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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170210
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20231124BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20231124BHJP
   F24H 8/00 20220101ALI20231124BHJP
【FI】
F24H9/00 B
F24H9/16 A
F24H8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081780
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】木下 将晃
(72)【発明者】
【氏名】柘植 真吾
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L034BA26
3L036AA04
3L036AA06
3L036AA12
3L036AA13
3L036AA15
3L036AA46
(57)【要約】
【課題】中和器及びドレン排出管を廃止しつつドレン排出が可能であり、コスト面及び衛生面で優れた熱源装置を提供する。
【解決手段】給湯装置1は、バーナ20の燃焼排気から顕熱を吸収する顕熱熱交換器32と、顕熱熱交換器32の燃焼排気下流側に配置され、顕熱熱交換器32を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する潜熱熱交換器34と、燃焼排気を外部に排出する排気口22aと、バーナ20に燃焼用空気を供給するとともに、燃焼排気をバーナ20から顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を経て排気口22aに送るファン14と、潜熱熱交換器34で結露により生成したドレン82を受けるドレン受け皿76と、ドレン受け皿76で受けたドレン82に超音波振動を付与してドレン82が霧化したドレンミスト84を生成する超音波素子80と、燃焼排気にドレンミスト84を混合させてミスト混合排気88を生成する混合部86とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼するバーナと、
前記バーナの燃焼排気から顕熱を吸収する顕熱熱交換器と、
前記顕熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置され、前記顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する潜熱熱交換器と、
前記潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を外部に排出する排気口と、
前記バーナに燃焼用空気を供給するとともに、燃焼排気を前記バーナから前記顕熱熱交換器及び前記潜熱熱交換器を経て前記排気口に送るファンと、
前記潜熱熱交換器で結露により生成したドレンを受けるドレン受け部とを備えた熱源装置において、
前記ドレン受け部で受けた前記ドレンが霧化したドレンミストを生成する霧生成器と、
前記潜熱熱交換器を通過中又は通過後の燃焼排気に前記ドレンミストを混合させてミスト混合排気を生成する混合部とを備えていることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
前記霧生成器は、前記ドレンに超音波振動を付与する超音波素子である請求項1記載の熱源装置。
【請求項3】
前記ドレン受け部は、前記ファンの送風力による燃焼排気流の中に配置されるとともに、前記潜熱熱交換器の下方に配置されたドレン受け皿であり、
前記霧生成器は、前記ドレン受け皿に設置され、
前記混合部は前記ドレン受け皿の上方に設けられる請求項1又は2記載の熱源装置。
【請求項4】
前記ドレン受け部は、前記潜熱熱交換器の下方に配置されたドレン受け皿と、前記ドレン受け皿で受けた前記ドレンを貯留するために、往き連絡管及び戻り連絡管によって連通接続されるドレン容器とを有し、
前記霧生成器は、前記ドレン容器に設置され、
前記ドレン容器内には前記潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気の一部が前記往き連絡管により導かれ、前記混合部は前記ドレン容器内及び前記戻り連絡管と前記潜熱熱交換器下流側との合流部に設けられる請求項1又は2記載の熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の熱源装置の一例が開示されている。この熱源装置は、バーナと、顕熱熱交換器と、潜熱熱交換器と、排気口と、ファンと、ドレン受け部とを備えている。
【0003】
バーナは燃料を燃焼する。顕熱熱交換器は、バーナの燃焼排気から顕熱を吸収する。潜熱熱交換器は、顕熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置され、顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する。排気口は、潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を装置の外部に排出する。ファンは、バーナに燃焼用空気を供給するとともに、燃焼排気をバーナから顕熱熱交換器及び潜熱熱交換器を経て排気口に送る。ドレン受け部は、潜熱熱交換器で結露により生成したドレンを受ける。
【0004】
また、この熱源装置は、中和器をさらに備えている。中和器は、ドレン受け部で受けたドレンを貯留する。この中和器では、中和剤によって酸性のドレンが中和される。中和器で中和されたドレンは、装置内のドレン排出流路を介して装置の外部に排出される。
【0005】
この熱源装置では、例えば、潜熱熱交換器に給水管が接続されるとともに、顕熱熱交換器に給湯管が接続される。これにより、給水管内の水を潜熱熱交換器で加熱するとともに、潜熱熱交換器で加熱された水を顕熱熱交換器でさらに加熱して給湯管に供給することができる。そして、顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を回収することで、熱をリサイクルすることができ、燃料消費量を削減できる。このため、この熱源装置によれば、高熱効率及び低CO2 排出量を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-13300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の熱源装置を例えば既築のマンション等の集合住宅に設置する場合、ドレン排出管によって、集合住宅に備え付けられている排水設備と上記ドレン排出流路とを接続する必要がある。このようなドレン排出管を設けるには工事費用がかかるため、高熱効率及び低CO2 排出量の熱源装置への買い替えの妨げとなっている。
【0008】
また、中和器は、定期的な中和剤の交換が必要であるため、コストの高騰につながる。さらに、中和器を例えば屋外に設置する場合、レジオネラ菌が発生するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、中和器及びドレン排出管を廃止しつつドレン排出が可能であり、コスト面及び衛生面で優れた熱源装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱源装置は、燃料を燃焼するバーナと、
前記バーナの燃焼排気から顕熱を吸収する顕熱熱交換器と、
前記顕熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置され、前記顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する潜熱熱交換器と、
前記潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を外部に排出する排気口と、
前記バーナに燃焼用空気を供給するとともに、燃焼排気を前記バーナから前記顕熱熱交換器及び前記潜熱熱交換器を経て前記排気口に送るファンと、
前記潜熱熱交換器で結露により生成したドレンを受けるドレン受け部とを備えた熱源装置において、
前記ドレン受け部で受けた前記ドレンに超音波振動を付与して前記ドレンが霧化したドレンミストを生成する霧生成器と、
前記潜熱熱交換器を通過中又は通過後の燃焼排気に前記ドレンミストを混合させてミスト混合排気を生成する混合部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の熱源装置では、バーナに燃焼用空気を供給するファンの送風力により、バーナからの燃焼排気が顕熱熱交換器及び潜熱熱交換器を順に経て排気口に送られる。また、潜熱熱交換器で結露により生成してドレン受け部で受けたドレンは、霧生成器によりドレンが霧化され、ドレンミストが生成される。混合部では、潜熱熱交換器を通過中又は通過後の燃焼排気にドレンミストが混合され、ミスト混合排気が生成される。こうして生成されたミスト混合排気は、ファンの送風力により、排気口から装置の外部に排出される。このように潜熱熱交換器で生成したドレンは、ミスト混合排気となって燃焼排気と共に装置の外部に排出される。このため、コスト面や衛生面で懸念のある中和器やドレン排出管が不要となる。
【0012】
したがって、本発明の熱源装置は、中和器及びドレン排出管を廃止しつつドレン排出が可能であり、コスト面及び衛生面で優れる。
【0013】
霧生成器は、ドレンに超音波振動を付与する超音波素子であることが好ましい。この場合、ドレン受け部で受けたドレンに超音波素子から超音波振動が付与されることにより、そのドレンが霧化されて、ドレンミストが生成される。
【0014】
ドレン受け部は、ファンの送風力による燃焼排気流の中に配置されるとともに、潜熱熱交換器の下方に配置されたドレン受け皿であることが好ましい。霧生成器は、ドレン受け皿に設置されることが好ましい。そして、混合部はドレン受け皿の上方に設けられることが好ましい。
【0015】
この場合、潜熱熱交換器の下方にドレン受け皿を設置すればよく、構造の簡素化を図れる。また、ファンの送風力による燃焼排気流の中で、ドレン受け部で受けたドレンが霧化されるため、霧化直後のドレンミストと燃焼排気とを即座に混合することができ、ミスト混合排気の生成が促進される。
【0016】
ドレン受け部は、潜熱熱交換器の下方に配置されたドレン受け皿と、ドレン受け皿で受けたドレンを貯留するために、往き連絡管及び戻り連絡管によって連通接続されるドレン容器とを有することが好ましい。霧生成器は、ドレン容器に設置されることが好ましい。そして、ドレン容器内には潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気の一部が往き連絡管により導かれ、混合部はドレン容器内及び戻り連絡管と潜熱熱交換器下流側との合流部に設けられることが好ましい。
【0017】
この場合、ドレン容器にドレンを貯留することができるため、ドレンが大量に発生する事態にも対応できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の熱源装置は、中和器及びドレン排出管を廃止しつつドレン排出が可能であり、コスト面及び衛生面で優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施例1の給湯装置の模式構成図である。
図2図2は、実施例2の給湯装置の模式構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例1)
実施例1の給湯装置1は、本発明の熱源装置の具体的態様の一例である。図1は、前方から見た給湯装置1の模式構成図であり、図1の紙面手前側を給湯装置1の前方と規定し、図1の紙面左側を給湯装置1の左方と規定し、図1の紙面上側を給湯装置1の上方と規定する。
【0022】
<筐体>
図1に示すように、給湯装置1は筐体10を備えている。筐体10は、略直方体形状の内部空間を区画する。
【0023】
<缶体及びファン>
給湯装置1は、缶体12と、ファン14とを備えている。
【0024】
缶体12は、筐体10内において、上部に配置されている。缶体12内には、燃焼室16と、燃焼室16の上方に延びる排気通路18とが形成されている。燃焼室16にはバーナ20が配置されている。
【0025】
缶体12の左側壁の上端側には、缶体12から左向きに突出する排気管22が設けられている。排気管22の一端は排気通路18に連通している。排気管22の他端である排気口22aは、筐体10の左側壁を貫通して、筐体10の外部に露出している。バーナ20からの燃焼排気は、燃焼室16から排気通路18、排気管22及び排気口22aを介して外部へ排出される。
【0026】
ファン14は、筐体10内において、缶体12の下方に配置されている。ファン14は、燃焼室16内のバーナ20に燃焼用空気を供給する。また、ファン14は、バーナ20からの燃焼排気を缶体12内で上昇させ、燃焼室16、排気通路18及び排気管22を順に経て排気口22aに送る。
【0027】
バーナ20には、ガス供給管24の一端が接続されている。ガス供給管24の他端は、筐体10の外部にある図示しないガス供給源に接続されている。ガス供給管24には、元ガス電磁弁26、ガス比例弁28及びガス電磁弁30がこの順で配置されている。これにより、バーナ20には、外部のガス供給源から元ガス電磁弁26、ガス比例弁28及びガス電磁弁30を経由して、都市ガスやプロパンガス等の燃料ガスが供給される。
【0028】
元ガス電磁弁26は、バーナ20に対する燃料ガスの供給及び停止を制御する。ガス比例弁28は、バーナ20への燃料ガスの供給量を弁開度でもって制御する。ガス電磁弁30は、バーナ20への燃料ガスの供給及び停止を制御する。バーナ20は、燃料ガスを炎口から吐出して燃焼させる。これにより、バーナ20は、高温の燃焼排気を生成する。
【0029】
<顕熱熱交換器及び潜熱熱交換器>
給湯装置1は、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を備えている。顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34は、缶体12内の上部において、排気通路18内に収容されている。顕熱熱交換器32は、バーナ20よりも上方に位置し、排気通路18内において下部に配置されている。潜熱熱交換器34は、顕熱熱交換器32よりも上方に位置し、排気通路18内において上部に配置されている。顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34は、給湯装置1の左右方向において、缶体12内のほぼ全体に延在している。
【0030】
バーナ20が生成した高温の燃焼排気は、燃焼室16から上昇して排気通路18内へ流れ、排気通路18内を上昇しつつ排気管22に向かって流れる。すなわち、バーナ20からの燃焼排気は、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を順に通過しつつ排気通路18内を上昇する。燃焼排気は、顕熱熱交換器32での熱交換によって冷却され、その後に潜熱熱交換器34での熱交換によってさらに冷却された後、排気管22の排気口22aから筐体10の外部に排出される。
【0031】
顕熱熱交換器32は、伝熱管36を有している。伝熱管36は、複数の直線部分と、円弧状に折り返して各直線部分を連通させる複数の折り返し部分とを含んで蛇行している。伝熱管36の各直線部分は、複数の伝熱フィンを有している。
【0032】
顕熱熱交換器32は、伝熱管36内を流通する水と、バーナ20が生成した高温の燃焼排気との間で熱交換を行い、その燃焼排気の顕熱を吸収する。
【0033】
潜熱熱交換器34は、伝熱管38を有している。伝熱管38は、複数の直線部分と、円弧状に折り返して各直線部分を連通させる複数の折り返し部分とを含んで蛇行するコルゲート管である。
【0034】
潜熱熱交換器34は、伝熱管38内を流通する水と、バーナ20が生成した高温の燃焼排気であって、顕熱熱交換器32を通過した後の燃焼排気との間で熱交換を行い、燃焼排気を露点温度以下まで冷却してその燃焼排気の潜熱を吸収する。
【0035】
こうして、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34はそれぞれ、内部を通過する水を高温の燃焼排気により加熱して湯に変換する。
【0036】
<給水管、連絡管、給湯管及びバイパス管>
給湯装置1は、給水管40、連絡管42、給湯管44及びバイパス管46を備えている。給水管40、連絡管42、給湯管44及びバイパス管46は、筐体10内に収容されている。
【0037】
給水管40の上流端は、後述する給水接続部材56に接続している。給水管40の下流端は、給水管40の上流端よりも上方に位置し、潜熱熱交換器34の伝熱管38の入口に接続している。
【0038】
連絡管42の上流端は、潜熱熱交換器34の伝熱管38の出口に接続している。連絡管42の下流端は、連絡管42の上流端よりも下方に位置し、顕熱熱交換器32の伝熱管36の入口に接続している。
【0039】
連絡管42における顕熱熱交換器32の伝熱管36の入口付近には、給湯ハイリミットスイッチ48が設けられている。給湯ハイリミットスイッチ48は、顕熱熱交換器32の過熱を検出する。
【0040】
給湯管44の上流端は、顕熱熱交換器32の伝熱管36の出口に接続している。給湯管44の下流端は、給湯管44の上流端よりも下方に位置し、後述する給湯接続部材58に接続している。
【0041】
給湯管44における顕熱熱交換器32の伝熱管36の出口付近には、熱交換器出口サーミスタ52が設けられている。熱交換器出口サーミスタ52は、顕熱熱交換器32から給湯管44に流入する湯の温度を検出する。給湯管44における後述する給湯接続部材58付近のバイパス管46との合流点の下流側には、給湯サーミスタ54が設けられている。給湯サーミスタ54は、給湯管44から後述する外部の給湯路66へ送り出される湯の温度を検出する。
【0042】
バイパス管46の上流端は、給水管40に接続している。バイパス管46の下流端は、給湯管44に接続している。給水管40とバイパス管46との接続箇所には、後述する水量制御部60のバイパスサーボ74が設けられている。
【0043】
<給水接続部材、給湯接続部材及び水量制御部>
給湯装置1は、給水接続部材56、給湯接続部材58及び水量制御部60を備えている。
【0044】
給水接続部材56には、筐体10の外部にある給水路62が接続されている。給水接続部材56は、水フィルタ兼水抜き栓64を有している。
【0045】
給湯接続部材58は、筐体10の外部にある給湯路66が接続されている。給湯接続部材58は、給湯管44内の圧力が過大になったときに作動して圧力を逃がす過圧逃がし弁兼水抜栓68を有している。
【0046】
水量制御部60は、給水管40における給水接続部材56付近に設けられている。水量制御部60は、水量センサ70、水量サーボ72及びバイパスサーボ74を有している。水量制御部60は、給水管40及びバイパス菅46を流れる水の流量を制御する。
【0047】
水量センサ70は、給水管40を流れる水の流量を検出する。水量サーボ72は、給水管40を流れる水の流量を調整する。バイパスサーボ74は、バイパス管46への開度を調整することで、給水管40を介して潜熱熱交換器34に送られる水の流量と、給水管40からバイパス管46へ送られる水の流量の割合を調整する。また、バイパスサーボ74は、水量制御部60に供給される水を給水管40のみに案内するバイパス閉状態と、水量制御部60に供給される水を給水管40だけでなくバイパス管46にも案内するバイパス開状態と、に切り替わる。水量サーボ72は、給湯管44から外部の給湯路66へ送り出される湯の全流量を制御する。
【0048】
<ドレン受け部、超音波素子及び混合部>
給湯装置1は、潜熱熱交換器34で結露により生成したドレン82を受けるドレン受け皿76を備えている。ドレン受け皿76は、本発明のドレン受け部の一例である。
【0049】
ドレン受け皿76は、排気通路18内において、顕熱熱交換器32と潜熱熱交換器34との間であって、潜熱熱交換器34の下方に配置されている。ドレン受け皿76は、ファン14の送風力による燃焼排気流の中に配置されている。ドレン受け皿76は、給湯装置1の左右方向及び前後方向において、潜熱熱交換器34とほぼ同程度の長さで延在している。
【0050】
ドレン受け皿76の底壁78の上面には、超音波素子80が設置されている。超音波素子80は、本発明の霧生成器の一例である。超音波素子80は、底壁78のほぼ全体に延在している。超音波素子80は、ドレン受け皿76で受けたドレン82に超音波振動を付与して、ドレン82を霧化し、ドレンミスト84を生成する。
【0051】
ドレン受け皿76の上方は、混合部86とされている。すなわち、混合部86はファン14の送風力による燃焼排気流の中に設けられている。混合部86では、潜熱熱交換器34を通過中の燃焼排気にドレンミスト84が混合されて、ミスト混合排気88が生成される。混合部86内のミスト混合排気88は、ファン14の送風力を受けて、排気管22を介して排気口22aから外部に排出される。
【0052】
<給湯動作>
給湯装置1が外部の給湯路66に対して給湯を行う際には、ファン14を作動させてバーナ20に燃焼用空気を供給しつつ、外部のガス供給源からバーナ20に燃料ガスを供給して、燃料ガスを燃焼させる。この際、外部の給水源から給水路62に供給される水は、給水管40を介して潜熱熱交換器34へ送られる。この水は、潜熱熱交換器34での熱交換によって加熱され、その後に顕熱熱交換器32での熱交換によってさらに加熱されて高温の湯となる。この湯は、給湯管44を介して外部の給湯路66へ供給される。この際、顕熱熱交換器32から給湯管44に流入する高温の湯と、給水管40からバイパス管46を介して給湯管44に流入する低温の水が混合されて、給湯路66へ供給される湯の温度が調整される。バーナ20の燃焼量や、バイパスサーボ74におけるバイパス管46の開度を調整することで、給湯路66へ供給される湯の温度を所望の温度に調整することができる。
【0053】
<作用効果>
実施例1の給湯装置1では、バーナ20に燃焼用空気を供給するファン14の送風力により、バーナ20からの燃焼排気が燃焼室16から排気通路18を流通して、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を順に経て排気管22に送られる。
【0054】
潜熱熱交換器34で結露により生成してドレン受け皿76で受けたドレン82には、超音波素子80により超音波振動が付与される。これによりドレン82が霧化され、ドレンミスト84が生成される。潜熱熱交換器34の上方に設けられた混合部86では、潜熱熱交換器34を通過中の燃焼排気にドレンミスト84が混合され、ミスト混合排気88が生成される。こうして生成されたミスト混合排気88は、ファン14の送風力により、排気口22aから給湯装置1の外部に排出される。
【0055】
このように潜熱熱交換器34で生成したドレン82は、ミスト混合排気88となって燃焼排気と共に給湯装置1の外部に排出される。このため、コスト面や衛生面で懸念のある中和器やドレン排出管が不要となる。
【0056】
したがって、この給湯装置1は、中和器及びドレン排出管を廃止しつつドレン排出が可能であり、コスト面及び衛生面で優れる。
【0057】
この給湯装置1では、ドレン受け皿76で受けたドレン82は、即座に超音波振動により霧化されてドレンミスト84となる。このため、ドレン受け皿76に貯留されるドレン82を少なくすることができる。また、ドレン受け皿76がファン14の送風力による燃焼排気流の中に配置され、混合部86がこの燃焼排気流の中に設けられている。このため、霧化直後のドレンミスト84と燃焼排気とを即座に混合することができ、ミスト混合排気88の生成が促進される。さらに、ドレン受け皿76に貯留されたドレン82は、燃焼排気により加熱されるため、ドレン82の蒸発も促進される。これらによって、この給湯装置1は、ドレン82が大量に発生した場合にも対応しやすい。
【0058】
また、この給湯装置1によれば、潜熱熱交換器34の下方にドレン受け皿76を設置すればよく、構造の簡素化を図れる。
【0059】
この給湯装置1において、排気口22aから外部に排出されるミスト混合排気88を含む燃焼排気は、潜熱熱交換器34を有さず、顕熱熱交換器32のみを有する顕熱回収型熱源装置から排出される燃焼排気と同様の成分となる。このため、この給湯装置1から排出される燃焼排気は、顕熱回収型熱源装置から排出される燃焼排気と同様の安全性が確保される。
【0060】
また、ドレン受け皿76に溜まるドレン82は中和されていないので、レジオネラ菌の発生を抑えることができる。
【0061】
(実施例2)
図2に示すように、実施例2の給湯装置2は、実施例1の給湯装置1に係るドレン受け部、超音波素子及び混合部の構成を変更している。
【0062】
給湯装置2は、ドレン受け皿76と、超音波素子80と、ドレン容器90と、往き連絡管92と、戻り連絡管94とを備えている。ドレン受け皿76及びドレン容器90は、本発明のドレン受け部の一例である。
【0063】
ドレン受け皿76は、排気通路18内において、顕熱熱交換器32と潜熱熱交換器34との間であって、潜熱熱交換器34の下方に配置されている。ドレン受け皿76は、ファン14の送風力による燃焼排気流の中に配置されている。ドレン受け皿76は、給湯装置2の左右方向及び前後方向において、潜熱熱交換器34とほぼ同程度の長さで延在している。
【0064】
ドレン受け皿76の底壁78の上面は、燃焼排気下流側に向かって、すなわち筐体10の右方から左方に向かって、下方に傾斜した傾斜面とされている。このドレン受け皿76の底壁78には、その左端の最下端部において、往き連絡管92の一端が接続されている。往き連絡管92の他端はドレン容器90の上端部に接続されている。
【0065】
ドレン容器90は筐体10の左端側の底部に配置されている。ドレン容器90の上端部には、戻り連絡管94の一端が接続されている。戻り連絡管94の他端は、排気管22の途中に接続されている。ドレン容器90内は、往き連絡管92及び戻り連絡管94に連通する以外は密閉空間とされている。ドレン容器90には、ドレン受け皿76で受けたドレン82が往き連絡管92を介して導入される。また、ドレン容器90には、潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気の一部が、ファン14の送風力により往き連絡管92を介して導入される。
【0066】
ドレン容器90内の底面には超音波素子80が配置されている。超音波素子80は、ドレン容器90内に貯留されたドレン82に超音波振動を付与して、ドレン82を霧化し、ドレンミスト84を生成する。
【0067】
ドレン容器90内の上部及び戻り連絡管94と潜熱熱交換器34下流側の排気管22との合流部22bは、混合部86とされている。ドレン容器90内の上部では、潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気の一部にドレンミスト84が混合されて、ミスト混合排気88の一部が生成される。また、戻り連絡管94と排気管22との合流部22bでは、潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気に戻り連絡管94を通って上昇したドレンミスト84が混合されて、ミスト混合排気88が生成される。ミスト混合排気88は、ファン14の送風力を受けて、排気管22を介して排気口22aから外部に排出される。
【0068】
なお、上記実施例では、戻り連絡管94を排気管22に接続して合流部22bを排気管22内に設けたが、戻り連絡管94を潜熱熱交換器34の下流端に接続して、潜熱熱交換器34内に合流部22bを形成してもよい。
【0069】
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0070】
実施例2の給湯装置2は、実施例1の給湯装置1と同様に、給湯動作により、湯を外部の給湯路66に供給できる。
【0071】
<作用効果>
実施例2の給湯装置2では、ドレン受け皿76で受けたドレン82が往き連絡管92を介してドレン容器90に導入される。
【0072】
ドレン容器90に貯留されたドレン82に超音波素子80から超音波振動が付与され、ドレンミスト84が生成される。ドレン容器90内に設けられた混合部86では、潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気の一部にドレンミスト84が混合され、ミスト混合排気88の一部が生成される。また、戻り連絡管94と排気管22との合流部22bでは、潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気に戻り連絡管94を通って上昇したドレンミスト84が混合されて、ミスト混合排気88が生成される。こうして生成されたミスト混合排気88は、ファン14の送風力により、排気管22を介して排気口22aから給湯装置2の外部に排出される。
【0073】
このように潜熱熱交換器34で生成したドレン82は、ミスト混合排気88となって燃焼排気と共に給湯装置2の外部に排出される。このため、コスト面や衛生面で懸念のある中和器やドレン排出管が不要となる。
【0074】
したがって、この給湯装置2も、中和器及びドレン排出管を廃止しつつドレン排出が可能であり、コスト面及び衛生面で優れる。
【0075】
この給湯装置2では、ドレン容器90にドレン82を貯留することができる。このため、ドレン82が大量に発生する事態にも対応できる。
【0076】
また、この給湯装置2からの燃焼排気も、顕熱回収型熱源装置から排出される燃焼排気と同様の成分であり、同様の安全性が確保される。
【0077】
また、ドレン容器90内に貯留されるドレン82は中和されていないので、レジオネラ菌の発生を抑えることができる。
【0078】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0079】
例えば、超音波素子80の設置箇所は、ドレン受け部で受けたドレン82に超音波振動を付与することで、そのドレン82を霧化してドレンミスト84を生成させうる範囲内で、適宜変更可能である。
【0080】
また、霧生成器は超音波素子80に限らず、ヒーターによる蒸発や撹拌器による極細分化によりドレン82を霧化させてもよい。
【0081】
また、ドレン容器90の設置場所も実施例2のものに限られず、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は例えば、給湯機能のみを有する給湯装置、給湯機能と風呂追焚機能とを有する給湯装置、給湯機能と、暖房機器との間で湯水を循環させる暖房機能とを有する給湯暖房機等の熱源装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、2…給湯装置(熱源装置)
14…ファン
20…バーナ
22a…排気口
22b…合流部
32…顕熱熱交換器
34…潜熱熱交換器
76…ドレン受け皿(ドレン受け部)
80…超音波素子(霧生成器)
82…ドレン
84…ドレンミスト
86…混合部
88…ミスト混合排気
90…ドレン容器(ドレン受け部)
92…往き連絡管
94…戻り連絡管
図1
図2