(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170313
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】排泄物画像表示システムおよび便器
(51)【国際特許分類】
G01N 33/483 20060101AFI20231124BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01N33/483 C
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081977
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】河合 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 優
【テーマコード(参考)】
2D038
2G045
【Fターム(参考)】
2D038KA03
2D038KA06
2D038KA07
2D038KA21
2D038KA26
2D038ZA03
2G045AA36
2G045CB04
2G045FA19
(57)【要約】
【課題】従来技術は便性状や使用者の健康状態の推定結果を表示端末によって確認できるが、機器の不具合などの異常が発生した際に、表示端末には実際の排泄状況とは異なる情報が表示され、使用者が誤った理解、判断をしてしまう可能性がある。
【解決手段】便座と排泄検知手段と検知情報を表示する表示手段を備えた排泄情報表示システムにおいて、システムの故障や不具合、トイレ使用者の異常行動などの異常を検知し、異常検知したことを表示手段に表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢と、
前記便鉢に設けられた便座と、
前記便鉢の内部を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影された画像を用いて排泄物の有無およびその性状からなる群から選択される少なくとも1つを推定して、かつ排泄推定結果を出力する情報処理部と、
前記排泄推定結果を表示する表示部と、
を備えた排泄物画像表示システムであって、
前記情報処理部は、
前記排泄物画像表示システムに関わる異常を検知し、前記異常を異常検知結果として出力する第1工程、および
前記異常検知結果を前記表示部に表示する第2工程
を実行する、排泄物画像表示システム。
【請求項2】
前記情報処理部は、
前記第2工程において、前記排泄推定結果および前期異常検知結果を前記表示部に時系列に表示する、
請求項1に記載の排泄物画像表示システム。
【請求項3】
前記異常が前記排泄物画像表示システムの少なくとも一部の機能停止である、
請求項1または2に記載の排泄物画像表示システム。
【請求項4】
前記撮像手段は前記便座の内部に備えられ、
前記情報処理部は、前記第1工程において、前記画像を用いて前記便座の前記便鉢に対する位置が所定位置から所定量以上変化したことを検知した場合には、前記便座の位置の変化を前記異常として検出する、
請求項1または2に記載の排泄物画像表示システム。
【請求項5】
前記情報処理部は、前記第1工程において、前記撮像手段により撮像された者の異常行為を前記異常として前記画像を用いて検知する
請求項1または2に記載の排泄物画像表示システム。
【請求項6】
前記情報処理部は、
前記第1工程において、前記画像を用いて前記便鉢の内部に排泄物およびトイレットペーパーからなる群から選択される少なくとも1つの有無を推定し、かつ
前記第2工程において、前記排泄物および前記トイレットペーパーからなる群から選択される前記少なくとも1つがないと推定した場合には、前記排泄物および前記トイレットペーパーからなる群から選択される前記少なくとも1つがないと推定したことを前記異常として前記表示部に表示する、
請求項1または2に記載の排泄物画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排泄物画像表示システムおよび便器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、排泄における便器内を撮像した対象画像をニューラルネットワークを用いた機械学習等によって学習したモデルに前記画像情報を入力することで排泄物の有無やその性状に関する判定を行う判定装置は存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の排泄物画像表示システムにおいて、故障などの異常が発生していた期間に、使用者が排泄検知結果を確認すると、使用者は故障などの異常に気づかず、使用者が排泄していなかった等と誤った理解をしてしまう可能性がある。さらに、介護施設等において、排泄をしていなかったと誤った理解をしてしまう場合、介護者は被介護者へ下剤を過剰に投薬してしまい、被介護者が体調を崩すなど、介護の質低下、被介護者の体調悪化につながる可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の問題を解決する排泄物画像表示システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による排泄物画像表示システムは、
便鉢と、
前記便鉢に設けられた便座と、
前記便鉢の内部を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影された画像を用いて排泄物の有無およびその性状からなる群から選択される少なくとも1つを推定して、排泄推定結果を出力する情報処理部と、
前記排泄推定結果を表示する表示部と、
を備え、
前記情報処理部は、
前記排泄物画像表示システムに関わる異常を検知し、前記異常を異常検知結果として出力する第1工程、および
前記異常検知結果を前記表示部に表示する第2工程
を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の排泄物画像表示システムによれば、システムの故障などの異常を検知することで排泄物の判定結果を使用者がより正確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2A】実施の形態1における排泄物画像表示システムに含まれる便座2およびサーバ101を含むブロック図
【
図2B】実施の形態1における排泄物画像表示システムに含まれる便座2およびサーバ101を含むブロック図
【
図4】実施の形態1におけるユーザー側情報処理装置201の図
【
図5】実施の形態1におけるユーザー側情報処理装置201の図
【
図8A】実施の形態1における撮像画像情報の概略図
【
図8B】実施の形態1における撮像画像情報の概略図
【
図8C】実施の形態1における撮像画像情報の概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における排泄装置図である。
【0010】
図2Aは、実施の形態1における排泄物画像表示システム(以下、単に「システム」という)に含まれる便座2およびサーバ101を含むブロック図である。
【0011】
(概要の説明)
図1および
図2Aに示されるように、排泄を行うための装置である便器1は、便鉢、便座2、撮像素子4、および便器側情報処理装置5を有している。便器側情報処理装置5には、機器固有のID(すなわち、便器1に固有のID)が割り振られている。また、便座2にはユーザーが便座2に着座したことを検知する着座センサ3が設けられている。便座2は、便器内を撮像するための撮像素子4を具備している。撮像素子4の一例は、カメラである。便器側情報処理装置5の例は、ICまたはLSIのような半導体素子(すなわち、電気電子回路)である。
【0012】
図1に示されるように、撮像素子4は便座2の内部に配置されている。撮像素子4は、イメージセンサからなる受光部(図示せず)、レンズ42、およびカバー43を具備している。カバー43は、レンズ42を保護するために設けられる。撮像素子4は、便座2の内部に設けられる。レンズカバー43は、便座2の下面の一部を構成している。カバー43を通ってレンズ部42に到来した光は、レンズ42によって受光部(図示せず)に集められ、電子的な画像情報に変換される。このようにして、便鉢の内部(厳密には、便鉢の内周面)が撮影され、その結果、便器側情報処理装置5によって便鉢の内部の撮像画像502が形成される。撮像画像502は便鉢の底部にある溜水部の少なくとも一部を含む。
【0013】
実施の形態1によるシステムでは、ユーザー(例:被介護者)の排泄物の画像および排泄物の情報が、後述される表示部202表示される。あるいは、実施の形態1によるシステムでは、(a)ユーザー(例:被介護者)の排泄物の画像および(b)便鉢内の溜水部の位置が所定位置から所定量以上変化している様子が撮影された便座ずれ画像、使用者が手などで便を触ったり足を便鉢内の溜水部に入れたりする等の異常行動が撮影された異常行動画像、便鉢内にトイレットペーパー以外の異物(例えばスマートフォン等の落とし物)が撮影された異物画像などの少なくとも1つの異常な画像が、表示部202に表示される。
【0014】
図3に示されるように、実施の形態1によるシステムは、便器1、サーバ101、およびユーザー側情報処理装置201を具備している。
【0015】
上記の通り、便器1は、便座2、撮像素子4、着座センサ3、および便器側情報処理装置5を具備している。便器側情報処理装置5は、便器側データ送信部、および便器側制御部を具備している。便器側情報処理装置5は、便器側記憶部を具備していてもよい。
【0016】
サーバ101は、通常用いられるサーバと同様に、サーバ側受信部、サーバ側送信部、サーバ側記憶部、およびサーバ側制御部を具備している。後述されるように、サーバ側記憶部は、排泄物判定モデルなどの判定モデルを記憶している。
【0017】
サーバ101の例は、インターネット上の一般的なサーバ、介護施設内のサーバ、および自宅内のサーバである。
【0018】
図3に示されるように、ユーザー側情報処理装置201は、表示部202を具備する。ユーザー側情報処理装置201は、ユーザー側入力部、ユーザー側送信部、ユーザー側受信部、ユーザー側記憶部、およびユーザー側制御部をさらに具備している。ユーザー側情報処理装置201の例は、表示部202として機能するディスプレイを具備するパーソナルコンピュータ、タブレット、およびスマートフォーンである。
【0019】
記憶部とは、いわゆるメモリ(特にその中でも不揮発性メモリ)である。制御部とは、いわゆる中央処理演算装置である。
【0020】
(便器1の動作の説明)
図6において工程101(すなわち、S101)によって指し示されるように、ユーザーが便座2に着座したことを検知すると撮像素子4によって便器内の撮像を開始する。このようにして、撮像素子4が便器1の内部(すなわち、便鉢の内部)を撮像するように、便器側制御部は撮像素子4を制御する。
【0021】
着座センサ3は指定間隔ごと(ここでは1秒ごととするが、それ以上でも以下でもよい)に、その時点での着座状態(着座もしくは離座)を表す着座信号302を便器側情報処理装置5に送る。着座信号302は、便座に紐づく機器IDと信号取得時刻とともにテキストファイル等として記され、着座情報301として便器側情報処理装置5(厳密には、便器側記憶部が設けられる場合には、便器側記憶部)に保存される。このとき、1つの着座信号ごとに1つのテキストファイルに記して着座情報を生成してもよいし、複数の着座信号をまとめて1つのテキストファイルに付記し着座情報を生成してもよい。
【0022】
着座情報301が生成されると、便器側情報処理装置5(厳密には、便器側記憶部が設けられる場合には、便器側記憶部)からサーバ101にアップロードされる。このようにして、着座センサ3により検知された着座信号を着座情報としてサーバ101に送信するように便器側制御部は便器側データ送信部を制御する。
【0023】
便座内部に配置される便器側情報処理装置5は、着座センサ3から着座信号302を受け取ると撮像素子4を起動して、ユーザーが便座に着座している間、指定間隔ごと(ここでは1秒ごととするが、それ以上でも以下でも良い)に撮像し続ける。撮像した画像は便器側情報処理装置5(厳密には、便器側記憶部が設けられる場合には、便器側記憶部)に保存され、画像名には画像を撮影した便座に紐づく機器IDと撮影撮像時刻が記される。また、撮像開始して最初に保存される画像には、その旨が判断できるようなテキストを付加した画像名で保存される。
【0024】
図6において工程102(すなわち、S102)によって指し示されるように、ユーザーが便座2から離座したことを検知すると、撮像を終了し、撮像された画像は便器側情報処理装置5(厳密には、便器側記憶部が設けられる場合には、便器側記憶部)からサーバ101にアップロードされる。このようにして、撮像素子4により撮像された撮像画像を撮像画像情報としてサーバ101に送信するように便器側制御部は便器側データ送信部を制御する。
【0025】
上記のように、実施の形態1によるシステムでは、まず、
図6のS101として指し示されるように、着座センサ3によりユーザーが便座2に着座したことを検出すると、撮像素子4が便器1の内部の撮像を開始するように、便器側制御部は撮像素子4を制御する。
【0026】
次に、撮像素子4により所定時間ごとに撮像された複数の撮像画像502(
図8A~
図8Cを参照)を撮像画像情報501(
図8A~
図8C参照)として便器側記憶部に記憶するように便器側制御部は便器側記憶部を制御する。
図8A~
図8Cに示されるように、撮像画像情報501は、複数の撮像画像502および各々の複数の撮像画像502のテキスト503を含む。テキスト503は、機器IDと撮像時刻を含む。
【0027】
次に、
図6のS102として指し示されるように、撮像画像情報501と着座情報301をサーバ101に送信するように、便器側制御部は便器側データ送信部を制御する。より詳細には、S102では、撮像素子4により撮像された撮像画像502を撮像画像情報501としてサーバ101に送信するように便器側制御部は便器側データ送信部を制御し、かつ撮像画像情報501を受信するように、サーバ側制御部はサーバ側受信部を制御する。
【0028】
最後に、着座センサ3によりユーザーが便座2から離座することを検出すると、撮像素子4に便器1の内部の撮像を停止させるように便器側制御部は撮像素子4を制御する。
【0029】
なお、便器側情報処理装置5は便器側記憶部を具備しなくてもよい。すなわち、便器側情報処理装置5は、着座センサ3から受信した着座信号302を直ちにサーバ101に送信するとともに、撮像素子4が便器1の内部(厳密には便鉢の内部)を撮像している間に、便器側情報処理装置5は、撮像素子4が撮像した撮像画像502を直ちにサーバ101に送信してもよい。この場合、サーバ側制御部が着座情報301と撮像画像情報501を生成し、生成された着座情報301と撮像画像情報501をサーバ側記憶部に記憶させる。
【0030】
本実施の形態では、着座信号302および撮像画像502は、機器や使用方法の異常な状態を示す情報を含み得る。以下、本明細書では、機器や使用方法の異常な状態を示す情報を、単に「異常情報」という。なお、当然、着座情報301および撮像画像情報501もまた、異常情報を含み得る。なぜなら、上記の説明から明らかなように、着座情報301は着座信号301を含み、撮像画像情報501は撮像画像502を含むからである。
【0031】
機器の異常としては、例えば、便座2の便鉢に対する位置が所定位置から所定量以上変化した便座ずれ状態や、機器の少なくとも一部の機能が停止した故障状態がある。使用方法の異常としては、例えば、使用者が手などで便を触ったり足を便鉢内の溜水部に入れたりする等の異常行為や、便鉢内にトイレットペーパー以外の落下物(例えばスマートフォーン等)がある異物がある。異常行為は、使用者が手などで便を触ったり足を便鉢内の溜水部に入れたりする様子が撮像画像502に写った状況である。異物は、トイレットペーパー以外の落下物が撮像画像502に写った状況である。
【0032】
(サーバ101における判定処理の説明)
図3は、実施の形態1におけるシステムのブロック図である。
【0033】
図3において、サーバ101は、入力された画像、判定部102、データベース110を有する。
【0034】
ユーザー側情報処理装置201は、表示部202を有する。
【0035】
判定部102には、あらかじめ、排泄物の画像を多数取り込み、それらの画像から特徴抽出を行い、その特徴に反応できるよう生成された排泄物判定モデルが記憶されている。
【0036】
同様に、溜水部などの便鉢の特徴が、通常状態から所定量以上変位していることを検知する便座ずれ判定モデル、機器の少なくとも一部の機能が停止していることを検知する故障判定モデル、使用者が手などで便を触ったり足を便鉢内の溜水部に入れたりする等の異常行為を検知する異常行動判定モデル、便鉢内にトイレットペーパー以外の異物(例えばスマートフォン等の落とし物)があることを検知する異物判定モデルもサーバ側に記憶している。
【0037】
便座ずれ判定モデルは、あらかじめ、溜水部などの便鉢の特徴が、通常状態から所定量以上ずれた位置に写った画像を多数取り込み、それらの画像から特徴抽出を行い、その特徴に反応できるよう生成される。なお、多数の画像を撮り込み特徴抽出を行わず、他の方法により判定してもよい。例えば、画像の色や形状情報を元に、溜水部などの便鉢の特徴の位置を検出し、通常状態からの変位量が所定量より大きいかを閾値判定してもよい。
【0038】
故障判定モデルは、所定時刻の着座情報301が存在しないことから機器の少なくとも一部の機能が停止していることを検知する。着座情報301が存在しないということは、着座センサ3や便座制御部などの故障や、停電などによる機器の停止と推定できる。さらに、所定時刻の着座情報301が存在し、着座ありと判定されているが、同時刻の画像情報501が存在しないことから、撮像素子4の機能停止を検知することもできる。
【0039】
異常行動判定モデルは、あらかじめ、使用者が手などで便を触ったり足を便鉢内の溜水部に入れたりする等の異常行為が写った画像を多数取り込み、それらの画像から特徴抽出を行い、その特徴に反応できるよう生成される。なお、多数の画像を撮り込み特徴抽出を行わず、他の方法により判定してもよい。例えば、画像の色や形状情報を元に、身体領域を検出し、その身体領域の形状や位置情報から異常行動を推定してもよい。
【0040】
異物判定モデルは、あらかじめ、便鉢内にトイレットペーパー以外の異物(例えばスマートフォン等の落とし物)がある画像を多数取り込み、それらの画像から特徴抽出を行い、その特徴に反応できるよう生成される。なお、多数の画像を撮り込み特徴抽出を行わず、他の方法により判定してもよい。例えば、画像の色や形状情報を元に、通常便鉢内に存在するトイレットペーパーや排泄物の色や形状情報との差異の大きさから、異物の有無を推定してもよい。
【0041】
以下、用語「少なくとも1つの異常判定モデル」は、便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つを意味する。
【0042】
判定部102は、排泄物判定モデルおよび少なくとも1つの異常判定モデルを搭載した判定アルゴリズムを有する。判定部102は、入力された排泄物の画像(すなわち、撮像画像情報501、より詳細には、撮像画像情報501に含まれる複数の撮像画像502)から、排泄物および異常を判定し、それらの判定結果を出力する。
【0043】
データベース110は、判定結果(例えば、排泄物の有無、形状、量、色、落下回数、便座のずれの有無、故障の有無、異常行動の有無、異物の有無など)を保存する。データベース110は、サーバ側記憶部に含まれている。
【0044】
サーバ側受信部により受信された撮像画像情報501は、いったん、サーバ側記憶部に
記憶される。次いで、判定部102によって、撮像画像情報501(詳細には、撮像画像情報501に含まれる少なくとも1つの撮像画像502)を元に排泄物の性状(一例として、後述されるブリストルスケール指標7分類からなる群から選択されるいずれか1つの大便の性状)が判定され、その結果が判定部102から出力される。出力された結果は、排泄物推定情報としてデータベース110(すなわち、サーバ側記憶部)に記憶される。
【0045】
同様に、判定部102によって、着座情報301および撮像画像情報501を元に便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常が判定され、その結果が判定部102から出力される。出力された結果は、異常推定情報としてデータベース110(すなわち、サーバ側記憶部)に記憶される。
【0046】
以上の説明から明らかなように、排泄物判定モデルに基づいて、サーバ側制御部は、排泄物の情報を、排泄物推定情報として、受信された撮像画像情報501に含まれている少なくとも1つの撮像画像502から推定し、かつ排泄物推定情報および当該少なくとも1つの撮像画像502(すなわち、排泄物推定情報の推定の根拠となった少なくとも1つの撮像画像502)を含むデータ(以下、「第1データ」という)をサーバ側記憶部に記憶するようにサーバ側制御部はサーバ側記憶部を制御する。このことは、
図6において工程201(すなわち、S201)および工程202(すなわち、S202)として指し示される。
【0047】
同様に、便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常判定モデルに基づいて、サーバ側制御部は、便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常の情報を、異常推定情報として、受信された着座情報301および撮像画像情報501に含まれている少なくとも1つの着座信号301または撮像画像502から推定し、かつ異常推定情報および当該少なくとも1つの撮像画像502(すなわち、異常推定情報の推定の根拠となった少なくとも1つの撮像画像502)を含むデータ(以下、「第2データ」という)をサーバ側記憶部に記憶するようにサーバ側制御部はサーバ側記憶部を制御する。このことは、
図6において工程201(すなわち、S201)および工程202(すなわち、S202)として指し示される。
【0048】
最後に、
図6において工程203(すなわち、S203)として指し示されるように、第1データに排泄物の画像が含まれるとサーバ側制御部によって判定された場合には、第1データをサーバ側記憶部からユーザー側受信部に送信するように、サーバ側制御部はサーバ側送信部を制御し、かつ当該第1データを受信するように、ユーザー側制御部はユーザー側受信部を制御する。
【0049】
同様に、第2データに便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常の画像が含まれるとサーバ側制御部によって判定された場合には、第2データをサーバ側記憶部からユーザー側受信部に送信するように、サーバ側制御部はサーバ側送信部を制御し、かつ当該第2データを受信するように、ユーザー側制御部はユーザー側受信部を制御する。
【0050】
(異常検知の説明)
図6において、着座情報301および撮像画像情報501の少なくとも一方は、排泄物の特徴に反応できる排泄物判定モデルおよび異常の特徴に反応できる異常判定モデルを搭載した判定アルゴリズムに入力され、判定結果、すなわち、排泄情報である排泄物の有無、形状、量、色、落下回数に加えて異常の有無を出力する。出力された判定結果はデータ
ベース110に保存される。
【0051】
撮像画像情報501に含まれる撮像画像502中に一枚でも排泄物の画像が検知されていれば、排泄物が検知された結果と、その根拠となった撮像画像502を第1データとして選択して、ユーザー側情報処理装置201にその結果およびその撮像画像502を表示する。
【0052】
また、撮像画像情報501に含まれる撮像画像502中に一枚でも異常の画像が検知された場合も同様に、異常が検知された結果(すなわち、異常推定情報)と、その根拠となった撮像画像502を第2データとして選択して、ユーザー側情報処理装置201にその結果およびその撮像画像502を表示する。
【0053】
なお、撮像画像情報501に含まれる複数の撮像画像502中に排泄物または異常の画像が検知された場合のみ、判定結果(すなわち、排泄物が検知された結果または異常が検知された結果)およびその根拠となった撮像画像502を選択して、ユーザー側情報処理装置201にその結果およびその撮像画像502を表示しても良い。
【0054】
また、複数の判定結果と画像を選択する場合、全ての結果と画像をユーザー側情報処理装置201に表示しても良いし、代表結果のみを表示しても良い。代表結果は判定結果が持つパラメータである信頼度が高い画像(すなわち、排泄物を検知したときに排泄物である確率が高い画像)、ボケが少ない画像、最も対象物領域が大きく撮影された画像など、種々のパラメータを利用して選定しても良い。
【0055】
図6に示されるように、本実施の形態によるシステムは1つの判定モデルを具備し、かつその1つの判定モデルが排泄物判定モデルおよび異常判定モデルを含む。言い換えれば、排泄物画像表示システムは1つの判定モデルを具備し、その1つの判定モデルが、排泄物判定モデルを有する。さらに、その1つの判定モデルは、便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常判定モデルを有する。
【0056】
上記に代えて、
図7に示されるように、本実施の形態によるシステムは、排泄物判定モデルおよび異常判定モデルに対応する2つの判定モデルを具備していても良い。言い換えれば、排泄物画像表示システムは、2以上の判定モデルを具備し、当該2以上の判定モデルに含まれる判定モデルの1つが排泄物判定モデルであり、かつ当該2以上の判定モデルに含まれる判定モデルの他の1つが、便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常判定モデルであってもよい。
【0057】
いずれにせよ、判定モデルは、サーバ側記憶部に記憶される。
【0058】
(ユーザー側情報処理装置201における表示の説明)
上記の通り、表示部202には、ユーザーがweb、またはアプリ上でIDとパスワードを入力することで排泄記録を表示することができる。
【0059】
図4は、表示部202に図示される排泄記録の一例を示す。
図4に示されるように、便座2に着座した時間と、いつ排泄があったか、排泄物は便(すなわち、大便)であったか尿(すなわち、小便)であったか、大便であるなら、その時の形状をブリストルスケール指標7分類において、どの分類であるか、大便の色、大便の量、大便落下回数をグラフ205上に図示する。尿であるなら、尿の色、尿量をグラフ205上に図示するように、排泄記録が表示部202に表示される。
【0060】
グラフ205は横軸を0:00:00~23:59:59の時刻とした4段のグラフで構成される。最上段には、画像名に記される撮像時刻から便座に座っていた時間を矩形波で表示する。
【0061】
2段目には、便尿有無検知によって尿と判定された画像に記される撮像時刻を読み取り、グラフに棒状の図形を表示する。このとき、図形は、尿色判定結果と同じ色で、尿量によって高さを変えて図示しても良いし、図形内に尿色、尿量をテキストで表示しても良いし、図形の付近で注釈の形でテキストを表示しても良い。
【0062】
さらに、3段目には、便尿有無検知によって大便と判定された画像に記される撮像時刻を読み取り、グラフに棒状の図形を表示する。このとき図形は、大便形状判定結果を図形内にテキストで表示しても良いし、ブリストルスケール指標を大便の形を模してアイコン化した図形を表示してもよい。また図形は、大便色判定結果と同じ色で、大便量によって高さを変えて図示しても良いし、図形内に大便色、大便量、大便落下回数をテキストで表示しても良いし、図形の付近で注釈の形でテキストを表示しても良い。
【0063】
最下段には、便座ずれ判定、故障判定、異常行動判定、異物判定によって異常と判定された着座情報や画像情報に記される時刻を読み取り、グラフに異常を示す図形と異常の内容を文字で表示する。このとき図形のみ、あるいは文字のみを表示してもよい。また、異常の内容を模してアイコン化した図形を表示してもよい。その他、異常の内容を例えば最上段のグラフに重ねて表示したり、グラフには表示せず、メッセージとして表示したりするなど、他の方法で表示してもよい。
【0064】
さらに、異常行動と判定される頻度が高くなった場合などは、画面上部などにトイレ使用者の認知機能が低下している可能性がある旨をテキストやアイコンなどで表示してもよい。
【0065】
また、本実施の形態のユーザー側情報処理装置201は、
図5に示すように、グラフ205上に表示された判定結果を表す図形を、クリック、またはタッチすることで、判定結果の根拠となった画像(すなわち、判定結果の根拠となった1つの撮像画像502)を表示することができる。なお、画像は最初からグラフ205上に表示しても良い。このとき表示される画像は、グラフとは別のウィンドウが画像表示エリア206としてポップアップする形で表示しても良いし、グラフと同一ウィンドウ内に設けた画像表示エリア206に表示しても良い。
【0066】
このようにして、実施の形態1による排泄物画像表示システムにおいて、排泄物の判定結果(すなわち、排泄物推定情報)が表示部202に表示された場合には、ユーザー(例:被介護者)の排泄物の閲覧者(例:介護職員)は、容易にユーザーの排泄物の有無を判定でき、その結果、容易にユーザーの健康状態を把握できる。
【0067】
同様に、実施の形態1による排泄物画像表示システムにおいて、異常の判定結果(すなわち、便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常推定情報)が表示部202に表示された場合には、閲覧者(例:介護職員)は、容易に異常の有無を判定でき、その結果、より正確に判定結果を理解することができ、機器の修理を依頼したり、便座のずれを修正したり、異常行動の理由をトイレ使用者に確認したり、落下物を拾得したりすることができる。
【0068】
図2Bに示されるように、便器側情報処理装置5が判定部102を有していてもよい。言い換えれば、便器側情報処理装置5がサーバ101を兼ねていてもよい。
【0069】
図2Bに示される便座2は、ユーザー側情報処理装置の表示部にデータを表示させる。
【0070】
便座2は、撮像素子4および便器側情報処理装置5を具備している。
【0071】
図2Bに示される便座2では、便器側情報処理装置5は、便座側送信部、便座側記憶部、および便座側制御部を具備している。便座側記憶部は、(I)排泄物判定モデルおよび(II)便座ずれ判定モデル、故障判定モデル、異常行動判定モデルおよび異物判定モデルからなる群から選択される少なくとも1つの異常判定モデルを記憶している。一方、ユーザー側情報処理装置は、ユーザー側受信部をさらに具備している。
【0072】
図2Bに示される便座2に含まれている便器側情報処理装置5では、動作時に、以下の工程が実行される。
【0073】
まず、撮像素子4が便器内を撮像するように便座側制御部が撮像素子4を制御することによって、便座側制御部は撮像画像情報501を生成する。
【0074】
次に、排泄物判定モデルに基づいて、便座側制御部は、排泄物の情報を、排泄物推定情報として、撮像画像情報501に含まれている少なくとも1つの撮像画像502から推定する。
【0075】
さらに、少なくとも1つの異常判定モデルに基づいて、便座側制御部は、便座ずれの情報、故障の情報、異常行動の情報および異物の情報からなる群から選択される少なくとも1つの情報を、異常推定情報として、撮像画像情報501に含まれている少なくとも1つの撮像画像502から推定する。
【0076】
最後に、第1データおよび第2データからなる群から選択される少なくとも1つのデータを、ユーザー側受信部に送信するように、サーバ側制御部はサーバ側送信部を制御する。上記と同様、第1データは、排泄物推定情報および少なくとも1つの撮像画像502(すなわち、排泄物推定情報の推定の根拠となった少なくとも1つの撮像画像502)を含み、かつ第2データは、異常推定情報および少なくとも1つの撮像画像502(すなわち、異常推定情報の推定の根拠となった少なくとも1つの撮像画像502)を含む。
【0077】
(制御部のハードウェアについての説明)
本実施形態のシステムは、コンピュータシステムである。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ(すなわち、制御部として機能する中央処理演算装置)及びメモリ(すなわち、記憶部)を主構成とする。サーバ101およびユーザー側情報処理装置においては、メモリ(すなわち、記憶部)に記録されたプログラムをプロセッサ(すなわち、制御部として機能する中央処理演算装置)が実行することによって、本システムが動作する。便器に含まれる便器側情報処理装置においても、メモリ(すなわち、記憶部)に記録されたプログラムをプロセッサ(すなわち、制御部として機能する中央処理演算装置)が実行することによって、本システムが動作する。
【0078】
プログラムは、メモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。プロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integrat
ion)と呼ばれる集積回路を含む。
【0079】
さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示の排泄物画像表示システムによれば、システムの故障などの異常を検知することで排泄物の判定結果を使用者がより正確に理解することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 便器
2 便座
3 着座センサ
4 撮像素子
5 便器側情報処理装置
101 サーバ
102 判定部
110 データベース
201 ユーザー側情報処理装置
202 表示部
205 グラフ
206 画像表示エリア