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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170214
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20231124BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61G12/00 E
A61G12/00 Z
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081784
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 進吾
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄太
(72)【発明者】
【氏名】安田 大介
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 貴之
【テーマコード(参考)】
4C341
5K038
【Fターム(参考)】
4C341LL10
4C341LL30
5K038AA06
5K038BB01
5K038DD14
5K038DD16
(57)【要約】
【課題】 病室への入室時における、手指などの衛生状態を改善可能なナースコールシステムを提供する。
【解決手段】 ナースコールシステム100は、患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機1と、患者からの呼出に応対するためにナースステーションに設置されるナースコール親機3と、患者の病室の入口等に設けられた廊下灯2と、廊下灯2に搭載されて、病室外であって廊下灯2の近傍に配置された消毒液容器10を含む所定の範囲を撮像するカメラ29と、カメラ29で撮像された撮像画像内の対象者が消毒液容器10を用いて手指消毒を行っていない場合に、廊下灯2に手指消毒を促すメッセージを報知させる廊下灯CPU21と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、
前記患者からの呼出に応対するためにナースステーションに設置されるナースコール親機と、
前記患者の病室の入口等に設けられた廊下灯と、
前記廊下灯に搭載されて、前記病室外であって前記廊下灯の近傍に配置された消毒液容器を含む所定の範囲を撮像するカメラと、
前記カメラで撮像された撮像画像内の対象者が前記消毒液容器を用いて手指消毒を行っていない場合に、前記廊下灯に手指消毒を促すメッセージを報知させる制御部と、を備えているナースコールシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像画像内の前記対象者が前記所定の範囲内に入った場合に、前記廊下灯に前記メッセージを報知させる、請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記廊下灯は表示部を有し、前記表示部に前記メッセージが表示される、請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記廊下灯は報音部を有し、前記報音部から前記メッセージが報音される、請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記撮像画像内の前記対象者が手指消毒を行っていないことおよび当該対象者を識別するための対象者情報を含む非消毒情報を前記ナースコール親機に送信し、
前記ナースコール親機は、前記非消毒情報を報知する、請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラを搭載した廊下灯を有するナースコールシステムがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-288334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、病院には、患者の病室等の非共用部と、面会者が往来可能な廊下等の共用部とがある。患者は様々な疾病を有していることが多いため、面会者や看護師が廊下から病室に入室する際に、手指消毒を徹底することが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑み、病室への入室時における、手指などの衛生状態を改善可能なナースコールシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のナースコールシステムは、
患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、
前記患者からの呼出に応対するためにナースステーションに設置されるナースコール親機と、
前記患者の病室の入口等に設けられた廊下灯と、
前記廊下灯に搭載されて、前記病室外であって前記廊下灯の近傍に配置された消毒液容器を含む所定の範囲を撮像するカメラと、
前記カメラで撮像された撮像画像内の対象者が前記消毒液容器を用いて手指消毒を行っていない場合に、前記廊下灯に手指消毒を促すメッセージを報知させる制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、病室への入室時における、手指などの衛生状態を改善可能なナースコールシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るナースコールシステムの構成図である。
図2図1のナースコールシステムが備える廊下灯の機能ブロック図である。
図3図1のナースコールシステムが備える廊下灯の配置の一例を示す図である。
図4】ナースコールシステムの動作例1を説明するフローチャートである。
図5】廊下灯の表示部に表示されるメッセージの一例を示す図である。
図6】ナースコールシステムの動作例2を説明するフローチャートである。
図7】ナースコールシステムの動作例3を説明するフローチャートである。
図8】ナースコールシステムの動作例4を説明するフローチャートである。
図9】ナースコールシステムの動作例5を説明するフローチャートである。
図10】ナースコールシステムの動作例6を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るナースコールシステム100について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明に係るナースコールシステム100の一例を示す構成図である。図1に示すように、ナースコールシステム100は、病室のベッド毎に設置されているナースコール子機1と、各病室の出入口に設置されている廊下灯2と、ナースステーションに設置されているナースコール親機3と、機器間の通信を制御する制御機4とを備えている。ナースコールシステム100は、さらに、ベッド毎に設置されている病室カメラ5と、看護師が携行する携帯端末6と、基地局8を介して携帯端末6の通信を管理する交換機7とを備えている。
【0011】
ナースコール子機1は、患者が看護師を呼び出して通話するための機器であり、呼出ボタン1aと、壁面に設置されたプレート子機1bとを有している。プレート子機1bは、呼出ボタンが接続される接続部と、看護師と通話するための通話部とを有している。
【0012】
ナースコール親機3は、患者からの呼び出しを受けて応答するための機器であり、通話部3aと、表示部3bとを有している。通話部3aは、患者と通話するためのハンドセットと、院内放送するためのスピーカー等の報音部を有している。表示部3bには、患者に関する各種情報が表示される。各種情報には、患者情報、廊下灯2から受信する廊下灯ID等の識別情報、病室カメラ5で撮像される映像などが含まれる。表示部3bには、例えば液晶モニタが使用される。
【0013】
図2は、廊下灯2の機能ブロック図である。図2に示すように、廊下灯2は、廊下灯CPU(central processing unit)21と、表示灯22と、モニタ23と、スピーカー24と、記憶部25と、操作ボタン26と、復旧ボタン27と、通信インターフェース(以下「通信IF」という)28と、カメラ29とを有している。廊下灯2は、固有の識別情報を有している。固有の識別情報は、廊下灯IDと、廊下灯2が設置された設置場所情報とを含む。
【0014】
廊下灯CPU21は、モニタ23、スピーカー24、カメラ29の動作等の廊下灯2の各種の機能を実行処理するように構成されている。廊下灯CPU21は、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、プロセッサを含むマイクロコントローラと、その他の電子回路(例えば、トランジスタ等)を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)である。記憶部25にはメモリが搭載されている。メモリは、各種制御プログラム(例えば、人工知能(AI)プログラム等)が記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)を含む。プロセッサは、ROMに記憶された各種制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。メモリには廊下灯2における制御・処理に関するプログラムが記憶されている。廊下灯CPU21は、記憶部25のメモリから読み出したプログラムをプロセッサが実行することにより、図4図6図10に示される各ステップを実行する。また、廊下灯CPU21は、操作ボタン26および復旧ボタン27から入力される操作を受け付けて、入力された操作に応じた制御を行うように構成されている。廊下灯CPU21は、制御部の一例である。
【0015】
廊下灯2は、報知部として、患者からの呼び出しを点滅や点灯で報知する表示灯22を含んでいる。さらに、廊下灯2は、報知部として、文字情報を表示するモニタ23と、音声を出力するスピーカー24を含んでいる。
表示灯22は、例えばランプであり、廊下灯2が設置された病室内のナースコール子機1から呼び出しが有ることを点灯や点滅で報知するように構成されている。
モニタ23は、例えば液晶モニタであり、病室名の表示、患者名の表示などの各種情報を表示するように構成されている。各種情報には、消毒を励行するメッセージが含まれる。モニタ23は、廊下灯2の表示部の一例である。
スピーカー24は、廊下灯CPU21から出力される報知内容を報音するように構成されている。スピーカー24は、廊下灯2に搭載されている。スピーカー24は、廊下灯2の報音部の一例である。
【0016】
記憶部25は、廊下灯2における制御・処理に関するプログラムに加えて、カメラ29で撮像した画像を記憶する。
操作ボタン26は、各種情報の表示/非表示を行うためのボタンである。
復旧ボタン27は、報知動作等を停止させるためのボタンである。
廊下灯2は、通信IF28および回線L1を介して、ナースコール子機1から呼び出しを受信する。また、廊下灯2は、通信IF28およびHUB9を介して、ナースコール親機3、制御機4、病室カメラ5と接続されている。
【0017】
図3は、廊下灯2の配置の一例を示す図である。図3に示すように、廊下灯2の近傍には、消毒液容器10が配置されている。消毒液容器10は、手動で押すヘッド10aと、ヘッド10aが押されたときに内部の消毒液を射出するノズル10bとを含み、手指を消毒するための消毒液が入れられている。消毒液容器10は、例えば、病室の出入口の扉11の近くで、廊下灯2の下に配置されている。
【0018】
廊下灯2は、カメラ29を搭載している。カメラ29は、病室の外における廊下などの共用部を撮像する。カメラ29は、動画および静止画像を撮像可能である。カメラ29は、常時撮像してもよく、患者等の人や移動棚等の物が廊下灯2に近付いたときにこの接近を検出して撮像を開始してもよい。カメラ29が撮像した画像は、記憶部25に記憶される。
【0019】
カメラ29は、共用部のうち、廊下灯2から所定の範囲を撮像する。例えば、病室の101号室の出入口に設置された廊下灯2のカメラ29は、廊下灯2を中心とする数mの範囲に有る廊下および101号室を含むフロアから他フロアへ移動する階段の入口(図示省略)を撮像可能である。面会者が他フロアから階段(図示省略)を上って101号室の病室へ近付いてくる場合、101号室の廊下灯2のカメラ29は、階段を上り終えて101号室があるフロアに面会者が現れると、101号室があるフロアに階段から現れた時点からこの面会者の撮像を開始し、101号室の廊下灯2の前に移動する面会者を撮像する。撮像された画像は、廊下灯CPU21へ送信される。
【0020】
廊下灯2の近傍に消毒液容器10が配置されている場合には、カメラ29で撮像可能な所定の範囲に、この消毒液容器を含む所定の範囲が含まれることが好ましい。これにより、例えば、カメラ29は、人が消毒液容器10のヘッド10aを押す動作の有無、ノズル10bから手指を消毒可能な量の消毒液が出る動作の有無、手指の消毒を行う人の動作の有無などを撮像可能である。これにより、カメラ29で撮像された画像を受信した廊下灯CPU21は、消毒液容器10を使用せずに消毒液容器10の近傍を通過して病室に入室する面会者や看護師の動作について検出可能となる。
【0021】
病室カメラ5は、病室内に設置されて、病室内における患者自身の映像および患者に関連する周辺映像を撮像する。病室カメラ5はHUB9を介して廊下灯2とLAN接続されている。病室カメラ5で撮像された画像は、HUB9、LANを介して廊下灯CPU21へ送信される。
【0022】
携帯端末6は、患者からの呼び出しに応答するための端末であり、例えばスマートフォン等である。携帯端末6は、看護師の呼び出し内容を表示可能な表示部6aと、看護師の呼び出し内容を報音可能なスピーカー等の報音部6bとを有している。
【0023】
廊下灯2、ナースコール親機3、制御機4、病室カメラ5は、それぞれHUB9を介してLAN接続されている。ナースコール子機1は、病室毎に伝送線L1を介して廊下灯2に接続されている。交換機7は、伝送線L2を介して制御機4に接続されている。交換機7は、基地局8を介して、携帯端末6の通信を管理する。
【0024】
[動作例1]
以下、ナースコールシステム100の動作例1を、図4を用いて説明する。図4は、ナースコールシステム100の動作例1を説明するためのフローチャートである。
【0025】
図4に示すように、まず、廊下灯2のカメラ29が撮像を開始する(ステップS101)。例えば、病室の101号室の出入口に設置された廊下灯2のカメラ29は、101号室の廊下灯2の近傍に配置された消毒液容器10と、この消毒液容器10を中心とする数mの範囲に含まれる対象者の撮像を開始する。本動作例における対象者は、手指を消毒するべき者(面会者、看護師など)である。カメラ29が撮像した画像は、廊下灯CPU21に送信される。
【0026】
次に、廊下灯CPU21は、カメラ29から受信した画像に基づいて、撮像された面会者が手指の消毒を行ったか否かの判定を行う(ステップS102)。例えば、101号室に面会に来た面会者が、101号室の廊下灯2の下に配置された消毒液容器10のヘッド10aを押してノズル10bから出た消毒液で手指の消毒を行った場合、廊下灯CPU21はカメラ29の画像に基づいて、ヘッド10aの上下動の有無、ノズル10bから消毒液が噴射される動きの有無、面会者が手指に消毒液を付着させて手指をこすりあわせる動作の有無を検出し、手指の消毒を行ったか否かの判定を行う。
手指の消毒が行われたと判定された場合(ステップS102でYES)、廊下灯CPU21は、次のステップS102の判定を行う画像を受信するまで待機する。
【0027】
一方で、カメラ29から受信した画像に基づいて、手指の消毒が行われなかったと判定された場合(S102でNO)、廊下灯CPU21は、廊下灯2のモニタ23に消毒励行のメッセージを表示させる(ステップS103)。モニタ23に表示されるメッセージは、例えば、図5に示すモニタ23に表示される「手指を消毒してください。」との文字である。あるいは、「手指の消毒が行われたことを検出できません。手指を消毒してください。」との文字や、消毒液容器から噴霧状の消毒液を噴射するイラストなどであってもよい。このような消毒励行のメッセージがモニタ23に表示されることにより、病室の入口で手指の消毒を行っていない者(対象者)に対して手指の消毒を促すことができ、対象者の手指の衛生状態を改善することができる。
【0028】
次に、廊下灯CPU21は、撮像画像内の対象者が手指の消毒を行っていないとの情報と、撮像画像内の対象者を識別するための情報とを含む非消毒情報を生成する。廊下灯CPU21は、生成された非消毒情報を、通信IF28およびLANを介してナースコール親機3に送信する(ステップS104)。
【0029】
非消毒情報を受信したナースコール親機3は、非消毒情報を報知する(ステップS105)。非消毒情報の報知は、表示部3bに廊下灯IDおよび非消毒情報を文字で表示してもよく、スピーカーから非消毒情報を音声で報知してもよく、スピーカーから非消毒情報を音声で報知するとともに表示部3bに廊下灯IDおよび非消毒情報を表示してもよい。ナースコール親機3から報知された非消毒情報は、ナースステーションにいる看護師に確認される。このように、ナースコール親機3から報知することにより、手指の消毒を行っていない対象者を特定することができる。非消毒情報を確認した看護師長等は、手指消毒を行っていない対象者が面会者の場合には、面会者に直接手指の消毒をお願いすることができ、手指の消毒を行っていない対象者が看護師の場合には、看護師長から看護師に手指の消毒を指示することができる。これにより、病室に入室する対象者の手指の消毒を徹底させることができ、手指の衛生状態の改善を図ることができる。
【0030】
[動作例2]
次に、ナースコールシステム100の動作例2について、図6を用いて説明する。図6は、動作例2を説明するためのフローチャートである。
【0031】
動作例2において、図6に示すように、廊下灯2のカメラ29が、廊下灯2を中心とする所定の範囲の撮像を開始する(ステップS201)。動作例2における廊下灯2を中心とする所定の範囲は、例えば、病室に近付いてくる対象者(面会者、看護師など)を検出可能な範囲である。具体的には、当該所定の範囲は、廊下灯2の近傍に配置された消毒液容器10を含むとともに、病室の出入口の扉11および廊下などの共用部の一部を含む範囲である。廊下灯2を中心とする所定の範囲は、例えば廊下灯2を中心として廊下灯2から数m離れた範囲である。廊下灯2のカメラ29が撮像した画像は、廊下灯CPU21に送信される。
【0032】
廊下灯CPU21は、カメラ29から受信した画像に基づいて、撮像された画像に対象者(手指を消毒するべき面会者、看護師など)が含まれるか否かを判定する。画像に対象者が含まれるか否かの判定は、各種の画像処理や、動作例1の動作の有無の検出と同様の方法で行うことができる。撮像された画像に対象者が含まれていない場合、廊下灯CPU21は、所定の範囲内に対象者が入っていないと判定し(ステップS202でNO)、次のステップS202の判定を行う画像を受信するまで待機する。
【0033】
一方で、カメラ29から受信した画像に対象者が含まれていなかったが、次にカメラ29から受信した画像に対象者が含まれている場合には、廊下灯CPU21は、廊下灯2に向かって近づいてくる対象者がいると判定する。また、カメラ29から受信した画像に対象者が含まれている場合には、廊下灯CPU21は、所定の範囲内に対象者が入ったと判定する(ステップS202でYES)。所定の範囲内に対象者が入ったと判定された場合、廊下灯CPU21は、廊下灯2を介して手指の消毒を促すメッセージを報知させる(ステップS203)。手指の消毒を促すメッセージは、例えば、廊下灯2のモニタ23に「病室の入口に消毒液がありますので、手指を消毒してください」との文字表示、または廊下灯2のスピーカー24から「病室に入る前に入口の消毒液で手を消毒してください」との音声の報知である。このように、病室の入口に近付く対象者を検出し、この対象者に対して廊下灯2の近くに消毒液容器10があることをあらかじめ廊下灯2で報知することにより、対象者に手指の消毒を促すことができる。
【0034】
次に、廊下灯CPU21は、所定の範囲内に入った対象者が手指の消毒を行ったか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204の判定は図4に示すステップS102と同様であり、手指の消毒が行われなかったと判定した場合(S204でNO)のステップS205~S207は図4のステップS103~S105と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0035】
以上説明したように、上記動作例1~2に係るナースコールシステム100は、患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機1と、患者からの呼出に応対するためにナースステーションに設置されるナースコール親機3と、患者の病室の入口等に設けられた廊下灯2と、廊下灯2に搭載されて、病室外であって廊下灯2の近傍に配置された消毒液容器10を含む所定の範囲を撮像するカメラ29と、カメラ29で撮像された撮像画像内の対象者が消毒液容器10を用いて手指消毒を行っていない場合に、廊下灯2に手指消毒を促すメッセージを報知させる廊下灯CPU21と、を備えている。この構成によれば、消毒を行っていない者(対象者)に対して廊下灯に消毒励行のメッセージを報知させることにより、手指を消毒するべき面会者、看護師などの対象者に手指の消毒を促すことができ、対象者の手指の衛生状態を改善できる。
【0036】
また、上記動作例1~2のナースコールシステム100において、廊下灯CPU21は、カメラ29の撮像画像内の対象者が所定の範囲内に入った場合に、廊下灯2のモニタ23やスピーカー24にメッセージを報知させてもよい。この構成によれば、病室に近づいてくる人を検出し、廊下灯2の近くに消毒液容器10が有ることをあらかじめ報知することにより、手指を消毒するべき面会者、看護師などの対象者に手指の消毒を促すことができる。
【0037】
また、上記動作例1~2のナースコールシステム100において、廊下灯2はモニタ23を有し、モニタ23に手指の消毒を促すメッセージが表示させてもよい。この構成によれば、消毒を行っていない者に対して廊下灯2のモニタ23に消毒励行のメッセージを表示させることにより、手指を消毒するべき面会者、看護師などの対象者に手指の消毒をより効果的に促すことができる。
【0038】
また、上記動作例1~2のナースコールシステム100において、廊下灯2はスピーカー24を有し、スピーカー24から手指の消毒を促すメッセージが報音させてもよい。この構成によれば、消毒を行っていない者に対して廊下灯2のスピーカー24から注意喚起を行うことにより、手指を消毒するべき面会者、看護師などの対象者に手指の消毒をより効果的に促すことができる。
【0039】
また、上記動作例1~2のナースコールシステム100において、廊下灯CPU21は、撮像画像内の対象者が手指消毒を行っていないことおよび当該対象者を識別するための対象者情報を含む非消毒情報をナースコール親機3に送信し、ナースコール親機3は非消毒情報を報知してもよい。この構成によれば、手指の消毒を行っていない対象者が特定できるため、手指消毒を行っていない対象者が面会者の場合は看護師から消毒を直接お願いしたり、手指消毒を行っていない対象者が看護師の場合は看護師長から消毒を指示したりすることにより、対象者の手指の衛生状態の改善を徹底させることができる。
【0040】
[動作例3]
次に、ナースコールシステム100の動作例3について、図1図3図7を用いて説明する。図7は、動作例3を説明するためのフローチャートである。
【0041】
図7に示すように、廊下灯2のカメラ29が、病院の廊下などの共用部の撮像を開始する(ステップS301)。カメラ29が撮像する共用部には、廊下灯2が配置される病室の出入口の扉11も含まれる。カメラ29は、撮像した画像を廊下灯CPU21に送信する。廊下灯CPU21は、受信した画像に基づいて、共用部で対象者を検出したか否かを判定する(ステップS302)。動作例3における対象者は、廊下灯2が設置された病室に関連付けられた患者、すなわち、廊下灯2が設置された病室に所属する患者である。廊下灯CPU21は、撮像された画像内で対象者が検出されない場合、共用部で対象者が検出されなかったと判定し(ステップS302でNO)、次のステップS302の判定を行う画像を受信するまで待機する。
【0042】
一方、撮像された画像内で対象者が検出された場合、廊下灯CPU21は、共用部で対象者が検出されたと判定する(ステップS302でYES)。共用部で対象者が検出される場合には、例えば、対象者(患者)が自分の病室から共用部へ移動したことが自分の病室の廊下灯2のカメラ29により撮像された場合、同一の対象者が廊下を移動したことが複数の病室の廊下灯2のカメラ29により撮像された場合が含まれる。
【0043】
共用部で対象者を検出したと判定した場合、廊下灯CPU21は、検出された対象者に関する対象者情報を生成する。対象者情報には、廊下灯CPU21が特定した対象者の人物認証情報を含む。対象者の人物認証情報は、各患者に携行させる発信機(図示省略)から廊下灯CPU21が取得した発信機IDにより特定される患者情報であってもよく、カメラ29により撮像された画像から顔認証を行って特定した患者情報であってもよい。人物認証や顔認証は、従来行われている手法で行うことができる。
廊下灯CPU21は、生成した対象者情報と、廊下灯2の識別情報とをナースコール親機3に送信する(ステップS303)。ナースコール親機3に送信される廊下灯2の識別情報には、廊下灯IDおよび廊下灯2が設置された設置場所情報が含まれる。
【0044】
対象者情報および識別情報を受信したナースコール親機3は、対象者情報および識別情報を報知する(ステップS304)。対象者情報および識別情報の報知は、表示部3bへの文字表示でもよく、スピーカーからの音声報知でもよい。表示部3bへの文字表示は、患者の氏名(対象者情報の一例)、患者の疾患名(対象者情報の一例)、廊下灯ID(識別情報の一例)、廊下灯の設置場所情報(識別情報の一例)の表示としてもよい。このように、廊下灯CPU21で病室から共用部へ移動した患者の特定を行うことができ、病室内に留まるべき患者が共用部へ移動し、病室内に在室していないことをナースコール親機3で報知することができる。
【0045】
[動作例4]
次に、ナースコールシステム100の動作例4について、図1図3図8を用いて説明する。図8は、動作例4を説明するためのフローチャートである。
【0046】
図8に示すように、まず、病室カメラ5が、病室内の撮像を開始する(ステップS401)。病室カメラ5が撮像した病室内の画像は、HUB9を介して廊下灯CPU21に送信される。
【0047】
廊下灯CPU21は、受信した画像に対象者(患者)が含まれるか否かに基づいて、対象者が病室内にいるか否かを判定する(ステップS402)。撮像された画像に対象者が含まれる場合、廊下灯CPU21は対象者が病室内にいると判定し(ステップS402でYES)、撮像された画像、画像が撮像された日時情報および病室内に対象者がいるとの情報を記憶部25に記憶し、次のステップS402の判定を行う画像を受信するまで待機する。
【0048】
一方で、撮像された画像に対象者が含まれていない場合には、廊下灯CPU21は、対象者が病室内にいないと判定し(ステップS402でNO)、撮像された画像、画像が撮像された日時情報および病室内に対象者がいないとの情報を記憶部25に記憶する。次に、廊下灯CPU21は、対象者が病室内にいないと判定してから一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS403)。対象者が病室内にいないと判定してから一定時間が経過したか否かの判定は、記憶部25に記憶された病室内に対象者がいないとの情報および画像が撮像された日時情報を用いて判定する。一定時間とは、患者が病室に不在となった場合に患者を探して適切に見守るための一定時間であり、例えば5分とすることができる。廊下灯CPU21は、対象者が病室内にいないと判定してから一定時間が経過していない場合(ステップS403でNO)、ステップS402に戻る。
【0049】
対象者が病室内にいないと判定してから一定時間が経過したと廊下灯CPU21が判定した場合(ステップS403でYES)、廊下灯2のカメラ29が共用部の撮像を開始する(ステップS404)。カメラ29が撮像する共用部には、病室の出入口や病室の扉11や病棟の廊下が含まれる。カメラ29が撮像した画像は、廊下灯CPU21に送信される。廊下灯CPU21は、カメラ29から受信した画像に対象者(患者)が含まれるか否かに基づいて、共用部に対象者(患者)がいるか否かを判定する(ステップS405)。受信した画像に対象者が含まれる場合、廊下灯CPU21は共用部に対象者がいると判定し(ステップS405でYES)、撮像された画像、画像が撮像された日時情報およびこの画像に対象者が含まれているとの情報を記憶部25に記憶し、ステップS405に戻る。
【0050】
受信した画像に対象者が含まれない場合、廊下灯CPU21は共用部に対象者がいないと判定し(ステップS405でNO)、撮像された画像、画像が撮像された日時情報およびこの画像に対象者が含まれていないとの情報を記憶部25に記憶する。次に、廊下灯CPU21は、対象者が共用部にいないと判定してから一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS406)。対象者が共用部にいないと判定してから一定時間が経過したか否かの判定は、ステップS403における一定時間が経過したか否かの判定と同様とすることができる。廊下灯CPU21は、対象者が共用部にいないと判定してから一定時間が経過していないと判定した場合(ステップS406でNO)、ステップS405に戻る。
【0051】
一方で、廊下灯CPU21は、対象者が共用部にいないと判定してから一定時間が経過した場合(ステップS406でYES)、対象者が病室内にも共用部にもいないと判定する。対象者が病室内にも共用部にもいないと判定された場合とは、例えば、患者が病室から廊下を通過して別フロアへつながる階段に移動した場合である。廊下灯CPU21は、対象者が病室内にも共用部にもいないと判定した場合、対象者の氏名等の対象者に関する情報と、対象者が病室内にも共用部にもいないとの情報とを含む不在情報を生成する。廊下灯CPU21は、生成した不在情報をナースコール親機3に送信する(ステップS407)。不在情報を受信したナースコール親機3は、不在情報を報知する(ステップS408)。不在情報の報知は、スピーカーから音声で報知してもよく、表示部3bに表示してもよい。これにより、ナースコール親機3からの報知を看護師が確認して、病室および共用部から離れた患者を探すことができ、患者の適切な見守りができる。
【0052】
なお、対象者が病室内にいないと判定してから一定時間が経過したと廊下灯CPU21が判定した場合にカメラ29が共用部の撮像を開始する例を説明したが、本動作例のカメラ29の撮像開始タイミングは上記した例に限らない。カメラ29は、例えば病室カメラ5が撮像を開始するタイミングと同一のタイミングで撮像を開始してもよく、常時撮像を行ってもよい。
【0053】
[動作例5]
次に、ナースコールシステム100の動作例5について、図9を用いて説明する。図9は、動作例5を説明するためのフローチャートである。
【0054】
図9に示すように、廊下灯2のカメラ29が、共用部の撮像を開始する(ステップS501)。動作例4と同様に、共用部には、病室の出入口や病室の扉11や廊下が含まれる。本動作例では、さらに、廊下灯2は、進入禁止領域の近傍の病室の出入口にも設置されている。進入禁止領域とは、患者に転倒の危険がある領域や、歩行困難な患者における歩行限界を超える距離となる領域や、病院から抜け出す脱走癖がある患者における別フロアへつながる階段と階段への入口とすることができる。進入禁止領域は、個々の患者の病状や脱走癖等の行動の特徴に応じて決定される。例えば、病棟の別フロアにつながる階段の入口や、病室からの移動距離が歩行限界を超える距離(例えば10m)である。進入禁止領域の近傍とは、例えば進入禁止領域の1m手前(進入禁止領域よりも対象者の廊下灯2に1m近い位置)である。進入禁止領域の情報と、当該進入禁止領域が決定された患者の情報は、例えば記憶部25に記憶される。カメラ29が撮像した画像は、廊下灯CPU21へ送信される。
【0055】
廊下灯CPU21は、カメラ29から受信した画像に対象者(患者)が含まれるか否かに基づいて、共用部で対象者を検出したか否かを判定する(ステップS502)。画像に対象者が含まれない場合、廊下灯CPU21は、共用部で対象者を検出しないと判定し(ステップS502でNO)、次のステップS502の判定を行う画像を受信するまで待機する。
【0056】
一方で、受信した画像に対象者が含まれる場合、廊下灯CPU21は、共用部で対象者を検出したと判定する(ステップS502でYES)。続いて、廊下灯CPU21は、対象者の進入禁止領域の近傍で対象者を検出したか否かを判定する(ステップS503)。対象者の進入禁止領域の近傍で対象者を検出したか否かは、ステップ502で検出された対象者が、当該対象者の進入禁止領域の近傍に設置された廊下灯2のカメラ29で撮像されたか否かに基づいて、判定する。進入禁止領域の近傍で対象者が検出されない場合(ステップS503でNO)、ステップS502に戻る。
【0057】
一方、進入禁止領域の近傍で対象者が検出された場合(ステップS503でYES)、廊下灯CPU21は、進入禁止領域の近傍で検出された対象者の氏名などの対象者情報と、廊下灯2の識別情報と、対象者が進入禁止領域の近傍で検出されたとの検出情報を含む進入情報を生成する。廊下灯2の識別情報には、廊下灯IDおよび廊下灯2が設置された設置場所情報を含む。廊下灯CPU21は、生成した進入情報をナースコール親機3に送信する(ステップS504)。進入情報を受信したナースコール親機3は、進入情報を報知する(ステップS505)。進入情報の報知は、スピーカーから音声で出力してもよく、表示部3bに文字で表示してもよい。このナースコール親機3からの報知により、看護師は進入禁止領域に患者が近付いたことを早期に知ることができる。
【0058】
以上説明したように、上記動作例3~5に係るナースコールシステム100は、患者からの呼出に応対するためにナースステーションに設置されるナースコール親機3と、病室の入口に病室毎に設置され、固有の識別情報を有する廊下灯2と、病院の共用部を撮影可能であり、廊下灯2に搭載されるカメラ29と、カメラ29で撮像された撮像画像内の対象者を検出した場合に、対象者を識別するための対象者情報と廊下灯2の識別情報とをナースコール親機3に送信する廊下灯CPU21と、を備える。ナースコール親機3は、対象者情報および識別情報を報知する。対象者は、病室に関連付けられた患者である。この構成によれば、廊下灯CPU21で病室から共用部へ移動した患者の特定を行うことができるので、病室内にとどまるべき患者が共用部へ移動し、病室内に在室していないことをナースコール親機3で報知することができる。このため、病室にとどまるべき患者が病室外に出たことを早期に知ることができる。
【0059】
また、上記動作例3~5のナースコールシステム100において、病室内を撮像可能な病室カメラ5をさらに備え、廊下灯CPU21は、病室カメラ5が対象者を一定時間検出せず、かつ、カメラ29が対象者を一定時間検出しなかった場合に、ナースコール親機3に対象者の不在情報を送信してもよい。この構成によれば、一定時間以上患者の所在が不明の場合にナースコール親機3に報知することができ、病室および共用部から離れた患者を探して患者の適切な見守りができる。
【0060】
また、上記動作例3~5のナースコールシステムにおいて、廊下灯CPU21は、共用部における対象者の進入禁止領域の近傍に位置する廊下灯2に搭載されるカメラが対象者を検出した場合に、ナースコール親機3に対象者の進入情報を送信してもよい。この構成によれば、患者が進入禁止領域に近付いたことを早期に知ることができる。これにより、例えば、脱走癖のある患者の脱走を防ぐことができたり、転倒の危険がある階段等への患者の接近に早期に対応したりすることができる。
【0061】
また、上記動作例3~5のナースコールシステムにおいて、識別情報は、廊下灯2の設置場所情報を含んでもよい。この構成によれば、ナースコール親機3から報知される設置場所情報から、看護師が患者の移動経路を確認することができ、共用部を移動している患者を発見し易くなる。
【0062】
[動作例6]
次に、ナースコールシステム100の動作例6について、図1図3図10を用いて説明する。図10は、動作例6を説明するためのフローチャートである。
【0063】
図10に示すように、廊下灯2のカメラ29が、共用部の撮像を開始する(ステップS601)。カメラ29が撮像する共用部には、廊下灯2の近傍の廊下が含まれる。カメラ29が撮像した画像は、廊下灯2の廊下灯CPU21に送信される。
【0064】
廊下灯CPU21は、受信した画像に対象者が含まれるか否かに基づいて、共用部で対象者が検出されたか否かを判定する(ステップS602)。本動作例における対象者は、廊下灯2が設置された病室の患者である。廊下灯CPU21は、受信した画像に対象者が含まれない場合、共用部で対象者を検出しないと判定し(ステップS602でNO)、カメラ29からステップS602の判定を行う次の画像を受信するまで待機する。
【0065】
一方で、廊下灯CPU21は、受信した画像に対象者が含まれる場合、共用部で対象者を検出したと判定し(ステップS602でYES)、画像に含まれる対象者の姿勢または動作が特定の姿勢または特定の動作か否かを判定する(ステップS603)。特定の姿勢とは、容態が急変した場合にとられる典型的な姿勢であり、例えば、倒れた姿勢、うずくまる姿勢、胸を押さえる姿勢である。特定の動作とは、容態が急変した場合に見られる典型的な動作であり、例えば、倒れた動作、うずくまる動作、胸を押さえる動作である。廊下灯CPU21は、受信した画像から、対象者の特定の姿勢または特定の動作を検出しない場合(ステップS603でNO)、カメラ29からステップS602の検出を行う次の画像を受信するまで待機する。
【0066】
廊下灯CPU21は、受信した画像から、対象者の特定の姿勢または特定の動作を検出した場合(ステップS603でYES)、対象者の氏名などの対象者情報と、特定の姿勢または特定の動作を検出した廊下灯2の識別情報とを生成する。廊下灯CPU21は、生成した対象者情報と識別情報とをナースコール親機3に送信する(ステップS604)。廊下灯2の識別情報には、廊下灯2の廊下灯IDと、廊下灯2が設置されている設置場所情報とが含まれる。
対象者情報と識別情報を受信したナースコール親機3は、対象者情報および識別情報を報知する(ステップS605)。対象者情報と識別情報の報知は、スピーカーから音声で出力してもよく、表示部3bに文字で表示してもよい。ナースコール親機3からの報知により、看護師は急変した患者が共用部にいることを早期に知ることができ、患者を早期に保護することができる。
【0067】
次に、廊下灯CPU21は、廊下灯2の報知部から対象者情報および識別情報を報知する(ステップS606)。対象者情報および識別情報の報知は、モニタ23に文字で表示してもよく、スピーカー24から音声で出力してもよい。さらに、廊下灯2は、対象者情報および識別情報の報知とともに、患者の容態の急変を報知してもよい。患者の容態の急変の報知は、例えば、表示灯22を、通常の患者からの呼び出し(ナースコール)における点灯よりも短い時間間隔で点滅発光させることにより、視覚的に報知してもよく、モニタ23に「近くに人が倒れています」との文字を表示させることにより視覚的に報知してもよく、スピーカー24から「廊下に人が倒れています」との音声を出力させることにより聴覚的に報知してもよい。
【0068】
以上説明したように、上記動作例6に係るナースコールシステム100は、患者からの呼出に応対するためにナースステーションに設置されるナースコール親機3と、病室の入口に病室毎に設置され、固有の識別情報を有する廊下灯2と、病院の共用部を撮影可能であり、廊下灯2に搭載されるカメラ29と、カメラ29で撮像された撮像画像内の対象者の姿勢または動作を検出する廊下灯CPU21と、を備えている。廊下灯CPU21は、対象者の特定の姿勢または特定の動作を検出した場合、対象者を識別するための対象者情報と識別情報とをナースコール親機3に送信し、ナースコール親機3は対象者情報および識別情報を報知する。この構成によれば、共用部に容態が急変した患者がいることを早期に知ることができ、患者を早期に保護することができる。
【0069】
また、上記動作例6のナースコールシステム100において、特定の姿勢または特定の動作は、対象者が倒れた姿勢または倒れた動作、対象者がうずくまる姿勢またはうずくまる動作、対象者が胸を押さえる姿勢または動作の少なくとも一つであってもよい。この構成によれば、これらの姿勢・動作を対象者の急変事象として報知できる。
【0070】
また、上記動作例6のナースコールシステム100において、廊下灯2は、患者からの呼出を報知する表示灯22、モニタ23およびスピーカー24を含み、廊下灯CPU21は対象者情報および識別情報をモニタ23およびスピーカー24から報知させてもよい。この構成によれば、共用部における患者の急変が廊下灯の報知部から報知されるので、報知した廊下灯の近くにいる看護師が対象者のところに早期に駆けつけることができる。
【0071】
上記した動作例6では、ナースコール親機3が対象者情報および識別情報を報知(ステップS605)した後に、廊下灯2の報知部から対象者情報および識別情報を報知(ステップS606)する例を説明したが、対象者情報および識別情報の報知のタイミングは上記した例に限られない。例えば、ナースコール親機3の報知と廊下灯2の報知部の報知とを同時に行ってもよく、廊下灯2の報知部の報知の後にナースコール親機3の報知を行ってもよい。
【0072】
上記した動作例では、病室カメラ5が撮像した画像を廊下灯CPU21が判定する例を説明したが、画像を判定する構成は上記した例に限られない。例えば、病室カメラ5が撮像した画像を判定するCPUを、病室カメラ5内に備えても良い。
【0073】
また、上記した動作例では、ナースコール親機3から報知する例を説明したが、報知の例は上記に限らない。例えば、廊下灯CPU21から携帯端末6に送信して、携帯端末6の表示部6aに文字表示してもよく、報音部6bであるスピーカーから音声出力してもよい。
【0074】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0075】
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、
前記患者からの呼出に応対するためにナースステーションに設置されるナースコール親機と、
前記患者の病室の入口等に設けられた廊下灯と、
前記廊下灯に搭載されて、前記病室外であって前記廊下灯の近傍に配置された消毒液容器を含む所定の範囲を撮像するカメラと、
前記カメラで撮像された撮像画像内の対象者が前記消毒液容器を用いて手指消毒を行っていない場合に、前記廊下灯に手指消毒を促すメッセージを報知させる制御部と、を備えているナースコールシステム。
この構成によれば、消毒を行っていない者(対象者)に対して廊下灯に消毒励行のメッセージを報知させることにより、手指の消毒を促すことができ、対象者の手指の衛生状態を改善できる。
【0076】
(2) 前記制御部は、前記撮像画像内の前記対象者が前記所定の範囲内に入った場合に、前記廊下灯に前記メッセージを報知させる、(1)に記載のナースコールシステム。
この構成によれば、病室に近づいてくる人を検出し、廊下灯の近くに消毒液が有ることをあらかじめ廊下灯で報知することにより、手指の消毒を促すことができる。
【0077】
(3) 前記廊下灯は表示部を有し、前記表示部に前記メッセージが表示される、(1)または(2)に記載のナースコールシステム。
この構成によれば、消毒を行っていない者に対して廊下灯の表示部に消毒励行のメッセージを表示させることにより、手指の消毒をより効果的に促すことができる。
【0078】
(4) 前記廊下灯は報音部を有し、前記報音部から前記メッセージが報音される、(1)から(3)のいずれかに記載のナースコールシステム。
この構成によれば、消毒を行っていない者に対して廊下灯の報音部(スピーカー)から注意喚起を行うことにより、手指の消毒をより効果的に促すことができる。
【0079】
(5) 前記制御部は、前記撮像画像内の前記対象者が手指消毒を行っていないことおよび当該対象者を識別するための対象者情報を含む非消毒情報を前記ナースコール親機に送信し、
前記ナースコール親機は、前記非消毒情報を報知する、(1)から(4)のいずれかに記載のナースコールシステム。
この構成によれば、手指の消毒を行っていない対象者が特定できるため、手指消毒を行っていない対象者が面会者の場合は看護師から消毒を直接お願いし、手指消毒を行っていない対象者が看護師の場合は看護師長から消毒を指示することにより、対象者の手指の衛生状態の改善を徹底させることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 ナースコール子機、2 廊下灯、3 ナースコール親機、3a 通話部、3b 表示部、4 制御機、5 病室カメラ、6 携帯端末、7 交換機、8 基地局、10 消毒液容器、10a ヘッド、10b ノズル、11 扉、22 表示灯、23 モニタ、24 スピーカー、25 記憶部、26 操作ボタン、27 復旧ボタン、28 通信インターフェース、29 カメラ、100 ナースコールシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10