(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170324
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】レゾルバ
(51)【国際特許分類】
H02K 24/00 20060101AFI20231124BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02K24/00
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081993
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】奥田 佑樹
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604PC03
5H604QA04
5H604QB03
(57)【要約】
【課題】簡単に一対の絶縁キャップでインサート成形も使用せずにレゾルバを組み立てる手段を提供する。
【解決手段】輪状コア31から突出する複数の磁極40を有し、磁極40及び輪状コア31の第1、第2面31A、31Bを一対の第1、第2絶縁キャップ33、44で挟持して覆い、輪状コア31の内側にロータを有するレゾルバ1において、第1絶縁キャップ33に設けられた第1スナップフィット部55に、端子34を有する端子絶縁キャップ56を係止し、端子絶縁キャップ56を有する第1絶縁キャップ33を第2スナップフィット部50を介して第2絶縁キャップ44に係合した構造である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪状コア(31)から突出する複数の磁極(40)を有し、前記磁極(40)及び前記輪状コア(31)の第1、第2面(31A,31B)を一対の第1、第2絶縁キャップ(33,44)で挟持して覆い、前記輪状コア(31)の内側にロータ(41)を有するレゾルバ(1)において、
前記第1絶縁キャップ(33)に設けられた第1スナップフィット部(55)に、端子(34)を有する端子絶縁キャップ(56)を係止し、前記端子絶縁キャップ(56)を有する前記第1絶縁キャップ(33)を第2スナップフィット部(50)を介して前記第2絶縁キャップ(44)に係合したことを特徴とするレゾルバ。
【請求項2】
前記第1、第2スナップフィット部(55,50)は、抜け止め型であることを特徴とする請求項1記載のレゾルバ。
【請求項3】
前記第2絶縁キャップ(44)のクサビ(44b)は、前記第1スナップフィット部(55)のロックを行うことを特徴とする請求項1又は2記載のレゾルバ。
【請求項4】
前記第2絶縁キャップ(44)には、前記端子(34)を覆うための端子カバー(45)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のレゾルバ。
【請求項5】
前記第2絶縁キャップ(44)には、前記端子(34)を覆うための端子カバー(45)が設けられていることを特徴とする請求項2記載のレゾルバ。
【請求項6】
前記第2絶縁キャップ(44)には、前記端子(34)を覆うための端子カバー(45)が設けられていることを特徴とする請求項3記載のレゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバに関し、特に、ステータとしての輪状コアの一部に設けられたコネクタ付き端子保持部に対して、スナップフィット部を介して端子を固定するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバとしては、例えば、特許文献1の「レゾルバのステータ構造」の
図5に開示された構造を、
図4に示している。
すなわち、輪状コア31の端部には、断面コ字型をなすアンダーカバー33が設けられ、アンダーカバー33の上面には、端子ピン34を保持しプラスチックからなるプラスチック体35が設けられている。端子ピン34の突出部34aは、プラスチック体35を貫通して上方に突出し、この突出部34aにコイル32の端部が接続されている。そして、コネクタ36に接続されたリード線37は、端子ピン34に圧着接続されて輪状コア31の外方に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレゾルバは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、従来のコネクタ一体レゾルバでは、相手側コネクタを嵌合した状態で、端子の相対動きによる摺動摩耗によって接点不良を回避するため、コネクタ及びインシュレータ(絶縁キャップ)は、コアと端子をインサート成形する必要があった。
このインサート成形は、工程分割ができず、金型のキャビティ内にコネクタとして必要な種々の金具等を予め配置しなければならず、そのために、レゾルバの製造コストが高くなることが最大の課題であった。
また、この製造コストを低減させるために、インシュレータをキャップ型とし、端子を後から組み付ける構造とした場合、端子の固定ができないため、相手側コネクタを嵌合した状態で端子同士の摺動摩耗が発生し、接点不良が発生する品質リスクが課題となっていた。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、輪状コアの一部に設けられたコネクタ付き端子保持部に対して、スナップフィット部を介して端子を固定するレゾルバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるレゾルバは、輪状コアから突出する複数の磁極を有し、前記磁極及び前記輪状コアの第1、第2面を一対の第1、第2絶縁キャップで挟持して覆い、前記輪状コアの内側にロータを有するレゾルバにおいて、前記第1絶縁キャップに設けられた第1スナップフィット部に、端子を有する端子絶縁キャップを係止し、前記端子絶縁キャップを有する前記第1絶縁キャップを第2スナップフィット部を介して前記第2絶縁キャップに係合した構造であり、また、前記第1、第2スナップフィット部は、抜け止め型である構造であり、また、前記第2絶縁キャップのクサビは、前記第1スナップフィット部のロックを行う構造であり、また、前記第2絶縁キャップには、前記端子を覆うための端子カバーが設けられている構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるレゾルバは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、輪状コアから突出する複数の磁極を有し、前記磁極及び前記輪状コアの第1、第2面を一対の第1、第2絶縁キャップで挟持して覆い、前記輪状コアの内側にロータを有するレゾルバにおいて、前記第1絶縁キャップに設けられた第1スナップフィット部に、端子を有する端子絶縁キャップを係止し、前記端子絶縁キャップを有する前記第1絶縁キャップを第2スナップフィット部を介して前記第2絶縁キャップに係合したことにより、インサート成形を用いることなく、レゾルバの端子保持部を簡単に組み立てることができ、かつ、一対のスナップフィット部の係止構造によって、十分な剛性を得ることができる。
また、前記第1、第2スナップフィット部は、抜け止め型であることにより、絶縁端子キャップ及び第2絶縁キャップの固定を接着剤等を用いることなく、確実に得ることができる。
また、前記第2絶縁キャップのクサビは、前記第1スナップフィット部のロックを行うことにより、接着剤を用いることなく、絶縁端子キャップの係止を確実とすることができる。
また、前記第2絶縁キャップには、前記端子を覆うための端子カバーが設けられていることにより、固定された端子の保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態によるレゾルバの要部の平面図である。
【
図3】
図2の端子絶縁キャップを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によるレゾルバは、輪状コアの一部に設けられたコネクタ付き端子保持部に対して、スナップフィット部を介して端子を固定することである。
【実施例0010】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明する。
図1において符号60で示されるものはレゾルバ1の端子保持部であり、前記端子保持部60の輪状コア31の内方へ突出している複数の磁極40には、各々ステータ巻線43が巻回されている。
図1の第1絶縁キャップ33には、輪状コア31を介して第2絶縁キャップ44が嵌め込み式に設けられ、前記輪状コア31は、前記第1絶縁キャップ33と前記第2絶縁キャップ44によって挟持されるように形成されている。すなわち、前記磁極40及び前記輪状コア31の第1、第2面31A、31Bは、一対の第1、第2絶縁キャップ33、44で挟持して覆われている。
前記第2絶縁キャップ44の背部には、後述の端子カバー45が配設されている。また、前記輪状コア31の内側にはロータ41が設けられている。
【0011】
次に、
図2は、
図1のA-A線に沿う断面図であり、
図1の詳細について説明する。
前記第1絶縁キャップ33には、かぎ状をなす第1スナップフィット部55が一体に形成され、第2スナップフィット部50は、ばね性を有して形成されていると共に、抜け止め型に形成されている。
前記第2絶縁キャップ44内に収納された前記第1スナップフィット部55の隣位置には、端子34を有する端子絶縁キャップ56が設けられ、前記端子絶縁キャップ56は、前記輪状コア31に形成された案内孔57内に位置すると共に、前記第1スナップフィット部55によって固定されている。尚、前記第1スナップフィット部55は、かぎ型の抜け止め型で形成されている。
また、前記第1スナップフィット部55は、前記第2絶縁キャップ44に一体形成されたクサビ44bによって絶縁端子キャップ56に付勢されて固定されている。
【0012】
前記第1絶縁キャップ33の外周には、周知のスナップフィット機構を形成するための突起からなる前記第2スナップフィット部50が一体に形成されている。前記第2スナップフィット部50は、全体としてテーパ部33Aを有する台形状をなし、前記第2絶縁キャップ44の係合部材44aが前記テーパ部33Aを乗り越えて係止部33Bにて係止されるように形成されている。
【0013】
前記第2スナップフィット部50は、前述のテーパ部33Aと係合部材44aと係止部33Bとから形成されていると共に、前記係合部材44aは一度係止部33Bに係合すると二度と抜けない抜け止め型である。
【0014】
前記磁極40に巻回されたステータ巻線43の端線43aは、前記端子34に巻回されていることにより、レゾルバ1が形成されている。
尚、
図3で示されるものは、前記各端子34を一体成形した端子絶縁キャップ56を示している。
前記第2絶縁キャップ44には、前記端子34を覆うための端子カバー45が設けられている。
すなわち、本発明によるレゾルバによれば、前記第1絶縁キャップ33に設けられたカギ型の第1スナップフィット部55に、端子34を有する端子絶縁キャップ56を係止し、前記端子絶縁キャップ56が内設された第1絶縁キャップ33を第2スナップフィット部50を介して第2絶縁キャップ44に係合している。
本発明によるレゾルバは、一対の絶縁キャップ及び端子を有する絶縁端子キャップを用い、インサート成形を用いることなく組み立てられることにより、従来よりも大幅に製造コストを下げることができる。