(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170160
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ます、排水配管システム、および、ますの切替部材
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20231124BHJP
E03F 5/10 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E03F5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081701
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 俊希
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA14
2D063DA06
2D063DA07
2D063DA23
(57)【要約】
【課題】切替部材を取り付けた流入口から水が流入することが可能であり、切替部材を取り付けた流入口に水が逆流することを防ぐ。
【解決手段】ます50は、第1流入口61、第2流入口62および流出口63が形成されたます本体51と、本体筒部52の内部において、第1流入口61に取り付けられる第1切替位置P1と、第2流入口62に取り付けられる第2切替位置P2とに位置変更可能な切替部材70と、切替部材70に設けられた通過許可手段80とを備える。通過許可手段80は、第1切替位置P1のとき、第1流入口61から水を流すことが可能であり、かつ、ます本体51内から第1流入口61に向かう水を塞き止めるように構成され、第2切替位置P2のとき、第2流入口62から水を流すことが可能であり、かつ、ます本体51内から第2流入口62に向かう水を塞き止めるように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流入口、第2流入口および流出口が形成された有底筒状の本体筒部と、前記本体筒部の一端に接続され、点検口が形成された点検筒部と、を有するます本体と、
前記本体筒部の内部に着脱可能であって、前記第2流入口を開放しつつ、前記第1流入口に取り付けられる第1切替位置と、前記第1流入口を開放しつつ、前記第2流入口に取り付けられる第2切替位置とに位置変更可能な切替部材と、
前記切替部材に設けられ、一方向に向かって流れる水を通過させ、かつ、前記一方向とは逆の他方向に向かって流れる水を塞き止める通過許可手段と、
を備え、
前記通過許可手段は、
前記切替部材が前記第1切替位置に配置されたとき、前記第1流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第1流入口に向かう水を塞き止めるように構成され、
前記切替部材が前記第2切替位置に配置されたとき、前記第2流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第2流入口に向かう水を塞き止めるように構成された、ます。
【請求項2】
前記切替部材は、前記第1切替位置のときに前記第1流入口と連通し、かつ、前記第2切替位置のときに前記第2流入口と連通する連通口が形成された切替本体を有し、
前記通過許可手段は、前記切替部材の外側から前記連通口を開閉可能であり、かつ、前記切替本体に当接可能な弁体を有している、請求項1に記載された、ます。
【請求項3】
前記第1流入口および前記第2流入口は、前記本体筒部の側部に形成され、
前記ます本体は、前記第1流入口の下端、および、前記第2流入口の下端よりも下方に離間する位置に配置された底面を有する、請求項1に記載された、ます。
【請求項4】
平面視において、前記第1流入口の中心軸と、前記流出口の中心軸とが成す角度、および、前記第2流入口の中心軸と、前記流出口の中心軸とが成す角度は、鈍角である、請求項1に記載された、ます。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか1つに記載された、ますと、
排水を排出する排水設備、および、前記ますの前記第1流入口に接続された第1流入管路と、
水が貯留された貯水手段と、
前記貯水手段、および、前記ますの前記第2流入口に接続された第2流入管路と、
前記ますの前記流出口に接続された流出管路と、
を備え、
前記第2流入管路、または、前記流出管路には、仮設トイレが取り付け可能に構成された、排水配管システム。
【請求項6】
第1流入口、第2流入口および流出口が形成された有底筒状の本体筒部と、前記本体筒部の一端に接続され、点検口が形成された点検筒部と、を有するます本体を備えた、ますにおいて、前記ます本体の前記本体筒部の内部に着脱可能な、ますの切替部材であって、
前記第2流入口を開放しつつ、前記第1流入口に取り付けられる第1切替位置と、前記第1流入口を開放しつつ、前記第2流入口に取り付けられる第2切替位置とに位置変更可能に構成され、
一方向に向かって流れる水を通過させ、かつ、前記一方向とは逆の他方向に向かって流れる水を塞き止める通過許可手段を備え、
前記通過許可手段は、
前記切替部材が前記第1切替位置に配置されたとき、前記第1流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第1流入口に向かう水を塞き止めるように構成され、
前記切替部材が前記第2切替位置に配置されたとき、前記第2流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第2流入口に向かう水を塞き止めるように構成された、ますの切替部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ます、排水配管システム、および、ますの切替部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、地震などの災害時に、仮設トイレを設置可能な排水配管システムが開示されている。排水配管システムは、貯水タンクが上流端に接続された第1排水管と、下水本管が下流端に接続された第2排水管と、排水を貯留する貯留槽が下流端に接続された第3排水管と、排水の流路を切替可能な排水ますと、を備えている。第1排水管の途中部分には、仮設トイレが接続可能なマンホールが設けられている。排水の流路を切り替え可能な排水ますは、第1排水管の下流端が接続された流入口と、第2排水管の上流端が接続された第1流出口と、第3排水管の上流端が接続された第2流出口とを備えている。
【0003】
特許文献1に開示された排水配管システムでは、災害時、第1排水管に設けられたマンホールに仮設トイレを接続する。ここで、下水本管が使用可能なときには、排水ますの第2流出口を閉鎖する。このことによって、仮設トイレから排出された汚物などを含む汚水は、貯水タンクから流れる水の流れに沿って、第1排水管を流れる。その後、汚水は、排水ますにおいて、流入口から第1流出口に流れ、第2排水管を通じて下水本管に排出される。一方、下水本管が使用不可能なときには、排水ますの第1流出口を閉鎖する。このことによって、仮設トイレから排出された汚水は、排水ますにおいて、流入口から第2流出口に流れ、第3排水管を通じて貯留槽に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような排水の流路を切り替えることが可能な排水ますにおいて、流入口と流出口とを逆にして使用することが可能である。この場合は、排水ますは、例えば第1流入口と、第2流入口と、流出口とを備えている。この場合における排水配管システムは、例えば排水が排出される排水設備が接続された流入管路と、給水タンクが接続された洗浄水管路と、流入管路および洗浄水管路よりも下流側に配置され、下水本管が接続された流出管路と、を備えている。洗浄水管路は、仮設トイレを取り付け可能に構成されている。流入管路の下流端、洗浄水管路の下流端、および、流出管路の上流端は、排水ますに接続されている。この場合、排水ますの第1流入口には、排水設備が接続された流入管路が接続され、第2流入口には、給水タンクが接続された洗浄水管路が接続されている。排水ますの流出口には、流出管路が接続されている。
【0006】
この場合における排水配管システムでは、通常時には、例えば排水ますの第2流入口を閉鎖し、第1流入口を開放する。そのため、通常時には、排水設備から排出された排水を、流入管路から排水ますの第1流入口を通じて流出管路に流すことができる。一方、災害時には、例えば洗浄水管路には、仮設トイレが取り付けられる。そして、排水ますにおいて、第1流入口を閉鎖し、第2流入口を開放する。そのため、災害時には、仮設トイレから排出された排泄物を含む汚水は、給水タンクから流れてきた水と共に、洗浄水管路から第2流入口を通じて流出管路に流すことができる。
【0007】
この場合のような排水配管システムにおける排水ますでは、閉鎖した第1流入口および第2流入口の何れかからのみ、排水をます本体内に流入させることができなかった。例えば災害時に、排水設備からの排水が流れる流入管路が接続される第1流入口は閉鎖される。よって、災害時には、排水設備から排出された排水は、閉鎖された第1流入口において塞き止められ、流出管路に排出することができないため、排水設備を使用することができなかった。
【0008】
ここで、災害時であっても、排水設備を使用することができ、排水設備から排出された排水を、流出管路に排出できることが好ましい。ただし、災害時において、ます本体を流れる排水が、流入管路に逆流することは好ましくない。また、上記排水配管システムにおいて、通常時であっても、例えば清掃などのために洗浄水管路内の水を流し、流出管路に排出できることが好ましい。ただし、通常時において、ます本体を流れる排水が、洗浄水管路に逆流することは好ましくない。
【0009】
上述のことは、一例に過ぎず、以下のような構成を有する、ますが望まれ得る。すなわち、流路を切り替え可能な、ますにおいて、例えば第1流入口を閉鎖した場合において、ます本体内の水が第1流入口に逆流することを防ぎつつ、第1流入口からます本体内に水を流入させることが可能な構成が望まれ得る。また、ますにおいて、例えば第2流入口を閉鎖した場合において、ます本体内の水が第2流入口に逆流することを防ぎつつ、第2流入口からます本体内に水を流入させることが可能な構成が望まれ得る。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1流入口、第2流入口および流出口が形成されたます本体と、第1流入口および第2流入口に対して選択的に取り付け可能な切替部材と、を備えた、ますにおいて、切替部材を取り付けた流入口からます本体に、水が流入することが可能でありつつ、切替部材を取り付けた流入口に水が逆流することを防ぐことが可能な、ます、排水配管システム、および、ますの切替部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る、ますは、ます本体と、切替部材と、通過許可手段とを備えている。前記ます本体は、第1流入口、第2流入口および流出口が形成された有底筒状の本体筒部と、前記本体筒部の一端に接続され、点検口が形成された点検筒部と、を有している。前記切替部材は、前記本体筒部の内部に着脱可能であって、前記第2流入口を開放しつつ、前記第1流入口に取り付けられる第1切替位置と、前記第1流入口を開放しつつ、前記第2流入口に取り付けられる第2切替位置とに位置変更可能なものである。前記通過許可手段は、前記切替部材に設けられ、一方向に向かって流れる水を通過させ、かつ、前記一方向とは逆の他方向に向かって流れる水を塞き止める。前記通過許可手段は、前記切替部材が前記第1切替位置に配置されたとき、前記第1流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第1流入口に向かう水を塞き止めるように構成されている。また、前記通過許可手段は、前記切替部材が前記第2切替位置に配置されたとき、前記第2流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第2流入口に向かう水を塞き止めるように構成されている。
【0012】
前記ますによれば、切替部材が第1切替位置に配置され、第1流入口に取り付けられたとき、第2流入口から流出口に水を流すことができる。このとき、通過許可手段によって、ます本体内の水が第1流入口に逆流することを防ぎつつ、第1流入口からます本体内に水を流入させることができる。また、切替部材が第2切替位置に配置され、第2流入口に取り付けられたとき、第1流入口から流出口に水を流すことができる。このとき、通過許可手段によって、ます本体内の水が第2流入口に逆流することを防ぎつつ、第2流入口からます本体内に水を流入させることができる。このように、切替部材に通過許可手段が設けられることによって、切替部材を取り付けた流入口から水がます本体に流入することが可能でありつつ、切替部材を取り付けた流入口に水が逆流することを防ぐことができる。
【0013】
本発明の好ましい一態様によれば、前記切替部材は、前記第1切替位置のときに前記第1流入口と連通し、かつ、前記第2切替位置のときに前記第2流入口と連通する連通口が形成された切替本体を有している。前記通過許可手段は、前記切替部材の外側から前記連通口を開閉可能であり、かつ、前記切替本体に当接可能な弁体を有している。
【0014】
上記態様によれば、第1切替位置のとき、第1流入口と連通する連通口を弁体が閉鎖することで、ます本体から第1流入口に水が逆流することを防ぐことができる。第1切替位置のとき、連通口を弁体が開放することで、第1流入口からます本体内に水を流すことができる。同様に、第2切替位置のとき、第2流入口と連通する連通口を弁体が閉鎖することで、ます本体から第2流入口に水が逆流することを防ぐことができる。第2切替位置のとき、連通口を弁体が開放することで、第2流入口からます本体内に水を流すことができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1流入口および前記第2流入口は、前記本体筒部の側部に形成されている。前記ます本体は、前記第1流入口の下端、および、前記第2流入口の下端よりも下方に離間する位置に配置された底面を有している。
【0016】
上記態様によれば、切替部材を第1切替位置に配置したとき、第2流入口からます本体内に流入した水は、ます本体の底面に落下する。ます本体の底面は、第1流入口の下端よりも下方に離間しているため、底面上の水を、第1流入口に逆流し難くすることができる。また、切替部材を第2切替位置に配置したとき、第1流入口からます本体内に流入した水は、ます本体の底面に落下する。ます本体の底面は、第2流入口の下端よりも下方に離間しているため、底面上の水は、第2流入口に逆流し難くすることができる。
【0017】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第1流入口の中心軸と、前記流出口の中心軸とが成す角度、および、前記第2流入口の中心軸と、前記流出口の中心軸とが成す角度は、鈍角である。
【0018】
上記態様によれば、第1流入口または第2流入口からます本体内に流入した水は、勢いを保った状態で、流出口に到達することができる。よって、第1流入口または第2流入口からます本体内に流入した水を、流出口を通じて外部に流し易くすることができる。
【0019】
本発明に係る排水配管システムは、上述の何れかの、ますと、排水を排出する排水設備、および、前記ますの第1流入口に接続された第1流入管路と、水が貯留された貯水手段と、前記貯水手段、および、前記ますの前記第2流入口に接続された第2流入管路と、前記ますの前記流出口に接続された流出管路と、を備えている。前記第2流入管路、または、前記流出管路には、仮設トイレが取り付け可能に構成されている。
【0020】
前記排水配管システムによれば、排水設備から排出された排水を流出管路に流すときには、ますの切替部材を第2切替位置に配置して、第2流入口に取り付ける。このことによって、第1流入口が開放されるため、排水設備から排出された排水を、第1流入管路から第1流入口を通じて流出管路に排出することができる。ここでは、切替部材には通過許可手段が設けられているため、切替部材が第2切替位置に配置されているとき、通過許可手段によって、第1流入口からます本体内に流入した排水が、第2流入口に逆流することを防ぎつつ、例えば第2流入管路を水が流れる場合、第2流入管路を流れる水を第2流入口からます本体内に流入させることができる。また、例えば仮設トイレを取り付けた場合には、ますの切替部材を第1切替位置に配置して、第1流入口に取り付ける。このことによって、第2流入口が開放されるため、仮設トイレから排出された汚水を、貯水手段に貯留された水と共に、流出管路に排出することができる。ここでは、切替部材には通過許可手段が設けられているため、切替部材が第1切替位置に配置されているとき、通過許可手段によって、仮設トイレから排出された汚水が、第1流入口に逆流することを防ぐことができる。さらに、切替部材が第1切替位置に配置されているときであっても、排水設備から排出された排水を、第1流入管路から第1流入口を通じて、ます本体内に流入させることができる。
【0021】
本発明に係る、ますの切替部材は、第1流入口、第2流入口および流出口が形成された有底筒状の本体筒部と、前記本体筒部の一端に接続され、点検口が形成された点検筒部と、を有するます本体を備えた、ますにおいて、前記ます本体の前記本体筒部の内部に着脱可能な、ますの切替部材である。前記切替部材は、前記第2流入口を開放しつつ、前記第1流入口に取り付けられる第1切替位置と、前記第1流入口を開放しつつ、前記第2流入口に取り付けられる第2切替位置とに位置変更可能に構成されている。前記切替部材は、一方向に向かって流れる水を通過させ、かつ、前記一方向とは逆の他方向に向かって流れる水を塞き止める通過許可手段を備えている。前記通過許可手段は、前記切替部材が前記第1切替位置に配置されたとき、前記第1流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第1流入口に向かう水を塞き止めるように構成されている。前記通過許可手段は、前記切替部材が前記第2切替位置に配置されたとき、前記第2流入口から前記ます本体内に水を流すことが可能であり、かつ、前記ます本体内から前記第2流入口に向かう水を塞き止めるように構成されている。
【0022】
前記切替部材によれば、切替部材が第1切替位置に配置され、ますの第1流入口に取り付けられたとき、ますにおいて、第2流入口から流出口に水を流すことができる。このとき、切替部材の通過許可手段によって、ます本体内の水が第1流入口に逆流することを防ぎつつ、第1流入口からます本体内に水を流入させることができる。また、切替部材が第2切替位置に配置され、ますの第2流入口に取り付けられたとき、ますにおいて、第1流入口から流出口に水を流すことができる。このとき、切替部材の通過許可手段によって、ます本体内の水が第2流入口に逆流することを防ぎつつ、第2流入口からます本体内に水を流入させることができる。このように、切替部材の通過許可手段によって、切替部材を取り付けた流入口から水がます本体に流入することが可能でありつつ、切替部材を取り付けた流入口に水が逆流することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1流入口、第2流入口および流出口が形成されたます本体と、第1流入口および第2流入口に対して選択的に取り付け可能な切替部材と、を備えた、ますにおいて、切替部材を取り付けた流入口からます本体に、水が流入することが可能でありつつ、切替部材を取り付けた流入口に水が逆流することを防ぐことが可能な、ます、排水配管システム、および、ますの切替部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した平面図である。
【
図2】実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した正面図である。
【
図3】実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した正面図である。
【
図4】実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した側面図である。
【
図6】実施形態に係る、ますの平面図であり、切替部材が第1切替位置に配置された状態を示す図である。
【
図7】実施形態に係る、ますの平面図であり、切替部材が第2切替位置に配置された状態を示す図である。
【
図8】
図6のVIII-VIII断面における、ますの断面図である。
【
図9】
図7のIX-IX断面における、ますの断面図である。
【
図10】
図7のX-X断面における、ますの断面図である。
【
図12】切替部材の斜視図であり、弁体が開いている状態を示す図である。
【
図14】弁体の反対側から見た切替部材を示す図である。
【
図15】
図13のXV-XV断面における切替部材の断面図である。
【
図16】通過許可手段の弁体が連通口を開放している状態を示す
図8相当図である。
【
図17】通過許可手段の弁体が連通口を開放している状態を示す
図9相当図である。
【
図18】通過許可手段の弁体における切替本体側を示す図である。
【
図19】他の実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した平面図である。
【
図20】他の実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した正面図である。
【
図21】他の実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した平面図である。
【
図22】他の実施形態に係る、ますを模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る、ますを備えた排水配管システムの実施の形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0026】
<実施形態>
図1は、本実施形態に係る排水配管システム1を模式的に示した平面図である。
図2および
図3は、本実施形態に係る排水配管システム1を模式的に示した正面図である。
図3では、排水配管システム1に仮設トイレ4を取り付けた状態が示されている。
図4は、本実施形態に係る排水配管システム1を模式的に示した側面図である。
【0027】
本実施形態に係る、ます50は、水の流路を切り替えることが可能なものである。本実施形態では、ます50は、排水の流路を切り替えることが可能である。ます50は、排水配管システム1に備えられており、排水配管システム1を流れる排水の流路を切り替えることが可能である。
図1に示すように、排水配管システム1は、通常時には、建物5内の排水設備6から下水本管8に向かって排水を排出する。一方、地震などの災害時には、排水配管システム1は、
図3に示すように、仮設トイレ4が設置されたシステムとして使用され、仮設トイレ4から排出された排泄物を含む汚水を下水本管8などに排出する。
【0028】
ここで、排水には、トイレ、台所の流し台、風呂などの、生活において排出される汚水や、雨水などが含まれる。排水設備6は、排水を排出する設備であり、例えばトイレ、風呂、台所の流し台などである。なお、本実施形態では、
図1に示すように、排水設備6は、建物5内に配置されているが、建物5内に配置されておらず、屋外(例えば公園)などに配置されていてもよい。
【0029】
図1に示すように、排水配管システム1は、第1流入管路10と、第2流入管路20と、流出管路30と、ます50とを備えている。
【0030】
以下の説明において、水および排水は、上流から下流に向かって流れる。上流側とは、排水設備6側または給水タンク26(
図1参照)側のことをいう。下流側とは、下水本管8側のことをいう。
【0031】
第1流入管路10、第2流入管路20および流出管路30は、地中に埋設されている。
図1に示すように、第1流入管路10は、排水設備6から排出された排水を流出管路30へ流す管路である。第1流入管路10の下流端は、ます50に接続されている。第1流入管路10の途中部分には、複数の排水設備6が接続されている。
【0032】
本実施形態では、第1流入管路10の途中部分には、接続ます12が設けられている。接続ます12には、接続ます12よりも上流側の第1流入管路10の部分と、接続ます12よりも下流側の第1流入管路10の部分とが接続されている。また、接続ます12には、枝管路14が接続されており、枝管路14を介して排水設備6が接続されている。すなわち、枝管路14の上流端は排水設備6に接続され、枝管路14の下流端は接続ます12に接続されている。ここでは、接続ます12および枝管路14を介して、第1流入管路10と排水設備6とが連通している。
【0033】
図2に示すように、接続ます12の上端(例えば接続ます12における上方に開口した点検口(図示せず))には、上下に延びた立管15が接続されている。立管15には、蓋16が取り付けられている。なお、本実施形態では、災害時において、接続ます12には、仮設トイレ4(
図3参照)が取り付けられないが、接続ます12(詳しくは、接続ます12の点検口に接続された立管15)には、仮設トイレ4が取り付けられてもよい。
【0034】
なお、
図1に示すように、本実施形態では、第1流入管路10に接続された排水設備6の数は、5つであるが、特に限定されない。また、ここでは、1つの排水設備6に1つの接続ます12が接続されており、各排水設備6、および、各接続ます12に対して、1つの枝管路14が接続されている。しかしながら、1つの接続ます12に、複数の排水設備6が接続されていてもよく、1つの排水設備6に、複数の接続ます12が接続されていてもよい。また、1つの接続ます12に、複数の枝管路14が接続されていてもよく、1つの排水設備6に、複数の枝管路14が接続されていてもよい。
【0035】
図3に示すように、第2流入管路20は、仮設トイレ4を取り付け可能な管路である。第2流入管路20は、仮設トイレ4から排出された排泄物を含む汚水を流出管路30へ流す管路である。本実施形態では、
図1に示すように、第2流入管路20の途中部分には、トイレ用接続ます22が設けられている。
図3に示すように、トイレ用接続ます22に、仮設トイレ4が接続可能である。ここでは、トイレ用接続ます22の数は、3つであるが、特に限定されない。トイレ用接続ます22の数は、排水配管システム1に取り付けたい仮設トイレ4の数に応じて決定される。複数のトイレ用接続ます22は、等間隔になるように配置されているが、隣りのトイレ用接続ます22の間隔は、異なっていてもよい。
【0036】
本実施形態では、トイレ用接続ます22は、有底筒状のものである。
図2に示すように、トイレ用接続ます22には、上方に開口した取付口24が形成されている。この取付口24には、蓋25(
図2参照)、および、仮設トイレ4の便器4a(
図3参照)が選択的に取り付け可能である。ここでは、取付口24には、上下に延びた立管24aが接続されており、立管24aを介して、蓋25、および、仮設トイレ4の便器4aが選択的に取り付けられる。ここでは、取付口24に取り付けられるとは、取付口24に接続された立管24aに取り付けられることを意味する。例えば通常時には、
図2に示すように、取付口24には、蓋25が取り付けられ、取付口24は、蓋25によって閉鎖されている。
図3に示すように、仮設トイレ4を使用する場合には、取付口24から蓋25が取り外されて、仮設トイレ4の便器4aが取付口24に取り付けられる。仮設トイレ4から排出された汚水は、トイレ用接続ます22を通じて第2流入管路20に排出される。
【0037】
本実施形態では、第2流入管路20には、給水タンク26が接続されている。詳しくは、第2流入管路20の上流端には、給水開閉ゲート28が接続されており、給水開閉ゲート28を介して給水タンク26が接続されている。第2流入管路20の下流端には、ます50が接続されている。給水タンク26は、第2流入管路20に流す水が貯留されているタンクであり、貯水手段の一例である。給水タンク26は、第2流入管路20の上流端と繋がり、第2流入管路20の上流端から第2流入管路20内に給水するものである。給水タンク26には、例えば雨水が溜められている。しかしながら、給水タンク26には、水が溜められていればよく、例えば異物が混在されていない比較的に綺麗な水であってもよい。給水タンク26は、排水設備6とは異なるものであり、汚水を溜めるものではない。給水タンク26には、内部の水が排出される給水口27が形成されている。給水タンク26は、地中に埋設されていてもよいし、地上に配置されていてもよい。
【0038】
給水開閉ゲート28は、第2流入管路20の上流端を開閉可能に構成されている。給水開閉ゲート28によって第2流入管路20の上流端が閉鎖されることで、給水タンク26内の水が第2流入管路20に流れることを塞き止める。一方、給水開閉ゲート28によって第2流入管路20の上流端が開放されることで、給水タンク26内の水を第2流入管路20に流すことができる。なお、給水開閉ゲート28の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来において用いられた給水開閉ゲートの構成を使用することができる。給水開閉ゲート28は、作業者が手動で第2流入管路20の上流端を開閉するものであってもよいし、電気的な制御によって自動で第2流入管路20の上流端を開閉するものであってもよい。本実施形態では、給水開閉ゲート28が開放されることで、給水タンク26内の水が第2流入管路20に流れ込む。このときの水の流速によって、仮設トイレ4から排出された第2流入管路20内の汚水は、水と共に流出管路30に向かって流れる。
【0039】
図1に示すように、流出管路30は、第1流入管路10から流れてきた、排水設備6から排出された排水、および、第2流入管路20から流れてきた、仮設トイレ4から排出された汚水を下水本管8などに流す管路である。本実施形態では、流出管路30の上流端は、ます50に接続されている。流出管路30の下流端は、下水本管8に接続されている。
【0040】
なお、本実施形態では、流出管路30の途中部分には、貯留槽32が接続されている。貯留槽32は、例えば仮設トイレ4から排出された汚水などの排水を貯留する槽である。ここでは、下水本管8が破損などして、下水本管8に排水が流せないときには、貯留槽32に排水が流される。貯留槽32は、内部に密封された空間を有している。貯留槽32が密封式であることにより、貯留槽32内の汚水などの排水から発生する悪臭が外部に漏れ難くすることができる。本実施形態では、貯留槽32は地中に埋設されているが、地上に配置されていてもよい。
【0041】
本実施形態では、
図4に示すように、流出管路30の途中部分には、切替ます35が設けられている。この切替ます35に貯留槽32が接続されている。切替ます35は、排水の流路を切り替えるものである。切替ます35は、有底筒状のものである。切替ます35には、切替ます35よりも上流側の流出管路30の部分が接続された切替流入口36と、切替ます35よりも下流側の流出管路30の部分が接続された第1切替流出口37aと、貯留槽32に接続された第2切替流出口37bとが形成されている。例えば切替流入口36および第1切替流出口37aは、切替ます35の側部に形成され、側方に向かって開口している。第2切替流出口37bは、切替ます35の下部に形成され、下方に向かって開口している。第2切替流出口37bには、接続管路38を介して貯留槽32が接続されている。ここでは、接続管路38の上流端には、第2切替流出口37bが接続され、接続管路38の下流端には、貯留槽32が接続されている。
【0042】
図示は省略するが、切替ます35は、第2切替流出口37bを閉鎖可能な切替閉鎖部材を備えている。ここでは、切替閉鎖部材によって第2切替流出口37bが閉鎖されているとき、第1切替流出口37aは開放された状態になる。よって、切替閉鎖部材が第2切替流出口37bを閉鎖しているときには、流出管路30に流れてきた排水は、第1切替流出口37aを通じて下水本管8に排出される。一方、切替閉鎖部材が第2切替流出口37bを開放しているとき、流出管路30に流れてきた排水は、第1切替流出口37aに到達する前に、第2切替流出口37bに向かって流れ、第2切替流出口37bを通じて貯留槽32に排出される。
【0043】
なお、本実施形態では、流出管路30の途中部分には、下流側逆流防止弁40、および、公共ます42が設けられている。下流側逆流防止弁40は、下水本管8に排出された排水が流出管路30の上流側に逆流することを防ぐものである。ここでは、下流側逆流防止弁40は、切替ます35よりも下流側の流出管路30の部分に設けられている。公共ます42は、下流側逆流防止弁40よりも下流側の流出管路30の部分に設けられている。なお、下流側逆流防止弁40は、従来公知の逆流防止弁の機構によって構成されている。また、公共ます42は、従来公知の公共ますの機構によって構成されている。そのため、下流側逆流防止弁40および公共ます42の詳しい説明は省略する。
【0044】
次に、ます50について詳しく説明する。ます50は、排水の流路を切り替えるものであり、いわゆる切替ますである。本実施形態では、
図1に示すように、ます50は、第1流入管路10と、流出管路30との間に配置され、かつ、第2流入管路20と、流出管路30との間に配置されている。ます50は、第1流入管路10の下流端、第2流入管路20の下流端、および、流出管路30の上流端に接続されている。
【0045】
図5は、ます50の正面図である。
図6および
図7は、ます50の平面図である。
図8は、
図6のVIII-VIII断面における、ます50の断面図である。
図9は、
図7のIX-IX断面における、ます50の断面図である。
図10は、
図7のX-X断面における、ます50の断面図である。
図6に示すように、ます50は、ます本体51と、切替部材70と、通過許可手段80とを備えている。
【0046】
図8に示すように、ます本体51は、内部に空間を有する部材によって形成されている。なお、ます本体51の具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、ます本体51は、本体筒部52と、点検筒部53と、第1流入筒部54と、第2流入筒部55と、流出筒部56(
図6参照)とを有している。なお、以下の説明では、ます本体51の中心C1(
図6参照)に近づく側を内側と称し、ます本体51の中心C1から遠ざかる側を外側と称する。
【0047】
図8に示すように、本体筒部52は、上下に延びた有底筒状のものである。本実施形態では、本体筒部52は、底面57を有する底壁部58と、底壁部58から起立した側壁部59とを有している。底面57は、底壁部58の上面を構成しており、ます本体51の内側に配置されている。底面57は、中心C1(
図6参照)に向かうにしたがって下方に凹んだ形状を有している。ここでは、底面57は、下方に凹んだ湾曲面である。側壁部59は、底壁部58の端から上方および下方に向かって延びている。側壁部59は、円筒状の形状を有している。
【0048】
本実施形態では、
図8に示すように、ます本体51の本体筒部52には、第1流入口61、第2流入口62および流出口63(
図10参照)が形成されている。第1流入口61および第2流入口62は、ます本体51内に水(ここでは排水)が流入する部分であり、
図10に示すように、流出口63は、ます本体51内の水(ここでは排水)が流出する部分である。ここでは、ます60の外部の排水が、第1流入口61または第2流入口62を通じてます本体51内に流入する。ます本体51内の排水は、流出口63を通じて、ます60の外部へ流出する。
【0049】
本体筒部52に対する第1流入口61、第2流入口62および流出口63の形成位置は、特に限定されない。ここでは、
図8に示すように、第1流入口61および第2流入口62は、本体筒部52の側部に形成されている。詳しくは、第1流入口61および第2流入口62は、本体筒部52の側壁部59に形成され、側方に向かって開口している。
図6に示すように、第1流入口61と第2流入口62は、互いに対向しており、平面視において、ます本体51の中心C1を挟んで互いに向き合っている。例えば平面視において、第1流入口61の中心軸L1と、第2流入口62の中心軸L2とが一致するように、第1流入口61および第2流入口62は配置されている。すなわち、中心軸L1と中心軸L2とが成す角度は、180度である。
【0050】
ただし、第1流入口61と第2流入口62とは、互いに向き合っていなくてもよい。第1流入口61の中心軸L1と、第2流入口62の中心軸L2とは、平面視において一致せずに、交差していてもよい。
【0051】
本実施形態では、第1流入口61と第2流入口62とは、同じ大きさ、同じ面積、および、同じ形状である。ただし、第1流入口61と第2流入口62とは、大きさが異なっていてもよい。ここでは、第1流入口61および第2流入口62は、円形状(例えば真円形状)であるが、第1流入口61および第2流入口62の形状は特に限定されない。
図8に示すように、第1流入口61と第2流入口62は、同じ高さであるが、異なっていてもよい。ここでは、第1流入口61および第2流入口62は、底面57から離間した位置に形成されている。底面57は、第1流入口61の下端よりも下方に離間する位置に配置され、かつ、第2流入口62の下端よりも下方に離間する位置に配置されている。
【0052】
本実施形態では、
図10に示すように、流出口63は、本体筒部52の側部に形成されている。詳しくは、流出口63は、本体筒部52の側壁部59に形成され、側方に向かって開口している。ここでは、流出口63は、第1流入口61および第2流入口62よりも低い位置に配置されている。流出口63の下端は、本体筒部52の底壁部58の底面57の一部(ここでは、底面57のうち最も下方に位置する部分)と面一になるように構成されている。ただし、流出口63は、本体筒部52の底壁部58に形成され、下方に向かって開口していてもよい。
【0053】
本実施形態では、流出口63は、第1流入口61および第2流入口62と同じ大きさであり、面積が同じである。ただし、流出口63は、第1流入口61および第2流入口62よりも小さく、かつ、面積が小さくてもよく、第1流入口61および第2流入口62よりも大きく、かつ、面積が大きくてもよい。流出口63は、円形状(例えば真円形状)であるが、流出口63の形状も特に限定されない。本実施形態では、
図6に示すように、流出口63の中心軸L3は、平面視において、第1流入口61の中心軸L1、および、第2流入口62の中心軸L2と交差している。ここでは、中心軸L3と中心軸L1とが成す角度、および、中心軸L3と中心軸L2とが成す角度は、90度であるが、これら角度は特に限定されるものではない。
【0054】
図8に示すように、点検筒部53は、筒状のものであり、本体筒部52の上方において上下に延びている。点検筒部53は、本体筒部52の一端(ここでは上端)に接続されている。詳しくは、点検筒部53は、本体筒部52の側壁部59の上端に接続されており、側壁部59から上方に延びている。点検筒部53には、上方に開口した点検口64が形成されている。
図2に示すように、例えば点検口64には、上下に延びた立管66が接続されており、立管66には、蓋67が取り付けられている。点検口64には、立管66を介して蓋67が取り付けられている。本実施形態では、
図8に示すように、点検筒部53は、本体筒部52と単一の部材であるが、本体筒部52とは別部材であり、本体筒部52に組み付けられるものであってもよい。
【0055】
図6に示すように、第1流入筒部54および第2流入筒部55は、それぞれ側方に延びている。
図8に示すように、第1流入筒部54は、本体筒部52の側壁部59の外周面から外側に向かって延びており、第1流入口61と繋がっている。第1流入筒部54には、第1流入管路10が接続されている。ここでは、第1流入口61は、第1流入筒部54を介して第1流入管路10の下流端に接続されている。第2流入筒部55は、本体筒部52の側壁部59の外周面から外側に向かって延びており、第2流入口62と繋がっている。第2流入筒部55には、第2流入管路20が接続されている。ここでは、第2流入口62は、第2流入筒部55を介して第2流入管路20の下流端に接続されている。本実施形態では、
図6に示すように、第1流入筒部54と第2流入筒部55とは、平面視において、ます本体51の中心C1を挟んで互いに向かい合っている。
【0056】
流出筒部56は、側方に延びており、側壁部59の外周面から外側に向かって延びている。
図10に示すように、流出筒部56は、流出口63と繋がっている。流出筒部56には、流出管路30が接続されている。ここでは、流出口63は、流出筒部56を介して流出管路30の上流端が接続されている。
図5に示すように、流出筒部56は、第1流入筒部54および第2流入筒部55よりも低い位置に配置されている。
【0057】
本実施形態では、
図8に示すように、第1流入筒部54および第2流入筒部55は、それぞれ本体筒部52と別体であり、本体筒部52に組み付けられている。しかしながら、第1流入筒部54および第2流入筒部55は、本体筒部52と単一の部材であってもよい。本実施形態では、
図10に示すように、流出筒部56は、本体筒部52と単一の部材である。しかしながら、流出筒部56は、本体筒部52とは別体であり、本体筒部52に組み付けられてもよい。
【0058】
本実施形態では、
図6に示すように、ます本体51は、第1スライド溝66と、第2スライド溝67とを有している。第1スライド溝66は、本体筒部52の内周面に設けられている。
図10に示すように、第1スライド溝66は、上下に延びている。ここでは、第1スライド溝66は、第1流入口61を挟むように一対設けられている。詳しくは、
図7に示すように、本体筒部52の内周面のうちの第1流入口61の周囲の部分には、第1内周面部68が設けられている。第1内周面部68は、第1流入口61に嵌め込まれる筒状の第1嵌合筒部68a(
図9参照)と、第1嵌合筒部68aにおける、ます本体51の中心C1側の端部から第1嵌合筒部68aの外方に延びた第1フランジ面部68b(
図7参照)とを有している。
図7に示すように、第1フランジ面部68bは、本体筒部52の内周面(ここでは側壁部59(
図8参照)の内周面)に沿って湾曲した形状を有している。平面視における第1フランジ面部68bの両端部の内側の面に、第1スライド溝66が形成されている。
【0059】
図6に示すように、第2スライド溝67は、本体筒部52の内周面に設けられている。
図8に示すように、第2スライド溝67は、第1スライド溝66と同様に、上下に延びている。ここでは、
図6に示すように、第2スライド溝67は、第2流入口62を挟むように一対設けられている。本実施形態では、本体筒部52の内周面のうちの第2流入口62の周囲の部分には、第2内周面部69が設けられている。第2内周面部69は、上述の第1内周面部68と同様の構成である。すなわち、第2内周面部69は、第2流入口62に嵌め込まれる筒状の第2嵌合筒部69a(
図8参照)と、第2嵌合筒部69aにおける、ます本体51の中心C1側の端部から第2嵌合筒部69aの外方に延びた第2フランジ面部69b(
図6参照)とを有している。
図6に示すように、第2フランジ面部69bは、本体筒部52の内周面に沿って湾曲した形状を有している。平面視における第2フランジ面部69bの両端部の内側の面に、第2スライド溝67が形成されている。
【0060】
次に、本実施形態に係る切替部材70について説明する。切替部材70は、ます本体51内において、排水の流路を切り替える部材である。ここでは、切替部材70は、ます本体51内に排水を流入させる際の主となる流路を切り替えるための部材である。
図6および
図7に示すように、切替部材70は、ます本体51の内部に着脱可能に構成されている。切替部材70は、ます本体51内において、第1切替位置P1と、第2切替位置P2とに位置変更可能である。
図6および
図8では、切替部材70が第1切替位置P1に配置された状態が示されている。
図7および
図9では、切替部材70が第2切替位置P2に配置された状態が示されている。
【0061】
ここでは、切替部材70は、第1流入口61および第2流入口62に対して選択的に取り付け可能に構成されている。ここで、切替部材70を第1流入口61に取り付けるとは、ます本体51内の排水が第1流入口61に逆流しないように切替部材70を配置することをいう。切替部材70を第2流入口62に取り付けるとは、ます本体51内の排水が第2流入口62に逆流しないように切替部材70を配置することをいう。
【0062】
図8に示すように、第1切替位置P1とは、第1流入口61に取り付けられるときの、ます本体51に対する切替部材70の位置のことである。切替部材70が第1切替位置P1のとき、第2流入口62は開放された状態になり、第2流入口62からます本体51内に積極的に排水が流入する。また、第1切替位置P1のとき、詳しくは後述するが、通過許可手段80によって、ます本体51から第1流入口61に向かう排水を塞き止めつつ、第1流入口61からます本体51内に排水を流すことが可能な状態になる。
【0063】
図9に示すように、第2切替位置P2とは、第2流入口62に取り付けられるときの、ます本体51に対する切替部材70の位置のことである。切替部材70が第2切替位置P2のとき、第1流入口61は開放された状態になり、第1流入口61からます本体51内に積極的に排水が流入する。また、第2切替位置P2のとき、詳しくは後述するが、通過許可手段80によって、ます本体51から第2流入口62に向かう排水を塞き止めつつ、第2流入口62からます本体51内に排水を流すことが可能な状態になる。
【0064】
図11および
図12は、切替部材70の斜視図である。
図13は、弁体81側から見た切替部材70を示す図である。
図14は、弁体81の反対側から見た切替部材70を示す図である。
図15は、
図13のXV-XV断面における切替部材70の断面図である。
【0065】
本実施形態では、
図11に示すように、切替部材70は、切替本体71を有している。切替本体71は、円筒状のものである。
図12に示すように、切替本体71には、連通口75が形成されている。
図8に示すように、切替部材70を、ます本体51の本体筒部52に装着したときにおいて、連通口75は、側方に開口している。連通口75は、切替部材70が第1切替位置P1に配置されたとき、第1流入口61と連通する。また、
図9に示すように、連通口75は、切替部材70が第2切替位置P2に配置されたとき、第2流入口62と連通する。
【0066】
本実施形態では、切替部材70は、ます本体51に対して上下にスライドすることで、第1切替位置P1に配置されたり、第2切替位置P2に配置されたりすることができる。
図11に示すように、切替部材70は、スライド突起72を有している。スライド突起72は、切替部材70がます本体51に対してスライドする際に、使用されるものである。スライド突起72は、上下に延びている。ここでは、
図6に示すように、スライド突起72は、ます本体51の第1スライド溝66に係合し、第1スライド溝66に対してスライド可能である。例えば切替部材70を第1切替位置P1に配置しようとするときに、スライド突起72が第1スライド溝66に対してスライドすることで、切替部材70が第1流入口61に取り付けられ、第1切替位置P1に配置される。
図7に示すように、スライド突起72は、ます本体51の第2スライド溝67に係合し、第2スライド溝67に対してスライド可能である。切替部材70を第2切替位置P2に配置しようとするときに、スライド突起72が第2スライド溝67に対してスライドすることで、切替部材70が第2流入口62に取り付けられ、第2切替位置P2に配置される。
【0067】
スライド突起72の数は特に限定されないが、ここでは第1スライド溝66の数、または、第2スライド溝67の数と同じ2つである。スライド突起72は、切替本体71を挟むように一対設けられている。本実施形態では、切替部材70は、スライド面部73を有している。スライド面部73は、切替部材70がます本体51に対して上下にスライドする際に、ます本体51の本体筒部52の内周面に沿ってスライドする。ここでは、
図6に示すように、切替部材70を第1切替位置P1に配置しようとするときに、スライド面部73は、第1スライド溝66が形成された第1内周面部68の第1フランジ面部68bに接触しながらスライドする。
図7に示すように、切替部材70を第2切替位置P2に配置しようとするときに、スライド面部73は、第2スライド溝67が形成された第2内周面部69の第2フランジ面部69bに接触しながらスライドする。
【0068】
スライド面部73は、筒状の切替本体71における本体筒部52の内周面側の端部に設けられており、切替本体71の外周面から、切替本体71の外方に延びている。スライド面部73は、本体筒部52の内周面(言い換えると、第1内周面部68の第1フランジ面部68b、および、第2内周面部69の第2フランジ面部69b)に対応した湾曲形状を有している。本実施形態では、スライド突起72は、平面視におけるスライド面部73の両端部(ここでは、水平方向における両端部)における本体筒部52の内周面側の面に設けられている。
【0069】
本実施形態では、
図14に示すように、切替部材70は、シール部材76を有している。
図8に示すように、シール部材76は、ます本体51と切替部材70との間から排水が漏れることを抑制するものである。シール部材76は、ます本体51の本体筒部52の内周面と、切替部材70(例えば切替本体71)との間に配置されている。ここでは、
図14に示すように、シール部材76は、連通口75を囲むようにして、スライド面部73における本体筒部52の内周面側の面に設けられている。ただし、シール部材76は、ます本体51の本体筒部52の内周面に設けられてもよい。シール部材76は環状である。シール部材76を形成する材料は特に限定されないが、例えばシール部材76は、弾性部材によって形成されており、例えばゴム製である。
【0070】
本実施形態では、切替部材70は、持ち手77を有している。持ち手77は、作業者が手で掴むものである。作業者は、持ち手77を掴んで切替部材70を移動させることで、切替部材70を第1切替位置P1に配置したり、第2切替位置P2に配置したりすることができる。ここでは、持ち手77は、スライド面部73の上端に設けられており、スライド面部73から上方に延びている。持ち手77の形状は特に限定されないが、ここでは、上方に凸となるコの字状に形成されている。
【0071】
次に、本実施形態に係る通過許可手段80について説明する。
図11に示すように、通過許可手段80は、切替部材70に設けられるものである。
図8および
図9に示すように、通過許可手段80は、一方向に向かって流れる排水を通過させ、かつ、一方向とは逆の他方向に向かって流れる排水を塞き止めるものである。本実施形態では、一方向とは、第1流入口61または第2流入口62から、ます本体51内に向かう方向のことである。他方向とは、ます本体51内から第1流入口61または第2流入口62に向かう方向のことである。ここでは、通過許可手段80は、切替部材70の位置に応じて、ます本体51内から第1流入口61または第2流入口62に向かう排水を塞き止める。
【0072】
図16、
図17は、それぞれ通過許可手段80の弁体81が連通口75を開放している状態を示す
図8相当図、
図9相当図である。本実施形態では、通過許可手段80は、
図8に示すように、切替部材70が第1切替位置P1のとき、ます本体51内から第1流入口61に向かう排水を塞き止め、かつ、
図16に示すように、第1流入口61からます本体51内に排水を流すことを可能にするように構成されている。また、通過許可手段80は、
図9に示すように、切替部材70が第2切替位置P2のとき、ます本体51内から第2流入口62に向かう排水を塞き止め、かつ、
図17に示すように、第2流入口62からます本体51内に排水を流すことを可能にするように構成されている。
【0073】
図18は、通過許可手段80の弁体81における切替本体71側を示す図である。本実施形態では、
図11に示すように、通過許可手段80は、弁体81と、回転軸82と、逆流防止シール部材83(
図18参照)を有している。
図11および
図12に示すように、弁体81は、切替部材70の連通口75を開閉可能に構成されている。
図6に示すように、弁体81は、切替部材70の外側(ここでは、ます本体51の中心C1側)から連通口75を開閉可能であり、切替本体71(詳しくは、切替本体71におけるます本体51の中心C1側の端部71a)に当接可能である。弁体81は、連通口75よりも大きい形状を有している。そのため、弁体81が切替本体71の端部71aに当接したときには、連通口75は閉鎖される。本実施形態では、排水配管システム1に排水が流れていない状態において、弁体81は、連通口75を閉鎖するように構成されている。
【0074】
図15に示すように、弁体81は、凹部85を有している。凹部85は、弁体81に形成されており、連通口75側に凹んでいる。凹部85の形状は特に限定されないが、ここでは円錐台形状である。円錐台形状の凹部85において、対向する2つの平面のうち、小さい方の平面が、大きい方の平面に対して下方に偏心している。
【0075】
本実施形態では、
図11および
図12に示すように、弁体81は、切替部材70に対して回転することで、連通口75を開閉可能である。ここでは、弁体81は、回転軸82を中心に回転可能に構成されている。回転軸82は、連通口75の周囲に位置する切替本体71の部分に設けられている。ここでは、回転軸82は、切替本体71の端部71aに設けられ、詳しくは端部71aの上部であって、連通口75の上方に設けられている。
図13に示すように、回転軸82は、水平方向に延びている。回転軸82は、弁体81の上端部に接続されている。そのため、
図12に示すように、弁体81は、上端部を軸にして回転する。ここでは、弁体81は、上向きに回転することで、連通口75を開放する。
【0076】
図15に示すように、逆流防止シール部材83は、弁体81が切替部材70の連通口75を閉鎖しているとき、切替部材70(詳しくは切替本体71)と弁体81との間から排水が漏れることを抑制するものである。逆流防止シール部材83は、連通口75の周囲に位置する切替本体71(ここでは、切替本体71の端部71a)と、弁体81との間に配置されている。ここでは、逆流防止シール部材83は、弁体81が連通口75を閉鎖しているときにおいて、連通口75を囲むようにして、弁体81における切替部材70側の面に設けられている。ただし、逆流防止シール部材83は、切替本体71に設けられてもよい。
図18に示すように、逆流防止シール部材83は環状である。逆流防止シール部材83を形成する材料は特に限定されない。ここでは、逆流防止シール部材83は、シール部材76と同様に、弾性部材によって形成されており、例えばゴム製である。
【0077】
本実施形態では、
図15に示すように、弁体81における切替部材70側の面には、切替部材70に向かって突出したフランジ86が設けられている。フランジ86は、円筒状であり、弁体81が連通口75を閉鎖しているとき、連通口75に挿入される。そのため、円筒状のフランジ86の外径は、連通口75の直径よりも若干小さい。
図18に示すように、逆流防止シール部材83は、フランジ86を外側から囲むようにして配置されている。
【0078】
本実施形態において、ます50を形成する材料は特に限定されない。ここで、ます50を形成する材料とは、ます本体51、切替部材70および通過許可手段80を構成する部材に対する材料のことをいい、上述のように弾性部材(例えばゴム)によって形成された部材(例えばシール部材76、逆流防止シール部材83など)以外の部材を形成する材料のことをいう。本実施形態では、ます50を形成する材料は、樹脂材料である。ここで、樹脂材料として、塩化ビニル樹脂またはポリプロピレン樹脂などが挙げられる。塩化ビニル樹脂の中でも、硬質塩化ビニル樹脂を、ます50を形成する材料として好適に用いることができる。
【0079】
以上、本実施形態に係る排水配管システム1の構成について説明した。次に、排水配管システム1の使用方法について説明する。排水配管システム1は、通常時と、地震などの災害時とで使用方法が異なる。通常時、排水配管システム1は、
図1に示すように、排水設備6から排出された排水を、下水本管8に主に流すように構成されている。災害時、排水配管システム1は、仮設トイレ4(
図3参照)から排出された排泄物を含む汚水を、下水本管8または貯留槽32に選択的に主に流すように構成されている。
【0080】
まず通常時における排水配管システム1の使用方法について説明する。通常時、排水設備6が使用され、かつ、給水タンク26は基本的には使用されない。すなわち、通常時、第1流入管路10が主に使用され、第2流入管路20は基本的には使用されない。そのため、通常時では、
図7に示すように、ます50において、切替部材70を第2流入口62に取り付けて、第2切替位置P2に配置する。このことで、
図9に示すように、切替部材70の連通口75が、通過許可手段80の弁体81によって閉鎖されることで、第2流入口62が閉鎖された状態になる。
【0081】
通常時、流出管路30の途中部分に設けられた切替ます35(
図4参照)において、切替閉鎖部材によって切替ます35の第2切替流出口37b(
図4参照)が閉鎖される。そのため、通常時、第2切替流出口37bに接続された貯留槽32には、排水が排出されないように構成されている。また、通常時では、
図2に示すように、トイレ用接続ます22の取付口24には、仮設トイレ4が取り付けられておらず、取付口24には、蓋25が取り付けられている。
【0082】
図1に示すように、通常時、排水設備6から排出された排水は、枝管路14を通じて第1流入管路10に排出される。第1流入管路10に排出された排水は、
図7に示すように、ます50の第1流入口61から、ます本体51内に流れる。ます50では、切替部材70が第2流入口62に取り付けられており、ます本体51内の排水が、通過許可手段80の弁体81を、切替部材70の連通口75に押し付ける状態になる。そのため、
図9に示すように、弁体81によって第2流入口62が閉鎖されるため、ます本体51内の排水は、第2流入口62には流れずに、流出口63に流れ、
図1に示す流出管路30に流出する。その後、排水は、
図4に示すように、切替ます35において、切替流入口36から第1切替流出口37aに向かって流れる。切替ます35において第1切替流出口37aから排出された排水は、公共ます42を通じて下水本管8に排出される。
【0083】
なお、本実施形態では、通常時において、第2流入管路20は基本的には使用されないが、例えば第2流入管路20を点検、または清掃するときなどにおいて、第2流入管路20に水(例えば給水タンク26に貯水された水)を流すことがあり得る。本実施形態では、通常時、
図7に示すように、ます50において、切替部材70は第2切替位置P2に配置され、第2流入口62に取り付けられた状態になる。このような状態において、第2流入管路20に水が流れると、水の流速によって、
図17に示すように、切替部材70の連通口75を閉鎖している弁体81が押される。このとき、弁体81は、回転軸82を中心に上方に向かって回転することで、連通口75が開放される。このことによって、第2流入管路20内の水は、第2流入口62、および、開放された連通口75を通じて、ます本体51に流れ、流出口63および流出管路30を通じて下水本管8(
図1参照)に排出される。このように、本実施形態では、通常時、第2流入管路20に水が流れた場合であっても、水は、第2流入管路20に留まり難く、下水本管8に向かって流すことができる。
【0084】
次に、災害時における排水配管システム1の使用方法について説明する。災害時には、仮設トイレ4(
図3参照)が使用される。そのため、
図3に示すように、トイレ用接続ます22の取付口24から蓋25(
図2参照)が取り外され、取付口24には、仮設トイレ4の便器4aが取り付けられる。災害時において、給水タンク26内の水は適宜使用され、給水タンク26内の水を第2流入管路20に流す際には、給水開閉ゲート28は、第2流入管路20の上流端を開放する。
【0085】
災害時では、第2流入管路20が主に使用され、第1流入管路10は、必要に応じて使用される程度のものである。ここでは、災害時、
図6に示すように、ます50において、切替部材70を第1流入口61に取り付けて、第1切替位置P1に配置する。このことで、
図8に示すように、切替部材70の連通口75が、通過許可手段80の弁体81によって閉鎖されることで、第1流入口61が閉鎖された状態になる。
【0086】
図3に示すように、災害時において、仮設トイレ4が設置されたとき、給水開閉ゲート28によって第2流入管路20の上流端は閉鎖された状態である。そのため、仮設トイレ4から排出された汚水は、第2流入管路20に排出され、排出された汚水の少なくとも一部、例えば汚水に含まれる便などの排泄物は、第2流入管路20内に留まった状態になる。
【0087】
第2流入管路20内に留まった汚水を流出管路30に排出させるとき、給水開閉ゲート28によって第2流入管路20の上流端を開放することで、給水タンク26から第2流入管路20に水を流すことができる。このことによって、第2流入管路20に溜まった汚水は、給水タンク26からの水と共に、
図6に示すように、ます50の第2流入口62を通じて、ます本体51内に流れる。ここで、ます50では、切替部材70が第1流入口61に取り付けられており、ます本体51内の汚水が、通過許可手段80の弁体81を、切替部材70の連通口75に押し付ける状態になる。そのため、
図8に示すように、弁体81によって第1流入口61が閉鎖されるため、ます本体51内の汚水は、第1流入口61には流れずに、流出口63に流れ、流出管路30に流出する。
【0088】
図1に示すように、災害時において、流出管路30に流出した汚水は、下水本管8に排出されてもよいし、貯留槽32に排出されてもよい。例えば、災害時に下水本管8が破損していない場合には、仮設トイレ4から排出された汚水は、下水本管8に排出される。このとき、流出管路30の途中部分に設けられた切替ます35において、切替閉鎖部材によって切替ます35の第2切替流出口37b(
図4参照)が閉鎖される。そのため、仮設トイレ4から排出された汚水は、切替ます35の第1切替流出口37aを通じて下水本管8に排出される。
【0089】
一方、災害時に下水本管8が破損などした場合には、仮設トイレ4から排出された汚水を、貯留槽32に排出させる。このとき、流出管路30の途中部分に設けられた切替ます35において、切替閉鎖部材を第2切替流出口37bから取り外して、第2切替流出口37bを開放する。このことで、仮設トイレ4から排出された汚水は、切替ます35の第2切替流出口37bを通じて貯留槽32に排出される。
【0090】
なお、本実施形態では、災害時において、第1流入管路10を使用することが可能である。すなわち、災害時において、排水設備6を使用することが可能であり、排水設備6から排出された排水を、流出管路30に流すことが可能である。本実施形態では、災害時、
図8に示すように、ます50において、切替部材70は第1切替位置P1に配置され、第1流入口61に取り付けられた状態になる。このような状態において、排水設備6から第1流入管路10に排水が排出されると、排水の流速によって、第1流入口61に取り付けられた切替部材70の連通口75を閉鎖している弁体81が押される。このとき、
図16に示すように、弁体81は、回転軸82を中心に上方に向かって回転することで、連通口75が開放される。このことによって、第1流入管路10内の排水は、第1流入口61、および、開放された連通口75を通じて、ます本体51に流れる。その後、排水は、流出口63を通じて流出管路30に流れ、下水本管8または貯留槽32に排出される。このように、本実施形態では、災害時、排水設備6を使用することができる。
【0091】
以上、本実施形態では、
図6に示すように、ます50は、ます本体51と、切替部材70と、通過許可手段80とを備えている。
図8および
図10に示すように、ます本体51は、第1流入口61、第2流入口62および流出口63が形成された有底筒状の本体筒部52と、本体筒部52の一端(ここでは上端)に接続され、点検口64が形成された点検筒部53とを有している。切替部材70は、本体筒部52の内部に着脱可能である。切替部材70は、
図8に示すように、第2流入口62を開放しつつ、第1流入口61に取り付けられる第1切替位置P1と、
図9に示すように、第1流入口61を開放しつつ、第2流入口62に取り付けられる第2切替位置P2とに位置変更可能なものである。通過許可手段80は、切替部材70に設けられている。通過許可手段80は、
図16に示すように、切替部材70が第1切替位置P1に配置されたとき、第1流入口61からます本体51内に水(ここでは排水)を流すことが可能であり、かつ、
図8に示すように、ます本体51内から第1流入口61に向かう排水を塞き止めるように構成されている。また、通過許可手段80は、
図17に示すように、切替部材70が第2切替位置P2に配置されたとき、第2流入口62からます本体51内に水(ここでは排水)を流すことが可能であり、かつ、
図9に示すように、ます本体51内から第2流入口62に向かう排水を塞き止めるように構成されている。
【0092】
このことによって、
図8に示すように、切替部材70が第1切替位置P1に配置され、第1流入口61に取り付けられたとき、第2流入口62から流出口63に排水を流すことができる。このとき、通過許可手段80によって、ます本体51内の排水が第1流入口61に逆流することを防ぎつつ、
図16に示すように、第1流入口61からます本体51内に排水を流入させることができる。また、
図9に示すように、切替部材70が第2切替位置P2に配置され、第2流入口62に取り付けられたとき、第1流入口61から流出口63に排水を流すことができる。このとき、通過許可手段80によって、ます本体51内の排水が第2流入口62に逆流することを防ぎつつ、
図17に示すように、第2流入口62からます本体51内に水を流入させることができる。このように、切替部材70に通過許可手段80が設けられることによって、切替部材70を取り付けた流入口61、62から排水がます本体51に流入することが可能でありつつ、切替部材70を取り付けた流入口61、62に排水が逆流することを防ぐことができる。
【0093】
図1に示すように、本実施形態に係る排水配管システム1は、ます50と、第1流入管路10と、水が貯留される貯水手段の一例である給水タンク26と、第2流入管路20と、流出管路30とを備えている。第1流入管路10は、排水を排出する排水設備6、および、ます50の第1流入口61に接続されている。第2流入管路20は、給水タンク26、および、ます50の第2流入口62に接続されている。流出管路30は、ます50の流出口63に接続されている。ここでは、
図3に示すように、第2流入管路20には、仮設トイレ4が取り付け可能に構成されている。
【0094】
このことによって、通常時、排水設備6から排出された排水を流出管路30に流すときには、
図9に示すように、ます50の切替部材70を第2切替位置P2に配置して、第2流入口62に取り付ける。このことによって、第1流入口61が開放されるため、排水設備6から排出された排水を、第1流入管路10から第1流入口61を通じて流出管路30に排出することができる。ここでは、切替部材70には通過許可手段80が設けられている。そのため、切替部材70が第2切替位置P2に配置されているとき、通過許可手段80によって、第1流入口61からます本体51内に流入した排水が、第2流入口62に逆流することを防ぎつつ、例えば第2流入管路20を清掃するために、第2流入管路20を水が流れる場合、
図17に示すように、第2流入管路20を流れる水を第2流入口62からます本体51内に流入させることができる。
【0095】
また、災害時に、
図3に示すように、仮設トイレ4を第2流入管路20に取り付けた場合には、
図8に示すように、ます50の切替部材70を第1切替位置P1に配置して、第1流入口61に取り付ける。このことによって、第2流入口62が開放されるため、仮設トイレ4から排出された汚水を、給水タンク26に貯留された水と共に、流出管路30に排出することができる。ここでは、切替部材70には通過許可手段80が設けられているため、切替部材70が第1切替位置P1に配置されているとき、通過許可手段80によって、仮設トイレ4から排出された汚水が、第1流入口61に逆流することを防ぐことができる。さらに、
図16に示すように、切替部材70が第1切替位置P1に配置されているときであっても、排水設備6から排出された排水を、第1流入管路10から第1流入口61を通じて、ます本体51内に流入させることができる。
【0096】
本実施形態では、切替部材70は、
図8および
図9に示すように、第1切替位置P1のときに第1流入口61と連通し、かつ、第2切替位置P2のときに第2流入口62と連通する連通口75が形成された切替本体71を有している。通過許可手段80は、切替部材70の外側から連通口75を開閉可能であり、かつ、切替本体71に当接可能な弁体81を有している。このことによって、
図8に示すように、第1切替位置P1のとき、第1流入口61と連通する連通口75を弁体81が閉鎖することで、ます本体51から第1流入口61に排水が逆流することを防ぐことができる。
図16に示すように、第1切替位置P1のとき、連通口75を弁体81が開放することで、第1流入口61からます本体51内に排水を流すことができる。同様に、
図9に示すように、第2切替位置P2のとき、第2流入口62と連通する連通口75を弁体81が閉鎖することで、ます本体51から第2流入口62に排水が逆流することを防ぐことができる。
図17に示すように、第2切替位置P2のとき、連通口75を弁体81が開放することで、第2流入口62からます本体51内に排水を流すことができる。
【0097】
本実施形態では、
図12に示すように、通過許可手段80は、連通口75の周囲に位置する切替本体71の部分に設けられた回転軸82を有している。弁体81は、回転軸82に設けられ、回転軸82を中心に回転可能に構成されている。このことによって、弁体81は、回転軸82を中心に回転するという簡単な構成で、連通口75を開放したり閉鎖したりすることを容易に実現することができる。
【0098】
本実施形態では、
図15に示すように、弁体81は、連通口75側に凹んだ凹部85を有している。このことによって、ます本体51内の排水の流れによって、弁体81が連通口75に向かって押し付けられることで、弁体81が連通口75を閉鎖することができる。ここでは、弁体81に凹部85が形成されていることによって、弁体81における、ます本体51内の排水との接触面積を大きくすることができる。よって、ます本体51内の水の流れによって、弁体81が連通口75に容易に押し付けられるため、弁体81が連通口75を容易に閉鎖することができる。
【0099】
本実施形態では、
図15に示すように、通過許可手段80は、弁体81が連通口75を閉鎖しているときに、切替本体71と、弁体81との間に配置された逆流防止シール部材83を有している。このような逆流防止シール部材83によって、切替本体71と弁体81との間から排水が漏れることを抑制することができる。
【0100】
本実施形態では、
図8に示すように、切替部材70は、ます本体51の本体筒部52の内周面と、切替本体71との間に配置されたシール部材76を有している。このようなシール部材76によって、本体筒部52の内周面と、切替本体71との間から排水が漏れることを抑制することができる。
【0101】
本実施形態では、ます本体51は、
図9に示すように、本体筒部52の内周面に設けられ、上下に延びた第1スライド溝66、および、
図8に示すように、上下に延びた第2スライド溝67を有している。
図6に示すように、切替部材70は、第1切替位置P1に配置されるときに、第1スライド溝66に対してスライド可能であり、
図7に示すように、第2切替位置P2に配置されるときに、第2スライド溝67に対してスライド可能なスライド突起72を有している。このことによって、
図6に示すように、スライド突起72を第1スライド溝66に対してスライドさせることで、切替部材70をます本体51に対して上下にスライドさせて、切替部材70を第1切替位置P1に配置することができる。また、
図7に示すように、スライド突起72を第2スライド溝67に対してスライドさせることで、切替部材70をます本体51に対して上下にスライドさせて、切替部材70を第2切替位置P2に配置することができる。
【0102】
本実施形態では、切替部材70は、ます本体51の本体筒部52の内周面に沿った形状を有するスライド面部73を有している。このことによって、ます本体51に対して切替部材70を上下にスライドさせるとき、スライド面部73を本体筒部52の内周面に沿って移動させ易い。よって、スライド面部73によってガイドされながら、切替部材70を上下にスライドさせることができるため、切替部材70をスライドさせ易くすることができる。
【0103】
本実施形態では、
図8に示すように、第1流入口61および第2流入口62は、本体筒部52の側部に形成されている。ます本体51は、第1流入口61の下端、および、第2流入口62の下端よりも下方に離間する位置に配置された底面57を有している。このことによって、切替部材70を第1切替位置P1に配置したとき、第2流入口62からます本体51内に流入した排水は、ます本体51の底面57に落下する。ます本体51の底面57は、第1流入口61の下端よりも下方に離間しているため、底面57上の排水を、第1流入口61に逆流し難くすることができる。また、
図9に示すように、切替部材70を第2切替位置P2に配置したとき、第1流入口61からます本体51内に流入した排水は、ます本体51の底面57に落下する。ます本体51の底面57は、第2流入口62の下端よりも下方に離間しているため、底面57上の排水を、第2流入口62に逆流し難くすることができる。
【0104】
<他の実施形態>
なお、上記実施形態では、仮設トイレ4は、給水タンク26が接続された第2流入管路20に取り付け可能であった。しかしながら、
図19および
図20に示す排水配管システム1Aのように、仮設トイレ4は、流出管路30に取り付け可能であってもよい。
【0105】
この場合、トイレ用接続ます22は、切替ます35よりも上流側における流出管路30の途中部分に設けられるとよい。そして、災害時において、流出管路30の途中部分に設けられたトイレ用接続ます22の取付口24に、仮設トイレ4の便器4aが取り付けられるとよい。本実施形態では、災害時には、仮設トイレ4から排出された汚水は、流出管路30に排出されて、汚水の少なくとも一部は、流出管路30に溜まる。流出管路30に溜まった汚水を、流出管路30の下流側に流す場合、
図3に示すように、給水開閉ゲート28によって第2流入管路20の上流端を開放し、給水タンク26内の水を、第2流入管路20から、ます50を通じて流出管路30に流す。このことによって、流出管路30内に溜まった汚水は、給水タンク26から流れた水と共に、下水本管8または貯留槽32に排出することができる。
【0106】
なお、仮設トイレ4は、第2流入管路20および流出管路30の両方に、取り付けることが可能である。この場合、トイレ用接続ます22は、第2流入管路20の途中部分、および、切替ます35よりも上流側における流出管路30の途中部分に設けられるとよい。さらに、仮設トイレ4は、ます50の点検口64に取り付けることも可能である。
【0107】
図21は、他の実施形態に係る排水配管システム1Bを模式的に示した平面図である。
図22は、他の実施形態に係る、ます50Bを模式的に示した平面図である。なお、
図22では、ます50Bの外郭が図示されており、ます50Bの内部の構成についての図示は省略されている。
【0108】
図21に示すように、排水配管システム1Bでは、貯水タンク26が接続された第2流入管路20の途中部分に、トイレ用接続ます22が設けられており、第2流入管路20に仮設トイレ4(
図3参照)が取り付け可能である。排水配管システム1Bは、ます50Bを備えている。本実施形態では、ます50Bの一方側(ここでは、
図21における、ます50Bの左側)に第1流入管路10および第2流入管路20が配置され、ます50Bの他方側(ここでは、
図21における、ます50Bの右側)に流出管路30が配置されている。
【0109】
図22に示すように、ます50Bにおいて、平面視における、ます本体51の中心C1を通る線を分割線L10とする。そして、
図22において、分割線L10よりもます本体51の左側を一方側とし、分割線L10よりもます本体51の右側を他方側とする。本実施形態に係る、ます50Bでは、第1流入口61および第2流入口62は、ます本体51の一方側に位置する本体筒部52の部分に形成されている。流出口63は、ます本体51の他方側に位置する本体筒部52の部分に形成されている。
【0110】
平面視において、第1流入口61の中心軸L1と、流出口63の中心軸L3とが成す角度R1は、鈍角であり、90度よりも大きく、180度以下である。また、平面視において、第2流入口62の中心軸L2と、流出口63の中心軸L3とが成す角度R2は、鈍角であり、90度よりも大きく、180度以下である。本実施形態では、角度R1と角度R2は異なっている。ここでは、角度R1は、角度R2よりも大きいが小さくてもよい。また、角度R1と角度R2は、同じであってもよい。
【0111】
本実施形態では、平面視において、第1流入口61の中心軸L1と、流出口63の中心軸L3とが成す角度R1が鈍角であるため、排水設備6から排出された排水は、ます50Bの第1流入口61から、ます本体51内に勢いよく流入する。ます本体51内において、第1流入口61から流入した排水は、流出口63に向かって流れ易くなるため、勢いを保ったまま流出口63を通じて流出管路30に排出されることができる。
【0112】
同様に、平面視において、第2流入口62の中心軸L2と、流出口63の中心軸L3とが成す角度R2が鈍角であるため、仮設トイレ4から排出された汚水は、ます50Bの第2流入口62から、ます本体51内に勢いよく流入する。ます本体51内において、第2流入口62から流入した汚水は、流出口63に向かって流れ易くなるため、勢いを保ったまま流出口63を通じて流出管路30に排出される。仮設トイレ4から排出された汚水には、便などの汚物が含まれる。ここでは、汚水は、勢いを保ったまま流出管路30に流れ易くなるため、汚水に含まれる汚物が、ます本体51内や、流出管路30に留まり難くすることができる。
【0113】
なお、上記各実施形態において、切替部材70は、ます50、50Bに備えられており、ます本体51などとセットで販売されることを想定されていた。しかしながら、切替部材70は、単体で販売されることが可能である。この場合、切替部材70は、第1流入口61、第2流入口62および流出口63が形成された有底筒状の本体筒部52と、本体筒部52の一端に接続され、点検口64が形成された点検筒部53と、を有するます本体51を備えた、ます50、50Bにおいて、ます本体51の本体筒部52の内部に着脱可能な、ます50の切替部材70である。切替部材70は、第2流入口62を開放しつつ、第1流入口61に取り付けられる第1切替位置P1と、第1流入口61を開放しつつ、第2流入口62に取り付けられる第2切替位置P2とに位置変更可能に構成されている。この場合、切替部材70は、一方向に向かって流れる水(ここでは排水)を通過させ、かつ、一方向とは逆の他方向に向かって流れる水を塞き止める通過許可手段80を備えている。通過許可手段80は、切替部材70が第1切替位置P1に配置されたとき、第1流入口61からます本体51内に水を流すことが可能であり、かつ、ます本体51内から第1流入口61に向かう水を塞き止めるように構成されている。また、通過許可手段80は、切替部材70が第2切替位置P2に配置されたとき、第2流入口62からます本体51内に水を流すことが可能であり、かつ、ます本体51内から第2流入口62に向かう水を塞き止めるように構成されている。このように、切替部材70を単体で販売する場合であっても、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0114】
上記各実施形態では、排水配管システム1、1Aに排水が流れていない場合には、ます50の切替部材70の連通口75は、弁体81によって閉鎖されている状態である。しかしながら、排水配管システム1、1Aに排水が流れていない場合において、ます50の切替部材70の連通口75は、弁体81によって開放されている状態であってもよい。この場合、例えば切替部材70の連通口75は、斜め下方に向かって開口するように、ます50が配置され、弁体81は、連通口75を斜め下方から開閉するように構成されているとよい。この場合、弁体81は、自重によって起立した姿勢になり、連通口75が開放された状態になる。
【0115】
上記各実施形態では、ます50は、排水が流れる排水配管システム1、1Aに設けられていた。しかしながら、ます50は、例えば雨水が流れる配管システムに設けられるものであり、ます50のます本体51内には、雨水が流れるものであってもよい。また、ます50は、排水ではなく、比較的に綺麗な水が流れる配管システムに設けられるものであり、ます50のます本体51内には、比較的に綺麗な水が流れるものであってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1、1A 排水配管システム
4 仮設トイレ
6 排水設備
10 第1流入管路
20 第2流入管路
26 給水タンク(貯水手段)
30 流出管路
50 ます
51 ます本体
52 本体筒部
53 点検筒部
57 底面
61 第1流入口
62 第2流入口
63 流出口
64 点検口
66 第1スライド溝
67 第2スライド溝
70 切替部材
71 切替本体
72 スライド突起
73 スライド面部
75 連通口
76 シール部材
80 通過許可手段
81 弁体
82 回転軸
83 逆流防止シール部材
85 凹部
P1 第1切替位置
P2 第2切替位置