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特開2023-170312残量管理システム、ガスメータ及び自動切替調整器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170312
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】残量管理システム、ガスメータ及び自動切替調整器
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20231124BHJP
   F17C 13/04 20060101ALI20231124BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20231124BHJP
   G01F 3/22 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F23K5/00 301D
F17C13/04 301B
F17C13/02 301Z
G01F3/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081976
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】迫 江美
【テーマコード(参考)】
2F030
3E172
3K068
【Fターム(参考)】
2F030CC13
3E172AA02
3E172AA05
3E172BA01
3E172BB04
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD05
3E172DA87
3E172EB02
3E172JA01
3E172JA09
3K068AA01
3K068BB05
3K068BB11
3K068BB23
3K068BB24
3K068CB02
3K068CC08
3K068CC10
3K068DA14
(57)【要約】
【課題】構成の複雑化及び美観の低下を抑制することが可能な残量管理システム、ガスメータ、及び、自動切替調整器を提供する。
【解決手段】残量管理システム1は、使用側の高圧ガスボンベB1のガス量が所定量以下となったときに、予備側の高圧ガスボンベB2からの燃料ガスを導入する自動切替調整器2と、自動切替調整器2によって減圧された燃料ガスを導入して流量計測のうえ需要者側に供給すると共に、使用側の高圧ガスボンベB1の燃料ガスが所定量以下となって予備側の高圧ガスボンベB2から燃料ガスを導入する切替状態となった旨を外部に送信するガスメータ3とを備え、ガスメータ3は、ガス圧力を検出する圧力センサと、圧力センサによる検出結果に基づいて特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する判断部と、判断部により所定圧力以上低下した判断された場合に切替状態であると判断する残量管理部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガス容器からの燃料ガスを減圧すると共に、前記第1のガス容器のガス量が所定量以下となったときに、前記第1のガス容器とは異なる第2のガス容器からの燃料ガスを導入する自動切替調整器と、前記自動切替調整器によって減圧された燃料ガスを導入して流量計測のうえ需要者側に供給すると共に、前記第1のガス容器の燃料ガスが所定量以下となって前記第2のガス容器から燃料ガスを導入する切替状態となった旨を外部に送信するガスメータとを備えた残量管理システムであって、
前記ガスメータは、ガス圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段による検出結果に基づいて、特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する判断手段と、前記判断手段により所定圧力以上低下した判断された場合に前記切替状態であると判断する残量管理手段と、を備える
ことを特徴とする残量管理システム。
【請求項2】
前記ガスメータは、前記特定流量と異なる流量の燃料ガスが流れている場合に前記圧力検出手段により検出されたガス圧力を、前記特定流量におけるガス圧力に変換するための変換データを記憶した記憶手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記特定流量と異なる流量で前記圧力検出手段により検出されたガス圧力を、前記記憶手段により検出された前記変換データに基づいて前記特定流量におけるガス圧力に変換し、変換したガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の残量管理システム。
【請求項3】
前記ガスメータは、温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記温度検出手段により検出された温度に基づいて、特定温度におけるガス圧力を算出し、前記特定温度におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の残量管理システム。
【請求項4】
第1のガス容器からの燃料ガスを減圧すると共に、前記第1のガス容器のガス量が所定量以下となったときに、前記第1のガス容器とは異なる第2のガス容器からの燃料ガスを導入する自動切替調整器によって減圧された燃料ガスを導入して流量計測のうえ需要者側に供給すると共に、前記第1のガス容器の燃料ガスが所定量以下となって前記第2のガス容器から燃料ガスを導入する切替状態となった旨を外部に送信するガスメータであって、
ガス圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出されたガス圧力に基づいて、特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する判断手段と、
前記判断手段により所定圧力以上低下した判断された場合に前記切替状態であると判断する残量管理手段と、
を備えることを特徴とするガスメータ。
【請求項5】
第1のガス容器からの燃料ガスを減圧すると共に、前記第1のガス容器のガス量が所定量以下となったときに、前記第1のガス容器とは異なる第2のガス容器からの燃料ガスを導入する切替状態となる自動切替調整器であって、
切替状態前後の特定流量における圧力差が0.2kPa以上である
ことを特徴とする自動切替調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残量管理システム、ガスメータ及び自動切替調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧ガスボンベからの燃料ガスを需要者側まで供給するガス供給システムが知られている。ガス供給システムにおいて高圧ガスボンベからの燃料ガスは圧力調整器によって適切な圧力まで減圧されたうえで需要者側に供給される。このような圧力調整器には、いわゆる自動切替調整器というものがある。
【0003】
自動切替調整器は、使用側の高圧ガスボンベと、予備側の高圧ガスボンベとの双方に接続されている。自動切替調整器は、使用側と予備側とのうち、まず使用側の高圧ガスボンベからの燃料ガスを導入し、予備側の高圧ガスボンベからの燃料ガスを導入しない状態となっている。この状態において使用側の高圧ガスボンベの燃料ガスが使用されていき、使用側の高圧ガスボンベの燃料ガスが少量となった場合に、自動切替調整器は、予備側の高圧ガスボンベから燃料ガスを導入するよう、自動的な切替を行う(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-159536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような自動切替調整器が自動的な切替を行った後、ガス作業員等は燃料ガス量が充分な新規の高圧ガスボンベを持参して、燃料ガスが少量となった高圧ガスボンベと交換することとなる。この際、作業員は、自動切替調整器の切替レバーを操作して、予備側の高圧ガスボンベを使用側とする。一方、持参された新規の高圧ガスボンベは、予備側として使用されることとなる。
【0006】
このような作業員による作業を行うためにはガス供給システムからガス事業者に通知があることが好ましい。このような通知を実現するために、予備側の高圧ガスボンベの燃料ガスを使用する状態となったときに、その旨の信号を出力する自動切替調整器が考えられる。
【0007】
図9は、比較例に係る残量管理システムを示す構成図であり、図10は、図9に示した自動切替調整器の内部構成を示す第1の断面図であり、図11は、図9に示した自動切替調整器の内部構成を示す第2の断面図である。なお、以下の説明において同一の要素には同一の符号を付すものとする。
【0008】
図9に示す残量管理システム100において自動切替調整器102は、予備側の高圧ガスボンベB2の燃料ガスを使用する状態となったことを後述のように検出し、その旨の切替信号を通信線SLを介してガスメータ103に送信する。ガスメータ103は、通信部が内蔵又は外付けされてガス事業者に通信可能となっており、自動切替調整器102から切替信号を受信すると、ガス事業者に対して高圧ガスボンベBの交換の必要がある旨の情報送信を行う。
【0009】
図10に示すように、自動切替調整器102は、使用側の高圧ガスボンベB1(図9参照)から燃料ガスを導入する第1入口流路4aと、第1入口流路4aに対して設けられる第1中圧弁17とを備えている。また、自動切替調整器102は、予備側の高圧ガスボンベB2(図9参照)から燃料ガスを導入する第2入口流路4bと、第2入口流路4bに対して設けられる第2中圧弁18とを備えている。それぞれの中圧弁17,18は、弁棒17a,18aを備えている。弁棒17a,18aは、中圧ダイヤフラム11が第1方向に変位したときに押圧部材116によって押圧されるように構成されている。弁棒17a,18aが押圧された状態で中圧弁17,18は弁開状態となって高圧ガスボンベBからの高圧の燃料ガスを導入する。また、押圧部材116は、第1中圧弁17の第1弁棒17aと第2中圧弁18の第2弁棒18aとの距離が異なるように段差D’が形成されており、段差D’によって押圧部材116は第2中圧弁18の第2弁棒18aよりも第1中圧弁17の第1弁棒17aに近い状態となっている。
【0010】
このような構成であるため、需要者側で燃料ガスが使用されて、中圧減圧室7の圧力が低くなると、中圧スプリング109のバネ力によって中圧ダイヤフラム11が第1方向に変位する。ここで、押圧部材116は段差D’を有しているため、段差D’の凸部116bによって第1中圧弁17の第1弁棒17aのみが押され、使用側の高圧ガスボンベB1からの燃料ガスが導入される。高圧の燃料ガスが導入されると、中圧減圧室7の圧力が高くなって中圧ダイヤフラム11は第1方向とは反対側の第2方向に変位する。以降、この動作が繰り返される。
【0011】
その後、使用側の高圧ガスボンベB1の燃料ガスが少なくなると、段差D’の凸部116bによって第1中圧弁17の第1弁棒17aが押されて燃料ガスが中圧減圧室7に導入されたとしても、中圧ダイヤフラム11を第2方向に押し上げることができなくなる。この場合、中圧スプリング109のバネ力によって中圧ダイヤフラム11が更に第1方向に変位する。これにより、段差D’の凹部116aによって第2中圧弁18の第2弁棒18aが押されることとなり、予備側の高圧ガスボンベB2から燃料ガスが導入されることとなる。
【0012】
さらに、自動切替調整器102は、図11に示すように、マグネットアームMAと、リードスイッチRSとを有している。ここで、予備側の高圧ガスボンベB2(図9参照)から燃料ガスを導入する状態と、使用側の高圧ガスボンベB1(図9参照)からの燃料ガスを導入する状態と比較すると、前者の方が後者よりも中圧ダイヤフラム11が全体的に第1方向に変位した状態となっている。マグネットアームMAは、中圧ダイヤフラム11(中圧ダイヤフラム受板10)が全体的に第1方向に変位した状態で作動するようになっており、作動時にはリードスイッチRSに近接する。このため、比較例に係る自動切替調整器102は、リードスイッチRSから通信線SLを通じてガスメータ103に切替信号が出力されることとなる。
【0013】
しかし、上記比較例に係る残量管理システム100は、自動切替調整器102にマグネットアームMAやリードスイッチRSといった検知機構を必要とすると共に、自動切替調整器102からガスメータ103までを通信線SLで接続する必要がある。このため、構成の複雑化や通信線SLによる美観の低下を招くものであった。
【0014】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、構成の複雑化及び美観の低下を抑制することが可能な残量管理システム、ガスメータ、及び、自動切替調整器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る残量管理システムは、第1のガス容器からの燃料ガスを減圧すると共に、前記第1のガス容器のガス量が所定量以下となったときに、前記第1のガス容器とは異なる第2のガス容器からの燃料ガスを導入する自動切替調整器と、前記自動切替調整器によって減圧された燃料ガスを導入して流量計測のうえ需要者側に供給すると共に、前記第1のガス容器の燃料ガスが所定量以下となって前記第2のガス容器から燃料ガスを導入する切替状態となった旨を外部に送信するガスメータとを備えた残量管理システムであって、前記ガスメータは、ガス圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段による検出結果に基づいて、特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する判断手段と、前記判断手段により所定圧力以上低下した判断された場合に前記切替状態であると判断する残量管理手段と、を備える。
【0016】
また、本発明に係るガスメータは、第1のガス容器からの燃料ガスを減圧すると共に、前記第1のガス容器のガス量が所定量以下となったときに、前記第1のガス容器とは異なる第2のガス容器からの燃料ガスを導入する自動切替調整器によって減圧された燃料ガスを導入して流量計測のうえ需要者側に供給すると共に、前記第1のガス容器の燃料ガスが所定量以下となって前記第2のガス容器から燃料ガスを導入する切替状態となった旨を外部に送信するガスメータであって、ガス圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出されたガス圧力に基づいて、特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する判断手段と、前記判断手段により所定圧力以上低下した判断された場合に前記切替状態であると判断する残量管理手段と、を備える。
【0017】
また、本発明に係る自動切替調整器は、第1のガス容器からの燃料ガスを減圧すると共に、前記第1のガス容器のガス量が所定量以下となったときに、前記第1のガス容器とは異なる第2のガス容器からの燃料ガスを導入する切替状態となる自動切替調整器であって、切替状態前後の特定流量における圧力差が0.2kPa以上である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、構成の複雑化及び美観の低下を抑制することが可能な残量管理システム、ガスメータ、及び、自動切替調整器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る残量管理システムを示す構成図である。
図2図1に示した自動切替調整器の正面図である。
図3図2のCS1-CS1断面図である。
図4図2のCS2-CS2断面図である。
図5】本実施形態に係る残量管理システムを構成するガスメータのブロック図である。
図6】比較例に係る調整圧力を示すグラフである。
図7】本実施形態に係る調整圧力を示すグラフである。
図8】本実施形態に係るガスメータの動作を示すフローチャートである。
図9】比較例に係る残量管理システムを示す構成図である。
図10図9に示した自動切替調整器の内部構成を示す第1の断面図である。
図11図9に示した自動切替調整器の内部構成を示す第2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る残量管理システム1を示す構成図である。図1に示す残量管理システム1は、複数の高圧ガスボンベB内の燃料ガスの残量(特に使用側の高圧ガスボンベ(第1のガス容器)B1の残量が少なくなったこと)を管理するためのものであって、自動切替調整器2と、ガスメータ3とを備えている。図1からも明らかなように、本実施形態に係る残量管理システム1は、自動切替調整器2とガスメータ3とが通信線SL(図9参照)でつながれていない構造となっている。
【0022】
自動切替調整器2は、複数の高圧ガスボンベBに高圧ホースHを介して接続されており、複数の高圧ガスボンベBからの燃料ガスを導入して減圧のうえガスメータ3に供給するものである。この自動切替調整器2は、まず使用側の高圧ガスボンベB1の燃料ガスを導入して需要者側に供給し、使用側の高圧ガスボンベB1の残量が少なくなると、予備側の高圧ガスボンベ(第2のガス容器)B2からの燃料ガスを導入して需要者側に供給するようになっている。
【0023】
図2は、図1に示した自動切替調整器2の正面図であり、図3は、図2のCS1-CS1断面図であり、図4は、図2のCS2-CS2断面図である。
【0024】
図2図4に示す自動切替調整器2は、下部ハウジングH1と上部ハウジングH2とを備え、これらが組み付けられることによりハウジングが形成されている。下部ハウジングH1は、2つの入口流路4a,4bと、出口流路5とが形成されている。入口流路4a,4bは、それぞれ左右の高圧ガスボンベB(図1参照)に接続され、高圧ガスボンベBからの高圧ガスを導入する流路である。出口流路5は、入口流路4a,4bに対して直交する方向に形成され、自動切替調整器2にて減圧された燃料ガスをガスメータ3に供給するための流路である。
【0025】
このような自動切替調整器2は、入口流路4a,4bから導入される高圧ガスを、中圧に減圧する一次調整器6と、一次調整器6によって減圧された燃料ガスをさらに減圧する二次調整器23とを備えている。
【0026】
一次調整器6は、中圧減圧室7と、大気圧室8と、中圧スプリング9と、中圧ダイヤフラム受板10と、中圧ダイヤフラム11と、下部軸受部材12と、切替軸13と、上部軸受部材14と、切替レバー15と、押圧部材16と、2つの中圧弁17,18と、2つの中圧弁スプリング19,20と、表示部21と、表示窓22と、表示スプリングSとを備えている。
【0027】
中圧減圧室7は、入口流路4a,4bから導入された高圧ガスを一時的に保持する部位である。大気圧室8は、外部と連通することにより内部が大気圧となる部位である。
【0028】
中圧ダイヤフラム11は、周縁が下部ハウジングH1と上部ハウジングH2との間に挟持固定されており、中圧減圧室7と大気圧室8とを気密に隔てる薄膜状の部材である。また、中圧ダイヤフラム11は、中圧ダイヤフラム受板10を介して中圧スプリング9により中圧減圧室7側(第1方向)に付勢されている。この中圧ダイヤフラム11は、中圧減圧室7の圧力が高まると中圧スプリング9の付勢力に抗して大気圧室8側(第2方向)に変位する。
【0029】
下部軸受部材12は、中圧ダイヤフラム11の軸心部に同軸的に固定されるものである。切替軸13は、下部軸受部材12に挿入される部材であって、下部軸受部材12の軸方向(以下単に軸方向という)の軸回りに回転自在となっている。また、切替軸13は、下部軸受部材12に対して軸方向には固定された状態になっており、中圧減圧室7内のガス圧力の変動に伴って、中圧ダイヤフラム11と共に軸方向に移動する。
【0030】
上部軸受部材14は、切替軸13の上部を囲むように形成された部材であって、上部ハウジングH2に対して挿入取付されるものである。この上部軸受部材14は、この切替軸13を回転自在に支持するものであって、筒部14aと、鍔部14bとを有している。筒部14aは、切替軸13が挿通される筒体である。鍔部14bは、筒部14aの上端から円周状に突出するフランジである。
【0031】
第1中圧弁17は、第1入口流路4aから中圧減圧室7に至るまでの経路上に設けられた弁体である。第2中圧弁18は、第2入口流路4bから中圧減圧室7に至るまでの経路上に設けられた弁体である。第1中圧弁スプリング19は、第1中圧弁17を第2方向に付勢するものである。第2中圧弁スプリング20は、第2中圧弁18を第2方向に付勢するものである。
【0032】
各中圧弁17,18は、それぞれが押圧部材16(第2方向)に向かって伸びる弁棒17a,18aを備えている。第1弁棒17aは、第1ノズル部NZ1内に挿通された状態で、その先端が中圧減圧室7に至っている。第2弁棒18aは、第2ノズル部NZ2内に挿通された状態で、その先端が中圧減圧室7に至っている。
【0033】
切替レバー15は、上部ハウジングH2の上部において軸回りに180度回転可能とされるものである。切替レバー15が指し示す側の高圧ガスボンベBが使用側の高圧ガスボンベB1となる。押圧部材16は、中圧ダイヤフラム11の軸心部に固定状態で設けられるものであり、切替軸13を通じて切替レバー15の回転と共に回転するものである。また、押圧部材16は、凹部16aと凸部16bとを有している。凹部16aは、上部ハウジングH2側に凹む部位であり、凸部16bは、下部ハウジングH1側に突き出る部位である。切替レバー15を180度回転させた場合、これら、凹部16aと凸部16bとの位置が入れ替わることとなり、使用側の高圧ガスボンベB1と予備側の高圧ガスボンベB2との関係が入れ替わることとなる。
【0034】
表示部21は、鍔部14bに支持され、支持箇所を中心に回動可能となった部材である。この表示部21は、棒状の軸部21aと、軸部21aの先端に設けられた板部21bとを有し、板部21bには例えば赤色部位と白色部位とが形成されている。白色部位は、赤色部位に対して表示部21の回動方向に隣接して形成されている。このため、表示部21は、回動方向に沿って赤色部位と白色部位とが連続して形成されていることとなる。
【0035】
表示窓22は、透明の樹脂材料により構成され、切替レバー15の一部を切り欠いた切り欠き部に設けられている。作業員等は、表示窓22を介して切替レバー15の外部から、表示部21を視認可能となっている。
【0036】
表示スプリングSは、鍔部14bと表示部21との間において圧縮状態で設けられたコイルバネである。詳細に説明すると表示スプリングSは、一端側が鍔部14bに支持され、他端側が表示部21の軸部21aに接触している。このような表示スプリングSは、圧縮状態において表示部21を回動させることなく、表示部21は図4に示す位置にて留めることとなる。一方、この表示スプリングSの圧縮状態が開放されると、表示部21を図4に示す矢印方向に回動させることとなる。
【0037】
二次調整器23は、低圧減圧室24と、大気圧室25と、低圧スプリング26と、低圧ダイヤフラム受板27と、低圧ダイヤフラム28と、作動棹29と、スプリング受け座金30と、安全弁調整スプリング31と、開閉用レバー32と、ピン33と、低圧弁34と、ノズル部35とを備えている。
【0038】
低圧減圧室24は、一次調整器6から導入された中圧ガスを一時的に保持する部位である。大気圧室25は、外部と連通することにより内部が大気圧となる部位である。
【0039】
低圧ダイヤフラム28は、周縁が下部ハウジングH1と上部ハウジングH2との間に挟持固定されており、低圧減圧室24と大気圧室25とを気密に隔てている。また、低圧ダイヤフラム28は、低圧ダイヤフラム受板27を介して低圧スプリング26により低圧減圧室24側に付勢されている。
【0040】
作動棹29は、低圧ダイヤフラム28の中心を軸方向に貫通して設けられる部材であって、低圧減圧室24側先端には開閉用レバー32が設けられている。開閉用レバー32の先端(作動棹29接続側と反対側の先端)には、ピン33が設けられている。このため、開閉用レバー32は、ピン33を中心に回動可能となっている。
【0041】
また、開閉用レバー32のピン33よりも更に先端には、低圧弁34が設けられている。低圧弁34は、開閉用レバー32の回動に応じて、中圧減圧室7と出口流路5との間に設けられたノズル部35を開閉するように動作するようになっている。
【0042】
また、作動棹29の大気圧室25側の先端には、スプリング受け座金30が設けられている。このスプリング受け座金30と低圧ダイヤフラム28との間には、安全弁調整スプリング31が介装されている。安全弁調整スプリング31は、作動棹29の下端に一体に形成された安全弁の弁体29aを、低圧ダイヤフラム28の下部側に配置した弁体受けに当接する方向に常時付勢している。
【0043】
次に、本実施形態に係る自動切替調整器2の動作を説明する。まず、図3に示す状態において需要者側でガスが使用され、中圧減圧室7の圧力が減圧したとする。この場合、中圧スプリング9の付勢力により中圧ダイヤフラム11が第1方向に変位する。そして、第1中圧弁17の第1弁棒17aが凸部16bによって第1方向に押し下げられる。これにより、第1入口流路4a側の第1中圧弁17が動作して第1入口流路4aが開き、使用側の高圧ガスボンベB1からの高圧ガスが中圧減圧室7に導入される。なお、第2中圧弁18の第2弁棒18aは、凹部16aによって押し下げられることなく、第2入口流路4bの第2中圧弁18は動作せず第2入口流路4bは開かないこととなる。すなわち、予備側の高圧ガスボンベB2からは燃料ガスが導入しないこととなる。
【0044】
使用側の高圧ガスボンベB1から高圧ガスが流入することにより中圧減圧室7の圧力が上昇すると、中圧スプリング9の付勢力に抗して中圧ダイヤフラム11が第2方向に変位する。これにより、第1弁棒17aと共に第1中圧弁17が上部ハウジングH2側に移動して、第1入口流路4aは閉じられることとなる。その後、需要者側でガスが使用されると、中圧減圧室7の圧力が減圧する。中圧減圧室7の圧力が減圧すると、上記動作を繰り返すこととなる。
【0045】
また、第1入口流路4a側に接続される高圧ガスボンベB内のガス量が減少して所定量以下となると、中圧減圧室7の圧力が上昇し難くなる。この場合、中圧減圧室7の圧力により中圧ダイヤフラム11を第2方向に押し上げることができず、中圧スプリング9の付勢力により中圧ダイヤフラム11が第1方向に一層変位することとなる。これにより、凹部16aが第2中圧弁18の第2弁棒18aに接触して押し下げられることとなり、第2入口流路4b側に接続される予備側の高圧ガスボンベB2から高圧ガスが流入するようになる。
【0046】
なお、使用側の高圧ガスボンベB1の燃料ガスが所定量以下となって予備側の高圧ガスボンベB2から燃料ガスを導入する状態を、燃料ガスの導入先が切り替わったことから、切替状態という。
【0047】
また、図4に示す二次調整器23においては、需要者側でガスが使用されることにより、低圧減圧室24の圧力が減圧する。これにより、低圧スプリング26の付勢力により低圧ダイヤフラム28が第1方向に変位する。そして、開閉用レバー32がピン33を支点として図4における反時計回り方向に回動する。この回動により、低圧弁34が出口流路5側に移動して、ノズル部35を開放する。これにより、中圧減圧室7側のガスが、出口流路5側に流れる。
【0048】
一方、低圧減圧室24の圧力が上昇すると、低圧スプリング26の付勢力に抗して、低圧ダイヤフラム28が第2方向へ変位し、低圧弁34が図中左方向へ移動する。これにより、ノズル部35の流路が閉じられ、低圧減圧室24へのガスの流入を抑制する。その後、需要者側でガスが使用されると、低圧減圧室24の圧力が減圧して、上記動作を繰り返すこととなる。
【0049】
なお、低圧減圧室24の圧力が所定の圧力を越えて異常に高くなった場合には、低圧ダイヤフラム28のそれ以上の移動が安全弁調整スプリング31によって阻止され、安全弁の弁体29aが開き、低圧減圧室24内のガスを大気圧室25の通気孔を介して外部に逃がすこととなる。
【0050】
また、表示部21は、上記動作に伴って以下のように動作する。まず、使用側の高圧ガスボンベB1内のガス量が充分であり、高圧ガスが中圧減圧室7に流入する状態において表示スプリングSは、圧縮状態を維持している。すなわち、表示部21は回動せず、表示窓22には、例えば表示部21の白色部位が対向する。従って、作業員等には表示窓22から白色部位が視認されることとなり、使用側の高圧ガスボンベB1について交換の必要性がないことを知ることができる。
【0051】
これに対して、使用側の高圧ガスボンベB1内のガス量が充分でなくなり所定量以下となると、予備側の高圧ガスボンベB2からの高圧ガスが中圧減圧室7に流入する。この場合、凹部16aが第2弁棒18aと接触することとなる。すなわち、中圧ダイヤフラム11は、使用側の高圧ガスボンベB1のみから高圧ガスを導入しているときよりも、全体的に第1方向に変位した状態となる。この状態において、表示スプリングSは、圧縮状態が開放されて表示部21を回動させる。これにより、例えば表示部21の赤色部位が表示窓22と対向する。従って、作業員等には表示窓22から赤色部位が視認されることとなり、使用側の高圧ガスボンベB1について交換が必要であることを知ることができる。
【0052】
図5は、本実施形態に係る残量管理システム1を構成するガスメータ3のブロック図である。図5に示すように、ガスメータ3は、流量センサ41と、制御部42と、表示部43と、圧力センサ(圧力検出手段)44と、遮断弁45と、通信部46とを備えている。
【0053】
流量センサ41は、例えば超音波センサによって構成され、流路における燃料ガスの流速を計測し、流速と流路断面積とに基づいて単位時間当たりのガス流量を算出するものである。流量センサ41は、算出した単位時間当たりのガス流量の情報を制御部42に送信する。
【0054】
制御部42は、ガスメータ3の全体を制御するものであって、漏洩や地震等の検知時に遮断弁45を弁閉させて保安を図る機能等を有している。また、制御部42は、流量センサ41から送信される単位時間当たりのガス流量の情報に基づいてガスの積算流量を表示部43に表示させるようになっている。この制御部42は、ガスメータ3が動作するのに必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。
【0055】
表示部43は、ガスの積算流量を表示させるものである。また、表示部43は、遮断弁45が弁閉状態であるのか、遮断弁45の弁閉時における遮断理由、及び、警告内容等を表示する。
【0056】
圧力センサ44は、ガスメータ3に流入する燃料ガスの圧力を検出するためのものである。圧力センサ44は、圧力信号を制御部42に送信する。制御部42は、圧力センサ44からの圧力信号に基づいて異常圧力である場合やガス漏洩が検出される場合には遮断弁45を動作させることとなる。
【0057】
遮断弁45は、ガスメータ3内の流路を解放したり閉塞したりするものである。遮断弁335が閉塞状態となると需要側への燃料ガスの供給が遮断されることとなる。
【0058】
通信部46は、外部のガス事業者等と通信を行うものである。特に、本実施形態に係る残量管理システム1において通信部46は、上記切替状態となった旨をガス事業者に送信する機能を有している。ガス事業者は、通信部46により切替状態となった旨を受信すると、新規の高圧ガスボンベBを持参して使用側の高圧ガスボンベB1と交換することとなる。
【0059】
さらに、本実施形態において制御部42は、判断部(判断手段)42aと、残量管理部(残量管理手段)42bと、記憶部(記憶手段)42cとを備えている。判断部42aは、圧力センサ44に基づいて得られる特定流量におけるガス圧力が前回値と比較して所定圧力以上低下したかを判断するものである。
【0060】
図6は、比較例に係る調整圧力を示すグラフである。比較例に係る自動切替調整器102(図10及び図11参照)においては、使用側の高圧ガスボンベB1からの燃料ガスについて、流量0kg/h付近において約3.05kPaに調圧され、流量2kg/hにおいて約2.90kPaに調圧される。また、使用側の高圧ガスボンベB1からの燃料ガスは、流量4kg/hにおいて約2.88kPaに調圧され、流量6kg/hにおいて約2.92kPaに調圧され、流量8kg/hにおいて約2.97kPaに調圧される。
【0061】
一方、比較例に係る自動切替調整器102においては、予備側の高圧ガスボンベB2からの燃料ガスについては、流量0kg/h付近において約2.98kPaに調圧され、流量2kg/hにおいて約2.81kPaに調圧される。また、予備側の高圧ガスボンベB2からの燃料ガスは、流量4kg/hにおいて約2.83kPaに調圧され、流量6kg/hにおいて約2.87kPaに調圧され、流量8kg/hにおいて約2.90kPaに調圧される。
【0062】
このように、比較例に係る自動切替調整器102は、規格を満たす範囲内において、使用側供給時と予備側供給時とで調整圧力に若干の差がある。これは、以下の理由による。
【0063】
まず、図10に示す比較例において、高圧ガスボンベBの燃料ガスの圧力をP1とし、中圧減圧室7における燃料ガスの圧力をP3とする。また、中圧弁スプリング19,20による荷重をF1とし、中圧スプリング109による荷重をF3とし、第1及び第2ノズル部NZ1,NZ2の面積をSm0とし、中圧ダイヤフラム11の有効面積Smとする。この場合、中圧弁17,18を閉じようとする力(左辺)と、中圧弁17,18を開けようとする力(右辺)とは、以下の関係式でつり合いがとれることとなる。
Sm0×P1+F1+Sm×P3=F3+Sm0×P3
【0064】
この式を中圧減圧室7における燃料ガスの圧力P3の式に変換すると、
P3=(F3-Sm0×P1-F1)/(Sm-Sm0)
となり、P3は中圧スプリング109による荷重F3に依存することとなる。従って、一次調整器106においては荷重F3に応じた減圧が行われることとなる。
【0065】
ここで、押圧部材16は、凹部16aと凸部16bとを有しており、一次調整器106には、凸部16bと第1弁棒17aとが接触して使用側の高圧ガスボンベB1からの燃料ガスが導入される。また、使用側の高圧ガスボンベB1の燃料ガスが少なくなると、一次調整器106では凹部16aと第2弁棒18aとが接触して予備側の高圧ガスボンベB2からの燃料ガスが導入される。すなわち、予備側供給時には、使用側供給時よりも中圧スプリング109が伸びた状態となっており、荷重F3が小さい。よって、図6に示したように、使用側供給時の方が予備側供給時よりも調整圧力が高くなる傾向にある。
【0066】
なお、図11に示すように、低圧減圧室24における燃料ガスの圧力をP4とし、低圧スプリング26による荷重をF4とし、ノズル部35の面積をSl0とし、低圧ダイヤフラム28の有効面積Slとする。また、開閉用レバー32のレバー比をaとする。この場合、低圧弁34を閉じようとする力(左辺)と、低圧弁34を開けようとする力(右辺)とは、以下の関係式でつり合いがとれることとなる。
Sl×P4+(1/a)×Sl0×P4=F4+(1/a)×Sl0×P3
【0067】
この式を低圧減圧室24における燃料ガスの圧力P4の式に変換すると、
P4={F4+(1/a)×Sl0×P3}/{Sl+(1/a)×Sm0}
となり、P4は中圧P3に依存することとなる。従って、二次調整器23による減圧は一次調整器106の減圧度合い(すなわち中圧P3)に影響を受ける。
【0068】
このように比較例に係る自動切替調整器102は、使用側供給時と予備側供給時とで調整圧力に若干の差がある。本実施形態に係る自動切替調整器2は、この差が大きくなるように調整されており、切替状態の前後の特定流量における圧力差が0.2kPaとなるようにされている。
【0069】
図7は、本実施形態に係る調整圧力を示すグラフである。本実施形態に係る自動切替調整器2においては、使用側の高圧ガスボンベB1からの燃料ガスについて、流量0kg/h付近において約3.17kPaに調圧され、流量2kg/hにおいて約2.99kPaに調圧される。また、使用側の高圧ガスボンベB1からの燃料ガスは、流量4kg/hにおいて約2.98kPaに調圧され、流量6kg/hにおいて約3.00kPaに調圧され、流量8kg/hにおいて約3.09kPaに調圧される。
【0070】
一方、予備側の高圧ガスボンベB2からの燃料ガスについては、流量0kg/h付近において約2.87kPaに調圧され、流量2kg/hにおいて約2.70kPaに調圧される。また、予備側の高圧ガスボンベB2からの燃料ガスは、流量4kg/hにおいて約2.72kPaに調圧され、流量6kg/hにおいて約2.77kPaに調圧され、流量8kg/hにおいて約2.80kPaに調圧される。
【0071】
なお、図7に示すように圧力差を大きくするため、本実施形態に係る自動切替調整器2は、押圧部材16における凹部16aと凸部16bとの段差Dが比較例の段差D’よりも大きくなるようにされている。また、中圧スプリング9のばね定数が比較例の中圧スプリング109よりも大きいものとされていてもよい。
【0072】
再度図5を参照する。上記したように、判断部42aは、圧力センサ44を通じて得られた特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断するものである。本実施形態に係る自動切替調整器2は、切替状態の前後で圧力差が大きくなっている。このため、判断部42aは、切替状態の前後における圧力変化、すなわち所定圧力(例えば0.2kPa)以上の低下を判断することができる。
【0073】
残量管理部42bは、判断部42aにより所定圧力以上低下した判断された場合に自動切替調整器2が切替状態であると判断する。また、残量管理部42bは、自動切替調整器2が切替状態であると判断した場合、通信部46にその旨を通知し、通信部46は、ガス事業者等の外部に切替状態である旨を送信する。
【0074】
記憶部42cは、ガスメータ3が動作するためのプログラム等のほか、変換データ(変換式に限らず対応表等の変換に必要なデータを含む概念である)を記憶したものである。変換データは、特定流量と異なる流量の燃料ガスが流れている場合に圧力センサ44により検出されたガス圧力を、特定流量におけるガス圧力に変換するためのものである。
【0075】
図7に示すように、使用側供給時及び予備側供給時の双方において調整圧力は似た曲線を示している。本実施形態において記憶部42cは、例えばこのような曲線を変換式(変換データの1つ)として記憶しており、判断部42aは、特定流量とは異なる流量において検出された圧力を、変換式に基づいて特定流量におけるガス圧力に変換する。そして、判断部42aは、特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する。これにより、判断部42aは、所定圧力以上低下したかの判断にあたり、特定流量の燃料ガスを待つ必要がない。
【0076】
さらに、図5に示すように、ガスメータ3は温度センサ(温度検出手段)47を備えている。温度によって燃料ガスは膨張等する。このため、圧力検出にあたり誤差が生じ得る可能性がある。よって、本実施形態に係る判断部42aは、温度センサ47を通じて検出された温度に基づいて、特定温度におけるガス圧力を算出し、算出した特定温度におけるガス圧力に基づいて所定圧力以上低下したかを判断する。これにより、温度のバラツキによって誤った低下判断をしてしまう可能性を低減させることができる。
【0077】
図8は、本実施形態に係るガスメータ3の動作を示すフローチャートである。まず、図8に示すように、ガスメータ3の制御部42は、流量センサ41からの流量信号に基づいてガスを使用中であるかを判断する(S1)。制御部42がガスを使用中でないと判断した場合(S1:NO)、使用中であると判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0078】
一方、制御部42がガスを使用中であると判断した場合(S1:YES)、制御部42は、圧力センサ44からの信号に基づいて、燃料ガスの圧力を測定する(S2)。次に、制御部42は、圧力測定時の流量が特定流量であるかを判断する(S3)。
【0079】
圧力測定時の流量が特定流量でない場合(S3:NO)、制御部42は、記憶部42cに記憶される変換データに基づいて特定流量における圧力に変換する(S4)。そして、処理はステップS5に移行する。また、圧力測定時の流量が特定流量である場合(S3:YES)、処理はステップS5に移行する。
【0080】
ステップS5において制御部42は、温度補正を実行する(S5)。例えば制御部42は、特定温度における圧力値となるように、ステップS2にて測定された又はステップS4において変換された圧力を温度補正する。
【0081】
その後、制御部42は、温度補正済みの圧力値を記憶部42cに記憶させる(S6)。次に、判断部42aは、記憶された前回値よりも今回値が所定圧力以上低下したかを判断する(S7)。今回値が所定圧力以上低下していない場合(S7:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0082】
一方、今回値が所定圧力以上低下した場合(S7:YES)、残量管理部42bは、切替状態であると判断する(S8)。次いで、残量管理部42bは、通信部46にその旨を送信し、通信部46はガス事業者等にその旨を通信する(S9)。その後、図8に示す処理は終了する。
【0083】
このようにして、本実施形態に係る残量管理システム1及びガスメータ3によれば、特定流量におけるガス圧力が所定圧力以上低下した場合、切替状態になったと判断する。ここで、自動切替調整器2において切替状態となると調整圧力が低下する。ガスメータ3は、この調整圧力の低下を判断することで切替状態を判断する。よって、自動切替調整器2において切替状態となったことを検知するためのマグネットアームMA等の検知構成を不要にできると共に通信線SLも不要とすることができる。従って、構成の複雑化及び美観の低下を抑制することができる。
【0084】
また、特定流量と異なる流量のガス圧力を変換データに基づいて特定流量におけるガス圧力を変換し、変換したガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断する。このため、ガスメータ3は、特定流量の燃料ガスを待ち、そのときのガス圧力を検出して低下判断する必要がなく、変換データによって変換することで、特定流量と異なる流量のガス圧力に基づいて切替状態を判断することができる。
【0085】
また、検出された温度に基づいて特定温度におけるガス圧力を算出し、算出したガス圧力が所定圧力以上低下したかを判断するため、比較するガス圧力同士の温度環境が大きく異なる等の理由から誤った切替状態の判断を行ってしまう可能性を低減することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る自動切替調整器2によれば、切替状態前後の特定流量における圧力差が0.2kPa以上であるため、切替状態となったことを圧力差によって検知し易くなり、構成の複雑化及び美観の低下を抑制する残量管理システム1の構築に貢献することができる。
【0087】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0088】
例えば本実施形態においてガスメータ3は温度センサ47を備えているが、温度を検出できれば特に温度センサ47に限られるものではない。例えば流量センサ41が超音波センサである場合、流量センサ41にて送受信される超音波信号は温度依存性を有する。このため、この温度依存性に基づいて温度を検出するように構成されていてもよい。また、通信部46にて地域の外気温度の情報を受信する等、他の手法で温度が検出されてもよい。
【0089】
また、本実施形態において判断部42aは、前回値と比較して所定圧力以上低下したかを判断するが、これに限らず、前回以前の複数回の平均値や中央値等の代表値よりも所定圧力以上低下したかを判断してもよい。さらには、前々回値等、前回以前の特定の1回の圧力値よりも所定圧力以上低下したかを判断してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 :残量管理システム
2 :自動切替調整器
3 :ガスメータ
42a :判断部(判断手段)
42b :残量管理部(残量管理手段)
42c :記憶部(記憶手段)
44 :圧力センサ(圧力検出手段)
47 :温度センサ(温度検出手段)
B1 :使用側の高圧ガスボンベ(第1のガス容器)
B2 :予備側の高圧ガスボンベ(第2のガス容器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11