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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170157
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ガスレーザ及び廃熱回収システム
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/041 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H01S3/041
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081696
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】大塚 節文
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AD04
5F172EE24
5F172EE27
(57)【要約】
【課題】励起光を放出する新たな光源を備えるガスレーザ及び廃熱回収システムを提供する。
【解決手段】ガスレーザは、レーザ媒質としてのガスと、波長選択性を有する熱輻射源であり、前記ガスを励起するための励起光を熱輻射により放出する熱輻射源と、前記励起光により前記ガスから放出される放出光を共振させるための光共振器と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ媒質としてのガスと、
波長選択性を有する熱輻射源であり、前記ガスを励起するための励起光を熱輻射により放出する熱輻射源と、
前記励起光により前記ガスから放出される放出光を共振させるための光共振器と、
を備える、ガスレーザ。
【請求項2】
前記ガスと前記熱輻射源との間に断熱領域が設けられている、請求項1に記載のガスレーザ。
【請求項3】
前記ガスを収容する容器を更に備え、
前記容器は、軸に沿って延在する筒状であり、
前記熱輻射源は、前記軸に沿って延在する、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項4】
前記ガスを収容する容器を更に備え、
前記容器の内面は、前記励起光を反射する反射面を含む、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項5】
前記反射面は、前記熱輻射源に面するように配置される、請求項4に記載のガスレーザ。
【請求項6】
前記熱輻射源は、抵抗発熱体を備え、
前記抵抗発熱体に接続される電源を更に備える、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項7】
前記熱輻射源は、導体を備え、
前記導体を誘導加熱するためのコイルと、
前記コイルに交流電力を供給するための交流電源と、
を更に備える、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項8】
前記熱輻射源に電磁波を照射して前記熱輻射源を加熱するための電磁波発生器を更に備える、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項9】
前記ガスを収容する容器を更に備え、
前記容器は、金属部材を備える、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項10】
前記ガスを冷却する冷却器を更に備える、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項11】
前記ガスを収容する容器を更に備え、
前記熱輻射源は、前記容器の外側に配置され、
前記容器は、前記励起光を透過させる材料を含む、請求項1又は2に記載のガスレーザ。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のガスレーザと、
前記ガスレーザの前記熱輻射源を加熱するための発熱体と、
を備える、廃熱回収システム。
【請求項13】
前記ガスレーザからのレーザ光を電気に変換する光電池を更に備える、請求項12に記載の廃熱回収システム。
【請求項14】
前記ガスレーザからのレーザ光が照射される化学反応装置を更に備える、請求項12に記載の廃熱回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスレーザ及び廃熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、放電により励起される炭酸ガスレーザを開示する。非特許文献2は、臭化水素レーザにより励起される炭酸ガスレーザを開示する。
【0003】
非特許文献3は、プラズモニックメタマテリアルを利用した熱輻射源を開示する。熱輻射源は波長選択性を有する。非特許文献4は、通電加熱により熱輻射を放出する熱輻射源を開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A. Yariv, “QuantumElectronics 3rd Edition”, Wiley (1989) p.216-224
【非特許文献2】T. Y. Chang and O. R. Wood, "Opticallypumped atmospheric-pressure CO2 laser", Applied Physics Letters21 (1972) 19
【非特許文献3】X. Liu, et al, "Taming theBlackbody with Infrared Metamaterials as Selective Thermal Emitters",Physical Review Letters 107 (2011) 045901
【非特許文献4】上羽、高原、”メタフィラメントによる熱輻射スペクトル制御”、第74回応用物理学会秋季学術講演会、(2013)、18a-C14-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、ガスを励起するための励起光を放出する新たな光源を探索した。
【0006】
本開示は、励起光を放出する新たな光源を備えるガスレーザ及び廃熱回収システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るガスレーザは、レーザ媒質としてのガスと、波長選択性を有する熱輻射源であり、前記ガスを励起するための励起光を熱輻射により放出する熱輻射源と、前記励起光により前記ガスから放出される放出光を共振させるための光共振器と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、励起光を放出する新たな光源を備えるガスレーザ及び廃熱回収システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す図である。
図2図2は、熱輻射源の熱輻射スペクトルの一例を示すグラフである。
図3図3は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、熱輻射源の一例を示す平面図である。
図6図6は、図5の一部を示す平面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。
図11図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。
図12図12は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。
図13図13は、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14図14は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。
図15図15は、図14のXV-XV線に沿った断面図である。
図16図16は、熱輻射源の一例を示す平面図である。
図17図17は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。
図18図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。
図19図19は、一実施形態に係る廃熱回収システムを模式的に示す図である。
図20図20は、他の一実施形態に係る廃熱回収システムを模式的に示す図である。
図21図21は、他の一実施形態に係る廃熱回収システムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
(1)レーザ媒質としてのガスと、波長選択性を有する熱輻射源であり、前記ガスを励起するための励起光を熱輻射により放出する熱輻射源と、前記励起光により前記ガスから放出される放出光を共振させるための光共振器と、を備える、ガスレーザ。
【0011】
上記ガスレーザによれば、熱輻射源が熱輻射により励起光を放出する。励起光によりガスから放出される放出光が共振することによって、レーザ光が出射される。上記ガスレーザは、励起光を放出する新たな光源を備える。
【0012】
(2)上記(1)において、前記ガスと前記熱輻射源との間に断熱領域が設けられてもよい。この場合、熱輻射源の温度が高くてもガスの温度の上昇を抑制できる。そのため、レーザ光の発振効率の低下を抑制できる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)において、ガスレーザは、前記ガスを収容する容器を更に備えてもよく、前記容器は、軸に沿って延在する筒状であってもよく、前記熱輻射源は、前記軸に沿って延在してもよい。この場合、軸に沿った長い領域において、熱輻射源がガスに向かって励起光を照射できる。
【0014】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、ガスレーザは、前記ガスを収容する容器を更に備えてもよく、前記容器の内面は、前記励起光を反射する反射面を含んでもよい。この場合、ガスに吸収されずに反射面に到達した励起光をガスに向かって反射させることができる。
【0015】
(5)上記(4)において、前記反射面は、前記熱輻射源に面するように配置されてもよい。この場合、反射面によって反射した励起光がガスに吸収されなくても、反射した励起光が熱輻射源に戻る。そのため、熱輻射源を加熱するためのエネルギーを低減できる。
【0016】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記熱輻射源は、抵抗発熱体を備えてもよく、ガスレーザは、前記抵抗発熱体に接続される電源を更に備えてもよい。この場合、通電により熱輻射源を加熱できる。
【0017】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記熱輻射源は、導体を備えてもよく、ガスレーザは、前記導体を誘導加熱するためのコイルと、前記コイルに交流電力を供給するための交流電源と、を更に備えてもよい。この場合、非接触で熱輻射源を加熱できる。
【0018】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つにおいて、ガスレーザは、前記熱輻射源に電磁波を照射して前記熱輻射源を加熱するための電磁波発生器を更に備えてもよい。この場合、非接触で熱輻射源を加熱できる。
【0019】
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つにおいて、ガスレーザは、前記ガスを収容する容器を更に備えてもよく、前記容器は、金属部材を備えてもよい。この場合、金属部材によりガスを冷却できる。
【0020】
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つにおいて、ガスレーザは、前記ガスを冷却する冷却器を更に備えてもよい。この場合、冷却器においてガスを冷却できる。
【0021】
(11)上記(1)から(10)のいずれか1つにおいて、ガスレーザは、前記ガスを収容する容器を更に備えてもよく、前記熱輻射源は、前記容器の外側に配置されてもよく、前記容器は、前記励起光を透過させる材料を含んでもよい。この場合、熱輻射源の配置の自由度が向上する。
【0022】
(12)上記(1)から(11)のいずれか1つのガスレーザと、前記ガスレーザの前記熱輻射源を加熱するための発熱体と、を備える、廃熱回収システム。この場合、発熱体により熱輻射源が加熱されることによって、熱輻射源から励起光が放出される。その結果、ガスレーザからレーザ光が出射される。
【0023】
(13)上記(12)において、廃熱回収システムは、前記ガスレーザからのレーザ光を電気に変換する光電池を更に備えてもよい。この場合、廃熱を電気として回収して利用できる。
【0024】
(14)上記(12)又は(13)において、廃熱回収システムは、前記ガスレーザからのレーザ光が照射される化学反応装置を更に備えてもよい。この場合、廃熱を化学反応のための熱として回収して利用できる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0026】
図1は、一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す図である。図1に示されるガスレーザ10は、レーザ媒質としてのガスと、波長選択性を有する熱輻射源14と、光共振器16とを備える。レーザ媒質としてのガスは容器12に収容されてもよい。熱輻射源14は、ガスを励起するための励起光TRを熱輻射により放出する。光共振器16は、励起光TRによりガスから放出される放出光を共振させることができる。これにより、ガスレーザ10からレーザ光Lが出射される。
【0027】
容器12は、軸Axに沿って延在する筒状であってもよい。一例において、容器12は、26mmの外径と、24mmの内径と、120mmの長さとを有する円筒である。
【0028】
熱輻射源14は、容器12の外側に配置されてもよいし、容器12の内側に配置されてもよい。熱輻射源14が容器12の外側に配置される場合、容器12は、励起光TRを透過させる材料を含んでもよい。容器12は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、シリコン、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、塩化ナトリウム、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンのうち少なくとも1つを含んでもよい。酸化アルミニウムの例はサファイアを含む。励起光TRに対する容器12の外面の反射率は、1%以下であってもよい。容器12の内面は、励起光TRを反射する反射面を含んでもよい。励起光TRに対する容器12の内面の反射率は90%以上であってもよい。反射面は、熱輻射源114に面するように配置されてもよい。
【0029】
光共振器16は、例えばファブリペロー光共振器である。光共振器16は、第1ミラーM1及び第2ミラーM2を備えてもよい。第1ミラーM1と第2ミラーM2とは、軸Axにおいて互いに面して配置される。放出光に対する第1ミラーM1の反射率は、放出光に対する第2ミラーM2の反射率よりも大きい。これにより、レーザ光Lは第2ミラーM2から出射される。一例において、第1ミラーM1の反射率は95%であり、第2ミラーM2の反射率は90%である。第1ミラーM1は、筒状の容器12の第1開口を塞いでもよい。第1開口は、軸Axにおける容器12の第1端に位置する。第2ミラーM2は、筒状の容器12の第2開口を塞いでもよい。第2開口は、軸Axにおける容器12の第2端に位置する。容器12及び光共振器16により、容器12内のガスは封止されてもよい。この場合、ガス交換のための装置が不要になる。よって、ガスレーザ10の小型化が可能になる。ガスレーザ10の設置の自由度が高まる。
【0030】
容器12内のガスは、二酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO、NO等)、硫黄酸化物(SO等)、オゾン(O)、アンモニア(NH)、メタン(CH)及び第一級アルコールのうち少なくとも1つのガスをレーザ媒質として含んでもよい。容器12内のガスは、レーザ媒質としての第1ガスと、第1ガスとは異なる第2ガスとを含む混合ガスであってもよい。第2ガスは、ヘリウム(He)、水素(H)及び水蒸気(HO)のうち少なくとも1つのガスを含んでもよい。第2ガスは、第1ガスのエネルギー準位を低い基底準位に遷移させることができる。第2ガスは、第1ガスを冷却することもできる。容器12内のガスは、窒素を含まなくてもよい。一例において、容器12内のガスは、二酸化炭素(例えば50体積%)とヘリウム(例えば50体積%)とを含む。容器12内のガスの圧力は、例えば大気圧(1×10Pa)である。
【0031】
図2は、熱輻射源の熱輻射スペクトルの一例を示すグラフである。図2の横軸は波長を示す。図2の縦軸はスペクトルの強度を示す。図2に示される熱輻射スペクトルSP0は、黒体から放出される熱輻射スペクトルの一例を示す。図2に示される熱輻射スペクトルSP1は、熱輻射源14から放出される励起光TRのスペクトルの一例を示す。熱輻射スペクトルSP1は、3μm以上の波長域(例えば4.3μm)において第1ピークを有する。熱輻射スペクトルSP1は、2から3μmの波長域において第2ピークを有してもよい。第2ピークの強度は第1ピークの強度よりも小さい。
【0032】
熱輻射源14は、フォトニック結晶、微小空洞共振器及びプラズモニックメタ表面のうち少なくとも1つを含んでもよい。熱輻射源14から放出される励起光TRのスペクトルは、レーザ媒質としてのガスの励起波長においてピークを有する。
【0033】
熱輻射源14は、十分な厚みを有するダイヤモンド、鉄またはクロムなどの遷移金属が添加された硫化亜鉛またはセレン化亜鉛であってもよい。例えば、1mm程度の厚みを有するダイヤモンドは波長4μmから6μmの波長選択輻射光源として動作し得る。熱輻射源14はこれらの物質を含むフォトニック結晶などであってもよい。
【0034】
ガスレーザ10によれば、熱輻射源14が熱輻射により励起光TRを放出する。励起光TRによりガスから放出される放出光が共振することによって、レーザ光Lが出射される。よって、ガスレーザ10は、励起光TRを放出する新たな光源として熱輻射源14を備える。ガスレーザ10によれば、放電によりガスを励起する必要がないので、放電のための高電圧電源が必要ない。そのため、ガスレーザ10を小型化及び軽量化できる。また、炭酸ガスレーザ以外のガスレーザにおいて、放電又はレーザによりガスを励起すると、エネルギー変換効率が低くなる。例えば、レーザによりガスを励起する場合、電気エネルギーを光エネルギーに変換するエネルギー変換効率は10%未満である。これに対して、ガスレーザ10では熱輻射によりガスを励起するので、高いエネルギー変換効率が得られる。例えば、熱輻射によりガスを励起する場合、電気エネルギーを光エネルギーに変換するエネルギー変換効率は10%以上である。
【0035】
図3は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。図3及び図4に示されるガスレーザ10Aは、以下の点を除きガスレーザ10と同じ構成を備えてもよい。ガスレーザ10Aは、熱輻射源14に代えて熱輻射源114及び電源30を備えてもよい。ガスレーザ10Aは、容器18、封止部材20及び突起部22を更に備えてもよい。
【0036】
容器18は、容器12の外側に配置される。容器18は容器12から離れている。容器18は、軸Axに沿って延在する筒状であってもよい。一例において、容器18は、50mmの外径と、46mmの内径と、120mmの長さとを有する円筒である。容器12及び容器18は、二重管を形成してもよい。
【0037】
封止部材20は、容器12と容器18との間の空間を封止する。軸Axにおける容器12の第1端において、1つの封止部材20が容器12と容器18との間に配置される。一例において、封止部材20は円環状部材である。軸Axにおける容器12の第2端において、もう1つの封止部材20が容器12と容器18との間に配置される。容器12、容器18及び封止部材20は、単一の部材により形成されてもよい。容器12と容器18との間の空間は、減圧されてもよい。容器12と容器18との間の空間には、不活性ガスが封入されてもよい。不活性ガスの例は、窒素、アルゴン及びクリプトンを含む。不活性ガスの圧力は、1Pa以下であってもよい。
【0038】
封止部材20を用いずに、容器12と容器18との間の空間にガスを流してもよい。ガスは、軸Axに沿って容器12の第1端から第2端まで流れる。ガスは、励起光TRを吸収し難いガスであってもよい。これにより、励起光TRが容器12内のガスに到達し易くなる。
【0039】
熱輻射源114は、容器12の外側に配置されてもよい。熱輻射源114は、容器12と容器18との間に配置されてもよい。容器12と熱輻射源114との間に断熱領域TIRが設けられてもよい。断熱領域TIRは、容器12と容器18との間の減圧された空間であってもよい。熱輻射源114は、少なくとも1つの突起部22により容器18に接続されてもよい。熱輻射源114と突起部22との接触面積が小さいと、熱輻射源114から突起部22への放熱を抑制できる。よって、効率的に熱輻射源114を加熱することができる。突起部22の数を少なくすることによって、熱輻射源114と突起部22との接触面積を小さくできる。突起部22の突出方向に直交する突起部22の断面積を小さくすることによって、熱輻射源114と突起部22との接触面積を小さくできる。
【0040】
ガスレーザ10Aは、複数(例えば8つ)の熱輻射源114を備えてもよい。各熱輻射源114は、軸Axに沿って延在してもよい。各熱輻射源114は、第1面114a及び第2面114bを有する板状部材であってもよい。第1面114aは、励起光TRを出射する面である。第1面114aは、軸Ax及び容器12の外面に面してもよい。第2面114bは第1面114aと反対の面である。第2面114bは、容器18の内面に面してもよい。複数の熱輻射源114は、軸Axに直交する断面において、軸Ax及び容器12を取り囲むように設けられてもよい。隣り合う熱輻射源114が連結されて単一の熱輻射源114が形成されてもよい。この場合、熱輻射源114は円筒状であってもよい。
【0041】
ガスレーザ10Aは、熱輻射源114に接続される電源30を備えてもよい。電源30は容器18の外側に配置される。電源30は、複数の熱輻射源114に並列に接続されてもよい。電源30は直流電源であってもよい。熱輻射源114と電源30との間の導線は、突起部22に沿って延在してもよい。
【0042】
電源30から各熱輻射源114に電力が供給されると、加熱された各熱輻射源114から容器12内のガスに励起光TRが放出される。励起光TRによってガスが励起され、レーザ光Lがガスレーザ10Aから出射される。一例において、5Vの電圧を電源30から熱輻射源114に供給すると、0.6Wの出力を有するレーザ光Lが出射される。1つの熱輻射源114から放出された励起光TRのうちガスに吸収されなかった励起光TRは、他の熱輻射源114に入射してもよい。この場合、励起光TRが入射した熱輻射源114の温度の低下が抑制される。
【0043】
図5は、熱輻射源の一例を示す平面図である。図6は、図5の一部を示す平面図である。図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。図5から図7に示されるように、熱輻射源114は、基板SBと、基板SB上に設けられた導体パターン領域CPとを備えてもよい。基板SBは、例えばガラス基板又はポリマー基板である。一例において、基板SBは、100mmの長辺及び15mmの短辺を有する主面と、2mmの厚みとを有する。
【0044】
導体パターン領域CPは、熱輻射源114の第1面114aに設けられる。導体パターン領域CPは、第1面114aにおいて蛇行した帯状領域であってもよい。一例において、導体パターン領域CPは、2.3mmの幅を有する帯状領域が0.2mmの間隔をあけて蛇行する。
【0045】
導体パターン領域CPは、第1層L1と、第2層L2と、第3層L3とを含む。第1層L1、第2層L2及び第3層L3は、基板SB上に順に設けられる。第1層L1及び第2層L2は導体パターン領域CP全体に広がってもよい。第1層L1は金属層であってもよい。第1層L1は例えばアルミニウム層である。一例において、第1層L1は、100nmの厚みを有する。第2層L2は誘電体層であってもよい。第2層L2は例えば酸化アルミニウム層である。一例において、第2層L2は、50nmの厚みを有する。第3層L3は金属層であってもよい。第3層L3は例えばアルミニウム層である。第3層L3は、互いに離れてアレイ状に配置される複数のアイランドパターンであってもよい。一例において、複数のアイランドパターンは、1500nmのピッチで設けられる。一例において、各アイランドパターンは、980nmの辺を有する正方形の主面と、100nmの厚みとを有する。
【0046】
図3の電源30は、熱輻射源114の抵抗発熱体である第1層L1に接続されてもよい。電源30の正極は、導体パターン領域CPの第1端に接続されてもよい。電源30の負極は、導体パターン領域CPの第2端に接続されてもよい。第1層L1に電流が流れることによって、導体パターン領域CPが加熱される。
【0047】
ガスレーザ10Aによれば、ガスレーザ10と同じ作用効果が得られる。さらに、以下の作用効果が得られる。
【0048】
容器12と熱輻射源114との間に断熱領域TIRが設けられる場合、熱輻射源114の温度が高くても容器12内のガスの温度の上昇を抑制できる。そのため、レーザ光Lの発振効率の低下を抑制できる。
【0049】
熱輻射源114が軸Axに沿って延在する場合、軸Axに沿った長い領域において、熱輻射源114がガスに向かって励起光TRを照射できる。軸Axに直交する断面において、熱輻射源114が軸Axを取り囲むように設けられる場合、熱輻射源114は、多くの方向から励起光TRをガスに照射できる。
【0050】
容器12の内面が励起光TRを反射する反射面を含む場合、ガスに吸収されずに反射面に到達した励起光TRをガスに向かって反射させることができる。
【0051】
容器12の内面の反射面が熱輻射源114に面するように配置される場合、反射面によって反射した励起光TRがガスに吸収されなくても、反射した励起光TRが熱輻射源114に戻る。そのため、熱輻射源114を加熱するためのエネルギーを低減できる。
【0052】
熱輻射源114が第1層L1を備え、電源30が第1層L1に接続される場合、通電により熱輻射源114を加熱できる。
【0053】
熱輻射源114が容器12の外側に配置され、容器12が励起光TRを透過させる材料を含む場合、熱輻射源114の配置の自由度が向上する。
【0054】
図8は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。図8及び図9に示されるガスレーザ10Bは、以下の点を除きガスレーザ10Aと同じ構成を備えてもよい。ガスレーザ10Bは、容器12に代えて容器112を備えてもよい。ガスレーザ10Bは、容器18に代えて誘電体部材118aを備えてもよい。
【0055】
容器112は、誘電体部材112aと金属部材40とを備える。誘電体部材112a及び金属部材40は、軸Axに沿って延在する。一例において、誘電体部材112aは、26mmの外径と、24mmの内径と、120mmの長さとを有する半円筒である。誘電体部材112aの材料の例は、図1の容器12の材料の例と同じである。
【0056】
金属部材40は、例えばアルミニウム部材である。金属部材40は、軸Axに沿って延在する板状部材であってもよい。金属部材40は、軸Axに沿って延在する凹部RS1を有する。凹部RS1の内面40bは、容器112の内面の一部を形成する。一例において、内面40bは、26mmの内径を有する半円筒の内面である。内面40bは、励起光TRを反射する反射面であってもよい。励起光TRに対する内面40bの反射率は、90%以上であってもよい。内面40bは、熱輻射源114に面するように配置されてもよい。
【0057】
ガスレーザ10Aは、誘電体部材112aの外側に配置される誘電体部材118aを備えてもよい。誘電体部材118aは誘電体部材112aから離れている。誘電体部材118aは、軸Axに沿って延在してもよい。一例において、誘電体部材118aは、50mmの外径と、46mmの内径と、120mmの長さとを有する半円筒である。誘電体部材118aの材料の例は、図3の容器18の材料の例と同じである。
【0058】
金属部材40は、誘電体部材112a及び誘電体部材118aに接続されてもよい。金属部材40及び封止部材20は、誘電体部材112aと誘電体部材118aとの間の空間を封止してもよい。熱輻射源114は、誘電体部材112aと誘電体部材118aとの間の空間に配置されてもよい。熱輻射源114は、少なくとも1つの突起部22により誘電体部材118aに接続されてもよい。
【0059】
金属部材40は、冷却流体を流すための流路40aを備えてもよい。冷却流体は、水を含んでもよい。一例において、冷却流体の温度は室温(25℃)である。
【0060】
ガスレーザ10Bによれば、ガスレーザ10Aと同じ作用効果が得られる。さらに、ガスレーザ10Bによれば、金属部材40により、容器112内のガスを冷却できる。金属部材40が流路40aを備える場合、ガスの冷却効果が高まる。
【0061】
図10は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。図10及び図11に示されるガスレーザ10Cは、以下の点を除きガスレーザ10Aと同じ構成を備えてもよい。ガスレーザ10Cは、容器12に代えて容器212を備えてもよい。ガスレーザ10Cは、熱輻射源114に代えて熱輻射源214を備えてもよい。ガスレーザ10Cは、冷却器50を更に備えてもよい。ガスレーザ10Cは、電源30を備えなくてもよい。
【0062】
容器212は、本体212aと、本体212aに接続されるガス供給管212bと、本体212aに接続されるガス排出管212cとを備える。本体212aは、以下の点を除き容器12と同じ構成を備えてもよい。本体212aは、ガス供給管212bに接続される第1開口と、ガス排出管212cに接続される第2開口とを有してもよい。
【0063】
冷却器50は、ガス供給管212b及びガス排出管212cに接続される。冷却器50は、容器212内のガスGと熱交換を行う。これにより、ガスGは冷却される。ガスGは、ガス供給管212b及びガス排出管212cを通って、容器212と冷却器50との間を循環する。
【0064】
熱輻射源214は、容器18の外側に配置されてもよい。熱輻射源214は、軸Axに沿って延在してもよい。熱輻射源214は、容器18を取り囲むように設けられてもよい。熱輻射源214は、軸Axに沿って延在する筒状部材であってもよい。熱輻射源214は第1面214a及び第2面214bを有してもよい。第1面214aは、励起光TRを出射する面である。第1面214aは、容器18の外面に面している。第1面214aは容器18の外面と接触してもよい。第2面214bは第1面214aと反対の面である。第2面214bは、ガスレーザ10Cの外側に位置する発熱体からの熱を回収する面である。第2面214bは、発熱体に接触してもよい。この場合、伝熱により熱輻射源214が加熱される。第2面214bは、発熱体から離れていてもよい。この場合、発熱体からの熱輻射により熱輻射源214が加熱される。発熱体の温度は300℃以上であってもよい。熱輻射源214は、容器18の内側に配置されてもよい。ガスレーザ10Cは容器18を備えなくてもよい。この場合、熱輻射源214が容器18としても機能する。
【0065】
ガスレーザ10Cによれば、ガスレーザ10Aと同じ作用効果が得られる。さらに、ガスレーザ10Cによれば、冷却器50により、容器212内のガスを冷却できる。ガスレーザ10Cによれば、熱輻射源214により、発熱体の廃熱を利用してレーザ光Lを出射できる。電源30から熱輻射源214に電力を供給する必要がない。
【0066】
他のガスレーザ10,10A,10Bにおいて、熱輻射源214が使用されてもよい。これにより、電源30が不要になる。
【0067】
他のガスレーザ10,10A,10Bにおいて、容器212及び冷却器50が使用されてもよい。これにより、容器212内のガスを冷却できる。
【0068】
図12は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。図13は、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。図12及び図13に示されるガスレーザ10Dは、以下の点を除きガスレーザ10Bと同じ構成を備えてもよい。ガスレーザ10Dは、熱輻射源114に代えて熱輻射源214を備えてもよい。ガスレーザ10Dは、誘電体部材118aに代えて金属部材42を備えてもよい。ガスレーザ10Dは、断熱材44を備えてもよい。ガスレーザ10Dは、電源30を備えなくてもよい。
【0069】
金属部材42は容器112の外側に配置されてもよい。金属部材42は、例えばアルミニウム部材である。金属部材42は、軸Axに沿って延在する板状部材であってもよい。金属部材42は、軸Axに沿って延在する凹部RS2を有する。凹部RS2の内面42bは、誘電体部材112aに面する。内面42bは誘電体部材112aから離れている。一例において、内面42bは、100mmの内径を有する半円筒の内面である。内面42bと誘電体部材112aとの間には熱輻射源214が設けられる。
【0070】
金属部材42は、高温流体を流すための流路42aを備えてもよい。高温流体は、水蒸気等の高温ガスを含んでもよい。一例において、高温流体の温度は300℃である。発熱体により、金属部材42が加熱されてもよい。この場合、金属部材42は流路42aを備えなくてもよい。発熱体は、金属部材42に接触してもよいし、金属部材42から離れていてもよい。
【0071】
断熱材44は、金属部材40と金属部材42との間に配置されてもよい。断熱材44によって金属部材40と金属部材42とが互いに接続され得る。断熱材44は、軸Axに沿って延在してもよい。断熱材44は、例えば多孔質ケイ酸カルシウムを含む。
【0072】
容器112、金属部材42及び断熱材44は、誘電体部材112aと内面42bとの間の空間を封止してもよい。
【0073】
ガスレーザ10Dによれば、ガスレーザ10Bと同じ作用効果が得られる。さらに、ガスレーザ10Dによれば、金属部材42により、熱輻射源214を加熱することができる。
【0074】
他のガスレーザ10,10A,10B,10Cにおいて、金属部材42及び熱輻射源214が使用されてもよい。これにより、電源30が不要になる。
【0075】
図14は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。図15は、図14のXV-XV線に沿った断面図である。図14及び図15に示されるガスレーザ10Eは、以下の点を除きガスレーザ10Aと同じ構成を備えてもよい。ガスレーザ10Eは、熱輻射源114に代えて熱輻射源314を備えてもよい。ガスレーザ10Eは、電源30に代えて加熱装置130を備えてもよい。ガスレーザ10Eは、直方体の外形を有する容器12を備えてもよい。ガスレーザ10Eは、直方体の外形を有する容器18を備えてもよい。
【0076】
軸Axに直交する断面において、容器12は、矩形の外形を有する。軸Axに直交する断面において、熱輻射源314は、容器12の矩形の長辺に沿って延在してもよい。熱輻射源314は、容器12の矩形の短辺に沿って延在してもよいし、矩形の短辺に配置されなくてもよい。熱輻射源314を容器12の矩形の長辺のみに配置しても、高い効率で容器12内のガスを励起できる。
【0077】
熱輻射源314は、容器12と容器18との間に配置されてもよい。熱輻射源314は、第1面314a及び第2面314bを有する板状部材であってもよい。第1面314aは、励起光TRを出射する面である。第1面314aは、軸Ax及び容器12の外面に面している。第2面314bは第1面314aと反対の面である。第2面314bは、容器18の内面に面している。
【0078】
図16は、熱輻射源の一例を示す平面図である。図16に示される熱輻射源314は、基板SBと、基板SB上に設けられた導体パターン領域CP1とを備えてもよい。導体パターン領域CP1は、熱輻射源314の第1面314aに設けられる。導体パターン領域CP1は、第1面314aにおいてスパイラル状に設けられること以外は導体パターン領域CPと同じ構成を備える。
【0079】
図14及び図15に示されるように、加熱装置130は、熱輻射源314の導体(例えば導体パターン領域CP1の第1層L1及び第3層L3)を誘導加熱するためのコイル132と、コイル132に交流電力を供給するための交流電源134とを備える。コイル132は、スパイラルコイルであってもよい。スパイラルコイルは、導体パターン領域CP1に対応するパターンを有する。コイル132は、熱輻射源314の導体パターン領域CP1に面している。一例において、交流電源134の周波数は50Hzである。
【0080】
ガスレーザ10Eによれば、ガスレーザ10Aと同じ作用効果が得られる。さらに、ガスレーザ10Eによれば、加熱装置130により、非接触で熱輻射源314を加熱することができる。そのため、熱輻射源314から導体を通って外部に放出される熱を抑制できる。よって、効率的に熱輻射源314を加熱することができる。コイル132が導体パターン領域CP1に対応するパターンを有するスパイラルコイルである場合、電気エネルギーから熱エネルギーへのエネルギー変換効率を高めることができる。
【0081】
他のガスレーザ10,10A,10B,10C,10Dにおいて、熱輻射源314及び加熱装置130が使用されてもよい。これにより、非接触で熱輻射源314を加熱できる。
【0082】
他のガスレーザ10,10A,10B,10C,10Dにおいて、直方体の外形を有する容器12及び直方体の外形を有する容器18が使用されてもよい。
【0083】
図17は、他の一実施形態に係るガスレーザを模式的に示す断面図である。図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。図17及び図18に示されるガスレーザ10Fは、以下の点を除きガスレーザ10Aと同じ構成を備えてもよい。ガスレーザ10Fは、電源30に代えて電磁波照射器230を備えてもよい。
【0084】
電磁波照射器230は、熱輻射源114に電磁波を照射して熱輻射源114を加熱する。電磁波照射器230は、電磁波を出射するアンテナ232と、アンテナ232に接続される高周波電源234とを備える。一例において、高周波電源234の周波数は2.4GHzである。電磁波照射器230から出射される電磁波の周波数は、100Hzから10GHzであってもよい。例えばマイクロ波を熱輻射源114に照射して誘電加熱により熱輻射源114を加熱することができる。熱輻射源114は誘電体を含んでもよい。容器12及び容器18のそれぞれは、電磁波を透過する材料を含んでもよい。
【0085】
ガスレーザ10Fによれば、ガスレーザ10Aと同じ作用効果が得られる。さらに、ガスレーザ10Fによれば、電磁波照射器230により、非接触で熱輻射源114を加熱することができる。そのため、熱輻射源114から導体を通って外部に放出される熱を抑制できる。よって、効率的に熱輻射源114を加熱することができる。
【0086】
他のガスレーザ10,10A,10B,10C,10D,10Eにおいて、電磁波照射器230が使用されてもよい。これにより、非接触で熱輻射源14,114,214を加熱できる。
【0087】
図19は、一実施形態に係る廃熱回収システムを模式的に示す図である。図19に示される廃熱回収システム100は、ガスレーザ10と、ガスレーザ10の熱輻射源14を加熱するための発熱体HDとを備える。廃熱回収システム100は、複数のガスレーザ10を備えてもよい。発熱体HDは、熱輻射源14に接触してもよいし、熱輻射源14から離れていてもよい。発熱体HDは、高温固体又は高温流体であってもよい。廃熱回収システム100は、各ガスレーザ10から出射されるレーザ光Lを吸収する光吸収体LAを備えてもよい。光吸収体LAは、光電池及び化学反応装置のうち少なくとも1つであってもよい。
【0088】
廃熱回収システム100によれば、発熱体HDによりガスレーザ10の熱輻射源14が加熱されることによって、熱輻射源14から励起光TRが放出される。その結果、各ガスレーザ10からレーザ光Lが出射される。レーザ光Lは、光吸収体LAに向かって照射され、光吸収体LAにより吸収される。よって、発熱体HDの廃熱を光吸収体LAにおいて回収して利用できる。レーザ光Lは高い集光性を有するので、複数のガスレーザ10からのレーザ光Lを狭い範囲に集光できる。よって、光吸収体LAの温度を発熱体HDの温度よりも高くできる。発熱体HDは、放熱のために広い表面積を有する場合がある。この場合、設置可能なガスレーザ10の個数を増やすことができる。これにより、光吸収体LAの温度を高めることができる。
【0089】
廃熱回収システム100は、ガスレーザ10に代えてガスレーザ10,10A,10B,10C,10D,10E,10Fを備えてもよい。
【0090】
図20は、他の一実施形態に係る廃熱回収システムを模式的に示す図である。図20に示される廃熱回収システム100Aは、ガスレーザ10と、ガスレーザ10の熱輻射源14を加熱するための発熱体である水蒸気HWと、ガスレーザ10からのレーザ光Lを電気に変換する光電池LA1とを備える。廃熱回収システム100Aは、複数のガスレーザ10を備えてもよい。水蒸気HWは、装置APの放熱部HPにより水が加熱されることによって生成される。水蒸気HWは、放熱部HPからガスレーザ10に向かって流れる。水蒸気HWは、熱輻射源14を加熱することによって冷却される。冷却された水蒸気HWは、凝縮器CDに供給され、凝縮器CDにおいて凝縮する。凝縮した水は、ポンプPMにより装置APに戻される。
【0091】
廃熱回収システム100Aによれば、水蒸気HWにより熱輻射源14が加熱されることによって、熱輻射源14から励起光TRが放出される。その結果、ガスレーザ10からレーザ光Lが出射される。レーザ光Lは、光電池LA1に向かって照射され、光電池LA1において電気に変換される。廃熱回収システム100Aによれば、廃熱を電気として回収して利用できる。レーザ光Lは高い集光性を有するので、複数のガスレーザ10からのレーザ光Lを狭い範囲に集光できる。そのため、光電池LA1による発電の電力を大きくできる。光電池LA1の発電効率も高くできる。
【0092】
廃熱回収システム100Aは、ガスレーザ10に代えてガスレーザ10,10A,10B,10C,10D,10E,10Fを備えてもよい。
【0093】
図21は、他の一実施形態に係る廃熱回収システムを模式的に示す図である。図21に示される廃熱回収システム100Bは、ハーバーボッシュ法によりアンモニアを合成するシステムであってもよい。廃熱回収システム100Bは、ガスレーザ10と、ガスレーザ10の熱輻射源14を加熱するための発熱体であるアンモニアガスNHと、ガスレーザ10からのレーザ光Lが照射される化学反応装置RAとを備える。化学反応装置RAは触媒CTを含んでもよい。一例において、触媒CTの温度は500℃である。触媒CTは、鉄、酸化アルミニウム及び酸化カリウムを含む。
【0094】
廃熱回収システム100Bは、窒素及び水素を化学反応装置RAに供給するガス供給源GSを備える。ガス供給源GSと化学反応装置RAとの間に圧縮器CMが配置される。ガス供給源GSから供給される窒素及び水素は、圧縮器CMにおいて圧縮された後、化学反応装置RAに供給される。化学反応装置RAにおいて、触媒CTにより窒素と水素とが反応してアンモニアガスNHが合成される。一例において、化学反応装置RAにおけるアンモニアガスNHの温度は480℃である。アンモニアガスNHは、ガスレーザ10に供給され、ガスレーザ10の熱輻射源14を加熱する。アンモニアガスNHは、熱輻射源14を加熱することによって冷却される。冷却されたアンモニアガスNHは、冷却器CLに供給され、冷却器CLにおいて冷却される。冷却されたアンモニアガスNHは、凝縮器CDに供給され、凝縮器CDにおいて凝縮する。凝縮したアンモニアは、ポンプPMにより圧縮器CMに戻される。
【0095】
廃熱回収システム100Bによれば、アンモニアガスNHにより熱輻射源14が加熱されることによって、熱輻射源14から励起光TRが放出される。その結果、ガスレーザ10からレーザ光Lが出射される。レーザ光Lは、化学反応装置RAに向かって照射され、化学反応装置RA中の触媒CTを加熱する。そのため、触媒CTの加熱に必要なエネルギーを低減できる。このように、廃熱回収システム100Bによれば、廃熱を化学反応のための熱として回収して利用できる。
【0096】
廃熱回収システム100Bは、ガスレーザ10に代えてガスレーザ10,10A,10B,10C,10D,10E,10Fを備えてもよい。
【0097】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
10…ガスレーザ
10A…ガスレーザ
10B…ガスレーザ
10C…ガスレーザ
10D…ガスレーザ
10E…ガスレーザ
10F…ガスレーザ
12…容器
14…熱輻射源
16…光共振器
18…容器
20…封止部材
22…突起部
30…電源
40…金属部材
40a…流路
40b…内面
42…金属部材
42a…流路
42b…内面
44…断熱材
50…冷却器
100…廃熱回収システム
100A…廃熱回収システム
100B…廃熱回収システム
112…容器
112a…誘電体部材
114…熱輻射源
114a…第1面
114b…第2面
118a…誘電体部材
130…加熱装置
132…コイル
134…交流電源
212…容器
212b…ガス供給管
212c…ガス排出管
214…熱輻射源
214a…第1面
214b…第2面
230…電磁波照射器
232…アンテナ
234…高周波電源
314…熱輻射源
314a…第1面
314b…第2面
AP…装置
Ax…軸
CD…凝縮器
CL…冷却器
CM…圧縮器
CP…導体パターン領域
CP1…導体パターン領域
CT…触媒
G…ガス
GS…ガス供給源
HD…発熱体
HP…放熱部
HW…水蒸気
L…レーザ光
L1…第1層
L2…第2層
L3…第3層
LA…光吸収体
LA1…光電池
M1…第1ミラー
M2…第2ミラー
NH…アンモニアガス
PM…ポンプ
RA…化学反応装置
RS1…凹部
RS2…凹部
SB…基板
SP0…熱輻射スペクトル
SP1…熱輻射スペクトル
TIR…断熱領域
TR…励起光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21