(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170273
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】情報提示装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231124BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20231124BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G01C21/26 C
G09B29/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081891
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪 銘蔚
(72)【発明者】
【氏名】小玉 亮
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和浩
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HC08
2C032HC17
2C032HC27
2F129AA03
2F129EE78
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF62
2F129FF72
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF33
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】コーナが連続する走行路において、乗員に対して安心感を与えることが可能な情報提示装置を提供する。
【解決手段】情報提示装置としての車載器10は、車両20の進行方向の道路における道路情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記道路情報を基に前記進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成する生成部と、前記生成部で生成された少なくとも2以上の前記コーナにおける前記コーナ情報をまとめて、車両20の乗員に提供する提供部と、を含んでいる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向の道路における道路情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記道路情報を基に前記進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成する生成部と、
前記生成部で生成された少なくとも2以上の前記コーナにおける前記コーナ情報をまとめて、前記車両の乗員に提供する提供部と、
を含む情報提示装置。
【請求項2】
前記提供部は、
前記乗員である運転者の運転技量レベルに基づいて、前記コーナ情報の内容及び量の少なくとも一方を変化させる請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記取得部は、
前記車両に搭載されたセンサから検知情報を取得し、
前記生成部は、
前記検知情報及び前記道路情報に基づいて前記コーナ情報を生成する請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記生成部は、
前記コーナに危険箇所がある場合、前記危険箇所における運転操作の注意を促す指示語を生成する請求項1~3の何れか1項に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記生成部は、
連続する前記コーナの形状に応じて、前記道路の走行ラインを指示する指示語を生成する請求項1~3の何れか1項に記載の情報提示装置。
【請求項6】
車両の進行方向の道路における道路情報を取得し、
取得された前記道路情報を基に前記進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成し、
生成された少なくとも2以上の前記コーナにおける前記コーナ情報をまとめて、前記車両の乗員に提供する
処理をコンピュータが実行する情報提示方法。
【請求項7】
車両の進行方向の道路における道路情報を取得し、
取得された前記道路情報を基に前記進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成し、
生成された少なくとも2以上の前記コーナにおける前記コーナ情報をまとめて、前記車両の乗員に提供する
処理をコンピュータに実行させる情報提示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示装置、情報提示方法、及び情報提示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のナビゲーションシステムの種類は数多く存在する。例えば、特許文献1に記載される開示の技術のように、道路の状況に応じた適切な車速及びステアリングの舵角を判断するための情報を乗員に提供するシステムがある。また例えば、特許文献2に記載される開示の技術では、走行路案内において複数の連続した危険箇所を示す。当該開示の技術は、例えば、「前方にUターンあり」や、「左折先に横断歩道あり」などの危険箇所の種類と有無の情報を乗員に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4599932号公報
【特許文献2】特開2004-132897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される開示の技術では、コーナの形状が1つずつ表示されるのみであり、コーナが連続する走行路において、乗員がコーナのさらに先のコーナを予測できなければ不安に感じる虞がある。また、特許文献2に記載される開示の技術では、危険箇所の種類と有無が表示されるのみであり、どのくらいのコーナでどのようなハンドル操作をすべきか等、具体的な内容は表示されず、乗員が不安に感じる虞がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、コーナが連続する走行路において、乗員に対して安心感を与えることが可能な情報提示装置、情報提示方法、及び情報提示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の情報提示装置は、車両の進行方向の道路における道路情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記道路情報を基に前記進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成する生成部と、前記生成部で生成された少なくとも2以上の前記コーナにおける前記コーナ情報をまとめて、前記車両の乗員に提供する提供部と、を含んで構成されている。
【0007】
第1の態様の情報提示装置では、取得された道路情報を基にコーナ情報が生成され、生成された少なくとも2以上のコーナにおけるコーナ情報がまとめて車両の乗員に提供されるように構成されている。ここで、コーナ情報とは、コーナの曲率に関連した曲率情報を含む。当該情報提示装置によれば、コーナが連続する走行路において、乗員に対して安心感を与えることができる。
【0008】
第2の態様の情報提示装置は、第1の態様の情報提示装置であって、前記提供部は、前記乗員である運転者の運転技量レベルに基づいて、前記コーナ情報の内容及び量の少なくとも一方を変化させる。
【0009】
第2の態様の情報提示装置によれば、運転者の運転技量のレベルに応じてコーナ情報の内容や量を変化させることで、運転者の理解や車両の操作が追い付かない状態で次のコーナ情報が提示されることを抑制することができる。
【0010】
第3の態様の情報提示装置は、第1の態様の情報提示装置であって、前記取得部は、前記車両に搭載されたセンサから検知情報を取得し、前記生成部は、前記検知情報及び前記道路情報に基づいて前記コーナ情報を生成する。
【0011】
第3の態様の情報提示装置では、車両が予め道路を通過した際の道路の状況をセンサから検知情報として取得し、当該検知情報を道路情報に加えてコーナ情報を生成するように構成されている。当該情報提示装置によれば、路面情報等のより詳しい道路の状態に基づいたコーナ情報を提示することができる。
【0012】
第4の態様の情報提示装置は、第1~第3の何れか1の態様の情報提示装置であって、前記生成部は、前記コーナに危険箇所がある場合、前記危険箇所における運転操作の注意を促す指示語を生成する。
【0013】
第4の態様の情報提示装置によれば、危険箇所に対する運転操作の注意を促す情報を提示することで、乗員に対して更なる安心感を与えることができる。
【0014】
第5の態様の情報提示装置は、第1~第3の何れか1の態様の情報提示装置であって、前記生成部は、連続する前記コーナの形状に応じて、前記道路の走行ラインを指示する指示語を生成する。
【0015】
第5の態様の情報提示装置によれば、コーナの形状に応じた走行ラインの情報を提示することで、各コーナを通過する際に運転者は車両をスムーズに通過させることができる。
【0016】
第6の態様は情報提示方法であって、車両の進行方向の道路における道路情報を取得し、取得された前記道路情報を基に前記進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成し、生成された少なくとも2以上の前記コーナにおける前記コーナ情報をまとめて、前記車両の乗員に提供する処理をコンピュータが実行する。
【0017】
第7の態様は情報提示プログラムであって、車両の進行方向の道路における道路情報を取得し、取得された前記道路情報を基に前記進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成し、生成された少なくとも2以上の前記コーナにおける前記コーナ情報をまとめて、前記車両の乗員に提供する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コーナが連続する走行路において、乗員に対して安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】情報提示システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】乗員情報及び車両情報の組み合わせとレベル情報の関係を説明するための図である。
【
図5】ステアリングホイールの舵角量と曲率記号との関係を説明するための図である。
【
図6】生成されたコーナ情報を説明するための図である。
【
図7】レベル情報別のコーナを情報の提示内容を説明するための図である。
【
図8】コーナ情報の表示形式をアイコンとした一例を説明するための図である。
【
図9】車両の表示画面の一例を説明するための図である。
【
図10】レベル設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】情報提示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る情報提示システム100は、情報提示装置としての車載器10と車両20とセンタサーバ30を含む。
車載器10は通信回線Nを介してセンタサーバ30に接続され、相互にデータを送受信する。
センタサーバ30は、車両20の車載器10に向けて道路の交通量、規制状態、路面状態等の道路情報を提供する。
なお、情報提示システム100に含まれる車載器10及びセンタサーバ30の各々の数は
図1の例に限定されず、車載器10及びセンタサーバ30はそれぞれ2以上含まれていてもよい。
【0021】
図2に、車載器10を含む車両20のハードウェア構成を示す。
図2に示すように、車載器10は、CPU(Central Processing Unit)42、メモリ44、記憶装置46、車内通信I/F(Interface)48、入力装置52、出力装置54、記憶媒体読取装置56、及び無線通信I/F58を有する。
CPU42、メモリ44、記憶装置46、車内通信I/F48、入力装置52、出力装置54、記憶媒体読取装置56、及び無線通信I/F58は、内部バス59を介して相互に通信可能に接続されている。
【0022】
CPU42は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各構成を制御したりする。すなわち、CPU42は、記憶装置46からプログラムを読み出し、メモリ44を作業領域としてプログラムを実行する。CPU42は、記憶装置46に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0023】
メモリ44は、RAM(Random Access Memory)により構成され、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。
記憶装置46は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。記憶装置46には、後述する情報提示処理を実行するための情報提示プログラムが格納されている。
【0024】
車内通信I/F48は、各ECU(Electronic Control Unit)22と接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、CAN(Controller Area Network)プロトコルによる通信規格が用いられる。車内通信I/F48は、外部バス21に対して接続されている。
【0025】
入力装置52は乗員による各種の入力を行うための装置である。入力装置52は、ステアリングホイールに設けられたステアリングスイッチ及びタッチパッド、ダッシュボードに設けられたタッチパネル、並びにセンタコンソールに設けられたコントローラ等が例示される。また、入力装置52は、車室内に設けられた音声入力手段としてのマイクであってもよい。
出力装置54は、乗員に向けて各種の情報を出力するための装置である。出力装置54は、表示手段としてのセンタディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、及びメータディスプレイ、並びに、音声出力手段としてのスピーカ等が例示される。出力装置54として、タッチパネルディスプレイを採用することにより、入力装置52として機能させてもよい。
【0026】
記憶媒体読取装置56は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの各種の記憶媒体に記憶されたデータの読み込みや、記憶媒体に対するデータの書き込み等を行う。
【0027】
無線通信I/F58は、センタサーバ30を含む他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、たとえば、4G、5G、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0028】
ECU22は、ECU22A、ECU22B及びECU22Cを少なくとも含む。
ECU22Aは、ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)ECU、又はドライブレコーダ用のECUが例示される。ECU22Aには、カメラ24が接続されている。カメラ24は車両20の周辺を撮像するセンサとして設けられている。
ECU22Bは、ステアリングECUが例示される。ECU22Bには、ステアリングの舵角を検出するセンサ26が接続されている。
ECU22Cは、カーナビゲーションシステムを制御するマルチメディアECUが例示される。ECU22Cには、GPS(Global Positioning System)装置28が接続されている。GPS装置28は車両20の現在位置を測定する装置である。GPS装置28は、GPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを含んでいる。なお、GPS装置28は、ECU22Cではなく車載器10に対して直接接続されていてもよい。
【0029】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る車載器10の機能的な構成を説明する。
図3に示すように、本実施形態の車載器10はCPU42が記憶装置46に記憶されている情報提示プログラムを実行することで、取得部12、生成部14、及び提供部16として機能する。
【0030】
取得部12は、少なくとも道路情報、位置情報、検知情報、乗員情報、及び車両情報を取得する機能を有している。
本実施形態の取得部12は、道路情報をセンタサーバ30から通信ネットワークNを介して取得する。なお、取得部12は、車載器10に記憶されている道路情報を取得してもよい。ここで、道路情報は、地図情報と、周辺情報と、を含む。なお、地図情報は、走行路を含む地図に係る電子データである。周辺情報は、道路の交通量、規制状態、路面状態等の道路に直接関わる情報と、天候、気象等の道路に影響を及ぼす情報と、を含む。
【0031】
また、本実施形態の取得部12は、位置情報をGPS装置28等により取得する。位置情報は、車両20の現在位置の情報である。
また、本実施形態の取得部12は、検知情報を車両20に搭載されたカメラ24やセンサ26等を介して取得する。ここで、検知情報は、例えば、路面情報を含む。路面情報は、道路の表面の状態(例えば、路面のギャップや滑り具合)の情報である。
【0032】
また、本実施形態の取得部12は、車両20の入力装置52から入力された乗員情報としての運転技量レベルを取得する。なお、取得部12は、車両20が運転者の運転履歴を基に自動で判定した運転技量レベルを取得してもよい。また、本実施形態の取得部12は、車両20の入力装置52から入力された車両情報を取得する。なお、取得部12は、車載器10のメモリ44に予め記憶されている車両情報を取得してもよい。
【0033】
生成部14は、車両の進行方向の道路におけるコーナ情報を生成する機能を有している。その主機能の前処理として、生成部14は、取得部12で取得された乗員情報及び車両情報を組み合わせて、レベル情報を設定する。
レベル情報は、運転者が車両20を運転する際の案内を補助する情報の内容や情報量を調整するための基準となるレベルである。
【0034】
乗員情報は、車両20に乗車している運転者の運転技量のレベルの情報(以下、「運転技量レベル」という。)を含む。本実施形態における運転技量レベルは、運転者の運転技量を4段階で表したラベルとして定義されている。具体的には、運転技量が上がるにつれて、「一般ユーザレベル」、「初心者レベル」、「中級者レベル」、及び「上級者レベル」の順に変化する。また、運転者を含む乗員は、車両20の入力装置52から運転技量レベルを自由に設定できる。
【0035】
一方、車両情報は、車両20のエンジン又はモータの出力ごとに定義されたラベルのことである。以下、エンジンの出力ごとに定義されたラベルについて例示する。具体的に本実施形態における車両情報は、「エンジンパワー低」、「エンジンパワー中」、及び「エンジンパワー高」の3種類のいずれかに分類されている。例えば、車両の排気量を基にエンジンパワーを割り当てる場合、以下のとおりに割り当てることができる。
・「エンジンパワー低」には、車両の排気量が1500cc以下の車両を割り当てる。
・「エンジンパワー中」には、車両の排気量が1500ccを超えて2000cc以下である車両を割り当てる。
・「エンジンパワー高」には、車両の排気量が2000ccを超えた車両を割り当てる。
【0036】
なお、エンジンの出力で車両情報を分類する理由は、エンジンの出力が上昇するほどより高度な運転技量を要求されるためである。例えば、排気量の大きい車両を運転する場合、排気量が小さい車両を運転する場合よりも加速度が大きく、車速が上昇しやすい。
なお、運転技量に影響を与える要因は、排気量以外にも、過給機の有無、車両重量などがある。したがって、排気量のみならず、過給機の有無や車両重量に基づいて車両情報を設定してもよい。
【0037】
そして、本実施形態では乗員情報及び車両情報の組み合わせで、レベル情報が設定される。詳しくは、後述するレベル設定処理により、乗員情報及び車両情報の組み合わせに対して
図4に示すレベル情報が設定される。
【0038】
生成部14は、取得部12が取得した道路情報を基に、コーナ情報を生成する。より具体的には、生成部14は、取得部12が取得した道路情報のうち少なくとも地図情報を基に進行方向の道路のコーナの有無やコーナ情報を生成する。ここで、コーナ情報は、道路のコーナの曲率記号と、変化記号と、指示語に係る情報を含む。
【0039】
曲率記号は車両20がコーナを通過する際に運転者に対して提示するステアリングホイール60の舵角を示す情報である。具体的には、
図5に示すように、曲率記号は運転者がステアリングホイール60を回す方向を示す文字(L or R)と、操舵角度に応じて割り当てられた舵角番号と、を組み合わせた記号である。
図5において、「L」はLeftの略であり、運転者が左向きにステアリングホイール60を回す方向を示す。対して「R」はRightの略であり、運転者が右向きにステアリングホイール60を回す方向を示す。舵角番号は、数字の値が小さいほど舵角が大きくなるように割り当てられている。なお、生成部14は、曲率記号に代えてコーナの形状等を具体的に説明する曲率文章を生成してもよい。曲率記号及び曲率文章は、曲率情報の一例である。
【0040】
図6は、生成された複数のコーナ情報について説明する図であって、各コーナにおける曲率記号、変化記号及び指示語の対応付けを簡易的に示した図である。
変化記号は、コーナの道幅の変化を示す記号であって、「>」及び「<」で表される。「>」の記号は「タイトゥン」と呼ばれ、コーナの入口から出口に向けて道幅が狭くなっていることを示し、「<」の記号は「オープン」と呼ばれ、コーナの入口から出口に向けて道幅が広くなっていることを示す。
【0041】
指示語は、車両20の運転者に対して推奨する走行方法を指示するための記号である。指示語は、リスク指示語と、走行ライン指示語と、を含む。
リスク指示語は、危険箇所の運転操作の注意を促す文言である。リスク指示語としては、道路前方の注意を促す「注意」、減速を促す「ブレーキ」、徐行を促す「スロー」等が例示される。
走行ライン指示語は、道路の走行ラインを指示する文言である。走行ライン指示語としては、コーナのイン側の走行を促す「キープイン」、コーナのアウト側の走行を促す「キープアウト」、コーナの左寄りからの進入を促す「左から進入」等が例示される。
【0042】
以上の曲率記号、変化記号、及び指示語は、前述のものに限定されず、例えば、自動車競技の一種であるラリーの専門用語を基に、運転者に車両20の操作の案内が伝わりやすいように設定してよい。
【0043】
なお、指示語は、取得部12が取得した検知情報を基に生成される。具体的には、検知情報により、車両20の駆動輪が空転していること、又は何れかの車輪がロックしていることが判定された場合に、生成部14はリスク指示語を生成する。なお、取得部12が取得した周辺情報のうちの気象情報に基づいて生成部14がリスク指示語を生成してもよい。また、検知情報に含まれるコーナ走行時の舵角や、コーナの撮像画像に基づいて道路のコーナの形状が把握された場合に、生成部14は走行ライン指示語を生成する。
【0044】
提供部16は、車両20の進行方向の道路における複数のコーナのコーナ情報をまとめて運転者に提供する機能を有している。具体的には、提供部16は、取得部12で取得した位置情報である車両20の現在位置に基づいて、最寄りのコーナを含む複数のコーナのコーナ情報をまとめて運転者に提供する。
また、本実施形態の提供部16は、生成部14が設定したレベル情報に基づいて、連続する複数のコーナのコーナ情報の内容及び情報量の少なくとも一方を変化させる。
【0045】
図7は、各々のレベル情報における運転者に提供するコーナ情報について説明する図である。各レベル情報に対応したコーナ情報は、画像として出力装置54としてのヘッドアップディスプレイに表示したり、音声として出力装置54としてのスピーカに出力したりする。
【0046】
まず、レベル情報が一般ユーザレベルの場合、コーナ情報として、一度に2コーナ分の曲率文章であるコーナ情報を提供する。曲率文章の提供内容としては、例えば「次第にきつくなる左コーナが連続します」のように、コーナの方向と曲がる程度の情報が文章化されている。なお、コーナ情報を短縮形で置き換えることはしない。
【0047】
次に、レベル情報が初心者レベルの場合、コーナ情報として、一度に2コーナ分の曲率記号及びリスク指示語を提供する。この場合のコーナ情報としては、例えば「L5・5」のような曲率記号に加え、「スロー」のようなリスク指示語が含まれる。なお、コーナ情報を短縮形で置き換えることはしない。
【0048】
次に、レベル情報が中級者レベルの場合、コーナ情報として、一度に2コーナ以上の曲率記号及び変化記号を提供する。この場合のコーナ情報としては、例えば「R6・L5<>5」のように、3コーナ分の曲率記号と変化記号とを組み合わせたものとなる。なお、コーナ情報を短縮形で置き換えることはしない。
【0049】
最後に、レベル情報が上級者レベルの場合、一度に2コーナ以上の曲率記号、変化記号、及び走行ライン指示語であるコーナ情報を提供する。この場合のコーナ情報としては、例えば「L5<>5 in」のように、2コーナ分の曲率記号と変化記号と走行ライン指示語を組み合わせたものとなる。なお、上級者レベルの場合は、コーナ情報を短縮形で置き換えることも可能とする。例えば、「R3・L7」のようにステアリングホイール60の切り返しを要する場合であって、2箇所目のコーナの角度が緩い場合、2箇所目のコーナの曲率記号を省略して「R3Z」に置き換えることができる。このような置き換えをして出力する言葉を短縮することで、運転技量レベルが上級者レベルの運転者が行うような高速走行の際にも、コーナ情報を運転者が認識しやすいというメリットがある。
【0050】
図8は、提供部16が出力装置54に出力する内容の一例として、コーナ情報をアイコンで示した図である。
図8の紙面向かって左列からアイコンの示す意味を以下に列挙する。
コーナの曲率情報アイコンは、曲率記号とコーナの形状のイメージ図からなるアイコンである。また、出口可視アイコンは、コーナの道幅に応じて出口が見えるかどうかを「>」又は「<」で表したアイコンである。また、道幅変化アイコンは、道幅が広がるか狭まるかを表したアイコンである。また、周辺注意アイコンは、注意を喚起するエクスクラメーションマークのアイコンである。また、視界不良アイコンは、周囲が視認し辛いことを示す(何があるか不明なことを示す)クエスチョンマークのアイコンである。また、下り上りアイコンは、道の勾配を表したアイコンである。また、でこぼこ注意アイコンは、路面の凸凹の状態による注意を喚起するアイコンである。
【0051】
図9は、一例として、提供部16が出力装置54であるモニタの表示画面70上に表示する複数のコーナ情報を示した図である。
図9のように、少なくとも2以上のコーナのコーナ情報について、複数のアイコンや指示語のテキストを適宜組み合わせて同時に表示する。例えば、表示画面70の略中央から左側にかけて1箇所目のコーナのコーナ情報として曲率情報アイコン及び出口可視アイコンを表示し、表示画面70の右上方に2箇所目のコーナ情報として曲率情報アイコン及び道幅変化アイコンを表示する。この場合、2箇所目のコーナ情報に係る表示は、1箇所目のコーナ情報に係る表示よりも小さく表示される。そして、表示画面70において、1箇所目のコーナのコーナ情報の下方には「減速を推奨」等のテキストからなるリスク指示語が表示される。
なお、アイコンの数、表示の種類、配置等は
図9の例に限定されない。
【0052】
次に、本実施形態に係る情報提示システム100の作用について説明する。車載器10では、
図10に示すレベル設定処理及び
図11に示す情報提示処理が実行される。車載器10における各処理は、CPU42が取得部12、生成部14及び提供部16として機能することにより実行される。なお、情報提示処理は、本発明の情報提示方法の一例である。
【0053】
図10を参照して、レベル設定処理について説明する。
【0054】
ステップS101で、CPU42が、車載器10の入力装置52から入力された走行用途を取得する。
次に、ステップS103で、CPU42が、運転者の車両20の用途がスポーツ走行用か否かを判定する。CPU42が、スポーツ走行用ではないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS105に移行する。一方、CPU42が、スポーツ走行用であると判定した場合(ステップS103:YES)、ステップS107へ移行する。
【0055】
ステップS105では、CPU42が、レベル情報を一般ユーザレベルに設定する。そして、処理を終了する。
次に、ステップS107で、CPU42が、乗員情報と車両情報を取得する。
【0056】
次に、ステップS109で、CPU42が、車両20の運転者の運転技量レベルが初心者レベルを超えているか否かを判定する。CPU42が、初心者レベルを超えていないと判定した場合(ステップS109:NO)、ステップS111へ移行する。一方、CPU42が、初心者レベルを超えていると判定した場合(ステップS109:YES)、ステップS113へ移行する。
【0057】
ステップS111では、CPU42が、レベル情報を初心者レベルに設定する。そして、処理を終了する。
次に、ステップS113では、CPU42が、車両20の運転者の運転技量レベルが中級者レベルを超えているか否かを判定する。CPU42が、中級者レベルを超えていないと判定した場合(ステップS113:NO)、ステップS115へ移行する。一方、CPU42が、中級者レベルを超えていると判定した場合(ステップS113:YES)、ステップS119へ移行する。
【0058】
ステップS115では、CPU42が、車両20の排気量が2000cc以下か否かを判定する。CPU42が、車両20の排気量が2000cc以下でないと判定した場合(ステップS115:NO)、ステップS119へ移行する。一方、CPU42が、車両20の排気量が2000cc以下であると判定した場合(ステップS115:YES)、ステップS117へ移行する。
ステップS117では、CPU42が、レベル情報を中級者レベルに設定する。そして、処理を終了する。
【0059】
次に、ステップS119では、CPU42が、車両20の排気量が1500ccを超えているか否かを判定する。CPU42が、車両20の排気量が1500ccを超えていないと判定した場合(ステップS119:NO)、ステップS117へ移行する。一方、CPU42が、車両20の排気量が1500ccを超えていると判定した場合(ステップS119:YES)、ステップS121へ移行する。
ステップS121では、CPU42が、レベル情報を上級者レベルに設定する。そして、処理を終了する。
【0060】
図11を参照して、情報提示処理について説明する。
ステップS201で、CPU42が、道路情報、位置情報、及び検知情報を取得する。
次に、ステップS202で、CPU42が、道路情報及び検知情報に基づいてコーナ情報を生成する。
【0061】
次に、ステップS203で、CPU42が、取得部12で取得した位置情報である車両20の現在位置に基づいて、最寄りのコーナを含む複数のコーナのコーナ情報をまとめて運転者に提示する。その際には、レベル設定処理において設定されたレベル情報に応じて、ステップS202において生成されたコーナ情報を提示する。そして、情報提示処理は終了する。
【0062】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態は車両20の進行方向の道路情報を取得して進行方向の道路におけるコーナの曲率情報を含むコーナ情報を生成し、少なくとも2以上のコーナにおけるコーナ情報をまとめて、車両20の運転者に提供する。したがって本実施形態によれば、コーナが連続する走行路において、車両20の運転者に対して安心感を与えることができる。
【0063】
また、本実施形態は車両20の運転者の運転技量レベルに基づいて、コーナ情報の内容及び量の少なくとも一方を変化させる。したがって本実施形態によれば、運転者の運転技量のレベルに応じてコーナ情報の内容や量を変化させることで、運転者の理解や車両20の操作が追い付かない状態で次のコーナ情報が提示されることを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態は車両20に搭載されたカメラ24やセンサ26等から予め道路を通過した際の検知情報を取得し、検知情報及び道路情報に基づいてコーナ情報を生成する。したがって本実施形態によれば、路面情報等のより詳しい道路の状態に基づいたコーナ情報を提示することができる。
【0065】
また、本実施形態はコーナに危険箇所がある場合に危険箇所の運転操作の注意を促す指示語を生成する。したがって本実施形態によれば、危険箇所に対する運転操作の注意を促す情報を提示することで、運転者に対して更なる安心感を与えることができる。
【0066】
さらに、本実施形態は連続するコーナの形状に応じて道路の走行ラインを指示する指示語を生成する。したがって本実施形態によれば、コーナの形状に応じた走行ラインの情報を提示することで、各コーナを通過する際に運転者は車両をスムーズに通過させることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、運転者に対してコーナ情報を提示するように構成されているが、これに限らず、助手席等の乗員に対してコーナ情報を提示し、当該乗員から運転者に対してコーナ情報を提示してもよい。
【0068】
(備考)
上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した情報提示処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、送信処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0069】
また、上記実施形態では、情報提示プログラムが記憶装置に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 車載器(情報提示装置)
12 取得部
14 生成部
16 提供部
20 車両
26 センサ