の別の構成を示す。
図4には、
図1と同様に、第1スキャナ100aから第4スキャナ100d、第1タグ200a、第2タグ200bが示されるが、
図1とは異なり、位置推定装置300が省略される。また、無線測距システム1000には、距離測定管理装置400も含まれ、距離測定管理装置400は、通信部410、生成部420、設定部430を含む。距離測定管理装置400は、複数の装置により構成されてもよく、距離測定管理装置400は距離測定管理システムと呼ばれてもよい。
【0034】
ここでは、説明を明瞭にするために、複数のスキャナ100と複数のタグ200との通信のうち、第1スキャナ100aと第1タグ200aとの通信と、第2スキャナ100bと第2タグ200bとの通信に着目する。距離測定管理装置400の設定部430は、2つ以上のスキャナ100、例えば第1スキャナ100aと第2スキャナ100bが距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定する。測定可能期間には、第1スキャナ100aと第2スキャナ100b以外のスキャナ100が含まれてもよいが、複数のスキャナ100のすべては含まれない。つまり、複数のスキャナ100のうち、一部のスキャナ100が測定可能期間において通信可能とされる。ここで、スキャナ100の総数が、同じ測定可能期間を共有できる最大台数に満たないほど十分に少ない場合、スキャナ100のすべてが同じ測定可能可能期間に含まれてもよい。通信部410は、2つ以上のスキャナ100のそれぞれ、例えば、第1スキャナ100aと第2スキャナ100bに、設定部430において設定した測定可能期間を通知する。測定可能期間は、例えば、測定可能期間の開始時刻と測定可能期間の長さにより示される。その際、測定可能期間を使用可能なスキャナ100のスキャナIDも通知される。
【0035】
第1スキャナ100aと第2スキャナ100bの外部通信部150(
図2(a))は、測定可能期間とスキャナIDが含まれた信号を受信する。制御部160は、スキャナIDが自らのスキャナIDである場合、測定可能期間を設定する。
図5(a)-(b)は、無線測距システム1000による通信の概要を示す。これらの横軸は時刻を示す。
図5(a)において距離測定管理装置400が測定可能期間を第1スキャナ100aに送信すると、第1スキャナ100aの制御部160は測定可能期間を設定する。第1スキャナ100aは、測定可能期間内の任意のタイミングで、周波数チャネルを切りかえながら第1タグ200aとの通信を実行する。例えば、「(1)無線測距システム1000によるタグ200の位置推定の原理」において説明した通信がなされる。通信において使用される周波数チャネルは黒色で示される。
【0036】
第2スキャナ100bの制御部160も測定可能期間を設定する。第2スキャナ100bの送信部110は、測定可能期間内の任意のタイミングで、周波数チャネルを切りかえながら第2タグ200bとの通信を実行する。ここで、第1スキャナ100aと第2スキャナ100bにおける任意のタイミングは独立して設定される。
図5(b)は、各スキャナ100から送信される第1測定用信号とトリガ信号を示す。第1スキャナ100aに使用される周波数チャネルは黒色で示され、第2スキャナ100bに使用される周波数チャネルは縦線で示される。仮に、測定可能期間において第3スキャナ100cも送信する場合、第3スキャナ100cに使用される周波数チャネルは横線で示される。
【0037】
測定可能期間において通信可能なスキャナ100の数が制限されるので、干渉発生の頻度が低減される。測定可能期間内の任意のタイミングでスキャナ100が通信を実行するので、時刻を厳密に管理しなくてもすむ。測定可能期間内の任意のタイミングでスキャナ100が通信を実行するので、干渉発生の頻度が低減される。また、スキャナ100とタグ200は、周波数チャネルを切りかえながら通信するので、干渉発生の頻度が低減される。
【0038】
これまで説明したスキャナ100とタグ200の通信に近距離無線通信システム、例えばBluetooth(登録商標)) LEが使用されてもよい。
図6(a)-(b)は、無線測距システム1000による通信の別の概要を示す。
図6(a)はタグ200の動作を示す。(i)において、タグ200は、アドバタイズ(接続要求信号)を定期的に送信する。(ii)において、タグ200は、スキャナ100からの応答を一定期間待ち受ける。(iii)において、タグ200は、消費電力を削減するために、しばらくスリープする。(iv)において、タグ200は、応答をスキャナ100から受信したら、接続シーケンスを実行して、スキャナ100との接続を確立する。(v)において、タグ200は、トリガ信号をスキャナ100から受信すると、「(1)無線測距システム1000によるタグ200の位置推定の原理」で説明した処理を実行する。
【0039】
図6(b)はスキャナ100の動作を示す。スキャナ100は、測定可能期間を距離測定管理装置400から通知されると、測定可能期間を設定する。スキャナ100は、測定可能期間内においてアドバタイズをタグ200から受信すると、タグ200との接続を確立する。スキャナ100は、タグ200と接続してから一定期間経過後に距離の測定を実行する。
【0040】
これまでの説明において、距離の測定を実行すべきスキャナ100とタグ200との組合せは予め決められている。以下では、組合せを決定するための処理を説明する。タグ200の送信部210は、存在通知信号を定期的にブロードキャスト送信する。存在通知信号は、タグ200の存在を周囲の装置に知らせるための信号であり、例えばアドバタイズである。存在通知信号にはタグIDが含まれる。スキャナ100の受信部120は、存在通知信号をタグ200から受信する。外部通信部150は、有線または無線により
図4の距離測定管理装置400と接続されており、距離測定管理装置400と通信可能である。外部通信部150は、存在通知信号に含まれたタグIDと、スキャナ100のスキャナIDを距離測定管理装置400に送信する。
【0041】
距離測定管理装置400の通信部410は、タグIDとスキャナIDの組合せを、タグ200からの存在通知信号を受信したスキャナ100から受けつける。タグIDとスキャナIDの組合せは、通信可能なスキャナ100とタグ200を示す。通信部410は、タグID、スキャナIDを対応づけて記憶する。
【0042】
生成部420は、通信部410において記憶したタグID、スキャナIDの対応関係を参照して、複数のスキャナ100と複数のタグ200との中から、測定可能期間において通信すべきスキャナ100とタグ200との組合せを複数生成する。例えば、生成部420は、複数のスキャナ100と複数のタグ200の中から、通信可能な1つのスキャナ100と1つのタグ200との組合せを2つ以上生成する。例えば、1つの測定可能期間において4つの組合せを限度として通信可能であると定められている場合、生成部420は4以下の組合せを生成する。生成部420は、生成した組合せを設定部430に知らせる。設定部430における処理はこれまで同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0043】
さらに、処理を効率的にするために、複数の測定可能期間が測定可能期間群として規定され、測定可能期間群に含まれた複数の測定可能期間のそれぞれに複数の組合せを割り当ててもよい。ここでは、第1スキャナ100aから第4スキャナ100d、第1タグ200aから第4タグ200dを通信対象とし、1つの測定可能期間において4つの組合せが通信可能であるとする。
【0044】
図7(a)-(b)は、無線測距システム1000による通信のさらに別の概要を示す。
図7(a)は、距離測定管理装置400の生成部420と設定部430による処理の結果を示す。1つの測定可能期間群は3つの測定可能期間を含む。第1スキャナ100aと第1タグ200aの組合せ、第2スキャナ100bと第4スキャナ100dの組合せ、第3スキャナ100cと第2タグ200bの組合せ、第4スキャナ100dと第3タグ200cの組合せが生成され、測定可能期間「1」に割り当てられる。測定可能期間「2」、「3」についても同様の処理がなされ、測定可能期間「1」での組合せとは異なった組合せが各測定可能期間に割り当てられる。つまり、設定部430は、生成部420が生成した2つ以上の組合せのそれぞれにおけるスキャナ100に対して同一の測定可能期間を設定するとともに、測定可能期間群に含まれる複数の測定可能期間のそれぞれに対して設定を実行する。
【0045】
図7(b)は、
図7(a)の処理がなされた後の処理を示す。距離測定管理装置400の通信部410は、測定可能期間群の開始前に、割当結果を各スキャナ100に送信する。これは、測定可能期間群の開始前に、測定可能期間群に含まれる複数の測定可能期間を各スキャナ100に通知することに相当する。測定可能期間「1」において、4つの組合せは、タイミングをずらしながら通信を実行する。測定可能期間「2」、「3」においても同様である。
【0046】
本実施例によれば、2つ以上のスキャナ100が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定し、各スキャナ100は、測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行するので、通信可能なスキャナ100の数が制限されて干渉発生の頻度を低減できる。また、2つ以上のスキャナ100が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定し、各スキャナ100は、測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行するので、時刻を厳密に管理せずに、干渉発生の頻度を低減できる。また、スキャナ100とタグ200が周波数チャネルを切りかえながら通信するので、干渉発生の頻度を低減できる。
【0047】
また、1つのスキャナ100と1つのタグ200との組合せを2つ以上生成し、それらの組合せに同一の測定可能期間を設定するので、測定可能期間で通信させる組合せを選択できる。また、測定可能期間群の開始前に、測定可能期間群に含まれる複数の測定可能期間を通知するので、通信の効率を向上できる。
【0048】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の距離測定管理システム(400)は、複数の第1種無線装置(100)と複数の第2種無線装置(200)のうち、1つの第1種無線装置(100)と1つの第2種無線装置(200)との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置(100)が1つの第2種無線装置(200)との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置(100)が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定する設定部(430)と、2つ以上の第1種無線装置(100)のそれぞれ、または2つ以上の第1種無線装置(100)の通信対象となる2つ以上の第2種無線装置(200)のそれぞれに、設定部(430)において設定した測定可能期間を通知する通信部(410)とを備える。2つ以上の第1種無線装置(100)のそれぞれは、測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行する。
【0049】
2つ以上の第1種無線装置(100)のそれぞれは、測定可能期間内の任意のタイミングで周波数を切りかえながら通信してもよい。
【0050】
複数の第1種無線装置(100)と複数の第2種無線装置(200)から、1つの第1種無線装置(100)と1つの第2種無線装置(200)との組合せを2つ以上生成する生成部(420)をさらに備えてもよい。設定部(430)は、生成部(420)が生成した2つ以上の組合せのそれぞれにおける第1種無線装置(100)に対して同一の測定可能期間を設定してもよい。
【0051】
複数の測定可能期間が測定可能期間群として規定され、設定部(430)は、測定可能期間群に含まれる複数の測定可能期間のそれぞれに対して設定を実行し、通信部(410)は、測定可能期間群の開始前に、測定可能期間群に含まれる複数の測定可能期間を通知してもよい。
【0052】
設定部(430)は、複数の第1種無線装置(100)における通信環境をもとに測定可能期間の長さを調節してもよい。
【0053】
通信部(410)は、複数の第1種無線装置(100)を同期させるための同期信号を出力してもよい。
【0054】
本開示の別の態様は、第1種無線装置(100)である。この装置は、複数の第1種無線装置(100)と複数の第2種無線装置(200)のうち、1つの第1種無線装置(100)と1つの第2種無線装置(200)との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置(100)が1つの第2種無線装置(200)との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置(100)が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間が距離測定管理システム(400)において設定され、距離測定管理システム(400)から測定可能期間を受信するとともに、測定可能期間における任意のタイミングにおいて第2種無線装置(200)との通信を実行する通信部(102)と、通信部(102)における通信の結果をもとに、第2種無線装置(200)との間の距離を測定する測距部(140)と、を備える。
【0055】
本開示のさらに別の態様は、第2種無線装置(200)である。この装置は、複数の第1種無線装置(100)と複数の第2種無線装置(200)のうち、1つの第1種無線装置(100)と1つの第2種無線装置(200)との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置(100)が1つの第2種無線装置(200)との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置(100)が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間が距離測定管理システム(400)において設定され、測定可能期間における任意のタイミングにおいて第1種無線装置(100)との通信を実行する通信部(202)と、を備える。
【0056】
本開示のさらに別の態様は、距離測定管理方法である。この方法は、複数の第1種無線装置(100)と複数の第2種無線装置(200)のうち、1つの第1種無線装置(100)と1つの第2種無線装置(200)との組合せにおいて通信がなされることによって、1つの第1種無線装置(100)が1つの第2種無線装置(200)との間の距離を測定可能であり、2つ以上の第1種無線装置(100)が距離を測定するための通信を実行可能な測定可能期間を設定するステップと、2つ以上の第1種無線装置(100)のそれぞれ、または2つ以上の第1種無線装置(100)の通信対象となる2つ以上の第2種無線装置(200)のそれぞれに測定可能期間を通知するステップと、2つ以上の第1種無線装置(100)のそれぞれが、測定可能期間内の任意のタイミングで通信を実行するステップと、とを備える。
【0057】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0058】
本実施例において、距離測定管理装置400の通信部410は、2つ以上のスキャナ100のそれぞれに測定可能期間を通知している。しかしながらこれに限らず例えば、通信部410は、2つ以上のスキャナ100の通信対象となる2つ以上のタグ200のそれぞれに測定可能期間を通知してもよい。この場合、タグ200と通信すべきスキャナ100のスキャナIDも通知される。タグ200は、測定可能期間とスキャナIDを送信する。スキャナIDに該当するスキャナ100は、受信した測定可能期間を設定する。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0059】
本実施例の距離測定管理装置400の通信部410は、複数のスキャナ100を同期させるための同期信号を複数のスキャナ100のそれぞれに送信してもよい。同期信号には例えば時刻の情報が含まれる。本変形例によれば、同期信号により複数のスキャナ100を同期させるので、異なった測定可能期間が重なってしまうことを防止できる。
【0060】
本実施例の距離測定管理装置400の設定部430は、測定可能期間の長さを調節してもよい。スキャナ100の通信部102は、周囲のトラヒック量を測定する機能を有する。トラヒック量の測定については公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。外部通信部150は、測定したトラヒック量の情報を距離測定管理装置400に送信する。距離測定管理装置400の設定部430は、トラヒック量をもとに測定可能期間の長さを調節する。例えば、トラヒック量が多いほど測定可能期間が長くされる。このように、設定部430は、複数のスキャナ100における通信環境をもとに測定可能期間の長さを調節する。本変形例によれば、トラヒック量が多いほど測定可能期間が長くされるので、信号の衝突確率の増加を抑制できる。
【符号の説明】
【0061】
100 スキャナ(第1種無線装置)、 102 通信部、 110 送信部、 120 受信部、 130 導出部、 140 測距部、 150 外部通信部、 160 制御部、 200 タグ(第2種無線装置)、 202 通信部、 210 送信部、 220 受信部、 230 導出部、 260 制御部、 300 位置推定装置、 310 距離記憶部、 320 位置推定部、 400 距離測定管理装置(距離測定管理システム)、 410 通信部、 420 生成部、 430 設定部、 1000 無線測距システム。