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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170203
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/32 20060101AFI20231124BHJP
   H02K 9/02 20060101ALI20231124BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02K1/32 Z
H02K9/02 Z
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081765
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】マーカート セバスチャン
【テーマコード(参考)】
5H601
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601DD30
5H601DD47
5H601EE18
5H601EE25
5H601GA02
5H601GA22
5H601GA32
5H601GE11
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607DD02
5H607DD19
5H607EE31
5H609BB03
5H609BB18
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP07
5H609PP17
5H609QQ02
5H609QQ08
(57)【要約】
【課題】モータの内部部品を冷却できる技術を提供する。
【解決手段】回転軸12と、回転軸12を回転させるモータ14とを備えるアクチュエータであって、モータ14は、回転軸12に配置されるロータ62と、回転軸12とロータ62との間に設けられロータ62に対して負荷側にある負荷側空間90と反負荷側にある反負荷側空間92とを連通する第1エア通路100と、を備え、第1エア通路100は、回転軸12の回転に伴って、第1エア通路100を通して負荷側空間90から反負荷側空間92にエアを誘導可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸を回転させるモータとを備えるアクチュエータであって、
前記モータは、前記回転軸に配置されるロータと、前記回転軸と前記ロータとの間に設けられ前記ロータに対して負荷側にある負荷側空間と反負荷側にある反負荷側空間とを連通する第1エア通路と、を備え、
前記第1エア通路は、前記回転軸の回転に伴って、前記第1エア通路を通して前記負荷側空間から前記反負荷側空間にエアを誘導可能であるアクチュエータ。
【請求項2】
前記回転軸は、前記第1エア通路を内側に形成する通路形成部を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1エア通路は、反負荷側に向かうに連れて外径を徐々に大きくするスロープを備える請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記スロープは、前記ロータの径方向内側に設けられる第1領域を備える請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記スロープは、前記ロータよりも反負荷側に設けられる第2領域を備える請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第2領域の反負荷側端部の外径は前記ロータの外径よりも大きい請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記スロープは、前記ロータよりも反負荷側に設けられる第2領域を備え、
前記第2領域の外径の変化率は、前記第1領域の外径の変化率よりも大きい請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記ロータよりも反負荷側に設けられ前記第1エア通路により前記反負荷側空間に誘導されたエアを外部空間に放出する放出部を備える請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記回転軸は、中空部と、前記負荷側空間と前記中空部とを連通する第1エア供給孔とを備える請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
モータの負荷側に連結される減速機と、
前記減速機を負荷側から覆う負荷側カバーと、を備え、
前記負荷側カバーは、前記中空部内にある中空空間と負荷側外部空間とを連通する第2エア供給孔を備える請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記中空部内に配置されるパイプ部材を備え、
前記パイプ部材は、前記中空部と前記パイプ部材の間にある径方向外側空間と前記パイプ部材の内側にある径方向内側空間とを連通する第3エア供給孔を備える請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記モータは、モータハウジングと、前記モータハウジングの内周部に固定されるステータと、を備え、
前記モータハウジングと前記ステータとの間には、前記負荷側空間と前記反負荷側空間とを連通する第2エア通路が設けられる請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記回転軸が回転したときに、前記第2エア通路を負荷側から反負荷側に向けてエアが流通するように前記第1エア通路が設計されている請求項12に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記回転軸が回転したときに、前記ロータと前記ステータの間のギャップを負荷側から反負荷側に向けてエアが流通するように前記第1エア通路が設計されている請求項12に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回転軸と、回転軸を回転させるモータとを備えるアクチュエータを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-097430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータの内部部品(ロータ等)の温度が過度に高くなると、アクチュエータの出力に悪影響を及ぼすため、その冷却のための工夫が必要となる。本願発明者は、モータの内部部品を冷却するための新たなアイデアを見出した。
【0005】
本開示の目的の1つは、モータの内部部品を冷却できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のアクチュエータは、回転軸と、前記回転軸を回転させるモータとを備えるアクチュエータであって、前記モータは、前記回転軸に配置されるロータと、前記回転軸と前記ロータとの間に設けられ前記ロータに対して負荷側にある負荷側空間と反負荷側にある反負荷側空間とを連通する第1エア通路と、を備え、前記第1エア通路は、前記回転軸の回転に伴って、前記第1エア通路を通して前記負荷側空間から前記反負荷側空間にエアを誘導可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、モータの内部部品を冷却できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のアクチュエータの側面断面図である。
図2図1の拡大図である。
図3】第1実施形態の回転軸の斜視図である。
図4図1のA-A断面図である。
図5】第1実施形態のアクチューエータの動作説明図である。
図6】(A)は流体解析の結果を示す図であり、(B)は流体解析の結果を示す他の図である。
図7】第2実施形態のアクチュエータの動作説明図である。
図8】第3実施形態のアクチュエータを図4と同じ視点から見た断面図である。
図9】第4実施形態のアクチュエータの一部を示す側面断面図である。
図10】第4実施形態のファンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書での「連通」とは、特に明示がない限り、言及する条件を二者が直接的に満たす場合の他に、他の要素を介して間接的に満たす場合も含む。
【0010】
(第1実施形態)図1を参照する。アクチュエータ10は、回転軸12と、回転軸12を回転させるモータ14と、モータ14の負荷側に連結される減速機16と、減速機16を負荷側から覆う負荷側カバー18と、を備える。以下、回転軸12の回転中心線C12に沿った方向を軸方向Xといい、その回転中心線C12を中心とする円の円周方向、半径方向をそれぞれ「周方向」、「径方向」という。また、本明細書では、負荷側は軸方向Xの一方側(図1では左側)をいい、反負荷側は軸方向Xの他方側(図1では右側)をいう。
【0011】
アクチュエータ10は、アクチュエータ10の外部にある支持部材20により支持され、アクチュエータ10の外部にある被駆動部材22を駆動する。被駆動部材22の具体例は特に限定されない。被駆動部材22は、例えば、コンベア、車輪、工作機械、ロボット(産業用ロボット、サービスロボット等)の被駆動機械の一部である。本実施形態の支持部材20は減速機16の減速機ハウジング28に固定され、被駆動部材22は負荷側カバー18に固定される。この他にも、支持部材20は負荷側カバー18に固定され、被駆動部材22は減速機ハウジング28に固定されてもよい。
【0012】
減速機16は、回転軸12が兼ねる入力軸24と、入力軸24から入力回転が伝達される減速機構26と、減速機構26を収容する減速機ハウジング28と、を備える。
【0013】
本実施形態の減速機構26は、互いに噛み合う外歯歯車30及び内歯歯車32A、32Bを備え、一方が撓み歯車(ここでは外歯歯車30)となる撓み噛合い型歯車機構である。この減速機構26は、入力軸24から入力回転が伝達されると、他の歯車との噛合位置を入力軸24の回転方向に変化させるように撓み歯車を撓み変形させる。この減速機構26は、この撓み歯車の撓み変形により、外歯歯車30及び内歯歯車32A、32Bの一方(ここでは外歯歯車30)を自転させ、その自転成分を出力回転として被駆動部材22に出力する。本実施形態の減速機構26は、内歯歯車32A、32Bとして、反負荷側に配置される第1内歯歯車32Aと負荷側に配置される第2内歯歯車32Bとを有する筒型の撓み噛合い型歯車機構である。この種の減速機構26の動作原理は周知のため、ここでは説明を省略する。本実施形態の減速機構26は、負荷側カバー18を介して被駆動部材22に出力回転を出力する例を説明する。この他にも、負荷側カバー18に替えて減速機ハウジング28を介して被駆動部材22に出力回転を出力してもよい。入力軸24と外歯歯車30との間には外歯歯車30を回転自在に支持する歯車軸受36が配置される。
【0014】
本実施形態の減速機ハウジング28は、互いに一体化される複数のハウジング部材28a、28bを備える。複数のハウジング部材28a、28bは、第1内歯歯車32Aを兼ねる第1ハウジング部材28aと、第2内歯歯車32Bに対して径方向外側に配置される第2ハウジング部材28bと、を含む。減速機ハウジング28は、ボルト等によって、モータ14のモータハウジング66に連結される。減速機ハウジング28と第2内歯歯車32Bとの間には主軸受38が配置される。
【0015】
負荷側カバー18は、減速機16の一部として、減速機構26と、回転軸12を兼ねる入力軸24を負荷側から覆っている。負荷側カバー18は、外歯歯車30の自転成分と同期可能な同期部材として機能する。負荷側カバー18は全体として筒状をなす。負荷側カバー18は、第2内歯歯車32Bから負荷側に突き出る第1突出部32Baに重ね合わせられ、不図示のボルト等を用いて第2内歯歯車32Bに固定される。負荷側カバー18は、反負荷側に突き出るとともに第2内歯歯車32Bの第1突出部32Baとインロー嵌合する第2突出部18aを備える。負荷側カバー18の第2突出部18aには回転軸を回転自在に支持する負荷側軸受40が配置される。
【0016】
アクチュエータ10は、回転軸12の中空部12a(後述する)内に配置されるパイプ部材42を備える。パイプ部材42は、回転軸12の中空部12aを軸方向Xに貫通している。パイプ部材42の負荷側部分は、負荷側カバー18に固定されており、負荷側カバー18と一体的に回転可能に設けられる。本実施形態のパイプ部材42の負荷側部分は、負荷側カバー18に形成される貫通孔18bに締まり嵌めされることで、負荷側カバー18に固定される。この固定態様は特に限定されず、ボルト等を用いてもよい。パイプ部材42の反負荷側部分は、パイプ部材42と回転軸12との間に配置される内部軸受44を介して回転軸12に回転自在に支持される。
【0017】
アクチュエータ10は、回転軸12の回転を検出する第1回転検出器46Aと、パイプ部材42の回転を検出する第2回転検出器46Bとを備える。第1回転検出器46Aは、回転軸12と一体回転可能に設けられる第1被検出部46Aaと、第1被検出部46Aaと対向する第1検出部46Abとを備える。第2回転検出器46Bは、パイプ部材42と一体回転可能に設けられる第2被検出部46Baと、第2被検出部46Baと対向する第2検出部46Bbと、を備える。被検出部46Aa、46Baは、例えば、光学スケール、磁気スケール等のスケールである。検出部46Ab、46Bbは、例えば、光学センサ、磁気センサ等のセンサである。検出部46Ab、46Bbは、被検出部46Aa、46Baの回転に伴う所定の物理量(光量、磁場等)の変化を検出することで回転体(回転軸12、パイプ部材42)の回転を検出可能である。第1検出部46Abと第2検出部46Bbは共通のセンサ基板48に実装される。センサ基板48は、モータハウジング66に固定されるマウント50に取り付けられる。マウント50には、モータ14の制御に用いられるドライバIC(不図示)を搭載したドライバ基板52が取り付けられる。
【0018】
図2図3を参照する。本実施形態の回転軸12は、モータ14のロータ62が配置されるロータ軸60と、ロータ軸60の回転が入力される減速機16の入力軸24とが一体化されている。本実施形態の回転軸12は、ロータ軸60と入力軸24が同じ部材によって構成される。この他にも、回転軸12は、ロータ軸60と入力軸24が別の部材によって構成されてもよい。
【0019】
回転軸12は、回転軸12を軸方向Xに貫通する中空部12aと、ロータ62を配置するロータ配置部12bと、ロータ62と軸方向Xに対向するロータ対向部12cと、回転軸12の反負荷側端部に設けられるフランジ部12dと、を備える。ロータ配置部12bは、回転軸12の外周部に設けられる。ロータ62は、接着剤等を用いてロータ配置部12bに固定される。ロータ対向部12cは、ロータ62に対して反負荷側に配置される。ロータ対向部12cは、反負荷側に向かってロータ配置部12bよりも外径を大きくする段部である。フランジ部12dは、ロータ配置部12b及びロータ対向部12cよりも外径を大きくしている。ロータ対向部12cは、ロータ62に対して反負荷側から接触しており、ロータ62の反負荷側に向かう軸方向移動を規制する。本実施形態のロータ対向部12cは負荷側に向けて突き出る突部12eを備え、その突部12eがロータ62に対して接触している。
【0020】
モータ14は、回転軸12に配置されるロータ62と、ロータ62と協働して回転軸12を回転させる回転磁界を生成するステータ64と、ロータ62、ステータ64等を収容するモータハウジング66と、を備える。
【0021】
ロータ62は、全体として筒状をなす。ロータ62は、例えば、ロータコア68と、ロータコア68に組み込まれる不図示の磁石とを備える永久磁石ロータである。ロータ62の種類は特に限定されず、かご型ロータ、巻線ロータ、コアレスロータ等でもよい。また、ロータ62は、ロータコア68に替えて金属製ブッシュを備えてもよい。
【0022】
ステータ64は、例えば、ステータコア70と、ステータコア70に組み込まれる不図示のコイルとを備える。ステータ64は、ステータコア70にスロット(不図示)が形成されたスロット付きステータである。コイルは、ステータコア70のスロット内を通るようにステータコア70のティースに巻き回される。ここではステータコア70のスロットの図示を省略し、ステータ64全体の外形を模式的に示す。ステータ64の種類は特に限定されず、本実施形態のようなコア付きステータの他に、コアレスステータでもよい。また、ステータ64の種類は、本実施形態のようなスロット付きステータの他に、スロットレスステータ等でもよい。ステータ64とロータ62との間には環状に広がるギャップ72が設けられる。
【0023】
モータハウジング66は、ステータ64を配置するステータ配置部66aと、ステータ配置部66aよりも負荷側に設けられる内フランジ部66bと、反負荷側に向かって開く反負荷側開口部66cと、を備える。ステータ64は、締まり嵌め(焼き嵌め)、接着剤等を用いて、ステータ配置部66aに固定される。内フランジ部66bは、モータハウジング66の内周部において径方向内側に突き出ている。内フランジ部66bの内周部には回転軸12を回転自在に支持する反負荷側軸受74が配置される。
【0024】
回転軸12の中空部12a内には中空空間76が設けられる。中空空間76は、中空部12a内の他に、回転軸12と負荷側カバー18の間の空間まで広がっている。負荷側カバー18は、アクチュエータ10の負荷側にある負荷側外部空間78と中空空間76とを軸方向Xに隔てている。本実施形態の中空空間76は、回転軸12の中空部12aとパイプ部材42の間に設けられる径方向外側空間80によって構成される。径方向外側空間80は、回転軸12とパイプ部材42との間に配置される内部シール部材84によって、アクチュエータ10の反負荷側にある反負荷側外部空間82に対して隔てられている。径方向外側空間80(中空空間76)は、反負荷側外部空間82に直接は連通していないことになる。本実施形態の内部シール部材84は内部軸受44に組み込まれている。この他にも、内部シール部材84は内部軸受44とは別に設けられてもよい。
【0025】
パイプ部材42の内側には径方向内側空間86が設けられる。径方向内側空間86は、パイプ部材42の内部を軸方向Xに貫通しており、負荷側外部空間78と反負荷側外部空間82とに連通している。
【0026】
モータ14は、ステータ64及びロータ62を収容するモータ内部空間88を備える。モータ内部空間88は、ロータ62に対して負荷側に設けられる負荷側空間90と、ロータ62に対して反負荷側に設けられる反負荷側空間92とを備える。
【0027】
負荷側空間90は、モータハウジング66と回転軸12との間に設けられる。負荷側空間90は、モータハウジング66の内フランジ部66bとロータ62及びステータ64との間に設けられる。
【0028】
反負荷側空間92は、モータハウジング66と回転軸12との間に設けられる。本実施形態の反負荷側空間92は、ステータ64に対して反負荷側においてステータ64と軸方向Xに重なる位置に設けられる。反負荷側空間92は、アクチュエータ10の放出部112(後述する)を通して外部空間に連通している。
【0029】
減速機16は、複数のシール部材94A~94Cにより封止された減速機内部空間96を備える。減速機内部空間96には減速機構26の潤滑に用いられる潤滑剤(不図示)が封入されている。本実施形態のシール部材94A~94Cは、モータ内部空間88と減速機内部空間96を隔てる第1シール部材94Aと、減速機内部空間96と中空空間76を隔てる第2シール部材94Bと、減速機内部空間96と負荷側外部空間78を隔てる第3シール部材94Cとを含む。減速機内部空間96は、モータ内部空間88、中空空間76のそれぞれに直接に連通していないことになる。本実施形態の第1シール部材94Aは反負荷側軸受74に組み込まれ、第2シール部材94Bは負荷側軸受40に組み込まれている。この他にも、第1シール部材94A、第2シール部材94Bは、オイルシール等として、軸受40、74とは別に設けられてもよい。
【0030】
図2図4を参照する。モータ14は、回転軸12とロータ62との間に設けられる第1エア通路100を備える。第1エア通路100は、負荷側空間90と反負荷側空間92を連通する。第1エア通路100は、後述のように、負荷側空間90から反負荷側空間92にエアを誘導するために設けられる。本実施形態の第1エア通路100は反負荷側空間92に直接に連通している。この他にも、第1エア通路100は、他の空間(例えば、ギャップ72)を通して反負荷側空間92に連通していてもよい。第1エア通路100は、軸方向に延びる軸方向通路部100aと、軸方向通路部100aよりも反負荷側空間92側に設けられ径方向に延びる径方向通路部100bとを備える。軸方向通路部100aは、負荷側に向かって開いており、径方向通路部100bは、径方向外側に向かって開いている。第1エア通路100は、周方向に間隔を空けて複数設けられる。
【0031】
回転軸12及びロータ62の少なくとも一方は第1エア通路100を内側に形成する第1通路形成部102を備える。本実施形態の第1通路形成部102は溝部であり、回転軸12に設けられる。詳しくは、第1通路形成部102は、回転軸12のロータ配置部12b及びロータ対向部12cに設けられる。第1通路形成部102は、ロータ配置部12bにおいて軸方向通路部100aを形成し、ロータ対向部12cにおいて径方向通路部100bを形成する。ロータ62には、第1通路形成部102(溝部)が形成されていないことになる。
【0032】
モータハウジング66の内周部とステータ64の外周部との間には第2エア通路104が設けられる。第2エア通路104は、負荷側空間90と反負荷側空間92を連通しており軸方向Xに延びている。第2エア通路104は、負荷側空間90と反負荷側空間92との間でエアを流通させるために設けられる。第2エア通路104は、周方向に間隔を空けて複数設けられる。モータハウジング66及びステータ64の少なくとも一方は第2エア通路104を内側に形成する第2通路形成部106を備える。本実施形態の第2通路形成部106は溝部であり、モータハウジング66の内周部に設けられる。モータハウジング66の第2通路形成部106は、ステータ64の負荷側端部よりも負荷側に延びており、かつ、ステータ64の反負荷側端部よりも反負荷側に延びている。
【0033】
回転軸12は、モータ14内の負荷側空間90と回転軸12の中空部12aとを連通する第1エア供給孔108を備える。第1エア供給孔108は、第1エア通路100によりエアを誘導するとき、回転軸12内の中空空間76を通して外部空間のエアを負荷側空間90に供給するために設けられる。第1エア供給孔108は、回転軸12を径方向に貫通している。第1エア供給孔108は、回転軸12の周方向に間隔を空けて複数設けられる。第1エア供給孔108は、複数の第1エア通路100のそれぞれに対応して個別に設けられる。第1エア供給孔108は、径方向外側から見たときに、第1エア供給孔108に対応する第1エア通路100の近傍において、第1エア通路100の軸方向延長上に設けられる。
【0034】
負荷側カバー18は、回転軸12内の中空空間76(径方向外側空間80)と負荷側外部空間78を連通する第2エア供給孔110を備える。第2エア供給孔110は、第1エア通路100によりエアを誘導するとき、負荷側外部空間78のエアを回転軸12内の中空空間76に供給するために設けられる。第2エア供給孔110は、負荷側カバー18を貫通している。第2エア供給孔110は、回転軸12の周方向に間隔を空けて複数設けられる。中空空間76は、負荷側外部空間78に直接は連通せずに、第2エア供給孔110を通して連通する。
【0035】
アクチュエータ10は、ロータ62よりも反負荷側に設けられる放出部112を備える。放出部112は、第1エア通路100により反負荷側空間92に誘導されたエアを外部空間に放出するために用いられる。本実施形態の放出部112は、モータハウジング66の反負荷側開口部66cによって構成される。この場合、放出部112は、反負荷側空間92に誘導されたエアを反負荷側外部空間82に放出する。
【0036】
以上のアクチュエータ10の動作を説明する。図5を参照する。本図では、エアの流れ方向に矢印を付して示す。回転軸12が回転したとき、第1エア通路100の径方向通路部100b内のエアに遠心力が作用する。この遠心力により、第1エア通路100の径方向通路部100b内のエアが径方向外側に押し出され、反負荷側空間92に供給される。これに伴い、第1エア通路100の径方向通路部100b内が負圧となり、負荷側空間90から第1エア通路100内にエアが吸引される。この結果、第1エア通路100は、回転軸12の回転に伴って、第1エア通路100を通して負荷側空間90から反負荷側空間92にエアを誘導可能となる。第1エア通路100は、回転軸12の回転方向によらず、このようにエアを誘導可能である。
【0037】
第1エア通路100内に負荷側空間90からエアが吸引されると、負荷側空間90が負圧となり、アクチュエータ10の内部を経由して外部空間のエアが負荷側空間90まで供給される。本実施形態では、負荷側外部空間78→第2エア供給孔110→中空空間76(径方向外側空間80)→第1エア供給孔108を順に経由したエアが負荷側空間90まで供給される。反負荷側空間92に供給されたエアは、放出部112を通して外部空間(ここでは反負荷側外部空間82)に放出される。この結果、外部空間(ここでは負荷側外部空間78)→負荷側空間90→第1エア通路100→反負荷側空間92→外部空間(ここでは反負荷側外部空間82)の順でエアが流通する強制対流を発生させることができる。
【0038】
このような強制対流を発生させる過程で、モータ14内の負荷側空間90に第1エア供給孔108を通して十分量のエアを供給できるように、複数の第1エア供給孔108の個数及び大きさが設定されていると好ましい。言い換えると、第1エア供給孔108の個数及び大きさは、回転軸12が回転したときに、負荷側空間90が予め定められた許容負圧以上となるように設定されていると好ましい。また、強制対流を発生させる過程で、第2エア供給孔110を通して回転軸12内の中空空間76に十分量のエアを供給できるように、複数の第2エア供給孔110の個数及び大きさが設定されていると好ましい。言い換えると、第2エア供給孔110の個数及び大きさは、回転軸12が回転したときに、中空空間76が予め定められた許容負圧以上となるように設定されていると好ましい。これにより、モータ14内の負荷側空間90、回転軸12内の中空空間76が過度に負圧になることによる伝達効率の低下を防止できる。なお、第1エア供給孔108、第2エア供給孔110の個数は特に限定されず、単数でもよい。
【0039】
以上のアクチュエータ10の効果を説明する。
【0040】
第1エア通路100は、回転軸12の回転に伴って、第1エア通路100を通して負荷側空間90から反負荷側空間92にエアを誘導可能である。これにより、負荷側空間90→第1エア通路100→反負荷側空間92の順でエアが流通する強制対流を発生させることができる。これにより、モータ14の内部部品(ロータ62等)の熱を強制対流するエアに逃がすことで、モータ14の内部部品を冷却することができる。特に、熱源となるロータ62の熱を第1エア通路100を流通するエアに直接に逃がすことで、ロータ62を効果的に冷却することができる。
【0041】
本実施形態では、アクチュエータ10の外部にある外部空間から取り込んだエアを外部空間に放出する強制対流を発生させている。よって、外部空間から取り込んだ冷たいエアにモータ14の熱を逃がすことができ、モータ14の内部部品を効果的に冷却することができる。
【0042】
また、モータ14の内部部品を冷却できるため、許容温度を超えたときにモータ供給電流を抑制するディレーティング制御の頻度を低減でき、アクチュエータ10から継続的に大トルクを出力できるようになる。また、モータ14の内部部品を冷却できるため、モータ14の内部部品の温度上昇を抑制しつつ、モータ供給電流の増大によりモータ14の出力(回転速度)を高速にできる。これに伴い、減速機16の減速比を大きくすることで、アクチュエータ10の出力回転の回転速度を維持したまま、アクチュエータ10から更に大きいトルクを出力できるようになる。また、モータ14を冷却するにあたって、専用動力源、クーラント循環回路、ファン等の冷却のための専用品を不要にでき、アクチュエータ10の大型化を回避できる。
【0043】
回転軸12は、第1エア通路100を内側に形成する第1通路形成部102を備える。よって、第1エア通路100を設けるにあたってロータ62に第1通路形成部102を形成せずに済ませることができる。
【0044】
アクチュエータ10は、第1エア通路100により反負荷側空間92に誘導されたエアを外部空間に放出する放出部112を備える。よって、モータ14の内部部品の冷却により加熱されたエアを反負荷側空間92から外部空間に放出でき、新しいエアを負荷側空間90に容易に取り込めるようになる。
【0045】
回転軸12は、モータ14内の負荷側空間90と回転軸12の中空部12aとを連通する第1エア供給孔108を備える。よって、回転軸12が回転したときに、回転軸12の中空部12a内を通して負荷側空間90にエアを供給できるようになる。
【0046】
負荷側カバー18は、回転軸12の中空部12a内の中空空間76と負荷側外部空間78とを連通する第2エア供給孔110を備える。通常、負荷側外部空間78は、モータ14、ドライバ基板52等の熱源の近傍にあるため高温環境下にある。これに対して、通常、反負荷側外部空間82は、負荷側外部空間78のような熱源が近傍にないことが多いため、負荷側外部空間78よりも低温環境下にある。このような反負荷側外部空間82と比べて冷たい負荷側外部空間78のエアを第2エア供給孔110、第1エア供給孔108を通してモータ14内の負荷側空間90に供給できるようになる。ひいては、冷たいエアを用いてモータ14の内部部品を効果的に冷却できるようになる。
【0047】
モータハウジング66とステータ64との間には負荷側空間90と反負荷側空間92を連通する第2エア通路104が設けられる。よって、第1エア通路100により負荷側空間90から反負荷側空間92にエアが誘導されたとき、第2エア通路104を通してエアを流通させることができる。ひいては、熱源となるステータ64の熱を第2エア通路104を流通するエアに直接に逃がすことで、ステータ64を効果的に冷却することができる。
【0048】
次に、第1エア通路100の他の特徴を説明する。図2を参照する。第1エア通路100は、反負荷側に向かうに連れて外径を徐々に大きくするスロープ120を備える。スロープ120は、第1エア通路100の第1通路形成部102における底部を構成する。第1エア通路100にスロープ120を設けることで、第1エア通路100によりエアを誘導するときに、第1エア通路100内のエアを大きく加速できるようになる。また、第1エア通路100にスロープ120を設けることで、エアの高い流速を維持したままスロープ120に沿ってエアを流通させることができるようになる。これは、後述のように、本願発明者の行った流体解析の結果として新たに得られた知見となる。これにより、反負荷側空間92に高流速のエアを供給できるようになり、反負荷側空間92から外部空間に放出されるエアの放出量を増やすことができる。これに伴い、アクチュエータ10内に外部空間から取り込まれるエアの供給量を増やすことができ、モータ14の内部部品を効果的に冷却できるようになる。
【0049】
スロープ120は、ロータ62の径方向内側に設けられる第1領域120aを備える。このような第1領域120aをスロープ120に設けることで、反負荷側に向かうに連れて徐々に第1エア通路100(軸方向通路部100a)の断面積を小さくすることができる。このため、第1エア通路100の軸方向通路部100aを流通させる過程でエアを徐々に加速できるようになる。また、この場合、第1エア通路100の軸方向通路部100aを流通させる過程でエアを整流でき、安定して高流速のエアを反負荷側空間92に供給できるようになる。これは、後述のように、本願発明者の行った流体解析の結果として新たに得られた知見となる。
【0050】
スロープ120は、ロータ62よりも反負荷側に設けられる第2領域120bを備える。第2領域120bの外径の変化率は、第1領域120aの外径の変化率よりも大きくなる。ここでの変化率とは、単位軸方向寸法あたりの外径の変化量(%)、つまり勾配である。本実施形態のスロープ120は、負荷側から反負荷側に向かって、第1定勾配部分120c、勾配変化部分120d、第2定勾配部分120eを備える。第1定勾配部分120c、第2定勾配部分120eの勾配は一定となり、勾配変化部分120dの勾配は、反負荷側に向かって徐々に大きくなる。第1領域120aと第2領域120bとの境界120fは勾配変化部分120dに設けられる。
【0051】
このようにスロープ120の第2領域120bを設けた場合、第1エア通路100の軸方向通路部100aを通過した直後、軸方向断面積が広がったとしても、その軸方向通路部100aを通過する直前よりもエアを加速できるようになる(図6(B)の領域R2)。特に、第2領域120bの外径の変化率を第1領域120aの外径の変化率よりも大きくした場合に、軸方向通路部100aを通過した直後に大きくエアを加速できる傾向が見られる。これも、後述のように、本願発明者の行った流体解析の結果として新たに得られた知見となる。
【0052】
スロープ120の第2領域120bは、第1エア通路100の反負荷側端部100cを超えて回転軸12のフランジ部12dの外周部まで連続している。スロープ120の第2領域120bの反負荷側端部120gの外径R120は、ロータ62の外径R62よりも大きくなる。この外径R120は、ステータ64の内径R64-1よりも大きく、ステータ64の外径R64-2よりも小さくなる。この外径R120は、回転軸12のフランジ部12dの外径R12(回転軸12の最大外径)と合致する大きさとなる。このように、スロープ120の外径R120をロータ62の外径R62よりも大きくすることで、エアの高い流速を維持したまま反負荷側空間92において外部空間の近くまでエアを流通させ易くなる。ひいては、外部空間に放出されるエアの放出量を増やすことで、外部空間から取り込まれるエアの供給量を増やし易くなり、モータ14の内部部品を更に効果的に冷却できるようになる。なお、スロープ120の外径R120は、ステータ64の外径R64-2以上であってもよい。
【0053】
前述のように、第1エア通路100にスロープ120があることで、高流速の勢いを持ったエアを反負荷側空間92に供給したうえで放出部112から放出できるようになる。このとき、第1エア通路100の最小断面積が小さくなるように設計することで、反負荷側空間92からのエアの放出量に対して第1エア通路100から反負荷側空間92へのエアの供給量を小さくできる。これに伴い、負荷側空間90に対して反負荷側空間92の気圧を低くしつつ気圧差を大きくでき、第1エア通路100以外の箇所を通して負荷側空間90から反負荷側空間92にエアを流通させることができるようになる。この効果は、第1エア通路100の個数を多くするほど効果的に得ることができる。ここでの第1エア通路100の最小断面積とは、第1エア通路100内でのエアの流れ方向に直交する断面積が最小となる箇所での断面積をいい、ここでは軸方向通路部100aの反負荷側端部の断面積をいう。
【0054】
ここでの「第1エア通路100以外の箇所」は、本実施形態では、モータハウジング66とステータ64の間にある第2エア通路104をいう。回転軸12が回転したとき、第2エア通路104を負荷側から反負荷側に向けてエアが流通するように第1エア通路100の構造(個数、最小断面積等)が設計(構成)されているともいえる。これにより、ステータ64の熱を第2エア通路104を流通するエアに直接に逃がすことで、ステータ64を効果的に冷却できるようになる。このような条件を満たすうえで適した第1エア通路100の構造(個数、最小断面積等)は、実験、解析等により求めればよい。
【0055】
また、ここでの「第1エア通路100以外の箇所」は、ロータ62とステータ64の間にあるギャップ72をいう。回転軸12が回転したとき、ギャップ72を負荷側から反負荷側に向けてエアが流通するように第1エア通路100の構造(個数、最小断面積等)が設計(構成)されているともいえる。これにより、ステータ64及びロータ62の熱をギャップ72を流通するエアに直接に逃がすことで、これらを効果的に冷却できるようになる。このような条件を満たすうえで適した第1エア通路100の構造(個数、最小断面積等)は、実験、解析等により求めればよい。
【0056】
次に、スロープ120を設けた場合のエアの流れ方を確認するために行った流体解析の結果の一例を説明する。図6(A)、(B)は、第1実施形態で説明したアクチュエータ10と同様の形状を持つモデルを対象として行った流体解析の結果を示す。この流体解析は、回転軸12を回転させた条件のもとで行った。図6(A)では、エアの流れ方向に矢印を付して示す。また、図6(A)では、エアが高流速で流通する箇所にハッチングを付して示す。ハッチングを付した箇所はハッチングを付さずに矢印を付した箇所と比べて数倍(例えば、3,4倍)以上の流速となる箇所である。また、図6(B)は、第1エア通路100内でのエアの流れ方向を模式的に示す。
【0057】
このように、第1エア通路100にスロープ120を設けた場合、第1エア通路100内においてエアを大きく加速できるようになる。このとき、第1エア通路100内にエアが流入した直後の領域R1ではエアに乱れが生じていたものの、反負荷側に向かうに連れてエアの乱れが発生しなくなった。また、第1エア通路100の軸方向通路部100aでは、スロープ120に第1領域120aがあることで、徐々にエアの流速が高くなるよう加速されていた。また、第1エア通路100の軸方向通路部100aを通過した直後にある径方向通路部100bの領域R2では、スロープ120に第2領域120bがあることで、軸方向断面積が広がったとしても、その直前よりも加速された最大流速のエアが流通していた。また、第1エア通路100の径方向通路部100bの領域R2を通過した後、流速を徐々に低くしつつも、比較的に高い流速を維持したままスロープ120に沿ってエアが流通していた。また、この他にも、ギャップ72、第2エア通路104を負荷側から反負荷側に向けてエアが流通していた。
【0058】
(第2実施形態)図7を参照する。本図でも、エアの流れ方向に矢印を付して示す。本実施形態のアクチュエータ10は、第1実施形態のアクチュエータ10と比べて、パイプ部材42において相違する。本実施形態のパイプ部材42は、外側にある径方向外側空間80と内側にある径方向内側空間86とを連通する第3エア供給孔130を備える。第3エア供給孔130は、パイプ部材42を径方向に貫通している。第3エア供給孔130は、回転軸12の周方向に間隔を空けて複数設けられる。
【0059】
第3エア供給孔130は、第1エア通路100によりエアを誘導するとき、負荷側外部空間78及び反負荷側外部空間82のエアを回転軸12の中空部12a内にある径方向外側空間80に供給するために用いられる。本実施形態では、第1エア通路100によりエアを誘導するとき、負荷側外部空間78及び反負荷側外部空間82→径方向内側空間86→第3エア供給孔130→径方向外側空間80→第1エア供給孔108を順に経由したエアがモータ14内の負荷側空間90に供給される。なお、本実施形態の負荷側カバー18は第2エア供給孔110を備えていない。
【0060】
本実施形態によれば、反負荷側外部空間82及び負荷側空間90のエアを第3エア供給孔130、第1エア供給孔108を通してモータ14内の負荷側空間90に供給できるようになる。本実施形態のアクチュエータ10は、この他の点において、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(第3実施形態)図8を参照する。本実施形態のアクチュエータ10は、第1実施形態と比べて、第2エア通路104において相違する。詳しくは、本実施形態の第2エア通路104を形成する第2通路形成部106は、モータハウジング66に替えて、ステータ64の外周部(ステータコア70の外周部)に設けられる。この他にも、第2通路形成部106は、モータハウジング66及びステータ64の両方に設けられてもよい。本実施形態のアクチュエータ10によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(第4実施形態)図9図10を参照する。本実施形態のアクチュエータ10は、第1実施形態と比べて、負荷側空間90に配置される複数の羽根140を備える点で相違する。複数の羽根140は、回転軸12の外周部に対して径方向外側に突き出ており、回転軸12と一体化されている。本実施形態の複数の羽根140は、締まり嵌め等により回転軸12の外周部に固定されるハブ142に固定されている。アクチュエータ10は、羽根140とハブ142を有するファン144を備えているともいえる。ハブ142は、第1エア供給孔108と重なる位置に径方向に貫通する貫通孔142aを備える。貫通孔142aは、第1エア供給孔108を通して負荷側空間90と中空空間76を連通している。この他にも、複数の羽根140は、回転軸12の一部として一体成形されていてもよい。
【0063】
複数の羽根140は、回転軸12とともに回転することで、回転軸12内にある中空空間76のエアを第1エア供給孔108を通して負荷側空間90に誘導可能である。これにより、外部空間から回転軸12の中空空間76を通して負荷側空間90に取り込まれるエアの供給量を増やすことができる。ひいては、モータ14の内部部品を更に効果的に冷却できるようになる。本実施形態のアクチュエータ10は、この他の点において、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0065】
アクチュエータ10において減速機16は必須ではなく、モータ14を備えていればよい。減速機16の減速機構26の具体例は特に限定されない。減速機構26は、例えば、単純遊星歯車機構、偏心揺動型歯車機構、直交軸歯車機構、平行軸歯車機構等の何れかでもよい。減速機構26が偏心揺動型歯車機構の場合、その種類の具体例は特に限定されない。この種類は、内歯歯車の軸心上にクランク軸が配置されるセンタークランクタイプの他にも、内歯歯車の軸心からオフセットした位置に複数のクランク軸が配置される振り分けタイプでもよい。減速機構26が撓み噛合い型歯車機構の場合、その種類の具体例は特に限定されない。この種類は、本実施形態のように二つの内歯歯車32A、32Bを備える筒型の他に、例えば、一つの内歯歯車を備えるカップ型、シルクハット型でもよい。
【0066】
第1エア通路100は、回転軸12に伴って、第1エア通路100を通して負荷側空間90から反負荷側空間92にエアを誘導可能であればよく、そのための具体的形状は特に限定されない。例えば、第1エア通路100は螺旋状に延びる軸方向通路部100aのみを備えていてもよい。この場合、反負荷側に向かって第1エア通路100のなす螺旋の巻き方向と逆向きに回転させることで、負荷側空間90から反負荷側空間92にエアを誘導可能となる。
【0067】
モータ内部空間88は外部空間に連通していなくともよい。この場合、第1エア通路100によってエアを誘導したときに、負荷側空間90→第1エア通路100→反負荷側空間92→負荷側空間90の順でエアが循環するようにしてもよい。この場合でも、エアの強制対流と熱伝導とによって、モータ14の内部部品の冷却効果を期待できる。ここでの熱伝導とは、モータ内部空間88と外部空間との間でのモータハウジング66を通した熱伝導をいう。
【0068】
第1通路形成部102は、回転軸12に替えて、ロータ62に設けられてもよい。この他にも、第1通路形成部102は、回転軸12とロータ62の両方に設けられてもよい。
【0069】
第1エア通路100においてスロープ120は必須ではない。スロープ120は第2領域120b及び第1領域120aの少なくとも一方を備えていてもよい。第2領域120b及び第1領域120aの外径の変化率は特に限定されない。両者の変化率は同じでもよいし、第2領域120bの変化率が第1領域120aの変化率より小さくともよい。
【0070】
放出部112の具体例は特に限定されない。これは、例えば、モータハウジング66の反負荷側開口部66cの他にも、モータハウジング66に形成された貫通孔、モータハウジング66に取り付けられた排気パイプ等でもよい。
【0071】
モータ14内の負荷側空間90に第1エア供給孔108を通してエアを供給するうえで、その具体的な経路は特に限定されない。この経路として、第1実施形態では以下の(1)、第2実施形態では以下の(2)を説明した。この他にも、この経路は、例えば、次の(3)、(4)によって実現されてもよい。また、(1)~(3)のうちの二つ以上を組み合わせてもよい。
(1)負荷側外部空間78→第2エア供給孔110→中空空間76(径方向外側空間80)→第1エア供給孔108
(2)負荷側外部空間78及び反負荷側外部空間82の少なくとも一方→径方向内側空間86→第3エア供給孔130→中空空間76(径方向外側空間80)→第1エア供給孔108
(3)(回転軸12とパイプ部材42の間に第3シール部材94Cが配置されない場合)反負荷側外部空間82→中空空間76(径方向外側空間80)→第1エア供給孔108
(4)(回転軸12の中空部12a内にパイプ部材42が配置されない場合)負荷側外部空間78及び反負荷側外部空間82の少なくとも一方→中空空間76→第1エア供給孔108
【0072】
アクチュエータ10において第2エア通路104は必須ではない。第2エア通路104を通してエアを流通させるうえでは、第1エア通路100によりエアを誘導したときに、反負荷側空間92から負荷側空間90にエアが流通してもよい。第2エア通路104、ギャップ72においてエアが流通するように第1エア通路100が設計されることは必須ではない。
【0073】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。実施形態及び変形形態において言及している構造には、寸法誤差、組立誤差等を考慮すると同一とみなすことができるものも当然に含まれる。
【0074】
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。例えば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形形態に対して実施形態及び他の変形形態の任意の説明事項を組み合わせてもよい。また、実施形態において単数部材により構成された構成要素は複数部材で構成されてもよい。同様に、実施形態において複数部材により構成された構成要素は単数部材で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…アクチュエータ、12…回転軸、12a…中空部、14…モータ、16…減速機、18…負荷側カバー、42…パイプ部材、62…ロータ、64…ステータ、66…モータハウジング、72…ギャップ、76…中空空間、78…負荷側外部空間、80…径方向外側空間、86…径方向内側空間、90…負荷側空間、92…反負荷側空間、100…第1エア通路、104…第2エア通路、108…第1エア供給孔、110…第2エア供給孔、112…放出部、120…スロープ、120a…第1領域、120b…第2領域、130…第3エア供給孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10