(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170256
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ブラダ載置パレット
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20231124BHJP
B65D 19/44 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B29C33/02
B65D19/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081865
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓郎
【テーマコード(参考)】
3E063
4F202
【Fターム(参考)】
3E063AA11
3E063AA40
3E063BA05
3E063CA04
3E063DA05
3E063EE01
3E063FF20
4F202AA45
4F202AB03
4F202AC03
4F202AH20
4F202AM15
4F202AM24
4F202CA21
4F202CR01
4F202CR10
4F202CU12
4F202CU20
(57)【要約】
【課題】ブラダ交換作業の作業性を向上させる。
【解決手段】
ここで開示されるブラダ載置パレット30は、リフターの一対の爪が挿入される一対の挿入孔41を有する基台40と、基台40上に配置された回転台50と、回転台50の上面に設けられた複数のブラダ載置部31とを備えている。回転台50は、基台40の上面に沿って回転するように回転軸が設定されていてもよい。ブラダ載置部31は、環状に形成されていてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフターの一対の爪が挿入される一対の挿入孔を有する基台と、
前記基台上に配置された回転台と、
前記回転台の上面に設けられた複数のブラダ載置部と
を備えた、
ブラダ載置パレット。
【請求項2】
前記回転台は、前記基台の上面に沿って回転するように回転軸が設定されており、
前記複数のブラダ載置部は、前記回転軸周りを回転するように構成されている、請求項1に記載されたブラダ載置パレット。
【請求項3】
前記ブラダ載置部は、環状に形成されている、請求項1または2に記載されたブラダ載置パレット。
【請求項4】
前記回転台には、貫通孔が形成されており、
前記基台には、平面視において前記貫通孔と重なる位置に係止部が設けられており、
前記貫通孔および前記係止部にピンが挿通されることによって前記回転台の回転が係止されるように構成された、請求項1または2に記載されたブラダ載置パレット。
【請求項5】
前記基台は、前記回転台の回転機構を覆うカバーを有する、請求項1または2に記載されたブラダ載置パレット。
【請求項6】
前記回転台の上面には、ゴムシートが設けられている、請求項1または2に記載されたブラダ載置パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラダ載置パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-040251号公報には、架台と、架台の上面側に、前後方向に互いに離間して設けられた前方側受け部および後方側受け部と、架台における左右方向の両端部からそれぞれ上方に向けて延設された左右一対の側部とを備えたタイヤ用パレットが開示されている。前方側受け部は、前方側受け部の前後方向の中間部を第1支点として可動しうるように構成されている。タイヤ非積載状態時には、前方側受け部の上面が後方側から前方側に向けて下向きに傾斜した状態になるように構成されている。後方側受け部は、後方側受け部の前後方向の中間部を第2支点として可動しうるように構成さえている。タイヤ非積載状態時には、後方側受け部の上面が前方側から後方側に向けて下向きに傾斜した状態になるように構成されている。かかるタイヤ用パレットによると、タイヤを床面上に転動させつつスムーズにパレットの上に載せることができると共に、タイヤを安定状態に収納することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、タイヤ用加硫機に装着されるブラダを交換する作業の作業性を向上させたいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示されるブラダ載置パレットは、リフターの一対の爪が挿入される一対の挿入孔を有する基台と、基台上に配置された回転台と、回転台の上面に設けられた複数のブラダ載置部とを備えている。
【発明の効果】
【0006】
かかる構成を有するブラダ載置パレットを用いることによって、ブラダ交換作業の作業性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2は、ブラダ載置パレット30の斜視図である。
【
図3】
図3は、ブラダ載置パレット30の内部構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、回転台50とピン60を示す模式図である。
【
図5】
図5は、回転台50とピン70を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〈タイヤ用加硫機1〉
図1は、タイヤ用加硫機1の模式図である。
図1では、タイヤ用加硫機1にローカバーRが取り付けられた状態の断面が模式的に示されている。
図1に示されているように、タイヤ用加硫機1は、タイヤ加硫金型10と、ブラダ中心機構20と、ブラダ21とを備えている。
【0010】
〈タイヤ加硫金型10〉
タイヤ加硫金型10は、トレッドモールド11と、一対のサイドモールド16,17とを備えている。ローカバーの加硫成形時には、タイヤ加硫金型10内でローカバーRが加熱および加圧され、タイヤが成形される。
【0011】
トレッドモールド11は、ローカバーRの径方向外側のトレッド部を成形する金型部材である。トレッドモールド11は、ブラダ21で保持された状態のローカバーRのトレッド部を成形する。詳細な図示は省略するが、トレッドモールド11は、ローカバーRの周方向に沿って複数並んでいる。タイヤの加硫前には、複数のトレッドモールド11はそれぞれ、隣り合うトレッドモールド11と所要の間隔を空けて並べられている。
【0012】
トレッドモールド11は、スライダ13と、プッシャ14によって径方向に駆動されるように構成されている。トレッドモールド11は、それぞれのスライダ13の径方向内側に取り付けられている。プッシャ14は、図示しない駆動装置によって上下方向に駆動される。プッシャ14が下方に駆動されると、プッシャ14の傾斜面と、スライダ13の傾斜面との当たりによって、スライダ13が移動するように構成されている。加硫時には、プッシャ14が下方に移動することによってスライダ13が径方向内側に移動する。
【0013】
サイドモールド16,17は、ローカバーRの軸方向側面のサイドウォール部を成形する金型部材である。サイドモールド16,17は、円環状に形成されている。サイドモールド16,17には、ローカバーRのビード部を成型するビードリング16a,17aが設けられている。ローカバーRのビード部は、サイドウォール部の径方向内側を構成する部位である。ビードリング16aは、サイドモールド16に取り付けられている。ビードリング17aは、サイドモールド17に載せられている。
【0014】
上方のサイドモールド16は、タイヤ加硫金型10の上方に設けられた金型ベース16bに取り付けられている。下方のサイドモールド17は、下方に設けられた金型ベース17bに取り付けられている。下方のサイドモールド17には、後述するブラダ中心機構20のクランプリング24を保持する保持部17cが設けられている。
【0015】
金型ベース16bは、例えば、プレス機に取り付けられており、上下に移動可能に構成されている。金型ベース17bは、例えば、プレス台に取り付けられている。加硫前には、上方のサイドモールド16は、ローカバーRの上方に保持される。加硫時には、上方のサイドモールド16は、下方に移動する。
【0016】
〈ブラダ中心機構20〉
ブラダ中心機構20は、ローカバーRの内側に配置されるブラダ21を保持する機構である。ブラダ中心機構20は、ブラダ21と、センタポスト22と、クランプリング23,24とを備えている。ブラダ21は、略円筒状のゴム部材である。ブラダ21は、円環状のクランプリング23,24に取り付けられている。ブラダ21は、上方のクランプリング23および下方のクランプリング24によって上部および下部から保持されている。この実施形態では、上方のクランプリング23は、図示しないボルトによってセンタポスト22の上部に取り付けられている。下方のクランプリング24は、図示しないボルトによって保持部17cに取り付けられている。クランプリング24が保持部17cに取り付けられることによって、ビードリング17aは、クランプリング24とサイドモールド17に挟まれ、固定される。なお、クランプリング23,24の取付構造は、かかる形態に限定されない。センタポスト22は、図示しない駆動装置によって上下方向に駆動可能に構成されている。上方のクランプリング23と下方のクランプリング24の間隔は、センタポスト22の昇降によって調整される。ローカバーRの取り付け時、加硫時、ブラダ21の交換時等、適宜センタポスト22が昇降する。
【0017】
加硫時には、トレッドモールド11が径方向内側に駆動され、上方のサイドモールド16が下方に駆動される。これによって、タイヤ加硫金型10は、閉じられた状態になる。タイヤ加硫金型10が閉じられると、ブラダ21の内部の空間に高温の流体が導入される。これによって、ブラダ21が膨張する。ブラダ21の膨張によって、ローカバーRは、タイヤ加硫金型10に押し当てられる。加硫時には、トレッドモールド11とサイドモールド16,17も加熱される。これによって、ローカバーRは、加硫成形される。
【0018】
ところで、ブラダ21は、耐熱性の高いゴムによって構成されているが、高温の流体が導入されて、膨張と収縮を繰り返すことによって、劣化しうる。このため、ブラダ21は、定期的に交換される必要がある。また、タイヤ用加硫機1で加硫成形されるタイヤの種類や寸法等が変更される場合には、ブラダ21は、適宜交換される必要がある。この実施形態では、ブラダ21は、ブラダ中心機構20のクランプリング23,24および下方のビードリング17aに取り付けられた状態で、タイヤ用加硫機1に対して着脱される。
【0019】
この実施形態では、ブラダ21の交換時には、センタポスト22および保持部17cにクランプリング23,24を取り付けているボルトが取り外される。この状態で、センタポスト22が下方に駆動される。ブラダ21が取り付けられたクランプリング23,24および下方のビードリング17aが持ち上げられ、ブラダ21は、タイヤ用加硫機1から取り外される。次いで、新しいブラダ21が取り付けられたクランプリング23,24および下方のビードリング17aがタイヤ用加硫機1に取り付けられる。
【0020】
このようにタイヤの生産において、ブラダ21は、適当なタイミングで交換する必要があり、生産性の観点等から、交換時の作業性が良好であることが好ましい。また、これまでは、作業者がハンドリフターで加硫機までブラダ21を運び、交換を行なっていた。具体的には、以下の手順でブラダ21の交換を行っていた。タイヤ用加硫機1に新しく取り付けられる2つのブラダ21をパレットに載せ、ハンドリフターでタイヤ用加硫機1まで移動させる。ハンドリフターを上昇させ、パレットを所定の作業台に載せる。タイヤ用加硫機1のブラダ21を取り外し、作業台に載せる。新しいブラダ21をタイヤ用加硫機1に取り付ける。取り外されたブラダ21をパレットに載せる。2つ目のブラダ21も同様の手順で交換する。2つの取り外されたブラダ21が載せられたパレットをハンドリフターで移動させ、ブラダ21を所定の位置に片付ける。これに対して、本発明者は、ブラダ21の搬入と搬出にフォークリフトを用いることを検討している。さらに、ブラダ21を交換する際の作業性を向上させたいと考えている。
【0021】
〈ブラダ載置パレット30〉
ブラダ載置パレット30は、複数のブラダ21を運搬するための、フォークリフト用のパレットである。
図2は、ブラダ載置パレット30の斜視図である。
図3は、ブラダ載置パレット30の内部構造を示す模式図である。
図2に示されているように、ブラダ載置パレット30は、基台40と、回転台50と、ブラダ載置部31とを備えている。
図2には、ブラダ21が載置されているブラダ載置部31aと、ブラダ21が載置されていないブラダ載置部31bとがそれぞれ2箇所ずつ図示されている。
【0022】
〈基台40〉
基台40は、回転台50やブラダ載置部31等を支持する台である。基台40は、平面視において、略矩形状に形成されている。基台40は、フォークリフトの爪が挿入される一対の挿入孔41を有している。挿入孔41は、基台40の側面40aから反対側の側面40bまで貫通している。これによって、側面40aと側面40bのうち一方から挿入されたフォークリフトの爪は、他方に向かって突き出ることができる。これによって、ブラダ載置パレット30の保持が安定しうる。
【0023】
挿入孔41は、側面40aから側面40bに向かう方向を横切る断面が略矩形状に形成されている。挿入孔41は、側面40a,40bの長辺方向に長くなるように形成されている。これによって、フォークリフトの爪が挿入されやすくなっている。挿入孔41は、一つの面につき複数箇所(この実施形態では、2箇所)形成されている。ブラダ載置パレット30をフォークリフトで持ち上げる際の安定性の観点から、挿入孔41は、側面40aの長辺方向の端部に設けられていることが好ましい。挿入孔41は、例えば、ブラダ載置部31の中心部よりも外側に設けられていてもよい。挿入孔41は、側面40a,40b以外の側面にも設けられていてもよい。
【0024】
〈回転台50〉
回転台50は、基台40上に配置されている。この実施形態では、
図3に示されているように、基台40の上面には、回転軸42と、支持ローラ43とが設けられており、回転台50は、回転軸42および支持ローラ43によって、基台40の上に回転可能に支持されている。回転軸42は、上方に向かって延びており、基台40の予め定められた中心位置に設けられている。支持ローラ43は、基台40の上面において、回転軸42の周りに複数設けられている。支持ローラ43の回転軸43bは、基台40に取り付けられた支持部材43aによって回転可能に支持されている。ここで、支持ローラ43の回転軸43bは、回転軸42の径方向に沿って配置されている。これにより、支持ローラ43は、回転台50を支持しつつ、回転軸42周りに回転台50の回転に応じて転動する。ここでは、上述のように、回転軸42および支持ローラ43が回転台50の回転機構を構成している。なお、回転台50の回転機構は、かかる構造に限定されず、例えば、ストラス軸受等、ターンテーブルに用いられる種々の軸受け構造が採用されうる。
【0025】
回転台50には、ハンドル54が設けられている。この実施形態では、ハンドル54は、回転台50の上面から上方に向かって延びている。ハンドル54は、回転台50を回転させたり、回転台50の回転を停止させたりする際に操作する部位である。この実施形態では、ハンドル54は、回転台50の外縁部付近に設けられている。これによって、ハンドル54は、回転台50を操作する作業者によって操作されやすくなっている。ハンドル54は、複数箇所に設けられていてもよい。ハンドル54が回転台50の複数箇所に設けられていることによって、作業者がハンドル54を操作するために移動する手間が減りうる。また、この実施形態では、ハンドル54は、回転台50の回転中心を挟んで2箇所に設けられている。ハンドル54が互いに離れた位置に2つ設けられていることによって、ブラダ21がハンドル54にぶつかる等の事象が起こりにくく、作業が妨げられにくい。
【0026】
この実施形態では、回転台50は、ピン60によって回転を係止できるように構成されている。
図4は、回転台50とピン60を示す模式図である。
図4では、回転台50にピン60が挿通され、回転台50の回転が係止されている状態が図示されている。
図4に示されているように、ピン60は、挿通部61と、持ち手62を有している。挿通部61は、回転台50の貫通孔50aに挿通される部位である。持ち手62は、ピン60を貫通孔50aに挿通したり、ピン60を貫通孔50aから取り外したりする際に、作業者が持つ部位である。
【0027】
回転台50には、回転台50の回転を係止するピン60を取り付け可能な貫通孔50aが形成されている。貫通孔50aは、回転台50の外縁部付近に形成されている。基台40には、平面視において貫通孔50aと重なる位置に係止部44が設けられている。この実施形態では、係止部44は、基台40に形成された孔である。貫通孔50aと係止部44が重なった状態で貫通孔50aおよび係止部44にピン60が挿通されることによって回転台50の回転が係止される。なお、係止部44は、基台40に形成された孔に限定されない。係止部44は、例えば、基台40の上面に設けられた、ピン60を挿通可能な部材であってもよい。
【0028】
図2に示されているように、貫通孔50aは、回転台50の回転中心を挟んで外縁部付近に2箇所設けられている。2箇所の貫通孔50aのうち、少なくとも一方の貫通孔50aにピン60が挿通されることによって、回転台の回転が係止される。2箇所の貫通孔50aのいずれにもピン60が挿通されていない場合に、回転台50が回転されうるように構成されている。
【0029】
この実施形態では、貫通孔50aは、回転台50上に2箇所に設けられているが、係止部44の数および貫通孔50aの数は、特に限定されない。係止部44は、貫通孔50aの数よりも多く(例えば、4箇所以上)設けられていてもよい。係止部44を多く設けることによって、回転台50の回転が係止される角度をより細かく設定することができる。これによって、作業をしやすい位置にブラダ21を移動させやすくなる。
【0030】
なお、回転台50の回転を係止する際には、貫通孔50aと係止部44の位置が重なる必要がある。回転台50と基台40のうち少なくともいずれか一方は、貫通孔50aが係止部44の位置で止まるような機構を有していてもよい。例えば、回転軸42には、回転台50の回転が予め定められた既定の位置(貫通孔50aと係止部44が重なる位置)で止まるようなクラッチ機構が設けられていてもよい。これによって、回転台50の回転を規定の位置で停止しやすくなり、ピン60の挿入が容易になる等、作業性が向上する。
【0031】
なお、回転台50の回転を係止するための機構は、かかる形態に限定されない。例えば、ピンは、回転台50に保持される構造であってもよい。
図5は、回転台50とピン70を示す模式図である。
図5に示されている実施形態では、回転台50には、ホルダ75が取り付けられている。ピン70は、ホルダ75によって回転台50に保持されている。ホルダ75は、回転台50から上方に延びる円筒形状に形成されている。ホルダ75には、ガイド溝76が形成されている。ピン70は、貫通孔50aに挿通される挿通部71と、ガイド溝76からホルダ75の外に突き出る突出部72とを備えている。突出部72は、軸72aを介して挿通部71と繋がっている。作業者は、突出部72をガイド溝76に沿って操作することによって、回転台50の回転の係止および解除を切り替える。この実施形態では、ガイド溝76は、ホルダ75の高さ方向に沿って延びる縦溝76aと、縦溝76aから折れ曲がる横溝76bとを有している。横溝76bの端部には、一段低くなった窪み76cが設けられている。突出部72が操作され、軸72aが縦溝76aの下端の位置に収められると、挿通部71が係止部44に挿通され、回転台50の回転が係止される。突出部72が縦溝76aおよび横溝76bに沿って動かされ、軸72aが窪み76cに収められると、挿通部71が係止部44に至らず、回転台50が回転しうる状態になる。なお、
図5では、挿通部71が係止部44に挿通される前の状態のピン70は実線で示され、挿通部71が係止部44に挿通された状態のピン70は二点鎖線で示されている。このように、ピン70がホルダ75に収められていることによって、ピン70が落下したり、ブラダ21に接触したりする事象が起こりにくいため、ブラダ21の交換作業が妨げられにくくなる。
【0032】
図3に示されているように、基台40は、回転台50の回転機構(この実施形態では、回転軸42および支持ローラ43)を覆うカバー55を有している。カバー55は、基台40の上面に設けられている。カバー55は、回転台50の周方向に沿って連続して設けられている。カバー55は、回転台50の側周面50bに沿った略円環状の部材である。回転軸42および支持ローラ43は、略円環状のカバー55の内側に形成された空間に収められている。カバー55は、基台40と回転台50の間に配置されている。カバー55の高さは、回転台50の回転を妨げないように、基台40と回転台50の間隔よりもわずかに低く設定されている。なお、カバー55は、かかる形態に限定されない。例えば、カバー55は、側周面50bを覆うような寸法および形状であってもよい。基台40の上面に回転台50の回転機構を覆うカバー55が設けられていることによって、回転機構による巻き込みを防止することができる。
【0033】
〈ブラダ載置部31〉
ブラダ載置部31は、ブラダ21が載せられる部位である。ブラダ載置部31には、タイヤ用加硫機1から取り外されたブラダ21や、新たにタイヤ用加硫機1に取り付けられるブラダ21が載せられる。ブラダ載置部31は、
図2に示されているように、回転台50の上面に複数設けられている。この実施形態では、ブラダ載置部31は、4箇所設けられている。4箇所のブラダ載置部31は、回転台50の回転軸を囲うように、周方向に沿って略均等に配置されている。4箇所のブラダ載置部31は、回転軸42によって設定された回転軸周りを回転するように構成されている。
【0034】
ブラダ載置部31は、円環状に形成されている。この実施形態では、ブラダ21は、クランプリング23,24およびビードリング17aと一体となって交換される(
図1参照)。ブラダ載置部31は、一体となったブラダ21、クランプリング23,24およびビードリング17aのうち、当該一体となった部品のうち下端を構成するビードリング17aに応じた寸法に設定されている。ブラダ載置部31は、内側にビードリング17aが収められる寸法に設定されている。例えば、ブラダ載置部31の内径は、ビードリング17aの外径よりもわずかに大きく設定されうる。ブラダ載置部31の高さは、ビードリング17aの高さよりも低く設定されうる。
【0035】
この実施形態では、回転台50の上面には、ゴムシート56が設けられている。ゴムシート56は、回転台50の平面形状に対応した略円盤状のゴム部材である。回転軸42、ハンドル54、貫通孔50aおよびブラダ載置部31に対応する位置において、ゴムシート56には、切り欠きや孔が形成されている。このため、ゴムシート56は、回転軸42、ハンドル54、貫通孔50aおよびブラダ載置部31に対応する位置を除いて回転台50の上面を覆っている。ゴムシート56は、クッション材の役割を果たしうる。回転台50の上面にゴムシート56が設けられていることによって、回転台50の上面が保護される。また、ブラダ21等のタイヤ用加硫機1の部品が回転台50の上面に載せられる際にも、当該部品が損傷されにくくなる。ゴムシート56は、回転台50やブラダ21等を保護するための、所要の厚みと弾性を有しているとよい。
【0036】
〈ブラダ21の交換〉
上述したブラダ載置パレット30を用いてブラダ21を交換する作業の手順について説明する。ここでは、2台並んだタイヤ用加硫機1に取り付けられているブラダ21を交換する手順の一例について説明する。
【0037】
始めに、ブラダ載置パレット30のブラダ載置部31のうち隣り合う2箇所に、タイヤ用加硫機1に新しく取り付けられるブラダ21を載せる。この時、ピン60によって、回転台50の回転は係止されている。なお、ここでは、ブラダ21は、クランプリング23,24およびビードリング17aと一体になっている。ブラダ載置部31には、ブラダ21は、クランプリング23,24およびビードリング17aのうち、ビードリング17aが収められる。以下、ブラダ21、クランプリング23,24およびビードリング17aが一体になったものを、単に「ブラダ21」とも称する。
【0038】
フォークリフトを用いて、2つのブラダ21が載せられたブラダ載置パレット30を2台のタイヤ用加硫機1に移動させる。フォークリフトの爪を上昇させ、ブラダ載置パレット30を作業台に載せる。このとき、ブラダ21が載せられていない2つのブラダ載置部31bが、2台のタイヤ用加硫機1の手前に来るようにブラダ載置パレット30を配置する。
【0039】
2台のタイヤ用加硫機1からブラダ21を取り外す。取り外されたブラダ21を、タイヤ用加硫機1の手前のブラダ載置部31bに載せる。この時、ブラダ載置パレット30には、タイヤ用加硫機1から取り外されたブラダ21と、タイヤ用加硫機1に新しく取り付けられるブラダ21が載せられている。ピン60を貫通孔50aから抜き、ハンドル54を操作し、回転台50を180度回転させる。これによって、新しく取り付けられるブラダ21をタイヤ用加硫機1の手前に移動させる。ピン60を貫通孔50aに挿通させ、回転台50の回転を係止する。
【0040】
2台のタイヤ用加硫機1の手前に移動された、新しく取り付けられるブラダ21を、タイヤ用加硫機1に取り付ける。2台のタイヤ用加硫機1にブラダ21が新しく取り付けられると、ブラダ載置パレット30には、タイヤ用加硫機1から取り外されたブラダ21のみが載置されている。ブラダの交換が完了すると、フォークリフトを用いてブラダ載置パレット30を作業台から移動させ、タイヤ用加硫機1から取り外されたブラダ21を所定の位置に片付ける。以上のように、ブラダ載置パレット30を用いてタイヤ用加硫機1のブラダ21を交換することができる。
【0041】
上述した実施形態では、ブラダ載置パレット30は、リフターの一対の爪が挿入される一対の挿入孔41を有する基台40と、基台40上に配置された回転台50と、回転台50の上面に設けられた複数のブラダ載置部31とを備えている。複数のブラダ載置部31が設けられていることによって、ブラダ載置パレット30には、新たに取り付けられるブラダ21と、取り外されたブラダ21の両方のブラダ21との両方が一度に載せられうる。また、回転台50が回転されることによって、複数のブラダ載置部31に載せられたブラダ21は、ブラダ載置パレット30上で位置交換可能である。これによって、ブラダ21の取り外しおよびブラダ21の取り付けの両方の作業を、タイヤ用加硫機1に近い位置で実施することができる。その結果、ブラダ21を交換する作業の作業性が向上される。
【0042】
上述した実施形態では、ブラダ載置パレット30には、4箇所のブラダ載置部31が設けられている。4箇所以上のブラダ載置部31が設けられていることによって、一度のブラダ21の運搬で、複数のタイヤ用加硫機1においてブラダ21を交換することができる。
【0043】
上述した実施形態では、回転台50は、基台40の上面に沿って回転するように回転軸が設定されている。複数のブラダ載置部31は、回転軸周りを回転するように構成されている。これによって、ブラダ21が配置される際の重量バランスが良好になりうる。その結果、回転台50の回転が円滑になり、作業性が向上しうる。
【0044】
上述した実施形態では、ブラダ載置部31は、環状に形成されている。かかる構成によって、ブラダ載置部31に対して略円筒状のブラダ21が容易に配置されうる。また、ブラダ載置部31に対して、ビードリング17a等のブラダ21と一体で取り外される円環状の部材が容易に配置されうる。その結果、ブラダ21交換の作業性が向上しうる。
【0045】
上述した実施形態では、回転台50には、貫通孔50aが形成されている。基台40には、平面視において貫通孔50aと重なる位置に係止部44が設けられている。貫通孔50aおよび係止部44にピン60が挿通されることによって回転台50の回転が係止されるように構成されている。これによって、回転台50の回転を係止した状態でブラダ21を交換することができ、ブラダ21交換の作業性が向上しうる。
【0046】
以上、ここで開示される技術について、種々説明した。しかしながら、ここで開示されるト技術は、特に言及されない限りにおいて、上述した形態に限定されない。例えば、ここで開示されるブラダ載置パレットは、フォークリフト用に限られない。ブラダを交換する際に使用されるリフターは、種々選択することができる。ブラダ載置パレットの構成は、選択されたリフターに応じて変更されてもよい。また、回転台の回転および係止は、手動に限られず、電動で動作可能なように構成されていてもよい。また、種々言及した形態の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。なお、本明細書は以下の開示を含んでおり、以下の開示は、上記した実施形態には限定されない。
【0047】
本発明(1)は、ブラダ載置パレットに関する。本発明におけるブラダ載置パレットは、
リフターの一対の爪が挿入される一対の挿入孔を有する基台と、
前記基台上に配置された回転台と、
前記回転台の上面に設けられた複数のブラダ載置部と
を備えている。
【0048】
本発明(2)は、本発明(1)に記載されたブラダ載置パレットであって、
前記回転台は、前記基台の上面に沿って回転するように回転軸が設定されており、
前記複数のブラダ載置部は、前記回転軸周りを回転するように構成されている。
【0049】
本発明(3)は、本発明(1)または本発明(2)に記載されたブラダ載置パレットであって、
前記ブラダ載置部は、環状に形成されている。
【0050】
本発明(4)は、本発明(1)から本発明(3)までのいずれか1つに記載されたブラダ載置パレットであって、
前記回転台には、貫通孔が形成されており、
前記基台には、平面視において前記貫通孔と重なる位置に係止部が設けられており、
前記貫通孔および前記係止部にピンが挿通されることによって前記回転台の回転が係止されるように構成されている。
【0051】
本発明(5)は、本発明(1)から本発明(4)までのいずれか1つに記載されたブラダ載置パレットであって、
前記基台は、前記回転台の回転機構を覆うカバーを有している。
【0052】
本発明(6)は、本発明(1)から本発明(5)までのいずれか1つに記載されたブラダ載置パレットであって、
前記回転台の上面には、ゴムシートが設けられている。
【符号の説明】
【0053】
1 タイヤ用加硫機
10 タイヤ加硫金型
17 サイドモールド
17a ビードリング
17b 金型ベース
17c 保持部
20 ブラダ中心機構
21 ブラダ
22 センタポスト
23,24 クランプリング
30 ブラダ載置パレット
31 ブラダ載置部
40 基台
41 挿入孔
42 回転軸
43 支持ローラ
44 係止部
50 回転台
50a 貫通孔
54 ハンドル
55 カバー
56 ゴムシート
60,70 ピン
R ローカバー