(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170323
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】筆記具および筆記具本体
(51)【国際特許分類】
B43K 3/00 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
B43K3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081992
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】522198058
【氏名又は名称】株式会社Writing World
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】新保 薫
(72)【発明者】
【氏名】新保 陽子
(57)【要約】
【課題】字がうまく書けるようになる筆記具および筆記具本体を提供する。
【解決手段】筆記具1は、インクAを収容した軸2と、先端部4と後端部6とを有し、軸2を収容する筆記具本体3とを備え、筆記具本体3は、軸2を同軸で収容する、アルミニウムで構成された内筒10と、内筒10を同軸で収容する、シリコンで構成された外筒11を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容した軸と、
先端部と後端部とを有し、前記軸を収容する筆記具本体と、
を備え、
前記筆記具本体は、
該軸を同軸で収容する、硬質材料で構成された内筒と、
該内筒を同軸で収容する、前記硬質材料より軟質の軟質材料で構成された外筒と、
を備えたことを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記筆記具本体は、
前記内筒および前記外筒の各先端部側を支持する先端支持部と、
前記内筒および前記外筒の各後端部側を支持する後端支持部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記軟質材料は、シリコンで構成したことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【請求項4】
前記硬質材料は、金属で構成したことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【請求項5】
前記金属は、アルミニウムで構成したことを特徴とする請求項4に記載の筆記具。
【請求項6】
前記軸と前記内筒との間に第1の隙間を備えたことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【請求項7】
前記内筒と前記外筒とに間に第2の隙間を備えたことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【請求項8】
先端部と後端部とを有する筆記具本体であって、
インクを収容した軸を着脱可能かつ同軸で収容するための、硬質材料で構成された内筒と、
該内筒を同軸で収容する、前記硬質材料より軟質の軟質材料で構成された外筒と、
を備えたことを特徴とする筆記具本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、字がうまく書けるようになる筆記具および筆記具本体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、字がうまく書けるようにするため、筆記具の正しい使用ができるように構成した物や、筆記具を把持したときの感触を良くして筆記し易くした物が知られている。
【0003】
前者の例として、たとえば特許文献1には、人差指に装着して使用する筆記具補助具が開示されている。
【0004】
また、後者の例として、たとえば特許文献2には、合成樹脂で成形された筒体の外表面にシリコンゴムの薄層を被覆した筆記具用軸筒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5074633号公報
【特許文献2】実開平2-121982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の筆記具補助具は、筆記具とは別に用意する必要があり、取扱いが面倒である。
【0007】
また、後者の筆記具用軸筒は、筒体に薄層が密着させた構成であるため、感触が若干良くなる程度である。
【0008】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、字がうまく書けるようになる筆記具および筆記具本体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る筆記具は、インクを収容した軸と、先端部と後端部とを有し、軸を収容する筆記具本体とを備え、筆記具本体は、軸を同軸で収容する、硬質材料で構成された内筒と、内筒を同軸で収容する、硬質材料より軟質の軟質材料で構成された外筒とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る筆記具本体は、先端部と後端部とを有する筆記具本体であって、インクを収容した軸を着脱可能かつ同軸で収容するための、硬質材料で構成された内筒と、内筒を同軸で収容する、硬質材料より軟質の軟質材料で構成された外筒とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る筆記具および筆記具本体によれば、字がうまく書けるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図7】同筆記具の先端支持部を一部断面にして示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1中、符号1は、本発明に係る筆記具を示している。
【0015】
この筆記具1は、インクA(
図2に示す。)を収容した軸2と、この軸2を同軸で収容する筆記具本体3を備えている。
【0016】
筆記具本体3は、先端部4側に先端支持部5が設けられ、後端部6側に後端支持部7が設けられている。
【0017】
また、筆記具本体3の後端部6側には、軸2を先端部4側に向けて押える軸押え8が設けられている。
【0018】
さらに、軸2は、一端側にペン先9を備え、このペン先9が先端部4側から突出している。
【0019】
さらに、筆記具本体3は、
図2および
図3にも示すように、たとえば円筒状の内筒10およびたとえば円筒状の外筒11を有している。
【0020】
内筒10は、金属たとえばアルミニウム(硬質材料)で構成され、軸2を同軸で収容するようになっている。
【0021】
外筒11は、アルミニウムより軟質であるシリコン(軟質材料)で構成され、内筒10を同軸で収容するようになっている。
【0022】
先端支持部5は、
図4~
図7にも示すように、軸2の先端挿通孔12と、この先端挿通孔12に突出し軸2の先端部4側を支える軸支え部13と、内筒10の先端部4側に外嵌して内筒10を固定する先端内筒固定部14と、外筒11の先端部4側に内嵌して外筒11を固定する先端外筒固定部15とを有している。
【0023】
後端支持部7は、
図8~
図11にも示すように、軸2の後端挿通孔16と、内筒10の後端部6側に外嵌して内筒10を固定する後端内筒固定部17と、外筒11の後端部6側に内嵌して外筒11を固定する後端外筒固定部18とを有している。
【0024】
これにより、軸2と内筒10との間には筒状の第1の間隙S1が形成され、内筒10と外筒11との間には筒状の第2の間隙S2が形成されるようになっている。
【0025】
また、後端支持部7は、L字状の溝19、すなわち、後端支持部7の後端から軸方向先端方向へ延びる第1溝20と、この第1溝20に連通し周方向に延びる第2溝21と、この第2溝21に連通し軸方向後端部6側に延びる第3溝22とを有している。
【0026】
軸押え8は、
図13~
図15にも示すように、後端支持部7の後端挿通孔16に着脱可能に内嵌する内嵌部23と、この内嵌部23に連接され、後端支持部7に当接するキャップ部24と、内嵌部23の周壁に突設され、後端支持部7の溝19に係合する係合部25とを有している。
【0027】
そして、軸2を内筒10内に差し込んだ後、軸押え8の内嵌部23を後端支持部7の後端挿通孔16に係合部25が第1溝20に係合するように内嵌し、さらに軸押え8を係合部25が第2溝21に係合するように且つ第3溝22の部位まで回動させることにより、軸2をペン先9が先端支持部5から突出する状態に押え付けることができるようになっている。
【0028】
以上の構成によれば、内筒10をアルミニウムで、外筒11をシリコンで、それぞれ構成し、これら内筒10および外筒11の先端部4側を先端支持部5で固定するとともに、これら内筒10および外筒11の後端部6側を後端支持部7で固定し、これにより内筒10と外筒11との間には筒状の第2の間隙S2が形成されるようにしたので、
図16に示すように、筆記具本体3を手指Pで把持したとき、シリコンで構成された外筒11は、内筒10に拘束されることなく、径方向、軸方向、周方向に、比較的自由に弾性的に変形することができる。
【0029】
したがって、外筒11の変形量を大きくすることができるので、字がうまく書けるようになる。
【0030】
この場合、外筒11の内側にはアルミニウムで構成された内筒10が存在するので、必要以上の変形が阻止される。
【0031】
さらに、外筒11は、両端が内筒10の両端に固定された先端支持部5と後端支持部7とによって固定されているため、軸方向への延びを阻止することができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、内筒10と外筒11との間に筒状の第2の間隙S2が形成されるようにしたが、本発明はこれに限ることは無く、内筒10の外周面と外筒11の内周面とが接触しても内筒10が外筒11の変形を拘束しない構成であれば良い。
【0033】
また、外筒11は、シリコンで構成したが、これに限らず、筒状形状を維持できれば他の軟質材料でもよい。
【0034】
さらに、内筒10は、アルミニウムなどの金属で構成したが、これに限らず、硬質樹脂などでもよい。
さらに、内筒10および外筒11は、円筒状に形成したが、これに限らず、たとえば角筒状でもよく、要するに筒状であればよい。
【0035】
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0036】
すなわち、本発明に係る筆記具は、インクを収容した軸と、先端部と後端部とを有し、軸を収容する筆記具本体とを備え、筆記具本体は、軸を同軸で収容する、硬質材料で構成された内筒と、内筒を同軸で収容する、硬質材料より軟質の軟質材料で構成された外筒とを備えたことを特徴とするものである。
【0037】
また、本発明に係る筆記具本体は、先端部と後端部とを有する筆記具本体であって、インクを収容した軸を着脱可能かつ同軸で収容するための、硬質材料で構成された内筒と、内筒を同軸で収容する、硬質材料より軟質の軟質材料で構成された外筒とを備えたことを特徴とするものである。
【0038】
上記本発明は、少なくとも下記実施形態を含むことができる。該実施形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
【0039】
(1)筆記具本体は、内筒および外筒の各先端部側を支持する先端支持部と、内筒および外筒の各後端部側を支持する後端支持部とを備える。
【0040】
(2)軟質材料は、シリコンで構成する。
【0041】
(3)硬質材料は、金属で構成する。
【0042】
(4)金属は、アルミニウムで構成する。
【0043】
(5)軸と内筒との間に第1の隙間を備える。
【0044】
(6)内筒と筒とに間に第2の隙間を備える。
【符号の説明】
【0045】
A インク
1 筆記具
2 軸
3 筆記具本体
4 先端部
5 先端支持部
6 後端部
7 後端支持部
10 内筒
11 外筒
S1 第1の隙間
S2 第2の隙間