(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170213
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】熱源装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20231124BHJP
F24H 8/00 20220101ALI20231124BHJP
【FI】
F24H9/00 B
F24H8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081783
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】木下 将晃
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA26
3L036AA04
3L036AA13
3L036AA15
(57)【要約】
【課題】コストのかかるドレン排水管が不要で、ドレン排出の確実性及び安全性を高めることができる熱源装置を提供する。
【解決手段】給湯装置1は、バーナ20の燃焼排気から顕熱を吸収する顕熱熱交換器32と、顕熱熱交換器32の燃焼排気下流側に配置され、顕熱熱交換器32を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する潜熱熱交換器34と、燃焼排気を外部に排出する排気口22aと、バーナ20に燃焼用空気を供給するとともに、燃焼排気をバーナ20から顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を経て排気口22aに送るファン14と、潜熱熱交換器34で結露により生成したドレン82を受けるドレン受け皿76と、ドレン受け皿76で受けたドレン82に浸され、多数の細孔を有する通気性吸水部材86を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼するバーナと、
前記バーナの燃焼排気から顕熱を吸収する顕熱熱交換器と、
前記顕熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置され、前記顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する潜熱熱交換器と、
前記潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を外部に排出する排気口と、
前記バーナに燃焼用空気を供給するとともに、燃焼排気を前記バーナから前記顕熱熱交換器及び前記潜熱熱交換器を経て前記排気口に送るファンと、
前記潜熱熱交換器で結露により生成したドレンを受けるドレン受け部とを備えた熱源装置において、
前記潜熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置されるとともに、前記ドレン受け部が受けた前記ドレンに浸され、多数の細孔を有する通気性吸水部材を備えていることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
前記通気性吸水部材の燃焼排気上流側に、前記潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を前記通気性吸水部材に案内する案内部が設けられ、
前記案内部は、流路断面積が狭められた絞り部を有し、
前記通気性吸水部材は前記絞り部に配置されている請求項1記載の熱源装置。
【請求項3】
前記通気性吸水部材は、燃焼排気上流側に、前記潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を流通させる複数の流通部が形成された流通部形成部を一体に有し、
前記流通部は、前記流通部における燃焼排気下流端に、流路断面積が狭められた内部絞り部を有する請求項1記載の熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の熱源装置の一例が開示されている。この熱源装置は、バーナと、顕熱熱交換器と、潜熱熱交換器と、排気口と、ファンと、ドレン受け部とを備えている。
【0003】
バーナは燃料を燃焼する。顕熱熱交換器は、バーナの燃焼排気から顕熱を吸収する。潜熱熱交換器は、顕熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置され、顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する。排気口は、潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を装置の外部に排出する。ファンは、バーナに燃焼用空気を供給するとともに、顕熱熱交換器及び潜熱熱交換器が順に配置された排気通路を介してバーナからの燃焼排気を排気口に送る。ドレン受け部は、潜熱熱交換器で結露により生成したドレンを受ける。
【0004】
また、この熱源装置では、ドレン受け部が空気室に配置されている。空気室には、ノズルを介して空気通路が接続されるとともに、燃焼排気の排気口とは別のドレン排出口が設けられている。空気通路は排気通路と並列的に設けられており、空気通路には燃焼排気を含まない空気がファンから直接供給される。ドレン受け部で受けたドレンは、ノズルから噴出される空気通路からの空気との接触により蒸発し、ドレン蒸気となってドレン排出口から装置の外部に排出される。
【0005】
この熱源装置では、例えば、潜熱熱交換器に給水管が接続されるとともに、顕熱熱交換器に給湯管が接続される。これにより、給水管内の水を潜熱熱交換器で加熱するとともに、潜熱熱交換器で加熱された水を顕熱熱交換器でさらに加熱して給湯管に供給することができる。そして、顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を回収することで、熱をリサイクルすることができ、燃料消費量を削減できる。このため、この熱源装置によれば、高熱効率及び低CO2 排出量を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の熱源装置によれば、工事費用がかかるドレン排水管が不要である。しかし、上記従来の熱源装置では、燃焼排気よりもかなり低温の空気によりドレンを蒸発させている。このため、ドレンの蒸発が不足して、ドレンの発生に対してドレンの蒸発が追い付かないおそれがある。
【0008】
また、上記従来の熱源装置では、ドレン蒸気がそのままドレン排出口から装置の外部に排出される。このため、上記従来の熱源装置からの排気には、安全面での懸念がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、コストのかかるドレン排水管が不要で、ドレン排出の確実性及び安全性を高めることができる熱源装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱源装置は、燃料を燃焼するバーナと、
前記バーナの燃焼排気から顕熱を吸収する顕熱熱交換器と、
前記顕熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置され、前記顕熱熱交換器を通過した後の燃焼排気から潜熱を吸収する潜熱熱交換器と、
前記潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を外部に排出する排気口と、
前記バーナに燃焼用空気を供給するとともに、燃焼排気を前記バーナから前記顕熱熱交換器及び前記潜熱熱交換器を経て前記排気口に送るファンと、
前記潜熱熱交換器で結露により生成したドレンを受けるドレン受け部とを備えた熱源装置において、
前記潜熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置されるとともに、前記ドレン受け部が受けた前記ドレンに浸され、多数の細孔を有する通気性吸水部材を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の熱源装置では、バーナに燃焼用空気を供給するファンの送風力により、バーナからの燃焼排気が顕熱熱交換器及び潜熱熱交換器を順に経て排気口に送られる。
【0012】
潜熱熱交換器で結露により生成してドレン受け部で受けたドレンには、潜熱熱交換器の燃焼排気下流側に配置された通気性吸水部材が浸される。これにより、ドレンが通気性吸水部材に吸水される。この通気性吸水部材には、潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気が流通する。このため、通気性吸水部材が吸水したドレンを高温の燃焼排気で加熱して効率よく蒸発させることができる。
【0013】
また、通気性吸水部材に吸水されたドレンは多数の細孔内に存在しているため、ドレンと燃焼排気との接触面積が増大している。その結果、ドレンの蒸発が促進される。
【0014】
そして、通気性吸水部材内で生成したドレン蒸気は、通気性吸水部材を通過する燃焼排気と確実に混合される。これにより、ドレン蒸気と燃焼排気との混合気体が、通気性吸水部材から流出して、排気口から装置の外部に排出される。このため、ドレン蒸気がそのまま装置の外部に排出されることがなく、安全面での懸念が少ない。
【0015】
また、本発明の熱源装置の排気口から排出される排気成分は、潜熱熱交換器を有さず、顕熱熱交換器のみを有する顕熱回収型熱源装置の排気成分と同様であるため、この点においても安全面が保証される。
【0016】
したがって、本発明の熱源装置は、コストのかかるドレン排水管が不要で、ドレン排出の確実性及び安全性を高めることができる。
【0017】
通気性吸水部材の燃焼排気上流側に、潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を通気性吸水部材に案内する案内部が設けられることが好ましい。この案内部は、案内部における燃焼排気下流端に、流路断面積が狭められた絞り部を有することが好ましい。そして、通気性吸水部材は絞り部に隣接して配置されていることが好ましい。
【0018】
この場合、案内部において流路断面積が狭められた絞り部で燃焼排気の圧力が低下するので、通気性吸水部材の配置箇所は低圧環境となる。これにより、通気性吸水部材におけるドレンの沸点が低下し、ドレンの蒸発がより促進される。
【0019】
通気性吸水部材は、燃焼排気上流側に、潜熱熱交換器を通過した後の燃焼排気を流通させる複数の流通部が形成された流通部形成部を一体に有することが好ましい。この流通部は、流通部における燃焼排気下流端に、流路断面積が狭められた内部絞り部を有することが好ましい。
【0020】
この場合、流通部において流路断面積が狭められた内部絞り部で燃焼排気の圧力が低下するので、通気性吸水部材の配置箇所は低圧となる。これにより、通気性吸水部材におけるドレンの沸点が低下し、ドレンの蒸発がより促進される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の熱源装置は、コストのかかるドレン排水管が不要で、ドレン排出の確実性及び安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施例1の給湯装置の模式構成図である。
【
図2】
図2は、実施例2の給湯装置の模式構成図である。
【
図3】
図3は、実施例3の給湯装置に係り、通気性吸水部材の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(実施例1)
実施例1の給湯装置1は、本発明の熱源装置の具体的態様の一例である。
図1は、前方から見た給湯装置1の模式構成図であり、
図1の紙面手前側を給湯装置1の前方と規定し、
図1の紙面左側を給湯装置1の左方と規定し、
図1の紙面上側を給湯装置1の上方と規定する。
【0025】
<筐体>
図1に示すように、給湯装置1は筐体10を備えている。筐体10は、略直方体形状の内部空間を区画する。
【0026】
<缶体及びファン>
給湯装置1は、缶体12と、ファン14とを備えている。
【0027】
缶体12は、筐体10内において、上部に配置されている。缶体12内には、燃焼室16と、燃焼室16の上方に延びる排気通路18とが形成されている。燃焼室16にはバーナ20が配置されている。
【0028】
缶体12の左側壁の上端側には、缶体12から左向きに突出する排気管22が設けられている。排気管22の一端は排気通路18に連通している。排気管22の他端である排気口22aは、筐体10の左側壁を貫通して、筐体10の外部に露出している。バーナ20からの燃焼排気は、燃焼室16から排気通路18、排気管22及び排気口22aを介して外部へ排出される。
【0029】
ファン14は、筐体10内において、缶体12の下方に配置されている。ファン14は、燃焼室16内のバーナ20に燃焼用空気を供給する。また、ファン14は、バーナ20からの燃焼排気を缶体12内で上昇させ、燃焼室16、排気通路18及び排気管22を順に経て排気口22aに送る。
【0030】
バーナ20には、ガス供給管24の一端が接続されている。ガス供給管24の他端は、筐体10の外部にある図示しないガス供給源に接続されている。ガス供給管24には、元ガス電磁弁26、ガス比例弁28及びガス電磁弁30がこの順で配置されている。これにより、バーナ20には、外部のガス供給源から元ガス電磁弁26、ガス比例弁28及びガス電磁弁30を経由して、都市ガスやプロパンガス等の燃料ガスが供給される。
【0031】
元ガス電磁弁26は、バーナ20に対する燃料ガスの供給及び停止を制御する。ガス比例弁28は、バーナ20への燃料ガスの供給量を弁開度でもって制御する。ガス電磁弁30は、バーナ20への燃料ガスの供給及び停止を制御する。バーナ20は、燃料ガスを炎口から吐出して燃焼させる。これにより、バーナ20は、高温の燃焼排気を生成する。
【0032】
<顕熱熱交換器及び潜熱熱交換器>
給湯装置1は、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を備えている。顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34は、缶体12内の上部において、排気通路18内に収容されている。顕熱熱交換器32は、バーナ20よりも上方に位置し、排気通路18内において下部に配置されている。潜熱熱交換器34は、顕熱熱交換器32よりも上方に位置し、排気通路18内において上部に配置されている。顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34は、給湯装置1の左右方向において、缶体12内のほぼ全体に延在している。
【0033】
バーナ20が生成した高温の燃焼排気は、燃焼室16から上昇して排気通路18内へ流れ、排気通路18内を上昇しつつ排気管22に向かって流れる。すなわち、バーナ20からの燃焼排気は、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を順に通過しつつ排気通路18内を上昇する。燃焼排気は、顕熱熱交換器32での熱交換によって冷却され、その後に潜熱熱交換器34での熱交換によってさらに冷却された後、排気管22の排気口22aから筐体10の外部に排出される。
【0034】
顕熱熱交換器32は、伝熱管36を有している。伝熱管36は、複数の直線部分と、円弧状に折り返して各直線部分を連通させる複数の折り返し部分とを含んで蛇行している。伝熱管36の各直線部分は、複数の伝熱フィンを有している。
【0035】
顕熱熱交換器32は、伝熱管36内を流通する水と、バーナ20が生成した高温の燃焼排気との間で熱交換を行い、その燃焼排気の顕熱を吸収する。
【0036】
潜熱熱交換器34は、伝熱管38を有している。伝熱管38は、複数の直線部分と、円弧状に折り返して各直線部分を連通させる複数の折り返し部分とを含んで蛇行するコルゲート管である。
【0037】
潜熱熱交換器34は、伝熱管38内を流通する水と、バーナ20が生成した高温の燃焼排気であって、顕熱熱交換器32を通過した後の燃焼排気との間で熱交換を行い、燃焼排気を露点温度以下まで冷却してその燃焼排気の潜熱を吸収する。
【0038】
こうして、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34はそれぞれ、内部を通過する水を高温の燃焼排気により加熱して湯に変換する。
【0039】
<給水管、連絡管、給湯管及びバイパス管>
給湯装置1は、給水管40、連絡管42、給湯管44及びバイパス管46を備えている。給水管40、連絡管42、給湯管44及びバイパス管46は、筐体10内に収容されている。
【0040】
給水管40の上流端は、後述する給水接続部材56に接続している。給水管40の下流端は、給水管40の上流端よりも上方に位置し、潜熱熱交換器34の伝熱管38の入口に接続している。
【0041】
連絡管42の上流端は、潜熱熱交換器34の伝熱管38の出口に接続している。連絡管42の下流端は、連絡管42の上流端よりも下方に位置し、顕熱熱交換器32の伝熱管36の入口に接続している。
【0042】
連絡管42における顕熱熱交換器32の伝熱管36の入口付近には、給湯ハイリミットスイッチ48が設けられている。給湯ハイリミットスイッチ48は、顕熱熱交換器32の過熱を検出する。
【0043】
給湯管44の上流端は、顕熱熱交換器32の伝熱管36の出口に接続している。給湯管44の下流端は、給湯管44の上流端よりも下方に位置し、後述する給湯接続部材58に接続している。
【0044】
給湯管44における顕熱熱交換器32の伝熱管36の出口付近には、熱交換器出口サーミスタ52が設けられている。熱交換器出口サーミスタ52は、顕熱熱交換器32から給湯管44に流入する湯の温度を検出する。給湯管44における後述する給湯接続部材58付近のバイパス管46との合流点の下流側には、給湯サーミスタ54が設けられている。給湯サーミスタ54は、給湯管44から後述する外部の給湯路66へ送り出される湯の温度を検出する。
【0045】
バイパス管46の上流端は、給水管40に接続している。バイパス管46の下流端は、給湯管44に接続している。給水管40とバイパス管46との接続箇所には、後述する水量制御部60のバイパスサーボ74が設けられている。
【0046】
<給水接続部材、給湯接続部材及び水量制御部>
給湯装置1は、給水接続部材56、給湯接続部材58及び水量制御部60を備えている。
【0047】
給水接続部材56には、筐体10の外部にある給水路62が接続されている。給水接続部材56は、水フィルタ兼水抜き栓64を有している。
【0048】
給湯接続部材58は、筐体10の外部にある給湯路66が接続されている。給湯接続部材58は、給湯管44内の圧力が過大になったときに作動して圧力を逃がす過圧逃がし弁兼水抜栓68を有している。
【0049】
水量制御部60は、給水管40における給水接続部材56付近に設けられている。水量制御部60は、水量センサ70、水量サーボ72及びバイパスサーボ74を有している。水量制御部60は、給水管40及びバイパス菅46を流れる水の流量を制御する。
【0050】
水量センサ70は、給水管40を流れる水の流量を検出する。水量サーボ72は、給水管40を流れる水の流量を調整する。バイパスサーボ74は、バイパス管46への開度を調整することで、給水管40を介して潜熱熱交換器34に送られる水の流量と、給水管40からバイパス管46へ送られる水の流量の割合を調整する。また、バイパスサーボ74は、水量制御部60に供給される水を給水管40のみに案内するバイパス閉状態と、水量制御部60に供給される水を給水管40だけでなくバイパス管46にも案内するバイパス開状態と、に切り替わる。水量サーボ72は、給湯管44から外部の給湯路66へ送り出される湯の全流量を制御する。
【0051】
<ドレン受け部及び通気性吸収部材>
給湯装置1は、潜熱熱交換器34で結露により生成したドレン82を受けるドレン受け皿76を備えている。ドレン受け皿76は、本発明のドレン受け部の一例である。
【0052】
ドレン受け皿76は、排気通路18内において、顕熱熱交換器32と潜熱熱交換器34との間であって、潜熱熱交換器34の下方に配置されている。ドレン受け皿76は、ファン14の送風力による燃焼排気流の中に配置されている。ドレン受け皿76は、給湯装置1の左右方向及び前後方向において、潜熱熱交換器34とほぼ同程度の長さで延在している。
【0053】
ドレン受け皿76の底壁78の上面は、燃焼排気下流側に向かって、すなわち筐体10の右方から左方に向かって、下方に傾斜した傾斜面とされている。これにより、このドレン受け皿76の底壁78の左端側に、ドレン82が溜まるドレン溜り部84が形成されている。
【0054】
給湯装置1は、通気性吸収部材86を備えている。通気性吸収部材86は、排気通路18内において、潜熱熱交換器34の燃焼排気下流側であって、潜熱熱交換器34に隣接して配置されている。通気性吸収部材86は、排気通路18を塞ぐ大きさとされている。通気性吸収部材86は、ドレン受け皿76のドレン溜り部84に配置されている。ドレン溜り部84にドレン82が溜まると、通気性吸収部材86の下端部がドレン82に浸される。
【0055】
通気性吸収部材86は、燃焼排気に対する耐熱性及び耐酸性を有する樹脂多孔質体よりなる。通気性吸収部材86は、ドレン82に浸されることでドレン82を毛細管現象により吸水し得るとともに、燃焼排気を流通させ得るように、多数の微細孔を有する連通気孔構造をなしている。
【0056】
通気性吸収部材86は、ドレン82に浸されてドレン82を吸水する。潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気が通気性吸収部材86を流通することで、通気性吸収部材86で吸水したドレン82は燃焼排気で加熱されて蒸発する。
【0057】
<給湯動作>
給湯装置1が外部の給湯路66に対して給湯を行う際には、ファン14を作動させてバーナ20に燃焼用空気を供給しつつ、外部のガス供給源からバーナ20に燃料ガスを供給して、燃料ガスを燃焼させる。この際、外部の給水源から給水路62に供給される水は、給水管40を介して潜熱熱交換器34へ送られる。この水は、潜熱熱交換器34での熱交換によって加熱され、その後に顕熱熱交換器32での熱交換によってさらに加熱されて高温の湯となる。この湯は、給湯管44を介して外部の給湯路66へ供給される。この際、顕熱熱交換器32から給湯管44に流入する高温の湯と、給水管40からバイパス管46を介して給湯管44に流入する低温の水が混合されて、給湯路66へ供給される湯の温度が調整される。バーナ20の燃焼量や、バイパスサーボ74におけるバイパス管46への開度を調整することで、給湯路66へ供給される湯の温度を所望の温度に調整することができる。
【0058】
<作用効果>
実施例1の給湯装置1では、バーナ20に燃焼用空気を供給するファン14の送風力により、バーナ20からの燃焼排気が燃焼室16から排気通路18を流通して、顕熱熱交換器32及び潜熱熱交換器34を順に経て排気管22に送られる。
【0059】
潜熱熱交換器34で結露により生成してドレン受け皿76で受けたドレン82には、潜熱熱交換器34の燃焼排気下流側に配置された通気性吸収部材86の下端部が浸される。これにより、ドレン82が通気性吸収部材86に吸水される。この通気性吸収部材86には、潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気が流通する。このため、通気性吸収部材86が吸水したドレン82を高温の燃焼排気で加熱して効率よく蒸発させることができる。
【0060】
また、通気性吸水部材86に吸水されたドレン82は多数の細孔内に存在しているため、ドレン82と燃焼排気との接触面積が増大している。その結果、ドレン82の蒸発が促進される。
【0061】
そして、通気性吸水部材86内で生成したドレン蒸気は、通気性吸水部材86を通過する燃焼排気と確実に混合される。これにより、ドレン蒸気と燃焼排気との混合気体が、通気性吸水部材86から流出して、排気管22を介して排気口22aから給湯装置1の外部に排出される。このため、ドレン蒸気がそのまま給湯装置1の外部に排出されることがなく、安全面での懸念が少ない。
【0062】
また、この熱源装置1の排気口22aから排出される排気成分は、潜熱熱交換器を有さず、顕熱熱交換器のみを有する顕熱回収型熱源装置の排気成分と同様であるため、この点においても安全面が保証される。
【0063】
したがって、実施例1の給湯装置1は、コストのかかるドレン排水管が不要で、ドレン排出の確実性及び安全性を高めることができる。
【0064】
この給湯装置1では、ドレン受け皿76で受けたドレン82は、ドレン溜り部84で即座に通気性吸収部材86に吸水されるとともに、通気性吸収部材86を通過する燃焼排気で加熱されて速やかに蒸発する。このため、ドレン受け皿76に貯留されるドレン82を少なくすることができる。よって、この給湯装置1は、ドレン82が大量に発生した場合にも対応しやすい。
【0065】
また、ドレン受け皿76に溜まるドレン82は中和されていないので、レジオネラ菌の発生を抑えることができる。
【0066】
(実施例2)
実施例2の給湯装置2は、実施例1の給湯装置1に係る排気通路18に、案内部及び絞り部を設けている。
【0067】
図2に示すように、給湯装置2は、案内部88と、絞り部90とを備えている。案内部88は、潜熱熱交換器34を通過した後の燃焼排気を通気性吸収部材86に案内する。案内部88は、排気通路18の流路断面積が燃焼排気下流側に向かって徐々に狭められるように、排気通路18内に板材88aを配置することによって形成されている。実施例2では、案内部88における燃焼排気下流端が、流路断面積が最も狭められた絞り部90とされている。通気性吸収部材86は絞り部90に隣接して配置されている。
【0068】
なお、絞り部90は、案内部88の燃焼排気下流端に限らず、案内部88の途中部分に設けてもよい。
【0069】
実施例2の給湯装置2では、案内部88において流路断面積が狭められた絞り部90で燃焼排気の圧力が低下するので、この絞り部90に配置された通気性吸収部材86は低圧環境となる。これにより、通気性吸収部材86におけるドレン82の沸点が低下し、ドレン82の蒸発がより促進される。
【0070】
実施例2のその他の構成及び作用効果は、実施例1と同様である。
【0071】
(実施例3)
実施例3の給湯装置は、実施例1の給湯装置1に係る通気性吸収部材86の構成を変更したものである。
【0072】
図3に示すように、実施例3の給湯装置に係る通気性吸収部材86は、燃焼排気上流側に、流通部形成部92を一体に有している。
【0073】
流通部形成部92には、燃焼排気を流通させる多数の第1流通部94a及び第2流通部94bが形成されている。第1流通部94aと第2流通部94bとは、流通部形成部92の上下の長手方向において、交互に形成されている。各第1流通部94aは、燃焼排気下流側に向かって流路断面積が狭められている。各第1流通部94aにおける燃焼排気下流端が、流路断面積が最も狭められた内部絞り部96とされている。各第2流通部94bは、燃焼排気下流側に向かって流路断面積が広げられている。
【0074】
通気性吸収部材86は、燃焼排気下流側にも、流通形成部92を一体に有している。
【0075】
流通形成部92は、樹脂材料よりなる。流通形成部92は、樹脂成型することにより形成され、熱溶着又は接着剤で接着することにより通気性吸収部材86と一体化されている。
【0076】
実施例3の給湯装置では、通気性吸収部材86の燃焼排気上流側に、多数の第1流通部94aが形成された流通部形成部92が一体化されている。多数の第1流通部94aの燃焼排気下流端には、流路断面積が最も狭められた内部絞り部96が形成されている。これにより、通気性吸収部材86は多数の内部絞り部96に隣接する。この内部絞り部96で燃焼排気の圧力が低下するので、通気性吸水部材86の配置箇所は低圧となる。これにより、通気性吸水部材86におけるドレン82の沸点が低下し、ドレン82の蒸発がより促進される。
【0077】
この給湯装置では、排気通路18に案内部88を設けることなく、ドレン82の蒸発をより促進することができるので、実施例2と比べて、構造の簡素化を図れる。
【0078】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0079】
例えば、実施例1~3では、通気性吸収部材86に樹脂多孔質体を用いたが、本発明はこれに限らず、紙、金属やセラミックスの多孔質体を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は例えば、給湯機能のみを有する給湯装置、給湯機能と風呂追焚機能とを有する給湯装置、給湯機能と、暖房機器との間で湯水を循環させる暖房機能とを有する給湯暖房機等の熱源装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1、2…給湯装置(熱源装置)
14…ファン
20…バーナ
22a…排気口
32…顕熱熱交換器
34…潜熱熱交換器
76…ドレン受け皿(ドレン受け部)
82…ドレン
84…ドレン溜り部
86…通気性吸水部材
88…案内部
90…絞り部
92…流通部形成部
94a…第1流通部(流通部)
96…内部絞り部