(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170275
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】磁性体検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/82 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
G01N27/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081894
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】酒井 春彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 均
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB01
2G053BA03
2G053BA14
2G053BB03
2G053BB11
2G053BC10
2G053BC14
2G053BC20
2G053CA03
2G053CB24
2G053CB28
2G053CC09
2G053DA02
2G053DA09
(57)【要約】
【課題】励振コイルによって磁性体の磁化の状態が励振されない状態において、磁性体の検査を行うことを抑制することが可能な磁性体検査システムを提供する。
【解決手段】この磁性体検査システム100は、磁性体90の磁化の状態を励振させる励振コイル10と、励振コイル10によって磁化の状態が励振された磁性体90の磁界の変化を検知する検知コイル11と、検知コイル11によって検知された検知信号51を取得して解析する第3制御部30と、少なくとも検査開始時において、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知する報知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体の磁化の状態を励振させる励振コイルと、
前記励振コイルによって磁化の状態が励振された前記磁性体の磁界の変化を検知する検知コイルと、
前記検知コイルによって検知された検知信号を取得して解析する制御部と、
少なくとも検査開始時において、前記励振コイルに対して電力が供給されていない場合に、前記励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知する報知部と、を備える、磁性体検査システム。
【請求項2】
前記励振コイルに対して電力を供給する電力源と、
操作者の操作によって前記電力源による前記励振コイルに対する電力の供給を行うか否かを切り替える電力供給切替スイッチと、をさらに備え、
前記報知部は、前記電力供給切替スイッチが前記励振コイルに対して電力を供給する状態になっていない場合に、前記励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知するように構成されている、請求項1に記載の磁性体検査システム。
【請求項3】
前記報知部は、前記励振コイルに対して電力が供給されていない旨を表示する表示部を含む、請求項1に記載の磁性体検査システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記励振コイルに対して電力が供給されているか否かを判定し、前記励振コイルに対して電力が供給されていないと判定した場合に、前記磁性体の検査の開始を禁止するように制御する、請求項1に記載の磁性体検査システム。
【請求項5】
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記励振コイルに対して電力が供給されていないと判定した場合に、前記入力受付部による前記磁性体の検査を開始する操作入力を受け付けないように制御する、請求項1に記載の磁性体検査システム。
【請求項6】
前記励振コイルは、前記磁性体が延びる方向と交差する方向の少なくとも一方から前記磁性体を挿入可能な間隔が設けられた開状態と、前記磁性体を取り囲む閉状態とを切替可能に構成されており、
前記電力供給切替スイッチは、前記励振コイルが開状態の場合に、前記励振コイルに対する電力の供給を停止する状態となるように構成されている、請求項2に記載の磁性体検査システム。
【請求項7】
前記励振コイルが開状態となった後、再び、閉状態となった場合でも、前記励振コイルに対する電力の供給を停止する状態が維持され、操作者により前記電力供給切替スイッチが操作されたことに基づいて、前記励振コイルに対して電力を供給する状態となるように構成されている、請求項6に記載の磁性体検査システム。
【請求項8】
センサユニットと、制御ユニットと、情報処理ユニットとを備え、
前記センサユニットは、
磁性体の磁化の状態を励振させる励振コイルと、
前記励振コイルによって磁化の状態が励振された前記磁性体の磁界の変化を検知する検知コイルと、
前記検知コイルによって検知された検知信号を出力する信号出力部とを有し、
前記制御ユニットは、
前記信号出力部から出力された前記検知信号を取得し、前記情報処理ユニットに送信する送信部を有し、
前記情報処理ユニットは、
前記検知信号を受信する受信部と、
受信した前記検知信号を解析するとともに、前記励振コイルに対して電力が供給されているか否かを判定する制御部と、
少なくとも検査開始時において、前記励振コイルに対して電力が供給されていないと判定された場合に、前記励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知する報知部とを有する、磁性体検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体検査システムに関し、特に、磁性体の磁化の状態を励振する励振コイルを備える磁性体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性体の磁化の状態を励振する励振コイルを備える磁性体検査装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、検出部と、電子回路部とを備え、ワイヤロープの磁束を検知して、ワイヤロープの損傷を検査する磁性体検査装置が開示されている。上記特許文献1に開示されている検出部は、受信コイルと、励振コイルとを含んでいる。上記特許文献1に開示されている構成では、励振コイルは、ワイヤロープの磁化の状態を励振するように構成されている。そして、受信コイルは、励振コイルによって磁化の状態が励振されたワイヤロープの磁界の変化を検知し、検知信号を出力するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には開示されていないが、上記特許文献1に開示されているような磁性体検査装置は、励振コイルによってワイヤロープ(磁性体)の磁化の状態を励振しない状態であっても、受信コイル(検知コイル)から検知信号を出力することが可能である。励振コイルによって磁性体の磁化の状態が励振されていない状態で出力された検知信号は、磁性体の損傷に起因する磁界の変化が少なく、磁性体の損傷を正確に検知できない可能性がある。そのため、励振コイルによって磁性体の磁化の状態が励振されない状態において、磁性体の検査を行うことを抑制することが可能な磁性体検査システムが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、励振コイルによって磁性体の磁化の状態が励振されない状態において、磁性体の検査を行うことを抑制することが可能な磁性体検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面における磁性体検査システムは、磁性体の磁化の状態を励振させる励振コイルと、励振コイルによって磁化の状態が励振された磁性体の磁界の変化を検知する検知コイルと、検知コイルによって検知された検知信号を取得して解析する制御部と、少なくとも検査開始時において、励振コイルに対して電力が供給されていない場合に、励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知する報知部と、を備える。
【0008】
この発明の第2の局面における磁性体検査システムは、センサユニットと、制御ユニットと、情報処理ユニットとを備え、センサユニットは、磁性体の磁化の状態を励振させる励振コイルと、励振コイルによって磁化の状態が励振された磁性体の磁界の変化を検知する検知コイルと、検知コイルによって検知された検知信号を出力する信号出力部とを有し、制御ユニットは、信号出力部から出力された検知信号を取得し、情報処理ユニットに送信する送信部を有し、情報処理ユニットは、検知信号を受信する受信部と、受信した検知信号を解析するとともに、励振コイルに対して電力が供給されているか否かを判定する制御部と、少なくとも検査開始時において、励振コイルに対して電力が供給されていないと判定された場合に、励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知する報知部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1および第2の局面における磁性体検査システムは、少なくとも検査開始時において、励振コイルに対して電力が供給されていない場合に、励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知する報知部を備える。これにより、励振コイルに対して電力が供給されていない場合には、報知部によって、励振コイルに対して電力が供給されていないことが報知されるので、操作者は、検査を開始する前に、励振コイルに対して電力が供給されていないことを把握することができる。その結果、励振コイルによって磁性体の磁化の状態が励振されない状態において、磁性体の検査を行うことを抑制することが可能な磁性体検査システムを提供することができる。これにより、磁性体の損傷を正確に検知できなくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による磁性体検査システムの全体構成を示したブロック図である。
【
図2】一実施形態によるセンサユニットを示した模式図(A)、および、センサユニットに含まれる電力供給切替スイッチを示した拡大図(B)である。
【
図3】一実施形態による制御ユニットを示した模式図である。
【
図4】一実施形態によるセンサユニットおよび制御ユニットにおいて、磁性体の検査を行う構成を説明するための模式図である。
【
図5】一実施形態による励振コイルを説明するための模式的な平面図である。
【
図6】一実施形態による検知コイルを説明するための模式的な平面図である。
【
図7】一実施形態による励振コイルおよび検知コイルの開状態を説明するための模式図(A)、および、閉状態を説明するための模式図(B)である。
【
図8】一実施形態による磁性体検査システムの各ユニット間における情報などの送受信を行う構成を説明するための模式図である。
【
図9】励振コイルに電力が供給されている状態の情報処理ユニットに表示される操作画面を示した模式図(A)、および、励振コイルに電力が供給されていない状態の操作画面を示した模式図(B)である。
【
図10】励振コイルに電力が供給されているか否かを判定する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】磁性体の検査処理を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第1変形例による励振コイルおよび検知コイルの開状態を説明するための模式図(A)、および、閉状態を説明するための模式図(B)である。
【
図13】第2変形例による磁界印加部を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1~
図9を参照して、本実施形態による磁性体検査システム100の構成について説明する。
【0013】
(磁性体検査システムの構成)
図1に示す磁性体検査システム100は、検査対象物である磁性体90(
図2(A)参照)を検査するためのシステムである。磁性体90は、たとえば、ワイヤロープを含む。すなわち、本実施形態による磁性体検査システム100は、ワイヤロープの損傷を検査するためのシステムである。ワイヤロープの損傷は、たとえば、素線断線、異物付着および錆などの欠陥を含む。本実施形態による磁性体検査システム100は、たとえば、磁性体90の製造工場に設けられ、製造された磁性体90に損傷が生じているか否かを検査するためのシステムである。また、磁性体検査システム100は、エレベータ、クレーン、ロープウェイ、吊り橋、および、ロボットなどに用いられる磁性体90の損傷を検査するために用いられてもよい。
【0014】
磁性体検査システム100は、
図1に示すように、センサユニット1と、制御ユニット2と、情報処理ユニット3と、を備えている。センサユニット1と制御ユニット2とは、有線接続されている。センサユニット1は、制御ユニット2に対して、後述する検知信号51(
図8参照)を送信するように構成されている。また、制御ユニット2は、センサユニット1に対して、電力24aを供給するように構成されている。また、制御ユニット2と情報処理ユニット3とは、無線、または、有線接続されている。制御ユニット2は、情報処理ユニット3に対して、後述する測定データ52(
図8参照)を送信するように構成されている。また、情報処理ユニット3は、制御ユニット2に対して、後述する検査開始信号50(
図8参照)などを送信するように構成されている。なお、センサユニット1と制御ユニット2とは、磁性体90(
図2(A)参照)を検査する場所に配置される。また、情報処理ユニット3は、センサユニット1および制御ユニット2とは離れた場所に配置される。
【0015】
ユーザ(作業者)は、磁性体検査システム100を用いて磁性体90を検査することにより、目視により確認しにくい磁性体90の損傷(異常)を確認可能である。
【0016】
センサユニット1は、励振コイル10と、検知コイル11と、第1接続部12とを含む。また、本実施形態では、センサユニット1は、磁界印加部4(
図4参照)を含む。また、本実施形態では、センサユニット1は、第1制御部13と、第1報知部14と、電力供給切替スイッチ15とを含む。なお、第1接続部12は、特許請求の範囲の「信号出力部」の一例である。磁界印加部4の詳細については、後述する。
【0017】
励振コイル10は、磁性体90(
図2(A)参照)の磁化の状態を励振させるように構成されている。なお、磁化の状態を励振させるとは、励振コイル10が磁性体90に対して磁界を印加する方向を、所定時間毎に反転させることを意味する。また、本実施形態では、励振コイル10は、電力供給切替スイッチ15を介して、第1制御部13と電気的に接続されている。
【0018】
検知コイル11は、磁性体90の磁界の変化を検知するように構成されている。検知コイル11の詳細な構成については、後述する。
【0019】
第1接続部12は、後述する第2接続部23および電力源24と接続されている。第1接続部12は、検知コイル11によって検知された検知信号51(
図8参照)を出力するように構成されている。本実施形態では、第1接続部12は、第2接続部23を介して、制御ユニット2に対して検知信号51を出力するように構成されている。また、第1接続部12は、電力源24から供給された電力24aを、センサユニット1に供給さするように構成されている。具体的には、第1接続部12は、電力源24から供給された電力24aを、第1制御部13に対して供給するように構成されている。
【0020】
第1制御部13は、センサユニット1の各部を制御するように構成されている。また、第1制御部13は、電力源24から供給された電力24aを、センサユニット1の各部に供給するように構成されている。第1制御部13は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサまたは回路(Circuitry)、メモリ、および、AD変換器などを含んでいる。
【0021】
第1報知部14は、第1制御部13の制御の下、少なくとも検査開始時において、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知するように構成されている。第1報知部14は、たとえば、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを、視覚的に報知するように構成されている。第1報知部14は、たとえば、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子を含む発光装置である。なお、第1報知部14は、特許請求の範囲の「報知部」の一例である。
【0022】
電力供給切替スイッチ15は、電力源24からセンサユニット1に供給された電力源24のうち、励振コイル10に対する電力24bの供給を行うか否かを、操作者の操作によって切り替えるように構成されている。電力供給切替スイッチ15は、たとえば、メンブレンスイッチなどの押しボタンである。
【0023】
本実施形態によるセンサユニット1は、全磁束法によって、磁性体90における損傷の有無などの、磁性体90の状態を解析(判定)するように構成されている。これにより、目視により確認しにくい磁性体90の損傷(異常)を確認することができる。磁性体90に損傷が含まれる場合には、損傷の発生部分における磁束が正常部分(損傷が発生していない部分)における磁束とは異なる。全磁束法は、磁性体90の表面の損傷などからの漏洩磁束のみを測定する方法(いわゆる、漏洩磁束法)と異なり、磁性体90の内部の素線断線および錆などの損傷をも測定可能な方法である。なお、全磁束法とは、励振コイル10および検知コイル11が、磁性体90の中心軸の周りに巻回された状態で、磁性体90の断面積の磁束の変化を検知する方法である。
【0024】
磁性体90は、素線材料である複数のストランドをより合わせることにより形成された長尺材からなる磁性体である。なお、ストランドは、複数本の素線がより合わさって構成されている。磁性体90は、損傷による切断が生じることを未然に防ぐために、磁性体検査システム100により検査されている。そして、磁性体90の磁束の計測の結果により、損傷(異常)の程度が決められた基準を超えたと判断される磁性体90は、ユーザ(作業者)により交換される。
【0025】
また、
図1に示すように、制御ユニット2は、第2制御部20と、第1記憶部21と、第2報知部22と、第2接続部23と、電力源24と、第1通信部25とを含む。
【0026】
第2制御部20は、制御ユニット2の各部を制御するように構成されている。また、第2制御部20は、第1接続部12から出力された検知信号51(
図8参照)を取得するように構成されている。また、第2制御部20は、取得した検知信号51を、測定データ52(
図8参照)として、第3制御部30に対して出力するように構成されている。第2制御部20は、たとえば、CPUなどのプロセッサまたは回路(Circuitry)、メモリ、および、AD変換器などを含んでいる。なお、測定データ52とは、所定時間分の検知信号51をまとめたデータである。
【0027】
第1記憶部21は、第3制御部30から検査開始信号50(
図8参照)を受信した際に、第1接続部12から出力された検知信号51を記憶するように構成されている。第1記憶部21は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの可搬型の記憶装置である。
【0028】
第2報知部22は、第2制御部20の制御の下、少なくとも検査開始時において、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知するように構成されている。第2報知部22は、たとえば、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを、視覚的に報知するように構成されている。第2報知部22は、たとえば、LEDなどの発光素子を含む発光装置である。なお、第2報知部22は、特許請求の範囲の「報知部」の一例である。
【0029】
第2接続部23は、第1接続部12から送信された検知信号51(
図8参照)を受信するように構成されている。また、第2接続部23は、受信した検知信号51を、第2制御部20に対して送信するように構成されている。
【0030】
電力源24は、外部から電力を受け取って、センサユニット1および制御ユニット2の各部に電力24aを供給する。また、本実施形態では、電力源24は、第1制御部13を介して、励振コイル10に対して電力24bを供給する。なお、電力源24は、制御ユニット2とセンサユニット1とが接続された際に、センサユニット1に対して電力24aを供給する。すなわち、センサユニット1の各部は、制御ユニット2と接続されることにより、電力源24から電力24aが供給される。なお、上記のように、励振コイル10に対する電力24bの供給の有無は、電力供給切替スイッチ15によって切替可能である。
【0031】
第1通信部25は、制御ユニット2と情報処理ユニット3とを通信可能に接続するように構成されている。また、第1通信部25は、第1接続部12から出力された検知信号51(
図8参照)を取得し、情報処理ユニット3に送信するように構成されている。第1通信部25は、たとえば、通信用のインターフェースである。なお、第1通信部25は、特許請求の範囲の「送信部」の一例である。
【0032】
また、
図1に示すように、情報処理ユニット3は、第3制御部30と、第2記憶部31と、表示部32と、入力受付部33と、第2通信部34と、を含む。情報処理ユニット3は、いわゆる、PC(Personal Computer)である。
【0033】
第3制御部30は、情報処理ユニット3の各部を制御するように構成されている。また、第3制御部30は、検知コイル11によって検知された検知信号51(
図8参照)を取得して解析するように構成されている。具体的には第3制御部30は、第1接続部12から出力され、制御ユニット2から送信された測定データ52(
図8参照)を解析するように構成されている。また、第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定するように構成されている。第3制御部30は、測定データ52の解析として、たとえば、測定データ52の信号波形から、磁性体90(
図2(A)参照)の損傷位置に対応するピークの取得などを行う。第3制御部30は、たとえば、CPUなどのプロセッサまたは回路(Circuitry)、および、メモリなどを含む。
【0034】
第2記憶部31は、後述する閾値55(
図8参照)が記憶されている。また、第2記憶部31は、制御ユニット2から送信された測定データ52を記憶するように構成されている。第2記憶部31は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置である。
【0035】
表示部32は、測定データ52などを表示するように構成されている。また、表示部32は、操作者が磁性体検査システム100を操作する際の操作画面32a(
図9(A)参照)を表示するように構成されている。また、表示部32は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない旨を表示するように構成されている。表示部32は、たとえば、液晶モニタなどの表示装置を含む。なお、表示部32は、特許請求の範囲の「報知部」の一例である。
【0036】
入力受付部33は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部33は、たとえば、磁性体90(
図2(A)参照)の検査の操作入力を受け付け可能に構成されている。入力受付部33は、たとえば、検査開始ボタン34a(
図9(A)参照)、および、検査終了ボタン34b(
図9(B)参照)などの操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部33は、たとえば、マウス、キーボードなどの入力デバイスを含む。
【0037】
第2通信部34は、情報処理ユニット3と制御ユニット2とを通信可能に接続するように構成されている。また、第2通信部34は、検知信号51(
図8参照)を取得するように構成されている。第2通信部34は、たとえば、通信用のインターフェースである。なお、第2通信部34は、特許請求の範囲の、「受信部」の一例である。
【0038】
(センサユニット)
次に、
図2(A)および図(B)を参照して、センサユニット1の構成について説明する。
【0039】
図2(A)に示すように、センサユニット1は、内部に配置された磁性体90の検査を行うように構成されている。本実施形態では、センサユニット1は、磁性体90を、センサユニット1の内部を移動させながら磁性体90の検査を行うように構成されている。
【0040】
また、センサユニット1は、第1筐体部1aと、第2筐体部1bとを含み、分割可能に構成されている。本実施形態では、第1筐体部1aおよび第2筐体部1bは、互いに離間するように分割可能に構成されている。なお、本実施形態では、励振コイル10(
図1参照)および検知コイル11(
図1参照)も、分割可能に構成されている。励振コイル10および検知コイル11が分割可能な構成については、後述する。
【0041】
また、本実施形態では、第2筐体部1bの側面1cには、第1報知部14および電力供給切替スイッチ15が設けられている。
【0042】
本実施形態では、
図2(B)に示すように、電力供給切替スイッチ15は、電力供給復帰スイッチ15aと、電力供給スイッチ15bとを含む。電力供給復帰スイッチ15aおよび電力供給スイッチ15bの詳細な構成については、後述する。
【0043】
(制御ユニット)
次に、
図3を参照して、制御ユニット2について説明する。
【0044】
制御ユニット2の筐体2aには、第2報知部22、主電源ボタン26、および、制御ユニット電源ボタン27が設けられている。主電源ボタン26が操作されることにより、電力源24から制御ユニット2の各部に対して電力が供給可能な状態となる。また、この際、センサユニット1(
図1参照)に対する電力24aの供給が開始される。また、主電源ボタン26が操作された後、制御ユニット電源ボタン27が操作された際に、第2制御部20(
図1参照)は、制御ユニット2の各部に電力を供給する。
【0045】
(磁界印加部)
図4に示すように、磁性体検査システム100は、磁界印加部4を備えている。磁界印加部4は、磁石40を含み、励振コイル10によって磁性体90の磁化の状態を励振させる前に、磁性体90に対して予め磁界を印加し、磁性体90の磁界の大きさおよび磁界の向きを整えるように構成されている。本実施形態では、磁界印加部4は、センサユニット1に対して、磁性体90が延びる方向(X方向)に離間した位置に設けられている。本実施形態では、磁界印加部4は、センサユニット1に対してX1方向側に設けられている。具体的には、磁界印加部4は、X1方向側に設けられた磁石40aおよび磁石40bを含んでいる。磁石40aは、第1筐体部1a(
図2(A)参照)に設けられている。また、磁石40bは、第2筐体部1b(
図2(A)参照)に設けられている。磁石40(磁石40aおよび磁石40b)は、たとえば、永久磁石である。
【0046】
(励振コイルおよび検知コイル)
次に、
図4~
図7を参照して、励振コイル10および検知コイル11が分割可能な構成について説明する。
【0047】
図4に示すように、励振コイル10は、第1励振コイル部10aと、第2励振コイル部10bとを有している。第1励振コイル部10aは、第1筐体部1a(
図2(A)参照)に設けられている。また、第2励振コイル部10bは、第2筐体部1b(
図2(A)参照)に設けられている。第1励振コイル部10aおよび第2励振コイル部10bは、磁性体90が延びる方向と直交する方向(Z方向)に互いに対向するように設けられている。
【0048】
また、第1励振コイル部10aおよび第2励振コイル部10bは、後述する端子部110a(
図5参照)および端子部112a(
図5参照)によって、電気的に互いに接続されるように構成されている。すなわち、励振コイル10は、第1励振コイル部10aと、第2励振コイル部10bとが接続されることにより、磁性体90の周りを巻回する単一のコイルとなるように構成されている。
【0049】
また、
図4に示すように、検知コイル11は、第1検知コイル部11aと、第2検知コイル部11bとを有している。第1検知コイル部11aは、第1筐体部1a(
図2(A)参照)に設けられている。また、第2検知コイル部11bは、第2筐体部1b(
図2(A)参照)に設けられている。第1検知コイル部11aおよび第2検知コイル部11bは、磁性体90が延びる方向と直交する方向(Z方向)に互いに対向するように設けられている。
【0050】
また、第1検知コイル部11aおよび第2検知コイル部11bは、後述する端子部114a(
図6参照)および端子部116a(
図6参照)によって、電気的に互いに接続されるように構成されている。すなわち、検知コイル11は、第1検知コイル部11aと、第2検知コイル部11bとが接続されることにより、磁性体90の周りを巻回する単一のコイルとなるように構成されている。
【0051】
また、
図4に示すように、励振コイル10は、X方向、Y方向、および、Z方向のいずれにおいても、検知コイル11よりも大きい。したがって、検知コイル11は、励振コイル10の内側に設けられている。具体的には、第1検知コイル部11aは、第1励振コイル部10aの内側に設けられている。すなわち、第1検知コイル部11aは、第1励振コイル部10aを介して、第1筐体部1aに設けられている。
【0052】
また、第2検知コイル部11bは、第2励振コイル部10bの内側に設けられている。すなわち、第2検知コイル部11bは、第2励振コイル部10bを介して、第2筐体部1bに設けられている。
【0053】
図5に示すように、第1励振コイル部10aは、コイル本体110と、コイル本体110が設けられたシート状の基板(プリント基板)111とを含んでいる。コイル本体110は、複数の端子部110aと、互いに対応する2つの端子部110a間を電気的に接続する複数の導線部110bとを有している。複数の端子部110aは、第2励振コイル部10bの後述する複数の端子部112aと電気的に接続されるように構成されている。
【0054】
第2励振コイル部10bは、コイル本体112と、コイル本体112が設けられたシート状の基板(プリント基板)113とを含んでいる。コイル本体112は、複数の端子部112aと、互いに対応する2つの端子部112a間を電気的に接続する複数の導線部112bとを有している。複数の端子部112aは、第1励振コイル部10aの複数の端子部110aと電気的に接続されるように構成されている。
【0055】
励振コイル10(
図4参照)は、第1励振コイル部10aおよび第2励振コイル部10bの各端子部110aおよび112aと、各導線部110bおよび112bとに接続順に電流が流れることにより、磁性体90(
図4参照)の周りを複数回周回する電流が流れるように構成されている。励振コイル10は、励振交流電流が流れることにより、磁性体90の延びる方向(X方向(
図4参照))に沿った磁界を内部(コイルの輪の内側)に発生させるように構成されている。また、励振コイル10は、発生させた磁界を、内部に配置された磁性体90に印加するように構成されている。励振コイル10は、シート状の基板111および基板113が湾曲した状態で接続されることにより、磁性体90を中心とし、導線部110bおよび導線部112bが磁性体90の軸線回りに巻回された単一のコイルとなる。
【0056】
図6に示すように、第1検知コイル部11aは、コイル本体114と、コイル本体114が設けられたシート状の基板(プリント基板)115とを含んでいる。コイル本体114は、複数の端子部114aと、互いに対応する2つの端子部114a間を電気的に接続する複数の導線部114bとを有している。複数の端子部114aは、第2検知コイル部11bの後述する複数の端子部116aと電気的に接続されるように構成されている。
【0057】
第2検知コイル部11bは、コイル本体116と、コイル本体116が設けられたシート状の基板(プリント基板)117とを含んでいる。コイル本体116は、複数の端子部116aと、互いに対応する2つの端子部116a間を電気的に接続する複数の導線部116bとを有している。複数の端子部116aは、第1検知コイル部11aの複数の端子部116aと電気的に接続されるように構成されている。
【0058】
検知コイル11(
図4参照)は、第1検知コイル部11aおよび第2検知コイル部11bの各端子部114aおよび116aと、各導線部114bおよび116bとに接続順に電流が流れることにより、磁性体90(
図4参照)の周りを複数回周回する電流が流れるように構成されている。検知コイル11は、励振コイル10によって磁化の状態が励振された磁性体90の磁界の変化を検知するように構成されている。すなわち、検知コイル11は、励振コイル10によって磁性体90の磁界が変化されることにより生じる誘導電流を、検知信号51(
図8参照)として出力するように構成されている。検知コイル11は、シート状の基板115および基板117が湾曲した状態で接続されることにより、磁性体90を中心とし、導線部114bおよび導線部116bが磁性体90の軸線回りに巻回された単一のコイルとなる。
【0059】
また、
図7(A)および
図7(B)に示すように、励振コイル10は、開状態と、閉状態とを切替可能に構成されている。なお、検知コイル11についても、開状態と閉状態とに切り替え可能に構成されている。本実施形態では、第1励振コイル部10aおよび第1検知コイル部11aが第1筐体部1a(
図2(A)参照)に設けられており、第2励振コイル部10bおよび第2検知コイル部11bが第2筐体部1b(
図2(A)参照)に設けられているため、操作者がセンサユニット1を分割した際には、励振コイル10および検知コイル11も分割される。
【0060】
図7(A)に示す開状態は、磁性体90が延びる方向(X方向)と交差する方向(Y方向)の少なくとも一方から磁性体90を挿入可能な間隔80が設けられた状態である。具体的には、開状態は、第1励振コイル部10aおよび第1検知コイル部11aと、第2励振コイル部10bおよび第2検知コイル部11bとが、Z方向に離間した状態である。
図7(A)に示す例では、間隔80は、励振コイル10のY2方向側に設けられた第1間隔80aと、励振コイル10のY1方向側に設けられた第2間隔80bとを含む。したがって、
図7(A)に示す例では、励振コイル10および検知コイル11は、Y2方向およびY1方向のいずれの方向からも、磁性体90を挿入可能である。
【0061】
また、
図7(B)に示す閉状態は、励振コイル10および検知コイル11が、磁性体90を取り囲む状態である。具体的には、閉状態とは、第1励振コイル部10aと第2励振コイル部10bとが接続されており、かつ、第1検知コイル部11aと第2検知コイル部11bとが接続されている状態である。すなわち、閉状態とは、励振コイル10に対して電力24b(
図1参照)が供給された場合に、励振コイル10に対して電流が流れる状態である。閉状態において磁性体90がX方向に移動することにより、磁性体90の検査を行うことができる。
【0062】
ここで、励振コイル10が開状態となった場合、第1励振コイル部10aおよび第2励振コイル部10bがむき出しなる。そのため、電力供給切替スイッチ15(
図1参照)は、励振コイル10が開状態の場合に、励振コイル10に対する電力24bの供給を停止する状態となるように構成されている。また、本実施形態では、励振コイル10が開状態となった後、再び、閉状態となった場合でも、励振コイル10に対する電力24bの供給を停止する状態が維持される。そして、操作者により電力供給切替スイッチ15(電力供給復帰スイッチ15a(
図2(B)参照)および電力供給スイッチ15b(
図2(B)参照))が操作されたことに基づいて、励振コイル10に対して電力24bを供給する状態となるように構成されている。言い換えると、センサユニット1(
図1参照)は、励振コイル10が開状態となった後、閉状態となった場合でも、励振コイル10に対する電力24bの供給を自動的に再開させないように構成されている。
【0063】
(磁性体の検査の流れ)
次に、
図8を参照して、磁性体検査システム100が磁性体90(
図2(A)参照)の検査を行う流れについて説明する。
【0064】
センサユニット1および制御ユニット2が、磁性体90が設けられている施設(設備)に配置される。
【0065】
センサユニット1は、操作者によって分割され(センサユニット1が開状態とされ)、内部に磁性体90が配置される。そして、センサユニット1が閉じられる(センサユニット1が閉状態とされる)。なお、本実施形態では、第1制御部13は、励振コイル10が分割され、再び接続された後に、電力供給復帰スイッチ15aが操作された場合、励振コイル10に対して電力24b(
図1参照)を供給可能な状態とする制御を行う。また、第1制御部13は、電力供給スイッチ15b(
図2(B)参照)が操作者に操作されることにより、励振コイル10に対する電力24bの供給を開始する制御を行う。本実施形態では、第1制御部13は、たとえば、電力供給スイッチ15bが所定時間押下し続けられた場合に、励振コイル10に対する電力24bの供給を開始する。
【0066】
次に、制御ユニット2の主電源ボタン26(
図3参照)および制御ユニット電源ボタン27(
図3参照)が操作されることにより、制御ユニット2およびセンサユニット1に対して電力24aが供給される。
【0067】
センサユニット1に対して電力24aが供給されると、検知コイル11は、制御ユニット2に対する検知信号51の送信を開始する。具体的には、検知コイル11は、第1接続部12(
図1参照)および第2接続部23を介して、第2制御部20に対して検知信号51を送信する。
【0068】
操作者は、電力供給切替スイッチ15を操作し、励振コイル10に対して電力24bが供給される状態とする。その後、情報処理ユニット3において、操作者が検査開始の操作を行うことにより、磁性体90の検査が開始される。具体的には、情報処理ユニット3は、測定データ52の解析を開始する。なお、操作者が検査開始の操作を行った場合、第3制御部30は、第2制御部20に対して、検査開始信号50を送信する。
【0069】
検査開始信号50を受信した第2制御部20は、第3制御部30に対して、測定データ52を送信する。
【0070】
また、操作者が、情報処理ユニット3において検査終了の操作を行った場合、磁性体90の検査が終了される。操作者が検査終了の操作入力を行った場合、第3制御部30は、第2制御部20に対して検査終了信号53を送信する。検査終了信号53を受信した第2制御部20は、第3制御部30に対する測定データ52の送信を停止する。
【0071】
ここで、本実施形態によるセンサユニット1(検知コイル11)は、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かにかかわらず、検知信号51を制御ユニット2に対して出力し続ける。そのため、操作者が励振コイル10に対する電力24bの供給を再開しない状態で、磁性体90の検査を行った場合、磁性体90の磁化の状態が励振されず、検知コイル11からは磁性体90の損傷に起因する磁界の変化が含まれない無意味な検知信号51が送信される。なお、制御ユニット2(第2制御部20)は、情報処理ユニット3からの検査開始信号50の送信が行われるまでは、センサユニット1から取得した検知信号51を破棄し続ける。
【0072】
したがって、本実施形態では、報知部は、電力供給切替スイッチ15が励振コイル10に対して電力24bを供給する状態になっていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知するように構成されている。第1制御部13は、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定する。具体的には、第1制御部13は、電力供給スイッチ15bのオンオフの状態を判断することや、所定のラインの電圧値を判断することなどによって、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定することができる。第1制御部13は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない状態となった後、電力供給復帰スイッチ15a(
図2(B)参照)および電力供給スイッチ15b(
図2(B)参照)の操作が行われるまでは、励振コイル10に対して電力24bを供給する状態になっていないと判定する。
【0073】
なお、第1制御部13は、電力源24から供給された電力24aのうちの電力24bを、電力供給切替スイッチ15を介して、励振コイル10に対して供給する。本実施形態では、第1制御部13は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合に、第1接続部12を介して、制御ユニット2に対して後述するアラーム信号54を出力する制御を行うように構成されている。また、第1制御部13は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合に、第1報知部14による報知を行うように構成されている。
【0074】
第2制御部20は、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定する。具体的には、第2制御部20は、第1制御部13からアラーム信号54を受信した場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定するように構成されている。
【0075】
第1制御部13は、電力24bと閾値55とに基づいて、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定するように構成されている。具体的には、第1制御部13は、励振コイル10に印加される電圧の実効値が、閾値55よりも小さくなった場合に、第2制御部20に対してアラーム信号54を出力する制御を行う。なお、閾値55は、情報処理ユニット3において操作者によって設定される。また、閾値55は、第3制御部30から、制御ユニット2を介してセンサユニット1に送信される。センサユニット1に対する閾値55の送信は、磁性体検査システム100を起動した際、および、閾値55の値が変更された場合に行われる。なお、第1制御部13は、励振コイル10に対して印加される電圧のピーク値、最大値などと閾値55とを比較することにより、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0076】
第2制御部20は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、磁性体90の検査の開始を禁止する制御を行うように構成されている。具体的には、第2制御部20は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、入力受付部33による磁性体90の検査を開始する操作入力を受け付けないようにする制御を行うように構成されている。より具体的には、第2制御部20は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、第3制御部30に対して、アラーム54aを送信する。
【0077】
第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定する。具体的には、第3制御部30は、第2制御部20からアラーム54aを受信した場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定するように構成されている。
【0078】
第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、磁性体90の検査の開始を禁止する制御を行うように構成されている。具体的には、アラーム54aを取得した場合、第3制御部30は、入力受付部33による磁性体90の検査を開始する操作入力を受け付けないようにする制御を行う。
【0079】
図9(A)は、励振コイル10(
図8参照)に対して電力24a(
図8参照)が供給されている状態において、表示部32(
図1参照)に表示される操作画面32aである。操作画面32aには、検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bが表示されている。また、操作画面32aは、測定データ52(
図8参照)を表示する測定データ表示欄35を含む。検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bは、GUI(Graphical User Interface)における押しボタンである。
【0080】
励振コイル10に対して電力24bが供給されている状態では、検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bは、操作可能な状態となっている。すなわち、励振コイル10に対して電力24bが供給されている状態では、第3制御部30は、検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bを押下可能な状態とする制御を行う。そのため、操作者は、磁性体90(
図2(A)参照)の検査の開始および終了の操作を行うことができる。
【0081】
図9(B)は、励振コイル10(
図8参照)に対して電力24a(
図8参照)が供給されていない状態における操作画面32bである。操作画面32bでは、検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bが操作不可になっている。すなわち、第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない状態では、検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bを押下不可な状態とする制御を行う。そのため、操作者は、検査の開始および終了の操作を行うことができない。なお、
図9(B)に示す例では、検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bを破線で図示することにより、検査開始ボタン34aおよび検査終了ボタン34bが押下不可な状態であることを示している。
【0082】
また、
図9(B)に示すように、第3制御部30(
図8参照)は、第2制御部20(
図8参照)からアラーム54a(
図8参照)を取得した場合、アラーム54aを操作画面32bに表示させる。具体的には、第3制御部30は、操作画面32bにおいてポップアップ36を表示させることにより、アラーム54aを表示させる。なお、第3制御部30は、第2制御部20からアラーム54aが出力されている限り、ポップアップ36の表示を続ける。また、ポップアップ36は、操作者の操作入力により、非表示とすることが可能である。
【0083】
(励振コイルに対する電力の供給状態の判定処理)
次に、
図10を参照して、磁性体検査システム100(
図8参照)が、励振コイル10(
図8参照)に対する電力24a(
図8参照)の供給状態を判定する処理について説明する。なお、
図10に示す励振コイル10に対する電力24bの供給状態の判定は、磁性体90(
図2(A)参照)の検査が開始されるまでは、所定の周期で実行される。
【0084】
ステップ200において、第1制御部13(
図8参照)は、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定する。励振コイル10に対して電力24bが供給されている場合、第1制御部13の処理は、終了する。励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合、処理は、ステップ201へ進む。
【0085】
ステップ201において、第1制御部13は、第2制御部20(
図8参照)に対して、アラーム信号54(
図8参照)を送信する。
【0086】
ステップ202において、第1制御部13は、第1報知部14(
図1参照)を点灯させる。その後、第1制御部13の処理は、終了する。なお、第1制御部13は、上記ステップ200における判定処理を、所定の時間間隔毎に実行する。
【0087】
次に、ステップ300において、第2制御部20は、第1制御部13からアラーム信号54を受信したか否かを判定する。アラーム信号54を受信していない場合、第2制御部20の処理は、終了する。アラーム信号54を受信した場合、処理は、ステップ301へ進む。
【0088】
ステップ301において、第2制御部20は、第3制御部30(
図8参照)に対して、アラーム54a(
図8参照)を送信する。
【0089】
ステップ302において、第2制御部20は、第2報知部22(
図1参照)を点灯させる。その後、第2制御部20の処理は、終了する。なお、第2制御部20は、上記ステップ300における判定処理を、所定の時間間隔毎に実行する。
【0090】
次に、ステップ400において、第3制御部30は、アラーム54aを受信したか否かを判定する。アラーム54aを受信した場合、処理は、ステップ401へ進む。アラーム54aを受信しなかった場合、処理は、ステップ403へ進む。
【0091】
ステップ401において、第3制御部30は、検査開始の操作入力を受け付け不可にする制御を行う。また、第3制御部30は、検査終了の操作入力を受け付け不可にする。具体的には、第3制御部30は、操作画面32b(
図9(B)参照)において、検査開始ボタン34a(
図9(B)参照)および検査終了ボタン34b(
図9(B)参照)を操作不可にする制御を行う。
【0092】
ステップ402において、第3制御部30は、操作画面32bにおいて、アラーム54aを表示する。その後、第3制御部30の処理は、終了する。
【0093】
ステップ400からステップ403に処理が進んだ場合、ステップ403において、第3制御部30は、検査開始の操作入力を受け付け可能に制御する。また、第3制御部30は、検査終了の操作入力を受け付け可能にする。その後、第3制御部30の処理は、終了する。なお、第3制御部30は、ステップ400における処理は、所定の時間間隔毎に実行する。
【0094】
次に、
図11を参照して、磁性体検査システム100(
図8参照)が、磁性体90(
図2(A)参照)の検査を行う処理について説明する。
【0095】
ステップ210において、第1制御部13(
図8参照)は、検知コイル11(
図8参照)による検知信号51(
図8参照)の取得を開始する。
【0096】
ステップ211において、第1制御部13は、第2制御部20(
図8参照)に対して検知信号51を出力する。その後、第1制御部13の処理は、終了する。なお、上記ステップ210およびステップ211の処理は、センサユニット1に対して電力24a(
図8参照)が供給されている間中、実行される。
【0097】
次に、処理は、第3制御部30(
図8参照)の処理に移る。すなわち、ステップ410において、第3制御部30は、検査開始の操作入力を受け付けたか否かを判定する。具体的には、第3制御部30は、操作者が行った検査開始ボタン34a(
図9(A)参照)を押下する操作入力を受け付けたか否かを判定する。検査開始の操作入力を受け付けた場合、処理は、ステップ411へ進む。検査開始の操作入力を受け付けなかった場合、ステップ410の処理を繰り返す。
【0098】
ステップ411において、第3制御部30は、検査開始信号50(
図8参照)を、第2制御部20に対して送信する。
【0099】
次に、処理は、第2制御部20の処理に移る。すなわち、ステップ310において、第2制御部20は、第3制御部30から、検査開始信号50を受信したか否かを判定する。検査開始信号50を受信していない場合、処理は、ステップ311へ進む。検査開始信号50を受信した場合、処理は、ステップ312へ進む。
【0100】
ステップ311において、第2制御部20は、第1制御部13から受信した検知信号51を破棄する。
【0101】
また、ステップ310からステップ312に処理が進んだ場合、ステップ312において、第2制御部20は、測定データ52(
図8参照)を第3制御部30に対して送信する。
【0102】
次に、処理は、第3制御部30の処理に移る。すなわち、ステップ412において、第3制御部30は、第2制御部20から測定データ52を受信する。
【0103】
ステップ413において、第3制御部30は、測定データ52の解析を行う。ステップ414において、第3制御部30は、測定データ52の解析結果を表示部32(
図1参照)において表示する。
【0104】
ステップ415において、第3制御部30は、検査終了の操作入力を受け付けたか否かを判定する。具体的には、第3制御部30は、操作者が行った検査終了ボタン34b(
図9(A)参照)を押下する操作入力を受け付けたか否かを判定する。検査終了の操作入力を受け付けた場合、処理は、ステップ416へ進む。検査終了の操作入力を受け付けなかった場合、処理は、ステップ412へ進む。
【0105】
ステップ416において、第3制御部30は、測定データ52の取得を停止する。具体的には、第3制御部30は、第2制御部20に対して、検査終了信号53(
図8参照)を送信する。検査終了信号53を受信した第2制御部20は、第3制御部30への測定データ52の送信を終了する。その後、第3制御部30の処理は、終了する。
【0106】
次に、処理は、第2制御部20の処理に移る。すなわち、ステップ313において、第2制御部20は、検査終了信号53を受信したか否かを判定する。検査終了信号53を受信していない場合、第2制御部20は、ステップ313の処理を繰り返す。検査終了信号53を受信した場合、処理は、ステップ314へ進む。
【0107】
ステップ314において、第2制御部20は、測定データ52の送信を停止する。その後、第2制御部20の処理は、終了する。
【0108】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0109】
本実施形態では、上記のように、磁性体検査システム100は、磁性体90の磁化の状態を励振させる励振コイル10と、励振コイル10によって磁化の状態が励振された磁性体90の磁界の変化を検知する検知コイル11と、検知コイル11によって検知された検知信号51を取得して解析する制御部(第3制御部30)と、少なくとも検査開始時において、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知する報知部と、を備える。
【0110】
これにより、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合には、報知部によって、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことが報知されるので、操作者は、検査を開始する前に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを把握することができる。その結果、励振コイル10によって磁性体90の磁化の状態が励振されない状態において、磁性体90の検査を行うことを抑制することが可能な磁性体検査システム100を提供することができる。これにより、磁性体90の損傷を正確に検知できなくなることを抑制することができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、センサユニット1と、制御ユニット2と、情報処理ユニット3とを備え、センサユニット1は、磁性体90の磁化の状態を励振させる励振コイル10と、励振コイル10によって磁化の状態が励振された磁性体90の磁界の変化を検知する検知コイル11と、検知コイル11によって検知された検知信号51を出力する信号出力部(第1接続部12)とを有し、制御ユニット2は、信号出力部(第1接続部12)から出力された検知信号51を取得し、情報処理ユニット3に送信する送信部(第1通信部25)を有し、情報処理ユニット3は、検知信号51を受信する受信部(第2通信部34)と、受信した検知信号51を解析するとともに、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定する制御部(第3制御部30)と、少なくとも検査開始時において、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定された場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知する報知部とを有する。
【0112】
このように構成しても、励振コイル10によって磁性体90の磁化の状態が励振されない状態において、磁性体90の検査を行うことを抑制することが可能な磁性体検査システム100を提供することができる。また、たとえば、センサユニット1と制御ユニット2とを検査対象である磁性体90の近傍に配置し、情報処理ユニット3を、センサユニット1および制御ユニット2とは離れた場所に配置した状態で磁性体90の検査を行う際に、検査開始時に励振コイル10に電力24aが供給されていない状態である場合には、離れた場所の操作者に励振コイル10に電力24aが供給されていないことを報知することができる。その結果、離れた場所の操作者が磁性体90の検査を行う場合でも、無意味なデータが生成されることを抑制することができる。
【0113】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0114】
すなわち、本実施形態では、上記のように、励振コイル10に対して電力24bを供給する電力源24と、操作者の操作によって電力源24による励振コイル10に対する電力24bの供給を行うか否かを切り替える電力供給切替スイッチ15と、をさらに備え、報知部は、電力供給切替スイッチ15が励振コイル10に対して電力24bを供給する状態になっていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知するように構成されている。これにより、電力供給切替スイッチ15が励振コイル10に対して電力24bを供給する状態になっていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことが報知される。したがって、操作者は、電力供給切替スイッチ15が励振コイル10に対して電力24bを供給する状態となる操作を操作者が行う前に検査を開始しようとした場合に、電力供給切替スイッチ15が励振コイル10に対して電力24bを供給できない状態であることを容易に把握することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、報知部は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない旨を表示する表示部32を含む。これにより、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない旨を表示部32に表示することにより、操作者に対して視覚的に報知することができる。その結果、電力供給切替スイッチ15が励振コイル10に対して電力24bを供給できない状態であることを、視覚的に容易に把握することができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、第1制御部13、第2制御部20および/または第3制御部30は、電力供給切替スイッチ15が励振コイル10に対して電力24bを供給する状態になっていない場合に、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定するように構成されている。これにより、第1制御部13、第2制御部20および/または第3制御部30の判定結果に基づいて、磁性体90の検査を行うか否かの制御を行うことができる。その結果、励振コイル10に対して電力24bを供給する状態になっていない場合には、磁性体90の検査を行うことが不可能な状態に制御することが可能となるので、無意味な測定データ52が生成されることをより確実に抑制することができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、第2制御部20および/または第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されているか否かを判定し、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、磁性体90の検査の開始を禁止するように制御する。これにより、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない状態で磁性体90の検査が開始されることを防止することができる。その結果、無意味な測定データ52が生成されることを防止することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、操作者の操作入力を受け付ける入力受付部33をさらに備え、第2制御部20および/または第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、入力受付部33による磁性体90の検査を開始する操作入力を受け付けないように制御する。これにより、たとえば、操作者が、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない状態であることが報知部によって報知されたことに気づかない場合でも、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない状態で磁性体90の検査を開始することを抑制することができる。その結果、無意味な測定データ52が生成されることをより効果的に抑制することができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、励振コイル10は、磁性体90が延びる方向(X方向)と交差する方向(Y方向)の少なくとも一方から磁性体90を挿入可能な間隔80が設けられた開状態と、磁性体90を取り囲む閉状態とを切替可能に構成されており、電力供給切替スイッチ15は、励振コイル10が開状態の場合に、励振コイル10に対する電力24bの供給を停止する状態となるように構成されている。これにより、たとえば、励振コイル10が開状態になった場合には、励振コイル10に対する電力24bの供給が停止されるので、励振コイル10が開状態のままで励振コイル10に対して電圧が印加された状態となることを防止することができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、励振コイル10が開状態となった後、再び、閉状態となった場合でも、励振コイル10に対する電力24bの供給を停止する状態が維持され、操作者により電力供給切替スイッチ15が操作されたことに基づいて、励振コイル10に対して電力24bを供給する状態となるように構成されている。これにより、励振コイル10が開状態になった場合には、操作者の操作が行われない限り、励振コイル10に電力24aが供給されることを防止することができる。その結果、たとえば、励振コイル10が閉状態になった際に自動的に励振コイル10に対して電力24bが供給される構成と異なり、操作者が意図しないタイミングで磁性体90の検査が行われることを抑制することができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、磁石40を含み、励振コイル10によって磁性体90の磁化の状態を励振させる前に、磁性体90に対して予め磁界を印加し、磁性体90の磁界の大きさおよび磁界の向きを整える磁界印加部4をさらに備える。これにより、磁界印加部4によって、励振コイル10によって磁性体90の磁化の状態が励振される前に、磁性体90の磁界の大きさおよび磁界の向きが整えられるので、磁性体90の磁界の大きさおよび磁界の向きが整えられない構成と比較して、検知信号51にノイズが生じることを抑制することができる。その結果、検知信号51にノイズが生じることを抑制することが可能となるので、測定データ52の精度が低下することを抑制することができる。
【0122】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0123】
たとえば、上記実施形態では、磁性体検査システム100(センサユニット1)が、電力供給切替スイッチ15を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。センサユニット1は、電力供給切替スイッチ15を備えていなくてもよい。しかしながら、センサユニット1が電力供給切替スイッチ15を備えていない場合、励振コイル10が開状態から閉状態となった場合に、励振コイル10に対して自動的に電力24aを供給するための構成が必要となり、システムの構成が複雑化する。したがって、センサユニット1は、電力供給切替スイッチ15を備えていることが好ましい。
【0124】
また、上記実施形態では、報知部が、表示部32を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、報知部は、表示部32を含まなくてもよい。この場合、情報処理ユニット3に対してLEDなどの発光素子を含む発光装置を設け、光によって励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知するように構成すればよい。
【0125】
また、上記実施形態では、報知部が、第1報知部14、第2報知部22、および、表示部32を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえ、報知部は、第1報知部14、第2報知部22、および、表示部32のいずれか1つ、または、いずれか2つを含んでいてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、第1報知部14および第2報知部22が、光によって励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1報知部14および第2報知部22は、音によって励振コイル10に対して電力24bが供給されていないことを報知するように構成されていてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、第3制御部30が、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、磁性体90の検査の開始を禁止する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていない場合に、その旨を報知すれば、磁性体90の検査の開始を禁止にしなくてもよい。しかしながら、第3制御部30が磁性体90の検査の開始を禁止しない場合、励振コイル10によって磁性体90の磁化の状態が励振されない状態のままの検知信号51が出力され、測定データ52が無意味なデータとなる。そのため、第3制御部30は、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、磁性体90の検査の開始を禁止するように構成されることが好ましい。
【0128】
また、上記実施形態では、第3制御部30が、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、磁性体90の検査の開始を禁止する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1制御部13、および、第3制御部30のいずれかが、第2制御部20が、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、磁性体90の検査の開始を禁止するように構成されていてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、第2制御部20が、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、入力受付部33による磁性体90の検査を開始する操作入力を受け付けないようにする制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。磁性体90の検査の開始が禁止できれば、第2制御部20が行う制御の内容は問わない。
【0130】
また、上記実施形態では、第2制御部20が、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、入力受付部33による磁性体90の検査を開始する操作入力を受け付けないようにする制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1制御部13、および、第3制御部30のいずれかが、励振コイル10に対して電力24bが供給されていないと判定した場合に、入力受付部33による磁性体90の検査を開始する操作入力を受け付けないようにする制御を行うように構成されていてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、励振コイル10および検知コイル11が、互いに離間するように分割可能な構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図12(A)に示す第1変形例のように、第1励振コイル部10aおよび第2励振コイル部10bが、ヒンジ部10cにより接続されていてもよい。また、第1検知コイル部11aおよび第2検知コイル部11bが、ヒンジ部11cにより接続されていてもよい。なお、
図12(A)は、励振コイル10および検知コイル11が、閉状態である。各コイルを開状態とする場合、
図12(B)に示すように、矢印81に沿った方向に第1励振コイル部10aおよび第1検知コイル部11aを回動させればよい。これにより、第1励振コイル部10aは、ヒンジ部10cを中心に回動されるとともに、第1検知コイル部11aは、ヒンジ部11cを中心に回動されるため、励振コイル10および検知コイル11のY2方向側に、第3間隔80cが形成される。したがって、第1変形例による励振コイル10および検知コイル11は、Y2方向側に設けれた第3間隔80cにより、磁性体90が延びる方向と交差する方向(Y2方向)から、磁性体90を挿入することができる。なお、ヒンジ部10cおよびヒンジ部11cは、各コイルのY2方向側に設けられてもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、磁性体検査システム100は、磁性体90が延びる方向(X方向)の一方側(X1方向側)にのみ、磁界印加部4を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図13に示す第2変形例による磁性体検査システム101のように、磁性体90が延びる方向の両側に磁界印加部4を備えていてもよい。すなわち、第2変形例による磁性体検査システム101は、X2方向側において、磁石40cおよび磁石40dを備える。なお、磁石40cは、第1筐体部1a(
図2(A)参照)に設けられており、磁石40dは、第2筐体部1b(
図2(A)参照)に設けられている。また、磁石40cおよび磁石40dは、永久磁石である。
【0133】
また、上記実施形態では、情報処理ユニット3が、PCである構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、情報処理ユニットは、PLC(Programmable Logic Controller)であってもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、本発明の励振コイル10に対する電力24bの供給状況の判定処理、および、磁性体90の検査処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0135】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0136】
(項目1)
磁性体の磁化の状態を励振させる励振コイルと、
前記励振コイルによって磁化の状態が励振された前記磁性体の磁界の変化を検知する検知コイルと、
前記検知コイルによって検知された検知信号を取得して解析する制御部と、
少なくとも検査開始時において、前記励振コイルに対して電力が供給されていない場合に、前記励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知する報知部と、を備える、磁性体検査システム。
【0137】
(項目2)
前記励振コイルに対して電力を供給する電力源と、
操作者の操作によって前記電力源による前記励振コイルに対する電力の供給を行うか否かを切り替える電力供給切替スイッチと、をさらに備え、
前記報知部は、前記電力供給切替スイッチが前記励振コイルに対して電力を供給する状態になっていない場合に、記励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知するように構成されている、項目1に記載の磁性体検査システム。
【0138】
(項目3)
前記報知部は、前記励振コイルに対して電力が供給されていない旨を表示する表示部を含む、項目1または2に記載の磁性体検査システム。
【0139】
(項目4)
前記制御部は、前記励振コイルに対して電力が供給されているか否かを判定し、前記励振コイルに対して電力が供給されていないと判定した場合に、前記磁性体の検査の開始を禁止するように制御する、項目1~3のいずれか1項に記載の磁性体検査システム。
【0140】
(項目5)
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記励振コイルに対して電力が供給されていないと判定した場合に、前記入力受付部による前記磁性体の検査を開始する操作入力を受け付けないように制御する、項目1~4のいずれか1項に記載の磁性体検査システム。
【0141】
(項目6)
前記励振コイルは、前記磁性体が延びる方向と交差する方向の少なくとも一方から前記磁性体を挿入可能な間隔が設けられた開状態と、前記磁性体を取り囲む閉状態とを切替可能に構成されており、
前記電力供給切替スイッチは、前記励振コイルが開状態の場合に、前記励振コイルに対する電力の供給を停止する状態となるように構成されている、項目2に記載の磁性体検査システム。
【0142】
(項目7)
前記励振コイルが開状態となった後、再び、閉状態となった場合でも、前記励振コイルに対する電力の供給を停止する状態が維持され、操作者により前記電力供給切替スイッチが操作されたことに基づいて、前記励振コイルに対して電力を供給する状態となるように構成されている、項目6に記載の磁性体検査システム。
【0143】
(項目8)
センサユニットと、制御ユニットと、情報処理ユニットとを備え、
前記センサユニットは、
磁性体の磁化の状態を励振させる励振コイルと、
前記励振コイルによって磁化の状態が励振された前記磁性体の磁界の変化を検知する検知コイルと、
前記検知コイルによって検知された検知信号を出力する信号出力部とを有し、
前記制御ユニットは、
前記信号出力部から出力された前記検知信号を取得し、前記情報処理ユニットに送信する送信部を有し、
前記情報処理ユニットは、
前記検知信号を受信する受信部と、
受信した前記検知信号を解析するとともに、前記励振コイルに対して電力が供給されているか否かを判定する制御部と、
少なくとも検査開始時において、前記励振コイルに対して電力が供給されていないと判定された場合に、前記励振コイルに対して電力が供給されていないことを報知する報知部とを有する、磁性体検査システム。
【符号の説明】
【0144】
1 センサユニット
2 制御ユニット
3 情報処理ユニット
4 磁界印加部
10 励振コイル
11 検出コイル
12 第1接続部(信号出力部)
14 第1報知部(報知部)
15 電力供給切替スイッチ
20 第2制御部(制御部)
22 第2報知部(報知部)
24 電力源
24a、24b 電力
25 第1通信部(送信部)
32 表示部
33 入力受付部
34 第2通信部(受信部)
40、40a、40b、40c、40d 磁石
90 磁性体
100、101 磁性体検査システム