IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図1
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図2
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図3
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図4
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図5
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図6
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図7
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図8
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図9
  • 特開-変倍光学系および光学機器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170260
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】変倍光学系および光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20231124BHJP
   G02B 15/167 20060101ALI20231124BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20231124BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B15/167
G02B5/00 A
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081870
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】小林 優真
【テーマコード(参考)】
2H042
2H087
【Fターム(参考)】
2H042AA06
2H042AA11
2H042AA22
2H087KA02
2H087KA03
2H087MA12
2H087MA13
2H087MA15
2H087MA17
2H087MA18
2H087MA19
2H087NA00
2H087PA13
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB17
2H087PB19
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA36
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA23
2H087SA27
2H087SA29
2H087SA32
2H087SA43
2H087SA46
2H087SA50
2H087SA52
2H087SA55
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA72
2H087SA75
2H087SA76
2H087SB04
2H087SB05
2H087SB13
2H087SB14
2H087SB16
2H087SB22
2H087SB24
2H087SB25
2H087SB31
2H087SB33
2H087SB34
2H087SB41
2H087SB46
(57)【要約】
【課題】ズーム全域で均一かつ良好なアポダイゼーション効果を得るとともに、周辺減光を抑制した変倍光学系を提供する。
【解決手段】物体側から像側へ順に配置された、第1の透過率分布を有する第1の光学素子(121)と、開口絞り(SP)と、第2の透過率分布を有する第2の光学素子(122)とを有する変倍光学系(100)であって、開口絞りを開放した状態において、広角端での第1の光学素子および第2の光学素子のそれぞれの軸上光束に対する透過率T1wax、T2waxは、所定の条件式を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、第1の透過率分布を有する第1の光学素子と、開口絞りと、第2の透過率分布を有する第2の光学素子とを有する変倍光学系であって、
前記開口絞りを開放した状態において、広角端での前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1wax、T2waxとするとき、
0.30≦T1wax/T2wax≦1.50
なる条件式を満足することを特徴とする変倍光学系。
【請求項2】
前記開口絞りの物体側に配置された正のパワーの正レンズ群と、前記開口絞りの像側に配置された負のパワーの負レンズ群とを有し、
前記第1の光学素子は、前記正レンズ群の最も像側の面と前記開口絞りとの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項3】
広角端において、前記変倍光学系の焦点距離をfw、F値をFw、最大像高をHとするとき、
0.25≦fw/Fw/H≦15.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項4】
前記変倍光学系の変倍比をβとするとき、
1.0≦β≦5.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項5】
広角端および望遠端での入射瞳位置から前記負レンズ群の最も物体側の面までの光軸上での距離をそれぞれL1w、L1t、広角端および望遠端での前記変倍光学系の焦点距離をそれぞれfw、ft、広角端および望遠端でのF値の平均値をFaveとするとき、
0.00≦L1w/fw×[(L1t/ft)/(L1w/fw)]×Fave≦4.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2に記載の変倍光学系。
【請求項6】
メリジオナル断面において、前記第1の光学素子の位置における広角端および望遠端での最軸外光束の光束幅をそれぞれwwouter、wtouter、メリジオナル断面において、広角端および望遠端での軸上光束と最軸外光束との重複範囲における光軸に垂直な方向の距離をそれぞれwwrap、wtrapとするとき、
0.50≦wwrap/wwouter≦1.00
0.50≦wtrap/wtouter≦1.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項7】
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の規格化半径rにおける規格化透過率の傾きをそれぞれDf1(r)、Df2(r)とするとき、
-15.0≦Df1’(r)≦1.0
-15.0≦Df2’(r)≦1.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項8】
0.000≦Df1(1)≦0.150
0.000≦Df2(1)≦0.150
なる条件式を満足することを特徴とする請求項7に記載の変倍光学系。
【請求項9】
広角端での前記開口絞りと像面との間の光軸方向の距離をLwr、前記変倍光学系のうち最も像側に配置されたレンズ群に対する、前記開口絞りを含むレンズ群よりも像面側に配置されたレンズ群の、変倍に伴う移動量の絶対値の最大値をΔdmaxとするとき、
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項10】
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、第5レンズ群、第6レンズ群、および第7レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第2レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第5レンズ群に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項11】
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、および第4レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第2レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第4レンズ群に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項12】
前記第1レンズ群および前記第4レンズ群は、変倍に際して移動することを特徴とする請求項11に記載の変倍光学系。
【請求項13】
前記第1レンズ群および前記第4レンズ群は、変倍に際して移動しないことを特徴とする請求項11に記載の変倍光学系。
【請求項14】
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、および第5レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第3レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第5レンズ群に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項15】
前記第1レンズ群および前記第5レンズ群は、変倍に際して移動しないことを特徴とする請求項14に記載の変倍光学系。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の変倍光学系と、該光学系によって形成される像を受光する受光素子を有することを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍光学系および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、適切なボケ像を得るため、光軸からの距離が大きくなるにつれて透過率が変化するアポダイゼーションフィルタなどの透過率分布を有するフィルタを備えた光学系が知られている。特許文献1には、単焦点レンズの絞りの前後にアポダイゼーションフィルタを配置した光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-218444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている光学系は単焦点光学系であるため、変倍光学系の各ズームステートで十分なアポダイゼーション効果を得る方法としては不十分である。また変倍光学系においては、周辺減光を抑制するとともに、変倍に際して良好なアポダイゼーション効果を得ることが求められる。
【0005】
そこで本発明は、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに、周辺減光を抑制した変倍光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1の透過率分布を有する第1の光学素子と、開口絞りと、第2の透過率分布を有する第2の光学素子とを有する変倍光学系であって、前記開口絞りを開放した状態において、広角端での前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対するそれぞれの透過率T1wax、T2waxは、所定の条件式を満足する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに、周辺減光を抑制した変倍光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における光学系の断面図である。
図2】実施例2における光学系の断面図である。
図3】実施例3における光学系の断面図である。
図4】実施例4における光学系の断面図である。
図5】実施例5における光学系の断面図である。
図6】各実施例における第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの透過率分布を示す図である。
図7】各実施例における撮像装置の概略図である。
図8】ヴィネッティングの変化の概念図である。
図9】実施例1~3における光学系の中心および15mm像高の、広角端、望遠端の射出瞳の透過率分布を示す図である。
図10】実施例4、5における光学系の中心および15mm像高の、広角端、望遠端の射出瞳の透過率分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す図面は、各実施例を容易に理解できるようにするために、実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。
【0011】
写真や映像用レンズをはじめとする種々の光学系においては、結像面の特性だけでなく、アウトフォーカス部の像質すなわちボケの質も重視される場合がある。一般に、輪郭が明瞭でなく溶けていくような滑らかなボケが望まれる。ボケの輪郭を変化させる方法としては、例えば光軸からの距離が大きくなるにつれて透過率が低下するアポダイゼーションフィルタを光学系に挿入する方法が知られている。これにより、アポダイゼーションフィルタの透過率分布がボケ像に重ね合わされ、輪郭が溶けていくような滑らかなボケを実現することができる。
【0012】
しかしながら、アポダイゼーションフィルタを挿入すると、光学系における透過光量が低下してしまう。また、口径蝕が大きい光学系においては、アポダイゼーションフィルタ1枚では軸外の領域で十分なアポダイゼーション効果を得られない。軸外でも十分な効果を得るには、光学系の適切な位置に合計2枚以上のアポダイゼーションフィルタを挿入する必要があり、その配置の方法および原理については、例えば特許文献1に開示されている。
【0013】
以下、変倍光学系を指してズームレンズという呼称も用いる。厳密には、変倍光学系は、変倍に伴って合焦位置が変化するバリフォーカルレンズと合焦位置が変化しないズームレンズに大別されるが、各実施例では、これらをまとめてズームレンズと呼ぶ。
【0014】
ズームレンズは、一般に、変倍に伴って移動する複数のレンズ群から構成される。これらの各レンズ群を、物体側から像側へ順に、第1レンズ群、第2レンズ群、…、第Nレンズ群と呼ぶこととする。またズームレンズは、一般に、正先行タイプの光学系と、負先行タイプの光学系とに大別される。正先行タイプの光学系とは、最も物体側に正のパワーのレンズ群(正レンズ群)が配置されその像側に負のパワーのバリエータ群(負レンズ群)が配置される光学系である。一方、負先行タイプの光学系とは、最も物体側に負のパワーのレンズ群(負レンズ群)が配置されその像側に正のパワーのバリエータ群(正レンズ群)が配置される光学系である。各実施例は、前者の正先行タイプの光学系について説明するが、これに限定されるものではなく、負先行タイプの光学系にも適用可能である。
【0015】
各実施例において、正先行タイプの正のパワーのレンズ群から負のパワーのバリエータ群までのレンズ群をまとめて前群と呼ぶ。正先行タイプのズームレンズは、35mm判換算で略21mm~150mmの範囲内に広角端と望遠端が収まるいわゆる標準ズームレンズ、または35mm判換算で略50mm~600mmの範囲内に広角端と望遠端が収まるいわゆる望遠ズームレンズに用いられる。前述の焦点距離領域は、ポートレートなど、ボケの質が重視されるような撮影に頻用されるため、特にボケの質の高さが求められることが多い。
【0016】
単焦点光学系に対して、ズームレンズは、変倍に伴って光路が変化し、実用性の高いコンパクトさを保ちながら口径蝕を小さくすることが困難である。このためズームレンズは、アポダイゼーションフィルタを配置してもズーム全域にわたって十分なアポダイゼーション効果を得ることが難しい。また、アポダイゼーション効果が大きくなるように透過率分布を光学系に与えると、しばしば周辺減光が大きくなるか、または周辺減光が急激になる。特に、光路が変倍に伴って大きく変化するズームレンズにおいては、ズーム全域で周辺光量の低下(ヴィネッティング)とその変化を小さくことが難しい。
【0017】
そこで各実施例の変倍光学系では、開口絞りの物体側および像側に所定の透過率関係を有する透過率分布フィルタを挿入する。これにより、各ズームステートで良好なアポダイゼーション効果を得るとともに、透過率分布フィルタの挿入に伴う周辺光量の低下を抑制し周辺光量の変化が小さい変倍光学系を提供する。
【0018】
ここで、周辺光量の変化が小さいとは、ヴィネッティングが急激でなく緩やかであることである。急激なヴィネッティングとは、像高に対する像面照度をプロットしたときに、その傾きの絶対値の最大値が大きいヴィネッティングを指す。図8は、ヴィネッティングの変化の概念図である。図8において、縦軸は、像高0の照度で規格化した照度(像面照度)、横軸は像高をそれぞれ示す。また図8において、点線Bは、実線Aよりも急激にヴィネッティングが変化していることを示す。実線Aと点線Bの像高1(最大像高)のときの像面照度は同じであるが、点線Bのほうが実際の画像で像高の違いによる明るさの変化が目に付きやすいため、実線Aのような緩やかなヴィネッティングが好ましい。具体的な目安としては、図8のグラフにおける傾きの最小値が略-1.7以上であることが好ましく、-1.6以上であるとより好ましい。なお図8において、実線Aと点線Bの画角は同一であり、コサイン四乗則の影響も同一であるとしている。
【0019】
多くの場合、変倍光学系などの結像光学系の像面にはCMOSイメージセンサーまたは感光性フィルムなどが配置され、像の記録を行う。この記録範囲は一般に正方形または長方形である。長方形の場合、縦横比は3:4、2:3、9:16などが特に広く用いられる。このような正方形または長方形の記録部に対して結像光学系の結像範囲(イメージサークル)は一般的には円であり、記録範囲は結像光学系の結像範囲(イメージサークル)の内に収まっているのが一般的である。このような場合、記録部の四隅で最大像高となり、この四隅ではボケはほとんど記録部外にはみ出てしまい、アポダイゼーション効果の大小、有無の違いが認識しにくい。このため、アポダイゼーション効果は最大像高の7割から8割程度までの範囲で良好にすることが重要である。
【0020】
各実施例の光学系は、第1の透過率分布フィルタ(第1の透過率分布を有する第1の光学素子)および第2の透過率分布フィルタ(第2の透過率分布を有する第2の光学素子)を有する。第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの透過率分布は、アポダイゼーション効果を奏するような透過率分布であればよい。このような透過率分布としては、周辺へ向かって(光軸から離れる方向に)連続的に透過率が減少する透過率分布、または段階的に透過率が減少する透過率分布であってもよい。また、中心部(光軸を含む領域)に透過率が一定である領域を設けてもよい。
【0021】
このような透過率分布は、光の吸収または反射が生じる材料を素子の位置に応じて透過率に分布が生じるように成形または基板上に成膜することで形成することができる。また、銀塩粒子などの感光材料を基板上に塗布し、透過率分布が生じるように露光して透過率分布を形成してもよい。基板の形状としては、平板状またはフィルム状などのいずれの形状でもよい。また、レンズのように曲率を有する透過率分布フィルタを基板として用いてもよい。また、色ガラスなどの光を吸収する物質を含有する媒質を用いることもできる。この場合、光を吸収する物質を含有する媒質の厚みを変化させて透過率分布を形成してもよく、または、この媒質における光を吸収する物質の濃度を部分的に変化させて透過率分布を形成してもよい。また、第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタのうち少なくとも一方の透過率分布フィルタとして、電圧印加などにより透過率分布を生じるように形成されたエレクトロクロミック素子、フォトクロミック素子、または液晶素子などを用いてもよい。これにより、電圧印加によってアポダイゼーション効果のオン・オフを切り替えることができる。
【0022】
図1に示されるように、実施例1の光学系100は、第1の透過率分布フィルタ101および第2の透過率分布フィルタ102を有する。図2に示されるように、実施例2の光学系200は、第1の透過率分布フィルタ201および第2の透過率分布フィルタ202を有する。図3に示されるように、実施例3の光学系300は、第1の透過率分布フィルタ301および第2の透過率分布フィルタ302を有する。図4に示されるように、実施例4の光学系400は、第1の透過率分布フィルタ401および第2の透過率分布フィルタ402を有する。図5に示されるように、実施例5の光学系500は、第1の透過率分布フィルタ501および第2の透過率分布フィルタ502を有する。これらの透過率分布フィルタは、レンズ面上に光吸収性を有する物質を配置することで、透過率分布を実現している。
【0023】
各実施例の光学系は、メカニカル絞り(開口絞り)SPを有する。メカニカル絞りSPとしては、例えば、少なくとも一枚の絞り羽根を可動させることで開口径を変化させることが可能な虹彩絞り、または開口径が異なる部材を入れ替えるウォーターハウス絞りなどを用いることができる。なお、メカニカル絞りSPとして虹彩絞りを用いる場合、五枚以上の絞り羽根を有することが好ましい。この構成により、広い範囲のF値(絞り値)において射出瞳の形状を正円に近い形に保つことができる。その結果、ボケの形状の回転対称性を高めることができる。
【0024】
各実施例の変倍光学系は、曲面鏡、平面鏡、プリズム、または回折光学素子などの光学部材を有していてもよい。また各実施例の変倍光学系は、レンズ、曲面鏡、平面鏡、プリズム、および回折光学素子のうちの複数または全てを有していてもよい。
【0025】
例えば実施例1において、図6に示されるように、第1の透過率分布フィルタ101および第2の透過率分布フィルタ102の透過率分布は同一である。これにより、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得つつヴィネッティングとその急激な変化を防止することができる。
【0026】
ここで、メカニカル絞りSPを開放した状態(絞り開放状態)において、広角端での第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの軸上光束に対する透過率をそれぞれT1wax、T2waxとする。このとき各実施例の光学系は、以下の条件式(1)を満足する。
【0027】
0.30≦T1wax/T2wax≦1.50 ・・・(1)
条件式(1)の下限値を下回ると、変倍に伴うアポダイゼーション効果の変化が大きくなってしまう。一方、条件式(1)の上限値を上回ると、ヴィネッティングが急激になってしまう。透過率としては、波長400nm乃至700nm、波長420nm乃至650nm、波長400nm乃至780nm、または波長420nm乃至850nmにおける透過率(可視光透過率)の平均値を用いることができる。または、透過率として、波長550nmもしくは587.6nmにおける代表値を用いてもよい。または、ISO/CIE 10526によって規定されたD65光源、CIE15.2によって規定されたD55光源、またはD50光源などに対する透過率を用いてもよい。なお各実施例では、波長587.6nmにおける透過率を代表値として用いる。
【0028】
好ましくは、条件式(1)の数値範囲は、以下の条件式(1a)のように設定される。
【0029】
0.35≦T1wax/T2wax≦1.40 ・・・(1a)
より好ましくは、条件式(1)の数値範囲は、以下の条件式(1b)のように設定される。
【0030】
0.40≦T1wax/T2wax≦1.30 ・・・(1b)
更に好ましくは、条件式(1)の数値範囲は、以下の条件式(1c)のように設定される。
【0031】
0.50≦T1wax/T2wax≦1.20 ・・・(1c)
また、絞り開放状態において、望遠端での第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの軸上光束に対する透過率をそれぞれT1tax、T2taxとする。このとき各実施例の光学系は、好ましくは、以下の条件式(2)を満足する。
【0032】
0.30≦T1tax/T2tax≦1.50 ・・・(2)
条件式(2)の下限値を下回ると、変倍に伴うアポダイゼーション効果の変化が大きくなってしまう。一方、条件式(2)の上限値を上回ると、ヴィネッティングが急激になってしまう。
【0033】
より好ましくは、条件式(2)の数値範囲は、以下の条件式(2a)のように設定される。
【0034】
0.35≦T1tax/T2tax≦1.40 ・・・(2a)
更に好ましくは、条件式(2)の数値範囲は、以下の条件式(2b)のように設定される。
【0035】
0.40≦T1tax/T2tax≦1.30 ・・・(2b)
更に好ましくは、条件式(2)の数値範囲は、以下の条件式(2c)のように設定される。
【0036】
0.50≦T1tax/T2tax≦1.20 ・・・(2c)
正のパワーがより物体側に配置されるような、いわゆるPリードズームにおいては、広角端がより広角になるほど、またF値が大きくなる(暗くなる)ほど、バリエータとなる負レンズ群において、レンズの有効径に対して軸上および軸外ともに光線が細くなる。このような場合、ヴィネッティングおよびその急激な変化の抑制と、アポダイゼーション効果の両立が困難となる。このため各実施例の光学系は、広角端において、光学系の焦点距離をfw、F値をFw、最大像高をHとするとき、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
【0037】
0.25≦fw/Fw/H≦15.00 ・・・(3)
条件式(3)の下限値を下回ると、レンズの有効径に対して軸上および軸外ともに光線が細くなり、ヴィネッティングおよびその急激な変化の抑制と、アポダイゼーション効果の両立が困難となる。一方、条件式(3)の上限値を上回ると、光学系全体が大きくなってしまい、好ましくない。
【0038】
より好ましくは、条件式(3)の数値範囲は、以下の条件式(3a)のように設定される。
【0039】
0.30≦fw/Fw/H≦15.00 ・・・(3a)
更に好ましくは、条件式(3)の数値範囲は、以下の条件式(3b)のように設定される。
【0040】
0.35≦fw/Fw/H≦15.00 ・・・(3b)
各実施例の光学系は、前述のように、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得られることが好ましい。このため各実施例において、好ましくは、光学系の変倍比をβとするとき、以下の条件式(4)を満足する。
【0041】
1.0≦β≦5.0 ・・・(4)
定義上、条件式(4)の下限値を下回ることはない。一方、条件式(4)の上限値を上回ると、変倍に伴う光路の変化が大きくなり、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得て、かつヴィネッティングを低減することが難しくなる。このような場合、透過率分布フィルタを3枚以上使用すると改善される場合がある。この場合、絞り近傍または絞りよりも物体側の絞り近傍に透過率分布フィルタを追加することが好ましい。
【0042】
より好ましくは、条件式(4)の数値範囲は、以下の条件式(4a)のように設定される。
【0043】
1.0≦β≦4.0 ・・・(4a)
更に好ましくは、条件式(4)の数値範囲は、以下の条件しい(4b)のように設定される。
【0044】
1.0≦β≦3.0 ・・・(4b)
本発明の光学系は、前述のようにズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得られることが好ましい。このため、光学系の入射瞳において、以下の条件を満足することが好ましい。まず、入射瞳は、より物体側にあることが好ましい。これにより、軸上光束と軸外光束の下線同士が全レンズ群中でより近い位置を通過することになり、画角ごとのアポダイゼーション効果の差を小さくすることができる。また、入射瞳の変倍に伴う移動が小さいほうが好ましい。これにより、変倍に伴うアポダイゼーション効果の変化も小さくなる。また、光学系の前群の有効径に対して、入射瞳が大きいほうが好ましい。これにより、入射瞳の端部の透過率を効果的に小さくすることができ、良好なアポダイゼーション効果を得るとともに、ヴィネッティングを抑制することができる。前記3点のうち、全てが好ましい値である必要はない。例えば、入射瞳が前群の有効径に対して極めて大きければ、変倍に伴う入射瞳の移動が生じた場合でも十分実用に供する程度にアポダイゼーション効果とヴィネッティングの変化の抑制を両立することができる。
【0045】
ここで、広角端および望遠端での入射瞳位置から負のパワーのレンズ群(負レンズ群)の最も物体側の面までの光軸上での距離をそれぞれL1w、L1t、望遠端での光学系の焦点距離をft、広角端および望遠端でのF値の平均値をFaveとする。このとき各実施例において、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
【0046】
0.00≦L1w/fw×[(L1t/ft)/(L1w/fw)]×Fave≦4.00 ・・・(5)
条件式(5)において、L1w/fwは入射瞳の位置の指標であり、小さいほど入射瞳が物体側にあることを意味する。[(L1t/ft)/(L1w/fw)]は広角端および望遠端での入射瞳の変倍に伴う移動量の指標であり、小さいほど変倍に伴う移動が小さい。Faveは入射瞳の大きさの指標であり、小さいほど入射瞳が大きい。定義上、条件式(5)の下限値を下回ることはない。一方、条件式(5)の上限値を上回ると、前述の理由から、アポダイゼーション効果の均一性とヴィネッティングの変化の抑制との両立が困難になる。
【0047】
より好ましくは、条件式(5)の数値範囲は、以下の条件式(5a)のように設定される。
【0048】
0.00≦L1w/fw×[(L1t/ft)/(L1w/fw)]×Fave≦3.50 ・・・(5a)
更に好ましくは、条件式(5)の数値範囲は、以下の条件式(5b)のように設定される。
【0049】
0.00≦L1w/fw×[(L1t/ft)/(L1w/fw)]×Fave≦3.00 ・・・(5b)
更に好ましくは、条件式(5)の数値範囲は、以下の条件式(5c)のように設定される。
【0050】
0.00≦L1w/fw×[(L1t/ft)/(L1w/fw)]×Fave≦2.75 ・・・(5c)
ここで、メリジオナル断面において、第1の透過率分布フィルタの位置における広角端および望遠端での最軸外光束の光束幅をそれぞれwwouter、wtouterとする。また、メリジオナル断面において、広角端および望遠端での軸上光束と最軸外光束との重複範囲における光軸に垂直な方向の距離をそれぞれwwrap、wtrapとする。このとき各実施例において、好ましくは、以下の条件式(6-1)および条件式(6-2)を満足する。
【0051】
0.50≦wwrap/wwouter≦1.00 ・・・(6-1)
0.50≦wtrap/wtouter≦1.00 ・・・(6-2)
定義上、条件式(6-1)、(6-2)の上限値を上回ることはない。一方、条件式(6-1)、(6―2)の下限値を下回ると、第1の透過率分布フィルタにより軸外光束の透過率が大きく低下し、急激なヴィネッティングが生じる。
【0052】
より好ましくは、条件式(6-1)、(6-2)の数値範囲は、以下の条件式(6-1a)、(6-1b)のようにそれぞれ設定される。
【0053】
0.60≦wwrap/wwouter≦1.00 ・・・(6―1a)
0.60≦wtrap/wtouter≦1.00 ・・・(6―2a)
更に好ましくは、条件式(6-1)、(6-2)の数値範囲は、以下の条件式(6-1b)、(6-2b)のようにそれぞれ設定される。
【0054】
0.65≦wwrap/wwouter≦1.00 ・・・(6―1b)
0.65≦wtrap/wtouter≦1.00 ・・・(6―2b)
各実施例の光学系は、最大撮影倍率が0.3倍以下の場合において望遠端でのF値をFtとするとき、好ましくは、以下の条件式(7)を満足する。
【0055】
8≦ft/Ft≦150 ・・・(7)
条件式(7)の下限値を下回ると、ボケが小さくなり、アポダイゼーション効果の影響も小さくなるため、好ましくない。一方、条件式(7)の上限値を上回ると、ボケが著しく大きくなり、アポダイゼーション効果の影響を認識しにくくなる。
【0056】
より好ましくは、条件式(7)の数値範囲は、以下の条件式(7a)のように設定される。
【0057】
10≦ft/Ft≦130 ・・・(7a)
各実施例において、第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの、規格化半径rにおける規格化透過率の傾きをそれぞれDf1(r)、Df2(r)とするとき、好ましくは、以下の条件式(8)、(9)を満足する。
【0058】
-15.0≦Df1’(r)≦1.0 ・・・(8)
-15.0≦Df2’(r)≦1.0 ・・・(9)
ここで、規格化半径rとは第1、第2の透過率分布フィルタの有効半径r1max、r2maxでそれぞれ規格化した光軸に垂直な方向の位置であり、0乃至1の値をとる。また、第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの、有効半径で規格化した光軸からの距離rだけ離れた位置の、光軸上の透過率で規格化した透過率をそれぞれDf1(r)、Df2(r)とする。また、その径方向の傾きをDf1’(r)、Df2’(r)とする。なお、関数D(r)のr=rxにおける傾きD’(rx)は、以下の式(10)、(11)のように定義する。
【0059】
(a)0≦rx≦0.99のとき
D’(rx)=(D(rx+0.01)-D(rx))×100 ・・・(10)
(b)rx>0.99のとき
D’(rx)=(D(rx)-D(rx-0.01))×100 ・・・(11)
より好ましくは、条件式(8)、(9)の数値範囲は、以下の条件式(8a)、(9a)のようにそれぞれ設定される。
【0060】
-10.0≦Df1’(r)≦1.0 ・・・(8a)
-10.0≦Df2’(r)≦1.0 ・・・(8b)
更に好ましくは、条件式(8)、(9)の数値範囲は、以下の条件式(8b)、(9b)のようにそれぞれ設定される。
【0061】
-7.5≦Df1’(r)≦1.0 ・・・(9a)
-7.5≦Df2’(r)≦1.0 ・・・(9b)
アポダイゼーションフィルタによって十分にボケの輪郭を滑らかにするには、有効光束のエッジ部の透過率を十分に低下させる必要がある。このため各実施例において、好ましくは、以下の条件式(12-1)、(12-2)を満足する。
【0062】
0.000≦Df1(1)≦0.150 ・・・(12-1)
0.000≦Df2(1)≦0.150 ・・・(12-2)
定義上、条件式(12-1)、(12-2)の下限値を下回ることはない。一方、条件式(12-1)、(12-2)の上限値を上回ると、光束の端部の透過率が十分に低下せずボケの輪郭がなめらかに見えない。
【0063】
より好ましくは、条件式(12-1)、(12-2)の数値範囲は、以下の条件式(12-1a)、(12-2a)のようにそれぞれ設定される。
【0064】
0.000≦Df1(1)≦0.140 ・・・(12-1a)
0.000≦Df2(1)≦0.140 ・・・(12-2a)
更に好ましくは、条件式(12-1)、(12-2)の数値範囲は、以下の条件式(12-1b)、(12-2b)のようにそれぞれ設定される。
【0065】
0.000≦Df1(1)≦0.125 ・・・(12-1b)
0.000≦Df2(1)≦0.125 ・・・(12-2b)
多くのズームレンズは、開口絞りよりも物体側のレンズ群に主として変倍機能を有し、開口絞りより像側のレンズ群に主として結像機能を有する。この機能分担が明確であるほど、変倍に伴った開口絞りより後側の光路変化は小さくなる。変倍に伴う開口絞りよりも後側のレンズの動きが大きいと、変倍に伴う絞りより後側の光路の変化が大きくなり、変倍に伴ってアポダイゼーション効果が大きく変動する。
【0066】
ここで、広角端でのメカニカル絞りSPと像面IPと間の光軸方向の距離をLwrとする。また、光学系のうち最も像側に配置されたレンズ群に対する、メカニカル絞りSPを含むレンズ群よりも像側(像面IP側)に配置されたレンズ群の、変倍に伴う移動量の絶対値の最大値をΔdmaxとする。このとき各実施例の光学系は、好ましくは、以下の条件式(13)を満足する。
【0067】
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.20 ・・・(13)
定義上、条件式(13)の下限を下回ることはない。一方、条件式(13)の上限値を上回ると、変倍に伴うメカニカル絞りSPよりも後側(像面IP側)の光路の変化が大きくなり、変倍に伴ってアポダイゼーション効果が大きく変動してしまう。
【0068】
より好ましくは、条件式(13)の数値範囲は、以下の条件式(13a)のように設定される。
【0069】
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.15 ・・・(13a)
更に好ましくは、条件式(13)の数値範囲は、以下の条件式(13b)のように設定される。
【0070】
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.10 ・・・(13b)
以下、各実施例の光学系についてより詳しく説明する。
[実施例1]
まず、図1を参照して、実施例1における光学系(変倍光学系)100について説明する。図1は、無限遠合焦時の広角端での光学系100の断面図である。図1において、ARPは軸上光束、OARPは最軸外光束、SPはメカニカル絞り(開口絞り)、IPは像面、OAは光軸をそれぞれ示す。FocusおよびFloatingに関する矢印は、無限遠から近距離へのフォーカシングに際しての各レンズ群の移動方向を示している。なお、これらは後述の各実施例の光学系の断面図でも同様である。
【0071】
第1の透過率分布フィルタ101は、物体側から4枚目のレンズ(第1の光学素子)121の像側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ102は、物体側から13枚目のレンズ(第2の光学素子)の像側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。以降の各実施例でも、第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタとして、それぞれの断面図に示される面に設けられた光吸収性を有する薄膜が用いられる。図6は、各実施例における第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの透過率分布を示す図である。図6において、縦軸は光軸上の透過率で規格化した規格化透過率、横軸は透過率分布フィルタの最大有効半径(r1maxまたはr2max)で規格化した有効半径(規格化有効半径)をそれぞれ示す。また、透過率の分布は、光軸OAを中心として回転対称である。これは、以降の各実施例でも同様である。
【0072】
光学系100は、7群構成であり、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群111、第2レンズ群112、第3レンズ群113、第4レンズ群114、第5レンズ群115、第6レンズ群116、および第7レンズ群117からなる。変倍に際して隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第1の光学素子は第2レンズ群112に含まれ、第2の光学素子は第5レンズ群115に含まれている。光学系100は、前述の全てのレンズ群をそれぞれ移動させることで変倍を行う。
[実施例2]
次に、図2を参照して、実施例2における光学系(変倍光学系)200について説明する。図2は、無限遠合焦時の広角端での光学系200の断面図である。
【0073】
第1の透過率分布フィルタ201は、物体側から7枚目と8枚目のレンズの間の面(レンズ(第1の光学素子)221の物体側の面)に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ202は、物体側から14枚目のレンズ(第2の光学素子)222の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は図6に示される通りである。光学系200は、4群構成であり、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群211、第2レンズ群212、第3レンズ群213、および第4レンズ群214からなる。変倍に際して隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第1の光学素子は第2レンズ群212に含まれ、第2の光学素子は第4レンズ群214に含まれている。光学系200は、前述の全てのレンズ群をそれぞれ移動させることで変倍を行う。
[実施例3]
次に、図3を参照して、実施例3における光学系(変倍光学系)300について説明する。図3は、無限遠合焦時の広角端での光学系300の断面図である。第1の透過率分布フィルタ301は、物体側から7枚目と8枚目のレンズの間の面(レンズ(第1の光学素子)321の物体側の面)に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ302は、物体側から13枚目のレンズ(第2の光学素子)322の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は図6に示される通りである。光学系300は、4群構成であり、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群311、第2レンズ群312、第3レンズ群313、および第4レンズ群314からなる。変倍に際して隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第1の光学素子は第2レンズ群312に含まれ、第2の光学素子は第4レンズ群314に含まれている。光学系300は、前述の全てのレンズ群をそれぞれ移動させることで変倍を行う。
[実施例4]
次に、図4を参照して、実施例4における光学系(変倍光学系)400について説明する。図4は、無限遠合焦時の広角端での光学系400の断面図である。
【0074】
第1の透過率分布フィルタ401は、物体側から7枚目のレンズ(第1の光学素子)421の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ402は、物体側から16枚目のレンズ(第2の光学素子)422の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は図6に示される通りである。光学系400は、4群構成であり、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群411、第2レンズ群412、第3レンズ群413、および第4レンズ群414からなる。変倍に際して隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第1の光学素子は第2レンズ群412に含まれ、第2の光学素子は第4レンズ群414に含まれている。光学系400は、第2レンズ群412および第3レンズ群413をそれぞれ移動させることで変倍を行う(第1レンズ群411および第4レンズ群414は、変倍に際して移動しない)。
[実施例5]
次に、図5を参照して、実施例5における光学系(変倍光学系)500について説明する。図5は、無限遠合焦時の広角端での光学系500の断面図である。
【0075】
第1の透過率分布フィルタ501は、物体側から7枚目のレンズ(第1の光学素子)521の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ502は、物体側から19枚目のレンズ(第2の光学素子)522の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は図6に示される通りである。光学系500は、5群構成であり、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群511、第2レンズ群512、第3レンズ群513、第4レンズ群514、および第5レンズ群515からなる。変倍に際して隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第1の光学素子は第3レンズ群513に含まれ、第2の光学素子は第5レンズ群515に含まれている。光学系500は、第2レンズ群512、第3レンズ群513、および第4レンズ群514をそれぞれ移動させることで変倍を行う(第1レンズ群511および第5レンズ群515は、変倍に際して移動しない)。
【0076】
次に、前述の実施例1乃至5のそれぞれに対応する数値実施例1乃至5について示す。各数値実施例において、iは物体側から第i番目の面(第i面)を示す面番号、riは物体側から第i番目の面の曲率半径(mm)である。また、diは物体側から第i番目の面と第(i+1)番目の面との間の光軸上における面間隔(mm)、ndi、νdiはそれぞれ、第i番目の面と第(i+1)番目の面との間の光学部材のd線に対する屈折率およびアッベ数である。
【0077】
なおアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0078】
各数値実施例において示されている焦点距離f、FナンバーFno、および半画角ω(度)の値はそれぞれ、無限遠物体に焦点を合わせたときの値である。また、BFはバックフォーカスであり、レンズ最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。レンズ全長は第1面から像面までの距離を表しており、非球面については、面番号の後に「*」の符号が付加されている。非球面形状は、Xを光軸方向における面頂点からの変位量、hを光軸に垂直な方向における光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、およびA12を各々非球面係数とするとき、以下の式(14)のように表される。
【0079】
【数1】
【0080】
また、各数値実施例において「e±Z」は、「10±Z」を意味している。また、第1の透過率分布フィルタまたは第2の透過率分布フィルタとなる薄膜が形成されている面は、面番号の後に「#」の符号が付加されている。
【0081】

[数値実施例1]
単位 mm
面番号 r d nd νd 有効径
1 171.349 3.69 1.72916 54.7 86.28
2 315.307 0.10 85.90
3 78.346 1.50 1.84666 23.8 82.39
4 64.874 1.41 79.74
5 70.368 16.30 1.43875 94.7 79.72
6 -757.514 (可変) 78.22
7 -258.801 1.20 1.72916 54.7 35.55
8# 254.643 1.93 35.08
9 -127.007 1.20 1.77250 49.6 35.05
10 43.860 3.36 1.84666 23.8 34.98
11 102.023 (可変) 34.92
12(絞り) ∞ 0.10 (可変)
13* 58.433 5.81 1.59522 67.7 37.05
14 -79.970 (可変) 37.14
15 -34.289 1.30 1.67270 32.2 35.81
16 62.745 7.66 1.82115 24.1 39.28
17 -76.778 (可変) 39.80
18 285.135 1.30 2.00330 28.3 40.63
19 60.130 9.68 1.49700 81.5 40.47
20 -54.028 0.10 40.88
21 124.906 8.01 1.64000 60.2 40.22
22 -46.918 1.30 2.05090 26.9 39.83
23# -106.154 1.30 39.97
24 55.510 5.48 1.77250 49.5 40.41
25 -859.505 (可変) 40.08
26 88.057 1.30 1.69680 55.5 33.02
27 26.056 (可変) 30.98
28 -1679.647 5.72 1.84666 23.8 34.45
29 -37.693 1.80 34.71
30* -21.585 1.50 1.83481 42.7 34.56
31 -268.552 (可変) 36.49
像面 ∞

非球面データ
第13面
K = 0.00000e+000 A 2=-2.69362e-003 A 4=-7.54795e-007 A 6= 1.00256e-009
A 8= 5.94054e-013 A10=-4.62545e-015 A12= 8.05827e-018

第30面
K = 0.00000e+000 A 2= 3.21675e-003 A 4= 1.45800e-005 A 6= 7.16401e-009
A 8= 6.04039e-011 A10=-1.28285e-013 A12= 3.10705e-016

各種データ
ズーム比 2.69

焦点距離 71.79 99.55 193.18 134.40
Fナンバー 2.00 2.30 2.85 2.85
半画角 16.77 12.26 6.39 9.14
像高 21.64 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 161.48 186.95 219.93 204.15
BF 15.67 20.48 31.62 25.58

d 6 2.22 27.68 60.66 44.88
d11 10.41 9.24 2.90 7.05
d14 9.57 12.42 18.01 14.80
d17 9.69 6.83 1.25 4.45
d25 13.80 10.48 1.19 6.78
d27 17.06 16.74 21.24 17.54
d31 15.67 20.48 31.62 25.58
絞り径 36.24 34.50 35.21 30.64

入射瞳位置 37.83 84.38 176.68 128.02
射出瞳位置 -48.57 -48.31 -49.67 -48.48
前側主点位置 29.38 39.89 -89.25 18.52
後側主点位置 -56.13 -79.06 -161.56 -108.82

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 153.43 23.00 2.55 -13.38
2 7 -53.34 7.69 2.94 -2.10
3 12 70.26 5.91 2.01 -1.79
4 15 -179.09 8.96 -9.86 -15.71
5 18 39.67 27.17 12.62 -4.36
6 26 -53.57 1.30 1.10 0.32
7 28 -142.27 9.02 10.21 4.24

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 509.20
2 3 -469.59
3 5 147.64
4 7 -175.86
5 9 -42.07
6 10 88.52
7 13 70.26
8 15 -32.78
9 16 43.12
10 18 -76.17
11 19 58.92
12 21 54.28
13 22 -80.92
14 24 67.67
15 26 -53.57
16 28 45.47
17 30 -33.21

[数値実施例2]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 104.942 1.30 1.86966 20.0 90.27
2 79.234 12.13 1.65160 58.5 87.06
3 303.715 0.10 85.55
4 51.546 13.02 1.49700 81.5 72.96
5 149.402 (可変) 70.23
6* 208.575 1.50 1.69760 55.5 48.50
7 19.463 14.60 32.65
8 -36.563 1.55 1.77250 49.5 28.10
9 60.537 4.77 1.84666 23.8 26.71
10 -52.991 0.92 26.33
11 -36.126 5.36 1.51823 59.0 26.37
12# -18.512 0.90 1.72916 54.7 27.35
13* -58.308 (可変) 30.80
14(絞り) ∞ 0.10 (可変)
15 39.081 8.52 1.72916 54.7 37.74
16 -104.888 2.07 37.51
17 45.043 4.13 1.49700 81.5 33.98
18* -147.467 3.64 33.27
19 -48.684 0.90 1.60342 38.0 32.96
20 22.871 6.85 1.49700 81.5 31.63
21 80.235 (可変) 31.69
22 36.225 7.17 1.43875 94.7 32.26
23 -87.726 0.10 32.01
24# 45.890 5.03 1.49700 81.5 30.47
25 -130.615 1.26 29.72
26 41.963 3.82 1.49700 81.5 29.19
27 686.053 0.90 1.74077 27.8 28.76
28 37.207 4.25 27.81
29* 832.714 2.44 1.77250 49.6 27.83
30* 147.990 6.91 29.63
31 110.622 1.83 1.54072 47.2 36.14
32 41.496 5.23 2.00069 25.5 38.09
33 203.967 (可変) 38.16
像面 ∞

非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 2=-3.71897e-004 A 4= 6.27271e-006 A 6=-8.57117e-009
A 8= 1.62559e-011 A10=-1.98668e-014 A12= 1.19772e-017

第13面
K = 0.00000e+000 A 2= 5.40669e-004 A 4=-1.56840e-006 A 6=-7.70007e-010
A 8=-2.01803e-011 A10= 7.98789e-014 A12=-1.28458e-016

第18面
K = 0.00000e+000 A 2= 2.81443e-003 A 4= 7.06431e-006 A 6=-1.99522e-009
A 8= 1.46036e-011 A10=-4.01085e-014 A12= 5.31333e-017

第29面
K = 0.00000e+000 A 2= 1.06565e-003 A 4=-6.40277e-005 A 6= 9.28190e-008
A 8= 8.11638e-011 A10=-6.94343e-013 A12= 1.01173e-015

第30面
K = 0.00000e+000 A 2= 5.80736e-003 A 4=-5.04130e-005 A 6= 1.34132e-007
A 8=-1.28824e-011 A10=-5.03715e-013 A12= 7.78051e-016

各種データ
ズーム比 2.36

焦点距離 28.91 50.03 68.11 35.02
Fナンバー 1.60 2.06 2.06 1.80
半画角 36.81 23.39 17.62 31.71
像高 21.64 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 157.90 171.01 179.46 162.01
BF 19.11 28.33 33.77 22.26

d 5 0.60 16.43 24.17 6.45
d13 11.73 3.87 0.11 8.71
d21 5.16 1.08 0.10 3.29
d33 19.11 28.33 33.77 22.26
絞り径 34.31 30.05 32.54 31.70

入射瞳位置 48.17 87.95 115.40 60.84
射出瞳位置 -81.95 -63.97 -60.65 -72.77
前側主点位置 68.81 110.86 134.38 82.96
後側主点位置 -9.80 -21.70 -34.34 -12.76

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 101.09 26.55 0.52 -15.90
2 6 -16.99 29.61 5.25 -16.69
3 14 47.73 26.20 -10.12 -23.42
4 22 40.35 38.95 2.83 -28.17

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -380.88
2 2 161.09
3 4 151.65
4 6 -30.37
5 8 -29.30
6 9 34.03
7 11 66.37
8 12 -36.45
9 15 40.05
10 17 86.29
11 19 -25.67
12 20 61.91
13 22 59.48
14 24 68.98
15 26 89.76
16 27 -53.14
17 29 -86.45
18 31 -123.96
19 32 51.23

[数値実施例3]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 104.942 1.30 1.86966 20.0 90.27
2 79.234 12.13 1.65160 58.5 87.06
3 303.715 0.10 85.55
4 51.546 13.02 1.49700 81.5 72.96
5 149.402 (可変) 70.23
6* 208.575 1.50 1.69760 55.5 48.50
7 19.463 14.60 32.65
8 -36.563 1.55 1.77250 49.5 28.10
9 60.537 4.77 1.84666 23.8 26.71
10 -52.991 0.92 26.33
11 -36.126 5.36 1.51823 59.0 26.37
12# -18.512 0.90 1.72916 54.7 27.35
13* -58.308 (可変) 30.80
14(絞り) ∞ 0.10 (可変)
15 39.081 8.52 1.72916 54.7 37.74
16 -104.888 2.07 37.51
17 45.043 4.13 1.49700 81.5 33.98
18* -147.467 3.64 33.27
19 -48.684 0.90 1.60342 38.0 32.96
20 22.871 6.85 1.49700 81.5 31.63
21 80.235 (可変) 31.69
22 36.225 7.17 1.43875 94.7 32.26
23 -87.726 0.10 32.01
24# 45.890 5.03 1.49700 81.5 30.47
25 -130.615 1.26 29.72
26 41.963 3.82 1.49700 81.5 29.19
27 686.053 0.90 1.74077 27.8 28.76
28 37.207 4.25 27.81
29* 832.714 2.44 1.77250 49.6 27.83
30* 147.990 6.91 29.63
31 110.622 1.83 1.54072 47.2 36.14
32 41.496 5.23 2.00069 25.5 38.09
33 203.967 (可変) 38.16
像面 ∞

非球面データ
第6面
K = 0.00000e+000 A 2=-3.71897e-004 A 4= 6.27271e-006 A 6=-8.57117e-009
A 8= 1.62559e-011 A10=-1.98668e-014 A12= 1.19772e-017

第14面
K = 0.00000e+000 A 2= 5.40669e-004 A 4=-1.56840e-006 A 6=-7.70007e-010
A 8=-2.01803e-011 A10= 7.98789e-014 A12=-1.28458e-016

第19面
K = 0.00000e+000 A 2= 2.81443e-003 A 4= 7.06431e-006 A 6=-1.99522e-009
A 8= 1.46036e-011 A10=-4.01085e-014 A12= 5.31333e-017

第31面
K = 0.00000e+000 A 2= 1.06565e-003 A 4=-6.40277e-005 A 6= 9.28190e-008
A 8= 8.11638e-011 A10=-6.94343e-013 A12= 1.01173e-015

第32面
K = 0.00000e+000 A 2= 5.80736e-003 A 4=-5.04130e-005 A 6= 1.34132e-007
A 8=-1.28824e-011 A10=-5.03715e-013 A12= 7.78051e-016

各種データ
ズーム比 1.94

焦点距離 35.02 50.03 68.11
Fナンバー 1.80 2.06 2.06
半画角 31.71 23.39 17.62
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 162.01 171.01 179.46
BF 22.26 28.33 33.77

d 5 6.45 16.43 24.17
d14 8.71 3.87 0.11
d22 3.29 1.08 0.10
d35 22.26 28.33 33.77
絞り径 31.70 30.05 32.54

入射瞳位置 60.84 87.95 115.40
射出瞳位置 -72.77 -63.97 -60.65
前側主点位置 82.96 110.86 134.38
後側主点位置 -12.76 -21.70 -34.34

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 101.09 26.55 0.52 -15.90
2 6 -16.99 29.61 5.25 -16.69
3 14 47.73 26.20 -10.12 -23.42
4 22 40.35 38.95 2.83 -28.17

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -380.88
2 2 161.09
3 4 151.65
4 6 -30.37
5 8 -29.30
6 9 34.03
7 11 66.37
8 12 -36.45
9 15 40.05
10 17 86.29
11 19 -25.67
12 20 61.91
13 22 59.48
14 24 68.98
15 26 89.76
16 27 -53.14
17 29 -86.45
18 31 -123.96
19 32 51.23

[数値実施例4]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 323.654 3.75 1.80610 33.3 117.25
2 114.714 19.50 1.49700 81.6 112.94
3 -763.351 (可変) 112.51
4 114.534 13.18 1.49700 81.6 100.36
5 2626.292 0.10 99.25
6 191.092 7.60 1.49700 81.6 94.70
7 -8920.216 (可変) 93.63
8 -260.615 5.73 1.84666 23.8 56.62
9 -92.162 1.80 1.49700 81.6 55.17
10 76.826 5.56 47.37
11# -216.058 1.65 1.59282 68.6 47.06
12 66.830 4.50 1.92280 20.9 46.40
13 132.044 9.00 45.93
14 -69.023 1.65 1.64769 33.8 45.73
15 233.669 (可変) 47.31
16 -745.442 5.21 1.77250 49.6 48.58
17 -105.316 0.23 49.45
18 129.555 11.69 1.59282 68.6 50.63
19 -74.461 1.73 1.90366 31.3 50.53
20 -239.613 (可変) 51.01
21(絞り) ∞ 3.00 50.98
22 82.257 5.66 1.59282 68.6 50.97
23 1945.842 5.57 50.54
24 -89.989 1.50 1.64769 33.8 49.84
25 174.108 0.23 49.91
26 96.630 5.20 1.59282 68.6 50.27
27 277.254 3.00 50.06
28# 112.165 9.30 2.00100 29.1 50.02
29 -125.332 2.40 1.64769 33.8 49.08
30 54.802 8.29 47.20
31 318.199 6.41 1.59282 68.6 49.01
32 -81.610 0.23 49.38
33 130.010 5.87 1.72916 54.7 49.30
34 -600.772 3.01 48.80
35 -88.488 1.65 1.80517 25.5 48.77
36 -198.464 (可変) 49.00
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.86
広角 中間 望遠
焦点距離 78.18 105.00 145.50
Fナンバー 1.87 1.87 1.87
半画角 15.47 11.64 8.46
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 300.20 300.19 300.18
BF 70.00 70.00 70.00

d 3 23.19 23.20 23.19
d 7 4.22 22.18 36.70
d15 23.40 15.65 3.96
d20 25.24 15.01 12.19
d36 70.00 70.00 70.00

入射瞳位置 140.52 190.77 247.62
射出瞳位置 -59.83 -59.83 -59.83
前側主点位置 171.62 210.85 230.06
後側主点位置 -8.19 -35.00 -75.50

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 2176.99 23.25 9.33 -5.87
2 4 149.05 20.88 3.32 -10.79
3 8 -39.72 29.88 14.54 -7.19
4 16 95.16 18.85 3.36 -8.07
5 21 94.17 61.29 26.39 -23.17

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -222.22
2 2 202.15
3 4 240.54
4 6 376.53
5 8 165.82
6 9 -84.01
7 11 -85.91
8 12 141.93
9 14 -82.09
10 16 158.20
11 18 81.50
12 19 -120.15
13 22 144.72
14 24 -91.39
15 26 247.55
16 28 60.31
17 29 -58.56
18 31 110.22
19 33 147.08
20 35 -199.66

[数値実施例5]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 138.118 3.00 1.63980 34.6 105.04
2 93.631 22.20 101.22
3 169.924 9.88 1.53775 74.7 100.42
4 -2141.488 0.10 99.99
5 94.404 5.48 1.60300 65.4 94.47
6 134.725 (可変) 93.65
7 59.735 2.00 1.80518 25.5 65.62
8 49.505 1.85 62.56
9 56.825 12.84 1.49690 81.5 62.53
10 -428.890 (可変) 60.83
11 -428.890 1.20 1.88300 40.8 33.09
12 37.159 8.22 30.40
13# -65.273 1.20 1.49690 81.5 29.52
14 43.778 4.17 1.85478 24.8 31.51
15 716.888 3.30 31.67
16 -42.989 0.90 1.61800 63.3 31.69
17 -64.768 (可変) 32.53
18 425.121 4.94 1.72916 54.7 38.96
19 -63.750 0.10 39.29
20 91.960 8.72 1.43387 95.1 39.05
21 -43.061 0.10 38.72
22 -43.612 1.60 1.80610 33.3 38.56
23 -112.951 (可変) 38.87
24(絞り) ∞ 1.50 33.20
25 38.466 2.68 1.80400 46.6 32.42
26 65.488 0.10 31.89
27 52.793 1.65 1.78800 47.5 31.63
28 73.458 1.14 31.14
29 194.137 0.90 1.74000 28.3 31.08
30 48.161 4.12 1.49700 81.5 29.95
31 -329.716 0.10 29.40
32 96.470 1.92 1.80518 25.5 28.44
33 748.837 0.90 1.57135 53.0 27.95
34 33.114 3.22 26.76
35 -303.958 0.90 1.72342 38.0 26.79
36 60.150 6.62 27.28
37 96.666 4.78 1.81600 46.6 31.78
38 -66.098 0.10 32.09
39 62.342 10.72 1.48749 70.4 31.99
40 -31.891 0.90 1.85135 40.1 31.12
41 56.929 6.40 31.64
42 44.285 3.33 1.90366 31.3 37.41
43 88.086 (可変) 37.27
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.88
広角 中間 望遠
焦点距離 72.00 135.00 100.00
Fナンバー 2.50 2.50 2.50
半画角 16.72 9.10 12.21
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 250.00 250.00 250.00
BF 40.00 40.00 40.00

d 6 14.46 42.45 15.39
d10 0.10 23.56 15.75
d17 16.78 0.10 9.37
d23 34.88 0.10 25.70
d43 40.00 40.00 40.00

入射瞳位置 121.88 235.25 178.46
射出瞳位置 -40.30 -40.30 -40.30
前側主点位置 129.32 143.30 153.93
後側主点位置 -32.00 -95.00 -60.00

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 285.81 40.66 34.00 1.22
2 7 138.92 16.70 2.98 -8.71
3 11 -30.36 18.99 2.60 -12.49
4 18 60.15 15.45 2.46 -7.59
5 24 137.57 51.98 -0.45 -40.75

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -466.63
2 3 293.20
3 5 497.67
4 7 -393.33
5 9 101.87
6 11 -38.68
7 13 -52.54
8 14 54.39
9 16 -210.18
10 18 76.35
11 20 68.94
12 22 -89.05
13 25 111.04
14 27 230.06
15 29 -86.78
16 30 84.86
17 32 137.35
18 33 -60.67
19 35 -69.34
20 37 48.75
21 39 44.96
22 40 -23.90
23 42 95.12

また、各数値実施例について条件式(1)乃至(5)、条件式(6-1)、条件式(6-2)、および条件式(7)に相当する数値を以下の表1に示す。なお、表1に示されている数値は、全て無限遠物体に合焦したときの値である。表1において、ヴィネッティングの傾きの最小値とは、図8に示されるようなヴィネッティングのプロットにおいて、広角端および望遠端でのヴィネッティングの傾きのなかで最小となる値であり、0に近いほうが好ましい。
【0082】
【表1】
【0083】
図9は、実施例1~3における、メリジオナル断面における軸上の射出瞳の透過率分布と約7割像高に相当する像高15mmの位置での透過率分布を示す図である。図10は、実施例4、5における、メリジオナル断面における軸上の射出瞳の透過率分布と約7割像高に相当する像高15mmの位置での透過率分布を示す図である。なお、像高15mm位置については、図1乃至図5における上側の位置である。各図において、横軸はメリジオナル断面における射出瞳の幅を1として、図1乃至図5における下側を0、上側を1として規格化した瞳上の位置であり、縦軸は最大透過率を1として規格化した規格化透過率である。また、図9図10の凡例において、最初の3文字は実施例の番号と対応しており、例えばEx1は実施例1を表す。4文字目は広角端か望遠端かを示しており、Wは広角端、Tは望遠端を表す。5文字目は像高を表しており、0は光軸上、7は約7割像高に相当する像高15mm位置を表す。また、図9および図10に示されるように、各実施例において端部の透過率が十分に小さくなっており、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得られている。また、透過率最大となる位置も中心付近にあり、均一性も高く、軸上と軸外での差も小さい。また、実施例1乃至5それぞれにおいて示されている透過率分布と光学系(撮像光学系)とは前述の組み合わせに限定されるものではない。
【0084】
次に、図7を参照して、各実施例の光学系を適用可能な光学機器について説明する。図7は、光学機器としての撮像装置1000の概略図である。本実施例の撮像装置1000は、カメラ本体1001と、実施例1乃至5のいずれか一つの光学系(変倍光学系)1002と、光学系1002によって形成される像を受光する受光素子(撮像素子)1003とを備える。
【0085】
撮像装置1000は、各実施例のいずれかの光学素子を有するため、アポダイゼーション効果の変化を低減した画像を得ることができる。なお、受光素子1003は、CMOS(Complementaly Metal Oxide Semiconductor)センサまたはCCD(Charge Coupled Device)センサなどの光電変換素子である。ただし受光素子1003は、これに限定されるものではなく、有機薄膜撮像素子または感光性フィルムなどを用いてもよい。また、レンズ交換式カメラと交換レンズのように、光学系1002とカメラ本体1001は分離可能であってもよい。なお各実施例の光学系は、図7に示される撮像装置(カメラ)に限定されるものではなく、双眼鏡、単眼鏡、望遠鏡等の種々の光学機器に適用することができる。
【0086】
各実施例によれば、ズーム全域で均一かつ良好なアポダイゼーション効果を得るとともに、周辺減光を抑制した変倍光学系および光学機器を提供することができる。
【0087】
各実施例の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、第1の透過率分布を有する第1の光学素子と、開口絞りと、第2の透過率分布を有する第2の光学素子とを有する変倍光学系であって、
前記開口絞りを開放した状態において、広角端での前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1wax、T2waxとするとき、
0.30≦T1wax/T2wax≦1.50
なる条件式を満足することを特徴とする変倍光学系。
(構成2)
前記開口絞りの物体側に配置された正のパワーの正レンズ群と、前記開口絞りの像側に配置された負のパワーの負レンズ群とを有し、
前記第1の光学素子は、前記正レンズ群の最も像側の面と前記開口絞りとの間に配置されていることを特徴とする構成1に記載の変倍光学系。
(構成3)
広角端において、前記変倍光学系の焦点距離をfw、F値をFw、最大像高をHとするとき、
0.25≦fw/Fw/H≦15.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載の変倍光学系。
(構成4)
前記変倍光学系の変倍比をβとするとき、
1.0≦β≦5.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の変倍光学系。
(構成5)
広角端および望遠端での入射瞳位置から前記負レンズ群の最も物体側の面までの光軸上での距離をそれぞれL1w、L1t、広角端および望遠端での前記変倍光学系の焦点距離をそれぞれfw、ft、広角端および望遠端でのF値の平均値をFaveとするとき、
0.00≦L1w/fw×[(L1t/ft)/(L1w/fw)]×Fave≦4.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成2に記載の変倍光学系。
(構成6)
メリジオナル断面において、前記第1の光学素子の位置における広角端および望遠端での最軸外光束の光束幅をそれぞれwwouter、wtouter、メリジオナル断面において、広角端および望遠端での軸上光束と最軸外光束との重複範囲における光軸に垂直な方向の距離をそれぞれwwrap、wtrapとするとき、
0.50≦wwrap/wwouter≦1.00
0.50≦wtrap/wtouter≦1.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の変倍光学系。
(構成7)
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の規格化半径rにおける規格化透過率の傾きをそれぞれDf1(r)、Df2(r)とするとき、
-15.0≦Df1’(r)≦1.0
-15.0≦Df2’(r)≦1.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の変倍光学系。
(構成8)
0.000≦Df1(1)≦0.150
0.000≦Df2(1)≦0.150
なる条件式を満足することを特徴とする構成7に記載の変倍光学系。
(構成9)
広角端での前記開口絞りと像面との間の光軸方向の距離をLwr、前記変倍光学系のうち最も像側に配置されたレンズ群に対する、前記開口絞りを含むレンズ群よりも像面側に配置されたレンズ群の、変倍に伴う移動量の絶対値の最大値をΔdmaxとするとき、
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.20
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載の変倍光学系。
(構成10)
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、第5レンズ群、第6レンズ群、および第7レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第2レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第5レンズ群に含まれていることを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の変倍光学系。
(構成11)
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、および第4レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第2レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第4レンズ群に含まれていることを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の変倍光学系。
(構成12)
前記第1レンズ群および前記第4レンズ群は、変倍に際して移動することを特徴とする構成11に記載の変倍光学系。
(構成13)
前記第1レンズ群および前記第4レンズ群は、変倍に際して移動しないことを特徴とする構成11に記載の変倍光学系。
(構成14)
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、および第5レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第3レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第5レンズ群に含まれていることを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の変倍光学系。
(構成15)
前記第1レンズ群および前記第5レンズ群は、変倍に際して移動しないことを特徴とする構成14に記載の変倍光学系。
(構成16)
構成1乃至15のいずれかに記載の変倍光学系と、該光学系によって形成される像を受光する受光素子を有することを特徴とする光学機器。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
100、200、300、400、500 光学系(変倍光学系)
121、221,321、421、521 レンズ(第1の光学素子)
122、222、322、422、522 レンズ(第2の光学素子)
SP メカニカル絞り(開口絞り)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10