(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170294
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】緊急避難用気球
(51)【国際特許分類】
B64B 1/58 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
B64B1/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081939
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】522197741
【氏名又は名称】CAPXLE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】内田 絢佳
(72)【発明者】
【氏名】影山 剛士
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、津波等の緊急避難に有用な気球を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様における、緊急避難用の気球への水素の充填方法であって、前記気球は、家庭用の素材で構成され、水素を密封可能な球皮を備え、前記水素は、水素ガスを貯蔵する密封容器より充填される水素、水電解装置により製造された水素、または、水素ガスを貯蔵する密封カプセルにより充填される水素のいずれかであり、前記水素を前記球皮に充填させ、前記水素を前記球皮に充填させる際に、水蒸気を発生させることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急避難用の気球への水素の充填方法であって、
前記気球は、家庭用の素材で構成され、水素を密封可能な球皮を備え、
前記水素は、水素ガスを貯蔵する密封容器より充填される水素、水電解装置により製造された水素、または、水素ガスを貯蔵する密封カプセルにより充填される水素のいずれかであり、
前記水素を前記球皮に充填させ、
前記水素を前記球皮に充填させる際に、水蒸気を発生させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記素材は、ナイロン、テトロン、ポリエチレン、ポリプロピレン及び天然ゴムのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急避難用の気球に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、気球は、空気より軽い気体又は気体を加熱し膨張させることにより体積当たりの重さが周囲の空気より軽くなった気体を球皮に充填させることにより浮上する。
【0003】
例えば、気球を長時間浮上させ、運転させる技術として、特許文献1において、水素ガスを利用した気球が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、気球に水素ガスの製造設備や貯蔵設備を内蔵させるものであり、大型となり、かつ、高コストを要する。
【0006】
他方、昨今各地で発生している地震や津波等の自然災害により、犠牲者が多数発生しており、かかる自然災害による犠牲者を減らす方策の実現が望まれる。ここで、津波発生時に、津波が家屋に到達するまでに近隣の高台に逃げ遅れたり、近隣に高台が無いような事態が発生していたことは記憶に新しいところ、津波を察知して、津波より高い位置に直ちに避難できる方策の実現が必要である。
【0007】
そこで、本発明は、津波等からの緊急避難に有用な気球を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における、緊急避難用の気球への水素の充填方法であって、前記気球は、家庭用の素材で構成され、水素を密封可能な球皮を備え、前記水素は、水素ガスを貯蔵する密封容器より充填される水素、水電解装置により製造された水素、または、水素ガスを貯蔵する密封カプセルにより充填される水素のいずれかであり、前記水素を前記球皮に充填させ、前記水素を前記球皮に充填させる際に、水蒸気を発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、津波等からの緊急避難に有用な気球を提供することができる。津波のほか、土砂崩れ、土石流、火砕流などの災害、ロッククライミング・登山などのスポーツ時、暴漢に囲まれた時の避難などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、緊急避難用気球に使用される素材の一例を示す。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る、緊急避難用気球の球皮の一例を示す。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る、緊急避難用気球に充填される水素の一例を示す。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る、水素ボンベの構造を説明する図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る、緊急避難用気球の使用例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0012】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る、自然対策用気球(以下、「気球」)に使用される素材の一例である。ここで、津波等の自然災害が発生した場合、沿岸に立地する家屋に滞在する人は、津波の発生を察知して避難するまでの時間が限られている。さらに、避難するための高台が近隣に無い場合や、屋根や屋上に避難するとしても、屋根等の位置が津波の高さより低い構造の家屋である場合が考えられる。このようなケースを想定し、本実施形態の気球は、他の避難用具同様に、家庭内に収納しておくことが可能であり、かつ、即時に利用可能であることが求められる。
【0013】
このような背景から、気球の球皮に使用される素材としては、家庭で利用されるもの、または容易に入手可能なものであることが望ましい。かかる素材として、例えば、ナイロン、テトロン等の化学繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンを原料としたビニール、及び天然ゴムを原料としたラテックス素材等が挙げられる。水素を充填し、密封可能な素材であれば、例示される素材に限定されない。
【0014】
図2は、本発明の第一実施形態に係る、緊急避難用気球の球皮の一例を示す。気球を構成する球皮2として、上述の素材を縫合したもので構成され、膨脹時に略球体を形成することが望ましい。最終的に人が気球に乗ることを想定するため、縫合箇所をテープや布で補強したり、コーティングを施す等、一定の強度を有することが更に望ましい。縫合する時間が無い場合等は、大きな布等の素材を準備することも可能である。球皮2に後述の方法により水素を充填させたのち、充填した水素を密封するために開放部をバンドやテープ等により密封する。また、バルーンのように、水素を充填するための管を球皮の開放部より通し、水素を充填させたのちに、開放部をバンドやゴム等により密封するか、自己密封する方法も適用可能である。
【0015】
図3は、本発明の第一実施形態に係る、緊急避難用気球に充填される水素の一例を示す。
図3に示すように、気球の球皮に充填する水素の一例として、水素ガスを貯蔵する密封容器より充填される水素が挙げられる。例えば、水素ボンベ3に密封充填された水素を、スプレー等により球皮に充填することができる。ここで、水素は、空気の重さ比べて、1/16の重量であり、空気と比べて比重が小さいことを特徴とする。
【0016】
図4は、本発明の第一実施形態に係る、水素ボンベの構造を説明する図である。水素ボンベ3(「水素カプセル」ともいう)は、圧縮された液化水素を収納する水素収納部33と、水素を気球に注入する注入口32と、水素を気球に注入する際に水蒸気を噴霧させるための水蒸気噴霧口33と、水素ボンベ3の非使用時に水素を収納部に密閉させるための蓋部34と、水蒸気の発生源となる水を貯蔵する貯蔵部34とを有し、その他、水温(30度以上を維持することが望ましい)を管理する温度計及び水蒸気を噴霧口33に送出するためのモーター及びファン等を有する。
【0017】
図5は、本発明の第一実施形態に係る、緊急避難用気球の使用例を示す。
図5に示すように、本実施形態の気球の使用例として、津波等の自然災害発生時に、上記方法により製造され、人を吊り下げた気球を家屋の屋上から、または、地上から浮上させることで、津波から避難することが可能である。一定期間浮上し、やがて、水面に着地することで、気球の素材そのものの浮力により、津波の脅威から逃れることが可能である。ここで、
図5に示すように、身長180センチ、体重56キロの比較的大きなサイズの人間を浮上させるために、60立方メートル相当の水素を気球に充填させることが望ましい。
【0018】
以上のように、本実施形態の気球によれば、従来技術より容易な方法により気球を準備、使用することが可能となり、自然災害による脅威から逃れることが可能となる。
【0019】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0020】
1 素材 2球皮 3水素ボンベ