(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170180
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】現場監視システム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20231124BHJP
G01C 21/20 20060101ALI20231124BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G01C21/20
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081729
(22)【出願日】2022-05-18
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】399077353
【氏名又は名称】クオリカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】脊尾 佳一
(72)【発明者】
【氏名】江口 裕一
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129BB08
2F129BB15
2F129CC12
2F129CC13
2F129CC14
2F129EE67
2F129EE69
2F129EE81
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF65
2F129FF75
2F129GG17
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF10
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD01
5H301FF05
5H301GG09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衛星測位システムが機能しない現場であっても、簡易に無人飛行体での監視ができる現場監視システムの提供。
【解決手段】現場監視システムは、移動体のカメラにより撮影された動画を受信し、動画を撮影している時間中の時刻情報を受信し、移動体が複数のマーカを通過した時点の時刻と、各マーカ情報とを受信し、現場内の経路データを取得し、受信された動画中から1以上の物体を検知し、検知された物体の種別と、動画の再生時間軸上での物体の検知時間とを特定し、複数のマーカのマーカ通過時刻とその現場での位置と、物体の検知時刻と、物体の現場での位置と、時刻及び複数のマーカのマーカ通過時刻と位置と、物体の検知時刻と位置とを一覧表示した検知結果リストをユーザ端末に表示し、加工動画をユーザ端末上で再生して表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場において移動経路に沿って設置された複数のマーカを順次に通過するよう移動しつつ、それに搭載されたカメラで前記現場の動画を撮影する移動体を用いて、ユーザが前記現場を監視することを助ける現場監視システムであって、
前記移動体の前記カメラにより撮影された前記動画を受信する動画受信手段と、
前記移動体の前記カメラが前記動画を撮影している時間中の少なくとも一つの特定時点の時刻情報を受信する撮影時刻受信手段と、
前記移動体が前記複数のマーカの各々を通過した時点のマーカ通過時刻と各マーカの識別情報とを含むマーカ通過データを受信するマーカ通過データ受信手段と、
前記現場内の前記移動経路上の少なくとも一つの特定地点の位置情報を含む経路データを取得する経路データ取得手段と、
前記受信された動画中から1以上の物体を検知し、検知された前記1以上の物体の各々の種別と、前記動画の再生時間軸上での各物体の検知時点の時間情報とを特定し、さらに、前記動画中の前記1以上の物体をユーザが視覚的に認識できるように前記動画を加工して加工動画を作成する検知手段と、
前記撮影時刻受信手段に受信された前記特定時点の時刻情報と、前記マーカ通過データ受信手段により受信された前記複数のマーカの各々の前記マーカ通過データと、前記経路データ取得手段により取得された前記経路データと、前記検知手段により特定された前記1以上の物体の各々の種別と時間情報とを用いて、前記複数のマーカの前記マーカ通過時刻と、前記複数のマーカの前記現場での位置と、前記1以上の物体の前記検知時点の撮影時刻に相当する検知時刻と、前記1以上の物体の前記現場での位置とを特定する時刻及び位置特定手段と、
前記時刻及び位置特定手段により特定された前記複数のマーカの前記マーカ通過時刻と前記位置と、前記1以上の物体の前記検知時刻と前記位置とを一覧表示した検知結果リストをユーザ端末に表示する検知結果リスト表示手段と、
前記検知手段より作成された前記加工動画を前記ユーザ端末上で再生して表示する動画表示手段と、
を備えた現場監視システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末に表示された前記検知結果リストでは、前記複数のマーカの前記マーカ通過時刻と前記位置をそれぞれ表示した複数の行と、前記1以上の物体の前記検知時刻と前記位置とをそれぞれ表示した1以上の行とが、前記マーカ通過時刻と前記検知時刻の順序に従った順序で並べられる、
請求項1記載の現場監視システム。
【請求項3】
前記ユーザ端末に表示された前記検知結果リスト上で、前記ユーザが前記複数のマーカと前記1以上の物体のうちの任意の一つを選択でき、
前記検知結果リスト上で前記ユーザにより一つのマーカ又は物体が選択された時、前記動画表示手段が、選択された一つのマーカの前記マーカ通過時刻又は選択された一つの物体の前記検知時刻に対応する前記加工動画の再生時間軸上の位置から、前記ユーザ端末上で前記加工動画の再生を開始する、
請求項1記載の現場監視システム。
【請求項4】
前記時刻及び位置特定手段により特定される前記複数のマーカと前記1以上の物体のそれぞれの位置は、前記現場内の基準地点に対する前記複数のマーカと前記1以上の物体のそれぞれの相対位置である、
請求項1記載の現場監視システム。
【請求項5】
前記基準地点に対する前記複数のマーカと前記1以上の物体のそれぞれの相対位置は、前記複数のマーカと前記1以上の物体のそれぞれの前記基準地点から測った距離である、
請求項4記載の現場監視システム。
【請求項6】
前記複数のマーカと前記1以上の物体のそれぞれの前記基準地点から測った距離は、前記移動経路上の前記特定地点と前記基準地点との間の距離に、前記移動経路に沿って測った前記特定地点から前記複数のマーカと前記1以上の物体のそれぞれまでの距離を加えた値である、
請求項4記載の現場監視システム。
【請求項7】
前記現場はトンネルであり、
前記基準地点は前記トンネルの一つの入口であり、
前記特定地点は前記移動体の出発地点である、
請求項5記載の現場監視システム。
【請求項8】
前記検知結果リスト表示手段と動画表示手段が、前記検知結果リストと前記加工動画とを並べて配置した一つの現場表示画面を、前記ユーザ端末上に表示する、
請求項1~7のいずれか一項記載の現場監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体により、現場を監視することが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、ドローンが、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)からの電波によって自己位置を特定し、巡回点検計画に沿った三次元の飛行ルート(移動経路)を自律飛行(自律移動)する自立移動手段を備え、所定のルートRを飛行しながら複数の機器を巡回し、例えば各機器に設置されたセンサ(センサ表示画面)を撮影することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/176710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、信号が遮断される等の理由によりGNSS等の衛星測位システムなどのグローバル測位が機能しない現場においては、無人飛行体による監視がしにくいという課題がある。
【0005】
本発明は、衛星測位システムが機能しない現場であっても、簡易に無人飛行体での監視ができる現場監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に従う現場監視システムは、現場において移動経路に沿って設置された複数のマーカを順次に通過するよう移動しつつ、それに搭載されたカメラで現場の動画を撮影する移動体を用いて、現場を監視するための現場表示画面をユーザ端末に提供する現場監視システムであって、移動体のカメラにより撮影された動画を受信する動画受信手段と、移動体のカメラが動画を撮影している時間中の少なくとも一つの特定時点の時刻情報を受信する撮影時刻受信手段と、移動体が複数のマーカの各々を通過した時点のマーカ通過時刻と各マーカの識別情報とを含むマーカ通過データを受信するマーカ通過データ受信手段と、現場内の移動経路上の少なくとも一つの特定地点の位置情報を含む経路データを取得する経路データ取得手段と、受信された動画中から1以上の物体を検知し、検知された1以上の物体の各々の種別と、動画の再生時間軸上での各物体の検知時点の時間情報とを特定し、さらに、動画中の1以上の物体をユーザが視覚的に認識できるように動画を加工して加工動画を作成する検知手段と、撮影時刻受信手段に受信された特定時点の時刻情報と、マーカ通過データ受信手段により受信された複数のマーカの各々のマーカ通過データと、経路データ取得手段により取得された経路データと、検知手段により特定された1以上の物体の各々の種別と時間情報とを用いて、複数のマーカのマーカ通過時刻と、複数のマーカの現場での位置と、1以上の物体の検知時点の撮影時刻に相当する検知時刻と、1以上の物体の現場での位置とを特定する時刻及び位置特定手段と、時刻及び位置特定手段により特定された複数のマーカのマーカ通過時刻と位置と、1以上の物体の検知時刻と位置とを一覧表示した検知結果リストをユーザ端末に表示する検知結果リスト表示手段と、検知手段より作成された加工動画をユーザ端末上で再生して表示する動画表示手段と、を備える。
【0007】
一実施形態によれば、ユーザ端末に表示された検知結果リストでは、複数のマーカのマーカ通過時刻と位置をそれぞれ表示した複数の行と、1以上の物体の検知時刻と位置とをそれぞれ表示した1以上の行とが、マーカ通過時刻と検知時刻の順序に従った順序で並べられる。
【0008】
一実施形態によれば、ユーザ端末に表示された検知結果リスト上で、ユーザが複数のマーカと1以上の物体のうちの任意の一つを選択でき、検知結果リスト上でユーザにより一つのマーカ又は物体が選択された時、動画表示手段が、選択された一つのマーカのマーカ通過時刻又は選択された一つの物体の検知時刻に対応する加工動画の再生時間軸上の位置から、ユーザ端末上で加工動画の再生を開始する。
【0009】
一実施形態によれば、時刻及び位置特定手段により特定される複数のマーカと1以上の物体のそれぞれの位置は、現場内の基準地点に対する複数のマーカと1以上の物体のそれぞれの相対位置である。
【0010】
一実施形態によれば、基準地点に対する複数のマーカと1以上の物体のそれぞれの相対位置は、複数のマーカと1以上の物体のそれぞれの基準地点から測った距離である。
【0011】
一実施形態によれば、複数のマーカと1以上の物体のそれぞれの基準地点から測った距離は、移動経路上の特定地点と基準地点との間の距離に、移動経路に沿って測った特定地点から複数のマーカと1以上の物体のそれぞれまでの距離を加えた値である。
【0012】
一実施形態によれば、現場はトンネルであり、基準地点はトンネルの一つの入口であり、特定地点は移動体の出発地点である。
【0013】
一実施形態によれば、検知結果リスト表示手段と動画表示手段が、検知結果リストと加工動画とを並べて配置した一つの現場表示画面を、ユーザ端末上に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかる現場監視システムの一実施形態と、それと関連して動作する周辺システムの全体的なハードウェア構成を示す図
【
図2】現場の構成(トンネル工事現場の監視の例)を示す図
【
図4】ユーザ端末に表示される現場表示画面の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
なお、実施形態を説明する図において、同一の機能を有する箇所には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
また、以下の説明では、情報の一例として単に「xxx」または「xxxリスト」といった表現を用いる場合があるが、情報のデータ構造はどのようなものでもよい。すなわち、情報がデータ構造に依存しないことを示すために、「xxx」「xxxリスト」を「xxxデータ」または「xxxテーブル」と言うことができる。そして、以下の説明において、各情報の構成は一例であり、情報を分割して保持したり、結合して保持したりしても良い。
【0018】
なお、以下の説明では、「プログラム(例えば、〇〇部)」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)及び/または通信インターフェースデバイス(例えばポート)を用いながら行うため、処理の主語がプログラムとされても良い。プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサ或いはそのプロセッサを有する計算機が行う処理としても良い。
【0019】
図1は、本実施形態にかかる現場監視システムと、それと関連して動作する周辺システムの全体的なハードウェア構成を示す図である。なお、本図では参照符号を下線付き番号にて記載している。
【0020】
現場監視サーバ1は、各種情報処理が可能な装置、一例としてコンピュータ等の情報処理装置である。現場監視サーバ1は、プロセッサ(CPU)10、メモリ11、通信インターフェース(通信I/F)12及びストレージ13等を有するコンピュータシステムである。
【0021】
プロセッサは、一例としてCPU(Central Processing Unit)10を図示しているが、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等であってもよい。メモリ11は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶媒体、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)などの半導体記憶媒体等を有する。また、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスク及び光ディスクドライブの組み合わせも記憶部として用いられる。その他、磁気テープメディアなどの公知の記憶媒体もメモリ11として用いられる。
【0022】
メモリ11は、CPU10により、作業領域として利用され得る。現場監視サーバ1の動作開始時(例えば電源投入時)にCPU10がプログラムをこのメモリ11から読み出して実行する。また、メモリ11には、プログラム以外にも、現場監視サーバ1の各処理に必要なデータ等も格納されていてよく、ストレージ13内のデータ14及びプログラム15をメモリに記憶することもできる。
【0023】
ストレージ13には、各種の履歴や動画など、本実施形態の現場監視サーバ1による作業の際に必要となるデータ14と、後述する各種機能を実施するためのプログラム15が記憶されている。データ14及びプログラム15の詳細については、後述する。
【0024】
なお、本実施形態の現場監視サーバ1は、複数の情報処理装置が通信ネットワークを介して通信可能に構成された、いわゆるクラウドにより構成されてもよい。
【0025】
現場監視サーバ1は、通信インターフェース12を通じて、遠隔の1台以上のユーザ端末25と通信することができる。
【0026】
ユーザ端末25は、インターネットなどの通信ネットワークを介してまたはダイレクトに現場監視サーバに接続され得る。ユーザ端末25は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などであってよく、入力部及び表示部等を備えており、現場監視サーバ1による作業に必要なデータや作業指示を入力し、現場監視サーバ1が作成した動画や履歴等を画面に表示する。
【0027】
また、現場監視サーバ1は、通信インターフェース12を通じて、監視対象としての現場2に存在する1台以上の無人飛行体(本例ではドローン)23と無線で通信することができる。
【0028】
現場2は、監視対象の空間領域であり、ユーザが任意に選ぶことができ、そして、例えば、トンネル工事現場や建造物内部のようにグローバル測位が利用できない領域であってよい。現場2では、例えば、エリアコーディネータ21と、ドローン(無人移動体、例えば無人飛行体)23が用いられる。なお、現場2は、通常、現場監視サーバ1の遠隔に存在することが想定されるが、これに限られない。
【0029】
エリアコーディネータ21は、ドローン23と現場監視サーバ1との通信を中継するためのコンピュータシステムである。すなわち、エリアコーディネータ21は、ドローン23及び現場監視サーバ1とそれぞれ通信できる。エリアコーディネータ21は、プロセッサ、メモリ、通信インターフェース、ストレージ等を有する(図示なし)。エリアコーディネータ21は、現場監視サーバ1からの指示等を受信し、ドローン23を制御し、また、ドローン23が取得した各種データや撮影した動画等を、現場監視サーバ1に送信する。
【0030】
なお、以下では、データ14及びプログラム15がストレージ13に記憶されているものとして説明するが、これらはメモリ11内に記憶されていてもよいし、外部のストレージやクラウド上に記憶されていてもよい。
【0031】
図2は、本実施形態にかかる現場2の構成例を示す図である。なお、本実施形態では、現場2の一例として、トンネル工事現場の例を示すが、これに限定するものではない。
【0032】
図2に示す現場2の例では、トンネルT、地面G、検知すべき物体O、離陸位置SP、着陸位置EP、ドローン23、複数のマーカMPを示している。また、離陸位置SPと着陸位置EPとの間には、点線でドローン23の飛行経路FRが示されている。なお、飛行経路FRは、ユーザがユーザ端末25から現場監視サーバ1にアクセスすることで、現場監視サーバ1上で飛行計画の形式で自由に設計し得る。
【0033】
ユーザは、所望の飛行経路FRに沿った任意の複数の個所に、マーカMPをそれぞれ配置する。図示例では、マーカMPは、飛行経路FRに沿ったトンネルTの壁上の複数個所に配置されている。マーカMPは、図示例のように、離陸位置SPと着陸位置EPにも設けてもよい。また、離陸位置SPと着陸位置EPにはマーカMPを設けなくてもよい。
【0034】
各マーカMPは、固有の識別符号(例えば、番号)が、ドローン23が自動的に読み取り可能な態様で記述されている。例えば、マーカは、カメラで認識可能なArUcoマーカ等の二次元コードであるが、固有の識別符号をドローンのカメラが読み取り可能であればよく、これに限られない。
【0035】
ユーザは、例えば、ユーザ端末25から現場監視サーバ1に接続して、現場監視サーバ1を利用して、飛行計画を作成することができる。
【0036】
飛行計画には、飛行経路FRが例えば次のように定義される。すなわち、飛行計画では、例えば、離陸位置SPと着陸位置EPが、例えばトンネル入口TEからのそれぞれの地点までの距離などの形式で、定義され、さらに、飛行経路FR内の離陸位置SPから最初のマーカMPまでの区間、各マーカMPから次のマーカMPまでの区間、最後のマーカMPから着陸位置EPまでの区間等の、それぞれの区間をドローン23がどのように移動(飛行)するかを定義した指示(ドローン23に対する移動(飛行)指示)が含まれている。指示には、例えば、ドローン23の飛行高度やトンネルTの壁からの距離等、様々な制御データが含まれてよい。
【0037】
ドローン23は、ドローン23のもつメモリ(図示なし)に飛行計画を記憶し、その飛行計画に従って自律的に飛行することができる。ドローン23に飛行計画を提供する方法としては、例えば、ドローン23が現場監視サーバ1からエリアコーディネータ21を介して飛行計画を受信する方法、あるいは、ユーザ端末25が現場監視サーバ1から飛行計画を受信してドローン23に提供する方法などがあり得る。
【0038】
ドローン23は、マーカMPを認識するためのマーカカメラ(図示なし)と、現場の動画を撮影するための現場カメラ(図示なし)と、1以上の測位センサ(図示なし)を有する。マーカカメラは、例えば2次元バーコードを読み取り可能なカメラであってよい。測位センサは、例えば、ドローン(自身)が飛行計画の指示に従った位置(例えば、トンネル壁からの距離や地面からの高度)を飛行しているか検知するためのセンサである。具体的には、測位センサは、例えば、地面からの距離つまり高度を測る高度センサと、トンネル壁面からの距離を測る壁距離センサ等の各種センサであってよく、これらの機能を組み合わせたセンサであってもよい。
【0039】
ドローン23の飛行は例えば次のようになされる。ユーザは、現場の着陸位置にドローン23を配置して、ドローン23を起動する。起動されたドローン23は、離陸時にマーカカメラによる撮影を開始して、着陸するまで、マーカMPが存在し得る空間領域(例えば、トンネル壁)を撮影することで、各マーカMPを発見していく。ドローン23は、離陸位置SPから最初のマーカMPまで、その後に発見した各マーカMPから次のマーカMPまで、そして、最後のマーカMPから着陸位置EPまで、飛行計画の指示に従って、測位センサのセンシング結果を使って飛行する。ドローン23は、この動作を離陸位置から着陸位置まで実行し、その結果、ドローン23は、上記飛行経路FRに沿って自律的に飛行する。
【0040】
ドローン23は、飛行中、各マーカMPを通過する都度、そのマーカMPの識別符号(マーカ番号)とそのマーカMPを通過した時刻(以下、マーカ通過時刻という、これは、飛行する地域の標準時、例えば日本国内なら日本標準時の時刻で示される)を取得して、それをメモリ11に記録する。また、ドローン23は、通過した各マーカMPの識別符号とマーカ通過時刻を、飛行中リアルタイムでまたは飛行後にまとめて、エリアコーディネータ21を介して現場監視サーバ1へ無線で送信する。
【0041】
また、ドローン23は、離陸時に現場カメラを起動して、着陸するまで、その現場カメラで現場の監視すべき空間領域を撮影し続け、撮影された動画をメモリ11に記録する。また、ドローン23は、現場カメラにより撮影された動画を、飛行中リアルタイムでまたは飛行後にまとめて、エリアコーディネータ21を介して現場監視サーバ1へ無線で送信する。
【0042】
図3は、本実施形態にかかる現場監視サーバ1の機能構成図であり、現場監視サーバ1の機能的な要素と、これら要素間のデータの流れを示している。なお、本図では参照符号を下線付き番号にて記載している。
【0043】
各機能は、例えば、
図1に示されたストレージ13等に記憶されたプログラム15をプロセッサ(CPU10)が呼び出し、実行することにより実現される。
【0044】
図3を参照して、現場監視サーバ1は、機能的な要素として、飛行運用部310、モデル作成部311、物体検知部312、検知時間変換部313、現場表示部314、マーカ時間変換部315、及び、距離算出部316を備える。
【0045】
また、本図では、これら機能の間でやり取りされるデータとして、元動画320、物体検知履歴321、加工動画322、飛行履歴323、マーカ通過履歴324、飛行計画325、及び、経路データ330を示している。これらのデータは、各機能により作成、更新、編集、削除等が行われてよく、現場監視サーバ1内のメモリ11またはストレージ13内に保存される。なお、データは、外部ストレージやクラウド等、現場監視サーバ1の外に保存されていてもよいし、機能とドローン23またはユーザ端末25との間にて、直接データの授受がおこなわれてもよい。以下では、機能間にてデータの授受(送受信)を行うと説明する場合があるが、データは、送信側の機能によりメモリ11、ストレージ13または外部に(一時的に)保存され、受信側の機能により取得されてよい。
【0046】
飛行運用部310は、例えば、ドローン23(現場にいるドローン23との通信はエリアコーディネータ21を介して行われる。以下同じ)、ユーザ端末25、物体検知部312、マーカ時間変換部315、検知時間変換部313、距離算出部316等と各種データの授受を行う。飛行運用部310は、飛行計画325を作成し、保存する。具体的には、例えば、飛行運用部310は、ユーザ端末25から来るユーザの指示に従い飛行計画325を作成する。飛行計画325は、例えば、飛行経路FRを定義した経路データや、ドローン23に対する飛行制御指示などの制御データを含む。飛行運用部310は、飛行計画325をドローン23に提供するために、飛行計画325をドローン23またはユーザ端末25等に送信することができる。
【0047】
また、飛行運用部310は、例えば、各ドローン23から、そのドローン23がそれぞれのマーカMPを通過した情報(以下、マーカ通過情報といい、例えば、マーカMPの識別番号とマーカ通過時刻を含む)と、撮影された現場の動画(元動画320)を受信する。
【0048】
また、飛行運用部310は、ドローン23から受信したマーカ通過情報を基にして、マーカ通過履歴324を作成し、保存する。マーカ通過履歴324には、ドローン23の飛行計画に従った1回の飛行における、離陸時刻、それぞれのマーカMPの識別番号とマーカ通過時刻、及び、着陸時刻が記録される。
【0049】
モデル作成部311は、例えば、撮影された現場の動画(元動画320)からユーザ所望の物体を検知するためプログラム(以下、検知モデルといい、例えば、所定物体の検知方法を学習し終わったニューラルネットワークモデルである)を作成する。検知される物体は、ユーザがユーザ端末25から任意に設定でき、例えばトンネル工事現場の監視であれば、例えば、トンネル内の水漏れ箇所、トンネル内に配置された各種機器やパイロン等であり得る。
【0050】
物体検知部312は、モデル作成部311により作成された検知モデルを用いて、ドローン23により撮影された現場の動画(元動画320)中から、所定の物体を検知して、その検知結果を表した物体検知履歴321を作成する。また、物体検知部312は、元動画320か内の何処に検知された各物体が映っているかを動画再生時にユーザが視覚的に認識できるようにするために、元動画320のその物体が映っている領域に、所定の加工を加える。この加工は、例えば、検知された物体が映っている画像領域を所定色で塗りつぶす、検知された物体が映っている画像領域に輪郭線または囲み枠線を付ける、あるいは、その画像領域を指し示す矢印のようなマークを付ける、等であり得る。元動画320にこのような加工が加えられた後の動画を、以下、加工動画322という。物体検知部312は、加工動画322を保存する。
【0051】
また、物体検知部312は、元動画320から検知された物体の種別と、物体が検知された経過時間を特定し、これらのデータを記録した物体検知履歴を321作成する。ここで、上記の経過時間とは、加工動画322元動画320の再生開始時点(これは、加工動画322の再生開始時点でもある)からその物体が検知された時点までの動画再生の経過時間、つまり、動画開始時点を時刻ゼロとした場合のその物体が検知された時刻である。
【0052】
検知時間変換部313は、マーカ通過履歴324及び物体検知履歴321を取得し、マーカ通過履歴324に記録されている離陸時刻(これは加工動画322の再生開示時刻でもある)を用いて、物体検知履歴321に記録されている各検知物体の経過時間を、標準時刻(つまり、各物体が検知された時点の標準時による時刻であり、以下、検知時刻という)に変換し、そして、変換された各検知物体の検知時刻を、後述する飛行履歴323に記録する。
【0053】
マーカ時間変換部315は、マーカ通過履歴324を取得し、マーカ通過履歴324に記録されている各マーカのマーカ通過時刻(標準時刻)を、元動画320の再生開始時点からの動画再生の経過時間に変換し、そして、各経過時間を飛行履歴323に記録する。
【0054】
距離算出部316は、現場2内の所定の基準地点(例えば、トンネル入口)から測った、各検知物体までの距離と各マーカまでの距離とを算出する。具体的には、距離算出部316は、例えば、飛行履歴323、マーカ通過履歴324、及び、飛行経路の経路データ330(離陸位置と着陸位置、例えば、離陸地点の基準地点(トンネル入口)からの距離と、着陸地点の基準地点(トンネル入口からの距離)を取得し、マーカ通過履歴324内の各マーカのマーカ通過時刻及びマーカ識別番号と、飛行履歴323内の各検知物体の検知時刻と、経路データ(離陸位置、着陸位置(または離陸位置から着陸位置までの距離))とから、基準地点から各マーカ及び各検知物体までの距離を算出する。距離算出部316は、算出した距離を飛行履歴323に記録する。ここで、基準地点は、ユーザが任意の設定することができ、例えば、トンネルの入口または出口、あるいは、ドローンの離陸位置または着陸位置であっていいが、本実施形態では一例として、基準地点をトンネル入口としている。
【0055】
現場表示部314は、例えば、飛行履歴323と加工動画322とに基づく現場表示画面を、ユーザ端末25に提供する。
【0056】
図4は、ユーザ端末25に表示される現場表示画面4の一例である。
【0057】
現場表示画面4には、例えば、ユーザが選択した加工動画322のファイル名を示す動画ファイル41と、その加工動画322を再生したものである検知結果動画42と、飛行履歴323に基づく検知結果リスト43とが表示される。
【0058】
検知結果リスト43には、例えば、各検知物体及び各マーカ(以下、この説明では対象物という。)の種類(またはマーカ識別番号)、各対象物の検知(または通過)時刻、基準地点から各対象物までの距離、各対象物が検知または通過された時点から加工動画を再生するためのジャンプボタン等が表示される。具体的には、検知結果リスト43は、例えば、物体検知またはマーカ通過の時刻431と、(トンネル)入口からの距離432と、検知物またはマーカ番号433と、ジャンプボタン434等の表示項目を有する。検知結果リスト43には、時刻順で、検知物やマーカのデータが並べられる。
【0059】
物体検知またはマーカ通過の時刻431は、各対象物が検知または通過された時刻を示す。入口からの距離432は、トンネル入口から各対象物までの距離を示す。検知物またはマーカ番号433は、各対象物の物体種別またはマーカ番号(識別番号)を示す。各対象物のジャンプボタン434は、それをユーザクリックすると、検知結果動画42上で再生表示される加工動画322のシーンが、各対象物の検知時点または通過時点のシーンへジャンプする。
【0060】
検知結果動画42には、加工動画322が再生されて表示される。
図4に示された例では、再生シーン内の検知された物体(例えば発動機)421の領域に枠線422が付加されており、それにより、ユーザは、その検知物体421が現場2の何処に存在するかを視覚的に容易に認識できる。また、検知結果動画42に付属して、再生シーンの標準時による日時423が表示され、これにより、ユーザが、再生シーンが何時の状況を示しているかを知ることができる。
【0061】
上記の通り、検知結果動画42を見ることで、ユーザは、現場において、何時、何処に、何が存在していたかを容易に認識することができる。
【0062】
また、検知結果リスト43では、それぞれの検知物体とマーカの検知(通過)時刻と基準地点からの距離とが、時刻の順序で表示されるので、これを見てユーザは、マーカの位置を参考にして各検知物体と現場内での位置を容易に把握できる。例えば、
図4の例では、マーカ1とマーカ2との間に発動機が存在することが分かるが、ユーザはマーカ1とマーカ2を自ら設置したわけであるから、マーカ1,2の現場内での位置を容易に想起でき、その間の発動機があるという事から、発動機が現場のどの辺に在るかを容易に理解できる。
【0063】
さらに、検知結果リスト43では、そのシーンへジャンプボタン434を用いることにより、検知または通過した対象物と、その対象物が撮影されたシーンのリンクが紐づいているので、ユーザは、対象物が映しだされたシーンをすぐに見ることができ、より一層容易に、検知物体の場所を把握でき得る。
【0064】
図5は、飛行運用部310の制御の流れを示す図である。
【0065】
飛行運用部310は、ユーザ端末25から飛行計画の作成が要求されたか否かを判定する(ステップS50)。飛行計画の作成が要求されたとき(ステップS50で、YES)、飛行運用部310は、ユーザ端末25からの指示に従い、飛行計画を作成し、保存する(ステップS51)。次いで、飛行運用部310は、飛行計画に基づく経路データ330を距離算出部316に提供し(ステップS53)、処理を終了する。
【0066】
また、飛行運用部310は、ユーザ端末25またはドローン23から飛行計画の送信が要求されたか否かを判断する(ステップS52)。飛行計画の送信が要求された場合には(ステップS52で、YES)、飛行運用部310は、飛行計画を要求元であるユーザ端末25またはドローン23に送信し(ステップS54)、処理を終了する。
【0067】
また、飛行運用部310は動画を受信したか否かを判定する(ステップS55)。動画を受信した場合(ステップS55で、YES)、飛行運用部310は、動画を保存し(ステップS56)、処理を終了する。
【0068】
また、飛行運用部310は、ドローン23からのマーカ通過データを受信したか否かを判定する(ステップS57)。ここで、ドローン23から受信されるマーカ通過データには、ドローン23の飛行を実施したユーザのユーザID、その飛行でも用いた飛行計画の識別子である飛行計画番号、その飛行の識別子である飛行番号(これに代えてまたは加えて、その飛行で撮影された現場動画(元動画)のファイル名が含まれてもよい)、通過したマーカの識別子であるマーカ番号、マーカ通過時刻などが含まれる。マーカ通過データは、ドローン23からエリアコーディネータ21を経由して、またはユーザ端末25を経由して、受信されてよい。
【0069】
マーカ通過データを受信した場合(ステップS57で、YES)、飛行運用部310は、マーカ通過データをマーカ通過履歴324に記録し、保存する(ステップS58)。
【0070】
【0071】
マーカ通過履歴324は、上記の通り、飛行運用部310により飛行毎にマーカ通過データに基づき作成される。
【0072】
マーカ通過履歴324には、例えば、その飛行を実施したユーザのユーザID61、その飛行で使用された飛行計画の飛行計画番号62、その飛行の飛行番号63、通過した各マーカのマーカ番号64とマーカ通過時刻などが記録される。マーカ通過履歴には、その飛行の離陸位置と着陸位置についても、マーカ番号64と同様の項目が記録される。なお、現場の離陸位置及び着陸位置にもマーカを配置した場合は、離陸位置と着陸位置は、飛行経路の途中のマーカとまったく同様に扱うことができる。
【0073】
【0074】
物体検知部312は、飛行毎に、その飛行で撮影された元動画320の中から検知すべき物体が写っているフレームを特定し、特定されたフレーム内のその物体の画像の領域と、その物体の種別を特定する(ステップS71)。なお、元動画320には、前述したマーカ通過データと同様に、ユーザID、飛行計画番号、飛行番号等のデータ項目も付属されている。
【0075】
物体検知部312は、動画内の特定されたフレームに、それぞれ、特定された物体画像の領域を明示する加工を加え、加工後の動画を加工動画として記録する(ステップS72)。ここで、物体画像の領域を明示する加工とは、例えば、その領域内を特定色で塗りつぶす、その領域を囲む輪郭線または枠線を書き加える、あるいは、その領域を指し示す矢印のような図形を書き加える等であってよい。要するに加工動画をユーザが再生したときに、検知された物体が画像中のどこにあるかをユーザが視覚的に容易に認識できるように、元動画320を加工することである。
【0076】
物体検知部312は、特定されたフレームの経過時間と、物体の種別を物体検知履歴321に記録し、処理を終了する。
【0077】
【0078】
物体検知履歴321は、上述したように、飛行運用部310より作成される。
【0079】
物体検知履歴321には、例えば、飛行毎に、その飛行を実行したユーザのユーザID81、使用された飛行計画の飛行計画番号82、その飛行の飛行番号83、各検知物体の種別を示す検知物84、各検知物体の経過時間を表す経過時間85等が記録される。ここで、各検知時物体の経過時間とは、前述したように、動画の再生開始時点(撮影開始時点、つまり、ドローンの離陸時点)から、その動画内でその物体が検知された時点までの動画再生時間である。従って、再生開始時点の時刻(標準時刻)に、各物体の経過時間を加えれば、その物体の検知時刻(標準時刻)が得られる。
【0080】
【0081】
検知時間変換部313は、例えば、物体検知履歴321及びマーカ通過履歴324に基づき、取得した物体検知履歴321内の各検知物84における経過時間85に、マーカ通過履歴324内のドローンが離陸した時刻(マーカ番号64「離陸」における通過時刻65、つまり、動画の再生開始時点の時刻)を加算して、各検知物の検知時刻を算出する(ステップS91)。これにより、各検知物体の検知時刻(標準時刻)が算出される。
【0082】
検知時間変換部313は、例えば、各検知物の物体検知履歴321内のデータ(例えば、ユーザID81、飛行計画番号82、飛行番号83、検知物84、経過時間85)と、S91で算出した各検知物体の検知時刻とを、飛行履歴323に記録し(ステップS92)、処理を終了する。
【0083】
図10は、マーカ時間変換部315の制御の流れを示す。
【0084】
マーカ時間変換部315は、マーカ通過履歴324に基づき、マーカ通過履歴324内の各マーカのマーカ通過時刻(マーカ番号64の各番号に対応する通過時刻65)から、ドローンが離陸した時刻(マーカ番号64「離陸」に対応する通過時刻65)を減算して、各マーカの経過時間を算出する(ステップS101)。各マーカの経過時間とは、前述のように、動画の開始時点から各マーカの通過時点までの動作再生時間である。
【0085】
マーカ時間変換部315は、各マーカのマーカ通過履歴324内のデータ(例えば、ユーザID61、飛行計画番号62、飛行番号63、マーカ番号64、通過時刻65)と、ステップS101で算出した経過時間とを、飛行履歴323に記録し(ステップS102)、処理を終了する。
【0086】
図11は、距離算出部316の制御の流れを示す図である。
【0087】
距離算出部316は、経路データ330の着陸位置(例えば、着陸地点のトンネル入口からの距離)から離陸位置(例えば、離陸地点のトンネル入口からの距離)を減算して、飛行距離を算出する(ステップS111)。
【0088】
距離算出部316は、マーカ通過履歴324内の着陸時刻から離陸時刻を減算して、飛行時間を算出する(ステップS112)。
【0089】
距離算出部316は、ステップS11で算出された飛行距離を、ステップS112で算出された飛行時間で徐算して、平均速度を算出する(ステップS113)。
【0090】
距離算出部316は、飛行履歴323内の各検知物体の経過時間と各マーカの経過時間の各々に、ステップS113で算出された平均速度を乗算して、各検知物体及び各マーカの離陸位置からの距離を算出する(ステップS114)。
【0091】
距離算出部316は、ステップS114で算出された各検知物体及び各マーカの離陸位置からの距離に、離陸位置(例えば、着陸地点のトンネル入口からの距離)を加算して、各検知物及び各マーカの基準地点(例えば、トンネル入口)からの距離を算出する(ステップS115)。
【0092】
距離算出部316は、ステップS114、115で算出された各検知物及び各マーカの離陸位置からの距離と、基準地点からの距離とを、飛行履歴323に記録し(ステップS116)、処理を終了する。
【0093】
図12は、飛行履歴323の例を示す。なお、本図では参照符号の一部を下線付き番号にて記載している。
【0094】
飛行履歴323は、検知時間変換部313、マーカ時間変換部315、及び、距離算出部316等により作成される。飛行履歴323には、飛行毎に、着陸位置(例えば、基準地点となるトンネル入口からの距離)1211、着陸位置(例えば、基準地点となるトンネル入口からの距離)1212、飛行距離1213、飛行時間1214、及び、平均速度1215と、その飛行を行ったユーザのユーザID1216、飛行計画番号1217、飛行番号1218、各マーカの番号を示すマーカ番号1219、各検知物体の種別を示す検知物1220、各検知物体及び各マーカの経過時間1221、各検知物体及び各マーカの検知/通過時刻1222、各検知物体及び各マーカの離陸位置からの距離1223、及び、各検知物体及び各マーカの入口からの距離1224等の項目のデータが記録される。
【0095】
飛行履歴が作成されることで、飛行毎のデータと、各飛行における検知物及びマーカ毎のデータが取得される。
【0096】
【0097】
現場表示部314は、飛行履歴323から、全てのマーカ番号1219と検知物1220に関する、検知/通過時刻1222のデータと、基準地点であるトンネル入口からの距離のデータと読み出し、これらデータを時刻順に、現場表示画面4(
図4参照)内の検知結果リスト43に表示する(ステップS131)。
【0098】
現場表示部314は、現場表示画面4内の検知結果リスト43内のジャンプボタン434欄のいずれかの「Jump」ボタンがクリックされたか否かを判定する(ステップS132)。「Jump」ボタンがクリックされたときは(ステップS132で、YES)、現場表示部314は、クリックされた「Jump」ボタンに対応する検知物またはマーカの経過時間の時点から、加工動画を再生して現場表示画面4内の検知結果動画42に表示する(ステップS133)。一方、「Jump」ボタンがクリックされなかったときには(ステップS132で、NO)、現場表示部134は、ステップS135へ処理を進める。
【0099】
また、現場表示部314は、加工動画を再生して検知結果動画42に表示している間、加工動画の再生位置を標準時刻表記の日時に変換して、その標準時刻表記の日時423を検知結果動画42に表示する(ステップS134)。
【0100】
現場表示部314は、ユーザにより動画の再生制御(一時停止、早送り、逆送り、再生再開など)が要求されたか否かを判定する(ステップS135)。動画の再生制御が要求されたときは(ステップS135で、YES)、現場表示部314は、ユーザの要求に応じて動画再生を制御する(ステップS136)。
【0101】
一方、動画の再生制御の要求がされなかったときには(ステップS135で、NO)、現場表示部314は、ユーザにより表示終了を要求されたか否かを判定する(ステップS137)。表示終了を要求されたときには(ステップS137で、YES)、現場表示部314は、処理を終了する。
【0102】
一方、表示終了が要求されなかったときには(ステップS137で、NO)、現場表示部314は、ステップS132へ処理を戻す(A)。
【0103】
上記の現場表示部314により、検知結果リスト43には、検知物体及びマーカが、検知されたまたは通過された時刻順に表示される。これにより、ユーザは、それぞれの検知物がどのマーカとどのマーカの間に在るかが容易に把握することができる。特に、マーカはユーザが任意に配置し得るものであるから、ユーザは、自己が記憶している現場でのマーカの配置に基づいて、検知物体が現場内のどの場所辺りにあるかを、即座に理解しやすい。これに加えて、検知物体及びマーカの基準地点からの距離も、検知結果リスト43に表示される。この距離も参考にすれば、ユーザは、よりいっそう正確に検知物体の現場での位置を把握しやすい。
【0104】
また、検知結果リスト43には、検知物体及びマーカが、検知されたまたは通過した時刻(標準時刻)が表示され、検知結果動画42にも、再生位置の標準時刻が表示される。このため、ユーザは、検知結果動画42で見える状況が、何時の状態であったのかを把握しやすい。
【0105】
このようにユーザが関心の対象となる現場で、物体(検知物)及びマーカの位置と、ドローンにより撮影された動画にてこれら物体及びマーカが撮影された標準時刻が容易に把握できる。これにより、ユーザが、適切に現場を把握し適時に対処するのに役立つ。
【0106】
上述の実施形態は本発明の説明のための一つの例示にすぎない。本発明は、それ以外の様々な態様で実施できる。
【0107】
例えば、上述の実施形態では、ドローン23が離陸してから着陸までの飛行経路FR全体の平均速度を用いて行っていたがこれに限られない。別法として、例えば、各マーカの位置(例えばトンネル入り口からの距離)を前もって設定してサーバに記憶しておき、各マーカの位置と、各マーカと次のマーカとの間の区間の平均速度を用いて計算するようにしてよい。これにより、より正確な距離計算ができる。
【0108】
また、上述の実施形態は、トンネルを現場とした例を用いて説明したが、これは一つの例示であり、トンネル以外の施設や地域を現場とする場合にも本発明は適用できる。
【0109】
また、上述の実施形態では、トンネルの延びる方向に沿ってドローンが飛行して、その方向に沿った距離つまり一次元的な指標で、物体(検知物)の位置を示したがこれに限られない。別法として、例えば、マーカの平面的(二次元的)な位置、または、これに高度情報を含めた立体的(3次元的)な位置をサーバに記憶しておき、記憶されたマーカの二次元的または三次元的な位置と、各マーカと次のマーカ間の飛行時間と速度を利用して、検知物の位置を二次元的または三次元的な指標で示すようにしても良い。
【0110】
また、上述の実施形態では、ドローンは空中を飛ぶ飛行体であるが、それに限らず、固体や液体の表面を走行するものであっても、液体中を潜行するものなどであっても、現場に応じて適宜に選択されてよい。
【符号の説明】
【0111】
1…現場監視サーバ 2…現場 4…現場表示画面 5… 10…CPU 11…メモリ 12…通信インターフェース 13…ストレージ 14…データ 15…プログラム 21…エリアコーディネータ 23…ドローン 25…ユーザ端末 310…飛行運用部 311…モデル作成部 312…物体検知部 313…検知時間変換部 314…現場表示部 315…マーカ時間変換部 316…距離算出部 321…物体検知履歴 322…加工動画 323…飛行履歴 324…マーカ通過履歴 325…飛行計画 330…経路データ