(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170240
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】エージェントの制御方法及びエージェントの制御装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20231124BHJP
A63H 11/00 20060101ALI20231124BHJP
A63H 5/00 20060101ALI20231124BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01C21/36
A63H11/00 Z
A63H5/00 C
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081832
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老名 亮彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 沙織
【テーマコード(参考)】
2C150
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C150CA01
2C150CA02
2C150DA21
2C150DA25
2C150DF03
2C150DF33
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2C150EF13
2C150EF16
2C150EF28
2C150EF29
2C150EF33
2F129AA03
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2F129HH20
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
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5H181CC11
5H181FF12
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5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】運転者のエージェントに対する信頼性を向上させる。
【解決手段】車両Vの搭乗者に情報を提供するエージェント31の制御方法は、車両Vの位置情報及び車内外の環境情報を取得するとともに、車両Vに設けられた装置に対して搭乗者が行った操作情報を取得する。さらに、車両Vが所定の環境あるいは所定の位置にいるときに、所定の装置に対して搭乗者が所定の操作を行った場合に、所定の操作に同調する演出を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の搭乗者に情報を提供するエージェントの制御方法であって、
前記車両の位置情報及び車内外の環境情報を取得するとともに、前記車両に設けられた装置に対して前記搭乗者が行った操作情報を取得し、
前記車両が所定の環境あるいは所定の位置にいるときに、所定の前記装置に対して前記搭乗者が所定の操作を行った場合に、前記所定の操作に同調する演出を実行する、エージェントの制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたエージェントの制御方法であって、
前記所定の操作に同調する前記演出を行った場合に、当該演出を行った時の前記搭乗者の表情、前記搭乗者の生体情報、及び前記搭乗者の発話内容の少なくともいずれか1つを記憶し、
以降に前記演出を実行する場合には、当該記憶した内容に基づいて、前記演出を実行するか否かを判定するエージェントの制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載されたエージェントの制御方法であって、
記憶する前記搭乗者の前記表情、前記搭乗者の前記生体情報、及び前記搭乗者の前記発話内容を、前記演出に対する前記搭乗者の同調の度合いによって、複数の段階に区別し、
前記演出を実行する場合には、前記段階に応じた前記演出を実行するエージェントの制御方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記エージェントは、前記車両のダッシュボードに設置された機器であり、
前記演出は、前記エージェントの動作及び発話の少なくとも1つによって実行される、エージェントの制御方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記エージェントは、前記車両に設置された表示装置に表示されたキャラクタであり、
前記演出は、前記表示装置に表示された前記キャラクタの動作及び発話の少なくとも1つによって実行される、エージェントの制御方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記操作情報は、前記装置の操作量、あるいは、前記装置の操作速度であるエージェントの制御方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記操作情報は、前記車両のステアリングの操作量であるエージェントの制御方法。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記環境情報は、前記車両の現在地における気象情報であるエージェントの制御方法。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記環境情報は、前記車両の車室内における花粉の量であるエージェントの制御方法。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記位置情報は、前記車両が走行している現在地である、エージェントの制御方法。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記車両が走行する頻度が高い箇所では、前記演出を実行しないエージェントの制御方法。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
所定時間内に同じ前記演出が実行される場合には、当該演出の実行時間を短くする、及び、当該演出の動作または音量を小さくする、の少なくともいずれかを実行するエージェントの制御方法。
【請求項13】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記演出の態様として、異なる種類の態様を有し、
前記車両が前記所定の環境あるいは前記所定の位置にいるときに、所定の前記装置に対して前記搭乗者が前記所定の操作を複数回行った場合には、前記異なる種類の態様の前記演出をランダムに実行するエージェントの制御方法。
【請求項14】
請求項1から3のいずれか1つに記載されたエージェントの制御方法であって、
前記演出に対して、前記搭乗者が前記演出に同調する行動をした場合には、前記搭乗者の操作に同調するさらなる演出を実行するエージェントの制御方法。
【請求項15】
車両の搭乗者に情報を提供するエージェントを制御する制御装置であって、
前記車両の位置情報及び車内外の環境情報を取得するとともに、前記車両に設けられた装置に対して前記搭乗者が行った操作情報を取得する情報取得部と、
前記車両が所定の環境あるいは所定の位置にいるときに、所定の前記装置に対して前記搭乗者が所定の操作を行った場合に、前記所定の操作に同調する演出を実行する演出制御部と、を備えたエージェントの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エージェントの制御方法及びエージェントの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遊戯者の動作を認識し、遊戯者の動作を反映した動作をする玩具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の車両は、車内外の状況に応じて運転者に様々な情報を提供することにより、運転者を支援するシステムが搭載されている。このような車両では、エージェントを通じて、例えば、安全確保に関する情報や快適な体験が得られるような情報を提供し、運転者に所定動作を行うことを促している。
【0005】
車両あるいは車両が搭載する機器が運転者の動作を認識し、運転者の動作に応じた柔軟な動作をすることが可能であるとしても、特許文献1に記載の玩具のように、受動的な動作をするだけでは、運転者が行うべき所定動作を誘発することはできない。
【0006】
また、運転者に所定動作を実行させるには、運転者のエージェントに対する信頼感が重要になる。このため、エージェントは運転者に単に情報を提供するだけでなく、運転者の信頼性を向上し得る情報提供(演出)を行うことが望ましい。
【0007】
本発明は、運転者のエージェントに対する信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、車両の搭乗者に情報を提供するエージェントの制御方法である。エージェントの制御方法は、車両の位置情報及び車内外の環境情報を取得するとともに、車両に設けられた装置に対して搭乗者が行った操作情報を取得し、車両が所定の環境あるいは所定の位置にいるときに、所定の装置に対して搭乗者が所定の操作を行った場合に、所定の操作に同調する演出を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者のエージェントに対する信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、車両に搭載される情報提供支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、エージェントコントローラが実行する制御の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、車両の停止時にエージェントが演出を実行するための演出実行条件の一例である。
【
図4】
図4は、車両の走行時にエージェントが演出を実行するための演出実行条件の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、車両Vにおける情報提供支援システム1の概略構成を示すブロック図である。車両Vは、前方を走行する他の車両を自動的に追従する等、ドライバDが行うべき運転操作を支援することができる。また、車両Vは、情報提供支援システム1を用いて、ドライバDに対して情報を提供することにより、運転を支援する。
【0013】
図1に示すように、車両Vは、運転操作部10と、カーナビゲーションシステム20と、エージェントシステム30と、車両コントローラ40と、センサ類50と、スピーカ70と、を備える。
【0014】
運転操作部10は、車両Vの運転操作のためにドライバDが操作する操作部である。運転操作部10には、ステアリングホイール、アクセルペダル、及び、ブレーキペダル等が含まれる。
【0015】
カーナビゲーションシステム20は、ドライバDに対して、目的地までの経路等を案内する案内装置である。カーナビゲーションシステム20は、固有のディスプレイ及び操作キーを備える。ドライバDは、カーナビゲーションシステム20の操作キーを用いて、目的地の設定等、経路案内等に必要な操作を行う。また、ドライバDは、カーナビゲーションシステム20のディスプレイ、及びカーナビゲーションシステム20または車両Vが搭載するスピーカ70から出力される音もしくは音声によって、経路案内等を内容とする情報の提供を受けることができる。
【0016】
カーナビゲーションシステム20は、地図情報21を記憶している。地図情報21は、地図、及び、地図に関連付けられた交通情報を含むデータベース等である。地図情報21は、車両Vの外部との情報通信により、適宜更新される。また、カーナビゲーションシステム20は、交通情報や、気象情報22等を外部から無線通信により取得する。
【0017】
地図情報21、交通情報、及び気象情報22は、カーナビゲーションシステム20によって経路案内等に使用されるだけでなく、エージェントシステム30及び車両コントローラ40等、車両Vの各部において実行される各種制御に適宜利用される。
【0018】
エージェントシステム30は、車両Vに搭載された各種機器やシステム等の操作、車両Vが行うべき情報提供等の支援をするシステムである。エージェントシステム30は、搭乗者(ドライバDと同乗者)と対話的に情報等を授受するインタラクティブコミュニケーションによって、上記支援を行う。
【0019】
エージェントシステム30は、エージェント31と、制御装置としてのエージェントコントローラ32と、ディスプレイ33と、記録装置34と、を備える。
【0020】
エージェント31は、エージェントシステム30と搭乗者とのインタフェースとして機能する部分である。すなわち、エージェントシステム30は、エージェント31を用いて、搭乗者とのインタラクティブコミュニケーションを行う。
【0021】
エージェント31は、例えば、人、動物、植物、物、またはその他のシンボル等の形態で表されるマスコット(マスコットキャラクタあるいは単にキャラクタとも称される)あるいはアシスタントである。本実施形態においては、エージェント31は、コンピュータグラフィックス等によって仮想的に構成され、ディスプレイ33に表示される。なお、エージェント31は、ロボットのように機械的機構を用いて実体的に構成されていてもよい。
【0022】
エージェント31は、少なくとも搭乗者にとってコミュニケーションの対象となり得る程度に、擬人的に構成される。すなわち、エージェント31は、自身の感情、及び、感情の変化である情動を、音もしくは音声、及び/または、形態の変化によって表現することができるように構成される。なお、本実施形態におけるエージェント31の形態とは、エージェント31の全体的形状(例えば顔や四肢の向きやバランス)、部分的形状(例えば目や眉等のパーツの形状、向き、またはバランス)、及び、模様または色彩(例えば顔色)等である。したがって、形態の変化とは、例えば、エージェント31の顔や身体の動作、エージェント31の視線の変化、エージェント31の表情の変化、または、これらの複合である。なお、エージェント31が出力する音声の声調が変更可能である場合、声調の変化も、上記の形態変化に含むものとする。
【0023】
エージェントコントローラ32は、エージェントシステム30の動作を制御する制御ユニットである。より具体的には、エージェントコントローラ32は、搭乗者に提供する情報の処理やエージェント31の動作、発話など等を実行するためのプログラムを実行するためのコンピュータである。本実施形態では、エージェントコントローラ32は、エージェント31の演出を制御する演出制御部として機能する。
【0024】
本実施形態においては、エージェントコントローラ32は、車両コントローラ40とは別個に構成されている。しかしながら、エージェントコントローラ32を構成する各部のうち、一部または全部は車両コントローラ40と一体に構成してもよい。また、エージェントコントローラ32は、スマートフォン等、車両Vから独立した連携デバイスによって構成されていてもよい。
【0025】
ディスプレイ33は、動画等や各種情報を表示する表示部である。また、ディスプレイ33は、例えば、車両Vが撮影した動画等を表示することができる。ディスプレイ33は、ダッシュボードに載置されたディスプレイや、HUD(Head-Up Display)である。
【0026】
なお、ディスプレイ33をエージェントシステム30に設ける代わりに、例えば、カーナビゲーションシステム20のディスプレイを兼用するようにしてもよい。
【0027】
記録装置34は、動画等を一時的または永続的に記録するストレージである。記録装置34は、メモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、または、ウェブ上に設けられたクラウドストレージ等によって構成される。
【0028】
車両コントローラ40は、車両Vの動作を統括的に制御する制御部である。車両コントローラ40は、運転操作部10からの入力に基づいて、車両Vを駆動する電動モータ、エンジン、変速機、及びブレーキ等を制御する。車両コントローラ40は、例えば、車両Vを構成する各部の動作がプログラムされた1または複数のコンピュータによって構成される。車両コントローラ40は、センサ類50によって検出された信号に基づいて、車両Vの動作を制御する。
【0029】
センサ類50は、車両Vを構成する各装置の状況や車両Vの内部または外部の状況を計測等する複数のセンサ及びカメラである。具体的には、センサ類50は、車内を撮影するための車内カメラ51、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するAPOセンサ52、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキセンサ53、ステアリングホイールの舵角(回転角)を検出する舵角センサ54、車内の音(搭乗者の声)を収集する車内マイク55、車速を検出する車速センサ56、車外の音を収集する車外マイク57、外気温度を検出する外気温センサ58、車室内温度を検出する室内温度センサ59、車室内の湿度を検出する湿度センサ60、車室内の花粉量を計測する花粉センサ61、ドアの開度を検出するドア開度センサ62、ウィンドウの開度を検出するウィンドウセンサ63などを含む。本実施形態では、センサ類50は、搭乗者が行った操作情報を取得する情報取得部としても機能する。
【0030】
次に、エージェントシステム30の機能について説明する。
【0031】
エージェント31は、エージェントコントローラ32からの指示に基づいて各種の動作を実行する。例えば、エージェント31は、エージェントコントローラ32の制御に基づいて、ドライバDが運転操作をする際の運転支援に関する各種情報を出力する。運転支援として、例えば、道案内、ドライバDの嗜好にあった立ち寄り地点の提案、注意すべき道路情報の報知等が想定される。より具体的には、立ち寄り地点の提案では「この先に美味しいプリン店がありますよ」と音声出力することができる。また、注意すべき道路情報の報知として、ドライバDが周りを見ているかを確認したり、「前の道は狭いから気を付けてよ」と音声出力したり、「この先踏切だから気を付けてよ」と音声出力したりすることができる。このように、エージェント31は、運転操作の支援及びドライブ体験の支援を実行する。
【0032】
エージェントコントローラ32は、例えば、エージェント31の動作態様を変化させて、エージェント31の見た目の変化をドライバDに視覚的に把握させるようにして、運転支援に関する情報を出力する。具体的には、エージェントコントローラ32は、エージェント31からの音声出力や、エージェント31の顔部の表情、顔部の色、顔部の動作を変化させて、運転支援に関する情報を出力することができる。また、例えば、エージェント31の表面における各部(例えば眼部、口部)を変化させることにより、顔の表情を変化させることができる。例えば、ドライバDが適切な運転操作をした場合には、エージェント31がドライバDを褒める動作や褒める音声を出力する。これにより、ドライバDがさらに良い運転操作をしようと心がけるようになり、安全性の向上につながる。また、エージェント31により褒められたドライバDは、平常心で落ち着いて、安心して運転操作を継続することができる。
【0033】
また、エージェント31は、エージェントコントローラ32からの指令に基づいて、例えば、車外マイク57より取得された車外の音を、運転中の搭乗者(ドライバD)に知らせる動作を実行する。運転中のドライバDに知らせる車外の音として、例えば、警音器(クラクション)、緊急車両のサイレンや警告音、警察官による指示等が想定される。エージェント31は、これらの音が取得された場合には、これらの音を運転中のドライバDに通知するように動作を実行する。例えば、エージェント31は、それらの音と同じ音を出力する動作や、この出力とともに緊急である旨の動作(例えば、びっくりした表情で大声で話す動作)を行うことができる。
【0034】
ドライバDが、エージェント31に対して信頼性が低いと感じたり、愛着が持てない場合には、エージェント31を用いて運転支援を実行してもその運転支援をドライバDが受け入れないことも想定される。この場合には、エージェント31による運転支援の実効性を高めることが困難となるおそれがある。そこで、本実施形態では、ドライバDのエージェント31に対する信頼性を高くし、あるいは、愛着が持てるようにするため、エージェント31にドライバDの動作や感情に同調するような演出を実行させる。具体的には、エージェントコントローラ32は、車両Vが所定の環境あるいは所定の位置にいるときに、所定の装置に対して搭乗者が所定の操作を行った場合に、エージェント31にこの操作に同調する演出(同調演出)を実行させる。以下に、
図2に示すフローチャートを参照しながら、エージェント31が実行する演出について具体的に説明する。
【0035】
ステップS1では、車両Vの位置情報及び環境情報を取得する。具体的には、エージェントコントローラ32は、カーナビゲーションシステム20から車両Vの現在位置及び気象情報22を取得するとともに、車両Vに設けられた外気温センサ58によって検出された外気温度、室内温度センサ59によって検出された車室内温度、湿度センサ60によって検出された湿度、花粉センサ61によって検出された花粉量などを取得する。
【0036】
ステップS2では、操作量を取得する。具体的には、エージェントコントローラ32は、車両コントローラ40などを通じて、ドア、ウィンドウ、空調装置の各種スイッチ、ステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダルなど予め定められた所定の装置の搭乗者による操作量を取得する。具体的には、ドア開度センサ62によって検出されたドアの開度、ウィンドウセンサ63によって検出されたウィンドウの開度、舵角センサ54によって検出されたステアリングの角度、APOセンサ52によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)、ブレーキセンサ53によって検出されたブレーキペダルの踏み込み量に基づいて、操作量が算出される。なお、本実施形態における操作量とは、絶対量であってもよいし、変化量であってもよい。
【0037】
ステップS3では、車両Vが停止中か否かを判定する。具体的には、エージェントコントローラ32は、車両コントローラ40を通じて車速センサ56によって検出された車速を取得する。エージェントコントローラ32は、車速が0であれば、車両Vが停止中と判断し、ステップS4に進む。これに対して、車速が0以外であれば、エージェントコントローラ32は、車両Vが停止中でないと判断し、ステップS8に進む。
【0038】
ステップS4では、演出実行条件が成立したか否かを判定する。具体的には、エージェントコントローラ32は、
図3に示す演出実行条件が成立したか否かを判定する。そして、エージェントコントローラ32が
図3に示す演出実行条件が成立していると判定した場合には、ステップS5に進み、
図3に示す各演出実行条件に対応した演出を実行する。ここで、
図3を参照して、演出実行条件、及びステップS5において実行される具体的な演出について説明する。
【0039】
図3は、車両Vが停止しているときの演出実行条件及び演出実行条件が成立したときに実行される演出の一例を表に示したものである。エージェントコントローラ32は、車両Vの停止時に、
図3に示す気象条件、環境条件、及び操作条件からなる演出実行条件の全てを満たした場合に、演出実行条件に応じた所定の演出を実行する。
【0040】
外気温度が所定値以下のときに、ドアが所定値以上の開度に開かれた場合には、演出Aを実行する(
図3のS1参照)。演出Aとしては、例えば、エージェント31が「寒いね」といった言葉を発するとともに、体がぶるぶる震えるような動きを表示させる。外気温度が所定値以下のときに、ドアが所定値以上の開度に開かれるということは、搭乗者が、寒いので早く車に乗り込みたいと感じていると推認できる。そこで、このような状況で、上記演出Aのような搭乗者の感覚に同調するような演出をすることで、搭乗者のエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0041】
同様に、車室内温度が所定値以下のときに、空調装置の温度設定スイッチの操作量あるいは温度設定スイッチの操作速度が所定値以上の場合にも、演出Aを実行する(
図3のS4参照)。空調装置の設定温度を通常より高い設定温度以上に上げる、あるいは温度設定スイッチを連打するなどして設定温度を急激に上げるなどの動作が行われた場合には、搭乗者が寒いと感じていると推認できる。そこで、このような状況で、上記演出Aのような搭乗者の感情に同調するような演出をすることで、搭乗者のエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0042】
また、外気温度が所定値以上のときに、ドアが所定値以上の開度に開かれた場合には、演出Bを実行する(
図3のS2参照)。演出Bとしては、例えば、エージェント31が「暑いね」といった言葉を発するとともに、体から汗が出る態様を表示する。外気温度が所定値以上のときに、ドアが所定値以上の開度に開かれるということは、搭乗者が車内が暑いので車内の空気を逃がしたいという意志を持っていると推認できる。そこで、このような状況で、上記演出Bのような搭乗者に同調するような演出をすることで、搭乗者のエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0043】
同様に、車室内温度が所定値以上のときに、ドアが所定値以上の開度に開かれた場合にも、演出Bを実行する(
図3のS5参照)。空調装置の設定温度を通常より低い設定温度以下に下げる、あるいは温度設定スイッチを連打するなどして設定温度を急激に下げるなどの動作が行われた場合には、搭乗者が暑いと感じていると推認できる。そこで、このような状況で、上記演出Bのような搭乗者の感情に同調するような演出をすることで、搭乗者のエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0044】
また、雨が降っている状況で、湿度が所定値以上のときに、ドアが所定値以上の速度で開閉された場合には、演出Cを実行する(
図3のS3参照)。演出Cとしては、例えば、「湿度が高いから除湿しようか」といった言葉を発する。
【0045】
さらに、車室内の花粉量が所定値以上のときに、空調装置をONにして場合には、演出Dを実行する(
図3のS6参照)。演出Dとしては、例えば、「強風にして花粉を外に出そうか」といった言葉を発する。
【0046】
このような状況で、上記演出Cや演出Dを行うことにより、搭乗者は、エージェント31の気遣いを感じる。したがって、このような演出を実行することで、搭乗者のエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0047】
このように、本実施形態では、車両Vが停止しているときに、
図3に示す演出実行条件が成立した場合には、ステップS5に進み、演出実行条件に応じた所定の演出(演出A-Dのいずれか)を実行する。
【0048】
続けて、ステップS6以下について説明する。
【0049】
ステップS6では、ユーザ状態を検出する。具体的には、エージェントコントローラ32は、車内カメラ51によって撮像された画像データから搭乗者の表情を抽出し、あるいは、車内マイク55によって集音された搭乗者の発言から、実行された演出に対する搭乗者の反応を検出する。
【0050】
そして、ステップS7において、ユーザ状態、環境情報、及び操作情報を記憶する。具体的には、エージェントコントローラ32は、ステップS6で検出した搭乗者の反応を区分し、その演出を実行したときの環境情報及び操作情報とともに記録装置34に記憶する。
【0051】
搭乗者の反応の区分としては、例えば、喜んでいる、笑っている、楽しんでいるなどの表情や動作、「面白い」、「オッケー」などの発言をしている場合には、肯定的な反応に区分し、特に反応していない場合には、無反応に区分する。また、怒っている、あるいは不快な表情や動作、「うるさい」、「じゃま」などの否定的な発言をしている場合には、否定的な反応に区分する。
【0052】
これらの記憶されたデータは、例えば、次回以降に演出を実行するか否かという判定に用いることができる。具体的には、例えば、ある演出において、否定的な反応に区分された割合が多い場合には、演出実行条件が成立した場合(ステップS4のYES判定)であっても演出を実行しないようにする。これにより、搭乗者がエージェント31に対して、嫌悪感を抱くことを抑制できる。
【0053】
なお、これに限らず、次回以降、区分された段階に応じた演出を実行するようにしてもよい。具体的には、演出を実行した時の搭乗者の反応が良くない場合に、演出の度合いを変える(例えば、音量を小さくする、動作を小さくするなど)ことで、搭乗者がエージェント31に対して嫌悪感を抱いたり、エージェント31に対する親近感を損なうことをより適切に抑制できる。
【0054】
次に、ステップS3において、車両Vが停止していないと判定された場合、すなわち、車両Vが走行中の制御について説明する。
【0055】
ステップS8では、走行頻度が低いか否かを判定する。具体的には、エージェントコントローラ32は、カーナビゲーションシステム20から過去の車両Vの走行記録と車両Vの現在地情報とを取得し、車両Vの現在地における走行頻度が所定値より低いか否かを判定する。エージェントコントローラ32が、走行頻度が低いと判定した場合には、ステップS9に進む。これに対し、エージェントコントローラ32が、車両Vの現在地における走行頻度が所定値より高いと判定した場合には、ENDに進む。なお、走行頻度とは、例えば、所定期間にその道路を通過した回数に基づいて計算される。
【0056】
ステップS9では、演出実行条件が成立したか否かを判定する。具体的には、エージェントコントローラ32は、
図4に示す演出実行条件が成立したか否かを判定する。そして、エージェントコントローラ32が
図4に示す演出実行条件が成立していると判定した場合には、ステップS10に進み、
図4に示す各演出実行条件に対応した演出を実行する。ここで、
図4を参照して、演出実行条件、及びステップS10において実行される具体的な演出について説明する。
【0057】
図4は、車両Vが走行しているときの演出実行条件及び演出実行条件が成立したときに実行される演出の一例を表に示したものである。エージェントコントローラ32は、車両Vの走行中に、
図4に示す位置条件及び操作条件からなる演出実行条件の全てを満たした場合に、演出実行条件に応じた演出を実行する。
【0058】
車両Vが山岳路を走行しているときに、ステアリングの回転角度が所定値以上の場合には、演出Eを実行する(
図4のR1参照)。演出Eとしては、例えば、エージェント31が「ヒャッホー」といった言葉を発するとともに、体を大きく動かす動作を表示させる。山岳路を走行しているときに、ステアリングの回転角度が所定値以上の場合には、搭乗者に大きなGが作用している。そして、普段走行していない山岳路を走行しているときに、搭乗者に大きなGが作用して体大きく揺られた場合には、搭乗者の気分が高揚していると推認できる。そこで、このような状況で、上記演出Eのような搭乗者の気分に同調するような演出をすることで、搭乗者のエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0059】
なお、山岳路であるか否かは、カーナビゲーションシステム20の地図情報21、及び車両Vの現在地情報により判断される。
【0060】
また、車両VがドライバDの苦手な道路を走行しているときに、ステアリングの回転角度、アクセルペダルの踏み込み量、あるいは、ブレーキペダルの踏み込み量が小刻みに変化している場合には、演出Fを実行する(
図4のR2,R5,R6)。演出Fとしては、例えば、「チャレンジングな道だね」といった言葉を発するとともに、体をぶるぶると震わせた動作を表示させる。車両VがドライバDの苦手な道路を走行しているときに、ステアリングの回転角度、アクセルペダルの踏み込み量、あるいは、ブレーキペダルの踏み込み量が小刻みに変化している場合には、ドライバDがおそるおそる運転していると推認できる。そこで、このような状況で、上記演出FのようなドライバDに同調し、さらに緊張をほぐすような演出をすることで、ドライバDのエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0061】
なお、ドライバDの苦手な道路は、予めプロファイリングを行う、あるいは、学習結果により設定される。学習の一例としては、エージェントコントローラ32が、走行中にステアリングの角度が小刻みに変化している、アクセルペダルの踏み込み量が小刻みに変化している、あるいは、ブレーキペダルの小刻みに変化している場合には、その走行中の道路をドライバDの苦手な道路として学習する。そして、エージェントコントローラ32は、プロファイリングの結果に合う道路、あるいは、学習結果に似たような道路(例えば、道路幅が同じくらいの道路)を走行している場合に、上記演出実行条件の全てを満たした場合に上記演出を実行する。
【0062】
さらに、車両Vが海沿いの道路を走行しているときに、アクセルペダルの踏み込み量が所定値以上、あるいは、ウィンドウを所定の開度以上開けた場合には、演出Gを実行する(
図4のR3,R4)。演出Gとしては、例えば、「気持ちいいね」といった言葉を発する。車両Vが海沿いの道路を走行しているときに、アクセルペダルの踏み込み量が所定値以上である場合には、ドライバDの気分が高揚していると推認できる。また、車両Vが海沿いの道路を走行しているときに、ウィンドウを所定の開度以上開けた場合には、搭乗者が海からの風を感じたいと思っていると推認できる。そこで、このような状況で、上記演出GのようなドライバDや他の搭乗者に同調し、搭乗者のエージェント31への信頼感や親近感を向上させることができる。
【0063】
なお、海沿いの道路であるか否かは、カーナビゲーションシステム20の地図情報21、及び車両Vの現在地情報により判断される。
【0064】
このように、本実施形態では、車両Vが走行頻度の少ない道路を走行しているときに、
図4に示す演出実行条件が成立した場合には、ステップS9に進み、各演出実行条件に応じた所定の演出(演出E-Gのいずれか)を実行する。走行頻度が多い道路、例えば、通勤や日常生活で走行する道路で上記演出を毎回行うと、搭乗者がエージェント31に対して、嫌悪感を抱くおそれがある。走行頻度が少ない道路、つまり、非日常で走行する道路を走行している場合には、旅行やレジャーである場合が高い。そこで、このような状況で
図4に示す演出実行条件が成立した場合にのみ所定の演出を実行することで、搭乗者に嫌悪感を抱かれることを抑制できる。
【0065】
続けて、ステップS11以下について説明する。
【0066】
ステップS11では、ユーザ状態を検出する。具体的な検出方法は、ステップS6と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
そして、ステップS11において、ユーザ状態、環境情報、及び操作情報を記憶する。具体的な手法は、ステップS7と同様であるので説明を省略する。
【0068】
ステップS11において記憶されたデータも、例えば、次回以降に演出を実行するか否かという判定に用いることができる。具体的には、例えば、上述した搭乗者の反応の区分と同様の手法を用いて、搭乗者の反応の区分を「肯定的な反応」、「無反応」、「否定的な反応」に区分する。そして、例えば、ある演出において、否定的な反応に区分された割合が多い場合には、演出実行条件が成立した場合(ステップS9のYES判定)であっても演出を実行しないようにする。これにより、搭乗者がエージェント31に対して、嫌悪感を抱くことを抑制できる。
【0069】
なお、これに限らず、次回以降、区分された段階に応じた演出を実行するようにしてもよい。具体的には、演出を実行した時の搭乗者の反応が良くない場合に、演出の度合いを変える(例えば、音量を小さくする、動作を小さくするなど)ことで、搭乗者がエージェント31に対して嫌悪感を抱いたり、エージェント31に対する親近感を損なうことをより適切に抑制できる。
【0070】
また、上記演出A-Gにおける演出は、演出の一例を示したものであり、これに限られるものではない。同じ演出を繰り返すと、搭乗者に飽きられてしまう可能性がある。そこで、演出A-Gそれぞれにおいて、複数のパターンの演出をあらかじめ記憶しておき、演出A-Gそれぞれの演出実行条件が成立した場合に、記憶された複数のパターンの演出をランダムに実行するようにしてもよい。
【0071】
さらに、所定時間内に同じ演出が実行される場合には、当該演出の実行時間を短くする、及び、当該演出の動作または音量を小さくする、の少なくともいずれかを実行するようにしてもよい。
【0072】
また、エージェントコントローラ32は、演出A-Gを実行した際に、搭乗者が演出A-Gに同調する行動や発言をした場合には、搭乗者の操作に同調するさらなる演出を実行するようにしてもよい。具体的には、例えば、車内カメラ51によって撮像された画像から、搭乗者の表情や動作を抽出し、喜んでいる、笑っている、楽しんでいるといった肯定的な反応を示しているかを判定し、このような肯定的な反応を示している場合には、搭乗者の操作に同調するさらなる演出を実行するようにしてもよい。あるいは、車内マイク55によって検出された搭乗者の音声から、「面白い」、「オッケー」、「ヒャッホー」といった肯定的な反応を示しているかを判定し、このような肯定的な反応を示している場合には、搭乗者の操作に同調するさらなる演出を実行するようにしてもよい。これにより、搭乗者とエージェント31との一体感を高めることができるので、搭乗者のエージェント31に対する親近感を向上させることができる。さらなる演出は、同じ演出を繰り返してもよいし、異なる演出を実行するようにしてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態では、搭乗者の表情や動作、あるいは発話や音声を検出して、搭乗者の反応を区分していたが、これに限らず、搭乗者の体温の変化や発汗状態などの生体情報を検出し、この生体情報に基づいて区分してもよい。
【0074】
また、本実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記憶媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、車両Vの車両コントローラ40やカーナビゲーションシステム20などにエージェント31に係る機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムを車両コントローラ40やカーナビゲーションシステム20などに記憶させ、上記処理を実施させることもできる。
【0075】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0076】
車両Vの搭乗者に情報を提供するエージェント31の制御方法では、車両Vの位置情報及び車内外の環境情報を取得するとともに、車両Vに設けられた装置に対して搭乗者が行った操作情報を取得する。さらに、車両Vが所定の環境あるいは所定の位置にいるときに、所定の装置に対して搭乗者が所定の操作を行った場合に、所定の操作に同調する演出を実行する。
【0077】
この構成では、所定の装置に対して搭乗者が所定の操作を行った場合に、所定の操作に同調する演出を実行するので、エージェント31に対する信頼感を向上させることができる。
【0078】
また、エージェント31の制御方法では、所定の操作に同調する演出A-Gを行った場合に、演出A-Gを行った時の搭乗者の表情、搭乗者の生体情報、及び搭乗者の発話内容の少なくともいずれか1つを記憶する。そして、以降に演出A-Gを実行する場合には、記憶した内容に基づいて、演出A-Gを実行するか否かを判定する。
【0079】
この構成では、演出A-Gを行った時の搭乗者の反応によって、以降に演出A-Gを実行するか否かを判定するので、演出A-Gを行った時の搭乗者の反応が良くない場合に、演出を行わないようにすることができる。これにより、エージェント31に対して嫌悪感を抱いたり、エージェント31に対する親近感を損なうことを抑制できる。
【0080】
エージェント31の制御方法では、記憶する搭乗者の表情、搭乗者の生体情報、及び搭乗者の発話内容を、演出A-Gに対する前記搭乗者の同調の度合いによって、複数の段階に区別する。そして、演出A-Gを実行する場合には、段階に応じた演出を実行する。
【0081】
この構成では、演出A-Gを実行する場合には、段階に応じた演出を実行することにより、搭乗者がエージェント31に対して嫌悪感を抱いたり、エージェント31に対する親近感を損なうことを抑制できる。
【0082】
エージェント31の制御方法では、エージェント31は、車両Vのダッシュボードに設置された機器である。また、演出A-Gは、エージェント31の動作及び発話の少なくとも1つによって実行される。
【0083】
この構成では、エージェント31を実際の物としていることで、搭乗者の関心を引き付けることができる。
【0084】
エージェント31の制御方法では、エージェント31は、車両Vに設置された表示装置(ディスプレイ33)に表示されたキャラクタである。また、演出A-Gは、表示装置(ディスプレイ33)に表示されたキャラクタの動作及び発話の少なくとも1つによって実行される。
【0085】
エージェント31を表示装置(ディスプレイ33)に表示されたキャラクタで構成することにより、様々な動作や形態の変化を伴う演出が可能となるので、搭乗者の関心を引き付けることができる。
【0086】
エージェント31の制御方法では、車両Vが走行する頻度が高い箇所では、演出A-Gを実行しない。
【0087】
走行頻度が多い箇所、例えば、通勤や日常生活で走行する道路で演出を毎回行うと、搭乗者がエージェント31に対する興味を失う、あるいは、エージェント31に対して嫌悪感を抱くおそれがある。そこで、走行頻度が多い箇所では、演出を実行しないように構成することにより、搭乗者がエージェント31に対する興味を失う、あるいは、エージェント31に対して嫌悪感を抱く、さらに、エージェント31に対する親近感を損なうことを抑制できる。
【0088】
エージェント31の制御方法では、所定時間内に同じ演出が実行される場合には、当該演出の実行時間を短くする、及び、当該演出の動作または音量を小さくする、の少なくともいずれかを実行する。
【0089】
所定時間内に同じ演出が繰り返し実行されると、搭乗者がエージェント31に対する興味を失う、あるいは、エージェント31に対して嫌悪感を抱くおそれがある。そこで、所定時間内に同じ演出が実行される場合には、当該演出の実行時間を短くする、あるいは、当該演出の動作または音量を小さくすることにより、搭乗者がエージェント31に対する興味を失う、あるいは、エージェント31に対して嫌悪感を抱く、さらに、エージェント31に対する親近感を損なうことを抑制できる。
【0090】
エージェント31の制御方法では、演出の態様として、異なる種類の態様(パターン)を有する。そして、車両Vが所定の環境あるいは所定の位置にいるときに、所定の装置に対して搭乗者が所定の操作を複数回行った場合には、異なる種類の態様の演出をランダムに実行する。
【0091】
所定時間内に同じ演出が繰り返し実行されると、搭乗者がエージェント31に対する興味を失う、あるいは、エージェント31に対して嫌悪感を抱くおそれがある。そこで、所定時間内に同じ演出が実行される場合には、異なる種類の態様(パターン)の演出を実行することにより、搭乗者がエージェント31に対する興味を失う、あるいは、エージェント31に対して嫌悪感を抱く、さらに、エージェント31に対する親近感を損なうことを抑制できる。
【0092】
エージェント31の制御方法では、演出A-Gに対して、搭乗者が演出A-Gに同調する行動をした場合には、搭乗者の操作に同調するさらなる演出を実行する。
【0093】
これにより、搭乗者とエージェント31との一体感を高めることができるので、搭乗者のエージェント31に対する親近感を向上させることができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0095】
1・・・情報提供支援システム、10・・・運転操作部、20・・・カーナビゲーションシステム、30・・・エージェントシステム、31・・・エージェント、32・・・エージェントコントローラ(制御装置)、40・・車両コントローラ、50・・・センサ類