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  • 特開-光学フィルム及び画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170233
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】光学フィルム及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/18 20150101AFI20231124BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20231124BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20231124BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20231124BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20231124BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20231124BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231124BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231124BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20231124BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20231124BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20231124BHJP
   C09D 5/16 20060101ALI20231124BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20231124BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20231124BHJP
   G02B 1/118 20150101ALN20231124BHJP
【FI】
G02B1/18
G02B1/111
G02B5/02 A
C08F2/50
C08F290/06
C08F290/12
B32B27/00 103
B32B27/30 A
B32B27/30 D
B32B27/20 Z
C09K3/00 112C
C09D4/02
C09D5/16
C09D7/61
C09D7/63
G02B1/118
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081816
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 拓也
(72)【発明者】
【氏名】金田 怜士
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 匠
【テーマコード(参考)】
2H042
2K009
4F100
4J011
4J038
4J127
【Fターム(参考)】
2H042BA08
2H042BA12
2H042BA15
2H042BA20
2K009AA02
2K009BB28
2K009CC09
2K009CC24
2K009CC26
2K009CC35
2K009CC42
2K009CC47
2K009DD02
2K009EE05
4F100AA20B
4F100AJ06A
4F100AK17B
4F100AK25B
4F100AK54B
4F100BA02
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DE01B
4F100EJ54
4F100GB41
4F100JB14B
4F100JK09
4F100JL06B
4F100JN01A
4F100JN06B
4F100YY00B
4J011QA23
4J011QA32
4J011QB24
4J011QB25
4J011SA61
4J011SA84
4J011TA06
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J038FA111
4J038HA446
4J038JA11
4J038KA21
4J038NA05
4J038PB08
4J038PC08
4J127AA04
4J127BA01
4J127BB042
4J127BB051
4J127BB081
4J127BB112
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC022
4J127BC031
4J127BC151
4J127BC152
4J127BD061
4J127BD211
4J127BD291
4J127BG081
4J127BG082
4J127BG08Y
4J127BG271
4J127BG272
4J127BG27Y
4J127BG381
4J127BG38Y
4J127CB341
4J127CC091
4J127DA12
(57)【要約】
【課題】防汚性及び耐擦傷性に優れた光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置を提供する。
【解決手段】透明基材フィルム上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムであって、機能層が、下記成分(A)及び(B)を含有する組成物から形成され、組成分の全固形分のうち、成分(A)の含有量が6.5~11質量%であり、成分(B)の含有量が1.5~2.5質量%であることを特徴とする、光学フィルム。
(A)下記一般式(1)で表される含フッ素防汚剤
一般式(1):Rf-(X-(Y)
(一般式(1)中、Xは連結基、Yは(メタ)アクリロイル基、Zは2以上の整数、Rfは、下記一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖である)
一般式(2):
-(OCF-(OC-(OC-(OC-O-
(B)CF基及び(メタ)アクリロイル基を有する含CF(メタ)アクリレート
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルム上に少なくとも一層の機能層を有する光学フィルムであって、
前記機能層が、下記成分(A)及び(B)を含有する組成物から形成され、
前記組成分の全固形分のうち、前記成分(A)の含有量が6.5~11質量%であり、前記成分(B)の含有量が1.5~2.5質量%であることを特徴とする、光学フィルム。
(A)下記一般式(1)で表される含フッ素防汚剤
一般式(1):Rf-(X-(Y)
(一般式(1)中、Xは連結基、Yは(メタ)アクリロイル基であり、Zは2以上の整数である。また、Rfは、下記一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖であって、一般式(1)中のa、b、c及びdは、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数であり、各繰り返し単位の順序は任意であって良い)
一般式(2):
-(OCF-(OC-(OC-(OC-O-
(B)CF基及び(メタ)アクリロイル基を有する含CF(メタ)アクリレート
【請求項2】
前記一般式(2)におけるdが0であり、(a+b)/(a+b+c)>0.9を満足することを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記成分(A)が、フッ素原子を40質量%以上70質量%以下のパーフルオロポリエーテルであることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記組成物が、アシルフォスフィンオキシド類の光重合開始剤を含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記組成物が、更に一分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能モノマーを含有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記機能層が、更に平均粒径が30nm以上150nm以下であり中空構造を有するシリカ微粒子を含有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記機能層が反射防止機能を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の光学フィルムを備える、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム及びこれを備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の最表面には、指紋などの汚れに対する耐性(防汚性)を備えた光学フィルムが設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、透明支持体上に低屈折率層を設けた反射防止フィルムとして、低屈折率層を、重合性不飽和基を有する含フッ素防汚剤と、重合性不飽和基を有する含フッ素共重合体と、無機微粒子と、3つ以上の重合性不飽和基及び35質量%以上のフッ素を有し、架橋間分子量の計算値が500よりも小さい多官能モノマーとを含有する組成物で形成した構成が記載されている。
【0004】
特許文献2には、透明基材フィルム上に低屈折率層を有する反射防止フィルムとして、低屈折率層を、重合性不飽和基を有し、重量平均分子量が10000未満である含フッ素防汚剤と、重合性不飽和基を有する多官能モノマーと、無機微粒子とを含有する組成物で形成した構成が記載されている。
【0005】
特許文献3には、透明支持体からもっとも遠くに位置する屈折率1.28~1.48の層を、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含有する電離放射線硬化性化合物と、導電性金属酸化物被覆層を有する微粒子と、電離放射線硬化型の含フッ素防汚剤とを含有する組成物で形成した構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5690866号公報
【特許文献2】特許第5656431号公報
【特許文献3】特許第5049542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像表示装置の最表面に配置される光学フィルムには、防汚性に加え、耐擦傷性などの機械特性が要求される。従来、光学フィルムに防汚性を付与するために、最表層の構成材料にパーフルオロポリエーテルやパーフルオロアルキル等の含フッ素防汚剤を添加する手法が検討されてきた。しかしながら、含フッ素防汚剤の分子構造によっては、防汚性を向上させることはできても、耐擦傷性が不十分となる場合があった。
【0008】
それ故に、本発明は、防汚性及び耐擦傷性に優れた光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光学フィルムは、透明基材フィルム上に少なくとも一層の機能層を有し、機能層が、下記成分(A)及び(B)を含有する組成物から形成され、組成分の全固形分のうち、成分(A)の含有量が6.5~11質量%であり、成分(B)の含有量が1.5~2.5質量%であることを特徴とするものである。
(A)下記一般式(1)で表される含フッ素防汚剤
一般式(1):Rf-(X-(Y)
(一般式(1)中、Xは連結基、Yは(メタ)アクリロイル基であり、Zは2以上の整数である。また、Rfは、下記一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖であって、一般式(1)中のa、b、c及びdは、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数であり、各繰り返し単位の順序は任意であって良い)
一般式(2):
-(OCF-(OC-(OC-(OC-O-
(B)CF基及び(メタ)アクリロイル基を有する含CF(メタ)アクリレート
【0010】
本発明に係る画像表示装置は、上記の光学フィルムを備える
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、防汚性及び耐擦傷性に優れた光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る光学フィルムの一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態に係る光学フィルムの一例を示す断面図である。
【0014】
光学フィルム1は、透明支持体2と、光学フィルム1の最表面となる機能層3とを備える。本実施形態に係る光学フィルム1には、透明支持体2と機能層3との間に更に防眩層4が設けられている。
【0015】
透明支持体2は、光学フィルム1の基体となるフィルムであり、可視光線の透過性に優れた材料により形成される。透明支持体2の形成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の透明樹脂や無機ガラスを利用できる。この中でも、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムを好適に利用できる。透明支持体2の厚みは、特に限定されないが、10~200μmとすることが好ましい。
【0016】
透明支持体2の表面には、積層する他の層との密着性を向上させるために、表面改質処理を施しても良い。表面改質処理としては、アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理、界面活性剤やシランカップリング剤等の塗布、Si蒸着等を例示できる。
【0017】
機能層3は、光学フィルム1の最表面に設けられ、防汚性と耐擦傷性を付与する層である。
【0018】
機能層3は、(A)下記一般式(1)で表される含フッ素防汚剤と、(B)CF基及び(メタ)アクリロイル基を有する含CF(メタ)アクリレートとを含有する組成物から形成される。尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方の総称であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの両方の総称である。
【0019】
(A)含フッ素防汚剤
含フッ素防汚剤としては、下記一般式(1)で表される重合性化合物を使用する。
一般式(1):Rf-(X-(Y)
【0020】
一般式(1)中のRfは、下記一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル基である。
一般式(2):
-(OCF-(OC-(OC-(OC-O-
一般式(2)のa、b、c及びdは、それぞれ、繰り返し単位(OCF)、(OC)、(OC)及び(OC)の繰り返し数である。a~dは、例えば、0~50である。繰り返し単位(OC)及び(OC)は、直鎖構造及び分岐構造のいずれであっても良く、Rf中に直鎖構造の繰り返し単位と分岐構造の繰り返し単位の一方または両方を含んでいても良い。また、一般式(2)における各繰り返し単位の配列順は任意であり、ランダムであっても良い。
【0021】
一般式(1)中のXは、連結基である。Xの構造は特に限定されず、Xは、例えば、アルキレン基、オキシアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、スルホンアミド基、アミド結合、シロキサン結合、エステル結合、エーテル結合、炭素-窒素結合等を含んでいても良い。また、Xは、直鎖構造、分岐構造及び環状構造の1種以上を含んでいても良い。
【0022】
一般式(1)のYは、(メタ)アクリロイル基である。
【0023】
一般式(1)のZは、2以上の整数である。Zが1である場合、含フッ素防汚剤と、その下層のモノマーとの結合箇所が少なくなり、耐擦傷性が不十分となる可能性があるため好ましくない。
【0024】
一般式(2)において、d=0、かつ、(a+b)/(a+b+c)>0.9を満足することがより好ましい。この条件を満たす場合、一般式(1)で表される含フッ素防汚剤と他の成分との相溶性が向上するため好ましい。その理由は、Rf鎖中に繰り返し単位(OC)及び(OC)が多く含まれていると、-CF-の連続箇所が増えるため、他の成分との相溶性が低下するためと考えられる。
【0025】
本実施形態で用いる含フッ素防汚剤は、機能層の表面をRfが満たすことによって、防汚性を発現する。含フッ素防汚剤は、フッ素原子を40質量%以上70質量%以下含有するパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。含フッ素防汚剤のフッ素原子の含有量が、含フッ素防汚剤の固形分の40質量%未満の場合、一般式(1)の分子構造中のフッ素原子以外の部分(X及びY)の表面密度が高くなり、機能層3の表面のRfの密度が低下するため、防汚性が低下する。また、含フッ素防汚剤の分子中には、Rf、X及びYを構成するフッ素以外の原子が存在するため、フッ素原子の含有割合の上限は70質量%が現実的である。
【0026】
含フッ素防汚剤の含有量は、機能層形成用組成物の全固形分の6.5質量%以上11質量%以下であることが好ましい。含フッ素防汚剤の含有量が、機能層形成用組成物の全固形分の6.5質量%未満の場合、防汚剤の量が少ないことにより、防汚性が十分に得られない可能性があるため、好ましくない。また、含フッ素防汚剤の含有量が、機能層形成用組成物の全固形分の11質量%を超える場合、最表面に満たされた含フッ素防汚剤の下層にも防汚剤が存在すると考えられる。この場合、最表面の含フッ素防汚剤が下層のモノマーと結合できず、耐擦傷性が低下する可能性があるため、好ましくない。
【0027】
本実施形態で使用可能な含フッ素防汚剤として、例えば、以下の式(3)~(15)に示す分子構造を有する化合物を挙げることができる。
【0028】
式(3):Z=2
【化1】
【0029】
式(4):Z=2
【化2】
【0030】
式(5):Z=3
【化3】
【0031】
式(6):Z=3
【化4】
【0032】
式(7):Z=4
【化5】
【0033】
式(8):Z=4
【化6】
【0034】
式(9):Z=5
【化7】
【0035】
式(10):Z=5
【化8】
【0036】
式(11):Z=6
【化9】
【0037】
式(12):Z=6
【化10】
【0038】
式(13):Z=3
【化11】
【0039】
式(14):Z=3
【化12】
【0040】
式(15):Z=4
【化13】
【0041】
尚、一般式(1)で表される分子構造を有する含フッ素防汚剤の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKY-1203を使用することができる。
【0042】
(B)含CF(メタ)アクリレート
含CF(メタ)アクリレートとしては、CF基(パーフルオロメチル基)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を使用することができる。含CF(メタ)アクリレートの分子構造は特に限定されないが、一分子中に多数の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。含CF(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(16)で表され、分子量が1000~15000である化合物を好適に使用することができる。尚、式(16)において、括弧で括った各構成単位の繰り返し順序はランダムである。
【0043】
式(16):
【化14】
【0044】
上述した含フッ素防汚剤は、分子中央に多数のフッ素原子を有する長鎖構造を有しており、その鎖の両末端に光反応性官能基を有する。この含フッ素防汚剤を含む組成物で機能層を形成すると、機能層の表面がフッ素原子で満たされるため、良好な防汚性が発現する。しかしながら、両末端に(メタ)アクリロイル基を備えた分子構造であるために、塗膜の表面をパーフルオロポリエーテル鎖で満たした状態とすると、含フッ素防汚剤の(メタ)アクリロイル基同士が結合しやすい。この結果、含フッ素防汚剤と塗膜深部との結合箇所が少なくなるため、含フッ素防汚剤の機能層表面への固定力が弱くなる。そのため、得られた光学フィルムの耐擦傷性が悪い。
【0045】
このような問題に対して、本実施形態では、パーフルオロポリエーテル鎖を有する含フッ素防汚剤と、含CF(メタ)アクリレートとを併用する。含CF(メタ)アクリレートは、CF基を有するため、塗膜の表面において、パーフルオロポリエーテル鎖を有する含フッ素防汚剤の分子間に入り込む。これにより、パーフルオロポリエーテル鎖を有する含フッ素防汚剤同士の結合を抑え、パーフルオロポリエーテル鎖を有する含フッ素防汚剤と塗膜深部とにあるモノマーとの結合箇所を増やすことができる。したがって、本実施形態によれば、含フッ素防汚剤が機能層の表面に強く固定され、防汚性と耐擦傷性に優れた光学フィルムを実現できる。
【0046】
含CF(メタ)アクリレートの含有量は、機能層形成用組成物の全固形分の1.5質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。含CF(メタ)アクリレートの含有量が、機能層形成用組成物の全固形分の1.5質量%未満の場合、塗膜の表面においてパーフルオロポリエーテル鎖を有する含フッ素防汚剤の分子間に入り込む分子の数が少なくなる。したがって、パーフルオロポリエーテル鎖を有する含フッ素防汚剤同士の結合を十分抑制できず、耐擦傷性が不十分となる可能性があるため好ましくない。また、含CF(メタ)アクリレートの含有量が、機能層形成用組成物の全固形分の2.5質量%を超える場合、塗膜の表面が含フッ素防汚剤のパーフルオロポリエーテル鎖によって満たされなくなり、防汚性が低下する可能性があるため好ましくない。
【0047】
(C)重合開始剤
重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する重合開始剤を使用する。重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アシルフォスフィンオキシド等のラジカル重合開始剤に使用することができる。これらの中でもアシルフォスフィンオキシド系の重合開始剤が好ましく、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドを好適に使用することができる。その他の重合開始剤として、2,2-ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p-クロロベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2-クロロチオキサントン等を使用できる。これらのうち1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0048】
重合開始剤の含有量は、機能層形成用組成物の全固形分の1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
【0049】
(D)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー
機能層形成用組成物には、上記の含フッ素防汚剤及び含CF(メタ)アクリレートに加えて、活性エネルギー線硬化性多官能モノマー(以下、単に「多官能モノマー」という)が更に含まれていることが好ましい。多官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性の官能基を有する化合物を使用することができる。重合性不飽和基を有する多官能モノマーとしては、一分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を使用することが好ましく、一分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を使用することがより好ましい。
【0050】
2官能の(メタ)アクリレートの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
3官能以上の(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0052】
また、多官能モノマーとして、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
【0053】
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0054】
上述した多官能モノマーは1種を用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述した多官能モノマーは、塗工液中でモノマーであっても良いし、一部が重合したオリゴマーであっても良い。
【0055】
機能層3は、その表面で反射する光を、機能層3及びその下層(図1の例では防眩層4)の界面で反射する光との干渉で打ち消すことにより、表面反射を低減する反射防止層(低反射層)であることが好ましい。機能層3に反射防止機能を付与する場合、機能層3を低屈折率化するために、低屈折率微粒子やその他の低屈折率材料を添加しても良い。低反射層の屈折率が低くなるほど、透過率が向上するため、低反射層の屈折率は可能な限り低いことが好ましい。低屈折率微粒子としては、平均粒径が30nm以上150nm以下であり、中空構造を有するシリカ微粒子を好適に使用することができる。中空構造を有するシリカ微粒子は、中空部の屈折率が空気の屈折率(約1)であるため、機能層3の低屈折率化に有利であり、耐擦傷性を向上させることもできる。中空構造を有するシリカ微粒子の代わりに、多孔質シリカ微粒子を使用することも可能である。
【0056】
その他の低屈折率材料としては、例えば、LiF、MgF、3NaF・AlF、AlF、NaAlF等の微粒子や、硬化後の屈折率が上記成分(A)及び(B)よりも低い重合性化合物を使用しても良い。このような重合性化合物としては、重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー等を使用することができる。機能層3が反射防止機能を有する場合、後述する防眩層4と組み合わせることにより、高品位な反射防止フィルムを構成することができる。
【0057】
機能層形成用組成物に中空シリカ微粒子等の微粒子を添加する場合、微粒子の含有量は、機能層形成用組成物の全固形分の40質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
【0058】
尚、機能層形成用組成物には、適宜溶剤を添加しても良い。溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、N-メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、水等のうち、1種類または2種類以上を混合して使用できる。
【0059】
その他、必要に応じて、機能層形成用組成物に、上記成分(A)及び(B)以外のモノマー、オリゴマー、ポリマー等を配合しても良い。また、必要に応じて、機能層形成用組成物に、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、光増感剤等の各種添加剤を配合しても良い。
【0060】
防眩層4は、表面に微細な凹凸を有し、この凹凸で外光を散乱させることにより外光の映り込みを低減する光学機能層である。防眩層4は、活性エネルギー線硬化型化合物と、有機微粒子及び/または無機微粒子とを含有する塗工液を透明支持体2に塗布し、塗膜を硬化させることによって形成される。
【0061】
活性エネルギー線硬化型化合物としては、上記成分(B)で説明した2官能以上の(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
【0062】
有機微粒子は、主として防眩層4の表面に微細な凹凸を形成し、外光を拡散させる機能を付与する材料である。有機微粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等の透光性樹脂材料からなる樹脂粒子を使用できる。屈折率や樹脂粒子の分散を調整するために、材質(屈折率)の異なる2種類以上の樹脂粒子を混合して使用しても良い。
【0063】
光学機能層の基材樹脂に添加する無機微粒子は、平均粒径が10~200nmのナノ粒子であることが好ましい。
【0064】
無機微粒子は、主として防眩層4中の有機微粒子の沈降や凝集を調整するための材料である。無機微粒子としては、シリカ微粒子や、金属酸化物微粒子、各種の鉱物微粒子等を使用することができる。シリカ微粒子としては、例えば、コロイダルシリカや(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基で表面修飾されたシリカ微粒子等を使用することができる。金属酸化物微粒子としては、例えば、アルミナや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタニア、ジルコニア等を使用することができる。鉱物微粒子としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等を使用することができる。鉱物微粒子は、天然物及び合成物(置換体、誘導体を含む)のいずれであっても良く、両者の混合物を使用しても良い。鉱物微粒子の中でも、層状有機粘土がより好ましい。層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機
オニウムイオンを導入したものをいう。有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。鉱物微粒子として、層状有機粘土鉱物を用いる場合、上述した合成スメクタイトを好適に使用できる。合成スメクタイトは、防眩層形成用組成物の粘性を増加させ、樹脂粒子及び無機微粒子の沈降を抑制して、光学機能層の表面の凹凸形状を調整する機能を有する。
【0065】
また、防眩層形成用組成物には、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、光増感剤等の各種添加剤や、溶剤等を必要に応じて配合しても良い。
【0066】
本実施形態に係る光学フィルム1は、透明支持体2上に防眩層形成用組成物を塗布して硬化させることによって防眩層4を形成した後、防眩層4上に機能層形成用組成物を塗布して硬化させることによって形成することができる。
【0067】
本実施形態に係る光学フィルム1は、液晶パネルや有機ELパネル等の画像表示パネルの最表面に貼合して画像表示装置を構成するのに利用することができる。光学フィルム1と画像表示パネルとの間にタッチパネルが設けられても良い。本実施形態1に係る光学フィルム1は、防汚性及び耐擦傷性に優れるため、画像表示装置の最表面に設ける光学フィルムとして好適である。また、光学フィルム1の機能層が反射防止機能を有する場合、画像表示装置の表面反射や映り込みを抑制し、表示画像の視認性を向上させることができる。
【0068】
尚、上記の実施形態では、透明支持体2上に防眩層4及び機能層3をこの順に積層した光学フィルム1を例として説明したが、透明支持体2と最表面の機能層3との間に設ける層は特に限定されない。例えば、透明支持体2と最表面の機能層3との間に、ハードコート層、高屈折率層、中屈折率層、帯電防止層、電磁波遮断層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等の機能層が1層以上積層されても良いし、透明支持体2上に機能層3が直接積層されていても良い。
【実施例0069】
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
【0070】
実施例及び比較例で使用した材料は次の通りである。
【0071】
(A)含フッ素防汚剤
(A-1):KY-1203(商品名)、信越化学工業株式会社製
(A-2):下記式(17)で表される化合物
式(17):Z=1
【化15】
式中、Rf=-CF(OCF21(OC24OCF-である。
【0072】
(B)含CF(メタ)アクリレート
下記式(18)で表される化合物(式中のl:m:n≒4:10:1)、分子量1000~15000
式(18):
【化16】
【0073】
(C)光重合開始剤
JRCure TPO(下記式(19)で表される、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)、TIANJIN JIURI NEW MATERIALS CO.,LTD製
式(19):
【化17】
【0074】
(D)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー
下記式(20)で表される3官能アクリレート(ペンタエリスリトールトリアクリレート)
式(20):
【化18】
(E)微粒子
平均粒径50nmの中空シリカ微粒子
【0075】
溶媒:
イソプロピルアルコール(IPA)、ジアセトンアルコール(DAA)、メチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶剤で、各溶剤の質量比はIPA:DAA:MIBK=72:15:13
【0076】
(機能層形成用組成物の調整)
含フッ素防汚剤、多官能モノマー、光重合開始剤、シロキサン及び中空シリカ微粒子を、下記表1に示す含有割合となるように混合し、全固形分の濃度が3.5質量部となるように溶剤に溶解させて、各実施例及び各に係る機能層形成用組成物を調整した。尚、表1に示す各成分の含有量の割合の単位は質量%(全固形分に対する割合)である。
【0077】
(防眩フィルム)
ペンタエリスリトールトリアクリレート100質量部、トルエンジイソシアネート30質量部、レベリング剤(商品名:BYK-350、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.2質量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバケミカル(株)製)5質量部、アクリル微粒子(平均粒径4μm)8質量部、溶剤であるメチルエチルケトン25質量部及びトルエン25質量部を含有する防眩層形成用組成物を調製した。トリアセチルセルロースからなるフィルム基材(膜み40μm)の上に、防眩層形成用組成物を、乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗工し、乾燥させ、紫外線を照射することにより防眩層を有する防眩フィルムを作製した。
【0078】
(光学フィルムの作製)
防眩フィルムの防眩層上に、表1に示す組成の機能層用組成物を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が100nmとなるように塗工した。オーブンに溶剤を揮発させた後、窒素雰囲気下で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、光学フィルムを作製した。
【0079】
(防汚性評価)
光学フィルムを黒板に貼合した後、機能層表面に指を押し付けて指紋を付着させた。付着した指紋をティッシュペーパー(スコッティ、日本製紙クラシエ(株)製)で繰り返し拭き取った。目視にて指紋が完全に拭き取られたのを確認できるまで拭き取りを繰り返し、完全に拭き取られるまでの拭き取り回数により、以下の基準で評価した。
〇:拭き取り回数が15回以下
×:拭き取り回数が15回超
【0080】
(耐擦傷性評価)
機能層表面をスチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を用いて500g/cmの加重で10往復擦り、傷の有無を目視評価した。評価基準は以下の通りである。
〇:傷なし
×:傷あり
【0081】
表1に、実施例1~7及び比較例1~11に係る機能層形成用組成物の組成と、防汚性及び耐擦傷性の評価を併せて示す。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例1~8に係る光学フィルムは、防汚性及び対擦傷性の両方が良好であった。これは、機能層形成用組成物に含フッ素防汚剤と含CF(メタ)アクリレートとを、いずれも上述した配合割合となるように添加したことにより、機能層表面が含フッ素防汚剤で満たされ、かつ、含フッ素防汚剤と下層のモノマーとの結合箇所が多く生じたためと考えられる。
【0084】
これに対して、比較例1及び2に係る光学フィルムは、含CF(メタ)アクリレートが配合されていないか、配合割合が上述した範囲を下回ったことにより、いずれも耐擦傷性が不十分であった。
【0085】
比較例3に係る光学フィルムは、含CF(メタ)アクリレートの配合割合が上述した範囲を超えたことにより、防汚性が不十分であった。
【0086】
比較例4、5、7及び8に係る光学フィルムは、含フッ素防汚剤の配合割合が上述した範囲を下回ったことにより、防汚性が不十分であった。
【0087】
比較例6、9及び10に係る光学フィルムは、含フッ素防汚剤の配合割合が上述した範囲を超えたことにより、耐擦傷性が不十分であった。
【0088】
比較例11~16は、含フッ素防汚剤として、一般式(1)中のZの値が1である化合物(A-2)を使用したものである。化合物(A-2)が持つ重合性官能基の数が少ないため、下層のモノマーとの結合箇所が少なくなり、耐擦傷性が不十分であった。また、比較例13に係る光学フィルムは、含CF(メタ)アクリレートの配合割合が上述した範囲を超えたことにより、防汚性も不十分であった。比較例14に係る光学フィルムは、含フッ素防汚剤の配合割合が上述した範囲を下回ったことにより、防汚性も不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像表示装置の最表面に設けられる光学フィルムとして利用できる。
【符号の説明】
【0090】
1 光学フィルム
2 透明支持体
3 機能層
4 防眩層
図1