(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170204
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】印刷装置、及び、印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/08 20060101AFI20231124BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41M1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081769
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 亮
(72)【発明者】
【氏名】宮原 清一
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 正幸
(72)【発明者】
【氏名】中道 一貴
(72)【発明者】
【氏名】末安 祐介
【テーマコード(参考)】
2C035
2H113
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FB24
2C035FB27
2C035FD42
2H113AA01
2H113BA10
2H113BB07
2H113BB22
2H113BC12
2H113CA17
(57)【要約】
【課題】カメラが汚れているか否かを判定する。
【解決手段】所定の開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷する印刷装置は、基板を保持して開口に位置合わせする基板保持部と、開口にペーストを充填して基板にペーストを印刷する印刷ヘッドと、基板の位置合わせのため、マスクの裏面を撮像する撮像部と、撮像部を待機位置に移動させ、待機位置にて撮像した画像に基づいて、撮像部の汚れを判定する判定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷する印刷装置であって、
前記基板を保持して前記開口に位置合わせする基板保持部と、
前記開口にペーストを充填して前記基板に前記ペーストを印刷する印刷ヘッドと、
前記基板の位置合わせのため、前記マスクの裏面を撮像する撮像部と、
前記撮像部を待機位置に移動させ、前記待機位置にて撮像した画像に基づいて、前記撮像部の汚れを判定する判定部と、を備える
印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記撮像部は、印刷ヘッドが印刷を行う前に前記待機位置にて基準画像を撮像し、
前記判定部は、前記基準画像と前記画像を比較して、前記撮像部の汚れを判定する、
印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記判定部は、前記基準画像と前記画像との明るさの差が所定の閾値以上である場合に前記撮像部に汚れがあると判定する、
印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記判定部は、前記画像の画素毎に白黒の二値化の判定を行い、白と判定された画素数が所定の閾値以上である場合に前記撮像部に汚れがあると判定する、
印刷装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記撮像部は照明を有し、前記判定部が前記撮像部の汚れを判定する場合、前記照明の光量を前記マスクの裏面を撮像する場合に比べて大きくする、
印刷装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記判定部が前記撮像部に汚れがあると判定した場合、前記印刷ヘッドの印刷動作を停止させる制御部を有する、
印刷装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記判定部が前記撮像部に汚れがあると判定した場合、前記撮像部の汚れに関する情報を表示する表示部を有する、
印刷装置。
【請求項8】
所定の開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷する印刷方法であって、
基板保持部は、前記基板を保持して前記開口に位置合わせし、
印刷ヘッドは、前記開口にペーストを充填して前記基板に前記ペーストを印刷し、
撮像部は、前記基板の位置合わせのため、前記マスクの裏面を撮像し、
判定部は、前記撮像部を待機位置に移動させ、前記待機位置にて撮像した画像に基づいて、前記撮像部の汚れを判定する、
印刷方法。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷方法であって、
前記撮像部は、印刷ヘッドが印刷を行う前に前記待機位置にて基準画像を撮像し、
前記判定部は、前記基準画像と前記画像を比較して、前記撮像部の汚れを判定する、
印刷方法。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷方法であって、
前記判定部は、前記基準画像と前記画像との明るさの差が所定の閾値以上である場合に前記撮像部に汚れがあると判定する、
印刷方法。
【請求項11】
請求項8に記載の印刷方法であって、
前記判定部は、前記画像の画素毎に白黒の二値化の判定を行い、白と判定された画素数が所定の閾値以上である場合に前記撮像部に汚れがあると判定する、
印刷方法。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記撮像部は照明を有し、前記判定部が前記撮像部の汚れを判定する場合、前記照明の光量を前記マスクの裏面を撮像する場合に比べて大きくする、
印刷方法。
【請求項13】
請求項8から11のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
制御部は、前記判定部が前記撮像部に汚れがあると判定した場合、前記印刷ヘッドの印刷動作を停止させる、
印刷方法。
【請求項14】
請求項8から11のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
表示部は、前記判定部が前記撮像部に汚れがあると判定した場合、前記撮像部の汚れに関する情報を表示する、
印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マスク裏面を撮像するカメラと、そのカメラで撮像した画像を処理すると共に、その処理された画像からマスク裏面へ回り込んだ半田の汚れを判断する画像処理判断手段と、当該半田の汚れが所定値以上のとき、マスク裏面をクリーニングして、マスク裏面に回り込んだ半田を除去するクリーニング手段とを備えるスクリーン印刷機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるように、マスク裏面に半田が付着する場合がある。そのため、マスク裏面に付着した半田が、マスクの下方に位置するカメラに垂れ落ち、カメラを汚す場合がある。カメラが汚れると、カメラがマスクを正しく撮像できなくなり、マスクと基板との位置合わせを正しく行うことができなくなる。
【0005】
本開示の目的は、カメラが汚れているか否かを判定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る印刷装置は、所定の開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷する印刷装置であって、前記基板を保持して前記開口に位置合わせする基板保持部と、前記開口にペーストを充填して前記基板に前記ペーストを印刷する印刷ヘッドと、前記基板の位置合わせのため、前記マスクの裏面を撮像する撮像部と、前記撮像部を待機位置に移動させ、前記待機位置にて撮像した画像に基づいて、前記撮像部の汚れを判定する判定部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る印刷方法は、所定の開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷する印刷方法であって、基板保持部は、前記基板を保持して前記開口に位置合わせし、印刷ヘッドは、前記開口にペーストを充填して前記基板に前記ペーストを印刷し、撮像部は、前記基板の位置合わせのため、前記マスクの裏面を撮像し、判定部は、前記撮像部を待機位置に移動させ、前記待機位置にて撮像した画像に基づいて、前記撮像部の汚れを判定する。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、カメラが汚れているか否かを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る印刷装置の構成例を示す平面図
【
図2】本実施の形態に係る印刷装置において、カメラユニットがカメラ待機位置にて待機しているときの一例を示す側面図
【
図3】本実施の形態に係る印刷装置において、カメラユニットがマスク及び基板を撮像しているときの一例を示す側面図
【
図4】本実施の形態に係るカメラユニットの構成例を示す側面図
【
図5】本実施の形態に係るカメラ待機位置における撮像画像の第1例を示す図
【
図6】本実施の形態に係るカメラ汚れ判定処理の第1例を示すフローチャート
【
図7】本実施の形態に係るカメラ待機位置における撮像画像の第2例を示す図
【
図8】本実施の形態に係るカメラ汚れ判定処理の第2例を示すフローチャート
【
図9】本実施の形態に係る印刷装置の制御系の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(本実施の形態)
<印刷装置の構成>
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施の形態に係る印刷装置1の構成例を説明する。
図1は、本実施の形態に係る印刷装置1の構成例を示す平面図である。
図2は、本実施の形態に係る印刷装置1において、カメラユニット40がカメラ待機位置にて待機しているときの一例を示す側面図である。
図3は、本実施の形態に係る印刷装置1において、カメラユニット40がマスク3及び基板2を撮像しているときの一例を示す側面図である。
【0013】
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、基板2の搬送方向をX方向、X方向と水平面内において直交する方向をY方向、XY平面に対して垂直な方向をZ方向と定義する。また、説明の便宜上、X軸の正方向を「右」、X軸の負方向を「左」、Y軸の正方向を「前」、Y軸の負方向を「後」、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0014】
印刷装置1は、マスク枠11、基板保持テーブル12、基板保持テーブル移動機構13、印刷ユニット20、印刷ユニット移動機構30、カメラユニット40、カメラユニット移動機構50、マスク清掃ユニット60、マスク清掃ユニット移動機構70、ブレード清掃ユニット80、及び、ブレード清掃ユニット移動機構100を備える。
【0015】
マスク枠11は、
図1に示すように、印刷装置1を上から見て四角形の枠として形成される。マスク枠11には、可撓性を有するスクリーンマスク(以下、単に「マスク」と称する)3が展張される。マスク3は、基板2において印刷対象となる電極の形状及び位置に対応して、複数の開口4を有する。マスク3の上には、ペースト供給機構(図示しない)によってペースト5が供給される。ペースト5は、半田粒子を含む半田ペーストであってよい。あるいは、ペースト5は、導電性ペーストであってもよい。
【0016】
基板保持テーブル12は、マスク3の下方エリアに位置し、上面に基板2を保持(支持)する。
【0017】
基板保持テーブル移動機構13は、基板保持テーブル12を、X方向(
図2の矢印bx参照)、Y方向(
図2の矢印by参照)、Z方向(
図2の矢印bz参照)、及び、Z軸の回転方向(
図2の矢印bθ参照)に自在に移動させる機構を有する。基板保持テーブル移動機構13は、基板2の印刷対象となる電極の位置がマスク3の開口4の位置と一致するように、XY方向に基板保持テーブル12を移動させる。そして、基板保持テーブル移動機構13は、基板保持テーブル12をZ方向に移動(上昇)させて、基板2の上面(表面)をマスク3の下面(裏面)に当接させる。なお、基板保持テーブル12及び基板保持テーブル移動機構13はまとめて基板保持部と呼ばれてもよい。
【0018】
印刷ユニット20は、スキージ21及び印刷ヘッド22を含む。スキージ21は、X方向に延びる長方形状の平板であり、短手方向がマスク3の面に対して所定の角度だけ傾いている。印刷ヘッド22の下面には、2つのスキージ21が接続される。印刷ヘッド22は、2つのスキージ21をそれぞれ昇降させる機能を有する(
図2の矢印a1、a2参照)。
【0019】
印刷ユニット移動機構30には、印刷ヘッド22が接続される。印刷ユニット移動機構30は、印刷ヘッド22をY方向(
図1の矢印ay参照)に移動させる機構を有する。例えば、印刷ユニット移動機構30は、印刷ヘッド22をY方向に移動させるY軸ビーム(図示しない)を含んで構成される。
【0020】
カメラユニット40は、撮像素子41及びプリズム42を含む。カメラユニット40は、カメラ又は撮像部と読み替えられてもよい。カメラユニット40は、基板2及びマスク3の撮像を行わない場合、
図1及び
図2に示すように、上方にマスク3が存在しない所定のカメラ待機位置にて待機する。カメラユニット40は、基板2及びマスク3の撮像を行う場合、
図3に示すように、マスク3の下方(及び/又は基板2の上方)に移動する。撮像素子41は、プリズム42を介して、基板2の上面(表面)とマスク3の下面(裏面)とを撮像し、撮像画像を生成する。生成された撮像画像は、マスク3の開口4と基板2の印刷対象の電極との位置合わせに使用される。なお、カメラユニット40の構成の詳細については後述する(
図4参照)。
【0021】
カメラユニット移動機構50は、カメラユニット40を、X方向(
図1及び
図2のcx参照)及びY方向(
図1及び
図2のcy参照)に自在に移動させる機構を有する。例えば、
図1に示すように、カメラユニット移動機構50は、X軸ビーム51とY軸ビーム52とを含んで構成される。X軸ビーム51には、カメラユニット40が接続される。Y軸ビーム52には、X軸ビーム51が接続される。制御部200(
図9参照)は、X軸ビーム51をY軸ビーム52に沿って移動させる制御を行い、カメラユニット40をX軸ビーム51に沿って移動させる制御を行うことで、カメラユニット40をXY方向に自在に移動させる。なお、
図1に示すように、印刷装置1は、マスク枠11を挟む左右の位置に、Y軸方向に延びる2本のレール53を備えてよい。そして、X軸ビーム51は、当該2本のレール53上を摺動可能な2つのスライダ54を有してもよい。これにより、X軸ビーム51は、2本のレール53に沿ってY方向に滑らかに移動することができる。
【0022】
マスク清掃ユニット60は、ブレード61、ブレード保持体62、及び、移動ベース63を含む。ブレード61は、X方向に延びる長方形状の可撓性を有する金属製の平板であり、短手方向がマスク3の面に対して所定の角度だけ傾いている。なお、ブレード61は、ウレタンゴムに代表される弾性体によって形成されてもよい。ブレード保持体62は、複数のブレード61を保持する。移動ベース63は、ブレード保持体62を支持する。マスク清掃ユニット60は、マスク清掃を行わない場合、
図2に示すように、マスク枠11の手前側の辺よりもさらに手前に存在する所定の待機場所にて待機する。
【0023】
マスク清掃ユニット移動機構70には、マスク清掃ユニット60が接続される。マスク清掃ユニット移動機構70は、マスク清掃ユニット60をZ方向(
図2の矢印d1参照)及びY方向(
図1及び
図2の矢印dy参照)に移動させる機構を有する。
【0024】
ブレード清掃ユニット80は、ブレード61を清掃するためのユニットである。
【0025】
ブレード清掃ユニット移動機構100には、ブレード清掃ユニット80が接続される。ブレード清掃ユニット移動機構100は、ブレード清掃ユニット80をX方向(
図1の矢印ex参照)に移動させるX軸ビーム105を含んで構成される。ブレード清掃ユニット80は、ブレード清掃を行わない場合、
図1に示すように、マスク清掃ユニット60の待機場所の右端に位置する所定の待機場所で待機する。すなわち、ブレード清掃ユニット移動機構100は、ブレード清掃ユニット80を、マスク清掃ユニット60の上方から外れた待機位置へ移動させることができる。
【0026】
<カメラユニットの構成>
次に、
図4を参照して、カメラユニット40の構成について説明する。
図4は、本実施の形態に係るカメラユニット40の構成例を示す側面図である。
【0027】
カメラユニット40は、撮像素子41、プリズム42、レンズ43、照明44、及び、カバー45を含む。
【0028】
撮像素子41は、例えばCMOSセンサ又はCCDセンサである。実施の形態では、撮像素子41の光軸はY軸の正方向を向いている。レンズ43は、撮像素子41の光軸上(Y軸上)に配置される。プリズム42は、撮像素子41及びレンズ43の光軸上(Y軸上)に配置される。
【0029】
プリズム42は、マスク3の裏面を撮像する場合、上方向(Z軸の正方向)から到来する光をレンズ43及び撮像素子41の方向(Y軸の負方向)に屈折させる。これにより、撮像素子41は、マスク3の裏面を撮像できる。プリズム42は、基板2の表面を撮像する場合、下方向(Z軸の負方向)から到来する光をレンズ43及び撮像素子41の方向(Y軸の負方向)に屈折させる。これにより、撮像素子41は、基板2の表面を撮像できる。
【0030】
照明44は、マスク3の裏面を照らすように、プリズム42の上方に配置された上照明44Aと、基板2の表面を照らすように、プリズム42の下方に配置された下照明44Bとを含む。上照明44A及び下照明44Bは、それぞれ、複数のLEDによって構成されてよい。
【0031】
カバー45は、光透過性を有する板であり、プリズム42及び上照明44Aの上方に配置される。カバー45は、マスク3から垂れ落ちたペーストが上照明44A及びプリズム42に付着することを防止する。
【0032】
カメラユニット40は、撮像素子41にてマスク3及び基板2を撮像し、撮像画像を生成する。制御部200(
図9参照)は、生成された撮像画像に基づいて、基板2の印刷対象となる電極の位置がマスク3の開口4の位置と一致するように、基板保持テーブル12の移動量を算出する。制御部200は、算出した移動量に基づいて、基板保持テーブル移動機構13を制御し、XY方向に基板保持テーブル12を移動させる。これにより、マスク3と基板2との位置合わせが正しく行われ、基板2の正しい電極の位置にペースト5が塗布される。
【0033】
しかし、
図3に示すように、カメラユニット40がマスク3の下方に位置しているときに、マスク3から垂れ落ちたペースト5がカメラユニット40のカバー45又は上照明44Aに付着する場合がある。この場合、撮像素子41がマスク3を正常に撮像することができないため、制御部200は、撮像素子41を用いて、マスク3と基板2の位置合わせを正しく行うことができない。そこで、本実施の形態では、カメラユニット40のカバー45又は上照明44Aにペースト5が付着しているか否かを判定し、ペースト5が付着していると判定した場合、カメラユニット40の清掃を促す情報を表示する印刷装置1について説明する。なお、以下の説明において、カメラユニット40のカバー45又は上照明44Aにペースト5が付着していることを、「カメラが汚れている」と表現する場合がある。また、カメラユニット40のカバー45又は上照明44Aにペースト5が付着していないことを、「カメラが汚れていない」と表現する場合がある。
【0034】
<カメラ汚れ判定方法の第1例>
図5は、本実施の形態に係るカメラ待機位置における撮像画像の第1例を示す図である。
図5(a)は、カメラが汚れていない場合の撮像画像の一例を示し、
図5(b)は、カメラが汚れている場合の撮像画像の一例を示す。
図6は、本実施の形態に係るカメラ汚れ判定処理の第1例を示すフローチャートである。次に、
図5、
図6を参照して、カメラが汚れているか否かを判定するカメラ汚れ判定方法の第1例について説明する。
【0035】
制御部200は、カメラ汚れの判定を行う場合、カメラユニット40を
図2に示すカメラ待機位置に移動させる(S11)。なお、カメラ汚れの判定は、ある機種の生産の開始時又は機種の切り替え時に行われてよい。あるいは、カメラ汚れの判定は、所定回数以上、基板2が印刷された時に行われてよい。
【0036】
カメラ汚れ判定部204(
図9参照)は、上照明44Aの光量をマスク3の裏面を撮像する場合に比べて大きくし(例えば上照明44Aの光量を最大にし)、撮像素子41を制御して、画像を撮像する(S12)。このように撮像された画像を、汚れ判定用画像と称する。
図2に示すように、カメラユニット40の上方には印刷装置の天板120が配置されているため、カメラが汚れていない場合、カメラ待機位置にて撮像された汚れ判定用画像は、
図5(a)に示すように、明るさの低い黒寄りの画素が多くなる。一方、カメラが汚れている場合、カメラ待機位置にて撮像された汚れ判定用画像は、
図5(b)に示すように、
図5(a)と比べて、明るさの高い白寄りの画素が多くなる。
【0037】
カメラ汚れ判定部204は、汚れ判定用画像を、所定の閾値に基づいて、白黒の二値化を行い、二値化画像を生成する(S13)。なお、当該閾値は、オペレータが変更可能であってよい。
【0038】
カメラ汚れ判定部204は、二値化画像における白の画素の割合(以下、白画素割合と称する)を算出する(S14)。
【0039】
カメラ汚れ判定部204は、白画素割合が所定の閾値(例えば30%)以上であるか否かを判定する(S15)。なお、当該閾値は、オペレータが変更可能であってもよい。
【0040】
白画素割合が所定の閾値未満である場合(S15:NO)、カメラ汚れ判定部204は、カメラは汚れていないと判定する(S16)。上述したように、カメラが汚れていない場合に撮像された汚れ判定用画像は、明るさの低い黒寄り画素が多い。そのため、二値化画像において白画素割合が閾値未満であるということは、カメラは汚れていない可能性が高いためである。そして、本処理は終了する。
【0041】
白画素割合が所定の閾値以上である場合(S15:YES)、カメラ汚れ判定部204は、カメラが汚れていると判定し、カメラユニット40の清掃を促す情報を表示部130(
図9参照)に表示する(S17)。上述したように、カメラが汚れている場合に撮像された汚れ判定用画像は、明るさの高い白寄り画素が多い。そのため、二値化画像において白画素割合が閾値以上であるということは、カメラが汚れている可能性が高いためである。なお、カメラ汚れ判定部204は、カメラユニット40の清掃を促す情報を表示部130に表示すると共に、又は、カメラユニット40の清掃を促す情報を表示部130に表示するに代えて、カメラユニット40の清掃を促す音声をスピーカ(図示しない)から出力してもよい。
【0042】
次に、制御部200は、印刷ヘッド22の印刷動作を停止する(S18)。そして、本処理は終了する。なお、制御部200は、オペレータがカメラユニット40を清掃するまで、印刷ヘッド22の印刷動作を再開しなくてもよい。カメラユニット40に汚れが付着している状態では、上述した通り、マスク3と基板2の位置合わせを正しく行うことができず、不良品が生産されてしまうためである。
【0043】
なお、ステップS14において、カメラ汚れ判定部204は、二値化画像における白の画素数(以下、白画素数と称する)を算出してもよい。この場合、カメラ汚れ判定部204は、ステップS15において、白画素数が所定の閾値以上であるか否かを判定してよい。そして、カメラ汚れ判定部204は、白画素数が所定の閾値未満である場合(S15:NO)、ステップS16において、カメラが汚れていないと判定し、白画素数が所定の閾値以上である場合(S15:YES)、ステップS17において、カメラが汚れていると判定してもよい。
【0044】
<カメラ汚れ判定方法の第2例>
図7は、本実施の形態に係るカメラ待機位置における撮像画像の第2例を示す図である。
図7(a)は、基準画像の一例を示し、
図7(b)は、カメラが汚れていない場合の撮像画像の一例を示し、
図7(c)は、カメラが汚れている場合の撮像画像の一例を示す。
図8は、本実施の形態に係るカメラ汚れ判定処理の第2例を示すフローチャートである。次に、
図7、
図8を参照して、カメラが汚れているか否かを判定するカメラ汚れ判定方法の第2例について説明する。
【0045】
カメラユニット40の撮像素子41は、
図2に示すカメラ待機位置において、カメラが汚れていない状態で、
図7(a)に示す、基準画像を予め撮像し、記憶部201(
図9参照)に記憶しておく。基準画像は、カメラが汚れていないので、
図7(a)に示すように、明るさの低い黒寄りの画素が多くなる。なお、基準画像は、印刷装置1の出荷前に予め撮像され、記憶部201に格納されてもよい。
【0046】
そして、制御部200は、
図6のステップS11~ステップS12と同様の処理を行う(S31~S32)。これにより、カメラが汚れていない場合、カメラ待機位置にて撮像された汚れ判定用画像は、
図8(b)に示すように、明るさの低い黒寄りの画素が多くなる。一方、カメラが汚れている場合、カメラ待機位置にて撮像された汚れ判定用画像は、
図8(c)に示すように、
図8(b)と比べて、明るさの高い白寄りの画素が多くなる。
【0047】
カメラ汚れ判定部204は、基準画像の明るさと、汚れ判定用画像の明るさとを比較する。例えば、カメラ汚れ判定部204は、基準画像の各画素の明るさの平均値と、汚れ判定用画像の各画素の明るさの平均値との差(以下、明るさの差と称する)を算出する(S33)。
【0048】
カメラ汚れ判定部204は、明るさの差が所定の閾値以上であるか否か判定する(S34)。なお、当該閾値は、オペレータが変更可能であってもよい。
【0049】
明るさの差が所定の閾値未満である場合(S34:NO)、カメラ汚れ判定部204は、カメラは汚れていないと判定する(S35)。上述したように、カメラが汚れていない場合に撮像された汚れ判定用画像は、
図7(b)に示すように、明るさの低い黒寄り画素が多い。そのため、明るさの差が閾値未満であるということは、汚れ判定用画像の明るさは基準画像の明るさに近く、カメラは汚れていない可能性が高いためである。そして、処理はステップS31に戻る。
【0050】
明るさの差が所定の閾値以上である場合(S34:YES)、カメラ汚れ判定部204は、カメラが汚れていると判定し、カメラユニット40の清掃を促す情報を表示部130(
図9参照)に表示する(S36)。上述したように、カメラが汚れている場合に撮像された汚れ判定用画像は、
図7(c)に示すように、明るさの高い白寄り画素が多い。そのため、明るさの差が閾値以上であるということは、汚れ判定用画像の明るさは基準画像の明るさから大きく外れており、カメラが汚れている可能性が高いためである。
【0051】
次に、制御部200は、印刷ヘッド22の印刷動作を停止する(S37)。そして、本処理は終了する。なお、制御部200は、オペレータがカメラユニット40を清掃するまで、印刷ヘッド22の印刷動作を再開しなくてもよい。
【0052】
<制御系の構成>
次に、
図9を参照して、本実施の形態に係る印刷装置1の制御系の構成を説明する。
図9は、本実施の形態に係る印刷装置1の制御系の構成例を示す図である。
【0053】
印刷装置1が備える制御部200は、記憶部201、機構駆動部202、認識処理部203、及び、カメラ汚れ判定部204を含んで構成される。
【0054】
記憶部201は、基板2にペースト5を印刷するために用いられる印刷作業データ、マスク3の下面を清掃するために用いられるマスク清掃作業データ、ブレード61のエッジを清掃するために用いられるブレード清掃作業データ等を記憶する。なお、上述した汚れ判定方法の第2例を採用する場合、記憶部201は、基準画像を記憶してよい。
【0055】
機構駆動部202は、制御部200によって制御されて、基板保持テーブル移動機構13、印刷ユニット移動機構30、印刷ヘッド22、カメラユニット移動機構50、マスク清掃ユニット移動機構70、及び、ブレード清掃ユニット移動機構100を駆動する。
【0056】
認識処理部203は、撮像素子41によって撮像された撮像画像を解析して、基板2の位置及びマスク3の位置等を認識する。
【0057】
カメラ汚れ判定部204は、上述した通り、汚れ判定用画像(及び基準画像)に基づいて、カメラが汚れているか否かを判定する。
【0058】
表示部130は、例えば液晶ディスプレイとして構成され、オペレータに知らせる各種情報を表示する。例えば、表示部130は、上述した通り、オペレータにカメラユニット40の清掃を促す情報を表示する。
【0059】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は、以下の項目のように表現できる。
【0060】
<項目1>
所定の開口が形成されたマスク(3)を用いて基板(2)にペースト(5)を印刷する印刷装置(1)は、基板保持部(例えば基板保持テーブル12及び基板保持テーブル移動機構13)、印刷ヘッド(22)、撮像部(例えばカメラユニット40)、判定部(例えばカメラ汚れ判定部204)を備える。
基板保持部は、基板を保持して開口(4)に位置合わせする。
印刷ヘッドは、開口にペーストを充填して基板にペーストを印刷する。
撮像部は、基板の位置合わせのため、マスクの裏面を撮像する。
判定部は、撮像部を待機位置に移動させ、待機位置にて撮像した画像に基づいて、撮像部の汚れを判定する。
これにより、印刷装置は、待機位置にて撮像した画像に基づいて、撮像部が汚れているか否かを判定できる。
【0061】
<項目2>
項目1に記載の印刷装置において、撮像部及び判定部は次の動作を行う。
撮像部は、印刷ヘッドが印刷を行う前に待機位置にて基準画像を撮像する。
判定部は、基準画像と画像を比較して、撮像部の汚れを判定する。
これにより、印刷装置は、待機位置にて撮像した画像と基準画像との比較により、撮像部が汚れているか否かを判定できる。
【0062】
<項目3>
項目2に記載の印刷装置において、判定部は、基準画像と上記撮像した画像との明るさの差が所定の閾値以上である場合に撮像部に汚れがあると判定する。
これにより、印刷装置は、待機位置にて撮像した画像と基準画像との明るさの差により、撮像部が汚れているか否かを判定できる。
【0063】
<項目4>
項目1に記載の印刷装置において、判定部は、画像の画素毎に白黒の二値化の判定を行い、白と判定された画素数が所定の閾値以上である場合に撮像部に汚れがあると判定する。
これにより、印刷装置は、待機位置にて撮像した画像を二値化した画像における白画素数に基づいて、撮像部が汚れているか否かを判定できる。
【0064】
<項目5>
項目1~4のいずれか一項に記載の印刷装置において、撮像部は照明(44)を有する。
制御部200は、判定部(例えばカメラ汚れ判定部204)が撮像部の汚れを判定する場合、照明(44)の光量をマスクの裏面を撮像する場合に比べて大きくする。
これにより、汚れが白寄りの画素として撮像されるので、撮像部が汚れているか否かの判定の精度が向上する。
【0065】
<項目6>
項目1~5のいずれか一項に記載の印刷装置は、さらに制御部(200)を備える。
制御部は、判定部が撮像部に汚れがあると判定した場合、印刷ヘッド(22)の印刷動作を停止させる。
これにより、撮像部に汚れがあり、マスクと基板を正しく位置合わせできない場合に、印刷動作が行われて不良品が生成されてしまうことを防止できる。
【0066】
<項目7>
項目1~6のいずれか一項に記載の印刷装置は、さらに表示部(130)を備える。
表示部は、判定部が撮像部に汚れがあると判定した場合、撮像部の汚れに関する情報を表示する。
これにより、オペレータは、表示部に表示された撮像部の汚れに関する情報を見て、撮像部の汚れを清掃する必要があることを知る。
【0067】
なお、上記の項目1~項目7に記載の内容は、印刷方法として表現されてもよい。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示の技術は、基板にペーストを印刷する実装分野に有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 印刷装置
2 基板
3 マスク
4 開口
5 ペースト
11 マスク枠
12 基板保持テーブル
13 基板保持テーブル移動機構
20 印刷ユニット
21 スキージ
22 印刷ヘッド
30 印刷ユニット移動機構
40 カメラユニット
41 撮像素子
42 プリズム
43 レンズ
44 照明
44A 上照明
44B 下照明
45 カバー
50 カメラユニット移動機構
51 X軸ビーム
52 Y軸ビーム
53 レール
54 スライダ
60 マスク清掃ユニット
61 ブレード
62 ブレード保持体
63 移動ベース
70 マスク清掃ユニット移動機構
80 ブレード清掃ユニット
100 ブレード清掃ユニット移動機構
105 X軸ビーム
120 天板
130 表示部
200 制御部
201 記憶部
202 機構駆動部
203 認識処理部
204 カメラ汚れ判定部