IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 文化シヤッター株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-開閉装置及び開閉制御方法 図1
  • 特開-開閉装置及び開閉制御方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170296
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】開閉装置及び開閉制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20231124BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E06B9/68 Z
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081942
(22)【出願日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CA15
(57)【要約】
【課題】電動シャッターを既設建物に後付けする場合に外壁に穴を貫通させるなどの施工を行うことなく宅内コンセントから電動シャッターへ電源を供給するできるようにする。
【解決手段】電動の開閉装置を構造物躯体の開口部に後付けで取り付ける場合、電源を供給するために構造物躯体の壁等に穴を貫通させるなどの施工を行うことなく、開閉装置の制御手段に対する電力供給をマイクロ波無線電力伝送システムで行うようにした。特に、電動窓シャッターの場合、開口部を仕切る窓ガラスを介して電力供給を行うことができるという利点がある。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に設けられ開閉動作する開閉体手段と、
前記開閉体手段の動作を電動にて制御する制御手段と、
前記制御手段に接続された操作子の操作に応じた前記開閉動作に対応した制御信号を前記制御手段へ出力する操作子手段とを備えた開閉制御システムにおいて、
前記制御手段に対する電力供給をマイクロ波無線電力伝送システムで行うように構成したことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
開口部に設けられた開閉体手段の開閉動作を、制御手段を用いて電動で制御し、前記制御手段に接続された操作子の操作に応じた前記開閉動作に対応した制御信号を前記制御手段へ出力する操作子手段を用いて、前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御方法であって、
前記制御手段に対する電力供給をマイクロ波無線電力伝送システムで行うようにしたことを特徴とする開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋、ビル、工場、倉庫などの建築物を含む構造物躯体の窓や出入口などの開口部に設置される開閉装置及び開閉制御方法に係り、特に住宅などの既設建物にシャッター装置を後付け設置するのに好適な開閉装置及び開閉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の建物に対してシャッターを後付けする場合、外壁材を取り替える必要があり、施行が煩雑であった。出願人は、重量の重いシャッターボックスであっても安定した取り付けを可能とした後付けシャッターの取付構造(特許文献1)を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2010-101089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャッターには、開閉動作を電動で行う電動シャッターが使用されることが多い。電動シャッターを既設建物に後付けする場合、電動シャッターの電源供給元として外部コンセントを用いたり又は壁を貫通させて宅内のコンセントから電源を供給する必要があった。特に、宅内コンセントから電源を供給する場合には壁に穴を空け、壁を貫通させる必要があり、建物を傷める原因となり、その養生に不具合が発生すると雨漏りなどが起こる可能性があった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、電動シャッターを既設建物に後付けする場合に外壁に穴を貫通させるなどの施工を行うことなく宅内コンセントから電動シャッターへ電源を供給することのできる開閉装置及び開閉制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉装置の特徴は、開口部に設けられ開閉動作する開閉体手段と、前記開閉体手段の動作を電動にて制御する制御手段と、前記制御手段に接続された操作子の操作に応じた前記開閉動作に対応した制御信号を前記制御手段へ出力する操作子手段とを備えた開閉制御システムにおいて、前記制御手段に対する電力供給をマイクロ波無線電力伝送システムで行うように構成したことにある。
【0007】
開閉装置は、家屋、ビル、住宅、工場、倉庫等の建築物を含む構造物躯体の窓や出入口、あるいは内部の通路や空間などの開口部などを開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉体手段で構成される。開閉装置は開口部の上部外壁等に取り付けられる。開閉装置は電動で開閉体手段を移動させることによって、開口部の開閉動作を実行する。これ以外にも開閉体手段が開口部の側部に収納され横引き方式で開閉移動したり、開口部の下部に収納され上昇方式で開閉移動したりするものもある。また、開閉装置には、閉鎖によって開口部を全閉できるものも全閉できないものも含む。電動の開閉装置を構造物躯体の開口部に後付けで取り付ける場合、電源を供給するために構造物躯体の壁等に穴を貫通させるなどの施工を行う必要がある。この発明では、このような施工を行うことなく、開閉装置の制御手段に対する電力供給をマイクロ波無線電力伝送システムで行うように構成した。これによって、電動開閉装置を既設建物に後付けする場合に外壁に穴を貫通させるなどの施工を行うことなく宅内コンセントから電動開閉装置へ電源を供給することができる。特に、電動窓シャッターの場合、開口部を仕切る窓ガラスを介して電力供給を行うことができるという利点がある。
【0008】
本発明に係る開閉制御方法の特徴は、開口部に設けられた開閉体手段の開閉動作を、制御手段を用いて電動で制御し、前記制御手段に接続された操作子の操作に応じた前記開閉動作に対応した制御信号を前記制御手段へ出力する操作子手段を用いて、前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御方法であって、
前記制御手段に対する電力供給をマイクロ波無線電力伝送システムで行うようにしたことにある。
これは、前記開閉装置の第1の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の開閉装置及び開閉制御方法によれば、電動シャッターを既設建物に後付けする場合に外壁に穴を貫通させるなどの施工を行うことなく宅内コンセントから電動シャッターへ電源を供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】既設住宅建物に後付けした窓シャッター装置の概略構成を建物の側面から見た図である。
図2図1の窓シャッター装置の制御回路系の概略構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体として上下に開閉(昇降)制御される窓シャッター装置を例に説明する。開閉体の閉鎖方向は、通常は下降で閉鎖するが、上昇で閉鎖する場合もある。この本実施の形態では、上方からの下降が閉鎖方向である場合を例に説明する。
【0012】
図1は、既設住宅建物に後付けした窓シャッター装置の概略構成を建物の側面から見た図である。図2図1の窓シャッター装置の制御回路系の概略構成を模式的に示す図である。図において、窓シャッター装置1は、既設住宅建物の開口部である窓上部の外壁2に後付けで取り付けられる。窓シャッター装置1は、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、モータ15、シャッター駆動回路16、開閉体制御装置17、操作信号受信機18、リモコン操作スイッチ30などから構成される。これ以外の構造体については図示を省略してある。また、図1にはシャッター駆動回路16、操作信号受信機18、リモコン操作スイッチ30を省略してある。
【0013】
シャッターケース11は、窓開口部の上方外壁2に後付けで取り付けられている。ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように既設住宅建物の開口部である窓枠3の両端縦枠材に設けられ、まぐさ部から窓枠3の下枠材まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。図示していない巻取りシャフトは、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。モータ15は巻取シャフトに設けられ、その回転駆動力によって巻取りシャフトを回転制御し、シャッターカーテン12の開閉動作を行うようになっている。
【0014】
シャッター駆動回路16は、マイクロコンピュータによって構成されており、受電回路50から電源ラインを介して電力の供給を受ける。シャッター駆動回路16は、開閉体制御装置17からの制御信号に基づいて、モータ15の回転を制御する。開閉体制御装置17は、シャッター駆動回路16、操作信号受信機18にそれぞれ接続されている。操作信号受信機18は、リモコン操作スイッチ30からの制御信号を受信するリモコン用アンテナ19を備えている。リモコン用アンテナ19は、リモコン操作スイッチ30からの制御信号を受信可能な場所に、例えば、宅内に設けられるか又は宅外の窓の周囲に設けられる。開閉体制御装置17は、操作信号受信機18の受信したリモコン操作スイッチ30の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号を受信し、それに基づいてシャッター駆動回路16に開動作及び閉動作に関する制御信号を出力する。
【0015】
リモコン操作スイッチ30は、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子である。なお、リモコン操作スイッチ30に代えて、壁面などに設けられた有線方式の操作子スイッチを用いてもよいし、リモコン操作スイッチ30と有線方式の操作スイッチの両方を用いてもよい。
【0016】
受電回路(受電レクテナ)50は、受電アンテナと回路とダイオードから構成される。また、受電回路(受電レクテナ)50は、受電アンテナとダイオードから構成される場合もある。受電回路50への電力の供給は、マイクロ波を用いた無線電力伝送システムによって実行する。受電回路50は、電力変換効率90~93%と高い効率のものを使用する。なお、マイクロ波は300〔MHz〕~300〔GHz〕程度の電波を総称するが、この実施の形態では、雨や霧などで吸収や減少を示さない周波数10〔GHz〕のものが好ましい。送電回路52は、5.8〔GHz〕帯のマイクロ波を送信する。
【0017】
上述の実施の形態において、受電回路50は、大容量のスーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)及び/又はリチウムイオンキャパシタを備え、この2次電池に充電された電力を開閉体制御装置17に供給するようにしても良い。2次電池への充電は窓シャッター装置1が稼働していない時間帯に実行することが望ましい。
【0018】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【0019】
開閉装置が障害物感知時に感知信号を無線方式にて制御手段に送信する障害物感知手段を開閉体手段の閉鎖側先端部に備えている場合には、障害別感知手段に対する電力供給をマイクロ波無線電力伝送システムで行うようにしてもよい。障害物感知手段は、開閉体手段の閉鎖側先端部に設けられ、開閉体手段と共に移動する。障害物感知手段は、障害物感知時に感知信号を無線方式にて収納ボックス等に設けられた制御手段に送信する。制御手段は、感知信号に応じて開閉動作を制御する。例えば、開閉体手段の閉動作中に障害物感知手段が障害物に接触し感知信号を送信した場合、制御手段は閉動作中の開閉体手段を停止又は回避動作を実行する。障害物感知手段は、開閉動作に応じて移動を繰り返す開閉体手段の閉鎖側先端部に設けられているため、電力の供給が困難を伴うため、通常2次電池を内蔵しており、この2次電池の電力によって動作し感知信号を制御手段に送信する。この2次電池に電力を供給する手段として、マイクロ波無線電力伝送システムを利用する。これによって、開閉体の座板部に設置される障害物感知装置の2次電池への充電を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0020】
1…窓シャッター
2…外壁
31,32…窓枠
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…モータ
16…シャッター駆動回路
17…開閉体制御装置
18…操作信号受信機
19…リモコン用アンテナ
30…リモコン操作スイッチ
50…受電回路
52…送電回路
図1
図2