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特開2023-170290水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法
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  • 特開-水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法 図1
  • 特開-水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法 図2
  • 特開-水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法 図3
  • 特開-水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170290
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 125
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081933
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】520495906
【氏名又は名称】株式会社カナオカホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】金岡 良延
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 孝行
(72)【発明者】
【氏名】早田 智章
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EB13
2C056EB45
2C056EB58
2C056EC12
2C056EC14
2C056EC28
2C056EC29
2C056EC31
2C056EC35
2C056EE18
2C056FA13
2C056FB02
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】 小ロットの発注に対応し、オンデマンド性に優れ、しかもスピイディーなプラスチックフィルムに対する水性インクジェット印刷を可能にする。
【解決手段】熱風によりフィルムがバタつかず蛇行しないように安定した走行ができるとともに収縮を最小限に押さえることができる最適乾燥条件、その乾燥条件下で変化したフィルムの熱収縮を考慮した最適張力条件を、被印刷対象のフィルムの属性およびカバレッジをファクターとして求めるイニシャルプリセットのデータベースを備えるとともに、前記条件下において、各吐出ヘッド間を移動する際のフィルムの伸縮に応じて見当を合わせた吐出位置の情報を上記データベースに追加し、フィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジの情報を入力することにより、イニシャルプリセットのデータベースを参照して、印刷速度、乾燥温度、張力、吐出位置を自動算出し、これらに基づき印刷を行なう。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷対象のフィルムが一定の張力を与えられながらインクの吐出ヘッド部を通過して熱風乾燥経路を走行する水性インクジェット印刷装置において、
熱風乾燥時に熱風によりフィルムがバタつかず蛇行しないように安定した走行ができるとともに収縮を最小限に押さえることができる乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および、その乾燥条件下で変化したフィルムの熱収縮を考慮した最適張力条件を、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジをファクターとして求めることができるイニシャルプリセットのデータベースを備えるとともに、
被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジに応じて得た乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および最適張力条件下において、各吐出ヘッド間を移動する際のフィルムの伸縮に応じて見当を合わせた吐出位置の情報をイニシャルプリセットのデータベースに追加し、
印刷にあたり、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジの情報を入力することにより、イニシャルプリセットのデータベースを参照して、
印刷速度、
乾燥温度、
張力、
吐出位置
を自動算出し、これらに基づき印刷を行なうことを特徴とする水性インクジェット印刷装置。
【請求項2】
フィルムタイプ、銘柄、厚み、紙幅をもって被印刷対象のフィルムの属性とした請求項1記載の水性インクジェット印刷装置。
【請求項3】
被印刷対象のフィルムが一定の張力を与えられながらインクの吐出ヘッド部を通過して熱風乾燥経路を走行する水性インクジェット印刷装置において、
被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジに応じて算出した乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および最適張力条件下において、
各吐出ヘッド間を移動する際のフィルムの伸縮に応じて見当を合わせた吐出位置の情報をデータベース化し、
印刷にあたり、前記情報に基づいて吐出位置を設定することを特徴とする水性インクジェット印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法に関し、特に食品を流通するに際し、それを収容するための包装袋や食品用容器の蓋に使用するプラスチックフィルム製の包装材に最適な印刷方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では食品の流通に際しては、その場で調製した食品を包装して販売する対面販売に代わり、予め食品工場で調製した加工食品類、パン類、菓子類などを包装した包装入り食品を、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店舗で販売する方式が主流となりつつある。
【0003】
前記の販売方式においては包装入り食品は小売店舗の店内の陳列棚などに陳列され、客は購入にあたってはそれを手にとって吟味する。従って、包装自体にも客の購買意欲を惹いたり、客の目につきやすくなるようなデザイン上の工夫が要求される。
【0004】
前記の場合、包装材自体は食品を包装することが第一番の目的なので、その機能を損なうような形状の変更は行うことができず、表面に施される図柄および/または文字(以下、「図柄など」と称する。)の役目が非常に重要となる。
【0005】
前記の図柄などを包装袋や食品用容器の蓋に施す手段としては印刷によることが一般的であり、包装袋や食品用容器の蓋に印刷する場合にはこれらの裏側に印刷(裏刷り)する場合と表側に印刷(表刷り)する場合の2種の印刷方法がある。この場合、食品用包装材においては、食品衛生法により印刷インキが食品に接触することが禁止されているので、これらの裏側に印刷する場合にはプラスチックフィルムの印刷層の側に保護用のプラスチックフィルムを積層しなければならなかった。
【0006】
一方、包装材の表側に印刷する場合には前記のような制約はないが、印刷層が露出するので、包装袋や蓋への加工時に印刷してフィルムを巻き取った際にフィルムの裏面に接触したり、流通時や展示時に他の包装材や物品、あるいは人の手指と接触したりすることにより物理的摩擦や溶媒(アルコールや油)により印刷層が不鮮明にならないよう配慮しなくてはならなかった。
【0007】
前記の場合、プラスチックフィルムは紙などと異なり液体を吸収し難い基材なので、印刷に際しては塗膜密着性の高いグラビアインキを使用するグラビア印刷や、フレキソインキを使用するフレキソ印刷が採用されていた。
【0008】
ところで、印刷に際して製版の必要がなくデジタルデータにより印刷用の画像を生成できるインクジェット印刷はオンデマンド性に優れ、多種の図柄などを随時印刷しなくてはならない食品用包装材に本来は有用な筈であるが採用できなかった。
【0009】
その理由は、インクジェット印刷が可能な水性インクジェットインキは耐摩擦性、アルコール耐性、耐油性、耐水性などの諸物性がなく、簡単にインキが落ちてしまい塗膜密着性が薄弱だからである。この場合、塗膜密着性の高いグラビアインキやフレキソインキは粘度が高すぎるので、ノズルからインキを噴射して付着させるインクジェット印刷においてはノズルから円滑に噴射することが不可能で使用できなかった。
【0010】
図柄などの種類が固定されている固定耐久消費財でなく短期に消費され、しかも内容物に応じて多種多様な図柄などを随時印刷しなくてはならない食品用包装材においては生産効率を向上させるために印刷のスピードアップが不可欠である。
【0011】
しかしながら、新たな図柄などのために版を用意して、その都度製造ラインにセットしなくてはならないグラビア印刷やフレキソ印刷は印刷にとりかかるための工程に時間を要し、スピードアップに限界があった。
【0012】
例えば、グラビア印刷により図柄などを印刷した食品用包装材においては、印刷前に必要な作業(版下入稿+製版)と印刷で計12日を要し、その他後加工(フィルム積層、仕上げ加工)で6日かかり合計18日を要していた。
【0013】
また、前記のようにグラビア印刷は分色と製版手間がかかるので、どうしても最小受注ロットは多目になり、顧客は必要以上の包装材を購入せざるを得ず、廃棄ロスが生じた。
【0014】
一方、インクジェット印刷を袋の裏側に印刷する場合に採用するという選択も容易になし得るが、そのためにはプラスチックフィルムの印刷層の側にプラスチックフィルムを積層する工程を要し、コストと時間を要する問題を生じた。
【0015】
これに関し、本願発明者は下記の発明を創作した。
第一の発明は、食品用包装材を構成すべきプラスチックフィルムの製袋時に表側に位置する面に図柄および/または文字を印刷するにあたり、インクジェットインキを用いて図柄および/または文字をインクジェット印刷した後、上記印刷領域に透明なインクジェットインキをインクジェット印刷により重ね印刷したことを特徴とする発明である(特許文献1)。
【0016】
また、第二の発明は、食品用包装材を構成すべきプラスチックフィルムの表側に位置する面に図柄および/または文字を印刷するにあたり、インクジェットインキを用いて図柄および/または文字をインクジェット印刷した後、透明なUVインキを重ね印刷したことを特徴とする発明である(特許文献2)。
【0017】
また、第三の発明は、食品用包装材を構成すべきプラスチックフィルムの表側に位置する面に図柄および/または文字を印刷するにあたり、インクジェットインキを用いて図柄および/または文字をインクジェット印刷した後、透明なEBインキを重ね印刷したことを特徴とする発明である(特許文献3)。
【0018】
本願発明者による前記の発明によれば、包装袋や食品用容器の蓋の表側に位置する面に図柄などを印刷するにあたり、水性インクジェットインキを用いてインクジェット印刷しても、上記印刷領域に透明なインクジェットインキ、あるいは透明なUVインキ、あるいは透明なEBインキが重ね印刷されて、図柄などの印刷層を保護するので、図柄などの印刷層が露出しない。
【0019】
よって、包装袋や蓋への加工時に印刷してフィルムを巻き取った際にフィルムの裏面に接触したり、流通時や展示時に他の包装材や物品、あるいは人の手指と接触したりすることにより摩擦により図柄などの印刷層が削られて不鮮明になったり削り屑が生じることが防止される。
【0020】
一方、オンデマンド性に優れたインクジェット印刷により印刷が完了するので、新たな図柄などのために版を用意して、製造ラインにセットしなくてはならないグラビア印刷やフレキソ印刷のように印刷にとりかかるための工程の時間を要することがなく、スピードアップを図ることが可能となり、内容物に応じて多種多様な図柄などを随時印刷しなくてはならない食品用包装材の生産効率を飛躍的に高めることができる。
【0021】
前記の発明はプラスチックフィルムの印刷において、水性インクジェットインキは耐摩擦性、アルコール耐性、耐油性、耐水性などの諸物性がなく、簡単にインキが落ちてしまい塗膜密着性が薄弱で採用できないという従来の技術常識を打ち破ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2021-88171
【特許文献2】特開2021-88410
【特許文献3】特開2021-88409
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、いままで誰も着手しなかったプラスチックフィルムへの水性インクジェットインキ印刷を実行した本願発明の発明者は新たな問題に直面した。
【0024】
それは、インクヘッド部(印刷部)が非接触式である水性インクジェット印刷では、印刷するインクヘッド部と乾燥経路を走行するフィルムの張力は同じ条件下になるので、乾燥温度と乾燥経路の張力の影響でフィルムの熱伸縮が発生し見当と寸法を制御できなくなるという問題である。
【0025】
印刷デザインは個々に印字濃度や範囲によりカバレッジが異なるので、印刷条件の乾燥温度と速度がその都度異なる。乾燥温度と速度を安全範囲で固定することで印刷は可能であるが、例えばカバレッジが少ない場合は、印刷機の乾燥能力に合わせて速度をアップさせられる。それを確認するには印刷する都度試し刷りを行い、乾燥する限界を確認しなければならない。限界ギリギリでは乾燥炉内のガイドロールにインキが付着するので、それを印刷前に確認することはできない。よって速度が上げられる印刷でも低速の安全速度のままでしか印刷できない。
【0026】
さらに、乾燥温度と速度の最適条件が事前に分かったとしても、印刷基材になる各種フィルムタイプやその厚みや紙幅が違うだけでも、印刷見当や仕上り寸法に影響する。そのために初版の印刷時には事前に決められる乾燥温度と速度の条件下で最適な張力を選定する必要がある。ここでもそのために何度も試し刷りが必要になる。この試し刷りは何度も見当を合わせて印刷を停止させてサンプルを採るのでロスメーターが多くなり、量産印刷には適さないことになる。
【0027】
図2は水性インクジェット印刷装置におけるフィルムFの流れを示す概念図である。水性インクジェット印刷装置においては白などの無彩色インクはKCMYなどの有彩色インクと同時に印刷すると混色するので、有彩色インクを印字したら(図中のA図)、乾燥路でインキを乾かし、その後無彩色インクを印字し(図中のB図)乾燥させる。ここで明らかなようにインクを印字する各吐出ヘッド間を移動する間にフィルムは加熱により伸縮することになる。従って無彩色インクの吐出ヘッド位置はこの伸縮を見込んで設定しなければならず、これを行なわない印刷結果において各色の見当ズレが生じてしまう。
【0028】
前記の各吐出ヘッド間を移動する間のフィルムの伸縮はフィルムの属性と乾燥温度と走行速度と張力により異なる。よって、フィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジに適する乾燥温度と速度と張力が全て事前に揃っていたとしても、見当の位置はヘッドの標準位置から始めるだけでは印刷結果において各色の見当ズレを生じてしまうので、一発目から見当を合わせることは難しく何度も試し刷りが必要になる。
【0029】
以上のように、水性インクジェット印刷はグラビア印刷機と比べて操作がとても複雑となった。すなわち、印刷条件が印刷柄毎に異なり適正条件を都度設置しスタート前に試し刷りが必要になる。フィルムタイプ・銘柄・厚みが異なると同様に都度設定が必要になる。水性インクジェット印刷は小ロット短納期を主に受注するのが前提なのでこれは小ロット量産機として致命傷であり、オンデマンド性に優れる反面、本来の目的である印刷のスピードアップ化を損なうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本願発明は前記の問題を解消した水性インクジェット印刷装置および水性インクジェット印刷方法を提供することを目的として創作されたものである。
【0031】
すなわち、本願発明の水性インクジェット印刷装置は被印刷対象のフィルムが一定の張力を与えられながらインクの吐出ヘッド部を通過して熱風乾燥経路を走行する水性インクジェット印刷装置において、
熱風乾燥時に熱風によりフィルムがバタつかず蛇行しないように安定した走行ができるとともに収縮を最小限に押さえることができる乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および、その乾燥条件下で変化したフィルムの熱収縮を考慮した最適張力条件を、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジをファクターとして求めることができるイニシャルプリセットのデータベースを備えるとともに、
被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジに応じて得た乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および最適張力条件下において、各吐出ヘッド間を移動する際のフィルムの伸縮に応じて見当を合わせた吐出位置の情報をイニシャルプリセットのデータベースに追加し、
印刷にあたり、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジの情報を入力することにより、イニシャルプリセットのデータベースを参照して、
印刷速度、
乾燥温度、
張力、
吐出位置
を自動算出し、これらに基づき印刷を行なうことを特徴とする。
【0032】
また、請求項2記載の発明は前記の水性インクジェット印刷装置において、フィルムタイプ、銘柄、厚み、紙幅をもって被印刷対象のフィルムの属性としたことを特徴とする。
【0033】
また、請求項3記載の水性インクジェット印刷方法は、被印刷対象のフィルムが一定の張力を与えられながらインクの吐出ヘッド部を通過して熱風乾燥経路を走行する水性インクジェット印刷装置において、
被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジに応じて算出した乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および最適張力条件下において、
各吐出ヘッド間を移動する際のフィルムの伸縮に応じて見当を合わせた吐出位置の情報をデータベース化し、
印刷にあたり、前記情報に基づいて吐出位置を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本願発明の水性インクジェット印刷装置によれば、オンデマンド性に優れたインクジェット印刷が実現され、しかも、印刷にあたり、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジの情報を入力することにより、カバレッジやフィルムタイプ・銘柄・厚みが異なる場合でも印刷速度、乾燥温度、張力を自動算出して、熱風乾燥時に熱風によりフィルムがバタつかず蛇行しないように安定した走行ができるとともに収縮しないように自動調整し、さらに各吐出ヘッド間を移動する際のフィルムの伸縮に応じて見当を合わせて吐出位置を自動調整するプリセット機能を有するので、適正条件を都度設定しスタート前に試し刷りする作業が不要となり、印刷のスピードアップを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本願発明の水性インクジェット印刷装置の概念図。
図2】水性インクジェット印刷装置の概念図。
図3】印刷仕上がり天地寸法に関するグラフ
図4】印刷仕上り左右寸法に関するグラフ
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本願発明の水性インクジェット印刷装置は、
被印刷対象のフィルムが一定の張力を与えられながらインクの吐出ヘッド部を通過して熱風乾燥経路を走行する水性インクジェット印刷装置において、
熱風乾燥時に熱風によりフィルムがバタつかず蛇行しないように安定した走行ができるとともに収縮を最小限に押さえることができる乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および、その乾燥条件下で変化したフィルムの熱収縮を考慮した最適張力条件を、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジをファクターとして求めることができるイニシャルプリセットのデータベースを備えるとともに、
被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジに応じて得た乾燥温度と走行速度からなる最適乾燥条件および最適張力条件下において、各吐出ヘッド間を移動する際のフィルムの伸縮に応じて見当を合わせた吐出位置の情報をイニシャルプリセットのデータベースに追加し、
印刷にあたり、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジの情報 入力することにより、イニシャルプリセットのデータベースを参照して、
印刷速度、
乾燥温度、
張力、
吐出位置
を自動算出し、これらに基づき印刷を行なう。
【0037】
図1は本願発明の水性インクジェット印刷装置の前提となる概念図である。図中符号Fは被印刷対象のフィルムであり、一定の張力を与えられながらインクヘッド部10を通過して熱風乾燥経路20を走行する。インクヘッド部10は非接触式であるので乾燥経路20内の張力と同じ条件になる。乾燥経路20においては乾燥炉内において、ノズルから熱風をインキ面に当てて乾燥させる。
【0038】
本願発明においては、まず、フィルムの属性に応じて、印刷速度、乾燥温度、張力を自動算出して、熱風乾燥時に熱風によりフィルムがバタつかず蛇行しないように安定した走行ができるとともに収縮しないようにこれらを自動調整するものであるが、自動調整にあたっての最適印刷条件として下記のことを知見している。
【0039】
すなわち、印刷基材として一般的に耐熱性の低いフィルムOPP(二軸延伸ポリプロピレン)で水性インクジェット印刷をすると水性インクの乾燥の熱によって印刷の寸法が伸縮し見当が合わなくなり製品寸法も基準を大きく外れて印刷ができない。
【0040】
インクヘッド部(印刷部)は非接触式であるので乾燥炉内の張力と同じ条件となるが、一般的に熱風乾燥はノズルから熱風をインキ面に当てて乾燥させるので、フィルムが風によりバタつかず蛇行しないように安定した走行ができる張力が必要となる。
【0041】
つまり、被印刷対象のフィルムが一定の張力を与えられながらインクヘッド部を通過して熱風乾燥経路を走行する水性インクジェット印刷においては、フィルムの耐熱性などの属性を考慮し、熱風乾燥時に熱風によりフィルムがバタつかず蛇行しないように安定した走行ができる張力をフィルムに対し与えるとともに、上記張力と乾燥温度を被印刷対象のフィルムが張力と温度により収縮しない範囲に調整することが必要となる。
【0042】
前記に関し、本願発明者は水性インクジェット印刷で使用する一般汎用フィルムの中で耐熱性の低いフィルムOPP(二軸延伸ポリプロピレン)でも水性インクジェット印刷ができる最適条件を見つけた。この最適条件を再現すれば水性インクを十分に乾燥させる温度条件下でありながら、乾燥炉内の熱風によるバタつきや蛇行しない安定した走行状態にして、耐熱性の低いフィルムOPP(二軸延伸ポリプロピレン)が熱伸縮せず印刷の見当制御が出来て製品寸法が基準内となる。
【0043】
この場合、一般汎用フィルムOPP(二軸延伸ポリプロピレン):熱収縮率150℃5分条件:MD(タテ)8~30%、TD(ヨコ)5 ~35%を使用する際に問題となる熱伸縮を抑制して印刷見当と寸法再現ができることを目指す。
【0044】
一般汎用フィルムOPP(二軸延伸ポリプロピレン):熱収縮率150℃5分条件:MD(タテ)8~30%、TD(ヨコ)5 ~35%を使用した場合、所定の水性インクが十分に乾燥する乾燥装置で炉長が5.5 mの場合、乾燥温度85℃で速度80m/ 分の条件下で乾燥炉内の張力を20N(760mm幅時10N ~30N )まで低張力にすることにより、印刷後のフィルムの印刷仕上がり寸法は基準以内(タテ±0.2 %、ヨコ±0.2 %)になる。
【0045】
一方、高耐熱OPP(二軸延伸ポリプロピレン):熱収縮率150℃5分条件:MD(タテ)3 ~8 %、TD(ヨコ)2~6%を使用する場合には、乾燥炉内の張力を50N (760mm幅時40N~60N)まで低張力にする。
【0046】
前記の水性インクジェット印刷機では高耐熱OPP(二軸延伸ポリプロピレン):熱収縮率150℃5分条件:MD(タテ)3~8%、TD(ヨコ)2~6 %を使用した場合に、印刷仕上がり寸法が基準以内(タテ±0.2 %、ヨコ±0.2 %)になる。
【0047】
以上の前提として、本願発明の発明者は水性インクジェット印刷で使用する代表的なフィルムを用いて、温度×張力×加熱時間を組み合わせた実験を行い、乾燥に必要な温度と、乾燥炉で安定した走行が可能な張力と、印刷速度に相当する加熱時間から水性インクジェット印刷ができる前記の最適条件を見つけた。この最適条件を再現すれば量産可能な水性・インクジェット印刷機を設計することができる。以下はその実験内容である。
【0048】
〈実験内容〉
・恒温高湿器
ヤマト科学株式会社製型式IG401平衡調温調湿方式(GTHCシステム)
(性能)
温湿度範囲:+5℃~+85℃(87℃可)/40%~9596
温度変動:±1.0℃、温度勾配:5℃、空間温度偏差:5℃
湿度変動:±596rh、湿度勾配:10%rh、空間湿度偏差:1096rh
・使用基材
OPP:東セロ(U-1、20μm)、フタムラ化学(FOR-AQ、20μm)
特殊OPP:東洋紡(P2161、20μm)
PET:東洋紡(E5100、12μm)
・治具
吊るし用クリップ(幅145mm)
重り用クリップ(幅145mm):350g、950g、1,500g
水性インクジェット印刷実機:760m幅時の実験結果より検体サイズ140mmに換算
*実機20N=350g、実機50N=950g、実機80N=1,500g
検体
サイズ:タテ(フィルムTD方向)200mm。ヨコ(フィルムMD方向)140mm
・測定
300mmJls1級金尺+東海産業製ルーペPEAKl0×(目盛り0.1mm)
・温度(各温度設定+湿度40%一定)と加熱時間
75℃(4秒=76℃、11秒=76.5℃、18秒=77℃)
80℃(4秒=81℃、11秒=81.5℃、18秒=82℃)
85℃(4秒=86℃、11秒=86.5℃、18秒=87℃)
恒温槽の温度低下を考慮し各加熱時間でセット温度を変える
水性インクジェット印刷実機:速度と乾燥炉から加熱時間を算出
乾燥炉5.5m、速度80m/分=4秒、30m/分=11秒、0.3m/分=18秒
加熱温度は実機で水性インクが乾燥する条件を組み合わせる
*実機30m/分=75℃、80m/分=85℃、0.3m/分は実機での実験無し
【0049】
◎実験方法
フィルム基材のヨコ(フィルムMD方向)から両サイド・中央の3ヵ所を採取
タテ200mmヨコ140mmのサイズでカットする
検体の中央部のタテとヨコ共に100mm間隔に針で穴を開ける
加熱前にタテとヨコ共に100mmを金尺+ルーペで実測(小数点1桁)し記録する
重り用クリップは指定の重りを選ぶ
検体の上部に吊るし用クリップと下部に重り用クリップを取り付ける
恒温槽は指定の温度(±1℃)になっているのを確認し恒温槽に検体を吊るす
恒温槽のドアを閉めてから指定時間加熱する
指定時間経ったらドアを開けて検体を取り出す
上下部のクリップを取り外す
加熱後にタテとヨコ共に100mmを金尺+ルーペで実測(小数点1桁)し記録
加熱前から加熱後の寸法を差し引き記録
グラフは差し引き寸法(+は伸び、一は縮み)をプロットする
各検体の熱伸縮を確認する
【0050】
〈実験結果〉
【表1】
印刷制御範囲が0.296以内になる吊るしの重量を表記した
(1)OPP:東セロ:U-1では4秒でタテ85℃、11秒でタテ75℃80℃85℃ヨコ85℃の場合350gにすると合格。印刷はタテ・ヨコ同時なので全て350gになる低張力が必要
(2)OPP:フタムラ化学:FOR-AQも東セロ同様、全て350gになる低張力が必要
(3)特殊OPP:東洋紡:P2171は一般OPPより耐熱があるフィルムなので11秒でタテ80℃85℃の場合950gでの張力でも印刷できる
(4)PET:東洋紡E5100はOPPと異なり高耐熱性フィルムなので1,500gの通常張力でも印刷できる
【0051】
〈実験結果詳細グラフ〉
(1)75℃:OPPタテ熱伸縮<東セロU-1#20>
【表2】
【0052】
(1)75℃:OPPヨコ熱伸縮<東セロU-1#20>
【表3】
(1)75℃の場合、実機で水性インクは速度30m/分=11秒で乾燥するので印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
11秒の張力950gではタテで限度少し超え、350gであれば合格
【0053】
(1)80℃:OPPタテ熱伸縮<東セロU-1#20>
【表4】
【0054】
(1)80℃:OPPヨコ熱伸縮<東セロU-1#20>
【表5】
(1)80℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥限界だが
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
4秒の張力950gでタテ・ヨコ共合格
【0055】
(1)85℃:OPPタテ熱伸縮<東セロU-1#20>
【表6】
【0056】
(1)85℃:OPPヨコ熱伸縮<東セロU-1#20>
【表7】
(1)85℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥する
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
4秒の張力950gはタテで限度少し超え、350gであれば合格
【0057】
(2)75℃:OPPタテ熱伸縮<フタムラ化学FOR-AQ#20>
【表8】
【0058】
(2)75℃:OPPヨコ熱伸縮<フタムラ化学FOR-AQ#20>
【表9】
(2)75℃の場合、実機で水性インクは速度30m/分=11秒で乾燥するので
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
11秒の張力950gではタテが限度超え、350gであれば合格
【0059】
(2)80℃:OPPタテ熱伸縮<フタムラ化学:FOR-AQ#20>
【表10】
【0060】
(2)80℃:OPPヨコ熱伸縮<フタムラ化学:FOR-AQ#20>
【表11】
(2)80℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥限界だが
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
4秒の張力950gではタテで限度少し超え、350gであれば合格
【0061】
(2)85℃:OPPタテ熱伸縮<フタムラ化学:FOR-AQ#20>
【表12】
【0062】
(2)85℃:OPPヨコ熱伸縮<フタムラ化学:FOR-AQ#20>
【表13】
(2)85℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥する
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0,296以下は
4秒の張力950gではタテで限度少し超え、350gであれば合格
【0063】
(3)75℃:特殊OPPタテ熱伸縮<東洋紡P2171 20μ>
【表14】
【0064】
(3)75℃:特殊OPPヨコ熱伸縮<東洋紡P2171 20μ
【表15】
(3)75℃の場合、実機で水性インクは速度30m/分=11秒で乾燥するので
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.296以下は
耐熱性があるタイプなので11秒の張力1,500gでもタテ・ヨコ共に合格
【0065】
(3)80℃:特殊OPPタテ熱伸縮<東洋紡P2171 20μ>
【表16】
【0066】
(3)80℃:特殊OPPヨコ熱伸縮<東洋紡P2171 20μ>
【表17】
【0067】
(3)80℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥限界だが
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
耐熱性があるタイプなので4秒の張力1,500gでもタテ・ヨコ共に合格
【0068】
(3)85℃:特殊OPPタテ熱伸縮<東洋紡P2171 20μ>
【表18】
【0069】
(3)85℃:特殊OPPヨコ熱伸縮<東洋紡P2171 20μ>
【表19】
(3)85℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥する
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
耐熱性があるタイプなので4秒の張力1,500gでもタテ・ヨコ共に合格
【0070】
(4)75℃:PETタテ熱伸縮<東洋紡E5100 12μ>
【表20】
【0071】
(4)75℃:PETヨコ熱伸縮<東洋紡E5100 12μ>
【表21】
【0072】
(4)75℃の場合、実機で水性インクは速度30m/分=11秒で乾燥するので
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
耐熱性があるタイプなので11秒の張力1,500gでもタテ・ヨコ共に合格
【0073】
(4)80℃:PETタテ熱伸縮<東洋紡E5100 12μ>
【表22】
【0074】
(4)80℃:PETヨコ熱伸縮<東洋紡E5100 12μ>
【表23】
(4)80℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥限界だが
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
耐熱性があるタイプなので4秒の張力1,500gでもタテ・ヨコ共に合格
【0075】
(4)85℃:PETタテ熱伸縮<東洋紡E510012μ>
【表24】
【0076】
(4)85℃:PETヨコ熱伸縮<東洋紡E510012μ>
【表25】
(4)85℃の場合、実機で水性インクは速度80m/分=4秒で乾燥する
印刷制御可能な範囲:タテ・ヨコの伸縮が0.2%以下は
耐熱性があるタイプなので4秒の張力1,500gでもタテ・ヨコ共に合格
【0077】
本願発明の特徴は使用するフィルムの属性(フィルムタイプ、銘柄、厚み、紙幅)とデザインに関するカバレッジを印刷直前に入力すると、水性インキの最適乾燥条件(乾燥温度と速度)と、使用する基材に合った最適張力条件(各種条件になる各駆動ロールの引き率)を一斉に自動設定して最適印刷条件を簡単に設定することができるイニシャルプリセット機能にある。
【0078】
すなわち、事前テストで得られた乾燥条件ファクター(フィルムタイプ、銘柄、厚み、紙幅、デザインに関するカバレッジ)から得られた最適乾燥条件(乾燥温度、速度)と、その乾燥条件下で変化したフィルムの熱収縮を考慮した最適張力条件(各種条件になる各駆動ロールの引き率)のデータベースを作成しておく。印刷直前にイニシャルプリセット設定画面からフィルムタイプ、銘柄、厚み、紙幅を選択して、尚且つデザインに関するカバレッジの%値を入力すれば、初版から試し刷り無しで最適印刷条件になる乾燥温度、速度と、その乾燥条件下で変化したフィルムの熱収縮を考慮した最適張力条件(各種条件になる各駆動ロールの引き率)を自動で一斉に設定できる。
【0079】
次に印刷見当合わせは初版印刷時にイニシャルプリセットで自動設定された最適印刷条件下で有彩色の4色と無彩色の白の見当を合わせる。この場合イニシャルプリセットが最適乾燥条件と最適張力条件を自動設定しているので、その条件下でフィルムが熱収縮している状態に見当が合う位置を事前テストで把握しておきイニシャルプリセットのデータベースに追加で保存をしておく。
【0080】
すなわち、事前テストで得られた乾燥条件ファクター(フィルムタイプ、銘柄、厚み、紙幅、デザインに関するカバレッジ)から得られた最適乾燥条件(乾燥温度、速度)と、その乾燥条件下で変化したフィルムの熱収縮を考慮した最適張力条件(各種条件になる各駆動ロールの引き率)の条件下で、更にその状態で見当が合っているヘッドの吐出位置の情報をイニシャルプリセットのデータベースに追加しておく。これにより初版の印刷時でも何度も試し刷りをすることもなく初回から見当が合うようになる。初版で初回の一発目から見当を合わせる事ができる様になるので、それまでのロスがほぼなくなり量産印刷が可能になる。以下はその具体例である。
【0081】
イニシャルプリセット機能は、先ず使用する基材のファクター(フィルムタイプ、銘柄、厚み、紙幅=実施例:OPP、東セロ、U-1、#20、760mm)とデザインに関するカバレッジ(実施例:4色のカバレッジ=100%、白2色のカバレッジ=140%)を印刷直前に入力すると、水性インキの最適乾燥条件(乾燥温度88℃、速度80m/分)と、使用する基材に合った最適張力条件(各種条件になる各駆動ロールの引き率:超弱パターン=張力20~25N)を一斉に自動設定して最適印刷条件を簡単に設定することができる。
【0082】
図3および図4は印刷仕上がり寸法、印刷見当に関するグラフである。印刷仕上がり寸法は、事前テストで調べ済みのイニシャルプリセットのデータベースから例えば図3に示す条件下の場合は、図3のグラフのように:天地0.00±0. 1%、図4のグラフのように:左右 0. 30±0. 1%となり、左右寸法が基準内でなければ印刷前にデザイン寸法を拡大して基準内に仕上げる。つまり事前に調整作業で対応出来るので初回1回目から印刷が仕上がる。
【0083】
印刷見当は、例えば図3に示す条件下の最適乾燥条件(乾燥温度88℃、速度80m/分)と、使用する基材に合った最適張力条件(各種条件になる各駆動ロールの引き率:超弱パターン=張力20~25N)で乾燥時にフィルムが熱収縮をしているので、特に4色CMYKとその後に印刷する白2色の見当がずれたままになる。事前テストで調べ済みのイニシャルプリセットの見当に関するデータベースが必要になる。それは見当が合っている状態でのデータ(例:CMYの各色と白×2度がK(墨)位置からのずれた差分(天地と左右)が基準の±0.2mm内)の時の、全4色と白×2色のヘッド位置情報データ(例:CMYK4色×全7ヘッド、白×2=全7ヘッドの位置情報)になる。
【0084】
本願発明の水性インクジェット印刷装置は印刷にあたり、被印刷対象のフィルムの属性および印刷デザインに関するカバレッジの情報を入力することにより、イニシャルプリセットのデータベースを参照して、
印刷速度、
乾燥温度、
張力、
吐出位置
を自動算出し、これらに基づき印刷を行なうものであるが、上記イニシャルプリセットのデータベースおよび自動算出するための印刷制御装置は印刷装置と同体とする他、印刷受注者において印刷原稿データおよび被印刷対象のフィルムの属性指定データを作成するための印刷原稿作成装置と同体とし、別体の印刷装置と有線または無線でデータをやりとりするようにしてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0085】
F フィルム
10 インクヘッド部
20 熱風乾燥経路
図1
図2
図3
図4