IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-誘導システム 図1
  • 特開-誘導システム 図2
  • 特開-誘導システム 図3
  • 特開-誘導システム 図4
  • 特開-誘導システム 図5
  • 特開-誘導システム 図6
  • 特開-誘導システム 図7
  • 特開-誘導システム 図8
  • 特開-誘導システム 図9
  • 特開-誘導システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170265
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
G05D1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081877
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301GG17
5H301KK02
5H301KK04
5H301LL03
5H301LL06
(57)【要約】
【課題】無人飛行体を使用して、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することができるようにすること。
【解決手段】有人搬送車1は、有人搬送車1が後進するときに、オペレータOの顔の方向を検出する顔方向判定部12を備えている。管理装置3は、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間に誘導路4を生成する誘導路生成部31と、誘導路4上で複数台の無人飛行体2が空中停止する空中停止位置を決定する配置決定部32と、を備えている。誘導路生成部31は、オペレータOの顔の方向に応じて、誘導路4の位置を決定するよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが操作する有人搬送車と、
空中停止可能な複数台の無人飛行体と、
前記無人飛行体を制御する管理装置と、を備える誘導システムであって、
前記有人搬送車は、有人搬送車が後進するときに、前記オペレータの顔の方向を判定する顔方向判定部を備え、
前記管理装置は、
前記有人搬送車の車両位置と荷役位置との間に誘導路を生成する誘導路生成部と、
前記誘導路上で前記複数台の無人飛行体が空中停止する位置を決定する配置決定部と、を備え、
前記誘導路生成部は、前記オペレータの顔の方向に応じて、前記誘導路の位置を決定するよう構成されている
ことを特徴とする誘導システム。
【請求項2】
前記誘導路生成部は、対向する棚の間に通路が形成されているとき、前記通路における前記オペレータの顔の方向の側に沿って前記誘導路を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記顔方向判定部は、前記オペレータが把持したことを感知するセンサを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項4】
前記顔方向判定部は、前記オペレータの顔を撮影するカメラを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記配置決定部は、前記無人飛行体が前記荷役位置の高さに配置されるよう前記無人飛行体の空中停止位置を決定する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の誘導システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、前記無人飛行体が発光するように制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の誘導システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、前記無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の誘導システム。
【請求項8】
前記配置決定部は、前記有人搬送車を操作するオペレータの目に相当する高さと前記荷役位置の高さとを結ぶ直線上に前記無人飛行体の空中停止位置を決定する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の誘導システム。
【請求項9】
前記管理装置は、前記無人飛行体が路面に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の誘導システム。
【請求項10】
前記管理装置は、前記無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備え、
前記配置決定部は、前記有人搬送車と、前記有人搬送車に最も近い前記無人飛行体との間の距離が所定長さになるように前記無人飛行体を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項11】
前記管理装置は、前記無人飛行体が路面又は天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備え、
前記無人飛行体の高さに応じて前記誘導画像のピントを調整するフォーカス調整を行うように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人搬送車と無人飛行体とを備えた誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の施設内で使用される有人搬送車(例えば、フォークリフト)は、オペレータが搭乗及び操作することで動作するように構成されている。フォークリフトは、フォークを使って荷物を荷取り及び荷置きする荷役を行うように構成されている。
【0003】
ところで、オペレータが操作する有人搬送車と、空中停止可能な一台の無人飛行体と、無人飛行体を制御する管理装置と、を備える誘導システムが知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
誘導システムにおいて、無人飛行体は、路面に対して誘導画像を投影するプロジェクタを備えている。誘導画像は、例えば、特定した方向を指し示す矢印が表示されており、有人搬送車の前方の路面に投影される。これにより、有人搬送車を操作中のオペレータは、誘導画像を確認することで、荷役位置に誘導されるように構成されている。
【0005】
ところで、従来の誘導システムでは、一台の無人飛行体が投影する1つの誘導画像に基づいて有人搬送車を誘導するので、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-52629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、有人搬送車を誘導するための無人飛行体を複数台使用して、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することができる誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る誘導システムは、オペレータが操作する有人搬送車と、空中停止可能な複数台の無人飛行体と、無人飛行体を制御する管理装置と、を備えている。有人搬送車は、有人搬送車が後進するときに、オペレータの顔の方向を判定する顔方向判定部を備えている。管理装置は、有人搬送車の車両位置と荷役位置との間に誘導路を生成する誘導路生成部と、誘導路上で複数台の無人飛行体が空中停止する位置を決定する配置決定部と、を備えている。誘導路生成部は、オペレータの顔の方向に応じて、誘導路の位置を決定するよう構成されている。
【0009】
誘導路生成部は、対向する棚の間に通路が形成されているとき、通路におけるオペレータの顔の方向の側に沿って誘導路を決定することが望ましい。
【0010】
好ましくは、顔方向判定部は、オペレータが把持したことを感知するセンサを備える。
【0011】
また、顔方向判定部は、オペレータの顔を撮影するカメラを備えていてもよい。
【0012】
また、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定してもよい。
【0013】
好ましくは、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定する。また、管理装置は、荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、無人飛行体が発光するように制御する。
【0014】
好ましくは、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定する。また、管理装置は、荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える。
【0015】
配置決定部は、有人搬送車を操作するオペレータの目の高さと荷役位置の高さとを結ぶ直線上に無人飛行体の空中停止位置を決定することが望ましい。
【0016】
配置決定部は、有人搬送車を操作するオペレータの目に相当する高さと荷役位置の高さとを結ぶ直線上に無人飛行体の空中停止位置を決定してもよい。さらに、管理装置は、無人飛行体が路面に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える。
【0017】
好ましくは、管理装置は、無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備えている。さらに、配置決定部は、有人搬送車と、有人搬送車に最も近い無人飛行体との間の距離が所定長さになるように無人飛行体を制御する。
【0018】
また、管理装置は、無人飛行体が路面又は天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備えており、無人飛行体の高さに応じて誘導画像のピントを調整するフォーカス調整を行うように制御してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る誘導システムは、有人搬送車の車両位置と荷役位置との間で生成された誘導路上に複数台の無人飛行体を空中停止することによって、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離、位置及び方向等を直感的に認識することができる。
【0020】
さらに、荷役スケジュールに応じて、誘導路から回避する無人飛行体が飛行する位置を適切な位置に決定することで、無人飛行体が飛行する時間を抑制することができるので、無人飛行体の消費電力及び部品の故障等を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】誘導システムを示す斜視図。
図2】誘導システムを示す側面図。
図3】誘導システムを示す平面図。
図4】誘導システムを示すブロック図。
図5】他の実施形態1の誘導システムを示す側面図。
図6】他の実施形態2の誘導システムを示す側面図。
図7】他の実施形態3の誘導システムを示す側面図。
図8】他の実施形態4の誘導システムを示す側面図。
図9】他の実施形態5の誘導システムを示す側面図。
図10】他の実施形態6の誘導システムを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明に係る誘導システムの実施形態を説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1図4のとおり、誘導システムSは、オペレータOが操作する有人搬送車1を備える。有人搬送車1は、オペレータOが操作することで動作するように構成されている。本実施形態では、有人搬送車1は、カウンタバランス式のフォークリフトであって、オペレータOが操作することで、車体の走行、及びフォークの昇降を行うことができるように構成されている。
【0024】
誘導システムSは、工場や倉庫等の施設内に設置された複数の棚Rを備えている。棚Rは、高さ方向に複数の段部を備えており、段部の所定位置に荷物Lを収納できるように構成されている。有人搬送車1は、棚Rの所定位置に対して荷物Lを荷置き及び荷取りして荷役を行う。棚Rは、有人搬送車1が走行及び荷役を行うことができるように、所定幅の間隔を置いて配置されており、対向する棚Rの間に通路Pが形成されている(図3)。
【0025】
誘導システムSは、空中停止可能な複数台の無人飛行体2を備える。無人飛行体2は、ドローンと呼ばれており、複数本のアームの各先端側に設けられた回転翼の回転によって、所定の空中停止位置まで飛行すると共に、所定の空中停止位置でホバリング可能なように構成されている。
【0026】
誘導システムSは、無人飛行体2を制御するための管理装置3を備える(図4)。管理装置3は、記憶部30を備えている。記憶部30は、施設内に設置された棚R及び通路P、施設内に配置された荷物L等によって構成されるマップMが記憶されている。
【0027】
さらに、記憶部30は、有人搬送車1によって行われる単数または複数の荷役タスクTが荷役スケジュールJとして記憶されている。即ち、荷役スケジュールJは、所定の棚Rの所定場所から荷物Lを荷取りする荷役タスクT1、所定の棚Rの所定場所に荷物Lを荷置きする荷役タスクT2、出荷場所に荷物Lを荷置きする荷役タスクT3、入荷場所から荷物Lを荷取りする荷役タスクT4等の単数または複数の荷役タスクTが、所定の順序に従って設定されている。また、荷役タスクTは、荷物Lの位置情報、荷物Lに対する荷役(荷取り又は荷置き)情報が含まれている。
【0028】
管理装置3は、荷役指示部34を備えており、荷役指示部34が、記憶部30から送信される荷役スケジュールJの荷役タスクTを有人搬送車1の運転席に設けられた表示部11に表示するように構成されている。
【0029】
表示部11は、例えば、タッチパネルディスプレイで構成されており、荷役指示部34は、有人搬送車1が行うべき荷役タスクTを表示部11に表示する。オペレータOは、表示部11に表示された荷役タスクTに従って、有人搬送車1を操作して荷役を行う。荷役タスクTが終了すると、オペレータOは、表示部11に表示された終了ボタン(不図示)を押して、終了信号が荷役指示部34に送信される。荷役指示部34は、終了信号を受信すると、荷役スケジュールJに基づいて、次に有人搬送車1が行うべき荷役タスク(次の荷役タスク)Tを表示部11に表示するように構成されている。
【0030】
有人搬送車1は、位置検出部10を備えている。位置検出部10は、レーザーセンサ、GPSセンサ、電磁誘導センサ等で構成されている。位置検出部10は、有人搬送車1の車両位置D1を検出するように構成されている。
【0031】
管理装置3は、誘導路生成部31を備えている。誘導路生成部31は、位置検出部10から送信される有人搬送車1の車両位置D1の情報と、記憶部30から送信される施設マップMと、記憶部30から送信される荷役スケジュールJの荷役タスクTとに基づいて、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間の誘導路4を生成する。荷役位置D2は、荷役タスクTにおいて有人搬送車1が荷取り及び荷置きする通路P上の位置である(図3)。
【0032】
図3のとおり、誘導路生成部31は、例えば、車両位置D1と荷役位置D2とを通路P上で結ぶ誘導路4を生成するように構成されている。誘導路4は、例えば、有人搬送車1の走行距離が最短となるよう設定される。本実施形態では、図3のとおり、誘導路4は、第1直線部41、屈曲部40、第2直線部42で構成されている。
【0033】
有人搬送車1が荷物Lを搬送するとき、有人搬送車1の前方に配置されたフォークで荷物Lを保持することから、荷物Lが高さ方向に長い場合、オペレータOは、荷物Lによって前方が見えなくなるので、有人搬送車1の後側を向いて、有人搬送車1を後進するように走行する(図1及び図2)。
【0034】
有人搬送車1は、有人搬送車1が後進しているか否かを判定するための後進判定部13を備えている。後進判定部13は、有人搬送車1の運転席に設けられた前後進切換レバー(不図示)の傾き方向に基づいて、有人搬送車1が後進しているか否かを判定するように構成されている。
【0035】
有人搬送車1は、有人搬送車1が後進するときに、オペレータOの顔が左右方向のどちらを向いているかを判定する顔方向判定部12を備えている。本実施形態では、顔方向判定部12は、オペレータOが把持したか否かを感知する感知センサを備えており、感知センサは、有人搬送車1の後部の左右に立設された一対のリアピラーに設けられている(図1)。なお、リアピラーに、オペレータOが把持して姿勢を維持しやすいようにグリップ部が設けられている場合、感知センサはグリップ部に設けられている。そして、顔方向判定部12は、左右のどちらのリアピラーの感知センサ12がオペレータOによって把持されたかを感知することで、オペレータOの顔の方向を判定する。
【0036】
即ち、有人搬送車1の右側のリアピラーに設けられた感知センサ12がオペレータOによって握られたときは、顔方向判定部12は、オペレータOの顔が右方向を向いていると判定する一方、有人搬送車1の左側のリアピラーに設けられた感知センサ12がオペレータOによって握られたときは、顔方向判定部12は、オペレータOの顔が左方向を向いていると判定する。
【0037】
他の実施形態において、顔方向判定部12は、オペレータOの顔を撮影して顔の方向を判定するカメラを備えていてもよい。カメラは、CCDカメラ、CMOSカメラ等のイメージカメラからなる。顔方向判定部12は、顔の輪郭、目、鼻の形状等に基づいて、顔の方向を判定するアルゴリズムを記憶しており、カメラが、オペレータOの顔を撮影し、撮影画像及びアルゴリズムに基づいて、顔の方向を判定するように構成されている。
【0038】
誘導路生成部31は、顔方向判定部12によって判定されたオペレータOの顔の方向の判定結果を受信する。誘導路生成部31は、受信したオペレータOの顔の方向に応じて、誘導路4の位置を決定する。誘導路生成部31は、対向する棚Rの間に通路Pが形成されているとき、通路Pにおける中央線CLに対して、オペレータOの顔の方向の側に誘導路4の位置を決定する。
【0039】
即ち、通路Pの左右側に一対の棚Rが配置されているので、有人搬送車1が通路Pを後進するときに、有人搬送車1の左右側に棚Rが配置されている。そして、誘導路生成部31は、オペレータOの顔が右側を向いているとき、通路Pにおける中央線CLの右側に沿って誘導路4の位置を決定する一方、オペレータOの顔が左側を向いているとき、通路Pにおける中央線CLの左側に沿って誘導路4の位置を決定する。
【0040】
無人飛行体2は、位置検出部20を備えている。位置検出部20は、GPSセンサ、ジャイロセンサ、超音波センサ、レーザーセンサ、気圧センサ、コンパス、加速度センサ等で構成されており、無人飛行体2の位置を検出することができる。
【0041】
無人飛行体2は、飛行制御部21を備えている。飛行制御部21は、回転翼の回転を制御するように構成されている。無人飛行体2は、位置検出部20の検出結果と飛行制御部21の制御とに基づいて、誘導路4上の所定の空中停止位置まで飛行して、空中停止位置で空中停止するようにホバリングすることができる。
【0042】
上記の通り、有人搬送車1が通路Pを後進するときに、オペレータOの顔の方向に応じて、通路Pにおける誘導路4の位置が決定される。即ち、図1及び図3の通り、オペレータOの顔が右側を向いているとき、通路Pにおける有人搬送車1の右側に沿って誘導路4の位置が決定される一方、オペレータOの顔が左側を向いているとき、通路Pにおける有人搬送車1の左側に沿って誘導路4の位置が決定される。
【0043】
有人搬送車1が後進する際、オペレータOの顔が右側を向いているとき、通路Pの右側は視認し易いが、通路Pの左側は視認し難く、また、オペレータOの顔が左側を向いているとき、通路Pの左側は視認し易いが、通路Pの右側は視認し難い。オペレータOの顔の方向に応じて、通路Pにおける誘導路4の位置が決定されるので、オペレータOが視認し易い位置に無人飛行体2が配置される。特に、有人搬送車1が後進するとき、オペレータOは運転が非常に難しいが、視認し易い位置に無人飛行体2を配置することで、オペレータOは安全かつ容易に有人搬送車1を操作することができる。
【0044】
管理装置3は、配置決定部32を備えている。配置決定部32は、無人飛行体2の台数を誘導路4の距離に応じて決定するように構成されている。
【0045】
配置決定部32は、例えば、無人飛行体2が誘導路4上に等間隔に配置されるようにする場合、誘導路4が長距離のときは、多数の無人飛行体2が配置されるように決定する一方、誘導路4が短距離のときは、少数の無人飛行体2が配置されるように決定する。
【0046】
即ち、配置決定部32は、例えば、無人飛行体2が誘導路4上に2m間隔に配置されるようにする場合、誘導路4が50mのときは、25台の無人飛行体2が配置されるように決定する一方、誘導路4が20mのときは、10台の無人飛行体2が配置されるように決定する。
【0047】
誘導路4上に無人飛行体2が等間隔に配置されることによって、オペレータOは、無人飛行体2の台数を確認するだけで、誘導路4の距離を素早く把握することができる。それにより、オペレータOは、有人搬送車1の速度を調整したり、荷役作業の準備を素早く行ったりすることができる。
【0048】
また、無人飛行体2は等間隔に配置される必要はなく、例えば、荷役位置D2から遠い誘導路4の第1直線部41では長い間隔で配置されて、荷役位置D2に近い誘導路4の第2直線部42では短い間隔で配置されるように、無人飛行体2の台数が決定されてもよい。これは第1の理由として、荷役位置D2に近い誘導路4の第2直線部42では短い間隔で無人飛行体2を配置することにより、オペレータOは荷役位置D2が近いことを直感的に知ることができ、有人搬送車1の速度を落とすなど、荷役作業の準備に入り易くするためである。また第2の理由として、有人搬送車1が荷役位置D2に近づいてくるとオペレータOは徐々に有人搬送車1の速度を落としてくるため、無人飛行体2の間隔を短くすることでオペレータOが誘導画像200を近くで確認し易くするためである。
【0049】
配置決定部32は、さらに、誘導路4上で無人飛行体2がホバリングする空中停止位置を決定するよう構成されている。図3のとおり、本実施形態では、無人飛行体2は、誘導路4の第1直線部41及び第2直線部42上で等間隔に空中停止してホバリングすると共に、誘導路4の屈曲部40上に配置される屈曲位置D3、誘導路4上に配置される荷役位置D2で空中停止してホバリングする。
【0050】
誘導路4上の屈曲位置D3は、有人搬送車1が曲がる重要な位置であることから、屈曲位置D3に無人飛行体2が空中停止してホバリングすることで、オペレータOは、重要な位置である屈曲位置D3を素早く把握することができる。また、誘導路4上の荷役位置D2は、有人搬送車1が荷役作業を行う重要な位置であることから、荷役位置D2に無人飛行体2が空中停止してホバリングすることで、オペレータOは、重要な位置である荷役位置D2を素早く把握することができる。
【0051】
無人飛行体2は、記憶部22を備えている。記憶部22は、誘導画像200を記憶している。誘導画像200は、例えば、有人搬送車1を荷役位置D2に誘導するための矢印等で構成されており、荷役位置D2に応じて矢印の向きが異なるように構成されている(図3)。
【0052】
無人飛行体2は、投影部23を備えている。投影部23は、例えば、プロジェクタ等で構成されており、施設の通路Pに、記憶部22に記憶された誘導画像200を投影することができる(図2及び図3)。
【0053】
管理装置3は、投影指示部33を備えている。投影指示部33は、誘導路生成部31からの誘導路4に応じて、路面Pに投影すべき誘導画像200を決定して、無人飛行体2の投影部23に投影の指示を送るよう構成されている。
【0054】
オペレータOは、通路P上に投影された誘導画像200を目視し、誘導画像200に沿って有人搬送車1を荷役位置D2まで走行して、表示部11に表示された荷役タスクTに従って有人搬送車1を操作して荷物Lに対して荷役作業を行うことができる。
【0055】
誘導システムSでは、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間で生成された誘導路4上に複数台の無人飛行体2を空中停止してホバリングすることによって、有人搬送車1を操作するオペレータOが、荷役位置D2までの距離及び方向等を直感的に認識することができる。
【0056】
<他の実施例>
図5図10に基づいて、誘導システムSにおける他の実施例を説明する。
なお、上記第1実施形態と同様の構成については、重複説明を避けるために省略することがある。
【0057】
(他の実施例1)
図5のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。即ち、管理装置3の記憶部30は、荷役スケジュールJの各荷役タスクTの荷役位置D2の高さ位置が記憶されている。荷役位置D2の高さ位置とは、各荷役タスクTで荷役される荷物Lの高さである。有人搬送車1によって、荷役位置D2の高さ位置で荷物Lに対して荷取り・荷置きの荷役が行われる。配置決定部32は、各荷役タスクTの荷役位置D2の高さ位置に相当する高さで無人飛行体2がホバリングして空中停止するように構成されている。
【0058】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から通路P上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行するが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0059】
(他の実施例2)
図6のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、発光装置(不図示)を備えており、オペレータOが無人飛行体2の位置を容易に認識できるように発光するよう構成されている。
【0060】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接する低い位置で空中停止しているため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOが認識することが難しいことから、無人飛行体2が発光して、その結果、オペレータOが誘導路4を確実に認識することができる。
【0061】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0062】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0063】
(他の実施例3)
図7のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の天井Cに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0064】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接して低い位置で空中停止しているため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOは認識することが難しいことから、無人飛行体2が天井C上に誘導画像200を投影することで、オペレータOが誘導路4を確実に認識することができる。
【0065】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0066】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から天井C上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0067】
(他の実施例4)
図8のとおり、管理装置3の配置決定部32は、有人搬送車1を操作するオペレータOの目の高さと荷役位置D2の高さ位置とを結ぶ直線OS上に無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、発光装置(不図示)を備えており、オペレータOが無人飛行体2の位置を容易に認識できるように発光するよう構成されている。
【0068】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0069】
(他の実施例5)
図9のとおり、管理装置3の配置決定部32は、有人搬送車1を操作するオペレータOの目の高さと荷役位置D2の高さ位置とを結ぶ直線OS上に無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の通路Pに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0070】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0071】
また、オペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することができるので、誘導画像200は、荷役位置D2の方向を指す矢印で構成する必要がなく、その他の、例えば、荷役されるべき荷物Lの種類等を表示することができる。従って、オペレータOは、荷物Lの種類等に応じて、荷取り及び荷置きを行うための準備ができる。
【0072】
(他の実施例6)
図10のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の天井Cに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0073】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接した低い位置であるため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOが認識することが難しいことから、投影指示部33は、無人飛行体2が天井C上に誘導画像200を投影するように制御する。
【0074】
さらに、有人搬送車1と、有人搬送車1に最も近い誘導画像200との間の距離Xが短いと、有人搬送車1を操作するオペレータOの視線が大きな角度で上方に向いて危険であることから、配置決定部32は、有人搬送車1と、有人搬送車1に最も近い誘導画像200との間の距離Xが所定長さとなって、オペレータOの視線が大きな角度で上方を向かないよう制御する。
【0075】
距離Xは、予め設定された一定長さでも良く、例えば、有人搬送車1の速度が所定速度より速いときは長くなり、所定速度より遅いときは短くなる等、有人搬送車1の速度に応じて変更されても良い。それによって、有人搬送車1を操作するオペレータOの視線が小さな角度で上方に向くので、有人搬送車1を安全に走行することができる。
【0076】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0077】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から天井C上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行するが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0078】
(他の実施例7)
管理装置3の投影指示部33は、無人飛行体2が路面P又は天井Cに向けて誘導画像200を投影するときに、無人飛行体2の空中停止位置の高さに応じて、誘導画像200が路面P又は天井Cに鮮明に投影されるようピントを調整するフォーカス調整を行うように制御してもよい。
【0079】
フォーカス調整によって誘導画像200が路面P又は天井Cに鮮明に投影されることで、オペレータOは、誘導画像200を確実に認識することでき、それにより、有人搬送車1を適切に走行及び操作することができる。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
【0081】
上記実施形態では、無人飛行体2は、通路P又は天井C上に誘導画像200を投影したり、自機を発光したりして、オペレータOの視覚によって誘導路4が認識されるように構成されているが、音声、ブザー、チャイム等の音を発する音声発生部(不図示)を備えており、オペレータOの聴覚によって誘導路4が認識されるように構成されてもよい。音声発生部は、例えば、「15m先を左折です」、「30m先、目的地です」、「この先、障害物あり。ご注意ください」等の音声を発するよう構成されている。
【0082】
本発明の効果について説明する。
【0083】
誘導システムSでは、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間で生成された誘導路4上に複数台の無人飛行体2を空中停止することによって、有人搬送車1を操作するオペレータOが荷役位置D2までの距離、位置及び方向等を直感的に認識することができる。
【0084】
さらに、オペレータOの顔の方向に応じて、通路Pにおける誘導路4の位置が決定されるので、オペレータOが視認し易い位置に無人飛行体2が配置される。特に、有人搬送車1が後進するとき、オペレータOは運転が非常に難しいが、視認し易い位置に無人飛行体2を配置することで、オペレータOは安全かつ容易に有人搬送車1を操作することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 有人搬送車
2 無人飛行体
3 管理装置
4 誘導路
12 顔方向判定部
13 後進判定部
S 誘導システム
31 誘導路生成部
32 配置決定部
33 撮影指示部
200 誘導画像
D1 車両位置
D2 荷役位置
R 棚
P 路面
C 天井
O オペレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10